JP2922804B2 - 異常判定機能付検出装置 - Google Patents

異常判定機能付検出装置

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JP2922804B2 JP32167294A JP32167294A JP2922804B2 JP 2922804 B2 JP2922804 B2 JP 2922804B2 JP 32167294 A JP32167294 A JP 32167294A JP 32167294 A JP32167294 A JP 32167294A JP 2922804 B2 JP2922804 B2 JP 2922804B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、検出対象値(作業装置
の作動量等)をセンサを用いて検出する検出装置に関
し、さらに詳しくは、センサの異常判定を行える異常判
定機能付検出装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】上記のような検出装置としては、例えば
高所作業車の車体に取り付けられたブームの車体に対す
る旋回角度・起伏角度や伸長長さ(以下、これらを検出
対象値という)を検出するために用いられる角度(回
転)センサや長さセンサがある。そして、これらセンサ
による検出結果は、ブームの先端を水平・垂直移動させ
たり、車体の安定を維持するためブームの作動を規制し
たりする自動制御用のデータとして利用される。
【0003】ところで、センサに異常が発生し正確な検
出対象値が求められなくなると、ブームの適正な制御も
できなくなる。このため、適宜センサの正常・異常判定
を行うことが必要となる。例えば、センサ内において断
線や短絡が生じたような場合には、検出結果が通常検出
される範囲外となることが多いため、このことを通じて
センサの異常を比較的容易に判断することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、センサ
による検出結果が、通常検出される範囲内ではあるが、
検出対象値の実際の値に対応していないような場合に
は、このセンサを異常と判断するのが困難であるという
問題がある。
【0005】本発明は、このような問題に鑑みてなされ
たものであり、センサの異常を確実に判断できるように
した異常判定機能付検出装置を提供することを目的とし
ている。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明では、検出対象値の所定変化範囲内に検出
対象値を検出する検出範囲と検出対象値を検出しない非
検出範囲とを有し、これら非検出範囲が互いに重ならな
いように両検出範囲を検出対象値の所定変化範囲内にて
ずらした配置した2つのセンサを用いている。そして、
各センサの検出範囲における検出結果に基づいてセンサ
毎に検出対象値の計算値を算出する計算値算出手段と、
センサ毎に算出された計算値の差を算出する検出差算出
手段と、上記差が所定値を越えるときに異常判定を行う
判定手段とから異常判定機能付検出装置を構成してい
る。
【0007】なお、検出対象値が360度回転自在な回
転軸の回転角度であるときは、2つのセンサの検出範囲
の位相を非検出範囲が互いに重ならないように回転軸を
中心とした360度の範囲内にてずらせばよい。
【0008】
【作用】このような検出装置によれば、両センサの非検
出範囲が重ならないので、検出対象値の全変化範囲(例
えば、回転軸の360度の回転範囲)に対していずれか
のセンサによる検出対象値(計算値)の算出が可能であ
る。これとともに、いずれか一方のセンサに異常が生じ
て、このセンサから出力された検出信号に基づく計算値
が、他の正常なセンサから出力された検出信号に基づく
計算値に比べて所定値を超える差を有するものとなった
ときには、判定手段において異常判定がなされる。これ
により、センサ内にて断線・短絡が発生し検出結果が通
常範囲外の値となるような場合はもちろん、センサによ
る検出結果が通常範囲内であるものの検出対象値の実際
値に対応しないような場合でも、確実にセンサの異常と
して発見することができる。
【0009】なお、両センサの検出範囲を一致させると
ともに、例えば同一検出対象値に対して同一の検出結果
となるよう予め両センサを調整した場合、劣化等した両
センサの特性に全く同じ変化が生じた(検出対象値に対
する直線性がなくなった)ときは、検出対象値にかかわ
らず両センサによる検出結果が同一となってしまうの
で、このような特性の変化を発見することは難しい。し
かし、2つのセンサの検出範囲を互いにずらしておけ
ば、両センサの特性に全く同じ変化が生じたときは、検
出対象値によって両センサによる検出結果が異なる場合
があるので、このような特性変化を容易に発見すること
ができる。
【0010】
【実施例】以下、本発明の好ましい実施例について図面
を参照しながら説明する。図1には、本発明に係る検出
装置を備えた高所作業車を示している。この高所作業車
1は、トラックをベースとして構成されており、車体2
の後部には、この車体2に対して水平旋回が自在な旋回
台3が取り付けられている。旋回台3の上部にはブーム
4が起伏自在に取り付けられている。このブーム4は、
3つのブーム部材からテレスコピックに伸縮自在に構成
されている。なお、旋回台3は、車体2に内蔵された油
圧旋回モータ(図示せず)により旋回駆動される。
【0011】また、ブーム4は、旋回台3との間に取り
付けられた油圧起伏シリンダ5およびブーム4に内蔵さ
れた油圧伸縮シリンダ(図示せず)により起伏・伸縮駆
動される。ブーム4の先端には、作業台6が取り付けら
れている。この作業台6は、図示しないレベリング装置
によってブーム4の起伏状態にかかわらずほぼ水平に保
持される。さらに、車体2の前後左右の4箇所には、車
体2の側方に張り出すとともに、下端部を接地させて車
体を支持するアウトリガジャッキ8が取り付けられてい
る。
【0012】このような構成の高所作業車1の作業台6
には、作業者が搭乗することができる。そして、作業台
6に取り付けられた操作装置(図示せず)の操作を通じ
て、旋回台3よびブーム4の作動を制御して任意の高所
に移動することができる。
【0013】ところで、旋回台3やブーム4が作動させ
ると、ブーム4の重量や作業台6の先端荷重に基づいて
車体2にこれを転倒させる方向にモーメント(転倒モー
メント)が作用する。アウトリガジャッキ8を張出・接
地させておけば、ある程度の転倒モーメントに対しては
車体2を安定に維持できるが、アウトリガジャッキ8に
よる支持限界を超える転倒モーメントが車体2に作用す
るのを防止する必要がある。このため、本高所作業車1
には、図2に示すように、モーメントリミッタ10が備
えられている。モーメントリミッタ10は、車体2に作
用する転倒モーメントの大きさを算出して、この算出モ
ーメントがある程度の安全率を考慮した限界モーメント
を超えたときに、それ以上転倒モーメントが増加する方
向への作動(例えば、ブーム4の倒伏作動や伸長作動:
以下、危険側作動という)を規制する。
【0014】ここで、モーメントリミッタ10において
設定される限界モーメントは、アウトリガジャッキ8の
位置との関係でブーム4(旋回台3)の旋回角度ごとに
異なる。このため、モーメントリミッタ10には、本発
明に係る旋回角検出装置が取り付けられる。以下、この
旋回角検出装置について図2を用いて説明する。
【0015】旋回角検出装置20は、2つのセンサ(第
1センサ21および第2センサ22)と、旋回角算出器
(計算値算出手段)23と、異常判定器30とから構成
されている。第1センサ21および第2センサ22は、
ポテンショメータ(抵抗線21a,22aおよび摺動子
21b,22bからなる)と、オペアンプ21c,22
cと、断線プルーフ回路21d,22dとから構成され
る。各ポテンショメータ21,2は、実際には図3に示
すように上側を0度として時計回りに検出角度が増加す
るロータリータイプのものである(図2は検出装置20
の全体がよく分かるように簡略化して示しているに過ぎ
ない)。
【0016】各抵抗線21a,22aは、旋回軸S(旋
回台3の旋回軸に連結されている)の周囲ほぼ350度
にわたってC字形状に延びており、両端には電源(+5
ボルト)又はアースが接続されている。なお、両端間に
残された中心角がほぼ10度である隙間を非検出範囲C
1,C2と称する。そして、2つのポテンショメータ2
1,22は、上記非検出範囲C1,C2が互いに180
度ずれるように同心状に配置される。即ち、第1センサ
21における非検出範囲C1は約85〜95度の範囲で
あり、第2センサ22における非検出範囲C2は約26
5〜275度である。
【0017】摺動子21b,22bは、旋回軸Sに取り
付けられており、この旋回軸Sの回転に伴って、対応す
る抵抗線21a,22a上を滑る。各摺動子21b,2
2bからは各抵抗線21a,22aにおける電源側端子
と摺動子の接触位置との間の長さに対応した電気信号
(電圧)が出力される。
【0018】オペアンプ21c,22cは、各ポテンシ
ョメータの摺動子21b,22bから出力された電圧信
号を演算処理して、センサ21,22による検出結果を
示す信号を旋回角算出器23に入力する。断線プルーフ
回路21d,22dは、摺動子21b,22bとアンプ
21c,22cとをつなぐラインに常時+5V(ボル
ト)を供給している。このため、抵抗線21a,22a
が断線した場合や、摺動子21b,22bが非検出範囲
C1,C2に入った場合でも、アンプ21c,22cか
ら旋回角算出器23に入力される検出結果が一定値を保
つようになっている(図4(A)参照)。
【0019】旋回角算出器23は、センサ21,22か
ら入力された検出結果に基づいて、センサ毎に、図3に
示す0度位置を基準としたブーム4の旋回角度(計算
値)を算出する。具体的には、センサ21からの検出結
果に基づいて第1の計算値を算出し、センサ22からの
検出結果に基づいて第2の計算値を算出する。これら計
算値と旋回角度の実際値(実旋回角)との関係を概念的
に示すのが図4(A)である。
【0020】この図から分かるように、第1センサ21
によれば、一点鎖線で示す実旋回角度よりもやや大きく
旋回角度の計算値が算出される。逆に、第2センサ22
によれば、実旋回角度よりもやや小さく計算値が算出さ
れる。ここで、センサ21,22がともに正常である場
合には、第1センサ21の非検出範囲C1および第2セ
ンサ22の非検出範囲C2を除き、第1・第2検出角度
の差の絶対値は10度よりも小さい。そして、旋回角算
出器23は、このような第1・第2検出角度の平均をと
って代表検出角度とする。この代表検出角度は、モーメ
ントリミッタ10に入力される。
【0021】異常判定器30は、検出差算出部31と、
判定部32とから構成されている。検出差算出部31に
は、旋回角算出器23によって算出された第1・第2計
算値を示す信号が入力される。検出差算出部31は、第
1・第2計算値相互間の差の絶対値を算出して、この絶
対値を示す信号を判定器32に送出する。判定部32
は、上記絶対値が10度(所定値)を超えているか否か
を判断し、超えていると判断したときはいずれかのセン
サに異常が生じていると判定して、モーメントリミッタ
10に異常を示す信号(異常信号)を送出する。
【0022】ただし、第1計算値が第1センサ21の非
検出範囲C1に相当する角度範囲に含まれる場合および
第2計算値が第2センサ22の非検出範囲C2に相当す
る角度範囲に含まれる場合には、これら検出角度は不正
確であることが明確であるため、たとえ第1・第2計算
値の差φが10度を越えても、判定部32は異常判定を
行わない。また、第1・第2計算値が0度をまたいでい
るような場合、例えば、第1計算値が1度で第2計算値
が358度であるような場合には、双方の差(357
度)から360度を差し引いた値の絶対値が10度(所
定値)を超えているか否かによって異常判定を行う。な
お、上記異常信号を受けたモーメントリミッタ10は、
転倒モーメントの大きさ如何にかかわらずブーム4の危
険側作動を規制する。
【0023】図4(B)には、ブーム4の旋回角度が9
0度〜180度付近であるときに第2センサ22のポテ
ンショメータにショートが発生した場合を示している。
この場合、第1計算値は実旋回角度に対応して変化する
が、第2計算値は通常検出される角度の範囲にあるもの
の実旋回角度に対応して変化しなくなる。ここでは、両
検出角度の差φが10度を越えるため、判定部32から
異常信号が出力される。これによって、即ブーム4の危
険側作動が規制され、不正確な旋回角度検出に基づいて
高所作業車1の安定が損なわれるような事態を未然に防
止することができる。
【0024】なお、上記実施例では、ブームの旋回角度
を検出する検出装置の場合について説明したが、本発明
の検出装置はこの旋回角検出装置に限らず、ブームの起
伏角度や伸長量を検出する検出装置にも適用することが
できる。また、センサも上記実施例に示したポテンショ
メータに限られるものではない。
【0025】ところで、本発明の検出装置には、上記実
施例に示した以外の利用方法もある。これについて図5
を用いて説明する。図5では、検出対象値の実際値を横
軸にとり、2つのセンサによる検出結果を縦軸にとって
いる。各センサによる検出結果は、図中点線Tで示すよ
うに、当初は実際値に対して直線性を有する。また、一
方のセンサの検出範囲(第1検出範囲)と他方のセンサ
の検出範囲(第2検出範囲)とは互いにずれて設定され
ている。なお、両センサは、当初同一検出対象値に対し
ては同一値の検出結果を示すように調整される。
【0026】このような検出装置において、劣化等した
両センサの特性が、実線T1′および鎖線T2′で示す
ように、全く同じカーブを描くように変化した(直線性
を失った)場合を考える。まず、第1・第2検出範囲が
一致し、実線T1′および鎖線T2′が重なっていると
仮定すると、特性変化後における両センサによる検出結
果はともに点線T上のDの値からEの値になる。即ち、
両センサから同一検出対象値に対して同一値の検出結果
が示されるだけである。このため、両センサによる検出
結果に差は生じず、この特性変化を発見することは困難
である。しかし、本発明のように第1・第2検出範囲を
互いにずらして設定することによって実線T1′および
鎖線T2′が重ならなければ、両センサによる検出結果
はそれぞれ点線T上のDの値からE又はFの値になる。
このため、両センサによる検出結果に差が生ずることと
なり、この差に基づいて両センサの特性変化を発見する
ことができる。
【0027】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の異常判定
機能付検出装置では、両センサの非検出範囲が重ならな
いように検出範囲をずらして設定している。このため、
検出対象値の全変化範囲(例えば、回転軸の360度の
回転範囲)に対していずれかのセンサによる検出対象値
(計算値)の算出が可能である。そして、この検出装置
では、センサ毎に算出された検出対象値の2つの計算値
の差が所定値を越えるときには異常判定がなされる。こ
のため、いずれか一方のセンサ内にて断線・短絡が発生
し検出結果が通常検出される範囲外の値となるような場
合はもちろん、検出結果が通常範囲内であるものの検出
対象値に対応していないような場合でも、確実にセンサ
の異常として発見することができる。
【0028】なお、本検出装置では、2つのセンサの検
出範囲を互いにずらして設定しているため、例えば、当
初同一検出対象値に対して同一検出結果を示していた両
センサの特性に全く同じ変化が生じたときに、これらセ
ンサは検出対象値によっては異なる検出結果を示すこと
になるため、このような特性の変化を容易に発見するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る異常判定機能付検出装置を備えた
高所作業車の斜視図である。
【図2】上記検出装置の構成図である。
【図3】上記検出装置に用いられるポテンショメータの
平面図である。
【図4】上記検出装置の説明図である。
【図5】上記検出装置の説明図である。
【符号の説明】
1 高所作業車 4 ブーム 21,22 センサ 30 異常判定器 C1,C2 非検出範囲

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 検出対象値の所定変化範囲内に前記検出
    対象値を検出する検出範囲と前記検出対象値を検出しな
    い非検出範囲とを有し、これら非検出範囲が互いに重な
    らないように前記両検出範囲を前記所定変化範囲内にて
    ずらして配置した2つのセンサと、 前記各センサの前記検出範囲における検出結果に基づい
    て、前記センサ毎に前記検出対象値の計算値を算出する
    計算値算出手段と、 この計算値算出手段により前記センサ毎に算出された2
    つの前記計算値の差を算出する検出差算出手段と、 前記検出差算出手段により算出された前記差が所定値を
    越えるときに異常判定を行う判定手段とから構成される
    ことを特徴とする異常判定機能付検出装置。
  2. 【請求項2】 前記検出対象値が360度回転自在な回
    転軸の回転角度であり、 前記2つのセンサの前記検出範囲の位相が、前記非検出
    範囲が互いに重ならないように前記回転軸を中心とした
    360度の範囲内にてずれていることを特徴とする請求
    項1に記載の異常判定機能付検出装置。
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