JPH0721503Y2 - 点検機構付過負荷防止装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 イ．考案の目的 （産業上の利用分野） 本考案は、ブームを備えた作業装置の過負荷防止装置に
関し、さらには、上記過負荷防止装置の点検用機構に関
する。

（従来の技術） クレーン車、高所作業車等ブームを備えた作業装置に
は、ブームの先端等にかかる荷重により装置を転倒させ
る方向にモーメント（転倒側モーメント）が作用する。
この転倒側モーメントがその作業装置の定格モーメント
を超えると作業装置が転倒する危険が生ずるため、これ
ら作業装置には、転倒側モーメントを常に定格モーメン
ト以下に抑えるようにブームの作動を規制する過負荷防
止装置が備えられている。

ところで、上記転倒側モーメントを算出するためには、
ブームの起伏角、伸長量、旋回角を検出する他、ブーム
の自重および先端荷重等の総荷重を検出する必要があ
る。なお、上記起伏角、伸長量、旋回角は、ポテンショ
メータ等の各センサにより検出され、総荷重は、ブーム
を起伏作動させる起伏シリンダに作用する軸力をロード
セル等を用いて検出し、この検出値に基づいて算出され
る。

このような過負荷防止装置を備えた作業装置を用いる作
業の前には、始業点検として、上記各センサ、ロードセ
ルからの入力信号の適否、例えば、入力信号が所定の電
圧範囲内にあるか否かについてのチェックを行うととも
に、それら適正な入力信号によってブームの作動規制が
正常に行われるか否かについての点検も行う。

（考案が解決しようとする課題） しかしながら、ブームの作動規制が正常に行われるか否
かの点検については、実際にブームを作動させて転倒側
モーメントを定格モーメントに到達させなければ確認で
きなかった。さらには、このような点検時には、ブーム
の先端荷重がない状態で（例えば、高所作業車の作業台
に作業者が搭乗しないで）行うのが普通である。このた
め、転倒側モーメントを定格モーメントに到達させるた
めには、ブームを最大に伸長させたり、水平近くまで倒
伏させたりしなければならず、大きなスペースが必要で
あるという問題があった。また、このようにブームの作
動量が多いので、点検に要する時間が長くかかるという
問題もあった。

以上の問題に鑑み、本考案では、ブームの作動規制の点
検を小さなスペースで、しかも短時間に行うことができ
るようにした点検機構付過負荷防止装置を提供すること
を目的としている。

ロ．考案の構成 （課題を解決するための手段） 上記の目的を達成するために、本考案の点検機構付過負
荷防止装置は、点検用の作動に切換える点検スイッチを
設け、この点検スイッチがオンされたときに、増幅手段
により起伏シリンダに作用する軸力を検出するロードセ
ルからの検出信号を増幅するよう構成している。

（作用） このような過負荷防止装置では、切換スイッチがオフの
ときは、ロードセルから本過負荷防止装置のコントロー
ラ等には、ブームの姿勢に対応して生ずる転倒側モーメ
ントにより起伏シリンダに実際に作用する軸力を示す検
出信号が送出される。また、切換スイッチがオンされた
ときは、実軸力を示す検出信号は増幅手段により増幅さ
れ、過負荷を示す信号として上記コントローラ等に送出
される。これにより、通常作動時よりも小さな軸力、即
ち、定格モーメントよりも小さな転倒側モーメントが作
用した状態でブームの作動規制を実行させることができ
る。

（実施例） 以下、本考案の好ましい実施例について図面を参照しな
がら説明する。

まず、本考案にかかる点検機構付過負荷防止装置を備え
た高所作業車について第２図を用いて説明する。

高所作業車１の車体２の前後左右にはアウトリガ３が取
り付けられている。作業を行うときには、これらアウト
リガ３を車体２の側方および下方に伸長させて車体２を
安定に支持させる。車体２の後部には、車体２に対して
旋回自在な旋回台４が取り付けられている。さらに、こ
の旋回台４には、伸縮自在なブーム５の基端部が枢着さ
れている。このブーム５は、起伏シリンダ６の伸縮によ
り起伏作動が自在となっている。なお、ブーム５の先端
には、作業者搭乗用の作業台７が取り付けられている。

次に、第１図参照しながら、上記過負荷防止装置につい
て説明する。

本過負荷防止装置10は、起伏センサ11、伸長センサ12、
旋回センサ13、ロードセル14コントローラ15および疑似
負荷ユニット20から構成されている。

起伏センサ11、伸長センサ12および旋回センサ13は、ポ
テンショメータ等からなり、それぞれブーム５の起伏
角、伸長量および旋回角を検出する。ロードセル14は、
起伏シリンダ６の下端部を旋回台４に枢着するピン6aに
取り付けられている。なお、起伏シリンダ６には、ブー
ム５の起伏角や伸長量に応じて、ブーム５の自重と作業
台７に搭乗した作業者の体重等の総荷重によるモーメン
ト（転倒側モーメント）により軸力Ｆが作用する。その
軸力Ｆがロードセル14により検出される。

ロードセル14は、２個の歪ゲージ14a、14bと２個の固定
抵抗14c、14dとをブリッジ状に接続したものであり、温
度補償用歪ゲージ14a、測定用歪ゲージ14bを変化側と称
し、また、固定抵抗14c、14dを固定側と称する。以上の
各センサ11〜13およびロードセル14はコントローラ15に
繋がっている。コントローラ15は、上記センサ11〜13か
らの信号によりブーム５の姿勢を把握するとともに、そ
の内部に設けられた電流計Ｇにより検出されるロードセ
ル14の変化側と固定側間に流れる電流値に基づいて、起
伏シリンダ６等ブーム５の作動に係るアクチュエータへ
の作動油供給を制御する。

疑似負荷ユニット20は、切換スイッチ21と抵抗器22とか
ら構成されている。切換スイッチ21は、本過負荷防止装
置10の通常作動と点検作動を切換えるためのものであ
り、本装置10は、切換スイッチ21がオフのときは通常作
動状態、切換スイッチ21がオンのときは点検作動状態と
なる。抵抗器22は上記切換スイッチ21と直列に接続され
ている。なお、この疑似負荷ユニット20の両端が測定用
歪ゲージ14bの両端に接続されている。

次に、本過負荷防止装置10の作動について説明する。

通常の作業時には、切換スイッチ21はオフのままであ
り、本装置10は通常作動状態とされる。この状態でブー
ム５を作動させると、起伏シリンダ６に作用する軸力Ｆ
によってピン6aに歪みが生じ、この歪みによりロードセ
ル14内の測定用歪ゲージ14bの抵抗値が変化（減少）し
て変化側と固定側間に流れる電流値が変化する。コント
ローラ15は、上記歪みが定格モーメントに対応する量と
なって、電流計Ｇにより検出される電流値が所定電流値
（過負荷状態を示す電流値）流値）に達すると規制信号
を出力し、ブーム５の作動を規制する。なお、第１図に
示した鎖線MLは、作業台７に作業者が搭乗しない場合の
ブーム５の最大作動範囲を示し、その傾斜部は、ブーム
５の強度等との関係から設定されたものである。この傾
斜部におけるブーム５の作動規制は、起伏センサ11、伸
長センサ12からの信号に基づいて行われる。

一方、切換スイッチ21がオンにされ、本装置10が点検作
動状態にされると、測定用歪ゲージ14bには並列に抵抗
器22が接続されたことになる。このため、ロードセル14
内の他のゲージ14a、固定抵抗14c、14dから見て、測定
用歪ゲージ14b側の抵抗値が減少する。このため、ある
歪み量に対する変化側と固定側間の電位差が通常作動下
よりも増幅され、歪み量がわずかでも電流計Ｇに流れる
電流値は上記所定電流値に達する。したがって、定格モ
ーメントに対応する軸力よりも小さな軸力が起伏シリン
ダ６に作用しただけでも、コントローラ15は、転倒側モ
ーメントが定格モーメントに達したとみなし、ブーム５
の作動規制を行わせる。この場合のブーム５の作動可能
範囲は第１図に示した鎖線ML′のように通常作動下にお
ける作動可能範囲MLよりも狭い。

なお、抵抗器22の抵抗値を可変とすることにより、スペ
ースに応じたブーム５の点検用作動範囲の設定も可能で
ある。

ハ．考案の効果 以上のように、本考案に係る点検機構付過負荷防止装置
を用いれば、点検時において、定格モーメントよりも小
さな転倒側モーメントの発生のみでブームの作動規制を
実行させることができる。したがって、点検のためのブ
ームの作動に要するスペースは小さくて済み、また、点
検に要する時間も短縮でき、作業の効率を向上させるこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案に係る点検ユニットを備えた過負荷防
止装置の概略図、 第２図は、上記過負荷防止装置を備えた高所作業車の斜
視図である。 ５…ブーム、６…起伏シリンダ 14…ロードセル、21…切換スイッチ 22…抵抗器

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁶ 識別記号 庁内整理番号 ＦＩ 技術表示箇所 Ｂ６６Ｆ 11/04

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】起伏シリンダの伸縮作動による起伏等が自
   在なブームを備えた作業装置において、この作業装置の
   過負荷作動を防止すべく前記ブームの作動を規制する過
   負荷防止装置であって、 前記起伏シリンダに作用する軸力を検出するロードセル
   と、 前記過負荷防止装置を点検用作動状態に切換える点検ス
   イッチと、 前記点検スイッチがオンされたときに、前記ロードセル
   からの検出信号を増幅させる増幅手段とからなる点検機
   構を有することを特徴とする点検機構付過負荷防止装
   置。