JPH0721504Y2 - 点検機構付過負荷防止装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 イ．考案の目的 （産業上の利用分野） 本考案は、ブームを備えた作業装置の過負荷防止装置に
関し、さらには、上記過負荷防止装置の点検用機構に関
する。

（従来の技術） クレーン車、高所作業車等ブームを備えた作業装置に
は、ブームの先端等にかかる荷重により装置を転倒させ
る方向にモーメント（実モーメント）が作用する。この
実モーメントがその作業装置の定格モーメントを超える
と作業装置が転倒する危険が生ずるため、これら作業装
置には、実モーメントを常に定格モーメント以下に抑え
るようにブームの作動を規制する過負荷防止装置が備え
られている。

なお、上記実モーメントを算出するためには、ブームの
起伏角、伸長量等を検出する他、ブームを支持し、これ
を起伏作動させる起伏シリンダに作用する軸力をロード
セル等のモーメント検出手段により検出する必要があ
る。

このような過負荷防止装置を備えた作業装置を用いる作
業の前には、始業点検として、上記各センサ、ロードセ
ルからの入力信号の適否、例えば、入力信号が所定の電
圧範囲内にあるか否かについてのチェックを行うととも
に、それら適正な入力信号によってブームの作動規制が
正常に行われるか否かについての点検も行う。

（考案が解決しようとする課題） しかしながら、ブームの作動規制が正常に行われるか否
かの点検については、実際にブームを作動させて実モー
メントを定格モーメントに到達させなければ確認できな
かった。さらには、このような点検時には、ブームの先
端荷重がない状態で（例えば、高所作業車の作業台に作
業者が搭乗しないで）行うのが普通である。このため、
実モーメントを定格モーメントに到達させるためには、
ブームを最大に伸長させたり、水平近くまで倒伏させた
りしなければならず、大きなスペースが必要であるとい
う問題があった。また、このようにブームの作動量が多
いので、点検に要する時間が長くかかるという問題もあ
った。

以上の問題に鑑み、本考案では、ブームの作動規制の点
検を小さなスペースで、しかも短時間に行うことができ
るようにした点検機構付過負荷防止装置を提供すること
を目的としている。

ロ．考案の構成 （課題を解決するための手段） 上記の目的を達成するために、本考案の点検機構付過負
荷防止装置は、モーメント検出手段により実モーメント
を検出し、コントローラには、この実モーメントの定格
モーメントに対する比率が所定比率になったときにブー
ムの作動を規制させる一方、本装置を点検用作動状態に
切換える点検スイッチを設け、この点検スイッチがオン
されたときは、上記所定比率を通常作動時よりも引き下
げるよう構成している。

（作用） このような過負荷防止装置では、通常作動時において
は、実モーメントの定格モーメントに対する比率が所定
比率、例えば、100％になったときにブームの作動を規
制し、それ以上の実モーメントの増大を防止する。一
方、点検スイッチがオンされ、点検作動状態とされたと
きは、上記の所定比率は引き下げられ、実モーメントが
定格モーメントに達しなくてもブームの作動規制が実行
される。

（実施例） 以下、本考案の好ましい実施例について図面を参照しな
がら説明する。

まず、本考案にかかる点検機構付過負荷防止装置を備え
た高所作業車について第２図を用いて説明する。

高所作業車１の車体２の前後左右にはアウトリガ３が取
り付けられている。作業を行うときには、これらアウト
リガ３を車体２の側方および下方に伸長させて車体２を
安定に支持させる。車体２の後部には、車体２に対して
旋回自在な旋回台４が取り付けられている。さらに、こ
の旋回台４には、伸縮自在なブーム５の基端部が枢着さ
れている。このブーム５は、起伏シリンダ６の伸縮によ
り起伏作動が自在となっている。なお、ブーム５の先端
には、作業者搭乗用の作業台７が取り付けられている。

次に、第１図を参照しながら、上記過負荷防止装置につ
いて説明する。

本過負荷防止装置10は、起伏センサ11、伸長センサ12、
旋回センサ13、ロードセル14（以上、モーメント検出手
段）、コントローラ15および点検スイッチ16から構成さ
れている。

起伏センサ11、伸長センサ12および旋回センサ13は、ポ
テンショメータ等からなり、それぞれブーム５の起伏
角、伸長量および旋回角を検出する。ロードセル14は、
起伏シリンダ６の下端部を旋回台４に枢着するピン6aに
取り付けられている。なお、起伏シリンダ６には、ブー
ム５の起伏角や伸長量に応じて、ブーム５の自重と作業
台７に搭乗した作業者の体重等により生ずる軸力Ｆが作
用し、その軸力Ｆがロードセル14により検出される。こ
れら各センサ11〜13およびロードセル14はコントローラ
15に繋がっている。さらに、コントローラ15には点検ス
イッチ16が繋がっている。

点検スイッチ16は、本過負荷防止装置10の通常作動と点
検作動を切換えるためのものであり、本装置10は、点検
スイッチ16がオフのときは通常作動状態、点検スイッチ
16がオンのときは点検作動状態になる。

次に、本過負荷防止装置10の作動について説明する。

通常作動時においては、点検スイッチ16はオフのままに
され、本装置10は通常作動状態とされる。この状態でブ
ーム５を作動させると、起伏シリンダ６に作用する軸力
Ｆによってピン6aに歪みが生じ、この歪みをロードセル
14が検出してコントローラ15に検出信号を送出する。コ
ントローラ15は、この軸力検出信号と起伏センサ11から
の起伏角検出信号等に基づいて実モーメントを算出す
る。さらに、コントローラ15は、この実モーメントの定
格モーメントに対する比率（以下、負荷率と称する）を
算出し、この負荷率が通常規制負荷率（所定負荷率）、
例えば、100％に達すると規制信号を出力し、これ以上
負荷率が増加しないようにブーム５の作動を規制する。
なお、第１図に示した鎖線MLは、作業台７に作業者が搭
乗しない場合のブーム５の最大作動範囲を示し、その傾
斜部はブーム５の強度等の関係から設定されたものであ
る。この傾斜部におけるブーム５の作動規制は起伏セン
サ11、伸長センサ12からの信号に基づいて行われる。

一方、本装置10を点検作動状態にすべく点検スイッチ21
がオンにされたときは、コントローラ15では、上記通常
規制負荷率が所定率だけ引き下げられ点検用規制負荷率
として設定される。このため、現負荷率が点検用規制負
荷率に達すると、通常作動下と同様にコントローラ15は
規制信号を出力する。こうして、実モーメントが定格モ
ーメントに達しなくても、ブーム５の作動規制を実行さ
せることができる。この場合のブーム５の作動可能範囲
は、第１図に示した鎖線ML′のように通常作動下におけ
る作動可能範囲MLよりも狭い。

ハ．考案の効果 以上のように、本考案に係る点検機構付過負荷防止装置
を用いれば、点検時においては、ブームの作動規制が行
われる負荷率、即ち、実モーメントの定格モーメントに
対する比率を通常作動時よりも低く設定するので、定格
モーメントよりも小さな実モーメントの発生のみでブー
ムの作動規制を実行させることができる。したがって、
点検のためのブームの作動に要するスペースは小さくて
済み、また、点検に要する時間も短縮でき、作業の効率
を向上させることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案に係る点検ユニットを備えた過負荷防
止装置の概略図、 第２図は、上記過負荷防止装置を備えた高所作業車の斜
視図である。 ５…ブーム、６…起伏シリンダ 11…起伏センサ、12…伸長センサ 13…旋回センサ、14…ロードセル 15…コントローラ 16…点検スイッチ

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ブームを備えた作業装置の過負荷作動を防
   止すべく前記ブームの作動を規制する過負荷防止装置に
   おいて、 前記作業装置の実モーメントを検出するモーメント検出
   手段と、 前記過負荷防止装置を点検用作動状態に切換える点検ス
   イッチと、 前記実モーメントの定格モーメントに対する比率が所定
   比率となったときに、前記ブームの作動規制を行わせる
   コントローラとからなり、 このコントローラを、前記点検スイッチがオンされたと
   きは、前記所定比率を通常作動時よりも引き下げるよう
   構成したことを特徴とする点検機構付過負荷防止装置。