JP3787058B2 - ブーム作業車の車体傾斜角検出装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車体にブームが起伏動等自在に設けられてなるブーム作業車の車体傾斜角を簡易且つ安価に検出する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
高所作業車のようなブーム作業車が路上に停車して作業を行う場合、先ず車体の側方に設けられたジャッキを下方に張り出し、車体をほぼ水平状態に安定支持する作業が行われる。このような作業には、ジャッキ張り出し後に車体が水平状態になっているか否かを検出する装置が必要であるが、このような装置として従来、車体に設けられた水準器が用いられている。この水準器は、垂下された揺動自在な棒部材が、車体の前後軸に対して垂直に設定された基準線と一致するか否かにより車体の水平状態を検出するものであり、簡易な検出装置として知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の水準器では、ジャッキの張り出し後に車体が水平状態になっているか否かを知ることはできるものの、車体の前後軸が水平面に対して何度傾いているかを正確に知ることはできなかった。このため、車体の傾斜角が所定の角度範囲を逸脱している場合にブームの作動を禁止するなどの安全装置を設けることができないなど問題があった。
【0004】
また、このようなブーム作業車では、一般に、ブームの起伏角度(水平面からの起伏角度)を検出する起伏角度センサを備えており、ブームの長さを検出する長さセンサ及びブームの車体に対する旋回角度を検出する旋回センサとともに用いられてブームの姿勢を検出できるようになっているが、これに加えて車体の水平面に対する傾斜角度を検出するセンサを備えることは大きなコストアップに繋がるという問題を生じる。
【0005】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、新たなセンサ類を設けることなく、簡単且つ安価な構成で車体傾斜角を検出することができ、車体の傾斜角に応じて作動する安全装置を組み込むことを可能にしたブーム作業車の車体傾斜角検出装置を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、車体にブームが起伏動等自在に設けられてなり、ブームを車体のほぼ前後方向に延びるように倒伏させて格納する構成のブーム作業車において、車体の前後軸が水平面に対してなす車体傾斜角を検出するブーム作業車の車体傾斜角検出装置であって、ブームの水平面に対する起伏角度を検出する起伏角度検出手段(例えば、実施形態における起伏角度センサ81)と、起伏角度検出手段により検出されたブームの水平面に対する起伏角度から、ブームを格納した状態においてブームが車体の前後軸に対してなす初期角度を差し引いて得られる車体傾斜角を求める演算装置(例えば、実施形態におけるコントローラ60の車体傾斜角算出部63)とを備えて構成される。
【0007】
このように本発明に係る車体傾斜角検出装置においては、ブームの水平面に対する起伏角度を起伏角度検出手段により検出し、このブームの起伏角度から、ブームを格納した状態においてブームが車体の前後軸に対してなす初期角度を差し引いて得られる角度を車体傾斜角として求めるようになっているので、新たなセンサ類を設けることなく、簡易且つ安価な構成で正確な車体傾斜角の値を求めることが可能である(なお、複数のジャッキがいずれも接地していない状態では、求められた車体傾斜角より路面の傾斜角が得られる)。ここで、演算装置により求められた車体傾斜角の値を表示するモニター装置を備えていれば、作業者は、検出された車体傾斜角の値を一目で捉えることができるので作業性が向上する。また、演算装置により求められた車体傾斜角が予め定めた第1の基準角度範囲(例えば−7°〜3°)から逸脱しているときにブームの作動を禁止する規制手段(例えば、実施形態におけるコントローラ60及び制御バルブV1〜V4)が設けられていれば、車体傾斜角が大きい状態でブームを作動させることにより車体が不安定な姿勢になることが防止されるので、安全性が高められる。
【0008】
また、車体に設けられ、下方に張り出して前記車体を持ち上げ支持する複数のジャッキと、これら複数のジャッキが各々接地しているか否かを検出する接地検出手段(例えば、実施形態における接地センサ85)と、接地検出手段により、複数のジャッキのうちいずれかが接地していることが検出されている状態において、演算装置により求められた車体傾斜角が予め定めた第2の基準角度範囲(例えば−3°〜3°)から逸脱しているときに警報を発する警報手段(例えば、実施形態におけるコントローラ60と警報ブザー71、及びコントローラ60と制御バルブV1〜V4)とを備えた構成であることが好ましい。
【0009】
このような構成においては、複数のジャッキのうちいずれかが接地していることが検出されており、求められた車体傾斜角が予め定めた第2の基準角度範囲から逸脱しているときには警報手段により警報が発せられるようになっているので、ジャッキを張り出して行う車体の水平調整が不充分で、車体傾斜角が大きい状態のまま、不用意にブームを張り出して(作動させて)車体を不安定な姿勢にしてしまう事態を防止することができる。このように本発明においては、車体傾斜角の正確な値が求められるので、車体傾斜角に応じた上記警報作動を行う安全装置を組み込むことが可能である。特に、この警報手段が、接地検出手段により、複数のジャッキのうちいずれかが接地していることが検出されている状態において、演算装置により求められた車体傾斜角が上記第2の基準角度範囲から逸脱しているときにブームの格納位置からの作動を禁止する構成であれば、車体傾斜角が大きい姿勢からのブームの張り出し自体が禁止されるようになるので、より高い安全性を確保することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。図1は本発明に係る車体傾斜角検出装置を備えたブーム作業車の一例としての高所作業車を示しており、図2はこの車体傾斜角検出装置の構成を示すブロック図である。図1に示すように、この高所作業車1はタイヤ車輪11を備えて道路走行が走行可能な車体10と、この車体10に設けられた旋回台20に起伏自在に取り付けられたブーム30と、このブーム30の先端部に水平旋回(首振り)自在に取り付けられた作業台40とを有して構成されている。
【0011】
旋回台20は運転席12後方の車台13上に取り付けられており、車体10に内蔵された旋回モータ23を油圧駆動することにより上下軸まわりに旋回させることが可能である。ブーム30は旋回台20の上方に延びて設けられた支柱21の上端部にフートピン22により枢支されており、旋回台20との間に跨設された起伏シリンダ24を油圧駆動することによりブーム30の中心軸を通る上下面内で起伏させることが可能である。また、ブーム30は入れ子式に構成されており、内蔵された伸縮シリンダ31を油圧駆動することにより長手方向に伸縮させることが可能である。
【0012】
ブーム30の先端部には垂直ポスト32が取り付けられており、この垂直ポスト32の周囲を取り囲むように作業台40のブラケット41が取り付けられている。垂直ポスト32は図示しない油圧シリンダにより常時垂直に保持されるようになっており、作業台40の床面は常に水平が保たれる。また、作業台40のブラケット41には首振りモータ42が設けられており、この首振りモータ42を油圧駆動することにより作業台40を垂直ポスト32まわりに首振りさせることが可能である。
【0013】
車体10の前後左右4箇所(左前、右前、左後及び右後)には車体10を安定支持させるためのジャッキ50が設けられている。これら4つのジャッキ50は、車体10の後部に設けられた下部操作装置14より、各ジャッキ50に対応して設けられた4つのジャッキレバー15(図1には図示せず)の操作を行うことにより、各ジャッキ50のピストン部51をシリンダ部52内で上下移動(張出格納)させることができるようになっている。これを図2により説明すると、各ジャッキレバー15の操作信号は車体10内のコントローラ60のジャッキ制御部61に入力され、このジャッキ制御部61は各ジャッキ50に対応する制御バルブVを作動させる。これにより油圧ポンプPより供給される作動油の制御が行われ、各ジャッキ50のピストン部51が車体10の下方に張り出される。また、各ジャッキ50のピストン部51をシリンダ部52内に格納するときも同様である。
【0014】
作業台40に備えられた上部操作装置44にはブーム操作レバー45と首振り操作レバー46(これら両レバー45,46は図1には図示せず)とが設けられている。ブーム操作レバー45はいわゆるジョイスティック型のレバーであり、前後左右方向への傾動操作及び捻り操作により起伏シリンダ24、伸縮シリンダ31及び旋回モータ23の駆動信号をコントローラ60のブーム制御部62に出力する。また、首振り操作レバー46は中立位置から左右方向に傾動操作することが可能なレバーであり、傾動操作により首振りモータ42の駆動信号をコントローラ60のブーム制御部62に出力する。
【0015】
図2に示すように、コントローラ60のブーム制御部62は、ブーム操作レバー45の前後方向への傾動操作による駆動信号に基づいて起伏シリンダ24に対応する制御バルブV1を作動させ、ブーム操作レバー45の左右方向への傾動操作による駆動信号に基づいて伸縮シリンダ31に対応する制御バルブV2を作動させる。またブーム制御部62は、ブーム操作レバー45の捻り操作による駆動信号に基づいて旋回モータ23に対応する制御バルブV3を作動させ、首振り操作レバー46の傾動操作による駆動信号に基づいて首振りモータ42に対応する制御バルブV4を作動させる。これにより油圧ポンプPから起伏シリンダ24、伸縮シリンダ31、旋回モータ23及び首振りモータ42へ供給される作動油の制御が行われ、ブーム30はブーム操作レバー45の操作に応じた起伏、伸縮、旋回動作をし、作業台40は首振り操作レバー46の操作に応じた首振り動作をする。
【0016】
このように作業台40に搭乗した作業者は、作業台40上からブーム操作レバー45と首振り操作レバー46との操作を行うことによりブーム30の起伏、伸縮、旋回操作と作業台40の首振り操作とを行うことができ、自らのレバー操作により所望の位置に移動して作業を行うことが可能である。
【0017】
ここで、コントローラ60のブーム制御部62は、ブーム30の基端部側に設けられてブーム30の水平面に対する起伏角度を検出する起伏角度センサ81と、ブーム30の先端部側に設けられてブーム30の長さを検出する長さセンサ82と、旋回台20の近傍に設けられて旋回台20の旋回角度(すなわちブーム30の旋回角度)を検出する旋回角度センサ83とからの検出情報に基づいて、ブーム30の先端部の位置を車体10中心の座標系における座標値として求め、このブーム30先端部の位置が予め定めた許容移動範囲から逸脱するようなブーム30の動作は禁止する制御を行う。このようなコントローラ60の作業範囲規制制御により、車体10に作用する転倒モーメントが過大になって車体10が転倒するような事態が未然に防止されるようになっている。
【0018】
一方、道路走行を行うときなどブーム30を使用しないときには、図3に示すように、ブーム30は格納状態にされる。このブーム30の格納は、ブーム30を全縮状態にしたうえで前方に倒伏(車体10のほぼ前後方向に延びるように倒伏)させ、車体10上に設けたブーム受け16にブーム30の下面を載置させて行う。また、作業台40は所定量だけ首振りさせて運転席12の上方に位置させる。また、運転席12の上方にはステップ17が設けられており、作業者が車台13及び車台13上の工具箱18を伝って作業台40に搭乗するときの足掛け用として使用される。
【0019】
ブーム受け16には、ブーム30が格納状態にあるか否かを検出し、その検出信号をコントローラ60のブーム制御部62に出力するブーム格納センサ84が設けられている。このブーム格納センサ84はリミットスイッチからなっており、ブーム30が格納状態にあって、ブーム30の下面によりスイッチ部(図示せず)が押圧されているときにオン信号を出力し、ブーム30が格納状態になく、スイッチ部が押圧されていないときにはオフ信号を出力する。コントローラ60のブーム制御部62は、このブーム格納センサ84からの検出信号(オンオフ信号)に基づいて、現在ブーム30が格納状態にあるか否かを判断する。
【0020】
このような構成の高所作業車1を用いて高所作業を行うには、先ず上記のようなブーム30の格納姿勢のまま道路走行を行って作業現場へ移動し、各ジャッキ50を張り出して車体10を安定支持させる。ここで、各ジャッキ50は、車体10がほぼ水平状態になるように各々張出量が調整されるが、傾斜のある路面に車体10を停車させて(このとき車体10の前後軸が路面の傾斜方向に延びるようにする)作業を行うときには特に慎重を要し、車体10が傾いた状態のままブーム30を張り出させることのないように注意する。本発明に係る車体傾斜角検出装置は、このような状況において車体10を確実に水平状態にすることができるようにするための装置であり、以下、その構成について説明する。
【0021】
この高所作業車1に備えられる車体傾斜角検出装置は、前述の起伏角度センサ81と、この起伏角度センサ81からの検出情報に基づいて車体傾斜角、すなわち車体10の前後軸AXが水平面Lに対してなす角度を演算により求める演算装置であるコントローラ60の車体傾斜角算出部63とを有して構成されている。起伏角度センサ81は前述のようにブーム30の水平面Lに対する起伏角度θを検出し、車体傾斜角算出部63は、この起伏角度センサ81により検出されたブーム30の起伏角度θから、ブーム30を格納した状態においてブーム30が車体10の前後軸AXに対してなす初期角度θ0を差し引いて得られる角度を車体傾斜角φとして求める(すなわちφ=θ−θ0)。これらブーム30の起伏角度θ、初期角度θ0及び車体傾斜角φ、車体10の前後軸AX及び水平面Lを図3及び図4に示すが、初期角度θ0は、その車体10の製造時において別の手段により計測され、車体傾斜角算出部63に予め記憶される。
【0022】
また、下部操作装置14(及び上部操作装置44)には、コントローラ60の車体傾斜角算出部63及びブーム制御部62と繋がるモニター装置70が設けられており、このモニター装置70におけるモニター画面(図示せず)には、コントローラ60の車体傾斜角算出部63により求められた車体傾斜角φの値や、起伏角度センサ81,長さセンサ82及び旋回角度センサ83等により得られるブーム30の起伏角度、長さ、旋回角度等の各情報が表示されるようになっている。
【0023】
図3はブーム30が格納状態にあり、且つ4つのジャッキ50がいずれも接地していない状態における高所作業車1を示したものである。このような状態では、路面Dと車体10の前後軸AXとは平行であるので、車体傾斜角算出部63において、演算φ=θ−θ0により求められる車体10の傾斜角φは路面Dの傾斜角αに等しくなる(φ=α)。このようにブーム30が格納状態にあり、且つ4つのジャッキ50がいずれも接地していない状況においては、モニター装置70は、車体傾斜角算出部63において求められた車体傾斜角φの値を路面傾斜角として(「路面傾斜角」)というタイトルを付けて)モニター画面に表示する。
【0024】
なお、ここでブーム30が格納状態にあるか否かの判断は前述のブーム格納センサ84からの検出情報に基づき行われ、また各ジャッキ50が接地しているか否かの判断は、各ジャッキ50のシリンダ部52内に設けられた接地センサ85からの検出情報に基づき行われる。これら接地センサ85は圧力スイッチから構成されており、ジャッキ50のピストン部51が接地し、シリンダ部52内の圧力が上昇して所定値を上回ったときにオン信号を出力するようになっている。
【0025】
ここで作業者は、路面Dの傾斜角α、すなわち車体傾斜角算出部63により求められた車体傾斜角φが予め定めた第1の基準角度範囲(例えば−7°〜3°。負の値は俯角を示す)内にあるときにのみ、ジャッキ50を張り出して車体10を水平にし、ブーム30の作動を行うのであるが、このようにジャッキ50の張出作業前に、今から作業を行おうとする路面Dの傾斜が何度であるかを容易に知ることができるので、作業性が大変良くなる。また、求められた路面Dの傾斜角α(車体傾斜角φが)上記第1の基準角度範囲から逸脱しているときには、コントローラ60は、ブーム30の作動を禁止する規制手段としての作動をするようになっており、これにより、車体傾斜角φが大きい状態でブーム30を作動させることにより車体10が不安定な姿勢になることが防止され、安全性が高められる。このような規制は、コントローラ60が、ブーム制御部62を介してブーム操作レバー45の操作入力に拘わらず制御バルブV1〜V4を作動させない制御を行うか、エンジン(図示せず)の停止制御若しくはPTO(パワーテイクオフ:エンジンの動力をブーム30作動用の油圧ポンプPへ伝える機構)がオンになるのを規制する制御を行い、或いはジャッキ制御部61を介してジャッキレバー15の操作入力に拘わらずジャッキシリンダ53の制御バルブVを作動させない制御(ジャッキ50の張出を禁ずる制御)を行うことなどにより実現できる。
【0026】
路面Dの傾斜角α(車体傾斜角φ)が上記第1の基準角度範囲内にあった場合には、ジャッキレバー15を操作してジャッキ50を張り出させる。そして、図4に示すように、4つのジャッキ50のうちいずれかにより車体10が持ち上げ支持されている状態(このときブーム30は格納状態のまま)になったときには、路面Dと車体10の前後軸AXとは平行ではなくなるので、もはや車体10の傾斜角φと路面Dの傾斜角αとは等しくなく、モニター装置70は、車体傾斜角算出部63において求められた車体傾斜角φの値を車体傾斜角として(「車体傾斜角」というタイトルを付けて)モニター画面に表示する。
【0027】
このため作業者は、モニター画面に表示される車体傾斜角φの値を見ながら車体10を水平にする作業を行うことができるのであるが、本発明に係る車体傾斜角検出装置においては、コントローラ60のジャッキ制御部61は、各接地センサ85により、4つのジャッキ50のうちいずれかが接地していることが検出されている状態(すなわち車体10が持ち上げ支持されている状態)において、車体傾斜角算出部63により求められた車体10の水平面Lからの傾斜角φが予め定めた第2の基準角度範囲、すなわち車体10がほぼ水平状態であると認められる車体傾斜角の範囲から逸脱しているときには、モニター装置70の近傍に設けられた警報ブザー71により警報音を鳴らして作業者に警報を与える構成にようになっている。ここで、上記第2の基準角度範囲としては、例えば−3°〜3°である。
【0028】
更にコントローラ60のブーム制御部62は、上記のように車体傾斜角算出部63により求められた車体傾斜角φが第2の基準角度範囲から逸脱しているときには、ブーム操作レバー45の操作に拘わらず制御バルブV1〜V4を作動させず、ブーム30の格納位置からの作動を禁止するブームインターロック装置としての制御を行う。これにより、車体10がほぼ水平状態になっていないにも拘わらずブーム30を作動させてしまい、車体10が不安定な姿勢になる事態が防止される。
【0029】
このように本発明に係る車体傾斜角検出装置においては、ブーム30の水平面Lに対する起伏角度θを起伏角度センサ81により検出し、このブーム30の起伏角度θから、ブーム30を格納した状態においてブーム30が車体10の前後軸AXに対してなす初期角度θ0を差し引いて得られる角度を車体傾斜角φとして求めるようになっているので、新たなセンサ類を設けることなく、簡易且つ安価な構成で正確な車体傾斜角の値を求めることが可能である(なお、4つのジャッキ50がいずれも接地していない状態では、求められた車体傾斜角φより路面の傾斜角αが得られる)。また、求められた車体傾斜角φの値はモニター装置70によりモニター画面に表示されるようになっており、作業者は、検出された車体傾斜角φの値を一目で捉えることができるので作業性が向上する。ここで、格納時におけるブーム30の倒伏方向が車体10の前後方向(前後軸AX)と正確に一致していない場合には、起伏角度センサ81により検出されるブーム30の起伏角度θに補正を加えて用いるようにしてもよい。また、求められた車体傾斜角φが予め定めた第1の基準角度範囲から逸脱しているときにはブーム30の作動が禁止されるようになっているので、車体傾斜角φが大きい状態でブーム30を作動させることにより車体10が不安定な姿勢になることが防止され、安全性が高められる。
【0030】
また、4つのジャッキ50のうちいずれかが接地していることが検出されており、求められた車体傾斜角φが予め定めた第2の基準角度範囲から逸脱しているときには警報手段(警報ブザー71)により警報が発せられるようになっているので、ジャッキ50を張り出して行う車体10の水平調整が不充分で、車体傾斜角φが大きい状態のまま、不用意にブーム30を張り出して(作動させて)車体10を不安定な姿勢にしてしまう事態を防止することができる。このように本発明においては、車体傾斜角φの正確な値が求められるので、車体傾斜角φに応じた上記警報作動を行う安全装置を組み込むことが可能である。また、上記のように、警報手段が、ブーム30の格納位置からの作動を禁止する構成(ブームインターロック)であれば、車体傾斜角φが大きい姿勢からのブーム30の張り出し自体が禁止されるようになるので、より高い安全性を確保することができる。
【0031】
これまで本発明に係るブーム作業車の車体傾斜角検出装置の実施形態について説明したきたが、本発明の範囲は上述のものに限定されない。例えば、上記実施形態においては、各接地センサ85(接地検出手段)は圧力スイッチから構成されるものであったが、ジャッキ50が接地しているか否かを検出できるものであれば他の構成であっても構わない。同様に、ブーム格納センサ84は上記実施形態ではリミットスイッチであったが、ブーム30が格納位置にあるか否かを検出できる構成であれば他の構成であっても構わない。また、車体10に設けられるジャッキ50の数は、上記実施形態に示した4つに限られない。
【0032】
また、上記実施形態では、路面の傾斜角と車体傾斜角のほか、ブーム30の起伏角度、長さ及び旋回角度がモニター画面に表示される構成になっていたが、モニターに表示されるデータはこれらに限られず、他の情報も表示されるようになっていてもよい。また、これらデータのうちどれを表示させるかを作業者が任意に選択できる構成となっていることが好ましい。
【0033】
また、上記実施形態における本発明の適用対象は高所作業車であったが、これは高所作業車に限られず、ブームが起伏動等自在に設けられてなり、ブームを車体のほぼ前後方向に延びるように倒伏させて格納する構成のブーム作業車一般(例えばクレーン車)に対して適用可能である。ここで、ブームの格納時におけるブームの倒伏方向は、上記実施形態に示したように前方に倒伏する構成のみならず、後方に倒伏する構成であってもよい。
【0034】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係るブーム作業車の車体傾斜角検出装置においては、ブームの水平面に対する起伏角度を起伏角度検出手段により検出し、このブームの起伏角度から、ブームを格納した状態においてブームが車体の前後軸に対してなす初期角度を差し引いて得られる角度を車体傾斜角として求めるようになっているので、新たなセンサ類を設けることなく、簡易且つ安価な構成で正確な車体傾斜角の値を求めることが可能である(なお、複数のジャッキがいずれも接地していない状態では、求められた車体傾斜角より路面の傾斜角が得られる)。ここで、演算装置より求められた車体傾斜角の値を表示するモニター装置を備えていれば、作業者は、検出された車体傾斜角の値を一目で捉えることができるので作業性が向上する。また、演算装置により求められた車体傾斜角が予め定めた第1の基準角度範囲から逸脱しているときにブームの作動を禁止する規制手段が設けられていれば、車体傾斜角が大きい状態でブームを作動させることにより車体が不安定な姿勢になることが防止されるので、安全性が高められる。
【0035】
また、複数のジャッキのうちいずれかが接地していることが検出されており、求められた車体傾斜角が予め定めた第2の基準角度範囲から逸脱しているときには警報手段により警報が発せられるようになっているので、ジャッキを張り出して行う車体の水平調整が不充分で、車体傾斜角が大きい状態のまま、不用意にブームを張り出して(作動させて)車体を不安定な姿勢にしてしまう事態を防止することができる。このように本発明においては、車体傾斜角の正確な値が求められるので、車体傾斜角に応じた上記警報作動を行う安全装置を組み込むことが可能である。特に、この警報手段が、接地検出手段により、複数のジャッキのうちいずれかが接地していることが検出されている状態において、演算装置により求められた車体傾斜角が上記第2の基準角度範囲から逸脱しているときにブームの格納位置からの作動を禁止する構成であれば、車体傾斜角が大きい姿勢からのブームの張り出し自体が禁止されるようになるので、より高い安全性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る車体傾斜角検出装置が備えられた高所作業車の側面図である。
【図2】上記車体傾斜角検出装置の構成を示すブロック図である。
【図3】4つのジャッキがいずれも接地していない状態における上記高所作業車の側面図である。
【図4】ジャッキを張り出して車体を持ち上げ支持している状態における上記高所作業車の側面図である。
【符号の説明】
1 高所作業車(ブーム作業車)
10 車体
30 ブーム
40 作業台
50 ジャッキ
60 コントローラ(規制手段、警報手段)
61 ジャッキ制御部
62 ブーム制御部
63 車体傾斜角算出部(演算装置)
70 モニター装置
71 警報ブザー(警報手段)
81 起伏角度センサ(起伏角度検出手段)
85 接地センサ(接地検出手段)
V1〜V4 制御バルブ(規制手段、警報手段)
Claims (5)
- 車体にブームが起伏動等自在に設けられてなり、前記ブームを前記車体のほぼ前後方向に延びるように倒伏させて格納する構成のブーム作業車において、前記車体の前後軸が水平面に対してなす車体傾斜角を検出するブーム作業車の車体傾斜角検出装置であって、
前記ブームの水平面に対する起伏角度を検出する起伏角度検出手段と、
前記起伏角度検出手段により検出された前記ブームの水平面に対する起伏角度から、前記ブームを前記格納した状態において前記ブームが前記車体の前記前後軸に対してなす初期角度を差し引いて得られる車体傾斜角を求める演算装置とを備えたことを特徴とするブーム作業車の車体傾斜角検出装置。 - 前記演算装置により求められた前記車体傾斜角の値を表示するモニター装置を備えたことを特徴とする請求項1記載のブーム作業車の車体傾斜角検出装置。
- 前記演算装置により求められた前記車体傾斜角が予め定めた第1の基準角度範囲から逸脱しているときに前記ブームの作動を禁止する規制手段を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載のブーム作業車の車体傾斜角検出装置。
- 前記車体に設けられ、下方に張り出して前記車体を持ち上げ支持する複数のジャッキと、
前記複数のジャッキが各々接地しているか否かを検出する接地検出手段と、
前記接地検出手段により、前記複数のジャッキのうちいずれかが接地していることが検出されている状態において、前記演算装置により求められた前記車体傾斜角が予め定めた第2の基準角度範囲から逸脱しているときに警報を発する警報手段とを備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のブーム作業車の車体傾斜角検出装置。 - 前記警報手段が、前記接地検出手段により、前記複数のジャッキのうちいずれかが接地していることが検出されている状態において、前記演算装置により求められた前記車体傾斜角が前記第2の基準角度範囲から逸脱しているときに前記ブームの前記格納位置からの作動を禁止する構成であることを特徴とする請求項4記載のブーム作業車の車体傾斜角検出装置。
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