JP2921011B2 - 高隠蔽性液状組成物 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、修正液や下塗用絵の具などのような高い隠
蔽性を有する塗膜を形成する高隠蔽性液状組成物に関
し、更に詳細には、塗膜の乾燥性及び平滑性に優れた高
隠蔽性液状組成物に関する。

（従来の技術） 高隠蔽性液状組成物は、修正液や下塗用絵の具などの
ように文字や図柄を隠蔽・修正する為に用いるものであ
る。

従来の技術として修正液を一例として説明する。

修正液は、隠蔽材と、水又は有機溶剤と、使用する水
又は有機溶剤に溶解する樹脂などの結合剤とを主成分と
している。隠蔽材としては、酸化チタンのような高い隠
蔽性を示す顔料を用いる。溶剤は、万年筆、水性サイン
ペン等の水性インキの筆跡に対してはトルエン、キシレ
ン、1,1,1−トリクロロエタン、トリクロロエチレン等
を主溶剤として用い、油性ボールペン、油性マーカー等
の油性インキによる筆跡や、タイプライターによる印
字、乾式複写機による複写像などに対しては水を主溶剤
として用いていた。更に近年、筆跡の種類によって溶剤
を使いわけるといった煩雑さを解消するためシクロヘキ
サン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等
のシクロヘキサン系の溶剤を用いている。結合剤は、ト
ルエン、キシレン、1,1,1−トリクロロエタン、トリク
ロロエチレンやシクロヘキサン系の溶剤等を用いた場
合、アクリル樹脂、ビニルアルキルエーテル樹脂、環化
ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体系エラストマー等
が用いられ、水を主溶剤として用いた場合、（メタ）ア
クリル酸エステル系樹脂エマルジョン、スチレン−ブタ
ジエン共重合体系樹脂エマルジョン、エチレン酢酸ビニ
ル樹脂エマルジョンが用いられている。

（発明が解決しようとする課題） 塗膜の乾燥性と、平滑性である。つまり、本発明にか
かる高隠蔽性液状組成物は、使用時、文字・図柄などの
隠蔽・修正を行なうだけでなく、再筆記などを行なう場
合が多く、塗膜の乾燥性と、平滑性に優れていることが
必要である。

しかるに、トルエン、キシレン、1,1,1−トリクロロ
エタン、トリクロロエチレン等を主溶剤として用いたも
のやシクロヘキサン系の溶剤を用いたものは、塗膜の平
滑性に劣り、水を主溶剤として用いたものは塗膜の乾燥
性に劣っており、両方の特性を共に満足するものは得ら
れていない。

（課題を解決するための手段） 本発明は、隠蔽材と、シクロペンタン系有機溶剤と、
アクリル樹脂とより少なくともなる高隠蔽性液状組成物
を要旨するものである。

以下、本発明の組成について説明する。

隠蔽材は、酸化チタンや酸化亜鉛などの隠蔽性の高い
顔料を用いるが、特に、酸化チタンが良好である。酸化
チタンとしては、ルチル型、アナターゼ型などの各種の
酸化チタンが使用でき、市販のものとしては、タイトー
ンSR−１、同Ｒ−650、同Ｒ−3L、同Ａ−110、同Ａ−15
0、同Ｒ−5N（以上、堺化学工業（株）製）、タイペー
クＲ−580,同Ｒ−550,同Ｒ−930、同Ａ−100、同Ａ−22
0、同CR−58（以上、石原産業（株）製）、クロノスKR
−310、同KR−380,同KR−480、同KA−10、同KA−20、同
KA−30（以上、チタン工業（株）製）、タイピュアＲ−
900,同Ｒ−931（以上、デュポン・ジャパン・リミテッ
ド社製）などが挙げられる。その使用量は、液状組成物
全量に対して20〜50重量％が好ましい。更に、隠蔽力を
向上させる為に、シリカ、炭酸カルシウムなどの体質顔
料を併用しても良い。

シクロペンタン系溶剤は、樹脂の溶解、粘土の調整な
どに使用するもので、具体的にはシクロペンタン、メチ
ルシクロペンタン、エチルシクロペンタン等が挙げら
れ、単独又は複数混合して用いても良い。更に他の有機
溶剤、例えば、トルエン、キシレン、1,1,1−トリクロ
ロエタン、トリクロロエチレン等や、ノルマル−ヘキサ
ン、ノルマル−ヘプタン、２−メチルペンタン、３−メ
チルペンタンなどのパラフィンン系溶剤、シクロヘキサ
ン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の
シクロヘキサン系溶剤と併用してもよく、特に、シクロ
ヘキサン系溶剤との併用は、厚塗りにおける塗膜乾燥性
の速さや塗布具の塗布部における耐ドライアップの良好
さの点から好ましい。

その使用量は、液状組成物全量に対して30〜60重量％
が好ましい。

アクリル樹脂は、塗膜を形成するために使用するもの
である。アクリル樹脂は、他の樹脂に比較して、被塗布
面に対する密着性が良好であり、更に塗膜の平滑度も良
好であるという長所がある。アクリル樹脂の使用量は液
状組成物全量に対して５〜20重量％が好ましい。

尚、上記した成分の他に、筆記面と色調を合わせるた
めに着色顔料を、顔料の分散安定性のために分散剤や沈
降防止剤を、塗膜の硬さを調整するために可塑剤を、塗
布性能を更に良好にするためにフロー向上剤やレベリン
グ剤をというように、各種添加剤を適宜添加することが
できる。

本発明の高隠蔽性液状組成物は、上記各成分をボール
ミル、アトライター、サンドグラインダー等の撹拌分散
機を使用して分散混合することによって得られる。

（作用） 本発明に係る高隠蔽性液状組成物に使用しているシク
ロペンタン系溶剤は、樹脂溶液となしても、低沸点・高
蒸気圧であり、かつ、粘性が低レベルであるので、乾燥
性が著しく向上し、更に、良好なレベリング性を有する
ものとなるものである。

（実施例） 以下、本発明の実施例として修正液を用いて例示する
が、実施例に限定されるものではない。

単に「部」とあるのは「重量部」を示す。

実施例１ クロノスKR−380 65部 （チタン工業（株）製、ルチル型チタン） アクリロイドＢ−66 12部 （米国、ローム＆ハース社製、アクリル樹脂） シクロペンタン 65部 （日本ゼオン（株）製） ミズカシルＰ−80 12部 （水沢化学工業（株）製、微細シリカ） ホモゲノールＬ−18 1.2部 （花王石鹸（株）製、分散剤） 上記各成分をボールミルにて24時間分散処理して修正
液を得た。

実施例２ クロノスKR−380 70部 アクリロイドＢ−67 13部 （米国、ローム＆ハース社製、アクリル樹脂） シクロペンタン 80部 メチルシクロヘキサン 20部 ミズカシルＰ−80 12部 MA−100 0.05部 （三菱化成工業（株）製、カーボンブラック） ホモゲノールＬ−18 １部 上記各成分を実施例１と同様になして修正液を得た。

実施例３ クロノスKR−380 70部 アクリロイドＢ−66 10部 シクロペンタン 80部 シクロヘキサン 20部 ジオクチルアジペート ３部 （（株）大八化学工業所製、可塑剤） MA−100 0.05部 ホモゲノールＬ−18 1.5部 上記各成分を実施例１と同様になして修正液を得た。

比較例１ 実施例１におけるシクロペンタンをメチルシクロヘキ
サンに変更した他は、実施例１と同様になして修正液を
得た。

比較例２ 実施例１におけるシクロペンタンをシクロヘキサンに
変更した他は、実施例１と同様になして修正液を得た。

比較例３ 実施例１におけるシクロペンタンを1,1,1−トリクロ
ロエタンに変更した他は、実施例１と同様になして修正
液を得た。

（発明の効果） 以上、実施例１〜３、比較例１〜３で得られた修正液
について、隠蔽率、粘度、塗膜乾燥性、塗膜平滑性の試
験を行なった。結果を表１に示す。

＊1.隠蔽率：上記修正液を隠蔽率測定用紙（JISK5400）
に２ミルのアプリケーターで塗布し、乾燥後、45゜、０
゜拡散反射率を測定し算出した ＊2.粘土:B型粘土計を用いてNo.1ローター、回転数30rp
m（25℃）にて測定した ＊3.塗膜乾燥性：上記修正液を２ミリのアプリケーター
を用いて塗布し、その乾燥時間を測定した ＊4.塗膜平滑性：上記修正液を市販の先端弁型修正液塗
布容器（ぺんてる修正液ZL1−WK、ぺんてる（株）製）
に充填し、上質紙に塗布し目視により表面状態を観察し
た。

◎：極めて平滑 ○：平滑 Δ：やや荒れが有り 以上、詳細に説明したように、本発明の高隠蔽性液状
組成物は、十分な隠蔽性を有していると共に、塗膜乾燥
性及び塗膜平滑性に優れているので、修正液や下塗用絵
の具として実用上優れた品質を有している。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】隠蔽材と、シクロペンタン系有機溶剤と、
   アクリル樹脂とより少なくともなる高隠蔽性液状組成
   物。