JP2918633B2 - ポジ型ホトレジストの洗浄除去用溶剤 - Google Patents

ポジ型ホトレジストの洗浄除去用溶剤

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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、ポジ型ホトレジストの洗浄除去用溶剤及び
それを使用する電子部品製造用基材の製造法に関するも
のである。さらに詳しくいえば、本発明は、特に半導体
素子などの微細加工に使用されるウエハー等の基材上の
ポジ型ホトレジストにおける、基材の縁辺部及び裏面部
の不要のレジスト分を洗浄除去するためのポジ型ホトレ
ジストの洗浄除去用溶剤及びそれを用いてウエハー等の
基材に施されたポジ型ホトレジストの前記縁辺部等にお
ける不要分を洗浄除去して高品質の電子部品製造用基材
を簡単かつ効率的に製造する方法に関するものである。
従来の技術 従来、ウエハー等の基材にスピンナー等によりレジス
トを塗布する方法においては、遠心力によりレジストが
拡散し、第1図に示すように基材中心部は均一な膜厚が
得られるが、基材の周辺部においては中心部に比し厚膜
となったり、また基材の縁辺部や裏面部にもレジストが
付着する。このようなレジストは次工程の熱処理によっ
てもろくなり、基材の搬送中に小鱗片状に剥離し、これ
が装置内のゴミ発生の原因になったり、基材上のレジス
ト表面に付着し、高品質の半導体素子を製造する上で大
きな問題となっている。
そこで、このような問題を解決するために、基材の周
辺部、縁辺部及び裏面部の不要のレジスト分を洗浄除去
する方法が提案されている(例えば特開昭63−69563号
公報)。そして、洗浄除去する溶剤としては従来より種
々の溶剤が用いられている。該溶剤としては、セロソル
ブ、セロソルブアセテート、プロピレングリコールエー
テル、プロピレングリコールアセテート、アセトン、メ
チルエチルケトン、メチルブチルケトン、シクロヘキサ
ンなどのケトン類、乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸メチ
ル、酢酸エチル、酢酸ブチル、あるいはこれらの混合物
などが挙げられる。しかしながら、これらはいずれもエ
ステル化度の高いレジストに対する溶解性が良好でな
く、スピンナーカップ洗浄時に残さが残留したり、析出
物が生じたりすることの原因となる、乾燥性が高い溶剤
を裏面洗浄に使用した場合には基板が冷却されるために
膜厚のバラツキを生じる、乾燥性が低い溶剤を使用した
場合にはウエハー端面の洗浄性が良好でなく、カップ洗
浄後の乾燥性が良好でないために使用しにくいなどの不
利がある。その上、セロソルブ系溶剤は毒性の問題があ
り、また、アセトンやメチルエチルケトンなどは引火点
が低く、作業性が悪いという欠点がある。
発明が解決しようとする課題 本発明は、従来のレジスト洗浄除去用溶剤のもつ欠点
を克服し、レジストの溶解性に優れ、毒性がなく、しか
も溶解性が経時的に安定していて残さや析出物を生じる
ことのない特定ポジ型ホトレジストの洗浄除去用溶剤を
提供することを目的としてなされたものである。
課題を解決するための手段 本発明者らは、前記の好ましい性質を有する特定ポジ
型ホトレジストの洗浄除去用溶剤を開発すべく鋭意研究
を重ねた結果、所定のアルコキシ置換脂肪族カルボン酸
エステルがその目的に適合することを見出し、この知見
に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、一般式(I) R1O(CH2nCOOR2 …(I) (式中のR1及びR2は、それぞれ低級アルキル基であり、
それらは同一であってもよいし、互いに異なっていても
よく、nは2、3又は4である) で表わされる溶剤を含有することを特徴とする、キノン
ジアジド系感光性物質及びアルカリ可溶性樹脂を含むポ
ジ型ホトレジストの洗浄除去用溶剤を提供するものであ
る。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明溶剤においては、上記一般式(I)の溶剤が含
有されていることが必要である。この式(I)の溶剤と
しては、3−メトキシプロピオン酸メチル、4−メトキ
シ酪酸メチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−
エトキシプロピオン酸エチル、4−エトキシ酪酸エチル
などが好ましい。これらは単独で用いてもよいし、また
2種以上を組合せて用いてもよい。
本発明溶剤においては、前記式(I)の溶剤に加えて
他の溶剤を併用することもでき、それによりレジストに
対する溶解能を制御することができる。この併用溶剤と
しては、例えばメチルエチルケトン、メチルプロピルケ
トン、メチルブチルケトンなどのケトン系溶剤、酢酸エ
チル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸アミルなどの酢
酸エステルなどを挙げることができる。
本発明溶剤が適用されるポジ型ホトレジストは、最近
の超微細加工に十分適応しうる諸要求特性を備えた、キ
ノンジアジド系感光性物質とアルカリ可溶性樹脂とを含
む組成物である。
該感光性物質としては、キノンジアジド基含有化合
物、例えばオルトベンゾキノンジアジド、オルトナフト
キノンジアジド、オルトアントラキノンジアジドなどの
キノンジアジド類のスルホン酸とフェノール性水酸基又
はアミノ基を有する化合物とを部分若しくは完全エステ
ル化、又は部分若しくは完全アミド化したものが挙げら
れ、前記のフェノール性水酸基又はアミノ基を有する化
合物としては、例えば2,3,4−トリヒドロキシベンゾフ
ェノン、2,2′,4,4′−テトラヒドロキシベンゾフェノ
ン、2,3,4,4′−テトラヒドロキシベンゾフェノンなど
のポリヒドロキシベンゾフェノン、あるいは没食子酸ア
ルキル、没食子酸アリール、フェノール、p−メトキシ
フェノール、ジメチルフェノール、ヒドロキノン、ビス
フェノールA、ナフトール、ピロカテコール、ピロガロ
ール、ピロガロールモノメチルエーテル、ピロガロール
−1,3−ジメチルエーテル、没食子酸、水酸基を一部残
しエステル化又はエーテル化された没食子酸、アニリ
ン、p−アミノジフェニルアミンなどが挙げられる。そ
して、特に好ましいキノンジアジド基含有化合物は、上
記したポリヒドロキシベンゾフェノンとナフトキノン−
1,2−ジアジド−5−スルホニルクロリド又はナフトキ
ノン−1,2−ジアジド−4−スルホニルクロリドとの完
全エステル化物や部分エステル化物であり、特に平均エ
ステル化度が70%以上のものが好ましい。
また、アルカリ可溶性樹脂は、被膜形成物質として用
いられ、このものとしては、例えばフェノール、クレゾ
ール、キシレノールなどとアルデヒド類とから得られる
ノボラック樹脂、アクリル樹脂、スチレンとアクリル酸
との共重合体、ヒドロキシスチレンの重合体、ポリビニ
ルヒドロキシベンゾエート、ポリビニルヒドロキシベン
ザルなどが有効である。
特に好ましいポジ型ホトレジストは、アルカリ可溶性
樹脂としてクレゾールノボラック樹脂を用いたものであ
り、このクレゾールノボラック樹脂としては、低分子量
域をカットした重量平均分子量が2000〜20000、好まし
くは5000〜15000の範囲のものが好ましい。
前記ポジ型ホトレジストにおいては前記した感光性物
質が、被膜形成物質100重量部に対し、通常10〜40重量
部、好ましくは15〜30重量部の範囲で配合される。この
量が40重量部を超えると感度が著しく劣り、また10重量
部未満では好ましいパターン断面形状が得にくくなる。
また、ポジ型ホトレジストには、必要に応じ、相容性
のある他の染料、例えばクマリン系染料、アゾ染料など
を添加してもよいし、さらに、他の添加物、例えば付加
的樹脂、可塑剤、安定剤あるいは現像して得られるパタ
ーンをより一層可視的にするための着色剤、コントラス
ト向上剤などの慣用されているものを添加含有させるこ
ともできる。
次に、本発明は前記本発明溶剤を利用した電子部品製
造用基材の製造法も包含する。
すなわち、本発明方法は、スピンナーにより、キノン
ジアジド系感光性物質及びアルカリ可溶性樹脂を含むポ
ジ型ホトレジスト形成用被塗布物を基材に塗布し、次い
で、基材の周辺部、縁辺部及び裏面部に付着した不要の
該ポジ型ホトレジスト形成用被塗布物を本発明の洗浄除
去用溶剤であらかじめ除去したのち、乾燥処理すること
によって電子部品製造用基材を形成させることから成
る。
本発明方法をさらに詳述すると、スピンナーはスピン
ヘッド上で回転される回転板を有し、該回転板上にウエ
ハー等の基板を保持してその中心部に上記ポジ型ホトレ
ジスト形成用被塗布物がフィードされる。フィードされ
た被塗布物は回転板の遠心力によって放射方向に拡散塗
布される。このようにして、基材上に塗布された該被塗
布物は、周辺部の膜厚が中央部の膜厚よりも大きく、ま
た基材の縁辺部や裏面にも該被塗布物が回り込んでいる
のが普通である。このような被塗布物の周辺部、縁辺部
及び裏面部に付着した不要なポジ型ホトレジストを、基
材を回転させながら前記した溶剤を供給することにより
除去する。この場合、溶剤の供給手段としては、溶剤供
給ノズルにより、基材の周辺部分に溶剤を滴下又は吹き
付ける方法が用いられる。また、溶剤の供給量は使用す
るポジ型ホトレジストの種類や膜厚などにより適宜変わ
るが、通常は30〜50ml/分の範囲で選ばれる。
これまで、本発明溶剤の利用態様として、基材上の不
要なポジ型ホトレジストの除去について説明してきた
が、本発明溶剤は極めて溶解性に優れるため、スピンナ
ーカップなどに付着して固着したポジ型ホトレジストの
洗浄除去にも有効に利用できる。
発明の効果 本発明のポジ型ホトレジスト洗浄除去用溶剤は、所定
のポジ型ホトレジストの溶解性、特に高エステル化度の
キノンジアジド系感光性物質を含有してなるポジ型ホト
レジストの溶解性に優れ、毒性がなく、しかも溶解性が
経時的に安定していて残さや析出物を生じることがない
という顕著な効果を奏する。さらに、本発明溶剤は前記
式(I)の溶剤とともにケトン系溶剤やエステル系溶剤
を併用することにより、溶解速度や蒸発速度のコントロ
ールが可能となり、装置や基材サイズに適合した溶剤調
製が簡単にできるという利点もある。
また、本発明方法によれば、高品質の電子部品製造用
基材を簡単に効率よく製造することができる。
実施例 次に実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、
本発明はこれらの例によってなんら限定されるものでは
ない。
実施例1〜3、比較例1〜4 3インチシリコンウエハー上に、2,3,4,4′−テトラ
ヒドロキシベンゾフェノン1モルとナフトキノン−1,2
−ジアジド−5−スルホニルクロリド4モルとのエステ
ル化反応生成物(平均エステル化度90%)7.5g及びクレ
ゾールノボラック樹脂30gをエチレングリコールモノエ
チルエーテルアセテート70gに溶解して得られたポジ型
ホトレジスト溶液を、スピンナーにより、乾燥膜厚が10
μmになるように塗布したのち、ホットプレート上で、
120℃で90秒間加熱することによって、表面にレジスト
膜が形成されたシリコンウエハーを7枚調製した。
次いで、第1表に示す各溶剤をビーカーに入れ、上記
7枚のシリコンウエハーをそれぞれの溶剤に浸せきし、
レジスト膜がシリコンウエハー表面から完全に溶解除去
される時間を測定した結果を第1表に示した。
また、上記したポジ型ホトレジスト溶液を6インチシ
リコンウエハー上に、回転塗布装置(東京応化工業社製
TR−6132)を用いて、3000rpm、20秒間で塗布し、膜厚
1.3μmの塗布膜を得た。次いで、回転数を1000rpmに下
げ、同装置のウエハー裏面噴射用洗浄ノズルから、第1
表に示す各溶剤を40ml/minで、2秒間、5秒間及び10秒
間噴射し、それぞれの噴射時間に対するシリコンウエハ
ーのエッジ部レジストの溶解状態について調べた結果を
第1表に示した。なお、エッジ部レジストとはシリコン
ウエハーの周辺部、縁辺部及び裏面部に付着したレジス
トを意味する。
実施例4〜6、比較例5〜8 エステル化反応生成物を2,3,4−トリヒドロキシベン
ゾフェノン1モルとナフトキノン−1,2−ジアジド−5
−スルホニルクロリド1.2モルとのエステル化反応生成
物(平均エステル化度40%)に代えたこと以外は実施例
1と同様にして、溶解時間及び溶解状態について調べた
結果を第2表に示した。
【図面の簡単な説明】
図面は、スピンナーによりレジストをウエハーに塗布し
た際のウエハー周辺付近の状態を示す断面図である。 1……ウエハー、2……レジスト、3……ウエハー周辺
部のレジスト、4……ウエハー縁辺部のレジスト、5…
…ウエハー裏面部のレジスト
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−123444(JP,A) 特開 昭63−69563(JP,A) 特開 昭62−105145(JP,A) 特開 昭62−105137(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G03F 7/42,7/022

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式 R1O(CH2nCOOR2 (式中のR1及びR2は、それぞれ低級アルキル基であり、
    それらは同一であってもよいし、互いに異なっていても
    よく、nは2、3又は4である) で表わされる溶剤を含有することを特徴とする、キノン
    ジアジド系感光性物質及びアルカリ可溶性樹脂を含むポ
    ジ型ホトレジストの洗浄除去用溶剤。
  2. 【請求項2】ケトン系溶剤を含有する請求項1記載の洗
    浄除去用溶剤
  3. 【請求項3】ケトン系溶剤がメチルエチルケトン、メチ
    ルプロピルケトン又はメチルブチルケトンである請求項
    2記載の洗浄除去用溶剤。
  4. 【請求項4】酢酸エステルを含有する請求項1記載の洗
    浄除去用溶剤。
  5. 【請求項5】酢酸エステルが酢酸エチル、酢酸プロピ
    ル、酢酸ブチル又は酢酸アミルである請求項4記載の洗
    浄除去用溶剤。
  6. 【請求項6】スピンナーにより、キノンジアジド系感光
    性物質及びアルカリ可溶性樹脂を含むポジ型ホトレジス
    ト形成用被塗布物を基材に塗布し、次いで、基材の周辺
    部、縁辺部及び裏面部に付着した不要の該ポジ型ホトレ
    ジスト形成用被塗布物を請求項1記載の洗浄除去用溶剤
    であらかじめ除去したのち、乾燥処理することを特徴と
    する電子部品製造用基材の製造方法。
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