JP2918251B2 - 記録材料 - Google Patents

記録材料

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JP2918251B2
JP2918251B2 JP1224950A JP22495089A JP2918251B2 JP 2918251 B2 JP2918251 B2 JP 2918251B2 JP 1224950 A JP1224950 A JP 1224950A JP 22495089 A JP22495089 A JP 22495089A JP 2918251 B2 JP2918251 B2 JP 2918251B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、記録材料に関する。更に詳しくは、優れた
画像(地肌)安定性を持つ記録材料に関するものであ
る。
〔従来の技術〕
通常無色ないし淡色の染料前駆体と接触して該染料前
駆体を発色せしめる顕色剤を用いた記録材料は、感圧記
録紙、感光感圧記録紙、感熱記録紙、通電感熱記録紙、
感熱熱転写紙等として広く用いられ、その技術は公知で
ある。例えば、特開昭58−217389号、特公昭40−9309
号、同49−10856号、同52−1327号では感圧記録紙、特
開昭58−16886号、同58−17432号では感光感圧記録紙、
特開昭48−30944号、特公昭45−14039号では感熱記録
紙、特公昭52−44206号では通電感熱記録紙、特開昭60
−168690号では感熱熱転写紙、等が挙げられる。
これらに例示した記録材料においては、無機固体酸
類、半合成固体酸類、置換フェノール類、p−置換フェ
ノール−ホルムアルデヒド重合体、芳香族カルボン酸金
属塩等が通常無色ないし淡色の染料前駆体と接触して該
染料前駆体を発色せしめる顕色剤として使用されてい
る。
〔発明が解決しようとする課題〕
記録材料の具備すべき条件としては、発色濃度や発色
感度が十分であることは勿論であるが、画像(地肌)安
定性、特に、耐光性、耐水性、耐薬品性に優れているこ
とが必須条件である。上記例示した顕色剤は、それぞれ
の性能で一長一短がある。
例えば、無機固体酸類や半合成固体酸は、低廉なもの
の、保存時に空気中のガスや水分を吸着して、塗工面の
黄変化や発色性の機能低下を招くことになる。又、日光
等の光に曝されると発色した画像の劣化を起こす。置換
フェノールは、発色性に劣り、低い濃度を示す。p−置
換フェノール−ホルムアルデヒド重合体は、発色性では
優れているものの、日光等の光が曝されたり、空気中の
NOxを吸着すると塗工面を黄変化し、発色画像も劣化す
る。芳香族カルボン酸金属塩は、発色性、黄変化、耐光
性に優れているが、耐水性、耐薬品性については改良の
余地がある。
特に、耐薬品性は、記録材料にとって重要な問題であ
る。発色させた記録画像のシートを塩ビフィルム等のフ
ァイルに保存させた時、塩ビフィルム中の可塑剤により
画像劣化(退色)を起こす。又、水性或いは油性インク
の筆記具、朱肉、接着剤、ジアゾ現像液等の事務用品、
ハンドクリーム、乳液等の化粧品に接触した時、塗工面
(白色部分)は発色、所謂カブリ現象を生じ、一方、画
像部分は退色する。
上述したとおり、従来の顕色剤では今だ改良の余地が
あり、新規顕色剤の開発が要望されている。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者らは、鋭意研究を行なった結果、画像(地
肌)安定性の優れた記録材料を提供するものである。即
ち、本発明によって提供される記録材料は、通常無色な
いし淡色の染料前駆体と、該染料前駆体と接触して発色
せしめる顕色剤からなる記録材料において、該顕色剤
が、スチレンモノマーと(メタ)メタアクリル系含燐モ
ノマーから成る共重合体、または、スチレンモノマーと
(メタ)アクリル系含燐モノマー、および、ビニルスル
ホン酸系モノマーと(メタ)アクリル酸系モノマーの少
なくとも1種から成る3元以上の共重合体であることを
特徴とするものである。
更に、該顕色剤は、該共重合体の重合において、スチ
レンモノマー100重量%当たり、(メタ)アクリル系含
燐モノマーが15〜150重量%、好ましくは、20〜125重量
%、さらに好ましくは、25〜100重量%であることを特
徴とするものである。
以下、本発明について、具体的に説明する。
本発明は、スチレンモノマーと(メタ)アクリル系含
燐モノマーを共重合、または、スチレンモノマーと(メ
タ)アクリル系含燐モノマー、および、ビニルスルホン
酸系モノマーと(メタ)アクリル酸系モノマーの少なく
とも1種を3元共重合或いはそれ以上とするものであ
る。
(メタ)アクリル系含燐モノマーとしては、モノ−2
−(メタ)アクリルオキシエチルアシッドホスフェイ
ト、モノ−2−(メタ)アクリルオキシプロピルアシッ
ドホスフェイト、モノ−3−クロロ−2−(メタ)アク
リルオキシエチルアシッドホスフェイト、モノ−3−ク
ロロ−2−(メタ)アクリルオキシプロピルアシッドホ
スフェイト、ビス(メタクリロイルオキシエチレンオキ
シカルボニルペンタメチレン)アシッドホスフェイト等
が挙げられる。
また、ビニルスルホン酸系モノマーとしては、スチレ
ンスルホン酸ナトリウム、スチレンスルホン酸カリウ
ム、スチレンスルホン酸リチウム等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸系モノマーとしては、(メタ)ア
クリル酸又はその誘導体であり、(メタ)アクリル酸、
2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシ
プロピルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタク
リレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、エチ
レングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコー
ルジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタ
クリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレー
ト、2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸、2−メ
タクロイルオキシエチルフタル酸、グリシジルメタクリ
レート等が挙げられる。
本発明の顕色剤は、上述したモノマーを用いて乳化重
合法で合成した高分子ラテックスの形態をとるものであ
る。乳化剤を用いて行なう乳化重合に対して、本発明で
は、乳化剤フリーの乳化重合法からなる。重合反応は、
重合開始剤として過硫酸カリウムを使用する以外は乳化
剤を使用せず行なうもので、ポリスチレンラテックスの
合成が良く知られている。
本発明では、スチレンモノマーに、通常無色ないし淡
色の染料前駆体と接触して発色反応する官能基を持った
少なくとも1種のモノマーを共重合させることで、高分
子ラテックスからなる新規顕色剤を得ることができた。
この新規顕色剤は、基材へ塗工する場合にはフィルム形
成性があるため、耐水性が優れている。又、安定な高分
子ラテックスであるため、光、ガス(NOx)、薬品類等
に対しては優れた耐性を持っている。更に、高分子ラテ
ックス自体の特性として、バインダー性能も備えてい
る。
本発明のスチレンモノマーと(メタ)アクリル系含燐
モノマーとの共重合において、その重合反応の重量比は
スチレンモノマー100重量%当たり、(メタ)アクリル
系含燐モノマーが15〜150重量%、好ましくは20〜125重
量%、さらに好ましくは25〜100重量%である。
本発明の顕色剤の使用量については、記録材料の種類
によって適宜変えられるが、塗工量は、0.2〜10g/m2
好ましくは0.3〜7.5g/m2、さらに好ましくは0.05〜5g/m
2である。塗工量の0.2g/m2未満では、顕色能が得られ
ず、10g/m2を越えると性能上は問題がないものの経済的
に見合わなくなる。
本発明の顕色剤を使用する場合、単独使用でも良い
が、各種記録材料に応じて顔料、バインダー、公知の顕
色剤やその他添加剤を組合せることは何ら限定するもの
ではない。
本発明の顕色剤を用いた記録材料の一例として感圧記
録紙、感熱記録紙を挙げることができる。いずれも、該
染料前駆体は共通のものである。以下に具体的に例示す
ると、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6
−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(p−ジメチル
アミノフェニル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノ
フェニル)−3−(1,2−ジメチルインドール−3−イ
ル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−
3−(2−フェニルインドール−3−イル)フタリド、
3,3−ビス(9−エチルカルバゾール−3−イル)−5
−ジメチルアミノフタリド等のトリアリールメタン系化
合物、4,4′−ビスジメチルアミノベンズヒドリンベン
ジルエーテル、N−ハロフェニル−ロイオーラミン、N
−2,4,5−トリクロロフェニルロイコオーラミン等のジ
メチルメタン系化合物、ローダミンB−アニリノラクタ
ム、3−ジメチルアミノ−7−メトキシフルオラン、3
−ジメチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−ジエチ
ルアミノ−6,8−ジメチルフルオラン、3−ジエチルア
ミノフルオラン、3,7−ジエチルアミノフルオラン、3
−ジエチルアミノ−7−ジベンジルアミノフルオラン、
3−ジエチルアミニ−クロロエチルメチルアミノフルオ
ラン等のキサンテン系化合物、ベンゾイルロイコメチレ
ンブルー、p−ニトロベンジルロイコメチレンブルー等
のチアジン化合物、3−エチル−スピロジナフトピラ
ン、3,3′−ジクロロスピロジナフトピラン、3−プロ
ピル−ジベンゾピラン等のスピロ系化合物が挙げられ
る。
顕色剤については、本発明の顕色剤に公知のものを併
用できる。例えば、感圧記録紙用としては、酸性白土、
活性白土、カオリン、ゼオライト、ベントナイト、アタ
パルガイト等の無機酸性物質、置換フェノール、フェノ
ール−ホルムアルデヒド樹脂、アルキル置換フェノール
−ホルムアルデヒド樹脂、アリール−ホルムアルデヒド
樹脂等のフェノール系顕色剤とその金属塩、安息香酸、
クロル安息香酸、トルイル酸、サリチル酸、5−tert−
ブチルサリチル酸、3,5−ジ−tert−ブチルサリチル
酸、3,5−ジ(α−メイルベンジル)サリチル酸等のサ
リチル酸系顕色剤とその金属塩が挙げられる。又、感熱
記録紙用としては、フェノール、p−tert−ブチルフェ
ノール、p−フェニルフェノール、α−ナフトール、p
−ヒドロキシアセトフェノール、2,2′−ジヒドロキシ
アセトジフェノール、4,4′−イソプロピリデンビス
(2−tert−ブチルフェノール、4,4′−イソプロピリ
デンジフェノール、4,4′−シクロヘキシリデンジフェ
ノール、ノボラック型フェノール樹脂、安息香酸、p−
tert−ブチル安息香酸、p−オキシ安息香酸、p−オキ
シ安息香酸ベンジルエステル、p−オキシ安息香酸メチ
ルエステル、3−ベンジル−4−ヒドロキシ安息香酸、
β−ナフトエ酸、サリチル酸、3−tert−ブチルサリチ
ル酸、3−メチル−5−tert−ブチルサリチル酸、ステ
アリン酸、シュウ酸、マレイン酸等を挙げることができ
る。
これらに例示した顕色剤は、記録紙の用途に限定する
ものでなく、適宜使用が可能である。
記録材料には、顔料、バインダー、その他添加剤が適
宜もちいられる。顔料としては、例えば、硫酸バリウ
ム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、水酸化アルミニウ
ム、沈降性炭酸カルシウム、石膏、アスベスト、クレ
ー、シリカ、微粉ケイ酸、珪藻土、タルク、塩基性炭酸
マグネシウム、アルミナホワイト、グロスホワイト、チ
タン白、亜鉛華、鉛白、塩基性硫酸塩、リトポン、硫化
亜鉛、酸化チタン、酸化アンチモン、バライト、雲母、
黄土、珪酸カルシウム、合成炭酸カルシウム、炭酸マグ
ネシウム等が挙げられる。バインダーとしては、例え
ば、ゼラチン、カゼイン、カルボキシメチルセルロー
ス、カルボキシメチルデンプン、アラビアゴム、ポリビ
ニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル
酸、スチレン−ブタジエン−メタクリル酸ラテックス、
アクリルニトリル−ブタジエン−アクリル酸ラテック
ス、スチレン−無水マレイン酸共重合体等が挙げられ
る。
記録材料の基材としては、紙、合成紙、フィルムが用
いられる。又、塗工方法としては、当業者の間で使用さ
れる方法が用いられ、例えば、エアーナイフコーター、
ロールコーター、サイズプレスコーター、カーテンコー
ター、グラビアコーター、等の方法があり、適宜使い分
けられる。
〔作用〕
本発明の記録材料は、優れた画像安定性を持つもので
ある。その理由は、新規顕色剤が、燐酸、あるいは、燐
酸とスルホン酸および/またはカルボン酸からなる酸性
官能基を持つモノマーを共重合させた高分子ラテックス
であるため外的要因(水、NOxガス、薬品類、光等)に
作用されないということに依るものである。基材上に塗
工された新規顕色剤は、フィルム形成性を持つため容易
に外的要因に攻撃されない。このような理由から、本発
明の新規顕色剤は、従来の顕色剤にみられない作用を持
つと考えられる。
〔実施例〕
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
実施例1 1)顕色剤の合成 撹拌器、還流冷却器、温度計、窒素ガス吹き込み用吹
き込み管のついた四つ口フラスコにオイルバス中に取り
付け、次のモノマー、水、重合開始剤(過硫酸カリウ
ム)をこの順序で仕込み、撹拌しながら窒素ガスの吹き
込みを1時間半行なった。
十分に撹拌して後、撹拌下フラスコ内温度を1時間で
70℃まで加熱した。70℃に達した後、70℃に保持して24
時間反応させた。その後、撹拌速度を徐々に落とし、反
応を終了した。四つ口フラスコは、一旦、空冷し、水冷
して後室温に戻した。得られたラテックスの固形分濃度
は、50重量%であった。
2)感圧記録紙用下用紙の作成 上記の合成で得た顕色剤について、41g/m2の上質紙に
メイヤーバーを用いて単独塗工した。塗工量は、固形分
として2g/m2であった。
ここで得た下用紙について、次のような各種評価試験
を行ない、その結果を表1を掲げた。
なお、比較例1として、市販の感圧記録紙用下用紙
(三菱NCR紙下−40)を用いた。
(a)発色性試験 市販の感圧記録紙用上用紙(三菱NCR紙上−40ブラッ
ク)を下用紙と重ね合わせ、スーパーカレンダーを用い
て10Kg/cm2の圧力で発色させた。24時間後の発色濃度を
光学濃度計(マクベス濃度計RD514)にて測定した。な
お、数値が高いほど発色濃度が大きいことを示してい
る。
(b)耐光性試験 上記(a)で得たものと同じ発色試料を用いて、フェ
ードメーターにてキセノン光を3時間照射した。照射後
の試料の濃度を(a)と同様にして測定した。なお、数
値が高いほど耐光性に優れていることを示す。
(c)耐可塑剤性試験 上記(a)で得たものと同じ発色試料を用いて、塩化
ビニル製(厚さ0.2mm)の袋に入れて24時間、60℃に加
温保存させ、塩化ビニルに含有されている可塑剤に晒さ
せた。加温保存後の試料の濃度を(a)と同様にして測
定した。なお、数値が高いほど耐可塑剤性に優れている
ことを示す。
(d)未発色部(地肌)の耐光性試験 上記(b)同様にキセノン光を3時間照射し、その変
色(黄変化)の程度を光学濃度計で濃度測定した。数値
が高いほど黄変化が進んでいることを示し、低いほど耐
光性があることを示す。
(e)窒素化合物(NOxガス)による耐黄変性 試験未発色の下用紙を150ppmの窒素化合物を密閉した
容器中に入れて30分間放置した後、光学濃度計にて黄変
化の程度を測定した。数値が高いほど黄変化が進んでい
ることを示し、低いほど耐光性があることを示す。
上記の表1の結果から、実施例では、発色させた試料
の耐光性、耐可塑剤性ともに退色はなく、未発色部の耐
光性、窒素化合物による耐黄変性は、未発色部の濃度
(地肌濃度)とほとんど変わりなく耐性があることがわ
かった。
さらに、本発明の顕色剤を用いた下用紙は、それを揉
んだ時に塗工層の剥離がなかった。このことより、顕色
剤自体がバインダー性能を持っているため他のバインダ
ーを必要としないことがわかった。
一方、比較例1では、発色させた試料の耐光性、耐可
塑剤性とも退色していることがわかり、未発色部の耐光
性、窒素化合物による耐黄変性は、未発色部の濃度(地
肌濃度)に比較して高くなり変化していることがわかっ
た。
実施例2〜6及び比較例2〜3 実施例1と同様の方法で、同じモノマーを用いて共重
合させた。モノマーの使用量は、表2に掲げた。但し、
水75重量部、過硫酸カリウム2重量部は、一定とした。
ここで得た顕色剤は、実施例1と同一塗工量を塗工して
同様に評価し、併せて表2に掲げた。結果は、実施例で
は各試験項目とも良好であった。しかし、モノ−3−ク
ロロ−2−メタクリルオキシエチルアシッドホスフェイ
ト(アクリル系含燐モノマーと略す)の量が多くなる
と、発色濃度が高くなるものの未発色部の耐光性、窒素
化合物による耐黄変性にわずかに下がる方向にあった。
又、耐可塑剤性は、発色濃度以上になった。一方、比較
例2では、発色濃度が低かった。これは、アクリル系含
燐モノマーの量が少ないことによるものと思われる。比
較例3では、合成の樹脂で寒天状になってしまった。
実施例7 実施例1と同様の方法で、下記のモノマーを用いて共
重合させて3元共重合体を得た。仕込み順序は番号のと
おりである。
ここで得た顕色剤について、次の配合で塗工液を調整
し、41g/m2の上質紙にメイヤーバーを用いて塗工量3g/m
2(固形分)を塗工した。
ここで得た下用紙について、実施例1と同様の評価方
法で評価を行ない、その結果を表3に掲げた。
顕色剤 60重量部 水酸化アルミニウム 35重量部 ポリビニルアルコール 5重量部 いずれの評価項目とも良好な結果であった。
実施例8 実施例1と同様の方法で、下記のモノマーを用いて共
重合させて3元共重合体を得た。仕込み順序は番号のと
おりである。
ここで得た顕色剤については、次の配合で塗工液を調
整し、41g/m2の上質紙にメイヤーバーを用いて塗工量3g
/m2(固形分)を塗工した。ここで得た下用紙につい
て、実施例1と同様の評価方法で評価を行ない、その結
果を表3に掲げた。
顕色剤 50重量部 炭酸カルシウム 40重量部 ポリビニールアルコール 10重量部 いずれの評価項目とも良好な結果であった。
実施例9 実施例7で重合させた顕色剤を用いて、下記の配合に
よる感熱記録紙用塗工液を調整した。配合中の染料前駆
体(以下、染料と略す)は、予め分散させて使用した。
○染料の分散液 3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフル
オランからなる染料150gをマロンMS−25(大同工業製、
スチレン−無水マレイン酸共重合体のナトリウム塩の25
%水溶液)18gと水332gに分散し、ボールミルを用いて4
8時間粉砕、分散して染料の分散液とした。
○塗工液の配合(固形分) 顕色剤 25重量部 染料分散液 10重量部 炭酸カルシウム 30重量部 ステアリン酸亜鉛 25重量部 ポリビニルアルコール 10重量部 上記で調整した感熱記録紙用塗工液を55g/m2の原子に
メイヤーバーを用いて塗工量6g/m2(固形分)を塗工し
た。塗工後にスーパーカレンダーで処理して感熱記録紙
を得た。ここで得た感熱記録紙について、次の評価試験
を行ない、その結果を表4に掲げた。
(a)発色性試験 感熱ファクシミリ印字試験機(松下電子部品製)を用
いて、印加パルス3.0ミリ秒、印加電圧16.25ボルトの条
件でベタ印字し、得られた発色画像をマクベス濃度計RD
514により測定した。
(b)耐可塑剤性 感熱記録紙の塗工面を塩化ビニル(厚さ0.2mm)のシ
ートを重ねて、300g/m2の加重をかけて40℃の雰囲気下
に15時間保存した後、(a)と同様にして発色部分と未
発色部分の濃度を測定した。未発色部分の濃度の値は、
小さいほど地肌のカブリが少ないことを示す。
比較例4 実施例9で用いた顕色剤の代わりに、2,2−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)プロパンを使用した以外は、実
施例9と同様にして感熱記録紙を得た。実施例9と同様
にして評価を行ない、表4に結果を掲げた。
上記の表4の結果より、実施例9では、発色部分にお
いて、耐可塑剤性の値が発色濃度に比較してほとんど変
わりなかった。又、未発色部分においても、耐可塑剤性
の値が地肌濃度に比較してほとんど変わりなかった。一
方、比較例4では、発色部分において、耐可塑剤性の値
が発色濃度に比較して低く、退色していることがわかっ
た。又、未発色部分においては、耐可塑剤性の値が地肌
濃度に比較して高い値を示し、地肌カブリを起こしてい
ることがわかった。
〔発明の効果〕 本発明の記録材料は、スチレンモノマーと(メタ)ア
クリル系含燐モノマーを重合した共重合体、または、ス
チレンモノマーと(メタ)アクリル系含燐モノマー、お
よび、ビニルスルホン酸系モノマーと(メタ)アクリル
酸系モノマーの少なくのも1種から成る3元以上の共重
合体からなる顕色剤を用いたものである。この新規顕色
剤を用いた記録材料は、画像(地肌)安定性に優れてお
り、顕色剤自体が高分子ラテックスであるため、バイン
ダー性能もあるという特徴を持つことから、本発明の記
録材料は、実用的価値の極めて高いものである。

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】通常無色ないし淡色の染料前駆体と該染料
    前駆体と接触して発色せしめる顕色剤からなる記録材料
    において、顕色剤が、スチレンモノマーと(メタ)アク
    リル系含燐モノマーから成る共重合体、または、スチレ
    ンモノマーと(メタ)アクリル系含燐モノマー、およ
    び、ビニルスルホン酸系モノマーと(メタ)アクリル酸
    系モノマーの少なくとも1種から成る3元以上の共重合
    体であることを特徴とする記録材料。
  2. 【請求項2】顕色剤が、スチレンモノマー100重量%当
    たり、(メタ)アクリル系含燐モノマーが、15〜150重
    量%から成る共重合体である請求項1記載の記録材料。
  3. 【請求項3】顕色剤が、スチレンモノマー100重量%当
    たり、(メタ)アクリル系含燐モノマーが、20〜125重
    量%から成る共重合体である請求項1記載の記録材料。
  4. 【請求項4】顕色剤が、スチレンモノマー100重量%当
    たり、(メタ)アクリル系含燐モノマーが、25〜100重
    量%から成る共重合体である請求項1記載の記録材料。
  5. 【請求項5】(メタ)アクリル系含燐モノマーが、モノ
    −2−(メタ)アクリルオキシエチルアシッドホスフェ
    イト、モノ−2−(メタ)アクリルオキシプロピルアシ
    ッドホスフェイト、モノ−3−クロロ−2−(メタ)ア
    クリルオキシエチルアシッドホスフェイト、モノ−3−
    クロロ−2−(メタ)アクリルオキシプロピルアシッド
    ホスフェイト、ビス(メタクリロイルオキシエチレンオ
    キシカルボニルペンタメチレン)アシッドホスフェイト
    から選ばれたものの1種である請求項1、2、3、若し
    くは4記載の記録材料。
  6. 【請求項6】ビニルスルホン酸系モノマーが、スチレン
    スルホン酸ナトリウム、スチレンスルホン酸カリウム、
    スチレンスルホン酸リチウムから選ばれたものの1種で
    ある請求項1、2、3、4、若しくは5記載の記録材
    料。
  7. 【請求項7】(メタ)アクリル酸系モノマーが、(メ
    タ)アクリル酸又はその誘導体であり、(メタ)アクリ
    ル酸、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒド
    ロキシプロピルメタクリレート、ジメチルアミノエチル
    メタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレー
    ト、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレン
    グリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパン
    トリメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタク
    リレート、2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸、
    2−メタクロイルオキシエチルフタル酸、グリシジルメ
    タクリレートから選ばれたものの1種である請求項1、
    2、3、4、5、若しくは6記載の記録材料。
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