JP2913010B2 - 有機溶媒可溶化リパーゼを用いる糖質−脂肪酸複合体の製造方法 - Google Patents

有機溶媒可溶化リパーゼを用いる糖質−脂肪酸複合体の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、有機溶媒可溶化リパー
ゼを用いる糖質−脂肪酸複合体の製造方法に関し、詳し
くは界面活性剤により有機溶媒に可溶性としたリパーゼ
を、有機溶媒中で糖質と脂肪酸及び/又は油脂の混合物
に作用させることにより糖質−脂肪酸複合体を生成させ
る該糖質−脂肪酸複合体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来の
糖質−脂肪酸複合体の製造法としては、化学合成法が主
として用いられており、例えばグリセリン脂肪酸エステ
ル,シュガーエステル,ソルビタン脂肪酸エステル,プ
ロピレングリコール脂肪酸エステルなどがあるが、何れ
も化学合成品であることから、食品素材として利用する
場合に不利であった。
【0003】最近、欧州のある企業がリパーゼを用いて
グルコース−脂肪酸エステルを生産したことが報告され
ている(Bjorkling, F., Godtfredsen, S.E., and Kir
k, O.(1991)Tibtech 9, 360-363)が、この方法は基質と
してエチルグルコシドを用い、Molten acid を溶媒とし
ているので、食品素材としての利用には不利であると考
えられる。
【0004】そこで、本発明者らは、上記の課題を解決
すべく検討を重ね、水に不溶性で有機溶媒に溶け、有機
溶媒中でも活性を保持しているリパーゼの調製方法を既
に確立した。この方法で得られる有機溶媒可溶化リパー
ゼを用いることにより、どのような糖質と脂肪酸及び/
又は油脂からも糖質−脂肪酸複合体が得られることを見
出し、本発明を完成した。
【0005】
【課題を解決するための手段】すなわち、請求項1記載
の本発明は、界面活性剤で処理して有機溶媒に可溶性と
したリパーゼを、有機溶媒中で糖質と脂肪酸及び/又は
油脂の混合物に作用させることを特徴とする糖質−脂肪
酸複合体の製造方法である。
【0006】有機溶媒可溶化リパーゼの調製には、界面
活性剤のうち、特にジドデシルグルコシルグルタメイト
を用いるが、本原料の成分は糖,高級アルコール及びア
ミノ酸であり、安価で大量に供給することが可能であ
る。
【0007】この界面活性剤を用いて、リパーゼをテト
ラヒドロフランを含む水溶液中で処理することによっ
て、水に不溶性のリパーゼ複合体を調製することができ
る。その1例を次に示す。界面活性剤としてジドデシル
グルコシルグルタメイトを用い、市販のリパーゼ(商品
名:リパーゼP、天野製薬製)の粉末100mgを含む
水溶液2mLと、界面活性剤400mgを含むテトラヒ
ドロフラン溶液4mLを混合し、4℃で16時間激しく
撹拌し、その後、溶液をエバポレーターで除去し、得ら
れた沈澱に水を加えて2回洗浄して、未反応のタンパク
質を除去し、一晩沈澱を凍結乾燥した。得られた界面活
性剤−リパーゼ複合体粉末における活性の回収率は5
1.2%であったが、界面活性剤の添加量を増加させる
ことにより、さらに回収率を高めることができる。該複
合体は、4℃で1カ月以上保存しても失活せず、また有
機溶媒中では極めて安定で2週間以上でも失活しない。
【0008】市販のリパーゼにはこの他、各種の製品が
あり、また界面活性剤にも各種のものがあるが、これら
を組み合わせて生産される有機溶媒可溶化リパーゼは勿
論のこと、同様にして得られる有機溶媒可溶化エステラ
ーゼも本発明に適用できる。さらに、サイクロデキスト
リン合成酵素,α−アミラーゼ,グルコアミラーゼなど
糖質関連酵素も、上記のようにして有機溶媒可溶化酵素
とすることができ、これを用いて、本発明を適用して有
機溶媒中で、糖質間、糖質−アルコール間などで縮合、
合成反応させて各種の糖質や複合糖質等を生産できる。
【0009】リパーゼの活性は、基質として4−メチル
ウンベリフェリルオレイトを用い、蛍光を測定して行っ
た。その結果、リパーゼの活性は12.1 nmol mg-1 m
in-1であった。
【0010】有機溶媒可溶化リパーゼを用いる糖質−脂
肪酸複合体の実際の合成は以下のようにして行った。 反応液組成: グルコース 1mg パルミチン酸 1.4mg 有機溶媒可溶化リパーゼ 10mg (蛋白質含量1.2mg) 全体を1mlのヘキサンに加えて懸濁液とし、37℃で
振盪しながら反応を行い、反応液を経時的に20μL採
取し、エバポレーターで蒸発乾固、100μLのHPL
C用溶媒を加えて溶解し、フィルター(DISMIC-3JP
0.5μm)で濾過し、濾液20μLをHPLCで分析
し、成分を定量した。
【0011】HPLC条件は、カラム:Waters Bondapa
k-C18 、検出装置:東京理化 EYELAPLC-5D (UV210nm
で検出)、溶出:室温、溶媒:アセトニトリル/水=9
3/7、流速:1mL/minであり、本条件下で、パ
ルミチン酸の保持時間は9.4分、グルコース−パルミ
テートは12.1分であり、ピーク面積より生成率を計
算した。本条件では、図1に示したように、12時間程
度で反応はほぼプラトーに達し、90%以上の収率であ
った。なお、図1中の●は有機溶媒可溶化リパーゼを用
いた場合、■は通常のリパーゼ(無処理)を用いた場合
を示している。図2は各種リパーゼを用いた場合の反応
生成物をHPLCで分析した結果を示し、図2(B)は
有機溶媒可溶化リパーゼを用いて24時間反応を行った
場合のHPLCによる成分分析例を示したものである。
反応時間を延長すると、3の成分が増大してくる。ま
た、図2(A)は通常のリパーゼ(無処理)を用いて同
様に反応させた場合の溶出パターンを示したものであ
る。図2中の各ピークの記号は、Sがソルベント、Cが
有機溶媒可溶化リパーゼ、1がパルミチン酸、2が複合
体(グルコース−パルミテート)、3がグルコース−ジ
パルミテートである。
【0012】糖質としては、グルコースの他に、アラビ
ノース,キシロース,フルクトース,ガラクトース,マ
ンノースなどの単糖、マルトース,ショ糖,マルトトリ
オース,パノース,ラクトスクロース,テアンダロース
など各種のオリゴ糖、澱粉,デキストラン,イヌリン,
寒天,グルコマンナンなど各種の多糖がある。また、本
発明では糖質として、グリセリン,エリスリトール,キ
シリトール,ソルビトールなどの糖アルコールも含め
る。また、サイクロデキストリンとしては、α−,β
−,γ−サイクロデキストリン,大環状サイクロデキス
トリンの他、これらに置換基が導入された分岐サイクロ
デキストリンも用いられる。
【0013】次に、脂肪酸としては各種のものがあり、
例えばカプロン酸,カプリル酸,カプリン酸,ラウリン
酸,ミリスチン酸,パルミチン酸,ステアリン酸などの
飽和脂肪酸、オレイン酸,リノール酸,リノレン酸,D
HA,EPAなどの不飽和脂肪酸などがある。これら脂
肪酸の他に、油脂を用いることができ、大豆油,なたね
油,ヒマワリ油,ベニハナ油,コーン油などの植物油や
魚油,鯨油などの動物油が利用できる。この他、例えば
酢酸,クエン酸等の有機酸などのカルボキシル基をもつ
ものであれば、何れでも本発明の方法を適用できる可能
性がある。
【0014】本発明によれば、有機溶媒中で前記有機溶
媒可溶化リパーゼをこれらに作用させることによって、
グルコース−パルミテート、マルトース−パルミテー
ト、スクロース−パルミテート、グルコース−DHAな
ど各種の複合体が生産でき、特に糖質と不飽和脂肪酸と
の複合体は安定性に優れたものになる。
【0015】エリスリトールの場合、脂肪酸はC1位に
結合したものが主として生成し、ソルビトールでもC1
またはC6位に結合した複合体が主として生成する。
【0016】また、グルコースのポリマーを基質とした
場合、マルトース,マルトトリオースまでは、90%以
上の収率でC6位に脂肪酸が1分子当たり1分子結合し
た複合体が得られるが、反応条件を強化すると、僅かな
がら糖質1分子に2分子以上の脂肪酸が結合した成分も
認められた。マルトテトラオースからマルトヘプタオー
スのように糖基質の重合度が増すに従い、糖質1分子に
2分子以上の脂肪酸が結合した複合体の生成量は増加す
る。
【0017】単糖又はオリゴ糖と脂肪酸との複合体は、
反応終了後、清澄な有機溶媒部分を取り出し、温水また
は熱水抽出すれば得られる。また、未反応油脂との分離
は、極性の異なる溶媒系で分別することにより行うこと
が可能である。
【0018】澱粉粒のような多糖でも、同様に反応させ
て、ヘキサンで数回洗浄した後、乾燥して脂肪酸結合多
糖を調製することができる。結合した脂肪酸量を合成条
件の100倍希釈で元のリパーゼP(商品名)を反応さ
せ、遊離した脂肪酸をHPLCで定量して求めた結果、
結合量は5%程度であるが、澱粉の物性変化が期待でき
る。
【0019】工業的な製造法の場合には、基質濃度をさ
らに高め、有機溶媒可溶化リパーゼを固定化して用いる
方法が望ましい。
【0020】また、基質の混合比は通常は1:1分子に
なるように調整すればよいが、脂肪酸又は油脂は有機溶
媒中に溶解するので、大過剰に加えれば、糖質に対する
収率は効果的に増大する。生成する複合体が有機溶媒に
溶解し難い場合は、反応生成物を取り出して、糖質を加
える連続的生産が可能となる。
【0021】通常の反応では複合体主成分が90%以上
を占めるので、精製は容易である。しかし、実用的には
未反応油脂との混合物の状態でも利用できる。また、精
製品は食品以外、例えば医薬,化粧品,化学工業分野等
でも目的に応じて利用できる可能性がある。
【0022】本発明に用いる有機溶媒としては、通常ヘ
キサンが使用されるが、本発明で用いるリパーゼが溶解
するものであれば種類を限定せずに各種の有機溶媒を用
いることができる。水と混合しない溶媒系であれば、生
成物は水と振盪して水層に移すことができるので便利で
あり、酵素を含む溶媒系は繰り返し利用することができ
る。本発明ではヘキサンの他にクロロホルム,ベンゼ
ン,石油エーテル,ヘプタン,オクタン,イソオクタ
ン,酢酸エチル,アセトンなどの有機溶媒の使用も可能
であり、これらの中から2種以上の溶媒を混合して用い
ることもできる。
【0023】
【実施例】次に、本発明を実施例により説明する。な
お、実施例での収率は加えた脂肪酸から換算した値であ
り、脂肪酸又は油脂を大過剰量加えた場合は、何れの場
合でも加えた糖質を100とした時の、糖質−脂肪酸複
合体生成率は90%以上となった。有機溶媒可溶化リパ
ーゼは、前記した方法で調製したものを使用した。 実施例1 グルコース(1mg)、パルミチン酸(1.4mg)、
有機溶媒可溶化リパーゼ(10mg、蛋白質含量1.2
mg)を1mLのオクタンに混合し、37℃で17時
間、振盪反応した後、室温で減圧乾固し、アセトニトリ
ル/水=93/7を5mL加えて溶解し、濾過した後、
HPLCで分析した結果、92%の収率でグルコース−
パルミテートが得られた。
【0024】実施例2 オクタンの代わりに石油エーテルを用いた以外は実施例
1と同様にして90%の収率でグルコース−パルミテー
トが得られた。
【0025】実施例3 オクタンの代わりにヘキサン、グルコースの代わりにガ
ラクトースを用いた以外は実施例1と同様にして91%
の収率でガラクトース−パルミテートが得られた。
【0026】実施例4 ガラクトースの代わりにソルビトール、パルミチン酸の
代わりにステアリン酸を用いた以外は実施例3と同様に
して84%の収率でソルビトール−ステアレートが得ら
れた。
【0027】実施例5 マルトース(2mg)とヘキサンを用いた以外は実施例
1と同様にして87%の収率でマルトース−パルミテー
トが得られた。なお、本生成物を0.01%の濃度に水
に溶かし、未処理リパーゼに作用させると、マルトース
とパルミチン酸がモル等量生成することから、1:1に
結合した複合体であり、NMR分析から1,6結合した
糖質アセテートであることが認められた。
【0028】実施例6 ショ糖を用いた以外は実施例5と同様にして91%の収
率でショ糖−パルミテートが得られた。
【0029】実施例7 マルトテトラオース(4mg)を用いた以外は実施例5
と同様にしてマルトテトラオース−パルミテートを98
%の収率で得た。
【0030】実施例8 マルトヘキサオース(6mg)を用いた以外は実施例5
と同様にしてマルトヘキサオース−パルミテートを97
%の収率で得た。なお、ジパルミテート,トリパルミテ
ートなどを得るには、糖質分子に対して2倍、3倍等の
脂肪酸成分を加え、反応を強化すればよい。
【0031】実施例9 α−CD(5mg)、DHA(1.7mg)、有機溶媒
可溶化リパーゼ(10mg、蛋白質含量1.2mg)を
1mLのヘキサンに混合し、37℃で24時間、振盪反
応した後、室温で減圧乾固し、アセトニトリル/水=9
3/7を5ml加えて溶解し、濾過した後、HPLCで
分析した結果、64%の収率でCD−DHA複合体が得
られた。なお、β−、γ−CDを各々6mg、7mgを
加えた場合でも60%程度の収率であった。
【0032】実施例10 α−CDの代わりにグルコシル−α−CD(4.5m
g)、DHAの代わりにパルミチン酸(1mg)を用い
た以外は実施例9と同様にして96%の収率でグルコシ
ル−α−CD−パルミテートを得た。NMRによる分析
結果ではグルコースの枝部分のC6位にパルミチン酸が
結合した構造の複合体が主成分であった。分岐CDとし
てグルコシル−、マルトシル−β−CD、γ−CDでも
同様の結果が得られた。
【0033】実施例11 グルコースの代わりにトウモロコシ澱粉(20mg)、
オクタンの代わりにヘキサンを用いた以外は実施例1と
同様にして澱粉−パルミチン酸複合体を2%の収率で得
た。なお、収率は本実施例で得られた複合体を水に懸濁
し、未処理リパーゼを反応させ、遊離した脂肪酸の量と
未反応の脂肪酸量から計算して求めた。
【0034】実施例12 トウモロコシ澱粉の代わりに市販「アビセル」セルロー
ス(20mg)を用いた以外は実施例11と同様にして
セルロース−パルミチン酸複合体を5%の収率で得た。
【0035】実施例13 ショ糖(2mg)と大豆油(1.6mg)及び有機溶媒
可溶化リパーゼ(10mg、蛋白質含量1.2mg)を
1mlのヘキサンに混合し、37℃で24時間振盪反応
した後、室温で減圧乾固し、アセトニトリル/水=93
/7を5ml加えて溶解し、濾過した後、HPLCで分
析した結果、各種ショ糖−脂肪酸複合体が得られ、複合
体の構成比はパルミチン酸を含むもの9%、ステアリン
酸を含むもの3%、オレイン酸を含むもの21%、リノ
ール酸を含むもの56%、リノレン酸を含むもの8%で
あった。なお、構成比は大豆油を未処理リパーゼに作用
させて分解して得られる遊離脂肪酸の全体量を100と
した時の各脂肪酸複合体に含まれる量比(%)で表し
た。
【0036】実施例14 大豆油の代わりになたね油(1.6mg)を用いた以外
は実施例13と同様にして構成比でパルミチン酸4%、
ステアリン酸1%、オレイン酸55%、リノール酸22
%、リノレン酸11%を含む組成の複合体が得られた。
【0037】実施例15 大豆油の代わりに市販魚油を用いた以外は実施例13と
同様にしてミリスチン酸7%、パルミチン酸19%、ヘ
キサデセン酸9%、オレイン酸15%、エイコサペンタ
エン酸20%、ドコサペンタエン酸とドコサヘキサエン
酸14%を含む組成の複合体が得られた。
【0038】
【発明の効果】本発明の方法によれば、有機溶媒可溶化
リパーゼを用いることにより糖質に脂肪酸を効率的に結
合して各種の糖質−脂肪酸複合体を生成させることがで
きる。しかも、本発明で生産される複合体は、反応条件
を適切に選択すれば、ほぼ90%以上の収率で1糖質分
子に1分子の脂肪酸が結合した複合体が生産でき、精製
も容易であり、純品を得易いという利点もある。
【0039】さらに、本発明の方法では、有機溶媒中で
反応を行うので、加水分解反応は殆ど起こらず、糖質を
選ばずに極めて効率的に反応が進行する。また、糖質に
限らずアルコール性の水酸基をもつ物質とカルボキシル
基をもつ物質であれば、本発明と同様の反応が起こり、
例えばセルロースとクエン酸のような糖質と有機酸の組
合せ、グルコースとグルタミン酸のような糖質とアミノ
酸の組合せ、糖質と安息香酸、没食子酸などの組合せの
複合体があり、特にセルロースと有機酸の組合せでゲル
用複合体が生産できる。
【0040】一方、遊離脂肪酸のみならず、各種油脂を
用いることもできるので、経済的であり、これら複合体
は、混合した状態でも商品化でき、乳化能があることか
ら、天然の新しい乳化剤としての利用が考えられる。さ
らには、乳化剤としてのみならず、物性変換素材として
各種の食品への利用も可能である。また、糖質基質とし
て、オリゴ糖や多糖を選択することにより、油脂の粉末
化も可能である。
【0041】本発明の方法で不飽和脂肪酸を複合体にし
た場合、酸化に対して安定性を付与することも可能であ
り、安定化して使用範囲を広げることができるので、各
種食品素材と混合して用いることもできる。また、逆に
糖質部分も脂肪酸を付けることにより、α−アミラーゼ
など糖質分解酵素の作用に対して抵抗性を付与すること
も可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 グルコースとパルミチン酸を混合し、ヘキサ
ン中で37℃、撹拌反応させた時の複合体(グルコース
−パルミテート)の収率を表す曲線である。
【図2】 脂肪酸と複合体(グルコース−パルミテー
ト)の高速液体クロマトグラフィーによる分析例を示し
たもので、(A)は通常のリパーゼ(無処理)を用いた
場合を、(B)は有機溶媒可溶化リパーゼを用いた場合
を示す。

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 界面活性剤で処理して有機溶媒に可溶性
    としたリパーゼを、有機溶媒中で糖質と脂肪酸及び/又
    は油脂の混合物に作用させることを特徴とする糖質−脂
    肪酸複合体の製造方法。
  2. 【請求項2】 界面活性剤が、ジドデシルグルコシルグ
    ルタメイトである請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 糖質が、単糖,オリゴ糖,サイクロデキ
    ストリン及び多糖の中から選ばれたものである請求項
    記載の方法
  4. 【請求項4】 脂肪酸が、飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸
    である請求項記載の方法。
  5. 【請求項5】 油脂が、植物油又は動物油である請求項
    記載の方法。
  6. 【請求項6】 ヘキサン,ヘプタン,オクタン,イソオ
    クタン,クロロホルム,酢酸エチル,アセトン,ベンゼ
    ン及び石油エーテルよりなる群から選ばれた少なくとも
    1種の有機溶媒中でリパーゼを混合物に作用させる請求
    記載の方法。
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