JP2901852B2 - 高純度チタニウムスパッタリングターゲット - Google Patents
高純度チタニウムスパッタリングターゲットInfo
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Description
なるスパッタリングターゲットに関するものであり、特
には今後の半導体デバイスに対応して平均結晶粒径及び
/或いは結晶方位のような従来とは異なる結晶特性を備
えた高純度チタニウムからなるスパッタリングターゲッ
トに関するものである。
リングにより各種半導体デバイスの電極、ゲート、配
線、素子、絶縁膜、保護膜等を基板上に形成するための
スパッタリング源となる、通常は円盤状の板である。加
速された粒子がターゲット表面に衝突するとき運動量の
交換によりターゲットを構成する原子が空間に放出され
て対向する基板上に堆積する。スパッタリングターゲッ
トとしては、Al及びAl合金ターゲット、高融点金属
及び合金(W、Mo、Ti、Ta、Zr、Nb等及びW
−Tiのようなその合金)ターゲット、金属シリサイド
(MoSiX 、WSix 、NiSix 等)ターゲット等
が代表的に使用されてきた。
して注目を浴びているものの一つがTi配線、Ti保護
膜等の形成用のTiターゲットである。
チと大型化し、かつ回路配線の幅が0.5μm以下と微
細化するにしたがってスパッタリングによりウエハ上に
形成された薄膜の均一性は、従来の膜厚分布のバラツキ
の標準偏差(σ)が5%以下という規格から、その標準
偏差の3倍値(3σ)が5%以下と、形成された微細配
線の特性を確保する上で要求される規格が厳しくなって
きている。このような背景の中、スパッタ装置、スパッ
タ条件、ターゲット等について膜厚の均一性を改善する
ことを目的として検討がなされているが、特に従来のタ
ーゲット品質では、異なったターゲット間で、また同一
ターゲット使用時においても膜厚分布のバラツキ及びそ
の変動が大きく、膜厚分布に関する上記規格(3σ<5
%)を満足しないことが明らかになっている。
る規格の問題については、従来、主にスパッタ装置、ス
パッタ条件等の面から改善及び検討がなされているだけ
であり、特にターゲット自体の品質については深く考慮
されていなかったのが実情である。一般に、結晶性材料
の表面及び内部の組織及び結晶構造(結晶粒径や結晶配
向性等)がターゲットからのスパッタ原子の放出特性に
大きな影響を与えることが一般に知られている。このこ
とから、Tiターゲットにおいても、その組織及び結晶
構造の差異及び不均一性がスパッタ原子の放出特性及び
その方向指向特性等に大きく影響を及ぼしていると考え
られる。
5, No4, Jul/Aug 1967 の1755〜1768頁に掲載
された、シー・イ−・ウイッカーシャーム・ジュニアに
よる論文「Crystallographic target effects in magne
tron sputtering 」は、スパッタリング薄膜の膜厚均一
性に対する結晶方位の影響について記載している。チタ
ンではなく、アルミニウムターゲットについてはこれま
で多くの研究がなされている。特開昭63−31297
5号は、スパッタリングによりウエハ上に形成されたア
ルミニウム薄膜の膜厚が中央部が厚くそして周辺部が薄
い分布を有していることに鑑み、アルミニウムターゲッ
ト中心部の結晶方位含有比{220}/{200}が外
周部のそれより大きいことを特徴とするアルミニウムス
パッタリングターゲットを記載している。特開平2−1
5167号は、ターゲット表面の面積の50%以上を
(111)結晶面より構成したアルミニウムスパッタリ
ングターゲットを記載する。特開平3−2369号は、
マグネトロンスパッタリングによりアルミニウムターゲ
ットが消耗するにつれ、マグネットの回転に沿ってリン
グ状の溝が表面に形成されると共に原子の放出方向が変
化し、膜厚分布が悪くなることを解決するべく、結晶方
位強度比{100}/{110}をターゲット表面から
内部に入るにつれ小さくすることを提唱している。特開
平3−10709号は、アルミニウムターゲットのスパ
ッタ面の結晶方位含有比{220}/{200}が0.
5以上であることを特徴とするターゲットを記載してい
る。更には、特開平4−2346170号は、2mm以
下の粒度及び〈110〉繊維組織を有するアルミニウム
ターゲットにおいて繊維軸をランダムの20倍以上のX
線回析強度を有するものとするターゲットを記載してい
る。
造の差異及び不均一性について配慮されたことのなかっ
たTiターゲットにおいて、上記標準偏差の3倍値(3
σ)が5%以下という膜厚分布に関する規格の問題を軽
減或いは解決することのできるTiターゲットを開発す
ることである。
解決に向けて、従来のTiターゲットでは考慮されてい
なかった結晶粒径及び結晶配向性の膜厚分布への影響を
検討した結果、(a)各部位の平均結晶粒径を平均化し
たターゲット全体の平均結晶粒径に対する各部位の平均
粒径のバラツキが±20%以内であること、そして更に
は(b)ターゲットのスパッタ面においてX線回折法で
測定され、次の数式
晶方位含有比を平均化したターゲット全体の平均結晶方
位含有比に対してそのバラツキが±20%以内であるよ
うに調整することにより、従来のTiターゲットの品質
では達成することができなかった膜厚分布に均一性の問
題を軽減或いは解決しうることが明らかになった。
ーゲット全体の平均結晶粒径に対する各部位の平均結晶
粒径のバラツキが±20%以内であることを特徴とする
高純度チタニウムスパッタリングターゲット、及び
(2)ターゲットの各部位のスパッタ面においてX線回
折法で測定された前記結晶方位含有比Aが、同ターゲッ
トの全体の平均化した同結晶方位含有比に対して、その
バラツキが±20%以内であることを特徴とする(1)
の高純度チタニウムスパッタリングターゲットを提供す
る。
晶粒径に対する各部位の平均粒径のバラツキを±20%
以下とするのは、バラツキが±20%を超えると、ター
ゲット各部位のスパッタ速度の違いが顕著化し膜厚分布
の不均一性が生じるためである。また、ターゲットの各
部位での平均結晶粒径を500μm以下とするのが好ま
しい。平均結晶粒径が500μmを超えるような粗大結
晶粒では各結晶粒からの原子の放出特性の違いが顕著化
し、膜厚分布の不均一性が生じやすいためである。ター
ゲットの各部位での平均結晶粒径を100μm以下とす
ることが特に好ましい。
法で測定された各部位の前記結晶方位含有比Aがターゲ
ット全体の平均結晶方位含有比に対してそのバラツキが
±20%以内とされる。この理由は、純チタニウムにお
いてターゲットの製造工程の中で塑性加工を鍛造または
圧延等で行なった場合、その加工比の増加にともなって
ターゲットスパッタ面に対して(002)面が±35°
以内の傾きを有する集合組織が形成されるからである。
X線回折法により(002)面が±35°以内の傾きを
有するこのチタニウムの代表的な集合組織の結晶配向性
を評価する場合に、各回折ピークはターゲットスッパタ
面に平行な結晶面に対応したものであることから、表1
に示すように、(002)面から面間角が35°以内で
ある結晶面、すなわち、30°傾いた(103)面、2
4°傾いた(014)面、20°傾いた(015)面の
回折ピークが上記集合組織とともに増大する傾向があ
り、これらの結晶面も(002)面に加えて考慮する必
要があるからである。なお、上記結晶方位含有比の値
は、塑性加工方法及び加工度に強く依存するが、結晶組
織の状態と強い相関関係はなく、上記結晶方位含有比を
保ったまま結晶組織を調整できることから特に規定する
必要はない。しかし、各部位の結晶方位含有比Aがター
ゲット全体の平均結晶方位含有比に対してそのバラツキ
が±20%以内であると規定したのは、ターゲット全体
の平均結晶方位含有比に対する各部位の結晶方位含有比
Aのバラツキが±20%以上では各部位のスパッタ速度
の違いが顕著化し、膜厚分布の不均一性が生じるためで
ある。
下に記述する。測定試料は試料表面の加工変質層を電解
研磨等で化学的に除去した後、X線回折計で各結晶方位
に対応する回折線の強度を測定する。得られた回折線の
強度値は各結晶方位の回折線の相対強度比{JCPDS
Cardを参照}で補正し、その補正強度から結晶方
位含有比を算出する。なお、結晶方位含有比の算出方法
を表1に示す。
として用いる高純度チタニウムは4N以上のチタニウム
を意味するものである。そして、本発明のターゲットの
上記品質の調整は圧延や鍛造等の塑性加工と熱処理を組
み合わせることにより行なうことができるが、具体的な
品質調整の程度はターゲット素材の純度、また鋳造組
織、塑性加工及び熱処理の方法等に強く依存して一般的
に規定できない。しかし、ターゲット素材及び鋳造組
織、塑性加工及び熱処理の方法等が特定されれば、容易
に上記所定の品質を得るための塑性及び熱処理条件を見
いだすことは可能である。
径を平均化したターゲット全体の平均結晶粒径に対する
各部位の平均粒径のバラツキが±20%以内の条件を達
成するためには、チタンインゴットを素材の再結晶温度
以上で熱間加工し、鋳造組織を破壊して結晶粒度を均一
化すると共に、最終的な均一微細な再結晶組織を付与す
るため、再結晶温度未満で所定の最終形状に均一に温間
もしくは冷間加工を行った後、素材の再結晶温度域でタ
ーゲット全体に均一な熱処理を施し、再結晶化を完了さ
せる。ここで、素材の再結晶温度は素材の純度、及び熱
処理前の塑性加工状態に主に依存する。
体の平均結晶方位含有比に対してそのバラツキが±20
%以内の条件を実現するためには、上記加工工程の内、
加工比を0.3以上として均一に温間もしくは冷間加工
を行い、その後、素材の再結晶温度域でターゲット全体
に均一な熱処理を施し、再結晶を完了させることが必要
である。ここで、加工比が0.3未満では、熱処理後の
再結晶組織に対応する均一な結晶方位含有比を実現する
ことができない。
件を実現するためには、上記両方の条件を満たす加工方
法を採用すればよい。
・H0501に記載される切断法により行った。
ムのインゴットを塑性加工及び熱処理により、それぞれ
表2に示す結晶組織及び結晶配向性を有するターゲット
A、ターゲットB及びターゲットCを製造した。ターゲ
ットの形状は直径約320mm、厚み約6mmの平板状
スパッタリングターゲットであった。ターゲットA、B
及びCの製造方法は次の通りであった。 (A)ターゲットA:高純度チタニウムのインゴットを
750℃で熱間加工し、その後、400℃で加工比を
1.5として温間加工を行い、600℃で1時間ターゲ
ット全体に均一な熱処理を施した。完全な再結晶組織で
はなく、加工組織が残存した。 (B)ターゲットB:高純度チタニウムのインゴットを
750℃で熱間加工し、その後、400℃で加工比を
2.0として温間加工を行い、均熱温度分布が狭い熱処
理炉を使用して600℃で1時間熱処理を施した。完全
な再結晶組織ではなく、加工組織が残存した。 (C)ターゲットC:高純度チタニウムのインゴットを
750℃で熱間加工し、その後、400℃で鍛造材の片
側半分を加工比1.8として、また残り半分を加工比
0.8として温間加工を行い、600℃で1時間ターゲ
ット全体に均一な熱処理を施した。完全な再結晶組織で
はなく、加工組織が残存した。
に取付けて8”ウエハ基板上に成膜した。なお、膜厚分
布は四端子法によりウエハ上121点のシート抵抗値測
定結果から換算した。表3は各ターゲットについてのス
パッタ膜の膜厚分布の標準偏差(σ)示す。表3に示す
ように、結晶方位含有比Aが均一であるターゲットA及
びBの内、平均結晶粒径が約110μmでターゲット全
体に結晶粒径が均一なターゲットAが、平均結晶粒径が
約80μmと小さいがターゲット外周と中心で結晶粒径
が異なるターゲットBより優れた膜厚均一性を示し、ま
たターゲットの左右で結晶方位含有比A及び結晶粒径が
異なるターゲットCは大きな膜厚不均一性を示した。
であるが、結晶方位含有比のバラツキが最大5%のター
ゲットと18%以上のターゲットを比較すると、前者の
方が膜厚分布は良好であった。
いて、ターゲット間及び同一ターゲット使用時において
も膜厚分布のバラツキ及びその変動が少なく、安定して
優れた膜厚分布均一性を示す。これにより、ウエハ上に
形成されたLSI等の回路の不良率が改善される。
Claims (2)
- 【請求項1】 ターゲット全体の平均結晶粒径に対する
各部位の平均結晶粒径のバラツキが±20%以内である
ことを特徴とする高純度チタニウムスパッタリングター
ゲット。 - 【請求項2】 ターゲットの各部位のスパッタ面におい
てX線回折法で測定され、下記の数式により算出した結
晶方位含有比Aが、同ターゲットの全体の平均化した同
結晶方位含有比に対して、そのバラツキが±20%以内
であることを特徴とする請求項1の高純度チタニウムス
パッタリングターゲット。 【数1】
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-
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