JPH0925565A - 高純度チタニウムスパッタリングターゲット及びその製造方法 - Google Patents

高純度チタニウムスパッタリングターゲット及びその製造方法

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JPH0925565A
JPH0925565A JP19262095A JP19262095A JPH0925565A JP H0925565 A JPH0925565 A JP H0925565A JP 19262095 A JP19262095 A JP 19262095A JP 19262095 A JP19262095 A JP 19262095A JP H0925565 A JPH0925565 A JP H0925565A
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JP
Japan
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target
sputtering
crystal orientation
purity titanium
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JP19262095A
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English (en)
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Hideaki Fukuyo
秀秋 福世
Gakuo Okabe
岳夫 岡部
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Eneos Corp
Original Assignee
Japan Energy Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 成膜速度が大きく、ボトムカバレッジ特性が
良く、膜厚分布も良好でパーティクル発生数も少ない高
純度チタニウムターゲットの開発。 【構成】 スパッタ面において最稠密原子列方向である
(002)面と垂直な面の配向を高くし、スパッタ面と
垂直な方向に粒子が飛び出し易くする。(010)、
(110)、(200)、(201)及び(211)面
の回折ピークの強度に基づく結晶方位含有比が70%以
上であることを基本とし、(b)各部位での前記結晶方
位含有比のターゲット全体に対するバラツキが±20%
以内、(c)ターゲットの結晶組織が再結晶組織、
(d)ターゲットの各部位での平均結晶粒径が60μm
以下であることを単独乃至1つ以上組み合わせて採用す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高純度チタニウムから
なるスパッタリングターゲット及びその製造方法に関す
るものであり、特にはコリメーションスパッタ法と関連
して特にステップカバレッジ特性を改善し、同時に成膜
速度の問題を軽減あるいは解決するため従来とは異なる
結晶方位を備えた高純度チタニウムスパッタリングター
ゲットおよびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】スパッタリングターゲットは、スパッタ
リングにより各種半導体デバイスの電極、ゲート、配
線、素子、絶縁膜、保護膜等を基板上に形成するための
スパッタリング源となる、通常は円盤状の板である。加
速された粒子がターゲット表面に衝突するとき運動量の
交換によりターゲットを構成する原子が空間に放出され
て対向する基板上に堆積する。スパッタリングターゲッ
トとしては、Al及びAl合金ターゲット、高融点金属
及び合金(W、Mo、Ti、Ta、Zr、Nb等及びW
−Tiのようなその合金)ターゲット、金属シリサイド
(MoSiX 、WSix 、NiSix 等)ターゲット等
が代表的に使用されてきた。
【0003】こうしたターゲットの中でも重要なものと
して注目を浴びているものの一つがTiターゲットであ
る。VLSI製造におけるスパッタリング用Tiターゲ
ットの主な用途は、コンタクトホールやビアホールとい
った開口部の下地膜、拡散バリヤ層としてのTiN膜、
基板のSiと反応させてシリサイド化させるTiSi膜
の製造等である。
【0004】近年のVLSIのトレンドとしては、ウエ
ハーの大口径化、デバイスの立体化及び配線幅の縮小が
挙げられる。ウエハーの大口径化に伴ってはウエハー上
での膜厚均一性が、デバイスの立体化に伴ってはステッ
プカバレッジ(段差被覆性)が、そして配線幅の縮小に
伴っては発生パーティクルの低減がそれぞれ重要な課題
となってきている。
【0005】特にデバイスの立体化ならびに配線幅の縮
小に関しては、回路配線の幅が0.5μm以下と微細化
するに従って、スルーホール及びコンタクトホールのア
スペクト比が2以上と大きくなってきている。従って、
ステップカバレッジ特性の改善が大きな要求となってい
る。これらホールへの下地TiまたはTiNの埋め込み
技術としては、コリメーションスパッタ法が注目されて
いる。コリメーションスパッタ法とは、ターゲットと基
板との間にコリメータを介在させた状態でスパッタを行
う方法であり、スパッタされた原子のうち基板に垂直な
方向のもののみがコリメータを通して基板に達するよう
にしたものである。コリメーションスパッタ法の特徴と
して、従来からの通常のスパッタではホールのアスペク
ト比が2以上ではボトムカバレッジ率が10%未満であ
るのに対し、コリメーションスパッタ法を用いることに
よりプロセス上要求されるボトムカバレッジ率10%以
上の要件を達成できることがあるが、成膜速度が従来の
スパッタ法と比較して1/5に落ちるという問題があ
る。
【0006】上記のようなステップカバレッジ特性およ
びコリメーションスパッタ法における成膜速度の問題に
ついては、従来、主にスパッタ装置、スパッタ条件等の
面から改善検討がなされてきた。一般に結晶性材料の表
面及び内部の組織及び結晶構造(結晶粒径や結晶配向性
等)がターゲットからのスパッタ原子の放出特性に大き
な影響を与えることが一般に知られている。例えば、J.
Vac. Sci. Technol AVol 15,No. 4 Jul/Aug 1
967の1755〜1768頁に掲載された、シー・イ
ー・ウイッカーシャーム・ジュニアによる論文「Crysta
llographic target effects in magnetron sputtering
」は、スパッタリングの薄膜の膜厚均一性に対する結
晶方位の影響について記載している。このことから、T
iターゲットにおいても、その組織及び結晶構造の差異
及び不均一性がスパッタ原子の放出特性及びその方向指
向性等に大きく影響を及ぼしていると考えられる。
【0007】一方、膜厚均一性と共に、成膜中に発生す
るパーティクルが回路断線及び短絡の原因として大きく
問題視されており、回路配線幅の微細化に伴っていかに
パーティクルの発生を抑えるかがLSI製造歩留を高め
る上で成膜プロセスのキーファクターとなっている。特
に、近年、Tiターゲットの窒素雰囲気下でのリアクテ
ィブスパッタリングにより成膜するTiNがバリア層と
して広く用いられ始めているが、TiN堆積層膜は膜応
力が高く且つ脆いために、ウエハー以外のスパッタチャ
ンバー内に連続的に厚く堆積したTiN膜は剥離しやす
く、パーティクルの主発生源となっている。このような
リアクティブスパッタリングプロセスにおけるパーティ
クル発生源の一つとして、Tiターゲットの外周部或い
は中心部等のスパッタリングによるエロージョンが比較
的浅い若しくはエロジョンされない領域に層状または島
状にに堆積するTiN層があり、これらのTiN層から
のパーティクルの発生を抑えるためスパッタ装置、スパ
ッタ条件等について改善及び検討がなされている。
【0008】本件出願人は、先に、膜厚分布規格、パー
ティクル問題及びコリメーションスパッタ法における成
膜速度の問題を解決しうるTiターゲットの開発を目的
として、Tiターゲットの最稠密面である(002)面
並びにその±35度以内の面に注目して、(a)スパッ
タ面においてX線回折法で測定され、所定の定義された
数式により算出したターゲットの各部位での(00
2)、(103)、(014)、(015)面と関連し
ての回折強度のピークに基づく結晶方位含有比が80%
以下、特に50%以下を基本とし、(b)各部位での前
記結晶方位含有比のターゲット全体の平均化結晶方位含
有比に対するバラツキが±20%以内であること、
(C)スパッタ面においてX線回折法で測定され、定義
された数式により算出したターゲット各部位での(00
2)面と関連しての結晶方位含有比Bが20%以下であ
ること、(d)結晶組織が再結晶組織であること、
(e)ターゲット各部位での平均結晶粒径が500μm
以下、好ましくは100μm以下でそのターゲット全体
の平均結晶粒径に対するバラツキが±20%以内である
ことの要件を単独で或いは組合せて採用することを提唱
した(特開平7−90564号、他特開平7−9056
0〜90563号)。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
提案は有益な改善をなしたとはいえ、ステップカバレッ
ジ特性を改善し、同時に成膜速度の問題を一層軽減ある
いは解決することがまだなお要望されている。併せて、
膜厚分布を改善し、パーティクル問題を一層低減するこ
とも重要である。本発明の課題は、Tiターゲットにお
いて、ステップカバレッジ特性を改善し、同時に成膜速
度の問題を軽減あるいは解決することができ、併せて、
良好な膜厚分を達成できそしてパーティクル問題を低減
することのできるTiターゲットを開発することであ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者は、この課題の
解決に向けて、従来のTiターゲットでは考慮されてい
なかった結晶配向性、更には結晶組織及び結晶粒径のス
テップカバレッジ特性及び成膜速度並びにパーティクル
問題への影響を検討した。一般にスパッタ原子は最稠密
原子列方向に飛び出す確率が大きいことが報告されてい
る。Tiターゲットの最稠密面は(002)面であり、
スパッタ面が(002)面に配向していればスパッタ粒
子は幅広い方向に飛び出し易く、逆に(002)面と垂
直な面の配向が高ければ、スパッタ面と垂直な方向に粒
子が飛び出し易いとの考察に基づいて、特開平7−90
564号の考えとは逆に、(002)及び関連する面の
スパッタ面での配向を抑えるのではなく、(002)面
と垂直な面もしくは垂直に近い面をもっと積極的に且つ
定量的にスパッタ面とする考え方に切り替え、(00
2)面と垂直な面もしくは垂直に近い面として、(01
0)、(110)、(200)、(201)及び(21
1)面を選定し、スパッタ面においてそれらの配向を強
くすることを想到した。こうすることにより、スパッタ
原子がスパッタ面に垂直に飛び出し易くなり、その結果
として、スパッタ時の成膜速度が大きくなり、かつ、ボ
トムカバレッジ率が改善することを見いだした。従っ
て、X線回折法で測定された(010)、(110)、
(200)、(201)及び(211)面の回折ピーク
の強度とそれらの相対強度を勘案した次の所定の数式
【0011】
【数4】
【0012】に基づいて算出されたターゲットの各部位
での結晶方位含有比が70%以上であることを基本と
し、加えて、(b)各部位での前記結晶方位含有比のタ
ーゲットの全体を平均化した同結晶方位含有比に対する
バラツキが±20%以内であること、(c)ターゲット
の結晶組織が再結晶組織であること、(d)ターゲット
の各部位での平均結晶粒径が60μm以下であることを
単独であるいは1つ以上組み合わせて採用することによ
り、従来のTiターゲットの品質では達成することがで
きなかった前記問題を解決し得ることが判明した。ま
た、その製造方法として、チタンを一方向圧延すること
により結晶の配向性を制御し、その圧延方向に垂直な面
をスパッタ面とするのが好都合であること、チタンを一
方向圧延することにより結晶の配向性を制御し、その圧
延方向に垂直な面をスパッタ面とするようなピースを作
製し、該ピースを放射状またはストライプ状に組み合わ
せてモザイクターゲットとするのが便宜であることが見
いだされた。
【0013】この知見に基づいて、本発明は、(1)タ
ーゲットのスパッタ面においてX線回折法で測定され、
上記の数式に基づいて算出されたターゲットの各部位で
の結晶方位含有比が70%以上であることを特徴とする
高純度チタニウムスパッタリングターゲット、(2)各
部位での前記結晶方位含有比の同ターゲットの全体を平
均化した同結晶方位含有比に対してのバラツキが±20
%以内であることを特徴とする上記1に記載の高純度チ
タニウムスパッタリングターゲット、(3)ターゲット
の結晶組織が再結晶組織であることを特徴とする上記1
または2に記載の高純度チタニウムスパッタリングター
ゲット、(4)ターゲットの各部位での平均結晶粒径が
60μm以下であることを特徴とする上記1〜3のいず
れかに記載の高純度チタニウムスパッタリングターゲッ
ト、(5)ターゲットがターゲットピースを放射状また
はストライプ状に組み合わせたモザイク状である上記1
〜4のいずれかに記載のチタニウムスパッタリングター
ゲット、及び(6)ターゲットがコリメーションスパッ
タ用である上記1〜5のいずれかに記載のチタニウムス
パッタリングターゲットを提供し、さらに、こうしたタ
ーゲットの製造方法として、(7)チタンを一方向圧延
することにより結晶の配向性を制御し、その圧延方向に
垂直な面をスパッタ面としたことを特徴とする、ターゲ
ットのスパッタ面においてX線回折法で測定され、上記
の数式に基づいて算出されたターゲットの各部位での結
晶方位含有比が70%以上であるような高純度チタニウ
ムスパッタリングターゲットの製造方法、(8)チタン
を一方向圧延することにより結晶の配向性を制御し、そ
の圧延方向に垂直な面をスパッタ面とするようなピース
を作製し、該ピースを放射状またはストライプ状に組み
合わせてモザイクターゲットとしたことを特徴とする、
ターゲットのスパッタ面においてX線回折法で測定さ
れ、上記の数式に基づいて算出されたターゲットの各部
位での結晶方位含有比が70%以上であるような高純度
チタニウムスパッタリングターゲットの製造方法、及び
(9)一方向圧延を行う際に元材厚みの50%以下まで
圧延することを特徴とする、上記7または8のいずれか
1つに記載の高純度チタニウムスパッタリングターゲッ
トの製造方法を提供するものである。
【0014】
【作用】一般に、スパッタ原子は最稠密原子列方向に飛
び出す確率が大きい。Tiターゲットの最稠密面は(0
02)面であり、スパッタ面が(002)面に配向して
いれば、スパッタ粒子は幅広い方向に飛び出し易く、逆
に(002)面の配向が低ければ、言い替えると、(0
02)面と垂直な面の配向が高ければ、スパッタ面と垂
直な方向に粒子が飛び出し易い。(002)面と垂直な
面もしくは垂直に近い垂直面から±25度以内の面とし
て、(010)、(110)、(200)、(201)
及び(211)面を選定し、スパッタ面においてそれら
の配向を強くすることにより、スパッタ原子がスパッタ
面に垂直に飛び出し易くなる。その結果として、スパッ
タ時の成膜速度が大きくなり、かつ、ボトムカバレッジ
率が改善する。純チタニウムにおいてターゲットの製造
工程の中で塑性加工を圧延で行った場合、圧延率の増加
に伴って、圧延面に対して±30°以内の範囲に45%
以上の(002)面の集合組織が形成される。一方、圧
延面に垂直な面には(002)面とは垂直な面が強く配
向する。従って圧延面に垂直な面をスパッタ面とするよ
うにターゲットを作製すれば、スパッタ原子がスパッタ
面に垂直に飛び出し易くなる。
【0015】
【発明の具体的な説明】純チタニウムにおいてターゲッ
トの製造工程の中で塑性加工を鍛造または圧延等で行な
った場合、その加工比の増加にともなって、ターゲット
スパッタ面に対して(002)面が±35°以内の傾き
を有する集合組織が形成される。スパッタ面が(00
2)面に配向していればスパッタ粒子は幅広い方向に飛
び出し易くそして(002)面と垂直な面の配向が高け
れば、スパッタ面と垂直な方向に粒子が飛び出し易い。
X線回折法により(002)面に垂直な面の結晶配向性
を評価する場合、各回折ピークはターゲットスッパタ面
に平行な結晶面に対応したものであることから、表1に
示すように、(002)面に垂直な面、すなわち(01
0)、(110)及び(200)面のみならず、垂直面
から25度以内の面、すなわち(201)及び(21
1)面を考慮する必要がある。こうした考慮に基づい
て、本発明においては、結晶方位含有比が定義される。
その測定方法については、測定試料は試料表面の加工変
質層を電解研磨等で化学的に除去した後、X線回折計で
各結晶方位に対応する回折線の強度を測定する。得られ
た回折線の強度値は表1に示すように各結晶方位の回折
線の相対強度比{JCPDS Cardを参照}で補正
し、その補正強度から全体強度に対する(010)、
(110)、(200)、(201)及び(211)面
の回折ピークの強度補正強度の和として結晶方位含有比
を前記数式4に基づいて算出する。
【0016】
【表1】
【0017】本発明のスパッタリングターゲットの素材
として用いる高純度チタニウムは、4N以上の純度をも
つチタニウムを意味するものである。
【0018】本発明に従えば、ターゲットのスパッタ面
においてX線回折法で測定されそして前記数式5に基づ
いて算出した各部位の結晶方位含有比が70%以上と規
定される。ターゲット全体の平均結晶方位含有比に対し
てそのバラツキが±20%以内であることが好ましい。
ここで、各部位の結晶方位含有比を70%以上と規定し
たのは、ターゲット面が(002)面に垂直もしくは垂
直に近い面、(010)、(110)、(200)、
(201)及び(211)面に強く結晶配向した場合、
スパッタ原子がスパッタ面に垂直に飛び出し易くなる。
この目的のためには、各部位の上記結晶方位含有比が7
0%以上必要である。結果として、スパッタ時、特にコ
リメーションスパッタ時にコリメーターに捕獲されるス
パッタ原子は減少し、コリメーターを通過するスパッタ
原子は増加することから成膜速度は増加し、かつホール
のボトムカバレッジ率が改善される。
【0019】ターゲットエロージョン面を構成する各結
晶粒面はこれら(002)面に垂直な面である割合が強
くなり、最稠密原子面である(002)面内に最稠密原
子列方向があることから、スパッタ原子はエロージョン
面に垂直に飛び出す確率が高くなる。これは、結果とし
て、ターゲットエロージョン面のミクロ凹凸に対応した
斜面に捕獲されるスパッタ原子の数は(002)面に垂
直な面の結晶配向性が大きくなる程低くなることを意味
しており、ターゲット外周部及び中心部に層状または島
状に堆積する例えばTiN層が減少し、これはパーティ
クルの低減化につながる。
【0020】各部位の結晶方位含有比の、ターゲット全
体の平均結晶方位含有比に対するバラツキが±20%以
内であると規定したのは膜厚分布の均一性を狙ったもの
である。
【0021】ターゲット結晶組織が再結晶組織であるこ
とが好ましい。ターゲット結晶組織を再結晶組織と規定
したのは、結晶組織の熱的な安定性を狙ったもので、加
工組織のままではスパッタリング時のターゲットの温度
上昇のため、ターゲット結晶組織の回復または部分再結
晶化等が起こり、ターゲット結晶組織の変質に伴う経時
的な膜厚分布の変動が起こるためである。
【0022】また、ターゲットの各部位での平均結晶粒
径を60μm以下とすることが望ましい。これは、粗大
結晶粒では各結晶粒からの原子の放出特性の違いが顕著
化し、膜厚分布の不均一性が生じるためである。特には
ターゲットの各部位での平均結晶粒径を60μm以下と
することにより、不均一性が排除される。
【0023】また、一般にターゲットのエロージョン面
のミクロモホロジーはターゲットの結晶組織に対応した
結晶粒から構成され、結晶粒径が大きくなる程エロージ
ョン面のミクロ的な凹凸は大きくなる。このことは、タ
ーゲットエロージョン面に平行にスパッタされた原子が
この凹凸に対応した斜面に捕獲される確率は結晶粒径が
大きくなる程高くなることを意味しており、結果とし
て、ターゲット外周部及び中心部に層状または島状に堆
積するTiN層が増大する。従って、これもまたパーテ
ィクルの低減化につながる。
【0024】また、ターゲット全体の平均結晶粒径に対
する各部位の平均粒径のバラツキを少なくする、例えば
±20%以下とするのがよい。バラツキが小さいほど、
ターゲット各部位のスパッタ速度が均一化し、膜厚分布
が良好となる。
【0025】本発明のターゲットの上記品質の調整は圧
延や鍛造等の塑性加工と熱処理を組み合わせることによ
り行なうことができるが、具体的な品質調整の程度はタ
ーゲット素材の純度、また鋳造組織、塑性加工及び熱処
理の方法等に強く依存して一般的に規定できない。しか
し、ターゲット素材及び鋳造組織、塑性加工及び熱処理
の方法等が特定されれば、容易に上記所定の品質を得る
ための塑性及び熱処理条件を見いだすことは可能であ
る。
【0026】各部位での結晶方位含有比のターゲット全
体の平均化した同結晶方位含有比に対してのバラツキが
±20%以内の条件を実現するためには、上記加工工程
の内、加工比を0.3以上として均一に温間加工を行う
必要がある。ここで、加工比が0.3未満では、熱処理
後の再結晶組織に対応する均一な結晶方位含有比を実現
することはできない。
【0027】微細でかつばらつきの少ない結晶粒条件を
達成するためには、インゴットを素材の再結晶温度以上
で熱間加工し、鋳造組織を破壊して結晶粒度を均一化す
ると共に、最終的な均一微細な再結晶組織を付与するた
め、再結晶温度未満で所定の最終形状に均一に温間もし
くは冷間加工を行った後、素材の再結晶温度域でターゲ
ット全体に均一な熱処理を施し、再結晶化を完了させ
る。ここで、素材の再結晶温度は素材の純度、及び熱処
理前の塑性加工状態に主に依存する。
【0028】平均結晶粒径並びに結晶方位含有比の両条
件を実現するためには、上記両方の条件を満たす加工方
法を採用すればよい。
【0029】好ましくは、本発明においてはターゲット
の製造工程の中で塑性加工を圧延で行う。原料のチタン
ビレットは、鋳造後鍛造によりブロック状とする。次に
圧延方向に垂直な面での結晶方位含有比を70%以上と
するために、前記のブロック状チタン材の一方向圧延を
行う。圧延条件は、素材の純度、鋳造組織などに依存す
るため一般的には規定できないが、結晶方位含有比を7
0%以上とするためには通常、原料厚みの50%以下に
なるまで冷間圧延を行うのが好ましい。圧延後のTi材
はその後素材の再結晶温度域で全体に均一な熱処理を施
し、再結晶を完了させることが必要である。その後、素
材を圧延方向に垂直に切断、加工して目的とするターゲ
ット形状とする。なお、本発明においては圧延方向に垂
直な面をスパッタ面として使用する。
【0030】従って、圧延を繰り返した場合には厚みが
薄くなり、ターゲット形状の大きいものを製造するのが
困難になる場合がある(元材の厚みを大きくすれば良い
が、設備上およびコストの問題から難しい場合があ
る)。そのような場合には、圧延方向に垂直な面をスパ
ッタ面とするようなピースを作製し、該ピースを放射状
またはストライプ状に組み合わせてモザイクターゲット
とすれば良い。
【0031】なお、各部位での平均結晶粒度の測定は、
JIS・H0501に記載される切断法により行った。
【0032】
【実施例】高純度チタニウムのインゴットを以下に示す
ような方法で鍛造、圧延を行いそれぞれ表2に示す結晶
組織及び結晶配向性を有するターゲットA〜Dを製造し
た。ターゲットの形状は、いずれも直径約300mm、
厚み約6mmの平板状モザイクターゲットである。
【0033】
【表2】
【0034】(A)ターゲットA:(実施例1) 高純度チタニウムのインゴットを700℃で鍛造し厚さ
60mmのブロックとした。この初期厚み60mmのブ
ロックをロール回転速度20m/min、圧下率10%
で30mm(元材厚みの50%)まで一方向冷間圧延を
行った。その後500〜700℃で0.5〜3時間全体
に均一な熱処理を施した。次に圧延方向に垂直に切断し
ピースを作製し、該ピースを放射状に組み合わせてモザ
イクターゲットを作製した。
【0035】(B)ターゲットB:(実施例2) 高純度チタニウムのインゴットを700℃で鍛造し厚さ
60mmのブロックとした。この初期厚み60mmのブ
ロックをロール回転速度20m/min、圧下率10%
で15mm(元材厚みの25%)まで一方向冷間圧延を
行った。その後500〜700℃で0.5〜3時間全体
に均一な熱処理を施した。次に圧延方向に垂直に切断し
ピースを作製し、該ピースを放射状に組み合わせてモザ
イクターゲットを作製した。
【0036】(C)ターゲットC:(比較例1) 高純度チタニウムのインゴットを700℃で鍛造し厚さ
60mmのブロックとした。この初期厚み60mmのブ
ロックをロール回転速度20m/min、圧下率10%
で51mm(元材厚みの85%)まで一方向冷間圧延を
行った。その後500〜700℃で0.5〜3時間全体
に均一な熱処理を施した。次に圧延方向に垂直に切断し
ピースを作製し、該ピースを放射状に組み合わせてモザ
イクターゲットを作製した。
【0037】(D)ターゲットD:(比較例2) 高純度チタニウムのインゴットを700℃で鍛造し厚さ
60mmのブロックとした。この初期厚み60mmのブ
ロックをロール回転速度20m/min、圧下率10%
で42mm(元材厚みの70%)まで一方向冷間圧延を
行った。その後500〜700℃で0.5〜3時間全体
に均一な熱処理を施した。次に圧延方向に垂直に切断し
ピースを作製し、該ピースを放射状に組み合わせてモザ
イクターゲットを作製した。
【0038】前記A〜Dのターゲットをマグネトロン型
スパッタ装置に取り付けて以下の条件で6”(15.2
cm)ウエハ基板上に成膜した。 真空背圧 :2×10-4Pa スパッタ時のAr流量:5.0SCCM Ar圧力 :1Pa パワー密度 :8.89W/cm2 そして、成膜速度およびコンタクトホール径0.4μ
m、アスペクト比2.5のホールに対するボトムカバレ
ッジ特性の評価を行った。さらに、同様のスパッタ条件
でコリメーションスパッタを行い、成膜速度およびボト
ムカバレッジ特性の評価を行った。表3にターゲットA
〜Dについて、通常スパッタおよびコリメーションスパ
ッタを行った場合の成膜速度とボトムカバレッジ率を示
す。
【0039】
【表3】
【0040】通常スパッタの場合もコリメーションスパ
ッタの場合も、結晶方位含有比が高いターゲットは、結
晶方位含有比が低いターゲットに比較して成膜速度比が
大きく、ボトムカバレッジ率も高い。また、膜厚分布も
良好で、パーティクルの発生数も少なかった。
【0041】
【発明の効果】高純度チタニウムスパッタリングターゲ
ットのスパッタリング時において、成膜速度が大きく、
またボトムカバレッジ特性が良い。膜厚分布も良好で、
パーティクルの発生数も少ない。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ターゲットのスパッタ面においてX線回
    折法で測定され、次の数式1に基づいて算出されたター
    ゲットの各部位での結晶方位含有比が70%以上である
    ことを特徴とする高純度チタニウムスパッタリングター
    ゲット。 【数1】
  2. 【請求項2】 各部位での前記結晶方位含有比の同ター
    ゲットの全体を平均化した同結晶方位含有比に対しての
    バラツキが±20%以内であることを特徴とする請求項
    1に記載の高純度チタニウムスパッタリングターゲッ
    ト。
  3. 【請求項3】 ターゲットの結晶組織が再結晶組織であ
    ることを特徴とする請求項1または2に記載の高純度チ
    タニウムスパッタリングターゲット。
  4. 【請求項4】 ターゲットの各部位での平均結晶粒径が
    60μm以下であることを特徴とする請求項1〜3のい
    ずれか1項に記載の高純度チタニウムスパッタリングタ
    ーゲット。
  5. 【請求項5】 ターゲットがターゲットピースを放射状
    またはストライプ状に組み合わせたモザイク状であるこ
    とを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の高
    純度チタニウムスパッタリングターゲット。
  6. 【請求項6】 ターゲットがコリメーションスパッタ用
    である請求項1〜5のいずれか1項に記載の高純度チタ
    ニウムスパッタリングターゲット。
  7. 【請求項7】 チタンを一方向圧延することにより結晶
    の配向性を制御し、その圧延方向に垂直な面をスパッタ
    面としたことを特徴とする、ターゲットのスパッタ面に
    おいてX線回折法で測定され、次の数式2に基づいて算
    出されたターゲットの各部位での結晶方位含有比が70
    %以上であるような高純度チタニウムスパッタリングタ
    ーゲットの製造方法。 【数2】
  8. 【請求項8】 チタンを一方向圧延することにより結晶
    の配向性を制御し、その圧延方向に垂直な面をスパッタ
    面とするようなピースを作製し、該ピースを放射状また
    はストライプ状に組み合わせてモザイクターゲットとし
    たことを特徴とする、ターゲットのスパッタ面において
    X線回折法で測定され、次の数式3に基づいて算出され
    たターゲットの各部位での結晶方位含有比が70%以上
    であるような高純度チタニウムスパッタリングターゲッ
    トの製造方法。 【数3】
  9. 【請求項9】 一方向圧延を行う際に元材厚みの50%
    以下まで圧延することを特徴とする、請求項7または8
    のいずれかに記載の高純度チタニウムスパッタリングタ
    ーゲットの製造方法。
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