JP2898939B2 - エレベータの同期位置補正装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、エレベータの同期
位置補正装置に係り、特に、エレベータカーの同期位置
に致命的な誤差が発生すると、隣接する階、即ち、隣接
層にエレベータカーを誘導してエレベータカー内部の乗
客を救出し、隣接層の層高値により同期位置を補正し
て、エレベータカーを正常に運行し得るようにしたエレ
ベータの同期位置補正装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、エレベータの位置制御装置におい
ては、図３に示すように、乗降路１の一方側の壁に所定
間隔を置いて設置された複数の遮蔽板４ａ〜４ｎと、永
久磁石３ａとリードスイッチ３ｂとからなり、エレベー
タカー２の上部に設置され遮蔽板４ａ〜４ｎとの相互作
用により位置検出信号を出力する位置検出器３と、モー
タ９の回転数に対応するパルスを発生するエンコーダ１
０と、乗降場及びエレベータカー２から呼出しが登録さ
れると位置検出器３及びエンコーダ１０の各出力信号に
基づきエレベータカー２を乗客が所望する層に移動させ
るための速度指令Ｖ＊を出力し、エレベータを総括制御
する主制御機６と、速度指令Ｖ＊によりモータ９の速度
及び電流を制御するモータ制御部７と、モータ制御部７
の制御によりモータ９の駆動相電圧を供給するインバー
タ８と、から構成されていた。

【０００３】このように構成された従来のエレベータの
同期位置制御装置の動作を以下に説明する。エレベータ
の設置初期に主制御機６はエレベータの層高値を測定す
る。以下、その動作について説明する。エレベータカー
２を下方に運行させる中下限スイッチＤＬＳが動作する
時点でエレベータカー２の運行を停止させた後、再び上
方に運行させる。運行中、各層に設置された遮蔽板４ａ
〜４ｎにより永久磁石３ａからの磁場が遮蔽されると、
リードスイッチ３ｂはオフして主制御機６に入力する電
圧４８Ｖが遮断され、それまでカウントしたエンコーダ
１０のパルス数と遮蔽板の長さ２５０mmの半分１２５mm
に該当するパルス数とを加算した値を層の層高値として
格納する。以後、上限スイッチＵＬＳが動作すると、層
高値の格納が終了したと認識する。

【０００４】このように、設置初期にエンコーダの出力
パルスを走行方向（上方）に従い累積してエレベータカ
ーの同期位置を認識し、これに基づき呼出しが発生する
と、呼出しに応答してエレベータカーを移動させる。こ
の時、同期位置は呼出しに応答するための速度パターン
を生成し位置制御を行う根拠になる。そして、乗客の安
全、サービス層の正確な到着、及びモータに無理が加え
られないようにするため、正確な同期位置が保障される
べきであるが、エレベータカーをサービスする内外部の
要因により同期位置の誤差が発生し、発生した同期位置
の誤差値が所定値を超過すると、エレベータカーの正常
運行は中止され非常運転が行われる。即ち、ハードウェ
アセンサによりエレベータカーの絶対位置を検出し、乗
客を救出できる位置にエレベータカーを移動させた後、
エレベータカーのドアを開けて乗客を救出する。その
後、同期位置を補正して再び正常運転を行う。

【０００５】詳しくは、図３に示すように、同期位置の
誤差値が所定値を超過すると、低速でエレベータカーを
下方に運転し、下限スイッチＤＬＳが動作すると、エレ
ベータカーを停止させる。次いで、エレベータカーが停
止すると、同期位置を下限スイッチＤＬＳの位置した値
により補正し、再び正常にエレベータカーを運行させ
る。

【０００６】しかし、エレベータカーの現在位置が下限
スイッチＤＬＳから相当に離れている時に同期位置の異
常が発生すると、エレベータカーは低速で下限スイッチ
ＤＬＳまで運行されるため、運行される間、乗客はその
まま故障したエレベータカーに閉じ込められ、且つ、電
力の消耗が増大するという問題点があった。このような
問題点を解決するため、エレベータカーの現在位置を判
断する装置として、現在層検出器を付加して構成する。

【０００７】図４は、エレベータカーの現在位置を検出
する現在層検出器２０の構成図であり、機械室に設置さ
れる。即ち、エレベータカー２に連結されたロープ２ｂ
により駆動される減速機２１と、減速機２１の回転によ
りチェーン２２に連結されて上下運動する支持台２３
と、支持台２３に装着されて上下運動するセグメント２
４と、減速機２１のギヤ比率を基に実際の建物の層高さ
と一致するように設置され、セグメント２４と接触する
とき主制御機６に信号を伝達する層検出用セグメント２
５と、から構成されている。ここで、セグメント２４及
び層検出用セグメント２５は導体からなり、このように
構成された現在層検出器２０は次のように動作する。

【０００８】エレベータカー２が運行すると、減速機２
１に連結されたチェーン２２の上下運動により支持台２
３及びセグメント２４が上下運動を行い、セグメント２
４が層検出用セグメント２５に接触すると、主制御機６
に電源電圧４８Ｖが供給又は遮断される。この場合、主
制御機６は電源電圧４８Ｖの入力可否に基づきエレベー
タカーの現在位置する層を認識する。

【０００９】そして、同期位置の異常が発生すると、該
当層の層検出用セグメント２５が動作する時、主制御機
６はエレベータカー２の位置した実際の層の位置である
現在層を更新し、該更新された現在層の層高値を用いて
同期位置を補正した後、再び正常にエレベータカーを運
行させる。

【００１０】

【発明が解決しようとする課題】然るに、このような従
来のエレベータの同期位置補正装置においては、現在層
検出器２０を具備すべきであり、このとき、故障の発生
した隣接層で同期位置を補正して正常運行させるが、こ
のため、減速機、エレベータカーに連結されるロープ、
及び現在層検出器のようなハードウェア装置を必要とす
る。又、層検出用セグメントの固定位置及び各層検出用
セグメント間の距離を実際の各層の高さに比例するよう
に設定すべきであり、エレベータがサービスする最上層
と最下層間の距離に従い現在層検出器の全体の長さ及び
減速機のギヤ比率を正確に設定すべきである。

【００１１】そのためハードウェアを設置する費用が増
大し、設置後に設定値を正確に求めるという作業の難し
さがある。又、建物の層数が多いほど、ハードウェアの
設置が一層難しくなるという問題点があった。本発明の
目的は、同期誤差が発生すると、エレベータカーを隣接
層に運転させて乗客を安全に下車させると共に、別の現
在層検出器を具備せずにその層で同期位置を補正し得る
ようにしたエレベータの同期位置補正装置を提供しよう
とするものである。

【００１２】

【課題を解決するための手段】このような本発明に係る
エレベータの同期位置補正装置においては、エレベータ
カーの運行を制御するエレベータカー制御機と、各層に
設置されその層番号が格納された層番号スイッチと、層
番号スイッチから層番号を受けて格納し同期位置エラー
が発生すると層番号を出力すると共に、乗降場のドアの
開閉状態をチェックする乗降場制御機と、エレベータカ
ー制御機及び乗降場制御機と通信しながらエレベータの
運行を総括制御し、同期位置エラーを受けてエレベータ
カーを隣接層に運行させてエレベータカー内の乗客を救
出した後、乗降場制御機から伝送された層番号を層高値
により同期位置を補正する主制御機と、から構成され
る。

【００１３】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態に対し説
明する。本発明に係るエレベータの同期位置補正装置に
おいては、図１に示すように、エレベータカー３１内部
に設置されたエレベータカー呼出し登録機３２の呼出し
情報を通信中継器３８に直列伝送し、エレベータカー呼
出し登録機３２に呼出し登録及びエレベータカーの運行
方向の情報を表示するエレベータカー制御機３３と、各
層の乗降場に設置してその層の層番号を記憶する層番号
スイッチ３６と、乗降場ドア３４の開閉により動作する
リミットスイッチ３４ａと、リミットスイッチ３４ａを
通して乗降場ドア３４の開閉状態を検出し、乗降場呼出
し登録機３５の呼出し登録状態を通信中継器３８に直列
伝送すると共に、登録位置エラーが発生すると層番号ス
イッチ３６を経て受けた層番号情報を通信中継器３８に
出力する乗降場制御機３７と、直列伝送線ＳＴＬを経て
エレベータカー制御機３３及び乗降場制御機３７と直列
通信し並列伝送線ＰＴＬを経て主制御機３３及び乗降場
制御機３７と通信しながらエレベータカー３１の運行を
総括制御し、同期位置エラー検出時に隣接層にエレベー
タカー３１を運行させた後、乗降場制御機３７から層番
号情報を受けて該当層の層高値により同期位置を補正す
る主制御機３９と、から構成される。

【００１４】このように構成された本発明の動作につい
て図２を用いて説明する。図２において、左側は主制御
機３９の動作を示し、右側は乗降場制御機３７の動作を
示す。電源を印加した初期に、乗降場制御機３７は、層
番号スイッチ３６に設定された層番号値を順次入力して
内部の記憶素子に格納する。この場合、前記層数スイッ
チ３６はディップスイッチであって、エレベータを設置
するとき該当層（自身の層）の層番号が設定される。

【００１５】そして、エレベータカー３１の正常運行に
おいては、乗降場で乗客が呼出し登録機３５の呼出しス
イッチ３５ａを押すと、乗降場制御機３７は前記呼出し
登録機３５の呼出し登録を認識し呼出しランプ３５ｂを
点灯させて、使用者に呼出しが登録されたことを知らせ
る。さらに、前記乗降場制御機３７は、リミットスイッ
チ３４ａのオン／オフ状態を検出し、この検出にともな
う情報を直列伝送線ＳＴＬを経て直列通信方式により通
信中継器３８に伝送し、該通信中継器３８は前記情報を
並列伝送線ＰＴＬを経て並列通信方式により主制御機３
９に伝送する。

【００１６】又、エレベータカー３１に搭乗した乗客が
エレベータカー呼出し登録機３２の呼出し登録スイッチ
３２ａを押すと、エレベータカー制御機３３はこの呼出
しに対応する情報を直列伝送線ＳＴＬを経て通信中継器
３８に直列伝送し、呼出し登録スイッチ３２ａのランプ
を点灯させて呼出しが登録されたことを表示すると共
に、現在エレベータカーが運行中である層番号をエレベ
ータカー３１内の層番号表示機３２ｂに表示する。

【００１７】ところが、このようにエレベータカー３１
が正常に運行される間に同期位置エラーが発生すると、
主制御機３９はこのエラーを検出して各層の乗降場制御
機３７にエラー発生を通報し、このとき、乗降場制御機
３７は呼出し登録機３５を通した呼出し情報を処理せ
ず、呼出しによる表示動作を行わない。この状態で、主
制御機３９はエレベータカー３１を下方に低速運転さ
せ、エレベータカー３１が隣接層のドアゾーンに到達し
て位置検出器が動作すると、その時点でエレベータカー
３１を停止させた後乗降場のドアを開放し、ドアが完全
に開放されると、所定時間の間ドアの開放状態を維持す
る。この場合、前記所定時間とはエレベータカー３１に
閉じ込められた乗客の全てを救出する充分な時間をい
い、乗降場制御機３７はリミットスイッチ３４ａを通し
て乗降場ドア３４の開放状態を確認し、開放状態の情報
を主制御機３９に伝送する。

【００１８】ついで、所定時間が経過すると、乗客の救
出が完了したことを各層の乗降場制御機３７に伝送し、
乗客の救出された乗降場の乗降場制御機３７は層番号ス
イッチ３６から入力し格納された層番号を主制御機３９
に伝送し、主制御機３９は受信した層の層高値を用いて
同期位置を補正した後、復旧完了の情報を各層の乗降場
制御機３７に知らせてエラーの復旧状態を外部に知らせ
ると共に、エレベータカー３１を再び正常に動作させ
る。

【００１９】その後、乗降場制御機３７は、受信した復
旧完了情報により乗降場ドア３４の状態に関する情報の
出力を中断し、呼出し情報及び表示情報を制御する。

【００２０】

【発明の効果】以上説明したように本発明に係るエレベ
ータの同期位置補正装置においては、各層に層番号の格
納された層番号スイッチを設置し、乗降場情報を制御す
る乗降場制御機に現在位置する層の乗降場ドアの状態を
検出する機能を追加し、同期位置エラーが発生すると、
主制御機はエレベータカーを隣接層に運行させて乗客を
救出し、現在位置した層の乗降場制御機が層番号を主制
御機に伝送し、主制御機は受信した層番号を基に現在の
同期位置を補正することにより、エレベータカー内部に
閉じ込められた乗客を迅速に救出し、エレベータカーを
正常に運行させるという効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係るエレベータの同期位置補正装置の
構成図である。

【図２】本発明の動作フローチャートである。

【図３】従来のエレベータの位置制御装置の構成図であ
る。

【図４】従来のエレベータの現在層検出器の構成図であ
る。

【符号の説明】

３１…エレベータカー ３２…エレベータカー呼出し登録機 ３３…エレベータカー制御機 ３４…乗降場 ３４Ａ…リミットスイッチ ３５…乗降場制御機 ３６…層番号スイッチ ３７…乗降場制御機 ３８…通信中継器 ３９…主制御機 ＳＴＬ…直列伝送線 ＰＴＬ…並列伝送線

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 少なくとも、エレベータカーの運行を制
   御するエレベータカー制御機と、各階を示す各層に設置
   され層番号が格納された層番号スイッチとを備え、エレ
   ベータカーの演算位置と実際位置との間の差を示す同期
   位置エラーが発生すると、同期位置を補正するエレベー
   タの同期位置補正装置において、 該層番号スイッチから層番号を受けて格納しておき、前
   記同期位置エラーが発生すると該当する層番号を出力す
   ると共に、乗降場のドアの開閉状態をチェックする乗降
   場制御機と、 前記エレベータカー制御機及び乗降場制御機と通信しな
   がらエレベータカーの運行を統括制御し、かつ前記乗降
   場制御機から前記同期位置エラーを受けるとエレベータ
   カーを隣接層に運行させ、該隣接層の層番号を前記乗降
   場制御機から受け、前記層番号の層高値により同期位置
   を補正する主制御機と、を具備することを 特徴とするエレベータの同期位置補正
   装置。