JP2889951B2 - タレットパンチプレスのダイ昇降機構 - Google Patents

タレットパンチプレスのダイ昇降機構

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JP2889951B2 JP7279802A JP27980295A JP2889951B2 JP 2889951 B2 JP2889951 B2 JP 2889951B2 JP 7279802 A JP7279802 A JP 7279802A JP 27980295 A JP27980295 A JP 27980295A JP 2889951 B2 JP2889951 B2 JP 2889951B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、成形用のダイ
を、使用時のみ上昇させるようにしたタレットパンチプ
レスのダイ昇降機構に関する。
【0002】
【従来の技術】タレットパンチプレスは、図5に示すよ
うに上タレット1と下タレット2とをフレーム3に同心
に設置し、各種のパンチ4とダイ5を上タレット1と下
タレット2の各割り出しステーションに設けたものであ
る。パンチ4は、所定のパンチ位置Pでラム6に連結さ
れて昇降駆動される。板状のワークWは、所望の箇所が
パンチ位置Pに来るように、ワークホルダ7によりワー
クテーブル8上を前後左右に送られる。ワークホルダ7
はクロススライド10に取り付けてあり、クロススライ
ド10はフレーム3上を前後(Y方向)移動自在なキャ
リッジ9に左右(X方向)移動自在に設置してある。
【0003】ワークテーブル8は、平板状のワークWを
上面で滑らせて移動させるために、フリーベアリング等
を設けた平面テーブルとなっている。そのため、例えば
図6(A)ないし(D)に示すように、バーリング成形
部11や、ダボ成形部12、ルーバ成形部13等の成形加
工を行う場合は、孔明け加工の場合とは逆に下型である
ダイ5を凸型とし、各成形部11〜13がワークWに上
向きに成形されるようにする。この場合に、ラム6のス
トロークは一定であるため、パンチ4を短くし、ダイ5
の上面位置(ダイハイト)を孔明け用のダイよりも成形
部11〜13の成形高さH(図6(D))だけ高く設定
している。すなわち、ワークテーブル8によるワークW
の載置面8aよりも成形高さHだけ高くしている。
【0004】このように、成形用のダイ5の場合はダイ
ハイトを高くするため、下タレット2に成形用のダイ5
が含まれていると、ワークWは孔明けの場合にもそのダ
イ5によって持ち上げられる。そのため、加工精度に悪
影響を与えるうえ、ワークWの下面に傷や歪みを生じさ
せることがある。また、隣接する割出ステーションが利
用できない場合がある。
【0005】このような問題点を解消するため、成形用
のダイ5を流体圧作動装置により高さ調節可能とし、使
用時のみ成形用のダイ5を突出させるようにしたもの
(実公平1−10111号公報)や、カムあるいはフォ
ーク状の部材でダイを持ち上げるようにしたもの(特公
平7−34939号公報、実公平7−18416号
報)が提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これらはいず
れもタレット上に個々のダイに対してダイ昇降機構を設
けたものであるため、成形用のダイの設置個数が多い場
合、それだけダイ昇降機構やその駆動源の個数も増え、
コスト高になるという問題点がある。
【0007】この発明は、上記の課題を解消するもので
あり、タレットに対して一つのダイ昇降手段を設けるだ
けで複数のダイを昇降可能としたタレットパンチプレス
のダイ昇降機構を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】この発明のダイ昇降機構
は、下タレットの円周方向の複数箇所に、昇降可能な成
形用のダイを、下タレットの回転に伴い同一の回転軌跡
を辿るように設置し、前記下タレットの下方からダイを
昇降させるダイ昇降手段をフレームに1つ設置し、この
ダイ昇降手段を前記回転軌跡の1か所に作用するように
設けたものである。この構成によると、タレットを回転
させて成形用ダイをダイ昇降手段と対応する位置に移動
させることにより、そのダイをダイ昇降手段で昇降させ
ることができる。そのため、個々のダイにダイ昇降手段
を設ける必要はなく、タレットに対して一つのダイ昇降
手段を設けるだけで、複数のダイの昇降が可能となる。
【0009】前記構成において、ダイの下部に、下タレ
ットの下面よりも突出する突出部を設け、前記ダイ昇降
手段を、前記突出部に作用するように構成する。これに
より、ダイを配置している孔やタレットにとらわれるこ
となく、ダイ昇降手段を配置することができる。つま
り、ダイ昇降手段の配置範囲の制限が少なくなり、範囲
可能な範囲が広がる。また、前記ダイ昇降手段は、前記
突出部が載り上げ可能な傾斜面部およびこの傾斜面部の
上端に続く水平面部を有する水平方向に進退可能な進退
部材と、この進退部材を進退させるアクチュエータとで
構成する。この構成によると、ダイを直接に昇降させる
のでなく、進退部材の傾斜面によって間接的に昇降さ
せ、その上昇状態で水平面部に載せることができるの
で、アクチュエータにパンチ負荷がかかることなく、小
出力のアクチュエータで確実にダイを上昇位置に維持さ
せることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】この発明の一実施形態を図1ない
し図4と共に説明する。この実施形態は、図5と共に説
明した概略構成のタレットパンチプレスに適用したもの
であり、図5と対応する部分は同一符号を付して説明を
省略する。図3に示すように、下タレット2には円周方
向に沿って複数のダイ5が、各々ダイ保持台15を介し
て設置してある。このうち、いずれか複数のダイ5は成
形用であり、昇降自在とされている。これらダイ5の下
タレット2の回転に伴う回転軌跡Lの1箇所でダイ5に
作用するように、下タレット2の下方からダイ5を昇降
させるダイ昇降手段16(図2)が設けてある。この例
では前記1箇所をパンチ位置Pとしてある。ダイ昇降手
段16は、後に説明するように傾斜面部17aを有する
進退部材17と、その進退用のアクチュエータ18とで
構成される。
【0011】図1に示すように、ダイ保持台15は保持
台基盤19とその上に載せた保持台本体20とでなり、
保持台基盤19は下タレット2の上面にボルト固定され
る。保持台本体20は、保持台基盤19に対してタレッ
ト半径方向へ引き出し自在に設置され、位置決めピン2
1とロックピン(図示せず)により保持台基盤19に固
定されている。保持台本体20の上面には、略ダイハイ
トDHでワークを案内するフリーベアリング22等のワ
ーク案内手段が設けてある。ダイ保持台15の略中央に
は、保持台本体20および保持台基盤19に貫通して座
繰り付きのダイ取付孔23が形成され、ダイ5の構成部
品である円筒状のダイ外ケース24が嵌合状態に取付け
られている。ダイ外ケース24の上端外周に突設した環
状突部24aは、ダイ取付孔23の座繰面に係合してい
る。ダイ外ケース24の下部は、保持台基盤19よりも
下方に突出し、下タレット2に設けられたダイ設置孔2
8に挿入されている。
【0012】ダイ5は、成形用の凸型となるダイ金型部
5aと、このダイ金型部5aを上端に取付けたダイホル
ダ25と、前記ダイ外ケース24と、エジェクタプレー
ト27とを有し、ダイ金型部5aをダイホルダ25に取
付けるボルト29のボルト頭が、ダイ昇降手段16に係
合する突出部29aとして下タレット2の下面2aより
も下方に突出させてある。突出部29aは、側面に平面
部を有する円形状のものとしてある。ボルト29は、ダ
イホルダ25の中央孔に挿通して上端の雄ねじ部29b
をダイ金型部5aの下面に螺合させ、ボルト頭である突
出部29aをダイホルダ25の下面に係合させて締め付
けてある。突出部29aとダイホルダ下面との間にはパ
ンチ用シム34を介在させる。ボルト29は、ダイホル
ダ25の中央孔の内面に設けられた抜止用雌ねじ部35
と螺合する中間雄ねじ部29cが形成されている。中間
雄ねじ部29cは、分解時にボルト29が脱落するのを
防止するためのものであり、ダイ金型部5aの取付状態
では抜止用雌ねじ部35よりも上方へ抜けた位置とな
る。
【0013】ダイホルダ25は、上部が大径となった段
付き軸状に形成され、ダイ外ケース24に設けた座繰り
付きの昇降ガイド孔30に昇降自在に嵌合している。ダ
イ外ケース24は、ダイホルダ25を弾性的に下降復帰
させる復帰手段31を内蔵している。この復帰手段31
は、復帰ばね31aとストリッパボルト31bとでな
り、ストリッパボルト31bは、ダイ外ケース24の下
面に形成された復帰手段収容孔に挿入されてその底面を
貫通し、上端がダイホルダ25の大径部に螺着されてい
る。復帰ばね31aはコイルばねからなり、ストリッパ
ボルト31bの外周でボルト頭と復帰手段収容孔の底面
の間に介在している。エジェクタプレート27は、ガイ
ドピン32でダイホルダ25に昇降可能に支持され、エ
ジェクタばね33で上昇付勢されている。ガイドピン3
2は、ダイホルダ25に設けられた孔を上下に貫通し、
その孔の座繰り面に下端のピン頭部係合することで、エ
ジェクタプレート27の上昇端位置を規制している。
【0014】図2(B)および図4に示すように、ダイ
昇降手段16の進退部材17は、フレーム3のパンチ位
置Pに設けられたパンチ反力受け材36のスラグ排出孔
37を横断するように、パンチ反力受け材36上に進退
自在に設置される。進退部材17の進退方向は、下タレ
ット2の半径方向と直交する方向とし、パンチ反力受け
材36上に設置した一対のガイド部材38,39(図2
(A),図4(B))により、その進退方向が規制され
る。また、進退部材17には、タレット中心側の側面に
ガイド溝40が形成してあり、このガイド溝40内に転
接する複数のガイドローラ41,42によっても進退の
案内がされる。これらガイドローラ41,42は、フレ
ーム3に設置したものであり、片方のガイドローラ42
は、進退部材17が進出位置にあるときは、ガイド溝4
0から外れる。なお、図1では、説明の便宜上、進退部
材17の進退方向を実際とは90°異ならせて図示して
ある。
【0015】進退部材17は、上面に平面形状が先細り
となった台形状の膨らみ部17c(図4(A))を有
し、その先端側部分が先端側へ下降傾斜した傾斜面部1
7aに、基端側部分が水平面部17bに各々なってい
る。これら傾斜面部17aおよび水平面部17bのた
め、進退部材17は側面視で台形状(図2(B))とな
っている。アクチュエータ18は、流体圧シリンダから
なり、そのピストンロッドの先端を、連結部材43で進
退部材17の後端に連結してある。アクチュエータ18
は、パンチ位置Pに対して下タレット2の中心側に寄っ
た位置で、その全体が下タレット2の下方に納まるよう
に、取付台44を介してフレーム3に設置してある。こ
のように、アクチュエータ18を下タレット2の下方に
納めることにより、アクチュエータ18がタレット外に
突出せず、機械全体がコンパクトになる。なお、進退部
材17に対して、その前進端と後退端とを各々検出する
センサ45,46が設けてあり、これらセンサ45,4
6には連結部材17を検出する近接センサ等が用いられ
ている。また、進退部材17の先端面には切屑防止ガイ
ド48を取付け、これと対面する切屑防止ガイド49を
フレーム3に調整ねじ50を介して設けてある。また、
下タレット2に設けられる成形用の各ダイ5の突出部2
9aは、いずれもダイホルダ25の中心に設けてあり、
かつ同一の回転軌跡Lを辿るように配置してある。
【0016】上記構成の動作を説明する。成形加工を行
うとき以外は、すなわち通常の孔明け加工時やタレット
の回転時は、進退部材17は図4(A)に実線で示すよ
うに、スラグ排出孔37から外れる退避位置に後退させ
ておく。成形加工を行うときは、タレットの割出回転の
後、図2に示し、あるいは図4(A)に鎖線で示すよう
に、アクチュエータ18で進退部材17を前進端まで前
進させる。この前進に伴い、成形用ダイ5の下面の突出
部29aが、進退部材17の傾斜面部17aに載り上が
り、水平面部17bへ載り移る。そのため、ダイ5にお
けるダイ金型部5aは、ダイホルダ25と共に復帰ばね
31aに抗して上昇し、ダイ金型部5aの上端は孔加工
用のダイハイトDHよりも若干高い使用高さに保持され
る。進退部材17は、前進端まで前進すると、スラグ排
出孔37を横断して前後部がパンチ反力受け部材36上
に載る。そのため、パンチ4による成形時の押し付け力
は、ダイホルダ25および突出部29aから、進退部材
17を介してパンチ反力受け部材36で受けられる。な
お、進退部材17はパンチ位置Pに設けるので、下タレ
ット2のいずれのダイ5に対しても昇降が行える。成形
加工が終わると、進退部材17を再び後退させ、重力と
復帰ばね31aによる強制復帰でダイホルダ25を下降
させ、ダイ金型部5aの上端面をダイハイトDHよりも
沈める。これにより、ワーク送り時に成形用のダイ5で
ワーク裏面を傷付けたり、ワークがバタつくことが防止
され、送り速度を低下させることなく、ワーク送りが行
える。
【0017】このダイ昇降機構によると、このように1
個のダイ昇降手段16を設けるだけで、複数のダイ5の
昇降が行える。そのため、個々の成形用ダイ5にダイ昇
降手段やそのアクチュエータを設ける必要がなく、構成
が簡単でコスト低下が図れる。また、下方からダイ5を
直接に昇降させるのではなく、進退部材17によって間
接的に昇降させるので、アクチュエータ18にダイ5の
パンチ負荷が作用せず、成形加工時にもダイ5を確実に
上昇位置に維持させることができる。また、下タレット
2に設けられる成形用の各ダイ5の突出部29aは、い
ずれもダイホルダ25の中心に設けてあり、かつ同一の
回転軌跡Lを辿るように配置してあるため、複数の成形
用ダイ5は、ダイホルダ25等の大きさが異なっても何
ら問題なく昇降させることができる。また、ダイホルダ
25の中心を押して昇降させるので、ダイホルダ25の
偏心がなく、円滑にダイ5を昇降させることができる。
【0018】
【発明の効果】この発明のタレットパンチプレスのダイ
昇降機構は、下タレットの円周方向の複数箇所に、昇降
可能な成形用のダイを、下タレットの回転に伴い同一の
回転軌跡を辿るように設置し、前記下タレットの下方か
らダイを昇降させるダイ昇降手段をフレームに1つ設置
し、このダイ昇降手段を前記回転軌跡の1か所に作用す
るように設けたため、タレットに対して一つのダイ昇降
手段を設けるだけで複数のダイを昇降させることができ
る。この構成において、ダイの下部に突出部を設け、前
記ダイ昇降手段を、前記突出部に作用するように構成
たため、ダイを配置している孔やタレットにとらわれる
ことなく、ダイ昇降手段を配置することができ、ダイ昇
降手段の配置範囲の制限が少なくなって、配置可能な範
囲が広がる。前記ダイ昇降手段は、前記突出部が載り上
げ可能な傾斜面部および平面部を有する進退部材と、そ
の進退駆動用のアクチュエータで構成したため、小出力
のアクチュエータで確実にダイを上昇位置に維持させる
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態にかかるダイ昇降機構の
断面図と、一部の部品を模式的に示す図とを組み合わせ
た説明図である。
【図2】(A)は同ダイ昇降機構の平面図、(B)は同
破断正面図である。
【図3】下タレットの一部省略平面図である。
【図4】(A)は進退部材の動作説明図、(B)は進退
部材およびその周辺部品を進退方向前面から見た説明図
である。
【図5】従来のタレットパンチプレスの概略側面図であ
る。
【図6】(A),(B),(D)は各々従来の各種成形
加工例の断面図、(C)は他の成形加工例の斜視図であ
る。
【符号の説明】
2…下タレット、2a…下面、3…フレーム、4…パン
チ、5…ダイ、5a…ダイ金型部、15…ダイ保持台、
16…ダイ昇降手段、17…進退部材、17a…傾斜面
部、17b…水平面部、18…アクチュエータ、19…
保持台基盤、20…保持台本体、22…フリーベアリン
グ、23…ダイ取付孔、24…ダイ外ケース、25…ダ
イホルダ、27…エジェクタプレート、28…ダイ設置
孔、29…ボルト、29a…突出部、30…昇降ガイド
孔、31…復帰手段、33…エジェクタばね、34…シ
ム、36…パンチ反力受け部材、37…スラグ排出孔、
DH…ダイハイト、L…回転軌跡、P…パンチ位置(1
箇所)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B30B 15/02 B21D 28/34 B21D 28/36 B21D 37/14

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下タレットの円周方向の複数箇所に、昇
    降可能な成形用のダイを、下タレットの回転に伴い同一
    の回転軌跡を辿るように設置し、前記下タレットの下方
    からダイを昇降させるダイ昇降手段をフレームに1つ設
    置し、このダイ昇降手段を前記回転軌跡の1か所に作用
    するように設け、前記ダイの下部に、下タレットの下面
    よりも突出する突出部を設け、前記ダイ昇降手段は、前
    記突出部に作用するように構成し、前記ダイ昇降手段
    を、前記突出部が載り上げ可能な傾斜面部およびこの傾
    斜面部の上端に続く水平面部を有する、水平方向に進退
    可能な進退部材と、この進退部材を進退させるアクチュ
    エータとで構成したタレットパンチプレスのダイ昇降機
    構。
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