JP2511582Y2 - ガイド付バ―リング加工用プレス装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔概要〕 バーリング加工用のプレス装置に関し、 バーリング加工部の位置決め精度の向上、加工時間の
短縮、ポンチの摩耗軽減、抜きカスの発生防止、加工部
材のダイス孔からの分離の容易化が可能なガイド付バー
リング加工用プレス装置の提供を目的とし、 貫通したダイス孔を有するダイプレートを固定するダ
イホルダーと、前記ダイス孔に対して上下動自在なポン
チとを備え、前記ダイス孔上に予め下孔を穿設してなる
加工部材の該下孔を位置決めしてからバーリング加工を
行うプレス装置であって、前記ダイプレートはダイス孔
の端面の周囲を他の表面よりも所要量突出させた段差部
を有し、前記ダイホルダーは前記ダイス孔に対面する位
置に該ダイス孔の内径よりも大径で前記ダイス孔の同芯
上に連通するガイド孔を有すると共に、その下面部に前
記ガイド孔およびダイス孔をそれぞれ貫通し、さらに前
記加工部材の下孔を貫通してその表面に所定量突出する
位置決め棒を上下動自在に設け、該位置決め棒の下端を
常時上方向に弾圧付勢するバネと該バネを前記ダイホル
ダーの下面に装着するバネ受座とを具備せしめて構成す
る。

〔産業上の利用分野〕

本考案は、バーリング加工用のプレス装置に係り、特
に加工部材に予め穿設した下孔をガイドとする位置決め
機構を用いたガイド付バーリング加工用プレス装置に関
する。

〔従来の技術〕

第４図は従来のバーリング加工用のプレス装置の概念
図を示す。図において、１は図示しないポンチホルダー
に装着され、図示しないプレス装置の駆動機構により矢
印Ｐに示すように上下方向に駆動されるポンチであっ
て、下孔開け部1aとバーリング加工部1bとを備えてい
る。２はダイであってポンチ１に対応する位置にダイス
孔３が穿設され、そのダイス孔３に連通して抜きカス室
４を備えている。５はバーリング加工を施すべき個所を
ダイ２のダイス孔３に位置決め載置された加工部材を示
す。この例は加工部材５に対して下孔とバーリングとを
同時に加工するための装置である。

〔考案が解決しようとする課題〕

上述の装置は下孔とバーリングとを同時に加工するた
め、ポンチ側の下孔開け部1aの先端部の摩耗が激しく、
一工程毎にバーリングの位置決め作業が必要な為に段取
り時間を必要とする欠点がある。

この位置決め方法はダイ２上に図示しない座標Ｘ方向
とＹ方向に定規等の段差部を用いた基準ラインを設定
し、この基準ラインと加工部材５の端縁との間に所要の
間隔を調整するためのゲージを用いて位置決めを行うが
多数のゲージが必要であり、かつ各ゲージの寸法誤差が
累積されるため所定の位置精度が得られない欠点があ
る。

また、バーリング加工の途中、ポンチ１と加工部材５
との摩擦により、ポンチ側が磁気を帯びて抜きカス室４
に溜まった抜きカスがポンチ１の先端部に付着し、他の
個所を加工する際にその付着した抜きカスが落下し、こ
れをポンチ１が押圧することにより加工部材５の表面に
傷を付ける欠点がある。

更に、ダイ２の表面がフラットなため、隣接したバー
リング加工済みの張り出し部分が加工部材５の位置決め
を妨害し、寸法上の制約と作業性が低下する欠点があ
る。

予め加工部材５に対してバーリング加工を施すべき位
置に下孔を穿設しておき、この下孔に対して先端部を鋭
角に形成したポンチを押圧して加工する方法もあるが、
ポンチの押圧によりダイス孔３とバーリング加工による
張り出し部分の摩擦のため、加工部材５がダイス孔３か
ら分離しない欠点がある。

本考案は上記従来の欠点に鑑みて創作されたもので、
バーリング加工部の位置決め精度の向上、加工時間の短
縮、ポンチの摩耗軽減、抜きカスの発生防止、加工部材
のダイス孔からの分離の容易化が可能なガイド付バーリ
ング加工用プレス装置の提供を目的とする。

〔課題を解決するための手段〕

第１図は本考案の構成を示す要部断面図である。貫通
したダイス孔３を有するダイプレート６を固定するダイ
ホルダー７と、前記ダイス孔３に対して上下動自在なポ
ンチ８とを備え、前記ダイス孔３上に予め下孔51を穿設
してなる加工部材５の該下孔51を位置決めしてからバー
リング加工を行うプレス装置であって、前記ダイプレー
ト６はダイス孔３の端面の周囲を他の表面よりも所要量
突出させた段差部９を有し、前記ダイホルダー７は前記
ダイス孔３に対面する位置に該ダイス孔３の内径よりも
大径で前記ダイス孔３の同芯上に連通するガイド孔10を
有すると共に、その下面部に前記ガイド孔10およびダイ
ス孔３をそれぞれ貫通し、さらに前記加工部材５の下孔
51を貫通してその表面に所定量突出する位置決め棒11を
上下動自在に設け、該位置決め棒11の下端を常時上方向
に弾圧付勢するバネ16と該バネ16を前記ダイホルダー７
の下面に装着するバネ受座17とを具備せしめて構成す
る。

〔作用〕

ダイス孔３の端面の周囲を前記ダイプレート６の他の
表面より所要の厚みに突出させたため、図示する隣接バ
ーリング形成部52のように位置決め妨害はなくなる。

バーリング加工を施すべき下孔51にダイス孔３から突
出した位置決め棒11のピン部12を挿通するだけで加工部
材５の位置決めは完了する。次にポンチ８を下降させ、
ポンチ８の先端部が位置決め棒11のピン部12の上端に当
接後、バネ16の弾圧に抗して位置決め棒11を押し下げな
がら加工部材５の下孔51に対してバーリング形成を行
う。この時バーリング形成部分の内径はポンチ８の外径
と等しくなり、ポンチ８の外径より大径に形成された加
工部材押出部13の段差部が突当たる寸法関係になる。

バーリング成型後はポンチ８は上昇するが、この時加
工部材５のバーリング成形部分にはダイス孔３に密着し
ようとする摩擦力と、ポンチ８に密着しようとする逆摩
擦力が作用するが、バネ16の弾性復帰力が加工部材押出
部13の段差部に加圧されて加工部材５は容易にダイス孔
３から離脱する。

〔実施例〕

以下本考案の実施例を図面によって詳述する。なお、
構成、動作の説明を理解し易くするために全図を通じて
同一部分には同一符号を付してその重複説明を省略す
る。

第１図は本考案の構成を示す要部断面図である。図に
おいて、６はダイプレートで貫通されたダイス孔３を有
し、そのダイス孔３の上側周囲には所要の厚みをダイプ
レート６の他の表面より突出させるための段差部９を形
成している。所要の厚みとはバーリング形成された加工
部材５の張り出しの高さに相当する。また、段差の形状
はバーリング加工の下孔の配列形状および孔明け順序に
対応して定められるものであり、例えばダイス孔３と同
心円状、あるいはダイス孔３の縁から所要距離を隔てた
直線状等が用いられる。この段差を設けることにより図
示する隣接バーリング形成部52のように位置決め妨害は
なくなる。７はダイプレート６を固定するダイホルダー
であって、ダイス孔３と対面する部分にはそのダイス孔
３の内径よりも大径で前記ダイス孔３の同芯上に連通し
て設けたガイド孔10が穿設されている。

８はポンチであって従来例と異なり、予め下孔を穿設
した加工部材５にバーリング加工を行うため下孔開け部
がない形状になっており、したがってポンチ８の先端部
の摩耗は軽減される。

11は位置決め棒であって、外径の異なる多段軸状に形
成され、その最上段はダイス孔３と加工部材５の下孔51
を挿通し、加工部材５の位置決めを行うピン部12と、次
段はポンチ８の外径よりも大径でダイス孔３よりも小径
に形成された段差からなる加工部材押出部13と、三段目
は加工部材押出部13よりも大径でガイド孔10に滑合して
上下方向にガイドされるガイド部14とを一体的に形成
し、この例ではバネ16にコイルバネを利用し、そのコイ
ルバネ16を挿通するためのバネ挿通部15を延在させてい
る。

17は位置決め棒11の下端を常時上方向に弾圧付勢する
コイルバネ16をダイホルダー７の裏面に装着するための
バネ受座17である。

ダイプレート６の表面に段差部９を設けて突出させて
いるから、加工部材５の隣接バーリング形成部52に示す
ように張り出し形状による位置決め妨害はなくなる。

バーリング加工は位置決め棒11が上限位置（すなわ
ち、バネ16に弾圧付勢されたガイド部14の上端がダイス
孔３の下端に当接した位置）においてピン部12がダイス
孔３と加工部材５の下孔51とを挿通した状態から開始さ
れる。

この加工部材５の下孔51をピン部12が挿通するだけで
加工部材５の位置決めは完了するように予めピン部12の
外径は下孔51の内径に対応させて許容誤差範囲内に形成
されている。

図示しないプレス装置のクランク動作によりポンチ８
を下降させ、ポンチ８の先端部が位置決め棒11のピン部
12の上端に当接後、バネ16の弾圧に抗して位置決め棒11
を押し下げながら加工部材５の下孔51に対してバーリン
グ形成を行う。なお、ポンチ８の外径をd,下孔51の内径
をd₀と規定する。

第２図は本考案のバーリング形成時の要部断面図、第
３図は第２図の部分拡大図を示す。以下第３図を参照し
ながら第２図の説明を行う。第３図は各部の寸法を規定
したものであって、ダイス孔３の内径をD,ピン部12の外
径をd₁，加工部材押出部13の外径をd₂，ガイド部14の外
径をd₃とする。ガイド孔10の内径はガイド部14の外径d₃
に対応して滑合可能な公差寸法に穿設されているものと
する。

ポンチ８が最下点に到達した時、バーリング形成部分
の内径はポンチ８の外径ｄと等しくなり、ポンチ８の外
径ｄより大径のd₂に形成された加工部材押出部13の段差
部が突当たる寸法関係になる。また、バネ挿通部15に挿
通されたコイルバネ16はガイド部14の下面とバネ受座17
との間に圧縮され、弾性復帰力が発生する。

バーリング成型後はポンチ８は上昇するが、この時加
工部材５のバーリング成形部分の外径部にはダイス孔３
に押付けられた摩擦力と、バーリング成形部分の外径部
にはポンチ８に押付けられた逆摩擦力が作用するが、バ
ネ16の弾性復帰力が加工部材押出部13の段差部に加圧さ
れて加工部材５は容易にダイス孔３から離脱すると共
に、ピン部12は次の加工部材５のバーリング加工を行う
べき下孔51を挿通可能の位置まで上昇し、ガイド部14の
上端がダイプレート６の裏面（ダイス孔３の下端部外
側）に当接して停止する。

以上の説明においてガイド部14を常時上方向に弾圧す
る手段はコイルバネ16とバネ挿通部15に限るものではな
く、板バネの利用も容易に考えられる。

〔考案の効果〕

以上の説明から明らかなように本考案によれば、加工
部材の位置決め作業が単純化され、作業時間の短縮、ポ
ンチの長寿命化と品質の安定化、隣接バーリング加工が
可能になり作業性が向上する効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の構成を示す要部断面図、 第２図は本考案のバーリング形成時の要部断面図、 第３図は第２図の部分拡大図、 第４図は従来のバーリング加工用のプレス装置の概念図
を示す。 第１図において、６はダイプレート、７はダイホルダ
ー、８はポンチ、９は段差部、10はガイド孔、11は位置
決め棒、12はピン部、13は加工部材押出部、14はガイド
部、16はバネ、17はバネ受座をそれぞれ示す。

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】貫通したダイス孔を有するダイプレートを
   固定するダイホルダーと、前記ダイス孔に対して上下動
   自在なポンチとを備え、前記ダイス孔上に予め下孔を穿
   設してなる加工部材の該下孔を位置決めしてからバーリ
   ング加工を行うプレス装置であって、 前記ダイプレートはダイス孔の端面の周囲を他の表面よ
   りも所要量突出させた段差部を有し、 前記ダイホルダーは前記ダイス孔に対面する位置に該ダ
   イス孔の内径よりも大径で前記ダイス孔の同芯上に連通
   するガイド孔を有すると共に、その下面部に前記ガイド
   孔およびダイス孔をそれぞれ貫通し、さらに前記加工部
   材の下孔を貫通してその表面に所定量突出する位置決め
   棒を上下動自在に設け、 該位置決め棒の下端を常時上方向に弾圧付勢するバネと
   該バネを前記ダイホルダーの下面に装着するバネ受座と
   を具備してなることを特徴とするガイド付バーリング加
   工用プレス装置。