JP2883941B2 - 光学位相板とその製造方法及びその光学位相板を用いた液晶表示素子 - Google Patents

光学位相板とその製造方法及びその光学位相板を用いた液晶表示素子

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は光学位相板に関し、さらに詳しくは、STN型
液晶表示素子の色補償板として好適な液晶性高分子を用
いた光学位相板およびその製造方法並びにその光学位相
板を用いた液晶表示素子に関する。
〔従来の技術〕
従来主に用いられてきた液晶表示素子の表示モード
は、ツイステッドネマティック(TN)型と呼ばれ、一対
の上下基板間で液晶分子が約90゜ねじれた構造をとって
おり、液晶による偏光面の回転と電圧印加時におけるそ
の効果の消失を利用している。この表示方式は、白黒表
示であるため優れたシャッター効果がありカラーフィル
ターを画素ごとに設けることにより比較的容易に多色表
示ができるという利点があるが、電圧−透過率特性のし
きい値特性が悪いため高時分割駆動が困難であるという
欠点があり、大容量表示ではコントラスト低下や視野角
が狭くなる等の問題があった。
そこで電圧−透過率特性の急峻性を改良すべく液晶分
子のねじれ角を大きくし、偏光板の偏光軸を液晶の配向
方向とずらすことにより液晶による複屈折効果を利用す
る方式が提案され、、SBE(super twisted birefringen
ce effect)またはSTN(super twisted nematic)モー
ドと呼ばれている。この方式はしきい値特性に優れてい
るため時分割駆動においてもコントラスト低下が少な
く、視野角も広いという優れた特性を持つ反面、複屈折
効果を利用するため着色表示となってしまい、さらにこ
のままではカラー化も困難であった。
最近になってSTNモードの着色現象を軽減化するため
に、液晶層が逆のねじれの向きを持つ液晶セルを2つ積
層し、一方を駆動用、もう一方を補償板として用い、複
屈折による色付きを補償して白黒表示を行わせる2層型
のSTN型液晶表示素子が開発された。しかしながらこの
2層方式は、正面から見た場合は白黒表示であるが、斜
めから見ると色付きを生じたり、液晶セルを2枚用いる
ために素子が厚く、また重くなってしまう上、生産性が
悪いという問題がある。
これらの問題は補償セルを複屈折性の高分子フィルム
に置き換えることにより改善することができる(位相板
型白黒表示STN液晶表示素子)。しかしながらこの位相
板方式では、十分なコントラストを得ることができない
上、さらに視野角が狭くなるという問題があった。
液晶セルを2枚重ねた2層方式において、補償セルの
代わりにねじれ配向した液晶性高分子を補償板とする方
法も提案されている。この方式は、塗布、配向させた液
晶性高分子を補償板の主要構成要素として用いる。液晶
性高分子はガラス転移点以下に冷却することにより液晶
状態での配向状態を固定化できる。ガラス転移点が室温
以上である液晶性高分子を液晶状態でねじれ配向させた
のち冷却すれば、補償用の液晶セルと同等の補償性能を
発現させることができる。固相での自己保持性を利用す
れば、液晶性高分子を保持するための基板は1枚でよ
く、補償板を薄くできる上、コントラストも2層方式と
同等と優れた特性を有している。
しかしながら、この様にして構成された液晶性高分子
補償板は以下の問題を有していた。液晶性高分子はガラ
ス転移点以上に加熱すると流動性となるため、ガラス転
移温度は素子の使用温度より十分高い必要がある。この
ような材料を用いた場合、液晶性高分子を配向させる温
度も必然的に上昇してしまい、生産性が低下したり、耐
熱性の低いプラスチックフィルム等を位相板の基板とし
て用いる場合や偏光板上に位相板を形成する場合などに
は不都合であった。また、この光学位相板を液晶セルの
一部として構成する場合、例えば液晶セルの基板内面に
設ける場合には、液晶性高分子上に透明導電膜を形成し
たり、配向膜を形成する必要がある。これらの工程では
一般に100℃以上に加熱されることから、光学位相板自
体に高い耐熱性が要求される。さらに、配向膜を有機高
分子膜で構成する際には、配向剤の溶媒に対する耐性を
も要求される。従来の液晶性高分子を用いた光学位相板
ではこれらの点で十分ではなかった。
〔発明の目的〕
本発明は以上のような従来技術の問題点に鑑みてなさ
れたものであり、その目的は、低温で成膜でき、しかも
耐熱性と耐溶剤性に優れた光学位相板とその製造方法を
提供することにある。さらに、本発明の目的は、該光学
位相板を補償板に用いた、表示品質に優れ、薄型で、白
黒表示が行える液晶表示素子を提供することにある。
〔課題を解決するための手段及び作用〕
上記目的を達成するため、本発明によれば、透光性基
板上に形成され、略水平配向した高分子膜を主要構成要
素とする光学補償板において、該高分子膜が分子内に架
橋構造を有する液晶性高分子からなることを特徴とする
光学位相板が提供される。
また、本発明によれば、配向処理の施された基板上に
架橋性残基を有する液晶性高分子を塗布する工程と、該
液晶性高分子を配向処理の方向に配向させる工程と、液
晶性高分子の架橋性残基を反応させ、架橋構造を形成す
る工程とを含む光学位相板の製造方法が提供される。
さらに、本発明によれば、電極を有する一対の基板及
び該基板に挾持され正の誘電異方性を有し電圧無印加時
に略水平にかつ螺旋軸を基板に垂直に向けてねじれ配向
した液晶層からなる液晶セルと、基板の外側に配置され
た偏光板と、液晶層と偏光板の間に設けられ略水平配向
した液晶性高分子層を主要構成要素とする光学位相板と
から構成される液晶表示素子において、液晶性高分子層
が、分子内に架橋構造を有する液晶性高分子からなるこ
とを特徴とする液晶表示素子が提供される。
以下に、本発明の光学位相板を第1図に図示した作製
例にしたがって説明する。
(a)まず、基板1上に液晶性高分子を該基板に対して
水平にかつ特定の方向に配向させるための配向膜2を形
成する。配向膜2としては具体的には従来公知の斜方蒸
着膜や、無機または有機被膜を形成した後に綿布などで
ラビングしたものを用いることができる。より具体的に
はポリアミド、ポリイミドなどの高分子被膜等にラビン
グ処理したものや、SiO、MgO、MgF2などを斜め蒸着した
ものを好適に用いる。基板1としてはガラス、プラスチ
ックなどを使用するが、該基板1は液晶セルを構成する
基板や偏光板であってもよい。また、配向膜を設けず基
板を直接ラビング処理して用いる事もできる。
(b)架橋性残基を有する液晶性高分子を配向処理面に
塗布する。塗布は、液晶性高分子を溶融状態で直接塗布
する事もできるが、膜厚の均一性の点から、溶液塗布を
好ましく用いる。液晶性高分子を有機溶媒に溶解された
溶液3を配向膜2上に塗布する。液晶性高分子用の溶
媒としては、そこで用いられる液晶性高分子の種類、重
合度によっても異なるが、一般には、クロロホルム、ジ
クロロエタン、テトラクロロエタン、トリクロロエチレ
ン、テトラクロロエチレン、オルソジクロロベンゼンな
どのハロゲン系炭化水素、フェノール、o−クロロフェ
ノール、クレゾールなどのフェノール系溶媒、ジメチル
ホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホ
キシドなどの非プロトン性極性溶媒、テトラヒドロフラ
ン、ジオキサン等のエーテル系溶媒およびこれらの混合
溶媒を例示できる。
溶液濃度は塗布法、高分子の粘性、目的とする膜厚等
により異なる。液晶表示素子用の補償板として要求され
る膜厚は一般には2〜10μm程度であるため、通常は2
〜50wt%の範囲で使用され、好ましくは5〜30wt%の範
囲で使用される。塗布法としてはスピンコート法、ロー
ルコート法、グラビアコート法、ディッピング法、スク
リーン印刷法、フレキソ印刷法などを採用できる。
ここで用いる液晶性高分子としては、架橋性基を容易
に導入できる点で、下に示すようなポリアクリル酸エス
テル、ポリメタクリル酸エステル、ポリシロキサン誘導
体などに液晶性を示す側鎖を導入した側鎖型液晶性高分
子を特に有利に用いる。
(但し、R3はアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原
子、ニトロ基又はシアノ基であり、nは0〜18の整数を
表わす。) を有するビニル系高分子、ポリシロキサン等。
架橋性基としては、光架橋性のものが好ましく、シン
ナモイル基、シンナミリデンアセチル基、ベンザルアセ
トフェノン基、スチリルピリジン基、α−フェニルマレ
ンイミド基、フェニルアジド基、スルホン酸アジド基、
カルボニルアジド基、フリルアクロイル基、ピロン基、
アントラセン基、スチルベン基などを例示することがで
きる。液晶性高分子にこれらの架橋基を導入するには、
れらの架橋基を有するビニルモノマーなどを液晶性高分
子の重合時に共重合させたり、液晶性高分子を合成後、
エステル交換反応等により高分子反応によって架橋性基
を導入する。
架橋性基の導入率は、あまり多いと液晶形成を阻害
し、逆に少なすぎる場合には、十分な架橋反応が行われ
ず、耐熱性や耐溶剤性の向上は見られない。そのため、
液晶性残基に対して0.1〜20%の範囲で導入することが
好ましい。
液晶性高分子にねじれ構造を導入する場合には、液晶
性高分子の構造中に光学活性基を導入したり、または光
学活性基を有する高分子または高分子化合物を液晶性高
分子に添加すればよい。
(c)液晶性高分子を塗布後、溶媒を乾燥して除去し、
液晶性高分子が液晶性を示す温度で所定時間熱処理して
液晶性高分子を配向させる(3″)。液晶性高分子を配
向させるときの温度は、液晶性高分子のガラス転移点以
上であることが必要で、液晶性高分子の等方性液体への
転移温度より低いことが必要である。配向膜の界面効果
による配向を助ける意味でポリマーの粘性は低い方がよ
く、したがって温度は高い方がよいが、あまり高いとコ
ストの増大と作業性の悪化を招き好ましくない。一般的
には30℃〜200℃の範囲が好ましく。50℃〜200℃の範囲
が特に好ましい。また、液晶性高分子の相との関連で
は、この処理温度において液晶性高分子はネマティック
相またはコレステリック相であることが必要で、スメク
ティック相では高い粘性のため均一な配向は得られな
い。また、一旦等方性液体となる温度まで加熱後、上記
液晶相を呈する温度に冷却して配向させることもでき
る。熱処理時間はポリマーの組成、分子量によって異な
るが、一般には10秒〜60分の範囲が好ましく、30秒〜30
分の範囲が特に好ましい。処理時間が短すぎる場合には
配向が不十分となり、また、長すぎる場合には生産性が
低下し好ましくない。
(d)液晶配向が完成されてから液晶性高分子膜はガラ
ス転移点以下の温度に冷却すれば、配向を固定化する事
ができる。冷却速度は特に制限されず、加熱雰囲気から
ガラス転移点以下の雰囲気に移すだけでよい。これより
低い場合、固定化した配向構造が崩れることがあり、好
ましくない。液晶性高分子3′の膜厚は100μm以下で
あることが好ましく、50μm以下であることが特に好ま
しい。100μm以上であると均一な配向を得ることが困
難となる。
(e)液晶性高分子に紫外線を照射し、液晶性高分子を
架橋させる(3)。さきに例示したシンナメート基を有
する液晶性高分子では、下記のような架橋反応が起こ
り、配向構造が完全に定着される。
ポリマーの架橋構造 液晶性高分子の架橋は、この例のように、液晶性高分
子をガラス転移点以下に冷却して、液晶構造を固定化し
てから行うこともできるし、また、液晶状態で架橋させ
ることもできる。しかしながら、液晶状態で架橋された
場合には、架橋反応にともなって、体積変化を生じ、膜
に皺ができたり、あるいは配向自体が破壊されることが
あるため、特に前者を好ましく採用する。
この様にして得られた光学位相板は、架橋構造を有す
るため、耐熱性と耐溶剤性が向上したものとなる。
次に、上記の光学位相板をSTN型液晶表示素子の補償
板として用いた場合について説明する。
第2図は本発明によるSTN型液晶表示素子の構成を示
す断面図である。第1の透光性基板11と第2の透光性基
板21とが離間、対向して配設され、両基板11,21と外周
シール14とによって形成された空間に液晶が封入されて
液晶層15をなし、液晶セルが形成されている。基板11と
基板21の内面には液晶層15に電圧を印加するための透明
電極12,22と液晶を一定方向に配向させるための配向膜1
3,23が形成されている。基板21の透明電極22と基板21の
間には、本発明の特徴である架橋構造を有する液晶性高
分子からなる光学位相板30が配置されている。17,27は
偏光板、33は配向膜である。
液晶層15において、液晶は正の誘電異方性を有するネ
マティックまたはコレステリック液晶で、配向膜13,23
により、電圧を印加しない状態で基板面にほぼ平行に配
向している。液晶は上下基板の間で螺旋軸を基板面に垂
直に向けたねじれ配向をとっていることが好ましく、そ
のねじれ角は160゜〜360゜であることが好ましい。ねじ
れ角が小さい場合には電圧−透過率特性の急峻性が低下
し、時分割駆動特性が低下する。液晶のねじれ角は、第
3図に示すように下基板11の配向膜13の配向処理方向
(R1)、上基板21の配向膜23の配向処理方向(R2)およ
び液晶のピッチと液晶層15の厚さを制御することによっ
て容易に制御が司能である。液晶層15のレターデーショ
ンRLは液晶の屈折率異方性ΔnLと液晶層15の厚さdLの積
ΔnL・dLで定義される。RLは、良好なコントラストを得
るためには0.4〜2.0μmの範囲であることが好ましく、
0.5〜1.5μmの範囲であることが特に好ましい。基板21
の液晶性高分子と接触する面には、液晶性高分子を基板
に対して平行に、かつ特定の方向に配列させるための配
向膜33が施されており、該基板上において液晶性高分子
は該配向膜33の配向処理の方向(R3)に配向している。
液晶性高分子はそのピッチと膜厚で決まるねじれ角でね
じれており、液晶層15に隣接する表面ではD4なる方向に
配向する。D4とR2とはほぼ直交していることが必要で、
この条件が満たされない場合、補償効果が低下して、コ
ントラストが低下したり、色付きを生じる。具体的な角
度で示すと、両者の交角δは60゜〜120゜の範囲である
ことが必要で、70゜〜110゜の範囲であることがより好
ましい。液晶性高分子層30のレターデーションRCは液晶
性高分子の屈折率異方性ΔnCと液晶性高分子層30の厚さ
dCの積ΔnC・dCで定義される。RCは、良好なコントラス
トを得るためには液晶層15のレターデーションRLとほぼ
等しいことが必要である。この様な配置において、、偏
光板17を直線偏光で通過し、液晶層15によって波長によ
り異なる楕円偏光となった光は、液晶性高分子層30によ
って再度波長依存性の無い直線偏光となり、偏光板27に
入射し、白黒表示が行われる。一般に、偏光板17はその
透過軸P1が基板11における配向処理方向R1とαなる角度
だけずらされて配置される。αの好ましい範囲は20゜〜
70゜である。偏光板27の透過軸P2は、液晶性高分子層30
最上面における液晶性高分子の配向方向R3に対して20゜
〜70゜の範囲の角度βだけずらされて配置される。な
お、以上は偏光板の透過軸を基準に考えたが、偏光板の
特性上透過軸を吸収軸に言い替えても効果はまったく変
わらない。
上記の如き構成では、液晶性高分子層を形成後、酸化
インジウムなどからなる透明導電膜や配向膜を液晶性高
分子層の上に構成する必要があるが、本発明では、架橋
され、配向が完全に定着された液晶性高分子膜を用いて
いるために、これらを形成する際の熱による液晶性高分
子の配向劣化すなわち補償性能の劣化は見られない。
本構成例は、補償板を設けることによる素子の厚みや
重量の増加は無視できるほど小さく、また補償板がねじ
れ構造をとっているために理想的な補償性能が発現し、
高コントラストの白黒表示が行える。
液晶性高分子層は液晶セルの基板の外側に形成するこ
とも可能であるし、また、偏光板上に形成することもで
きる。まったく別の基板上に形成して、偏光板と液晶セ
ルの間に挿入することもできる。また、液晶性高分子層
を2層以上採用することも可能であり、さらに、第1図
の上下関係を入れ換えても効果は変わらない。また反射
板を設けて反射型の表示素子として用いることも可能で
ある。
〔実施例〕
次に実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本
発明はここに例示の実施例に限定されるものではない。
実施例1 ガラス基板上に日立化成製のポリイミドワニスPIQを
スピンコート法で約1000Åの厚さに塗布し、ついで270
℃で焼成してポリイミド膜を形成した。ついでポリイミ
ド膜上をテトロン植毛布で一方向にこすり、ラビング処
理を行った。
下記式(A)のシンナメート基を有するネマティック
型アクリル系液晶性高分子のジメチルホルムアミド溶液
を配向膜上に塗布、乾燥した後、液晶性高分子がネマテ
ィック液晶相を呈する115℃に加熱し、液晶性高分子を
配向させた。ついで、室温に急冷したところ、ねじれ角
が220゜で、ΔnCdC=0.82μmのモノドメイン配向した
液晶性高分子層が得られた。この試料に超高圧水銀灯に
より紫外線を照射し、液晶性高分子を架橋させた。架橋
後の試料もモノドメインの均一配向であり、140℃の加
熱によっても、組織変化は見られなかった。
得られた試料の液晶性高分子面に、スパッタ法により
酸化インジウム膜を形成しても、同様に変化はみられな
かった。酸化インジウムをフェトリソ法によりパターニ
ングし、次に、日本合成ゴム社製のポリイミド系配向剤
JIBを1000Åの厚さに塗布し、120℃で乾燥させたのち、
液晶性高分子表面の液晶配向方向と直交する方向にラビ
ング処理を施した。配向剤塗布工程においても、液晶性
高分子の配向はまったく変化せず、優れた耐溶剤性が確
認された。
配向剤JIBを塗布し、ラビング処理を施した別の基板
と前記液晶性高分子膜を塗布した基板とをラビング方向
が220゜の角度をなすようにスペーサーを介して貼り合
わせ、空隙にメルク社製のネマティック液晶ZLI2293と
カイラルネマティック液晶S811の混合液晶を注入するこ
とにより、液晶セルを作製した。ΔnL・dLは0.87μm
で、ねじれの向きは液晶性高分子とは逆回りとした。
このセルを2枚の偏光板で挾み、液晶表示素子を作製
した。α=β=45゜とした。
この液晶表示素子をデューティ1/200の時分割駆動で
駆動させたところ、第4図に示すように、優れた白黒表
示が行えた。
〔発明の効果〕 本発明の光学位相板は、ねじれ配向した液晶性高分子
を用いているために、STN型液晶表示素子と組み合わせ
ることにより優れた補償性能を発揮し、高コントラスト
の無彩色表示を行わせることができる。さらに、本発明
の光学位相板は、架橋構造を有するため、耐溶剤性と耐
熱性に優れている。そのため、位相板上に透明導電膜や
配向膜を形成することが容易で、液晶セルの基板内面に
位相板を設けることができ、素子を薄く作製することが
できる。また、最終的には高い耐熱性を有するものの、
位相板形成時には低温で処理できるため、プラスチック
フィルム上に形成することも可能で、補償板を薄く作製
することができる。
本発明の光学位相板は、上述のようにSTN型液晶表示
素子の色補償板として特に好適に用いられるが、一般的
な光学素子としてもきわめて有用なものである。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の光学位相板の製造工程を示す図、第2
図は本発明によるSTN型液晶表示素子の構成を示す断面
図、第3図は第2図の液晶表示素子における各要素の角
度関係を示す図、第4図は実施例1の液晶表示素子にお
ける透過率の波長依存性を示す図である。 11,21……基板 12,22……透明電極 13,23,33……配向膜 14……外周シール 15……液晶層 17,27……偏光板 30……高分子液晶層(補償板)
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−40250(JP,A) 特開 昭63−149624(JP,A) 特開 平2−91612(JP,A) 実開 平1−92634(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G02F 1/133 G02B 5/30

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】透光性基板上に形成され、略水平配向した
    高分子膜を主要構成要素とする光学補償板において、該
    高分子膜が分子内に架橋構造を有する液晶性高分子から
    なることを特徴とする光学位相板。
  2. 【請求項2】配向処理の施された基板上に架橋性残基を
    有する液晶性高分子を塗布する工程と、該液晶性高分子
    を配向処理の方向に配向させる工程と、液晶性高分子の
    架橋性残基を反応させ、架橋構造を形成する工程とを含
    む光学位相板の製造方法。
  3. 【請求項3】電極を有する一対の基板及び該基板に挾持
    され正の誘電異方性を有し電圧無印加時に略水平にかつ
    螺旋軸を基板に垂直に向けてねじれ配向した液晶層から
    なる液晶セルと、基板の外側に配置された偏光板と、液
    晶層と偏光板の間に設けられ略水平配向した液晶性高分
    子層を主要構成要素とする光学位相板とから構成される
    液晶表示素子において、液晶性高分子層が、分子内に架
    橋構造を有する液晶性高分子からなることを特徴とする
    液晶表示素子。
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