JP2882911B2 - 自動車外装用ポリプロピレン系樹脂組成物 - Google Patents

自動車外装用ポリプロピレン系樹脂組成物

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JP2882911B2
JP2882911B2 JP16944691A JP16944691A JP2882911B2 JP 2882911 B2 JP2882911 B2 JP 2882911B2 JP 16944691 A JP16944691 A JP 16944691A JP 16944691 A JP16944691 A JP 16944691A JP 2882911 B2 JP2882911 B2 JP 2882911B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は自動車外装用ポリプロピ
レン系樹脂組成物に関し、特に成形性に優れるととも
に、耐衝撃性、延性、寸法安定性、硬度等のバランスの
よい自動車外装用ポリプロピレン系樹脂組成物に関す
る。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】ポリプ
ロピレンは軽量であり、かつ機械的強度等に優れている
ので、各種の分野に広く利用されている。しかしなが
ら、耐衝撃性に劣るため、その改良を目的として、プロ
ピレン−エチレンブロック共重合体にエチレン−プロピ
レン共重合体ゴム(EPR)、タルク等の無機フィラーを添
加してなる種々のポリプロピレン系樹脂が提案されてい
る。
【0003】特開昭61-12742号は、(a) エチレン含量2
〜3重量%、メルトフローレート40〜45g/10 分のプロ
ピレン−エチレンブロック共重合体62〜57重量%、(b)
エチレン含量70〜80重量%、ムーニー粘度ML1+4 (100
℃)55 〜58のエチレン−プロピレン共重合体ゴム26〜28
重量%、(c) 密度0.955 〜0.960 g/cm3 、メルトフロー
レート18〜22g/10 分の高密度ポリエチレン2〜3重量
%、(d) 平均粒径1.8 〜2.2 μm、比表面積36000 〜42
000 cm2 /gのタルク10〜12重量%からなり、メルトフロ
ーレート13〜18g/10 分、密度0.950 〜0.980 g/cm3
曲げ弾性率11500〜14000 kg/ cm2 、20〜80℃間の線膨
張係数7×10-5〜10×10-5cm/ cm/ ℃及びJIS-Z8741 の
60°−60°法による表面光沢度55%以上であることを特
徴とする樹脂組成物を開示している。
【0004】特開平1-149845号は、(a) エチレン含有量
が20〜60重量%の沸騰キシレン可溶分を5〜12重量%含
み、重合体全体のエチレン含量が1〜7重量%でかつメ
ルトフローレートが15〜50g/10 分のプロピレン−エチ
レンブロック共重合体59〜74重量%と、(b) プロピレン
含量が20〜60重量%でかつムーニー粘度ML1+4 (100℃)
が100 〜150 のエチレン−プロピレン系共重合体ゴム35
〜20重量%と、(c) 比表面積が30000 cm2 /g以上、平均
粒径が0.5 〜2.0 μmであるタルク3〜6重量%を配合
してなることを特徴とする樹脂組成物を開示している。
【0005】しかしながら特開昭61-12742号及び特開平
1-149845号の樹脂組成物は、いずれも寸法安定性(線膨
張率)が大きく、組み立て時に寸法誤差を生じやすく、
また例えばバンパーに用いた場合には高温環境下におか
れたときの車体との線膨張率の差によりバンパーが変形
しやすく、このため外観を損なうことがあるという問題
がある。
【0006】また上述したようなプロピレン−エチレン
ブロック共重合体とエチレン−プロピレン共重合体ゴム
(及び高密度ポリエチレン)とタルクとからなるような
系では、一般にプロピレン−エチレンブロック共重合体
やエチレン−プロピレン共重合体ゴムにおけるエチレン
とプロピレンとの比や、分子量等を調整することによ
り、それぞれの用途に適した流動性を有する組成物とし
ている。しかしながら、上記のような方法では、成形
性、剛性、延性、硬度等の諸物性がいずれも自動車外装
用樹脂として良好なレベルにある、いわゆるバランスの
よい組成物とするのが困難であるという問題がある。
【0007】また特公昭63-42930号は、(a) エチレン含
有量20重量%以下の結晶性エチレン−プロピレンブロッ
クまたはランダム共重合体7〜87重量%、(b) エチレン
含有量20〜90重量%でムーニー粘度10〜120 のエチレン
−α−オレフィン共重合体ゴム5〜50重量%、(c) 結晶
性ポリオレフィン及び/又はエチレン−α−オレフィン
共重合体ゴムを不飽和カルボン酸又はその誘導体で変性
してなる変性ポリオレフィン3〜50重量%、及び(d) 平
均粒子径0.5 〜15μmでアスペクト比3〜10のタルク、
平均粒子径1〜200 μmでアスペクト比10〜100 のマイ
カ、または平均粒子径1〜100 μmでアスペクト比3〜
30の繊維結晶性ケイ酸カルシウム5〜40重量%とからな
るポリオレフィン組成物を開示しており、さらに実施例
中に、任意成分として高密度ポリエチレン等の他のポリ
オレフィンを添加したものを開示している。
【0008】上記組成物は結晶性ポリオレフィンの剛
性、低温耐衝撃性等に優れるものであるが、自動車の外
装に用いる樹脂組成物としての諸物性 (例えば、寸法安
定性、剛性、耐衝撃性、成形性、硬度、曲げ弾性率等の
機械的強度) が必ずしも十分でなく、特に成形性、延
性、硬度、耐衝撃性、寸法安定性のバランスを良好なも
のとすることについては何ら示されてはいない。また本
発明者らが自動車の外装に用いる樹脂としての諸物性に
ついて検討したところ、組成物の成形性を向上させるた
めには流動性の大きい原料を用いればよいが、すると今
度は硬度や耐衝撃性等が低下する傾向があり、また流動
性の小さい原料を用いると、バンパー等の大型射出成形
品の場合には成形が困難になることがあることがわかっ
た。
【0009】以上のように従来は自動車の外装に用いる
樹脂として、剛性、耐衝撃性、成形性、寸法安定性、硬
度、曲げ弾性率等の機械的強度等がすべて良好な範囲内
にあるもの、いわゆるバランスのよい樹脂組成物はなか
った。したがって、本発明の目的は、塗装性や成形性に
優れるとともに、耐衝撃性、延性、寸法安定性、硬度等
のバランスのよい自動車外装用ポリプロピレン系樹脂組
成物を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題に鑑み鋭意研究
の結果、本発明者らは、特定の流動性を有するプロピレ
ン−エチレンブロック共重合体と、特定の流動性を有す
るエチレン−プロピレン共重合体ゴムとを組み合わせて
用いるとともに、ポリエチレンと、不飽和カルボン酸又
はその無水物による変性ポリプロピレンと、微細タルク
とをそれぞれ所定量含有してなる組成物は、成形性の向
上が認められるとともに、硬度の低下がなく、しかも耐
衝撃性が向上しており、延性、機械的強度、寸法安定性
等も良好であるという驚くべき事象を見出し、本発明に
想到した。
【0011】すなわち、本発明の自動車外装用ポリプロ
ピレン系樹脂組成物は、(a) メルトフローレートが40g
/10 分以上のプロピレン−エチレンブロック共重合体50
〜65重量%と、(b) メルトフローレートがg/10 分以
上のエチレン−プロピレン共重合体ゴム15〜30重量%
と、(c) メルトインデックスが10g/10 分以上のポリエ
チレン5〜10重量%と、(d) 不飽和カルボン酸又はその
無水物による変性ポリプロピレン1〜5重量%と、(e)
平均粒子径が1.5 μm以下のタルク10〜20重量%とを含
有することを特徴とする。
【0012】本発明を以下詳細に説明する。本発明にお
いて、(a)プロピレン−エチレンブロック共重合体は、
多段重合により合成されるものである。
【0013】上記多段重合は、例えばまずチーグラ触媒
等の存在下でプロピレンを重合することにより、結晶性
プロピレンホモポリマー成分(あるいはプロピレンと少
量のコモノマー成分とのコポリマー成分)を重合し、次
の段階でエチレンとプロピレンとのランダム共重合体成
分を重合するような方法である。
【0014】上記多段重合により合成されたプロピレン
−エチレンブロック共重合体とは、実質的に結晶性ポ
リプロピレン成分と、プロピレン−エチレンランダム
共重合体成分とからなるものであり、少量のポリエチレ
ン成分を含有していてもよく、それぞれの成分はそれぞ
れ単独のポリマーとして存在していても、あるいはそれ
ぞれが結合した状態にあってもよい。なお、上記各成分
は基本的にはプロピレン及び/又はエチレンとからなる
ものであるが、他のα−オレフィンやジエン系モノマー
等と少量共重合していてもよい。
【0015】上記各成分の含有量については+の合
計を100 重量%として、結晶性ポリプロピレン成分が80
〜95重量%、プロピレン−エチレンランダム共重合体成
分が5〜20重量%が好ましい。なお、ポリエチレン成分
を含有する場合その含有量は5重量%以下程度である。
【0016】上記プロピレン−エチレンブロック共重合
体のメルトフローレート(MFR、230 ℃、2.16kg荷
重) は40g/10 分以上である。MFRの値が40g/10 分
未満では得られる組成物の成形性、特に射出成形性が低
下する。好ましいプロピレン−エチレンブロック共重合
体のMFRは40〜100 g/10 分である。
【0017】本発明において(b) エチレン−プロピレン
共重合体ゴム(EPR)は、エチレンの含有率が50〜90モル
%、プロピレンの含有率が50〜10モル%であることが好
ましい。より好ましい範囲は、エチレンが70〜80モル
%、プロピレンが30〜20モル%である。
【0018】また、本発明においてはEPR のメルトフロ
ーレート(MFR、230 ℃、2.16kg荷重) はg/10 分以上
である必要がある。メルトフローレートがg/10 分未
満では得られる組成物の成形性、特に射出成形性が低下
する。好ましいメルトフローレートの値は、5〜15g/1
0 分である。
【0019】また本発明において(c) ポリエチレンと
は、基本的にはエチレンから誘導される繰り返し単位か
らなるものである。またそのメルトインデックス (MI、
190 ℃、2.16kg荷重) は10g/10 分以上である。メルト
インデックスが10g/10 分未満では得られる組成物の成
形性、特に射出成形性が低下する。好ましいメルトイン
デックスの値は、15〜30g/10 分である。このようなポ
リエチレンの密度は通常0.890 〜0.975 g/cm3である。
【0020】なお上記ポリエチレンは、その分枝構造や
密度等により低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチ
レン、高密度ポリエチレン等が挙げられるが、本発明に
おいてはいずれのものも用いることができる。特に得ら
れる組成物の機械的強度の点で高密度ポリエチレンが好
ましい。
【0021】本発明において高密度ポリエチレンは、密
度0.935 g/cm3 以上のポリエチレンである。
【0022】また(d) 不飽和カルボン酸又はその無水物
による変性ポリプロピレンにおいて、不飽和カルボン酸
又はその無水物としては、例えばアクリル酸、メタクリ
ル酸等のモノカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、イタ
コン酸等のジカルボン酸、無水マレイン酸、無水イタコ
ン酸、エンド−ビシクロ−[2,2,1] −5−ヘプテン−2,
3−ジカルボン酸無水物 (無水ハイミック酸) 等のジカ
ルボン酸無水物等が挙げられ、特にジカルボン酸及びそ
の無水物が好ましい。
【0023】不飽和カルボン酸又はその無水物による変
性ポリプロピレンはブロック共重合体、グラフト共重合
体、ランダム共重合体又は交互共重合体のいずれでもよ
い。
【0024】変性ポリプロピレン中の不飽和カルボン酸
又はその無水物の含有量は、例えば無水マレイン酸によ
り変性する場合には、0.01〜10重量%、好ましくは0.1
〜0.3 重量%の範囲内となるようなものであるのが好ま
しい。不飽和カルボン酸又はその無水物による変性量が
それぞれ上記下限値未満であると、プロピレン−エチレ
ンブロック共重合体と、エチレン−プロピレン共重合体
ゴムとの相溶化が十分でなく、また上限値を超えると機
械的強度が低下する。
【0025】上述したような不飽和カルボン酸又はその
無水物による変性対象となるポリプロピレンは、プロピ
レンモノマーを主成分として重合した結晶性のポリマー
であり、ホモポリマーに限らず、プロピレンとエチレン
等の他のα−オレフィンとのブロックコポリマー又はラ
ンダムコポリマーを含む。コポリマーの場合、プロピレ
ン−エチレンランダム共重合体が好ましい。この場合、
エチレン含有量は1〜10重量%が好ましい。このような
ポリプロピレンは通常0.01〜100 g/10分のメルトフロー
レート(MFR 、JISK7210、荷重2.16kg、230 ℃) を有す
る。
【0026】また非共役ジエンコモノマーを含有するプ
ロピレンランダム共重合体(以下PPDMと呼ぶ)等を用い
てもよい。非共役ジエンとしては、例えば、2-メチル-
1,4-ペンタジエン、1,4-ヘキサジエン、4-メチリデン-1
- ヘキセン、4-メチル-1,4-ヘキサジエン、5-メチル-1,
4- ヘキサジエン、1,4-ヘプタジエン、4-エチル-1,4-
ヘキサジエン、4,5-ジメチル-1,4- ヘキサジエン、4-メ
チル-1,4- ヘプタジエン、4-エチル-1,4- ヘプタジエ
ン、5-メチル-1,4- ヘプタジエン、5-メチル-1,4- オク
タジエン、1,5-ヘプタジエン、1,5-オクタジエン、5-メ
チル-1,5- ヘプタジエン、6-メチル-1,5- ヘプタジエ
ン、2-メチル-1,5- ヘキサジエン、1,6-オクタジエン、
6-メチル-1,6- オクタジエン、7-メチル-1,6- オクタジ
エン、2-メチル-1, 6-ヘプタジエン、1,9-デカジエン、
1,13- テトラデカジエンなどが挙げられる。これらの中
で、特に、1,4-ヘキサジエン、2-メチル-1,5- ヘキサジ
エン、7-メチル-1,6- オクタジエン、1,9-デカジエン、
1,13- テトラデカジエン等が好ましい。これらの非共役
ジエンコモノマーは、2種以上用いることもできる。
【0027】以上に説明したように、本明細書において
使用する用語「ポリプロピレン」はプロピレンのホモポ
リマーに限定されず、上記したような各共重合体をも含
むものと解すべきである。
【0028】なお上述したような変性ポリプロピレンの
メルトフローレート (MFR 、230 ℃、2.16kg荷重) は1
〜300g/10 分の範囲内にある。
【0029】変性ポリプロピレンの製造は溶液法又は溶
融混練法のいずれでも行うことができる。溶融混練法の
場合、ポリプロピレン、変性用不飽和カルボン酸(又は
酸無水物)及び触媒を押出機や二軸混練機等に投入し、
180 〜250 ℃の温度に加熱して溶融しながら混練する。
触媒として通常のラジカル重合用触媒を用いることがで
き、例えば過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸
化ジターシャリーブチル、過酸化アセチル、ターシャリ
ーブチルペルオキシ安息香酸、過酸化ジクミル、ぺルオ
キシ安息香酸、ペルオキシ酢酸、ターシャリーブチルペ
ルオキシピバレート、2,5-ジメチル-2,5- ジターシャリ
ーブチルペルオキシヘキシン等の過酸化物類や、アゾビ
スイソブチロニトリル等のジアゾ化合物類等が好まし
い。触媒の添加量は変性用不飽和カルボン酸又はその無
水物 100重量部に対して1〜 100重量部程度である。
【0030】本発明において(e) タルクは、樹脂等の充
填剤・強化剤等として一般に用いられているものであ
る。ただし、本発明においては上記タルクとしては平均
粒径が1.5 μm以下のものを用いる。タルクの平均粒径
が1.5 μmを超えると、曲げ弾性率等の機械的強度が低
下する。なお、ここで平均粒径は積算ふるいにより求め
た粒度分布曲線が50%の線と交差するときの粒径であ
る。
【0031】上述したような各種成分の配合割合は、
(a) プロピレン−エチレンブロック共重合体が50〜65重
量%、好ましくは50〜60重量%であり、(b) エチレン−
プロピレン共重合体ゴムが15〜30重量%、好ましくは15
〜25重量%であり、(c) ポリエチレンが5〜10重量%で
あり、(d) 不飽和カルボン酸又はその無水物による変性
ポリプロピレンが1〜5重量%、好ましくは3〜5重量
%であり、(e) タルクが10〜20重量%、好ましくは10〜
15重量%である。
【0032】(a) プロピレン−エチレンブロック共重合
体が50重量%未満では得られる組成物の伸度、硬度等が
低下しやすく、また65重量%を超えると耐衝撃性が低下
する。
【0033】(b) エチレン−プロピレン共重合体ゴムが
15重量%未満では耐衝撃性が低下し、また30重量%を超
えると曲げ弾性率、硬度等の機械的強度が低下する。
【0034】(c) ポリエチレンが5重量%未満では曲げ
弾性率等の機械的強度の向上が十分でなく、また10重量
%を超えると、寸法安定性等が低下する。
【0035】(d) 不飽和カルボン酸又はその無水物によ
る変性ポリプロピレンが1重量%未満ではその添加によ
る効果が十分に発揮されず、また5重量%を超えると、
得られる組成物のメルトフローレートが低下する。
【0036】さらに(e) タルクの含有量が10重量%未満
では曲げ弾性率等の機械的強度が十分でなく、20重量%
を超えると低温耐衝撃性や成形性が低下する。
【0037】本発明の自動車外装用ポリプロピレン系樹
脂組成物は、その他にその改質を目的として、他の添加
剤、例えば熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、難燃剤、
可塑剤、帯電防止剤、離型剤、発泡剤等を添加すること
ができる。
【0038】このような本発明の組成物は一軸押出機、
二軸押出機等の押出機を用いて、150 〜300 ℃、好まし
くは190 〜250 ℃で溶融混練することによって得ること
ができる。
【0039】
【作用】本発明の自動車外装用ポリプロピレン系樹脂組
成物は、高流動性を有するプロピレン−エチレンブロッ
ク共重合体と、高流動性を有するエチレン−プロピレン
共重合体ゴムとを組み合わせて用いるとともに、流動性
の大きいポリエチレンと、不飽和カルボン酸又はその無
水物による変性ポリプロピレンと、微細タルクとをそれ
ぞれ所定量含有してなるので、寸法安定性、塗装性及び
成形性に優れるとともに、硬度の低下がなく、しかも耐
衝撃性と延性と硬度とのバランスがよく、自動車の外装
品用の樹脂として好適なものである。
【0040】このような効果が得られる理由は必ずしも
明らかではないが、プロピレン−エチレンブロック共重
合体は、エチレン−プロピレン共重合体ゴムとの相溶性
が比較的良好なものであり、これに樹脂成分として変性
ポリプロピレンと、ポリエチレンとを添加しているので
耐衝撃性を低下させることなく、硬度、柔軟性の向上が
得られ、さらにプロピレン−エチレンブロック共重合体
と、エチレン−プロピレン共重合体ゴムと、ポリエチレ
ンとをそれぞれ特定の流動特性を有するものとしている
ので成形性の向上が得られ、もって各種物性値のバラン
スを自動車の外装用の材料として好適なものとしている
ためであると考えられる。
【0041】
【実施例】本発明を以下の実施例により、さらに詳細に
説明する。なお、原料となる樹脂及びタルクとしては以
下のものを使用した。 [1] プロピレン−エチレンブロック共重合体 BPP−1:〔メルトフローレート(MFR、230 ℃、2.16
kg荷重) 70g/10 分、エチレン含有量8重量%〕 BPP−2:〔メルトフローレート(MFR、230 ℃、2.16
kg荷重) 30g/10 分、エチレン含有量7重量%〕 [2] 変性ポリプロピレン CMPP:〔ポリプロピレンホモポリマー(HPP)を無水
マレイン酸(MAH) により変性したもの、無水マレイン酸
のグラフト率0.1 重量%、メルトフローレート(MFR、23
0 ℃、2.16kg荷重) 30g/10 分〕 [3] エチレン−プロピレン共重合体ゴム EPR−1:〔日本合成ゴム(株)製 EP912P 、メルト
フローレート(MFR、230℃、2.16kg荷重) 9g/10 分、
硬さ(JIS A) =73〕 EPR−2:〔日本合成ゴム(株)製 EP02P、メルトフ
ローレート(MFR、230 ℃、2.16kg荷重) 3g/10 分、硬
さ(JIS A) =55〕 [4] ポリエチレン ・高密度ポリエチレン HDPE−1:〔メルトインデックス (MI、190 ℃、2.
16kg荷重) 20g/10 分、密度0.955 g/cm3 〕 HDPE−2:〔メルトインデックス (MI、190 ℃、2.
16kg荷重)1.2g/10 分、密度0.953 g/cm3 〕 [5] タルク Ta−1:〔富士タルク(株)製 LMS300、平均粒径1.
25μm〕 Ta−2:〔富士タルク(株)製 PKP-80、平均粒径5.
3 μm以上〕
【0042】実施例1〜3、比較例1〜12 第1表に示す配合割合でプロピレン−エチレンブロック
共重合体(BPP-1又はBPP-2)、変性ポリプロピレン(CMP
P) 、エチレン−プロピレン共重合体ゴム (EPR-1 又はE
PR-2)、高密度ポリエチレン (HDPE-1又はHDPE-2) 及び
タルク (Ta-1又はTa-2) をスーパーミキサーでドライブ
レンドし、その後二軸押出機に投入し、190〜250 ℃、
スクリュー回転数200rpmで混練し、ペレットを得た。
【0043】次に得られたペレットを、射出成形機によ
り、射出温度210 ℃、射出圧力600kg/cm 2 で後述する
物性測定用の試験片に成形した。
【0044】このようにして得られた試験片に対して、
メルトフローレート、曲げ弾性率、アイゾット衝撃強
度、熱変形温度、ロックウェル硬度、成形収縮率及び線
膨張率を測定した。結果を第2表に示す。また、各実施
例の成形品については、塗装性についても評価を行っ
た。
【0045】 第 1 表 組 成 (重量部) 実施例1 実施例2 実施例3 比較例1 比較例2 BPP−1 57 57 50 − 57 BPP−2 − − − 57 − CMPP 3 3 5 3 3 EPR−1 20 25 15 20 − EPR−2 − − − − 20 HD PE−1 5 5 10 5 5 Ta−1 15 10 20 15 15
【0046】 第 1 表 (続 き) 組 成 (重量部) 比較例3 比較例4 比較例5 比較例6 比較例7 BPP−1 59.5 40 57 52 57 CMPP 3 5 3 3 3 EPR−1 10 35 25 15 20 HD PE−1 7.5 5 − 15 − HD PE−2 − − − − 5 Ta−1 15 15 15 15 15
【0047】 第 1 表 (続 き) 組 成 (重量部) 比較例8 比較例9 比較例10 比較例11 比較例12 BPP−1 60 52 65 52 57 CMPP − 8 3 3 3 EPR−1 20 20 22 15 20 HD PE−1 5 5 5 5 5 Ta−1 15 15 5 25 − Ta−2 − − − − 15
【0048】 第 2 表 物 性 実施例1 実施例2 実施例3 比較例1 比較例2 M F R (g/10 分)(1) 20 21 19 11 12 曲げ弾性率 (kgf/cm2 ) (2) 17000 13500 16000 16500 16000 アイゾット衝撃強度 (kgf-cm/cm, ノッチ付き) (3) 23℃ 35 40 35 31 32 −30℃ 7 8 6 7 7 熱変形温度 (℃) (4) 120 110 115 119 120 ロックウェル硬度 (R)(5) 60 50 65 60 55 成形収縮率 (‰) (6) TD 8.5 8.5 8.5 8.5 8.5 MD 6.0 6.0 6.5 6.0 6.0 線膨張率 (×10-5) (7) TD 6.5 7.5 7.5 6.5 7.0 MD 5.0 5.5 6.0 5.0 5.5
【0049】 第 2 表 (続 き) 物 性 比較例3 比較例4 比較例5 比較例6 比較例7 M F R (g/10 分)(1) 19 18 19 19 15 曲げ弾性率 (kgf/cm2 ) (2) 17500 11000 13500 16500 17000 アイゾット衝撃強度 (kgf-cm/cm, ノッチ付き) (3) 23℃ 20 40 30 25 35 −30℃ 3 10 6 4 7 熱変形温度 (℃) (4) 125 97 105 123 120 ロックウェル硬度 (R)(5) 70 41 46 65 60 成形収縮率 (‰) (6) TD 11.0 8.0 8.5 12.0 8.5 MD 9.0 5.0 6.0 10.0 6.0 線膨張率 (×10-5) (7) TD 9.0 9.0 8.5 9.5 6.5 MD 7.0 5.0 6.0 7.5 5.0
【0050】 第 2 表 (続 き) 物 性 比較例8 比較例9 比較例10 比較例11 比較例12 M F R (g/10 分)(1) 20 8.0 20 16 20 曲げ弾性率 (kgf/cm2 ) (2) 13000 16000 12000 19000 13000 アイゾット衝撃強度 (kgf-cm/cm, ノッチ付き) (3) 23℃ 28 30 40 30 32 −30℃ 5 5 10 3 5 熱変形温度 (℃) (4) 105 115 95 125 120 ロックウェル硬度 (R)(5) 43 60 55 70 65 成形収縮率 (‰) (6) TD 11.0 8.5 9.0 7.5 8.5 MD 8.0 6.0 7.5 5.5 6.0 線膨張率 (×10-5) (7) TD 8.5 6.5 7.5 6.0 6.5 MD 6.5 5.0 6.0 4.5 5.0
【0051】(1) MFR:ASTM D1238により230 ℃、21
60gの荷重下で測定。 (2) 曲げ弾性率:ASTM D790 により測定。 (3) アイゾット衝撃強度:ASTM D256 により3.2 mm厚試
験片を用いて、ノッチ付きにて測定。 (4) 熱変形温度:ASTM D648 により4.6 kg/ cm2 の圧力
にて測定。 (5) ロックウェル硬度:ASTM D785 により測定。 (6) 成形収縮率:350 mm×100 mm×3mmのシートを成形
後、24時間、20℃の恒温室に放置し、その収縮率を幅方
向(TD)及び長手方向(MD)について測定。 (7) 線膨張率:成形収縮率と同様のシートについて、−
30〜80℃の温度範囲における寸法変化を幅方向(TD)
及び長手方向(MD)について測定。
【0052】第2表より明らかなように、本発明の自動
車外装用ポリプロピレン系樹脂組成物は、成形性(MF
Rの値)、曲げ弾性率、アイゾット衝撃強度、熱変形温
度、ロックウェル硬度、成形収縮率及び線膨張率の値が
すべて良好であった。これに対し、各比較例の組成物は
上記各種物性の少なくとも一つが低下したものとなって
いる。
【0053】また、各実施例の組成物について塗装性の
評価を行った。塗装性の評価は、成形品をトリクロルエ
タン蒸気で洗浄し、プライマー及びウレタン系上塗料を
使用して、標準塗装仕様により塗装し、一次密着性 (ゴ
バン目試験) 及び耐温水試験(40℃×240 時間浸漬) 後
のゴバン目試験を行い密着性とブリスタの有無を判定す
ることによった。本発明の組成物は、塗膜の密着性、耐
水性などの塗装性能がいずれも良好であった。
【0054】以上に詳述したように、本発明の自動車外
装用ポリプロピレン系樹脂組成物は、高流動性を有する
プロピレン−エチレンブロック共重合体と、高流動性を
有するエチレン−プロピレン共重合体ゴムとを組み合わ
せて用いるとともに、ポリエチレンと、不飽和カルボン
酸又はその無水物による変性ポリプロピレンと、微細タ
ルクとをそれぞれ所定量含有してなるので、寸法安定
性、成形性に優れるとともに、耐衝撃性と延性と硬度と
のバランスがよい。
【0055】このような本発明の組成物は自動車の各種
外装品、例えばバンパー、サイドモール、スポイラー、
マットガード等に好適である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08L 23:26) (72)発明者 北野 吉祥 神奈川県川崎市川崎区千鳥町3番1号 東燃化学株式会社 技術開発センター内 (72)発明者 野村 孝夫 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (72)発明者 西尾 武純 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (72)発明者 岩井 久幸 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (56)参考文献 特開 昭60−188453(JP,A) 特開 昭61−276840(JP,A) 特開 昭57−159841(JP,A) 特開 昭60−238353(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08L 53/00 C08L 23/06 - 23/26 C08K 3/34

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a) メルトフローレートが40g/10 分以
    上のプロピレン−エチレンブロック共重合体50〜65重量
    %と、 (b) メルトフローレートがg/10 分以上のエチレン−
    プロピレン共重合体ゴム15〜30重量%と、 (c) メルトインデックスが10g/10 分以上のポリエチレ
    ン5〜10重量%と、 (d) 不飽和カルボン酸又はその無水物による変性ポリプ
    ロピレン1〜5重量%と、 (e) 平均粒子径が1.5 μm以下のタルク10〜20重量%と
    を含有することを特徴とする自動車外装用ポリプロピレ
    ン系樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の自動車外装用ポリプロ
    ピレン系樹脂組成物において、前記ポリエチレンが高密
    度ポリエチレンであることを特徴とする自動車外装用ポ
    リプロピレン系樹脂組成物。
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