JP2882659B2 - 偏平複合繊維およびそれを用いた立毛織編物 - Google Patents

偏平複合繊維およびそれを用いた立毛織編物

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は立毛部を形成するポリエステル系合成繊維が
偏平捩れ繊維であり、該立毛を有する布帛の立毛表面を
見た場合、繊維の先端部がほぼ直立しており、且つその
断面がランダムに異方向にむいており、このため柔らか
な感触と充実感のある表面タツチとしつとりとした深み
のある色調をもち、腰のある耐久性のすぐれた品質を有
することとなる立毛織編物およびそれに用いられる繊維
に関するものである。
(従来の技術) カツトパイル、モケツト、ダブルラツセル、ベロア、
ベルベツトのような立毛布帛は多様な外観および風合い
を有し、カーシート、カーペツト、植毛布等のインテリ
ア、人工スエード、衣服など幅広い分野に用途がある。
しかし、立毛部がポリエステル系繊維からなる立毛布帛
はアクリル、ナイロン、レイヨン、綿、羊毛等に比較し
て肌触りが硬く、且つ光沢、艶等の外観が著しくおとつ
ており、さらに立毛部が毛だおれやスパイラル状の捲縮
を起こせば、光の反射や透過の度合いや光沢感が異なつ
て、筋むらやハンドマークとか黒ずみ、白ぼけといつた
光沢差、色差を生じやすい。
(発明が解決しようとする課題) その対策として、単繊維デニールを小さくする方法や
複合繊維化による風合い改良などの方法があるが、単一
ポリマーの細デニール化や捲縮の付与のみでは目的は達
成されず、また複合繊維でも単に繊維断面が円形に近い
形状のサイドバイサイド型捲縮糸では立毛部の毛だおれ
やスパイラル捲縮発生によるフエルト化など、品位を損
ないやすい。このスパイラル捲縮を防止するため、偏平
繊維で二種のポリマーをサイドバイサイドにはりあわせ
た捩れ捲縮方式が特開昭59−228052号公報で提案されて
いるが毛だおれや毛先の直立性という点では充分でなく
改良が必要であつた。
また特開昭56−140167号公報には、加水分解性を異に
する2種以上のポリマーからなる偏平複合繊維を使用し
た立毛布帛の例が記載されているが、繊維断面の偏平度
が小さく、その上、加水分解性の大きい成分の比率が少
ないために、柔らかな感触と充実感のある表面タツチと
しつとりした深みのある色調が得られないという欠点を
有している。
さらにこれらの繊維を染色した場合、立毛部が羊毛、
絹等の天然繊維から成る立毛織編物に比較してマイルド
な光沢が得られにくく、色むら、筋むらなどが発生し風
合いも自然さがなく、色の深みも得られにくい点があつ
た。
(課題を解決するための手段) 本発明者らにはこれらポリエステル系繊維を用いた立
毛品の欠点を改良するため鋭意研究した結果、2種の成
分(A)と(B)からなる複合繊維であつて、その横断
面が、偏平度(L/W)3.5〜15(Lは繊維横断面の最大
長、Wはその最大幅)の偏平形状であり、該L方向に該
成分(A)と(B)が(A)−(B)−(A)または
(B)−(A)−(B)の順序で配置されており、かつ
(A)と(B)の組成比(A)/(B)が7/10〜10/7で
あり、捩れ数が5〜300個/インチの捩れを有している
ことを特徴とする偏平複合繊維、好まくは、ポリマー
(A)がポリマー(B)よりも極限粘度が0.05〜0.5高
い2種のポリエステル系ポリマー(A)および(B)か
らなる複合繊維であつて、その横断面が、偏平度(L/
W)3.5〜15(Lは繊維横断面の最大長、Wはその最大
幅)の偏平形状であり、該L方向に該ポリマー(A)と
(B)が(A)−(B)−(A)または(B)−(A)
−(B)の順序で配置されており、かつ(A)と(B)
の組成比(A)/(B)が7/10〜10/7であることを特徴
とする偏平複合繊維を開発した。
該繊維は熱処理、染色工程を経て、潜在捲縮が顕在化
し、捩れが発現するとき両ポリマーの収縮差により、中
央のポリマーを軸として偏平面がランダムに異方向に捩
れる現象があらわれる。その結果この繊維を立毛繊維と
すると、立毛が密になり単繊維デニールが細くても充実
感の有る立毛布帛が得られる。また中央のポリマーが軸
となつて捩れるので、立毛繊維の先端が曲がらず直立状
態になる。そのため腰が強く耐久性があり、毛だおれや
筋むらに成りにくく、光の乱反射がなく光が均一に効果
的に吸収されるので深みのある色合いの製品となる。
すなわち本発明は、ポリエステル系合成繊維からなる
立毛を有する立毛織編物において、該立毛を形成する繊
維が、2種のポリエステル系ポリマー(A)および
(B)からなる複合繊維であつて、その横断面が偏平度
(L/W)3.5〜15(Lは繊維横断面の最大長、Wはその最
大幅)の偏平形状であり、該L方向に該ポリマー(A)
と(B)が(A)−(B)−(A)または(B)−
(A)−(B)の順序で配置されており、かつ(A)と
(B)の組成比(A)/(B)が7/10〜10/7であり、捩
れ数が5〜300個/インチの捩れを有している偏平複合
繊維であることを特徴とする立毛織編物である。
本発明の特徴は立毛織編物の立毛部で使用される繊維
にある。まず、この繊維の製造方法について詳細に説明
すると、前述のように2種の成分(すなわち収縮性を異
にする2種の成分)を偏平ノズルから吐出して、潜在捩
れ繊維を作るに際し、高収縮成分(A)を偏平断面の中
央に配置し、低収縮成分(B)をその両側に位置し、ま
たはその逆の組み合わせの三層構造、すなわち(A)−
(B)−(A)または(B)−(A)−(B)の順序で
配置して押し出し、通常の紡糸速度(500〜5000m/min)
で引き取つて、第1図(イ)に示す様ないわゆるプロペ
ラ型の偏平複合繊維の紡糸原糸を作る。この原糸を通常
の延伸方法により1.1〜5.0倍に引き伸ばし、次いで80℃
〜180℃の範囲の最適温度で熱固定することにより、そ
の後の熱処理により5〜300個/inchの捩れを発現する潜
在捩れ繊維を作る。この繊維を立毛織編物に仕立て、染
色、仕上げ加工を施すと染色工程あるいは仕上げ工程で
加えられた熱により捩れ捲縮が発現し、捩れ捲縮を持つ
立毛品が得られる。
この捲縮は本発明の特徴であるプロペラ型の繊維断面
のため、従来のサイドバイサイド型の複合繊維の様なス
パイラル状の捲縮とはならず、断面の中央に位置したポ
リマーは単に収縮するのみでカールせず、直立のまま存
在する。一方、両端に位置する成分は中央の成分との収
縮差のため、捩れを発現し、いわゆるわかめ状の捩れ収
縮状態になる。そして収縮時のエネルギーを分散するた
め、中央の成分を中心に回転し、ランダムに異なつた方
向に捩れる。この状態は上から立毛品を見た場合、立毛
糸の先端の断面形態は第3図の様な形になる。
この立毛繊維の直立性と異方向捩れの効果により、立
毛部が毛だおれや斜向したり、また波打ちしたりせず、
細デニール、低密度の織編繊維であつても、充実感と腰
があり、表面は柔らかでしなやかな高級感のある立毛布
帛を作る事ができる。さらに、従来いわゆるサイドバイ
サイド型複合繊維で発現させた捲縮はスパイラル状にな
り、毛先がカールし繊維側面が立毛品の表面に出るた
め、光が乱反射し、白つぽい筋むらができるという欠点
を有していると共に、偏平断面を持つたサイドバイサイ
ド型複合繊維ではスパイラル状捲縮にはならないが直立
性と毛倒れ、色の深み等の点で不十分であると言う欠点
を有していた。
ところが、本発明のプロペラ型断面によつて発現した
わかめ状捲縮では毛先がまつすくに立つているために光
が繊維間に全体に均一に吸収され、スジむらのない、深
みのあるしつとりと落ち着いた色合いのものが得られ
る。また直毛性と耐久性も格段に向上している。
この様に本発明の三層偏平複合繊維は従来の硬くて薄
く単調な色合いの合繊風な立毛織編物を、ソフトでしな
やかで充実感と腰の強さを持ち、しかも色の深みと均一
性を有する高級感のある製品へと改良させた。
本発明で言う2種の成分(A)、(B)とは、前述し
たように収縮性を異にする2種の成分を意味している
が、通常全く同一の成分を組合せない限り、両成分は収
縮性を異にすることとなり、たとえば(A)、(B)を
構成しているポリマーは全く同じであつてもそれぞれに
添加されている物質や量が異なる場合にも収縮性を異に
することとなる。また異なるポリマーの組合せであつて
も当然のことながら収縮性を異にする2種の成分という
ことになる。本発明の複合繊維において成分(A)と成
分(B)はできる限り剥離を生じないものが好ましく、
この意味から同じ系統、たとえばポリアルキレンテレフ
タレート系のポリマーから2種(単に重合度が異なる2
種のポリマーの組合せも含む)を選び、組合せるのが好
ましい。
本発明においては、2種の成分(A)と(B)とし
て、異なる2種のポリマーの組合せを用いるのが好まし
いが、ポリマーのなかでも本発明で好適に使用されるポ
リマーの組合せとしてポリエステル系ポリマーから選ば
れる2種のポリマーが挙げられるが、ポリエステル系ポ
リマーとは、主単位がエチレンテレフタレートおよび/
もしくはブチレンテレフタレートであるポリエステルの
総称であり、必要によつては他成分が酸成分またはジオ
ール成分の約20%以下共重合されていてもよい。他成分
とはジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、
シクロヘキサンジメタノール、イソフタル酸、スルホイ
ソフタル酸及びそのナトリウム塩、ポリアルキレングリ
コール等の共重合成分があげられ、さらにはTio2等の艶
消し剤、光沢改良剤、難燃剤あるいは染色改良剤を含ん
でいてもよい。
立毛部を有する織編物とはモケツト、ダブルラツセ
ル、ベロア、ベルベツト、カツトパイルのようなグラン
ド糸(地糸)とパイル糸(立毛糸)とで構成された織編
物のことでカーシート、カーペツト、植毛布等のインテ
リア、人工スエード、衣服等に幅広く使用されている。
本発明の捩れ繊維を立毛品に使用する場合、立毛長は
10mm以下、立毛密度は7×103〜8×106本/cm2の範囲が
適している。また立毛繊維の単繊維の太さとしては2〜
20drが適当である。立毛部を構成する繊維はすべてが本
発明の繊維である必要はなく、一部に使用されていても
良い。
本発明で言う2種の成分(A)、(B)とは、前述し
たように、重合体単位が異なる2種のポリマーの組合
せ、重合体単位が同一であつても重合度が異なるポリマ
ーの組合せ、さらに添加物または添加量の異なるポリマ
ーの組合せの全てを含むが、これら組合せは収縮性を異
にする成分の組合せにあたるが、具体的な収縮率の差を
求めるには、高収縮性成分(A)と低収縮性成分(B)
をそれぞれ別々に、第2図(イ)に示すノズル形状で、
特にその三ツ玉部の直径が0.15mm、三ツ玉を連結する棒
状部の幅が0.08mm、一方の端の玉の中心から他の端の玉
の中心までの距離が1.05mmのノズルを用いて紡糸速度を
1000m/分、ドラフト(倍)を120、ヘツド温度を成分を
構成するポリマーの融点より40℃高い温度に設定して、
(A)成分または(B)成分単独からなる繊維を得て、
それを延伸温度75℃で切断延伸倍率の65%の延伸率で延
伸し、引き続き120℃で熱固定したそれぞれの繊維につ
いて収縮率を測定し、両成分間の収縮差を求める方法が
ある。本発明においては、このようにして求めた収縮差
が2〜30%である成分の組合せが好ましい。
なお収縮率とは、繊維を100℃の熱水中で10分間加熱
し、処理前後の長さを測定し次式で算出した値をいう。
収縮率=〔(l0−l1)/l0〕×100 l0:未処理の繊維の長さ l1:100℃の熱水で10分間無荷重で熱処理した後の長さ なお長さは1/20g/drの荷重をかけて測定する。収縮率
の差が2%以下では捲縮はあまり出ず、本発明で言うわ
かめ状捩れが発現しにくい。30%以上では捲縮が出過ぎ
てスパイラル状となり製品の風合いが悪くなる。より好
ましい収縮率差は5〜15%である。
収縮率をコントロールする条件としてはポリマーの
選定が最も重要な条件としてまず挙げられる。さらにポ
リマーの選定をした上でさらに熱履歴によつても収縮
率をある程度コントロールすることができる。の場
合、ポリマーの粘度差、ポリマー組成の差があげられ
る。
まずポリマーの粘度差であるが、両ポリマーの極限粘
度〔η〕の差Δ〔η〕が0.05〜0.5の間にあれば良好な
捩れ捲縮が発現する。Δ〔η〕が0.05未満であると一般
に捲縮そのものが発現せずストレートな形状となりやす
く特徴のない繊維となる。また0.5を越えると非常に細
かいスパイラル状の捲縮となり、立毛繊維に使用した時
毛先のカール、波打ちや毛だおれの原因となり品質が悪
化する。組み合わせるポリマーの種類によつて最適粘度
差の範囲は若干異なるが、Δ〔η〕が0.05〜0.5であれ
ば本発明の目的は十分に達成される。
次にポリマー組成の差であるが、本発明の複合二成分
として好ましいポリマー組成の組み合わせの例を以下に
示すが、これにより本発明の繊維が限定されるものでは
ない。本発明において下記のうち特にiiiとVが好まし
い。なおPET、PBTとはそれぞれ、ポリエチレンテレフタ
レート、ポリブチレンテレフタレートの略称である。
i PETのη≧0.6とそれよりηが0.1以上小さいPET ii PBTのη≧0.75とそれよりηが0.1以上小さいPBT iii 実質的に共重合していないPETと3〜15モル%のイ
ソフタル酸(IPA)等の第三成分を共重合したPET iv 実質的に共重合していないPBTと3〜15モル%の第
三成分を共重合したPBT v PBTとPET vi PET/PBTのブレンドポリマーとPET ここにおける実質的に第三成分を共重合していないPE
TあるいはPBTとは、5モル%未満でかつそれと組合せる
共重合PETまたは共重合PBTより2モル%以上低い量の第
三成分たとえばイソフタル酸、アジピン酸、セバシン
酸、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、
スルホイソフタル酸、1・4ブタンジオール等を共重合
したもの、あるいは5wt%未満の練り込み剤例えば艶消
し剤、熱安定剤、顔料、カーボン、シリカあるいは制電
剤(例えばポリアルキレングリコール、アルキルベンゼ
ンスルホン酸)、難燃剤(PやBr化合物)等を含んでい
てもよい。
本発明において高収縮成分(A)と低収縮成分(B)
の比率(重量比)は(A)/(B)=7/10〜10/7であ
る。
A/Bが7/10未満では高収縮成分が少なく、捩れが発現
しにくいので充実感が不足する。また、直毛性と腰の強
さもほとんど期待出来ない。
(A)/(B)が10/7を越えると収縮が大きすぎて、
毛先がカールしたり立毛品全体がフエルト状になり、風
合、外観が悪く、商品価値の低いものしか出来ない。
次に前記の熱履歴によつて収縮率をコントロールす
る方法であるが、具体的には延伸時の熱固定温度を変更
しておこなう。通常の延伸では第一ローラーでポリマー
のガラス転移点付近の温度で延伸したあと、ホツトプレ
ートまたは第二ローラーで熱固定を行うが、本発明の立
毛部に使用する偏平複合繊維の場合、特に前記したポリ
エステル系繊維の場合80〜180℃、好ましくは95〜140℃
の熱固定温度が適当である。80℃未満では熱固定が実質
的に行われず、染色、加工時の熱処理により捲縮が過剰
に発現し、立毛織編物も硬くて筋むらや色むらの多い物
となる。また180℃を越えると捲縮があまり発現せず、
単調で魅力のない立毛製品となりやすい。また延伸の好
適温度としては60〜90℃が用いられる。60℃未満では斑
延伸となり、90℃を越えると十分な強度を有するものが
得られない。
次に本発明における繊維断面の偏平および偏平度につ
いて説明する。本発明の繊維の断面は第1図(イ)〜
(ニ)に示す様な断面が細長い形(偏平)をしており、
これは第2図に示す様なノズルを使用して紡糸すること
によつて得られる。また第1図(ホ)の様な繊維断面で
も本発明の繊維となるが第1図(イ)〜(ニ)よりも品
質は若干低下する。(イ)〜(ホ)の図中、繊維断面の
中央部が成分(A)の場合には両側が成分(B)とな
り、逆に中央部が成分(B)の場合には両側が成分
(A)となる。好ましくは中央部が成分(A)で両側が
成分(B)の場合で、この場合には捩れ性が特に優れて
いる。
偏平度L/Wとは、第1図(イ)に示すように繊維断面
を顕微鏡観察し、その最大長(L)、最大幅(W)を測
定し、L/Wで求められるものであつて、繊維のL/Wは最低
20個のL/Wを測定し、その平均値を偏平度とする。本発
明における繊維の偏平度は3.5〜15、好ましくは3.8〜8.
0であり、3.5未満では本発明の効果、特に捩れ性が発揮
されず、15を越えると断面形態がいびつになり本発明の
捩れ捲縮とはならず本発明の効果を有する織編物とはな
らない。
つぎに本発明における捩れ捲縮について説明する。本
発明の捩れ捲縮は第4図に示す様な、いわゆるわかめ状
の捩れ捲縮である。つまり繊維の偏平断面の中央に高収
縮ポリマーを、その両端に低収縮ポリマーを配置した、
またはその逆の配置をした三層構造をもつ複合繊維を押
し出して、通常の紡速(500〜5000m/min)で引き取つて
第1図(イ)の様ないわゆるプロペラ型の偏平複合繊維
の紡糸原糸をつくる。この原子を通常の延伸を行い、1.
1〜5.0倍に引き伸ばし潜在捩れ繊維をつくる。この繊維
を立毛織編物に仕立て、熱セツト、染色、仕上げ加工等
の熱処理を施す事により捩れが顕在化し、捩れ捲縮立毛
品ができる。この繊維は本発明の特徴であるプロペラ型
の繊維断面のため、従来のサイドバイサイド型の複合繊
維の様なスパイラル状の捲縮とはならず、断面中央に位
置した成分は単に収縮するのみでカールせず、直立のま
ま存在する。一方両端に位置する成分は中央の成分との
収縮差のため、捩れを発現し、いわゆるわかめ状の収縮
状態になる。そして収縮時のエネルギーを分散するた
め、中央の成分を中心に回転し、ランダムに異なつた方
向に捩れる。この状態は上から立毛品を見た場合、立毛
糸の先端の断面形態は第3図の様になる。この立毛繊維
の直立性と異方向捩れの効果により、立毛部が毛倒れや
斜向したりまた波打つたりせず、細デニール、低密度の
織編組織であつても、充実感と腰があり、表面は柔らか
でしなやかな高級感のある立毛布帛を作ることができ
る。さらに本発明のわかめ状捲縮は毛先が真つ直ぐ立つ
ているため光が繊維間に均一に吸収されるためにスジむ
らのない、深みのあるしつとりと落ち着いた色合いの物
がえられる。
本発明の捩れ繊維の捩れ数は5〜300個/inchである。
本発明でいう捩れ数とは、複合繊維をランダムに20本
えらび、光学顕微鏡で観察し、その側面の1inch中の捩
れ数を数え、平均値で表わす。捩れの状態は第4図のa,
bの如く、完全に交叉している状態の個数を数える。し
たがつて第4図aの場合、立毛長が0.1inchであるとす
ると捩れ数は4/0.1(個/inch)となり、40個/inchとい
うことになる。またbの場合は2/0.1(個/inch)とな
る。
捩れ数が5未満ではほとんどストレートに近く本発明
の効果は発揮できない。また300個を越えると捩れがス
パイラル捲縮にちかくなり、わかめ状捲縮とはならな
い。好ましくは20〜100である。
本発明にいう偏平断面が“異方向にランダムに向いて
いる”状態とは該立毛繊維の先端部を布帛の上から見た
場合、偏平面が第5図の様に規則正しく一方向に並んで
いるのではなく、第3図の様に捩れの効果で様々な方向
に不規則に向いている状態をいう。しかしここで重要な
点はこれらの立毛繊維を側面から見た場合、繊維の先端
部は殆んど曲がつたり波打つたりしておらず上方向に向
かつて実質的に直立している事であり、これが本発明の
特徴である。
次に本発明に於ける熱処理について説明する。本発明
の繊維は熱処理を受ける事により潜在捲縮が顕在化する
がこの熱処理とは立毛織編物を加工するすべての工程に
おいて該繊維が受けた熱処理をいう。例えばタブルラツ
セルの場合、編立てた立毛品はプリセツト−熱ブラシ−
染色−仕上げセツト等の工程を通過して製品となるがこ
れらの工程で受けたすべての熱履歴をいう。
以下、実施例をもつて本発明を説明するが、これによ
り本発明が制限されるものではない。
実施例1 〔η〕(フエノールとテトラクロールエタンの等量混
合溶媒を用い30℃の高温槽中でウツベローデ粘度計で測
定したときの極限粘度)=0.68のイソフタール酸8モル
%共重合のPETを高収縮成分とし、〔η〕=0.55のPETを
低収縮成分とし、複合比(面積比)1:1で第2図のイの
形をした1/w=12のノズルから、高収縮成分を偏平断面
の中央に位置させ、低収縮成分を高収縮成分の両側にお
く、三層張り合わせ構造を持つ偏平複合繊維を紡糸し、
358d/24fの第1図イの断面をした紡糸原糸をえた。これ
を下記の条件で1段延伸し、100d/24fの延伸糸を得た。
第1ローラー:75℃ ホツトプレート:130℃ 第2ローラー:室温 延伸率:3.58倍 この糸はL/W=5.5、捩れ数=40個/inchであつた。
この糸を立毛部として立毛長3mmのダブルラツセル編
物を作成し、熱セツト、染色、仕上げ加工を行つた。
この立毛編み物の立毛部の先端を顕微鏡で観察した。
毛先は直立し、偏平面はランダムに異方向を向いてい
た。
この立毛編み物は柔らかくふつくらとした充実感と腰
の強さが感じられた。また濃色で深みのある落ち着いた
色合いを持つ高級感のある製品になつた。
実施例2 高収縮成分は実施例1と同様のポリマーを、低収縮成
分は〔η〕=0.64のPETを使用し、実施例1と同様の方
法で偏平複合繊維を紡糸した。この原糸を下記の条件で
延伸した。
第1ローラー:75℃ ホツトプレート:105℃ 第2ローラー:室温 延伸率:3.13倍 この糸はL/W=7.0、捩れ数20であつた。
この潜在捩れ繊維を立毛部として、立毛長3mmのダブ
ルラツセル編物を作成し、実施例1と同様の熱処理、染
色、加工を施した。
品質は良好であり、ソフトで充実感のある触感とむら
がなく深みのある色合いをもつ製品となつた。
比較例1 実施例1の両ポリマーを使用して丸断面でサイドバイ
サイド型の複合繊維を得た。延伸以降の工程も実施例1
と同様の方法で行つた。
出来上がつた立毛品は立毛繊維の毛先がスパイラル捲
縮になつて著しいカールをしており、全体的に毛だおれ
や筋むらが発生し、触感の悪いものであつた。
実施例3 実施例1の両ポリマーを使用して偏平断面の中央に低
収縮ポリマーを、その両側に高収縮ポリマーを配置し、
すなわち実施例1の逆のポリマー配置にし、その他の条
件は実施例1と同様にして捩れ繊維を作つた。繊維品質
はL/W=6.5、捩れ数=30であつた。
この繊維を立毛部として同様にダブルラツセルの編
み、熱セツト、染色、仕上げ加工をし製品とした。製品
品質はまずまずで合格レベルであつた。
比較例2 実施例1の両ポリマーを使用して第2図(イ)のノズ
ルを使用してサイドバイサイド型の第1図(ト)の様な
繊維断面の紡糸原糸をえた。延伸以降は実施例1と同様
にして立毛品を試作した。製品品質は合格レベルに近か
つたが実施例1と比較すると外観、触感、耐久性等にお
いて数段見劣りする物であつた。
実施例4 高収縮成分ポリマーとして〔η〕=0.75のイソフター
ル酸8mol%共重合のPETを、低収縮成分として〔η〕=
0.55のPETと組み合わせ、第1図(ホ)の断面形状の繊
維をえた。これを実施例2の方法で延伸し立毛品を試作
した。この製品は捩れ度合い等物性値は実施例2と同程
度であり、品質は合格レベルであつた。
比較例3 高収縮成分ポリマーとして実施例−1と同様のイソフ
タル酸8mol共重合PETを一成分のみ単独で第2図(イ)
のノズルより紡糸し、第1図(チ)の断面の繊維をえ
た。延伸はホツトローラー75℃、ホツトプレート120
℃、延伸率3.2倍で行つた。その後230℃で仮撚りをかけ
て捲縮を付与した。以後実施例1の方法で立毛品に仕立
てた。この製品は表面がでこぼこしており、色むらや形
態むらがあり触感も悪く商品価値の無い物であつた。
比較例4 実施例1のポリマー及びノズルを使用して、偏平断面
の中央に高収縮ポリマー、その両端に低収縮ポリマーを
配置し、複合比A/B=0.5、偏平度L/W=2.0の条件で紡糸
した。延伸以降は実施例−1と同様にして立毛品を試作
した。
この製品はねじれが少なく、充実感と立毛性が不足し
ていた。これは高収縮ポリマーの比率が少ないこと及び
偏平度が少ないことのために充分捩れが発現せず、また
中央ポリマーの力による立毛性が不足したために、腰の
ない、充実感の劣るものしか出来なかつたものである。
以上の実施例、比較例の結果を第1表に示す。
【図面の簡単な説明】
第1図の(イ)〜(ホ)は本発明の偏平複合繊維の代表
的な断面図、第1図の(ヘ)、(ト)および(チ)は本
発明の特徴がでない断面図である。第2図は本発明偏平
繊維を得るための代表的なノズルの断面図を示したもの
である。第3図は本発明の捩れ繊維を使用した立毛織編
物の捩れ繊維の先端部を上から見たときの図、第4図は
本発明の特徴であるわかめ状捲縮をした繊維の側面図で
ある。第5図は第3図と同様に見た偏平断面が規則的に
一方向を向いている場合の図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭56−140167(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) D01F 8/14 D01D 5/30

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】2種の成分(A)と(B)からなる複合繊
    維であつて、その横断面が、偏平度(L/W)3.5〜15(L
    は繊維横断面の最大長、Wはその最大幅)の偏平形状で
    あり、該L方向に該成分(A)と(B)が(A)−
    (B)−(A)または(B)−(A)−(B)の順序で
    配置されており、かつ(A)と(B)の組成比(A)/
    (B)が7/10〜10/7であり、捩れ数が5〜300個/イン
    チの捩れを有していることを特徴とする偏平複合繊維。
  2. 【請求項2】ポリマー(A)がポリマー(B)よりも極
    限粘度が0.05〜0.5高い2種のポリエステル系ポリマー
    (A)および(B)からなる複合繊維であつて、その横
    断面が、偏平度(L/W)3.5〜15(Lは繊維横断面の最大
    長、Wはその最大幅)の偏平形状であり、該L方向に該
    ポリマー(A)と(B)が(A)−(B)−(A)また
    は(B)−(A)−(B)の順序で配置されており、か
    つ(A)と(B)の組成比(A)/(B)が7/10〜10/7
    である偏平複合繊維。
  3. 【請求項3】ポリエステル系合成繊維からなる立毛を有
    する立毛織編物において、該立毛を形成する繊維の少な
    くとも一部が、2種のポリエスエル系ポリマー(A)お
    よび(B)からなる複合繊維であつて、その横断面が偏
    平度(L/W)3.5〜15(Lは繊維横断面の最大長、Wはそ
    の最大幅)の偏平形状であり、該L方向に該ポリマー
    (A)と(B)が(A)−(B)−(A)または(B)
    −(A)−(B)の順序で配置されており、かつ(A)
    と(B)の組成比(A)/(B)が7/10〜10/7であり捩
    れ数が5〜300個/インチの捩れを有している偏平複合
    繊維であることを特徴とする立毛織編物。
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