JP3345122B2 - 繊維集合体 - Google Patents

繊維集合体

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JP3345122B2
JP3345122B2 JP21980393A JP21980393A JP3345122B2 JP 3345122 B2 JP3345122 B2 JP 3345122B2 JP 21980393 A JP21980393 A JP 21980393A JP 21980393 A JP21980393 A JP 21980393A JP 3345122 B2 JP3345122 B2 JP 3345122B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は伸縮性に富んだ糸に関す
る。また該糸を立毛部とする立毛布帛は、柔らかな触
感、深みのある色調を有し、軽量で耐久性に優れてい
る。
【0002】
【従来の技術】カットパイル、モケット、ダブルラッセ
ル、ベロア、ベルベット等の立毛布帛は多様な外観およ
び風合を有し、カ−シ−ト、カ−ペット、植毛布等のイ
ンテリア;人工スエ−ド;衣服など幅広い分野に用途が
ある。しかし、立毛部がポリエステル系繊維からなる立
毛布帛はアクリル、ナイロン、レ−ヨン、綿、羊毛等に
比較して肌触りが硬く、光沢、艶等の外観が著しく劣っ
ている。また、ポリエステル系繊維は繊維側面と繊維断
面との屈折率の差が大きいため、立毛部の毛倒れやスパ
イラル状の捲縮が生じれば、光の反射や透過の度合い、
光沢感が異なって、筋斑やフィンガ−マ−ク、黒ずみ、
白ボケ等の光沢差、色差が生じ易い。さらに、膨らみ、
弾力性、はり、腰等の風合においてもポリエステル系繊
維は天然繊維と比較して大きく劣っている。
【0003】天然繊維を立毛部に用いてなる立毛布帛の
有する優れた特性、例えばはり、腰、膨らみ、弾力性な
どの風合、黒ズミ、白ボケのなさをポリエステル系繊維
を立毛部に用いてなる立毛布帛に付与するために従来か
ら各種の方法が提案されている。例えば、比較的高収縮
性のポリマ−と低収縮性のポリマ−とがサイドバイサイ
ド型で結合した二葉型複合繊維として糸に捩じれを発生
させることが特開昭59−59920号公報、特開平3
−287810号公報に提案されている。しかしなが
ら、サイドバイサイド型で結合した二葉型複合繊維に発
現する捩じれはスパイラル状になり、毛先がカ−ルし、
繊維側面が立毛布帛の表面に出るため、光が乱反射し、
白っぽい筋斑が生じる。また偏平断面のサイドバイサイ
ド型で結合した二葉型複合繊維は筋斑が生じることはな
いが、毛倒れ、色の深み等の点で満足することができな
い。
【0004】さらに立毛布帛における光沢差、色差を減
少せしめ、筋斑やハンドマ−ク、黒ずみ、白ボケ等を軽
減させるために、高屈折率の無機微粒子を鞘部にのみ含
有させた芯鞘型複合繊維(特開平1−306648号公
報)、繊維側面に微細な凹凸を形成させた芯鞘型複合先
細繊維(特開昭4−214412号公報)が提案されて
いる。しかしながら、前者の複合繊維を立毛部に用いた
立毛織編物は、繊維断面が丸断面であり、また立毛が直
毛性であるため光沢差、色差の減少は見られても、伸縮
性、膨らみ等の風合の点で不十分であり、また、後者の
複合繊維を立毛部に用いた立毛織編物は凹凸条件によっ
て、その凹部の部分が割れる、所謂フィブリル化減少が
問題となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、天然
繊維とほぼ同程度の自然でかつ良好な伸縮性、弾性回復
性を有し、嵩高性、膨らみ、はり、腰のある外観と触感
の良好な軽量立毛布帛の立毛部を形成する糸を提供する
ことにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、5
〜200個/インチの捩じれ数、0.05〜0.80の
異形度を有するポリエステル系単繊維からなるであっ
て、該糸を構成する繊維間の空隙率が15〜60%であ
ることを特徴とする糸である。
【0007】上記ポリエステル系単繊維は5〜200個
/インチ、好ましくは10〜100個/インチの捩じれ
数を有することが必要である。捩じれ数が5個未満の場
合、該繊維からなる集束体を立毛とした織編物は膨らみ
に欠け、風合が悪化する。一方、捩じれ数が200個を
越えると、繊維が大きく収縮し、該繊維を立毛部に用い
てなる立毛織編物にしたとき、膨らみ、伸縮性はあるも
のの、腰がなくなり、立毛部が倒れたり、立毛部全体が
硬くなって風合の点で満足できるものではない。
【0008】また、本発明におけるポリエステル系単繊
維はその断面形状において、異形度が0.05〜0.8
0、好ましくは0.10〜0.60であることが必要で
ある。異形度とは、下記式で表される値である。
【0009】異形度=R/L 図1に示すように、繊維断面においてLは隣あう先端部
A、Bを結ぶ線の長さABであり、Rは該隣あう先端部
の中間に位置する窪みDから隣り合う先端部A、Bを結
ぶ線への垂線の長さCDである。
【0010】異形度が0.05未満の場合、繊維断面形
状の凹凸変化が小さくなり、光沢をまろやかにすること
ができない。また、該繊維を立毛部に用いた立毛織編物
は、立毛部が倒れる等立毛性が不良となり、膨らみや繊
維密度が不足したものとなる。一方、異形度が0.80
を越えると、凹凸変化が大きくなる、すなわち、くびれ
部があまり深く形成されていると、繊維の製造事態が難
しくなるばかりでなく、そのような繊維は撚工程等の加
工工程で損傷を受けやすくフィブリル化の問題が生ず
る。なお、本発明における異形度は、紡糸原糸、延伸糸
で変化することはない。
【0011】上記のような異形度を有する繊維の断面形
状として、例えば図2に示すものが挙げられる。図2に
示される(イ)〜(チ)は、繊維軸方向にのびる熱可塑
性ポリマ−Aよりなる中心部1と、該中心部1を取り囲
んで中心部に連結して設けた繊維軸方向に伸びる3個以
上の突出部2とからなる複合繊維である。また、図2の
(イ)〜(チ)では突出部2の数は3〜5個となってい
るが、突出部の数は上記異形度を満足するものであれば
よく、図2のものに限定されない。図2には2成分以上
からなる複合繊維が示されているが、本発明において
は、複合繊維である必要はなく、単一ポリマ−からなる
繊維であってもよい。
【0012】図2に示される複合繊維は、繊維軸方向に
伸びる中心部と、該中心部を取り囲んで中心部に連結し
て設けた繊維軸方向に伸びる3個以上の突出分とからな
る多葉断面を有する繊維である。これらの繊維として、
たとえば該中心部が、熱収縮応力が0.3g/デニ−ル
以上および熱収縮率が15%以上である熱可塑性ポリマ
−Aより構成され、かつ各突出部の少なくとも一部は熱
可塑性ポリマ−Aより熱収縮率の小さい熱可塑性ポリマ
−Bより構成されている複合繊維を挙げることができ
る。本発明においては、上記の捩じれ数、異形度を満足
する繊維であればよく、繊維を構成するポリマ−に何等
限定されるものではなく、また上述したように、複合繊
維の他に単一ポリマ−からなる繊維であってもよい。以
下、上記熱可塑性ポリマ−AおよびBを用いた複合繊維
について詳述する。
【0013】熱可塑性ポリマ−Aとしては、熱収縮応力
が0.3g/デニ−ル以上および熱収縮率が15%以上
である繊維形成性の熱可塑性ポリマ−のいずれもが使用
できるが、とくに熱収縮応力が0.3g/デニ−ル以上
および熱収縮率が15%以上であるポリエステルが好ま
しい。かかるポリエステルとしては、テレフタル酸、イ
ソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、アゼライン酸、セ
バシン酸等の脂肪族ジカルボン酸などから選択された1
種以上のジカルボン酸成分と、エチレングリコ−ル、
1,4−ブタンジオ−ル等の脂肪族ジオ−ル、ビスフェ
ノ−ルAまたはビスフェノ−ルSのエチレンオキサイド
付加ジオ−ル等の芳香族ジオ−ル、シクロヘキサンジメ
タノ−ル等の脂環族ジオ−ルなどのジオ−ル成分、必要
に応じてp−ヒドロキシ安息香酸等のヒドロキシカルボ
ン酸成分を用いて形成されたポリエステルを挙げること
ができる。同じポリエステルであっても、固有粘度、共
重合成分の種類や割合などを調節することによって、そ
の熱収縮応力や熱収縮率を増減させることができる。こ
の熱可塑性ポリマ−Aを用いた複合繊維を立毛部とした
立毛織編物の風合が硬くなるのを防止するためには、該
ポリマ−Aの熱収縮応力が0.3〜0.7g/デニ−
ル、熱収縮率が15〜50%の範囲であることが好まし
い。
【0014】熱可塑性ポリマ−Bとしては、熱収縮率が
熱可塑性ポリマ−Aよりも小さい繊維形成性の熱可塑性
ポリマ−であればいずれのものも使用できる。たとえば
熱可塑性ポリマ−Aよりも熱収縮率の小さいナイロン
6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン11、ナ
イロン12、ナイロン13等のポリアミド、ポリエチレ
ンテレフタレ−ト、ポリブチレンテレフタレ−ト、ポリ
プロピレンテレフタレ−ト、またはそれらの5−ナトリ
ウムスルホイソフタル酸を共重合させたものからなるポ
リエステルなどを挙げることができる。熱可塑性ポリマ
−Bは熱可塑性ポリマ−Aよりも熱収縮率が小さけれ
ば、その熱収縮応力は熱可塑性ポリマ−Aと同等であっ
ても、または熱可塑性ポリマ−Aよりも大きくてもよ
い。また、熱可塑性ポリマ−Aと熱可塑性ポリマ−Bと
は同種のポリマ−であっても異種のポリマ−であっても
よい。
【0015】熱可塑性ポリマ−Aと熱可塑性ポリマ−B
は、紡糸、延伸、後加工、立毛織編工程等の工程時に両
者が剥離せず複合形態を維持し得るように、相溶性、貼
合わせ接合性等の特性が良好なものを選択して組み合わ
せることが好ましい。立毛織編物に適度な伸縮性、膨ら
みを付与するためには、両成分の熱収縮率の差が5〜2
5%の範囲にあることが好ましい。該差がこの範囲外の
場合、立毛織編物の風合が劣る場合がある。
【0016】上記熱可塑性ポリマ−Aと熱可塑性ポリマ
−Bとの複合割合は、重量で20/80〜80/20で
あることが好ましい。図2に見られる多葉断面繊維にお
いて、熱可塑性ポリマ−Aは中心部を構成し、熱可塑性
ポリマ−Bは突出部の少なくとも一部を構成しているこ
とが好ましいが、少なくとも突出部の先端部分が熱可塑
性ポリマ−Bから構成されているようにすることが本発
明で規定した捩じれ数を有するうえで好ましい。上述し
たように本発明に係わる繊維は単一ポリマ−から構成さ
れていてもよく、これら熱可塑性ポリマ−Aまたは熱可
塑性ポリマ−Bを単独で用いることができる。その場
合、適性な紡糸・延伸条件を採用することにより、目標
の性能を有する糸が得られる。
【0017】上記の複合繊維は熱可塑性ポリマ−Aと熱
可塑性ポリマ−Bとを溶融複合紡糸した後、好ましくは
延伸(延伸・熱固定)および熱処理を施して製造するこ
とができる。その場合、1000〜4000m/分の通
常の紡糸速度で紡糸し、冷却後、必要に応じて給油しな
がら巻き取った後、適正な温度で延伸、熱処理を行なう
方法を採用しても、高速紡糸法を採用して紡糸と同時に
延伸された繊維を製造してそれに熱処理を施す方法を採
用しても、または紡糸した後そのまま直接延伸、熱処理
を施す紡糸直結延伸法を採用してもよい。いずれの場合
も熱可塑性ポリマ−Aと熱可塑性ポリマ−Bとの溶融粘
度の差が極端に大きいと、紡糸口金でニ−イングが生じ
易くなり、紡糸工程性が低下する場合があるので、適当
な粘度差を有する両方のポリマ−を選択することが好ま
しい。
【0018】また、複合繊維の延伸工程において採用す
る延伸温度および熱固定温度は、複合繊維およびそれを
立毛部とする立毛織編物の伸縮性、膨らみ等に直接影響
を及ぼすことの多い因子であるので、延伸処理を施すに
際しては、延伸温度、熱固定温度について十分注意を払
うことが必要である。とくに、熱可塑性ポリマ−Aと熱
可塑性ポリマ−Bのうち、ガラス転移温度(Tg)の高
いポリマ−のTg以上の温度で延伸を行なうことが、工
程性、立毛織編物の出来上がり、品質の点から好まし
い。また、延伸時にかける張力は複合繊維に捩じれを発
現させるうえで低い方が好ましい。
【0019】さらに、延伸後に行なう熱処理は、延伸処
理と連続して行なってもまたは延伸処理と切り離して独
立した工程として行なってもよい。熱処理は繊維または
1000〜3000デニ−ル程度に合糸した後に行なっ
てもよく、立毛織編物に仕上げる時、その後の染色時、
仕上げ加工時のいずれの時に行なってもよい。
【0020】熱収縮率の異なる熱可塑性ポリマ−Aおよ
び熱可塑性ポリマ−Bとからなる複合繊維は、図2
(イ)〜(チ)に見られるように、繊維断面形状におい
て断面の中心に熱収縮率の大きい熱可塑性ポリマ−Aが
位置し、その周囲に熱収縮率の小さい熱可塑性ポリマ−
Bが位置するため、中心部の熱可塑性ポリマ−Aは単に
収縮するのみであり、周囲の熱可塑性ポリマ−Bは中心
部の熱可塑性ポリマ−Aとの熱収縮率差のためにフリル
状の捩じれを発現し、一本の繊維の周囲に数本のフリル
が存する状態の繊維となる。かかる複合繊維の熱収縮率
は10〜40%の範囲であることが好ましい。熱収縮率
が10%未満の場合、捩じれが発現せず、立毛織編物に
膨らみがないことがあり、一方熱収縮率が40%を越え
る場合、立毛織編物が収縮し、立毛性と柔軟性が失わ
れ、外観や風合が悪くなることがあり好ましくない。
【0021】このような形態の繊維の束は空隙率が15
〜60%の範囲にある。該空隙率が15%未満の場合、
該繊維束を立毛とする立毛織編物は軽量化、ソフトの点
から従来の合成繊維立毛織物となんら変わらず、一方、
空隙率が60%を越えると織編物の軽量化は期待できる
ものの、弾力性、耐久性に欠け、ソフト感、しなやかさ
等の風合の点においても不十分なものとなる。
【0022】このような繊維を立毛とした立毛織編物
は、立毛部が毛倒れ、斜向したり、波打ったりせず、細
デニ−ル、低密度であっても嵩高であり、腰、張りがあ
るにもかかわらず、柔らかでしなやかなである。また、
毛先が直立しているために、光が繊維間全体にわたって
均一に吸収され、立毛織編物として筋斑のない、深みの
ある色合のものが得られる。さらに、直毛性、耐久性も
各段に優れている。
【0023】立毛を有する織編物とは、モケット、ダブ
ルラッセル、ベロア、ベルベット、カットパイル等のグ
ランド糸(地糸)とパイル糸(立毛糸)とで構成された
織編物のことでカ−シ−ト、カ−ペット、植毛布などの
インテリア、人工スエ−ド、衣服等に幅広く使用されて
いる。本発明の糸を立毛製品に使用する場合、立毛長は
10mm以下、立毛密度は7×10↑3〜8×10↑6
本/cm↑2の範囲が好適である。また該立毛製品の立
毛部は該糸のみで構成されている必要はなく、一部分に
使用されていてもよい。
【0024】以下、本発明を実施例により具体的に説明
するが、本発明はそれにより何等限定されるものではな
い。なお、実施例における各物性は以下の方法により測
定した。
【0025】(1)ポリマ−の固有粘度〔η〕 フェノ−ル/テトラクロロエタン(重量比1:1)の混
合溶媒中にポリマ−を溶解して30℃で測定した時の値
である。
【0026】(2)熱可塑性ポリマ−Aの熱収縮応力 熱可塑性ポリマ−Aを単独で用いて、各実施例における
複合繊維の製造と同じ装置を用いて同じ条件下で、同じ
断面形状、寸法、太さを有する異形断面繊維を紡糸・延
伸し、得られた延伸糸を10cm採取し、両端を結んで
ル−プ状にする。これをオ−トグラフ(島津製作所製
「AG−2000A型」)を用いて、0.5g/デニ−
ルの荷重下に室温から1℃/分の速度で昇温させながら
乾熱処理を施して、その時の最大収縮応力(g)を読取
り、糸の総繊度で除して、単繊度当たりの熱収縮応力
(g/デニ−ル)を求めた。
【0027】(3)熱可塑性ポリマ−の熱収縮率(%) 熱可塑性ポリマ−を単独で用いて、各実施例における複
合繊維の製造と同じ装置を用いて同じ条件下で、同じ断
面形状、寸法、太さを有する異形断面繊維を紡糸・延伸
し、得られた延伸糸を50cm採取する。採取した延伸
糸の一端に100mg/デニ−ルの荷重を負荷してその
時の延伸糸の長さL↓0(cm)を測定する。ついで、
その延伸糸への負荷荷重を1mg/デニ−ルに変えて、
これを沸騰水中に20分間浸漬した後、取り出して風乾
させる。延伸糸への負荷荷重を100mg/デニ−ルに
取り替えて、その時の延伸糸の長さL↓1(cm)を測
定し、下記数式により熱収縮率を求めた。
【0028】熱収縮率(%)={(L↓0−L↓1)/
L↓0}×100
【0029】(4)複合繊維の熱収縮率(%) 各実施例で得られた複合繊維の延伸糸を採取し、上記熱
可塑性ポリマ−の熱収縮率の測定と同様にして、100
mg/デニ−ルに荷重を負荷した時の延伸糸の長さL↓
0(cm)、および延伸糸への負荷荷重を1mg/デニ
−ルに変えて、これを沸騰水中に20分間浸漬した後、
取り出して風乾させ、延伸糸への負荷荷重を100mg
/デニ−ルに取り替えた時の延伸糸の長さL↓1(c
m)を測定し、上記数式により求めた。
【0030】(5)複合繊維の捩じれ数(個/インチ) 各実施例で得られた複合繊維の延伸糸の束をかせ状にし
て沸騰水中に30分間浸漬し、ついで熱処理、風乾を施
し、その単糸の捲縮状態がほぼそのまま保持されるよう
にして、長さ方向に1本ずつスライドグラスに張り付
け、長さ1インチ間の捩れ数を肉眼で数えた。その際、
繊維の長さ方向に沿って、その左右への突出部が交錯し
ている点を1個として数える。
【0031】(6)複合繊維の断面形状 下記に示した4段階の評価基準により得られた複合繊維
の断面形状の良否を評価した。 ◎:形が良く、複合形態および形状に斑がない。 ○:複合形態および形状にやや斑があるが、問題ない。 △:形状がやや悪く、バラツキを生じている。 ×:形状が悪く、複合形態、繊度における斑が大きい。
【0032】(7)糸の空隙率(%) ヤ−ンを3本引き揃え2500T/Mの下撚をかけ、そ
れを3本合糸しS400T/Mの上撚をかけた撚糸をミ
クロト−ムで切った繊維断面の光学顕微鏡写真を撮影し
た。該写真を拡大し、繊維と空隙部に切り分け、その重
量比で空隙率を求めた。 空隙(%)=(空隙部重量)×100/(繊維重量部+空隙部重量)
【0033】(8)繊維の異形度 繊維断面の光学顕微鏡写真を撮影し、上記の方法により
測定、算出した。
【0034】(9)立毛部の状態 下記に示した3段階の評価基準により立毛部の状態を評
価した。 ◎:直毛性が良好であり、適度な柔軟性と腰および耐久
性を有する。 ○:直毛性、筋斑は合格レベルではあるが、柔軟性、耐
久性にやや劣る。 ×:毛先が曲り、筋斑があり、粗硬で不良である。
【0035】(10)立毛織編物の色彩 下記に示した3段階の評価基準により立毛織編物の色彩
を評価した。 ◎:均一で深みがあり、しっとりとした落ち着いた良好
な色合である。 ○:色の均一性、深みの点において合格レベルである。 ×:色斑があり、白ボケ、黒ズミが見られ、外観が劣っ
ている。
【0036】実施例1 熱可塑性ポリマ−Aとして〔η〕=1.1で、熱収縮応
力が0.35g/デニ−ルおよび熱収縮率が20%のポ
リブチレンテレフタレ−ト(PBT)を用い、熱可塑性
ポリマ−Bとして〔η〕=0.68で、熱収縮率が7%
のポリエチレンテレフタレ−ト(PET)を用いて、P
BT:PET=1:1(重量比)の割合で紡糸装置に供
給して紡糸し、1000m/分の引取り速度で巻き取っ
て、200デニ−ル/36フィラメントの断面形状が図
2(イ)のような三枝形複合繊維(紡糸原糸)を得た。
異形度は0.10であった。上記で得た紡糸原糸を2本
あわせ温度75℃の加熱ロ−ラ、温度120℃のプレ−
トを用いて延伸(延伸・熱固定)して150デニ−ル/
72フィラメントの延伸糸を得た。この延伸糸の捩じれ
数、空隙率を測定したところ、32個/インチ、33%
であった。この糸を立毛部とし、長さ3mmのダブルラ
ッセル編物を作成し、熱セット、染色、仕上げ加工を行
なった。
【0037】この立毛編物の立毛部の先端を顕微鏡で観
察したところ、毛先は直立していた。立毛編物の手触り
は柔らかく、膨らみがあるにもかかわらず腰があった。
また外観は濃色で深みのある落ち着いた色合を持ってお
り、軽量性に優れていた。
【0038】実施例2 熱可塑性ポリマ−Aとして、〔η〕=0.76で、熱収
縮応力が0.35g/デニ−ルおよび熱収縮率が18.
0%のイソフタル酸を8モル%共重合したPETを用い
た以外は実施例1と同様にして紡糸し、図2(ロ)のよ
うな四枝形複合繊維(紡糸原糸)を得た。異形度は0.
32であった。この紡糸原糸を実施例1と同様にして処
理を施して延伸糸を得た、該延伸糸の捩じれ数および繊
維集束体の空隙率を表2に示す。この糸を立毛部とし、
長さ3mmのダブルラッセル編物を作成し、熱セット、
染色、仕上げ加工を行なった。この立毛編物の立毛部の
先端を顕微鏡で観察したところ、毛先は直立していた。
立毛編物の手触りは柔らかく、膨らみがあるにもかかわ
らず腰があった。また外観は濃色で深みのある落ち着い
た色合を持っており、軽量性に優れていた。
【0039】実施例3 熱可塑性ポリマ−Aとして〔η〕=0.82で、熱収縮
応力が0.47g/デニ−ルおよび熱収縮率が35%の
イソフタル酸を12モル%共重合したPETを用いた以
外は実施例1と同様にして紡糸し、図2(ロ)の断面形
状の複合繊維(紡糸原糸)を得た。異形度は0.30で
あった。ついで延伸し、延伸糸の捩じれ数、空隙率を表
2に示す。この糸を立毛部とし、長さ3mmのダブルラ
ッセル編物を作成し、熱セット、染色、仕上げ加工を行
なった。この立毛編物の立毛部の先端を顕微鏡で観察し
たところ、毛先は直立していた。立毛編物の手触りは柔
らかく、膨らみがあるにもかかわらず腰があった。また
外観は濃色で深みのある落ち着いた色合を持っており、
軽量性に優れていた。
【0040】実施例4〜7 表に示すポリマ−を用いて実施例1と同様にして紡糸・
延伸し、延伸糸を得た。繊維の異形度、延伸糸の捩じれ
数、空隙率を表2に示す。これらの糸を、立毛部とし、
長さ3mmのダブルラッセル編物を作成し、熱セット、
染色、仕上げ加工を行なった。これらの立毛編物の立毛
部の先端を顕微鏡で観察したところ、毛先は直立してい
た。立毛編物の手触りは柔らかく、膨らみがあるにもか
かわらず腰があった。また外観は濃色で深みのある落ち
着いた色合を持っており、軽量性に優れていた。
【0041】実施例8 〔η〕=0.75、熱収縮率15%のPETのみを用い
て紡糸し、図2(ロ)の断面形状の繊維(紡糸原糸)を
得た。温度75℃の加熱ロ−ラ、温度110℃のプレ−
トを用いて、切断延伸率の75%の延伸率で延伸(延伸
・熱固定)した。延伸糸の捩じれ数は25個/インチで
あった。この糸を用いて実施例1と同様にして立毛編物
を作成し、立毛部の先端を顕微鏡で観察したところ、毛
先は直立していた。立毛編物の手触りは柔らかく、膨ら
みがあるにもかかわらず腰があった。また外観は濃色で
深みのある落ち着いた色合を持っており、軽量性に優れ
ていた。
【0042】比較例1〜3 〔η〕=0.68、熱収縮応力0.2g/デニ−ル、熱
収縮率7%のPETのみ(比較例1)、〔η〕=0.5
5、熱収縮率5%のPETのみ(比較例2)、〔η〕=
0.70、熱収縮応力0.23g/デニ−ル、熱収縮率
9%のポリブチレンテレフタレ−トのみ(比較例3)を
用い、実施例1と同じ条件で紡糸して、図2(ロ)の断
面形状の繊維(紡糸原糸)を得た。ついで、延伸した。
それぞれの繊維の異形度、延伸糸の捩じれ数、空隙率を
表2に示すこれらの糸を用いて、実施例1と同様の立毛
編物を作成したが、立毛部の腰がなく、色彩の深みが不
足しており、商品価値の低いものであった。比較例2で
得られた立毛編物は、該編物を構成する繊維の捩じれ数
が3個/インチであり、異形度も0.02であり、編み
目の隙間が目立っていた。また、比較例3で得られた立
毛編物は、該編物を構成する繊維断面形状が不良で、か
つ異形度も低く、軽量性の点で非常に劣っていた。
【0043】比較例4 表に示すポリマ−を用いて実施例1と同様にして紡糸・
延伸し、図2(ロ)の断面形状を有する延伸糸を得た。
繊維の異形度、延伸糸の捩じれ数、空隙率を表2に示
す。繊維断面形状はやや不良であった。この延伸糸を用
いて実施例1と同様の立毛編物を作成したところ、該立
毛編物を構成する繊維の捩じれ数が多すぎるために、立
毛部が収縮してしまい、硬く、ゴワゴワした触感のもの
であった。また外観、色彩も斑が多く、筋が見られ、品
質不良であった。
【0044】比較例5 表に示すポリマ−を用いて実施例1と同様にして紡糸・
延伸し、図3の断面形状を有する延伸糸を得た。繊維断
面形状は良好であったが、異形度が0.04と低いもの
であった。この延伸糸を用いて実施例1と同様の立毛編
物を作成したところ、該立毛編物を構成する繊維の捩じ
れ数は本発明の範囲内であったが、繊維の異形度が小さ
いため立毛編物としての膨らみに欠け、外観、色彩も不
良であり、品質不良であった。
【0045】比較例6 イソフタル酸を8モル%共重合したPETのみを用いて
丸断面の糸を1000m/分の速度で紡糸した。得られ
た紡糸原糸を延伸し、該延伸糸を用いて立毛編物を作成
したが、まったく特徴がなくポリエステルライクの非常
に見劣りのするものであった。
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】
【発明の効果】本発明の糸を立毛部とする立毛織編物
は、直毛性、膨らみ、柔軟性、耐久性を有し、深みのあ
る色彩を有する。さらに本発明の糸は適度の空隙を有す
るため、立毛織編物の軽量化にもつながる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の糸を構成する繊維の異形度を示す図
である。
【図2】 本発明の糸を構成する繊維の断面構造の例を
示す図であって、図2(イ)〜(チ)はいずれもその一
態様である。
【図3】 比較例として示す繊維断面構造である。
【符号の説明】
A:熱可塑性ポリマ−A B:熱可塑性ポリマ−B 1:中心部 2:突出部 3:連結部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI D02J 1/22 D02J 1/22 Q D04B 21/00 D04B 21/00 B (56)参考文献 特開 昭62−170509(JP,A) 特開 平3−167338(JP,A) 特開 平4−18132(JP,A) 特開 平4−185729(JP,A) 特開 平3−113044(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D02G 3/00 - 3/48 D01F 8/14 D02J 1/00 - 1/22 D04B 21/00 - 21/20

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 5〜200個/インチの捩じれ数、0.
    05〜0.80の異形度を有するポリエステル系単繊維
    からなるであって、該糸を構成する繊維間の空隙率が
    15〜60%であることを特徴とする
  2. 【請求項2】 ポリエステル系単繊維が、熱収縮率の異
    なる2種類以上のポリマ−からなる請求項1に記載の
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載のが立毛部を形
    成してなる立毛布帛。
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