JP2877549B2 - 合成乳とその製造法 - Google Patents

合成乳とその製造法

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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B01PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
    • B01FMIXING, e.g. DISSOLVING, EMULSIFYING OR DISPERSING
    • B01F23/00Mixing according to the phases to be mixed, e.g. dispersing or emulsifying
    • B01F23/40Mixing liquids with liquids; Emulsifying
    • B01F23/41Emulsifying
    • B01F23/4105Methods of emulsifying

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  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Dairy Products (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、合成乳とその製造法
に関するものである。さらに詳しくは、この発明は、長
期間保存しても乳分の分離、変質等の生じない安定な食
品の原料素材または食品等に有用であって、特に長期保
存用の牛乳、加工乳、乳飲料、発酵乳飲料等としての使
用に好適な新しい合成乳とその製造法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来より、各種の乳製品、乳飲料等には
様々に工夫が加えられた合成乳が使用されてきている。
通常、これらの合成乳の製造法には、攪拌機、ホモミキ
サー、均質機、高圧ホモゲナイザー、コロイドミルまた
は超音波等により、乳化する方法が採用されている。
【0003】また、これら従来の方法で製造された合成
乳は、エマルション粒子径が不揃いなために両相の分離
を生じることがあり、その防止策としてエマルション粒
子を微細にすること、すなわち攪拌、均質処理等を長時
間または高圧力で行うこと(特公昭62-19810号公報、特
開昭63-105637号公報等)、または特定の乳化剤、デキ
ストリン等の特定の安定剤を添加すること(特開昭63-2
19339号公報、特開平1-252273号公報等)が提案され、
一部実用化されてもいる。
【0004】しかしながら、両相の分離を防止するため
に、このような攪拌、均質処理等を長時間または高圧力
で行うには多大の動力を必要とする。そこで、均質化処
理を必要とする部分と必要としない部分とに分けて均質
化することによりこの欠点を改善する方法(特開昭50-1
07152号公報)が提案されているが、この方法の場合に
は、逆に、処理工程が増加するという新たな欠点が生
じ、エマルションの粒子をあまり微細にするとよい風味
(たとえば濃厚感)が得られないという欠点も生じる。
さらにまた、特定の乳化剤、特定の安定剤を添加するこ
とにより、合成乳の物性、食感、風味も限定されてしま
うという欠点もあった。
【0005】これに対して、最近、これらの方法とは全
く異なったエマルションの製造法が開発された(特開平
2-95433号公報)。この方法は、分散相となるべき液体
を均一な細孔径を有するミクロ多孔膜体を通して連続相
となるべき液体中に圧入することを特徴としている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この特
徴のあるミクロ多孔膜を用いる方法を工業的規模での生
産工程において実施し、食品等のエマルションを大量に
製造しようとする場合には、その操作性等にいくつかの
問題点があることがわかってきた。すなわち、この方法
によって水中油型エマルションを製造する場合には、親
水性多孔膜を使用し、油相には乳化剤を添加せず、水相
に親水性乳化剤を添加して乳化を行なうのが一般的手段
となっている。しかしながら、この方法により大量に製
造したエマルションは、油脂の平均粒子径および粒子径
のバラツキ度がともに大きく、エマルションが不安定に
なる傾向があった。
【0007】そこでこの発明の発明者等は、このような
欠点を改良した方法をすでに提案してもいる(特願平2-
95368号)。しかしながら、この改良方法はエマルショ
ンの特性そのものは良好としているものの、長期保存安
定性を有し、かつ風味のよい合成乳の製造にはより一層
の改良が必要であった。この発明は以上の従来技術に鑑
みてなされたものであり、粒子径が均一で長期間保存し
ても乳分分離、変質を生じることのない安定なエマルシ
ョン製造の方法をさらに発展させ、風味の良好な合成乳
と、これを工業的規模で製造することのできる新しい方
法を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】この発明は、上記の課題
を解決するものとして、均一な微細孔径を有する親水性
多孔膜を通して油相を水相に圧入して調製することを特
徴とする合成乳の製造法を提供する。そしてまた、この
発明は、この方法により製造される水中油型エマルショ
ンであって、油相の粒子径が3μm以下である合成乳を
も提供する。
【0009】さらにこの発明は、前記の製造法におい
て、油相が油脂の少なくとも0.05%(重量)の親油性乳
化剤を含有し、親水性多孔膜の微細孔径が2μm以下で
あり、油相を水相に圧入する圧力が少なくとも0.01kg/
cm2 であることを好ましい態様としている。以下、この
発明についてさらに詳しく説明する。
【0010】まず、この発明の製造法に使用する均一な
微細孔径を有する親水性多孔膜は、その基本構成におい
てすでに公知のものであり、たとえば特許第1,518,989
号の公告公報の実施例1に記載されている方法により製
造されたガラス質ミクロ多孔膜、またはMPG(商標。
MICROPOROUS GLASSの略。伊勢化学工業社製)等として
市販されているものでもある。この発明では、これらの
公知のもの、そしてさらに改良を加えたものを適宜に使
用することができる。通常、これらの膜は、0.1〜10
μmの任意の孔径で製造可能であり、目的とするエマル
ションにより適宜の孔径の膜を使用できる。この発明の
合成乳の製造のためには、特に、2μm以下の均一な微
細孔径を有する親水性多孔膜を使用することが望まし
い。
【0011】油相を圧入する水相としては、水そのも
の、各種成分を溶解した水溶液、脱脂乳、ホエー等の製
造する食品の合成乳の目的により適宜調製できる。この
水相には親水性の食用乳化剤、たとえば市販のものをは
じめとするショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセロール脂
肪酸エステル等の1種または2種以上を水に対して0.01
%以上、望ましくは0.05〜0.5%を添加し、均一に混合
することもできる。
【0012】油相は、食用の動植物油脂、これらの加工
品の単品または混合品とすることができ、最終製品の合
成乳に対する割合は製造する合成乳の目的により適宜決
定される。通常、最終製品の合成乳に対する油相の割合
は0.5〜50%である。油相には親油性の食用乳化剤、
たとえば市販のソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン
脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等の1種または
2種以上を油脂に対して0.05%以上、望ましくは0.5〜
3.0%を添加し、均一に混合する。
【0013】次に、この発明の製造法を添付した図面に
沿って具体的に説明すると、たとえば図1の工程構成図
に示したように、循環槽(1)に、必要に応じて殺菌ま
たは滅菌した所定量の水相を貯蔵し、この水相をポンプ
(2)によりパイプライン(3)を経由して均一な微細
孔径(望ましくは孔径2μm以下)を有する親水性多孔
膜(4)を装着したモジュール(5)の中心部に移送
し、ここで、後述するように親水性多孔膜(4)を通過
させた油相粒子(望ましくは粒子径3μm以下)を圧入
する。その後、パイプライン(6)を経由して再び循環
槽(1)に戻す。この際の水相のモジュール(5)内に
おける循環流速は、たとえば0.4〜5m/秒程度、より
好ましくは0.8〜2m/秒の範囲で適宜選択することが
できる。
【0014】一方、圧力容器(7)には、必要に応じて
殺菌または滅菌した所定量の油相を貯蔵し、この油相
を、バルブ(8)で調節されてパイプライン(9)を経
由して導入した不活性ガスまたは圧力ポンプ等で所定の
圧力に加圧し、バルブ(10)を通し、パイプライン
(11)を経由してモジュール(5)に供給し、親水性
多孔膜(4)の微細な孔から水相に圧入する。なお、こ
の油相の加圧は、使用する油脂の種類、乳化剤の種類、
量、乳化温度等により異なるが、一般的には、0.01〜1
0.0kg/cm2 程度とすることができ、この範囲の圧力と
して適宜選択することができる。また、この油相圧入時
の温度は、室温から80℃程度の範囲で適宜選択するこ
とができる。
【0015】好ましくは、ほぼ全ての油相が水相に圧入
されるまで上記の循環は継続する。乳化終了後、得られ
た合成乳はパイプライン(12)を通じて次の工程に移
送する。必要に応じて、得られた合成乳を殺菌または滅
菌することもできる。たとえば、以上のようにして粒子
径がほぼ均一で長期間保存しても乳分分離、変質を起こ
さず、安定で風味のよい食品の合成乳が得られる。もち
ろん、以上の工程の構成の細部については様々な態様が
可能であることはいうまでもない。
【0016】以下、この発明の実施例を示し、さらに詳
しくこの発明の製造法、そしてその方法により得られる
合成乳について説明する。
【0017】
【実施例】実施例1 水8kgにショ糖脂肪酸エステル(第一工業製薬製。HLB
15)を0.05%の割合で添加し、加熱しながら溶解し、水
相を調製した。市販のコーンオイル(太陽油脂製)0.15
kgに0.5%の割合でソルビタン脂肪酸エステル(花王
製。HLB 3.8)を添加し、均一に混合し、油相を調製し
た。図1に示す工程略図において孔径0.5μmの親水性
多孔膜(MPG:伊勢化学工業製)を装着したモジュー
ルを用い、圧力容器中の油相を窒素ガスにより1kg/cm
2 に加圧し、2m/秒の流速で循環している水相に室温
で圧入し、合成乳約8.0kgを得た。
【0018】得られた合成乳を後述の実施例4〜11と
同一の方法で測定した結果、平均粒子径1.6μm、バラ
ツキ度(α)0.92であり、粒子が極めて均一であり、良
好であった。さらに、この合成乳を5℃で10日間冷蔵
保存しても、油相の浮上によりリングを形成するような
乳分分離、変質を起こさず安定であった。 実施例2 脱脂乳8kgを水相とした。市販のバターオイル(ニュー
ジーランド産)0.1kgに5.0%の割合でグリセリン脂肪酸
エステル(花王製。HLB 3.8)を添加し、均一に混合
し、油相を調製した。図1に示す工程略図において孔径
0.5μmの親水性多孔膜(MPG:伊勢化学工業製)を
装着したモジュールを用い、圧力容器中の油相を窒素ガ
スにより0.1kg/cm2 に圧入し、1m/秒の流速で循環
している水相に60℃で圧入し、合成乳約7.9kgを得
た。
【0019】得られた合成乳を実施例4〜11と同一の
方法で測定した結果、平均粒子径1.6μm、バラツキ度
(α)1.0であり、粒子が極めて均一であり、風味も良
好であった。さらに、この合成乳を5℃で10日間冷蔵
保存しても、油相の浮上によりリングを形成するような
乳分分離、変質を起こさず安定であった。 実施例3 脱脂乳8kgにポリグリセリン脂肪酸エステル(第一工業
製薬製。HLB15)を0.05%の割合で添加し、加熱しなが
ら溶解し、水相を調製した。市販のバターオイル(ニュ
ージーランド産)0.25kgに3.0%の割合のグリセリン脂
肪酸エステル(花王製。HLB 3.8)を添加し、均一に混
合し、油相を調製した。図1に示す工程略図において孔
径1.0μmの親水性多孔膜(MPG:伊勢化学工業製)
を装着したモジュールを用い、圧力容器中の油相を圧力
ポンプにより0.3kg/cm2 に加圧し、0.8m/秒の流速で
循環している水相に60℃で圧入し、合成乳約8.2kgを
得た。
【0020】得られた合成乳を実施例4〜11と同一の
方法で測定した結果、平均粒子径2.1μm、バラツキ度
(α)0.99であり、粒子が極めて均一であり、極めて濃
厚感があり風味も良好であった。さらに、この合成乳を
5℃で10日間冷蔵保存しても、油相の浮上によりリン
グを形成するような乳分分離、変質を起こさず安定であ
った。 実施例4〜11 次に、各種の乳化方法と対比しつつ、この発明の方法に
よって得られる合成乳について、その作用効果を評価し
た。 1)試料の調製 表1に記載した親水性多孔膜の細孔径、乳化圧力、乳化
温度(第3欄)、乳化成分(第4,5欄)および乳化剤
(第6,7欄)の条件を除き、前記実施例1と同一の方
法で8種類(実施例4〜11)の合成乳試料を調製し
た。なお、比較例1,2は、従来法により均質機で170k
g/cm2 の圧力で乳化した合成乳試料である。 2)試験方法 水中油型エマルションの粒子分布(平均粒子径および
バラツキ度)各合成乳試料について、遠心沈降式粒度分
布測定装置(堀場製作所。CAPA500)により、粒子径分
布を測定し、平均粒子径(D)およびバラツキ度(α)
を算出した。バラツキ度は、相対累積粒子径分布曲線に
おいて粒子容積が全体の10%を占める時の粒子径(D
10) から粒子容積が全体の90%を占める時の粒子径
(D90)を差引き、その差を平均粒子径で除した値であ
る。従って、αが0のエマルションは粒子のバラツキが
全く存在しない理想的な状態(現実には存在しない)を
意味しており、粒子径が均一である程αは0に近似す
る。
【0021】合成乳の保存安定性 各合成乳試料について、200ml容透明牛乳ビン中に10
日間5℃に保存した後に、肉眼により、脂肪の浮上(ビ
ン壁面における油膜やリングの形成)の有無の観察を行
い、次の基準により評価した。X:脂肪の浮上有り Y:脂肪の浮上無し 官能検査 各合成乳試料について、その食感(濃厚感、後味および
それらの総合的評価)について男女各20名からなるパ
ネルで官能検査を行い、次の基準により評価した。
【0022】A:良 好 B:やや不良 C:不 良 3)試験結果 この試験の結果は表1に示したとおりである。
【0023】
【表1】
【0024】この表1から明らかなように、従来法で製
造した合成乳(比較例1〜2)は、バラツキ度が大き
く、保存安定性および風味のいずれにおいても、この発
明の方法で製造した合成乳と比較して劣っていた。この
発明の方法で製造した実施例4〜8の平均粒子径と保存
安定性および官能検査の結果を比較すれば、平均粒子径
が3μmを超える実施例4では、保存安定性がやや不良
であること、平均粒子径が1μm未満である実施例5で
は、風味がやや不良であることが認められた。従って、
望ましい平均粒子径は3μm以下、1〜3μm、である
ことが判明した。
【0025】同じ乳化圧力0.01kg/cm2 で乳化した実施
例4〜6について、親水性多孔膜の微細孔径と保存安定
性とを比較すれば、微細孔径が2μmを超える実施例4
では、保存安定性がやや不良であることが認められた。
従って、望ましい親水性多孔膜の微細孔径は、2μm以
下であることが判明した。さらに、この発明の方法で製
造した実施例9〜10の保存安定性および官能検査結果
を比較すれば、油相に親油性乳化剤(0.05%)を含有し
ない実施例10では、保存安定性がやや悪く、風味もや
や悪いことが認められた。従って、油脂の少なくとも0.
05%の割合の親油性乳化剤の油相への添加が、望ましい
ことが認められた。
【0026】なお、条件を変更してこの発明の方法によ
り調製した試料についても、ほぼ上記と同様な結果が得
られた。
【0027】
【発明の効果】以上詳しく説明した通り、この発明によ
り次のような優れた効果が得られる。 (1) この発明の方法により、粒子径が均一で長期間
保存しても乳分分離、変質を起こさず、安定で、風味が
よく、濃厚感を有する合成乳が得られる。 (2) この発明の方法においては、特定の乳化剤、特
定の安定剤を用いることを必要とせず、また、均質機等
の高価な設備を必要とせず、かつ均質機等を使用した場
合に比較して低い処理圧力で、合成乳を製造できるの
で、製造費が安価になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の方法を実施するための工程例を示し
た概略図である。
【符号の説明】
1 循環槽 2 ポンプ 3 パイプライン 4 親水性多孔膜 5 モジュール 6 パイプライン 7 圧力容器 8 バルブ 9 パイプライン 10 バルブ 11 パイプライン 12 パイプライン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−95433(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A23C 9/00 - 11/10 A23C 3/00 B01J 13/00 - 13/02

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 油脂の少なくとも0.05%(重量)の
    親油性乳化剤を含有する油相を、2μm以下の均一な微
    細孔径を有する親水性多孔膜を通して、水相に少なくと
    も0.01kg/cm 2 の圧力で圧入し、水中油型エマ
    ルションを調製することを特徴とする長期間保存しても
    乳分の分離の生じない合成乳の製造法。
  2. 【請求項2】 請求項1の製造法により製造され、油相
    が油脂の少なくとも0.05%(重量)の親油性乳化剤
    を含有し、油相の粒子径が3μm以下であり、しかも1
    0日間5℃保存後に脂肪の浮上のない水中油型エマルシ
    ョンからなる長期間保存しても乳分の分離の生じない
    成乳。
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