JP2009095248A - ミルク入り飲料 - Google Patents

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和治 増野
Kumiko Tsukano
久美子 塚野
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Abstract

【課題】ミルク風味豊かなミルク入り飲料を提供する。
【解決手段】脂肪球の大きさをが大きい程、ミルク風味が強くなるが、保存中に浮上分離の生成および不溶物の沈殿を生じる。そこで、生乳の脂肪球をメジアン径1.0〜6.0μmの範囲内に調製し、さらに低HLBの飽和脂肪酸系のグリセリンモノエステルを添加することによって、保存中の脂肪の浮上分離の生成および不溶解物の沈澱の生成が、脂肪球の小さいO/W乳化物を含有するミルク入り飲料の場合と較べても遜色ない程度に抑制する。
【選択図】なし

Description

本発明は、ミルク風味豊かなミルク入り飲料およびその製造方法に関するものである。
一般に牛乳に代表されるミルクは、O/W乳化物の形態をとるものであるが、乳化物中の脂肪球の大きさが大きい程、ミルク風味が豊かに感じられると言われている。その代表的な事例として、例えば牧場等において乳牛から搾りたての牛乳を飲んだ際には大変ミルク風味を感じるが、市販されているパック詰めの牛乳はアッサリ、スッキリしていてミルク風味が弱く感じられると言うことが上げられる。
この理由は脂肪球の大小に関係があると言われている。乳牛から搾りたての牛乳の脂肪球は、通常、メジアン径が3〜6μmであると言われているが、市販されているパック詰めの牛乳の場合においては、搾りたての牛乳の脂肪球の大きさでは乳化が不安定で脂肪分離を生じるため、これを防止する目的で、脂肪球を細かく破砕するホモジナイザーを用いて脂肪球のメジアン径を0.6μm〜0.8μm程度にしている。即ち、脂肪球が大きければミルク風味を強く感じ、小さければミルク風味がアッサリ、スッキリしたものに感じられるのである。
さらに、近年、ミルク業界では、市販されているパック詰めの牛乳の風味をよりおいしくするために特許文献1に記載される技術内容を元に、牛乳の殺菌方法や牛乳の均質化による脂肪球の大きさを工夫することにより、いわゆる加熱臭の少ない、かつコクがある市販パック牛乳が開発販売されている。
近年の飲料業界において、ミルク入りコーヒーに代表されるミルク入り飲料は大きなウエイトを占めているが、ミルク風味を強調する場合においては、牛乳を主体として多量に添加し、副次的に脱脂粉乳、全脂粉乳、ミルクフレーバー等を添加する傾向が多い。しかしながら、主体となる牛乳は前述の通り、ホモジナイザーを用いて脂肪球のメジアン径を0.6μm〜0.8μm程度にしているため、牛乳を多量に添加してもミルク入り飲料自体のミルク風味はアッサリ、スッキリしているものに感じられるものであった。
特開2005−46140号公報
そこで、本発明は、ミルク風味豊かなミルク入り飲料を提供することを主目的とする。
実際に代表的事例として、10数種類の市販の缶、ペットボトルまたは紙パック等の密封容器詰めのミルク入りコーヒーの脂肪球のメジアン径を測定したところ、その大部分は0.6〜0.8μmの範囲に入るもので、脂肪球のメジアン径が1.0μm以上のものは見出せず、そのミルク風味もアッサリ、スッキリしたものであった。
そこで、本発明者等は、鋭意研究を進めた結果、ミルク入り飲料中の脂肪球のメジアン径が1.0μm以上であれば、格段にミルク風味が強く感じられるミルク入り飲料になることを見出し、本発明を完成させるに至ったのである。
しかし、本発明を完成させる研究の途上において、特にレトルト加熱殺菌等の過酷な加熱殺菌を行う缶、ペットボトルまたは紙パック等の密封容器詰めのミルク入り飲料においては、ミルク入り飲料中の脂肪球のメジアン径が大きい程、特に脂肪球のメジアン径が1.0μm以上の場合には、顕著に保存中の脂肪の浮上分離の生成および不溶解物の沈澱の生成が大きくなることを見出し、脂肪球のメジアン径が1.0μm以上であっても、それらの浮上分離および沈澱を防止できる方法を併せて鋭意研究し、本発明を完成させるに至ったのである。
よって、上記問題点を解決するために、本発明は、脂肪の浮上分離の生成および不溶物の沈殿の生成を抑制する方法でもって、脂肪球の大きいO/W乳化物を含有することを特徴とするミルク入り飲料を提供する。
本発明によれば、脂肪の浮上分離の生成および不溶物の沈殿の生成を抑制する方法でもって、脂肪球の大きいO/W乳化物を含有したにもかかわらず、脂肪分離の生成および不溶物の沈殿の生成の少ないミルク風味豊かなミルク入り飲料とすることができる。
また、本発明においては、上記脂肪球の大きさがメジアン径として1.0μm〜6.0μmの範囲内であることが好ましい。上記脂肪球の大きさが上記範囲内であることにより、格別にミルク風味を強く感じられるミルク入り飲料とすることができるからである。
本発明においては、保存中の脂肪の浮上分離および不溶解物の沈殿の生成を抑制するために、飽和脂肪酸系のグリセリン脂肪酸モノエステルを含有することが好ましい。これにより、脂肪球の大きいO/W乳化物を含有していても乳化が安定で脂肪分離の少ないものとすることができる。
また、本発明においては、上記ミルク入り飲料がミルク入りコーヒー飲料であることが好ましい。飲料業界において、ミルク入りコーヒー飲料の占めるウエイトは大きいからである。
本発明は、上述したミルク入り飲料の製造方法であって、脂肪球の大きさがメジアン径として1.0μm〜6.0μmの範囲内にあるO/W乳化物を用い、これを添加することによりミルク入り飲料を製造することを特徴とするミルク入り飲料の製造方法を提供する。
本発明によれば、上記製造方法によりミルク入り飲料を製造することで、ミルク風味の豊かなものとすることができる。
本発明においては、上記O/W乳化物が生乳であって、ミルク入り飲料製造時に、上記O/W乳化物と飲料とを混ぜ合わせた際に、脂肪の浮上分離の生成および不溶解物の沈殿の生成を抑制するために、飽和脂肪酸系のグリセリンモノエステルを添加することが好ましい。
また、本発明においては、上記O/W乳化物が飽和脂肪酸系のグリセリンモノエステルを添加して合成された合成ミルクであって、上記O/W乳化物および飲料の少なくとも一方に、飽和脂肪酸系のグリセリンモノエステルを添加した後に混ぜ合わせる方法、または、上記O/W乳化物と飲料とを混ぜ合わせた際に、飽和脂肪酸系のグリセリンモノエステルを添加する方法のいずれかの方法によりミルク入り飲料を製造することが好ましい。
これによって、保存中にO/W乳化物中の脂肪の浮上分離の生成および不溶解物の沈澱の生成を抑制できるミルク入り飲料を製造することができる。
本発明によれば、脂肪球の大きなO/W乳化物を飲料中に添加することでミルク風味を強く感じられるミルク入り飲料となすことが出来るものであり、さらに脂肪球が大きいO/W乳化物を含有するミルク入り飲料であっても、保存中の脂肪の浮上分離の生成および不溶解物の沈澱の生成が、アッサリ、スッキリしたミルク風味を有する脂肪球の小さいO/W乳化物を含有するミルク入り飲料の場合と較べても遜色ない程度に抑制されたものとなすことが出来るものである。
本発明はミルク入り飲料およびその製造方法に関するものである。
本発明における「ミルク入り飲料」とは、加熱充填された密封容器入りのミルク入り飲料を言い、例えば缶入りミルク入りコーヒー飲料、紅茶飲料、ココア飲料、さらにはスープ等の乳入り飲料等にも応用可能な発明技術であり、本発明の技術の範疇である。ここでの「密封容器」とは、缶容器や紙容器等をいうものとする。
なお、例えばO/W乳化物であって、脂肪球が大きい搾りたて牛乳をコーヒー等の飲料中に添加して、その場で即座に脂肪の浮上分離の生成および不溶解物の沈澱の生成を特に気にせずに飲用に供する場合等は、本発明の範疇ではない。
以下、本発明のミルク入り飲料およびその製造方法について、それぞれ説明する。
A.ミルク入り飲料
本発明のミルク入り飲料は、脂肪の浮上分離の生成および不溶解物の沈殿の生成が抑制された脂肪球の大きいO/W乳化物を含有することを特徴とするものである。
本発明によれば、上記脂肪球の大きいO/W乳化物を含有することにより、ミルク風味を豊かに感じられるミルク入り飲料とすることができる。
なお、ここでいう「O/W乳化物」とは、牛乳の他に、全脂濃縮乳、生クリーム、さらにはバター、チーズ等の乳脂肪および牛脂、豚脂等の動物脂肪やパーム油、ヤシ油、大豆油等の植物油脂を含有し、水中に乳化したものとする。
飲料中にミルク風味を強く感じさせ、かつ飲料中で分散乳化形態を保持するには脂肪球の大きさはメジアン径として1.0〜6.0μmの範囲内であることが望ましく、中でも2.0μm〜5.0μmの範囲内、特に2.5μm〜4.5μmの範囲内、であることが好ましい。これは、脂肪球の大きさが上記範囲を満たない場合、ミルク風味が弱く、むしろアッサリ、スッキリ感が強くなる傾向にあり、上記範囲を超える場合、ミルク風味は強いが、脂肪のベタツキ感が強くなり、かつ脂肪の凝集が生じやすくなるためである。
このためには、飲料中に添加するO/W乳化物中の脂肪球の大きさは、ミルク入り飲料中の脂肪球の大きさが、最終的にメジアン径として1.0〜6.0μmの範囲内である様に調製可能であれば、特に限定されるものではないが、飲料中にO/W乳化物を添加する際に、ホモジナイザーを用いないで攪拌のみにて均一に混合分散する場合、またはホモジナイザーを用いる場合でも、極低圧にて処理をして脂肪球を細粒化しないで、メジアン径として1.0〜6.0μmの範囲内である脂肪球からなるO/W乳化物を維持することが望ましい。
本発明においては、前述の通り、脂肪球の大きさが大きい程、ミルク風味が強くなると言う知見に基づくものであるが、例えば脂肪球の大きな搾りたて牛乳を飲料中に添加して、その場で即座に脂肪の浮上分離の生成および不溶解物の沈澱の生成を特に気にせずに飲用に供する場合等を除き、脂肪の浮上分離の生成および不溶解物の沈澱の生成が問題となるものである。これは、牛乳を含め、全脂濃縮乳、生クリーム、さらにはバター、チーズ等の乳脂肪および牛脂、豚脂等の動物脂肪やパーム油、ヤシ油、大豆油等の植物油脂を含有した脂肪球の大きいO/W乳化物を飲料中に添加する場合も同様である。
このため、脂肪球の大きいO/W乳化物を飲料中に添加する場合には、脂肪の浮上分離の生成および不溶解物の沈澱の生成を抑制する手段を講じる必要がある。
これは、脂肪球の大きい形態で飲料中に存在するものであれば特に限定されるものではないが、飲料中に単独で動物脂肪または植物油脂を添加した場合においては、これらの脂肪類が飲料中にうまく分散乳化しない場合が多々あるから、特に注意を要する。
即ち、本発明者等は、脂肪球の大きいO/W乳化物を含有するミルク入り飲料においては、保存中の脂肪の浮上分離の生成および不溶解物の沈澱の生成が、脂肪球の小さいO/W乳化物を含有するミルク入り飲料に較べ著しいものがあることを見出したのであるが、そこで、本発明者等は、脂肪球の大きいO/W乳化物を含有するミルク入り飲料においても保存中の脂肪の浮上分離の生成および不溶解物の沈澱の生成を抑制可能な方法を鋭意検討した結果、抗菌目的にショ糖脂肪酸エステルおよびまたはジグリセリン脂肪酸エステルを必要最低限添加する以外に飽和脂肪酸系のグリセリン脂肪酸モノエステルを添加することで、ミルク入り飲料中の脂肪球の大きさが、最終的にメジアン径として1.0〜6.0μmの範囲内であっても、保存中の脂肪の浮上分離の生成および不溶解物の沈澱の生成が、脂肪球の小さいO/W乳化物を含有するミルク入り飲料の場合と較べても遜色ない程度に抑制できることを見出した。
なお、本発明で言う飽和脂肪酸系のグリセリン脂肪酸モノエステルとは、低HLBのグリセリン脂肪酸エステルと総称される乳化剤の範疇に属するものであり、グリセリンにラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸またはステアリン酸等の飽和脂肪酸が各1個結合したモノエステルであり、特に限定されるものではないが、代表的には高純度モノグリセライドの内、パルミチン酸またはステアリン酸が結合した商品名エマルジーMS、同エマルジーP100(以上理研ビタミン株式会社)または同エキセルT−95、同エキセルVS−95(以上花王株式会社)があり、これらは風味的にも優れていて好ましい。
なお、上記ミルク入り飲料としては、ミルク入りコーヒー飲料の他に、例えばミルク入り紅茶飲料やココア飲料、スープ等を挙げることができる。
また、上記ミルク入り飲料としては、特にミルク入りコーヒー飲料であることが好ましい。ミルク入りコーヒー飲料は、飲料業界において占めるウエイトが大きいからである。
B.ミルク入り飲料の製造方法
本発明のミルク入り飲料の製造方法は、「A.ミルク入り飲料」に記載されたミルク入り飲料を製造する製造方法であって、脂肪球の大きさがメジアン径として1.0μm〜6.0μmの範囲内にあるO/W乳化物を添加することを特徴とする製造方法である。
本発明によれば、上記O/W乳化物を添加することにより、上記ミルク入り飲料のミルク風味を強く感じさせることが可能となる。
ここで、上記製造方法については、上記O/W乳化物が生乳である態様(以下、第一の態様とする。)と上記O/W乳化物が合成ミルクである態様(以下、第二の態様とする。)とに分けて説明する。
1.第一の態様
本態様のミルク入り飲料の製造方法は、上記O/W乳化物が生乳であって、ミルク入り飲料製造時に、上記O/W乳化物と飲料とを混ぜ合わせた際に、脂肪の浮上分離の生成および不溶解物の沈殿の生成を抑制するために、飽和脂肪酸系のグリセリンモノエステルを添加することを特徴とする製造方法である。なお、生乳の衛生的な保管性を高めるため、本発明の効果を損なわないものであれば、加熱殺菌処理を施すことを妨げるものではない。
本態様においては、特に限定するものではないが、上記O/W乳化物中の脂肪が分離するおそれがある場合や本発明の効果を高める場合において、上記O/W乳化物と飲料とを混ぜ合わせる前に上記O/W乳化物である生乳中に飽和脂肪酸系のグリセリン脂肪酸モノエステルを適量添加しても良い。
なお、ミルク入り飲料には抗菌以外の目的で、保存中の脂肪の浮上分離の生成および不溶解物の沈澱の生成を防止する目的で、カゼインNa、有機酸モノグリセライド、レシチン、カラギーナン等を添加する場合が多いが、本態様においては、これらは特に必要とされるものではなく、特に限定されるものではないが、本態様内容である飽和脂肪酸系のグリセリン脂肪酸モノエステルの働きを阻害しないのであれば、適宜使用しても良い。
上記飽和脂肪酸系のグリセリン脂肪酸モノエステルとしては、具体的には、「A.ミルク入り飲料」の項に記載したので、ここでの記載は省略する。
本態様においての飽和脂肪酸系のグリセリン脂肪酸モノエステルの上記O/W乳化物と飲料との混合液中への添加量は、その飲料中の飲料成分濃度、ミルク成分濃度およびグリセリン脂肪酸モノエステルの種類、純度、さらには抗菌目的の乳化剤の添加量等の条件が多様であるため、特に限定されるものではないが、前述の高純度モノグリセライドを使用した場合においては、0.05〜0.5重量%、好ましくは0.2〜0.5重量%添加するのが望ましい。
また、本態様においてのグリセリン脂肪酸モノエステルは、上記O/W乳化物と飲料を混合した際に添加するものとするが、上記O/W乳化物中の脂肪が分離するおそれがある場合や、より本発明の効果を高める場合において、上記O/W乳化物と飲料とを混ぜ合わせる前に上記O/W乳化物である生乳中に飽和脂肪酸系のグリセリン脂肪酸モノエステルを適量添加しても良い。
2.第二の態様
本態様のミルク入り飲料の製造方法は、上記O/W乳化物が飽和脂肪酸系のグリセリンモノエステルを添加して合成された合成ミルクであって、上記O/W乳化物と飲料とを混ぜ合わせた際に、飽和脂肪酸系のグリセリンモノエステルを添加する方法によりミルク入り飲料を製造することを特徴とする製造方法である。なお、合成ミルクの衛生的な保管性を高めるため、本発明の効果を損なわないものであれば、加熱殺菌処理を施すことを妨げるものではない。
ここで「合成ミルク」とは、牛乳等の天然のO/W乳化物を除き、生クリーム、さらにはバター、チーズ等の乳脂肪および牛脂、豚脂等の動物脂肪やパーム油、ヤシ油、大豆油等の植物油脂を含有した脂肪球の大きいO/W乳化物を指すものとする。
牛乳や全脂濃縮乳、生クリーム等の天然のO/W乳化物や乳化剤等の食品添加物を添加しないでもO/W乳化物を調製出来る場合を除き、上記合成ミルクを調製する場合においては、グリセリン脂肪酸モノエステルの他にソルビタン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセライド、ショ糖脂肪酸エステルおよびまたはジグリセリン脂肪酸エステル等の乳化剤やリン酸塩、増粘多糖類、カゼインNa等を添加する場合が多いが、本態様において、本態様の脂肪球の大きいO/W乳化物を調製する場合は、飽和脂肪酸系のグリセリン脂肪酸モノエステルを用いるのが望ましい。
ただし、本態様における飽和脂肪酸系のグリセリン脂肪酸モノエステルの効果を妨げるものでなければ、飽和脂肪酸系のグリセリン脂肪酸モノエステル以外の乳化剤やリン酸塩、増粘多糖類、カゼインNa等の添加を妨げるものではない。
本態様内容である飽和脂肪酸系のグリセリン脂肪酸モノエステルのミルク入り飲料中への添加量は、その飲料中の飲料成分濃度、ミルク成分濃度およびグリセリン脂肪酸モノエステルの種類、純度、さらには抗菌目的の乳化剤の添加量等の条件が多様であるため、特に限定されるものではないが、前述の高純度モノグリセライドを使用した場合においては、0.05〜0.5重量%、好ましくは0.2〜0.5重量%添加するのが望ましい。
本態様において、飽和脂肪酸系のグリセリン脂肪酸モノエステルは、その効果を損なわないのであれば、添加のタイミングとして特に限定されず、上記O/W乳化物に飽和脂肪酸系のグリセリンモノエステルを添加した後に、飲料と混ぜ合わせても良いし、また、飲料に飽和脂肪酸系のグリセリンモノエステルを添加した後に、上記O/W乳化物と混ぜ合わせても良いし、さらには、上記O/W乳化物および飲料の両方に飽和脂肪酸系のグリセリンモノエステルを添加した後に、混合させても良いし、または、上記O/W乳化物と飲料とを混ぜ合わせた後に、飽和脂肪酸系のグリセリンモノエステルを添加させても良く、上述したいずれかのタイミングで添加すれば良い。
また、本態様においては、加熱殺菌して密封容器詰めされるミルク入り飲料には抗菌目的に高HLBのショ糖脂肪酸エステルおよびまたはジグリセリン脂肪酸エステルが添加されることが多いが、これらの抗菌目的の乳化剤を過剰に添加する場合、脂肪球の大きいミルク入り飲料においては保存中の脂肪の浮上分離の生成および不溶解物の沈澱の生成を促進するので、抗菌目的に必要最低限添加する以外は使用しない方が望ましい。
また、特に限定するものではないが、高HLBのショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ジグリセリン脂肪酸エステルおよびまたはポリソルベートを主体とした乳化剤を添加して脂肪球の大きいO/W乳化物を調製した場合においては、脂肪球が大きいO/W乳化物自体の乳化安定性が悪くなったり、あるいは同じく脂肪球が大きいO/W乳化物を含有するミルク入り飲料中に添加されている飽和脂肪酸系のグリセリン脂肪酸モノエステルの添加量が少ない場合においては、飽和脂肪酸系のグリセリン脂肪酸モノエステルの効果に悪影響を及ぼして保存中の脂肪の浮上分離の生成および不溶解物の沈澱の生成が生じて好ましいものではない。当然、本態様内容の脂肪球が大きいO/W乳化物を含有するミルク入り飲料中の飽和脂肪酸系のグリセリン脂肪酸モノエステルの効果に悪影響を及ぼさない程度ものであれば、これらの高HLBのショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ジグリセリン脂肪酸エステルおよびまたはポリソルベート主体とした乳化剤を添加して調製した脂肪球の大きいO/W乳化物を本態様品に添加するのは、本態様の技術の範疇である。
ここでHLBとは、親水親油バランス(hydrophile−lipophile balance)の略称であり、HLBを示すHLB値が大きいほど親水性が高いことを表し、小さいほど親油性が高いことを表すものである。
3.その他
牛乳や全脂濃縮乳、生クリーム等の天然のO/W乳化物を初めとして、生クリーム、さらにはバター、チーズ等の乳脂肪および牛脂、豚脂等の動物脂肪やパーム油、ヤシ油、大豆油等の植物油脂を含有した脂肪球の大きいO/W乳化物を調製する場合において、さらに、これらのO/W乳化物を飲料中に添加してミルク入り飲料となす場合において、ホモジナイザーと呼ばれる均質機を用いて機械的な均質圧力を加え、脂肪を破砕粒子化してO/W乳化物またはO/W乳化物を添加したミルク入り飲料となすのが一般的である。特に限定するものではないが、O/W乳化物中の脂肪球の大きさをメジアン径として1.0〜6.0μmの範囲内とする場合においては、ホモジナイザーの均質圧力は均質機により各々特性があるために特に限定されるものではないが、0〜50kgf/cm程度、好ましくは0〜30kgf/cm程度の低圧均質処理を施すことが望ましい。
なお、本発明におけるメジアン径は、以下の測定条件により測定をおこなった。
(メジアン径測定条件)
1.定機器名;SALD 300ーV MODEL 2(島津製作所株式会社製)
2.回析/散乱光の検出条件 測定回数;1回、測定間隔;2秒、平均回数;64回、測定吸光度範囲最大値;0.2、同最小値;0.01、評価対象粒子径範囲最大値;350、同最小値0.1、センサー使用開始位置(P);1、屈折率;1.60−0.10i
3.出力条件 任意粒子径テーブル;2、任意%テーブル;0、分布基準;体積、頻度分布;q、任意%(1);35、任意%(2);50、任意%(3);5、スムージングレベル;0、データシフト;0、分布開数;無変換
4.グラフ条件 粒子径範囲最大粒子径;500μm、同最小粒子径;0.05μm、粒子量最大値積算%;100、同頻度%;20
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するもの、またはそれらの均等物は、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、本発明について実施例を用いて具体的に説明する。
[実施例]
(O/W乳化物の調整)
下記に示された原料を用い、表1に記載される組成で原料を混合溶解し、加温して、次いで均質化処理を行って、実施例1から実施例5までの脂肪球の大きいO/W乳化物を調製した。
<O/W乳化物の原料>
・生乳(搾りたて)
・ディリースプレッド(乳脂肪分65%、無脂肪固形分5.0%含有品)
・バターミルク濃縮液(乳脂肪分2.6%、無脂肪固形分31.0%含有品)
・ポエムDS−100A(ジグリセリンモノステアレート、理研ビタミン(株))
・シュガーエステルS1670(高HLBショ糖脂肪酸エステル、三菱フーズ(株))
Figure 2009095248
(ミルク入りコーヒーの調整)
実施例1から実施例5までのO/W乳化物を使用して、ミルク入りコーヒーの調整を行った。ミルク入りコーヒーの調製方法は以下の通りである。
1.コーヒー豆を粉砕し、定法により抽出する。
2.抽出液、砂糖、重曹、O/W乳化物、香料の順に調合する。
3.75℃に予熱の後、均質化(均質圧力0kgf/cm)する。
4.缶に充填後、レトルト殺菌(120℃以上の設定温度に達温後所定のFまで)を行う。
*F値:121.1℃で、一定温度の微生物を死滅させるのに要する時間(耐熱パラメータが10℃)
5.ミルク入りコーヒーの基本的な成分組成は、コーヒー抽出液固形分1.8W/W%、グラニュー糖6.0W/W%、O/W乳化物5.0W/W%、重曹0.2W/W%、シュガーエステルP−1670(抗菌剤)0.05W/W%、その他は水である。
得られたミルク入りコーヒーを55℃で7日間保存し、ミルク入りコーヒー中の脂肪の浮上分離の生成および不溶解物沈殿の生成の有無について調べた。結果を表2に示す。
なお、表中では、浮上分離については、「±、1+〜5+;浮上分離無し〜浮上分離大きい」と表現し、不溶解物沈澱についても同様に、「±、1+〜5+;不溶解物沈澱無し〜不溶解物沈澱多い」と表現する。
また、表中のメジアン径は、何れもレトルト殺菌直後に測定した脂肪球の大きさである。
Figure 2009095248
実施例1から実施例5までのO/W乳化物を使用して、上記と同様にして調整されたミルク入りコーヒー中に乳化剤としてエマルジーP100(理研ビタミン(株))を0.1重量%加えたミルク入りコーヒーを55℃で7日間保存し、ミルク入りコーヒー中の脂肪の浮上分離の生成および不溶解物沈殿の生成の有無について調べた。結果を表3に示す。
Figure 2009095248
実施例1から実施例5までのO/W乳化物を使用して、上記と同様にして調整されたミルク入りコーヒー中に乳化剤としてエマルジーP100(理研ビタミン(株))を0.3重量%加えたミルク入りコーヒーを55℃で7日間保存し、ミルク入りコーヒー中の脂肪の浮上分離の生成および不溶解物沈殿の生成の有無について調べた。結果を表4に示す。
Figure 2009095248
実施例1から実施例5までのO/W乳化物を使用して、上記と同様にして調整されたミルク入りコーヒー中に乳化剤としてエマルジーP100(理研ビタミン(株))を0.5重量%加えたミルク入りコーヒーを55℃で7日間保存し、ミルク入りコーヒー中の脂肪の浮上分離の生成および不溶解物沈殿の生成の有無について調べた。結果を表5に示す。
Figure 2009095248
(評価)
以上の実験結果から、飽和脂肪酸系のグリセリン脂肪酸モノエステルをミルク入りコーヒー中に添加することで、脂肪球の大きいO/W乳化物が添加されても脂肪の浮上分離および不溶解物沈澱の生成が抑制可能なことが分かった。また、高HLBのショ糖脂肪酸エステルやジグリセリンモノステアレートが添加されて調製されたO/W乳化物がミルク入りコーヒー中に添加された場合、ミルク入りコーヒー中の飽和脂肪酸系のグリセリン脂肪酸モノエステル添加量が少ない場合においては、脂肪の浮上分離および不溶解物沈澱生成の抑制効果が低下するが、ミルク入りコーヒー中の飽和脂肪酸系のグリセリン脂肪酸モノエステルの添加量を多くすることで、脂肪の浮上分離および不溶解物沈澱生成が抑制可能なことが分かった。

Claims (7)

  1. 脂肪の浮上分離の生成および不溶解物の沈殿の生成が抑制された脂肪球の大きいO/W乳化物を含有することを特徴とするミルク入り飲料。
  2. 前記脂肪球の大きさがメジアン径として1.0μm〜6.0μmの範囲内であることを特徴とする請求項1に記載のミルク入り飲料。
  3. 保存中の脂肪の浮上分離の生成および不溶解物の沈殿の生成を抑制するために、飽和脂肪酸系のグリセリン脂肪酸モノエステルを含有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のミルク入り飲料。
  4. 請求項1から請求項3に記載されたミルク入り飲料がミルク入りコーヒー飲料であることを特徴とするミルク入りコーヒー飲料。
  5. 請求項1または請求項2に記載されたミルク入り飲料を製造するミルク入り飲料の製造方法であって、脂肪球の大きさがメジアン径として1.0μm〜6.0μmの範囲内にあるO/W乳化物を用い、これを添加することによりミルク入り飲料を製造することを特徴とするミルク入り飲料の製造方法。
  6. 前記O/W乳化物が生乳であって、ミルク入り飲料製造時に、前記O/W乳化物と飲料とを混ぜ合わせた際に、脂肪の浮上分離の生成および不溶解物の沈殿の生成を抑制するために、飽和脂肪酸系のグリセリンモノエステルを添加することを特徴とする請求項5に記載のミルク入り飲料の製造方法。
  7. 前記O/W乳化物が飽和脂肪酸系のグリセリンモノエステルを添加して合成された合成ミルクであって、
    前記O/W乳化物および飲料の少なくとも一方に、飽和脂肪酸系のグリセリンモノエステルを添加した後に混ぜ合わせる方法、または、前記O/W乳化物と飲料とを混ぜ合わせた際に、飽和脂肪酸系のグリセリンモノエステルを添加する方法のいずれかの方法によりミルク入り飲料を製造することを特徴とする請求項5に記載のミルク入り飲料の製造方法。
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