JP4750738B2 - 濃縮乳タイプ乳化物およびそれを用いたミルク入り飲料 - Google Patents

濃縮乳タイプ乳化物およびそれを用いたミルク入り飲料 Download PDF

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本発明は、体内での吸収が良好で、かつ脂肪の燃焼が大きく、体内で脂肪として蓄積され難いと言われる全構成脂肪酸の炭素数が8〜10である中鎖脂肪酸からなる中鎖脂肪酸油脂と、生クリームからバターを製造する際の副産物である風味豊かなバターミルクとを混合乳化してなる濃縮乳タイプ乳化物、および、これをコーヒー抽出液または紅茶抽出液と混合してなる、健康に良く、風味豊かなミルク入り飲料に関するものである。
全構成脂肪酸の炭素数が8〜10である中鎖脂肪酸からなる中鎖脂肪酸油脂は、炭素数8のカプリル酸および炭素数10のカプリン酸からなる各種中鎖脂肪酸を含有してなる油脂で、ヤシ油やパーム油および乳脂肪に比較的多く含有されていると言われている。その性質は、酸化安定性が高く変質し難い、凝固点が−5℃以下であり常温では液体である、基質の溶解性が高く溶剤として使用される等が挙げられるが、近年、体内での吸収が良好で、かつ脂肪の燃焼が大きく、体内で脂肪として蓄積され難い性質が脚光を浴び、主として長鎖脂肪酸油脂を主要成分とするサラダ油に混合されて、体内で脂肪が蓄積され難いサラダ油として販売されている現況がある。
一方、このような健康に良いとされる中鎖脂肪酸油脂を使用してコーヒーホワイトナー、ホイップクリーム、マヨネーズ、乳化型ドレッシング、マーガリン、ファットスプレッド、ショートニング、アイスクリーム等が提案されている(特許文献1参照)。しかしながら、これらは何れも、無味、無臭に近い風味を有する中鎖脂肪酸油脂と水とに乳化剤、乳化安定剤、香料および保存料等の食品添加物を添加するか、あるいは、その他の長鎖脂肪酸油脂と混合しただけものであるため、牛乳をそのまま濃縮したような乳本来の風味を有するものではなかった。しかも、上記中鎖脂肪酸油脂が全構成油脂中の大部分を占める、乳風味豊かな濃縮乳タイプであり、かつ長期間保存可能な乳化物および、それを使用した飲料に関するものではなかった。
特開2003−135001号公報
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、体内での吸収が良好で、かつ脂肪の燃焼が大きく、体内で脂肪として蓄積され難い性質を有し、かつ、無味、無臭に近い風味を有する中鎖脂肪酸油脂を主要油脂成分とする乳化物で、しかも牛乳を濃縮した乳風味豊かな濃縮乳タイプで、さらに長期間保存可能な濃縮乳タイプ乳化物、およびそれを使用した飲料を提供することを主目的とするものである。
上記目的を達成するために、本発明者等は鋭意検討した結果、無味、無臭に近い風味を有する中鎖脂肪酸油脂に対して生クリームからバターを製造する際に副産物として得られるバターミルクを組み合わせることで、体内での吸収が良好で、かつ脂肪の燃焼が大きく、体内で脂肪として蓄積され難い性質を有し、さらには牛乳を濃縮した乳風味豊かな濃縮乳に近似した乳化物が得られることを見出した。また、カゼインナトリウムおよび/またはカゼインカリウムを、これらの組合せに加えることで、その他の乳化剤、乳化安定剤および保存料を一切添加しないでも、超高温短時間加熱殺菌処理を可能とすることを見出し、0〜10℃のチルド帯で長期間保存可能な本濃縮乳タイプ乳化物に関する発明を完成した。
本発明は、炭素数が8〜10である中鎖脂肪酸のみからなる中鎖脂肪酸油脂を5〜30質量%含有し、かつ生クリームからバターを製造する際の副産物であるバターミルク中の乳固形分を5〜30質量%含有することを特徴とする濃縮乳タイプ乳化物を提供する。
本発明によれば、バターミルクは乳風味豊かであることから、無味・無臭に近い中鎖脂肪酸油脂と組み合わせることにより、乳風味豊かな濃縮乳タイプ乳化物とすることができる。また、本発明によれば、中鎖脂肪酸油脂を用いていることにより、体内での吸収が良好で、かつ脂肪の燃焼が大きく、体内で脂肪として蓄積され難い濃縮乳タイプ乳化物とすることができる。さらに、本発明においては、バターミルクは乳化剤や乳化安定剤としての機能を有することから、他の乳化剤や乳化安定剤の添加量を少なくすることができる。したがって、食品添加物の含有量の少ない、健康志向のニーズに合った濃縮乳タイプ乳化物とすることができる。
また、本発明においては、乳化性に寄与する食品添加物として、カゼインナトリウムおよび/またはカゼインカリウムのみを含有し、かつ保存料を含有しない濃縮乳タイプ乳化物であって、超高温短時間加熱殺菌処理を施してなる、0〜10℃のチルド帯で長期間保存可能なことが好ましい。カゼインナトリウムおよび/またはカゼインカリウムを含有させることにより、その他の乳化剤、乳化安定剤および保存料を一切添加しないでも、超高温短時間加熱殺菌処理を施すことを可能とすることができるため、0〜10℃のチルド帯で長期間保存可能な濃縮乳タイプ乳化物とすることができるからである。また、乳化性に寄与する食品添加物として、カゼインナトリウムおよび/またはカゼインカリウム以外のものを含有させないことにより、カゼインナトリウムやカゼインカリウムは、元々バターミルク中にも含まれる成分であるため、乳風味が劣ったり、異質な風味を有することのない乳化物とすることができるからである。
また、本発明は、上記記載の濃縮乳タイプ乳化物、およびコーヒー抽出液または紅茶抽出液からなる、油脂分の浮上分離がなく、かつタンパクの沈澱がないことを特徴とするミルク入り飲料を提供する。
一般に、コーヒー抽出液や紅茶抽出液に乳化物を混合させると、油脂分の浮上分離やタンパクの沈澱が起こる場合が多いが、本発明によれば、上記記載の濃縮乳タイプ乳化物を用いることにより、そのような現象が起こることを抑制することが可能となる。また、本発明によれば、上記記載の濃縮乳タイプ乳化物を用いることにより、健康に良く、乳風味豊かなミルク入りコーヒー飲料またはミルク入り紅茶飲料とすることが可能となる。
本発明によれば、体内での吸収が良好で、かつ脂肪の燃焼が大きく、体内で脂肪として蓄積され難い性質を有し、かつ、無味、無臭に近い風味を有する中鎖脂肪酸油脂を主要油脂成分とする乳化物で、しかも牛乳を濃縮した乳風味豊かな濃縮乳タイプで、さらに長期間保存可能な濃縮乳タイプ乳化物、およびそれを使用した飲料を提供できるといった効果を奏するものである。
本発明は、濃縮乳タイプ乳化物、およびそれを含有するミルク入り飲料に関するものである。以下、それぞれについて詳細に説明する。
A.濃縮乳タイプ乳化物
まず、本発明の濃縮乳タイプ乳化物(以下、単に乳化物と称する場合がある。)について説明する。本発明の濃縮乳タイプ乳化物は、炭素数が8〜10である中鎖脂肪酸のみからなる中鎖脂肪酸油脂を5〜30質量%含有し、かつ生クリームからバターを製造する際の副産物であるバターミルク中の乳固形分を5〜30質量%含有することを特徴とするものである。
以下、本発明の濃縮乳タイプ乳化物に含有される油脂およびバターミルクについて詳細に説明する。
1.油脂
本発明の濃縮乳タイプ乳化物中には、炭素数が8〜10である中鎖脂肪酸のみからなる中鎖脂肪酸油脂を含有するものであるが、その含有量としては5〜30質量%の範囲内であり、好ましくは7〜20質量%の範囲内、特に好ましくは8〜15質量%の範囲内である。
また、本発明の乳化物中の中鎖脂肪酸油脂以外の低級脂肪酸油脂や長鎖脂肪酸油脂の含有は、特に限定されるものではないが、全脂肪酸油脂中の中鎖脂肪酸油脂の割合は5割以上が好ましく、中でも好ましくは8割以上、すなわち、中鎖脂肪酸油脂以外の低級脂肪酸油脂や長鎖脂肪酸油脂の割合は5割未満が好ましく、中でも好ましくは2割未満である。本発明の乳化物中あるいは本発明の乳化物と混合して得るミルク入りコーヒー飲料またはミルク入り紅茶飲料中に中鎖脂肪酸油脂より炭素数の少ない低級脂肪酸油脂の含有割合が多いと、その揮発性の強い異臭のため、本発明の乳化物中あるいは本発明の乳化物と混合して得るミルク入りコーヒー飲料またはミルク入り紅茶飲料の風味が悪くなるためである。また、中鎖脂肪酸油脂より炭素数の大きい長鎖脂肪酸油脂の含有割合が多くなると、本発明の乳化物中あるいは本発明の乳化物と混合して得るミルク入りコーヒー飲料またはミルク入り紅茶飲料中に、油脂の凝固物が生じる危険性が大となるからである。
一方、本発明で用いられる中鎖脂肪酸油脂は、前述の通り、炭素数8のカプリル酸および炭素数10のカプリン酸からなる各種中鎖脂肪酸を含有してなる油脂で、ヤシ油やパーム油および乳脂肪に比較的多く含有されていると言われているが、その性質として、酸化安定性が高く変質し難い、凝固点が−5℃以下であり常温では液体である、基質の溶解性が高く溶剤として使用される等があるが、近年、体内での吸収が良好で、かつ脂肪の燃焼が大きく、体内で脂肪として蓄積され難い性質が脚光を浴びているものである。本発明の乳化物とした場合や本発明の乳化物と混合して得るミルク入りコーヒー飲料またはミルク入り紅茶飲料とした場合においては、酸化安定性が高いため、酸敗臭が生じる危険性が少なく、基質の溶解性が高いため、乳化安定性が良好であることや油脂の凝固が少ない等の長所が多々あるものである。また、中鎖脂肪酸油脂以外の低級脂肪酸油脂および/または長鎖脂肪酸油脂を嗜好性に応じて添加することは可能であるが、本発明である乳化物とした場合や本発明の乳化物と混合して得るミルク入りコーヒー飲料またはミルク入り紅茶飲料とした場合において、酸敗臭が生じる危険性が少なく、基質の溶解性が高いため、乳化安定性が良好であることや油脂の凝固が少ない等の本発明内容範囲において中鎖脂肪酸油脂以外の低級脂肪酸油脂および/または長鎖脂肪酸油脂を本発明乳化物に添加混合することは、本発明の技術内容の範疇である。
また、本発明に用いられる中鎖脂肪酸油脂は、一般に市販されており、特に限定されるものではないが、例えば、日清オイリオグループ株式会社製のカプリル酸およびカプリン酸からなる中鎖脂肪酸油脂である「スコレー」シリーズを用いることが出来る。
2.バターミルク
本発明の濃縮乳タイプ乳化物中に含有されるバターミルクは、バターミルク中の乳固形分を5〜30質量%の範囲内含有するように含有するものであり、好ましくは7〜28質量%の範囲内、特に好ましくは15〜26質量%の範囲内である。
また、本発明に用いられるバターミルクは、牛乳から得られる生クリームからバターを製造する際に副産物として得られるものであるが、生クリームの油相部分であるバター部分を取り除いた水相部分がバターミルクと言われるものであり、乳風味豊かな風味成分を豊富に含有しているものである。本発明で用いられるバターミルクは、牛乳から得られる生クリームからバターを製造する際に副産物として得られるものであれば、特に限定されるものではなく、得られた液状のバターミルクをそのまま使用するか、あるいは濃縮した濃縮バターミルクとして使用するか、さらには乾燥してバターミルクパウダーとして使用するか、何れをも選択できるものである。ちなみに、バターミルク中の全乳固形分中の各乳成分の割合は、特に限定されるものではないが、例えば、乳脂肪分が7.5質量%、乳タンパクが32.5質量%、炭水化物が52.5質量%および灰分が7.7質量%のものである。
また、本発明において、無味、無臭に近い風味を有する中鎖脂肪酸油脂を乳風味豊かな乳化物にする場合の食品素材としては、バターミルク以外には、牛乳から生クリームを製造する際に副産物として得られる脱脂乳やこれを濃縮した脱脂濃縮乳およびこれを乾燥した脱脂粉乳が挙げられる。しかしながら、これら脱脂乳、脱脂濃縮乳および脱脂粉乳を用いて、中鎖脂肪酸油脂と混合して乳化した場合には、得られた乳化物の乳化性がバターミルク、濃縮バターミルク、バターミルクパウダーを各々混合して乳化した場合と比較して、特に加熱殺菌処理を施す場合において、その耐熱性が劣るものであるため、無味、無臭に近い風味を有する中鎖脂肪酸油脂を乳風味豊かな乳化物にするための食品素材としては、乳風味豊かな風味成分を豊富に含有していて、かつ良好な乳化安定能力を有するバターミルクが好適である。
このように中鎖脂肪酸油脂と混合して乳化安定性の良好な乳化物を製造するには、バターミルクが好適であるが、乳風味の嗜好性に応じて、上記脱脂粉乳等や全脂粉乳、牛乳等の乳製品を適宜、バターミルクと混合して使用することは可能である。しかしながら、本発明で見出した良好なバターミルクの乳化安定性能力を利用して中鎖脂肪酸油脂との乳化安定性が良好な乳化物を製造する場合においては、本発明の技術内容の範疇である。
3.その他
本発明において、上記中鎖脂肪酸油脂とバターミルクとの乳化物を0〜10℃のチルド帯で長期間保存可能とするには、100℃以上、好ましくは120〜145℃での超高温短時間加熱殺菌処理を施す必要がある。100℃未満の加熱殺菌処理を施す場合においては、中鎖脂肪酸油脂とバターミルクとの混合のみの乳化物でも良いが、100℃以上、とりわけ120〜145℃での超高温短時間加熱殺菌処理を施す場合においては、中鎖脂肪酸油脂とバターミルクとの混合のみの乳化物では乳タンパクの熱変性と加熱による乳化破壊が生じるため、殺菌機に焦げ付き等が生じて殺菌処理が不可能となる。これを防止するには、カゼインナトリウムおよび/またはカゼインカリウムの添加が有効であり、その添加量は、有効な耐熱効果を及ぼすものであれば、特に限定されるものではないが、好適には0.5〜2.0質量%の範囲内、中でも好適には0.5〜1.8質量%の範囲内、特に好適には0.5〜1.5質量%の範囲内である。これにより、カゼインナトリウムおよび/またはカゼインカリウム以外の乳化剤、乳化安定剤および保存料を一切添加しない0〜10℃のチルド帯で長期間保存可能な中鎖脂肪酸油脂とバターミルクとの乳化物を得ることが可能となる。また、カゼインナトリウムおよび/またはカゼインカリウムを添加することにより、超高温短時間加熱殺菌処理が可能となるため、保存料を添加することなく、衛生的に長期保存が可能となる。
なお、上記乳化物に超高温短時間加熱殺菌処理を施す場合、必要な加熱時間としては、例えば120℃にて超高温短時間加熱殺菌処理を施す場合は、通常30〜45秒間程度であり、また例えば145℃にて超高温短時間加熱殺菌処理を施す場合は、通常1〜10秒間程度である。
また、本発明に用いられるカゼインナトリウムおよびカゼインカリウムは、牛乳中に存在する主要かつ特異的なタンパクで、牛乳中の全タンパクの80%を占めると言われるカゼインタンパクを酢酸、乳酸、塩酸等の酸を加えて等電点沈澱を行って牛乳中より凝固分離せしめ、これを再び、水に分散せしめた後に、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムを添加して中和反応を行うことで得られるものである。このようなカゼインナトリウムおよびカゼインカリウムは、水に溶解し、かつ親水性および親油性の両方の性質を有するため、水と油を混合乳化する際の乳化剤的効果を有するものである。
ここで、本発明においては、上記カゼインナトリウムおよび/またはカゼインカリウムを添加した乳化物に超高温短時間加熱殺菌処理を施して長期間保存可能とするものであるが、本発明における長期間とは、0〜10℃のチルド帯において、通常20〜90日間の範囲内程度のことをいい、中でも30〜70日間の範囲内、特に45〜60日間の範囲内とすることが好ましい。
B.ミルク入り飲料
次に、本発明のミルク入り飲料について説明する。本発明のミルク入り飲料は、上述した濃縮乳タイプ乳化物、およびコーヒー抽出液または紅茶抽出液からなる、油脂分の浮上分離がなく、かつタンパクの沈澱がないことを特徴とするものである。
本発明において得られた乳化安定性が良好な濃縮乳タイプ乳化物は、乳風味が豊かな、酸化劣化が少ない、かつ乳化物中に凝固物が生じないものであるため、コーヒー抽出液または紅茶抽出液と混合することにより、油脂分の浮上分離がなく、かつタンパクの沈澱がなく、しかも体内での吸収が良好で、かつ脂肪の燃焼が大きく、体内で脂肪として蓄積され難い性質を有する中鎖脂肪酸油脂を含有した健康に良いミルク入りコーヒー飲料またはミルク入り紅茶飲料を提供することが可能となる。なお、本発明のミルク入りコーヒー飲料またはミルク入り紅茶飲料に本発明の乳化物以外の低級脂肪酸油脂および/または長鎖脂肪酸油脂を乳化したコーヒーホワイトナー等や牛乳等の乳化物を本発明のミルク入りコーヒー飲料またはミルク入り紅茶飲料の風味を阻害したり、あるいは油脂分の浮上分離を生じせしめたり、かつタンパクの沈澱を生じせしめたりしない限り、添加混合することは可能であり、本発明の技術内容の範疇である。
このような本発明のミルク入り飲料に含まれる濃縮乳タイプ乳化物の含有量としては、飲料の種類により大きく異なるものではあるが、一般的には、1質量%〜10質量%の範囲内であるとすることができる。
また、本発明に用いられるコーヒー抽出液および紅茶抽出液は、特に限定されるものではなく、一般的に飲料に使用されるものと同様とすることができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するもの、またはそれらの均等物は、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下に実施例を挙げて本発明内容を具体的に説明するが、本発明は、それらによって限定されるものではない。
[実施例1]
炭素数8のカプリル酸を6割、炭素数10のカプリン酸を4割、含有する中鎖脂肪酸油脂である日清オイリオグループ株式会社の「スコレー64G」を8.5質量%とバターミルクを濃縮した濃縮バターミルク(乳脂肪分;2.6質量%および無脂乳固形分;32.2質量%を含有する)を78.0質量%および水を13.5質量%とを混合し、65℃にて加温後、ホモジナイザー(均質機)を用いて180Kg/cmの均質圧力にてホモジナイズ(均質)処理を行った。次いで、95℃にて30秒間の高温短時間加熱殺菌処理を行い、中鎖脂肪酸油脂とバターミルクとの濃縮乳タイプ乳化物を得た。得られた乳化物を牛乳を3倍程度に濃縮した全脂濃縮乳と風味の比較を行ったが、得られた乳化物の乳風味は、全脂濃縮乳と遜色がないものであった。また、本乳化物について、その乳化性を検出するために粒度分布の測定を島津製作所株式会社製の粒度分布測定器SALD 300−V MODEL 2を用いて行ったが、そのメジアン径は0.85μmであり、その乳化性は良好であった。
[比較例1]
実施例1で用いたバターミルクに代替して、脱脂濃縮乳(乳脂肪分;0.5質量%および無脂乳固形分;29.5質量%を含有する)を78.0質量%使用した以外は、実施例1と同様にして、中鎖脂肪酸油脂と脱脂濃縮乳との濃縮乳タイプ乳化物を得た。得られた乳化物を牛乳を3倍程度に濃縮した全脂濃縮乳と風味の比較を行ったが、得られた乳化物の乳風味は、全脂濃縮乳と遜色がないものであった。また、本乳化物について、その乳化性を検出するために粒度分布の測定を島津製作所株式会社製の粒度分布測定器SALD 300−V MODEL 2を用いて行ったが、そのメジアン径は1.25μmであり、その乳化性は、実施例1に比較して劣るものであった。
[実施例2]
カゼインナトリウムを0.5質量%添加し、水の添加量を13.0質量%とした以外は、実施例1と同様にして、乳化物を得、次いで、本乳化物を95℃にて30秒間の高温短時間加熱殺菌処理を行う代わりに120℃、30秒間にて超高温短時間加熱殺菌処理を行い、当該殺菌処理装置における焦げ付き等もなく、0〜10℃のチルド帯で長期間保存可能な中鎖脂肪酸油脂とバターミルクとの濃縮乳タイプ乳化物を得た。得られた乳化物を牛乳を3倍程度に濃縮した全脂濃縮乳と風味の比較を行ったが、得られた乳化物の乳風味は、全脂濃縮乳と遜色がないものであった。また、本乳化物について、その乳化性を検出するために粒度分布の測定を島津製作所株式会社製の粒度分布測定器SALD 300−V MODEL 2を用いて行ったが、そのメジアン径は0.95μmであり、その乳化性は良好であった。
[比較例2]
カゼインナトリウムを添加せず、水の添加量を13.5質量%とした以外は、実施例2と同様にして、120℃、30秒間にて超高温短時間加熱殺菌処理を行ったが、当該殺菌処理装置における焦げ付き等が見られた。得られた乳化物を牛乳を3倍程度に濃縮した全脂濃縮乳と風味の比較を行ったが、得られた乳化物の乳風味は、少し焦げ臭が感じられるものであった。また、本乳化物について、その乳化性を検出するために粒度分布の測定を島津製作所株式会社製の粒度分布測定器SALD 300−V MODEL 2を用いて行ったが、そのメジアン径は1.89μmであり、少し乳化性が悪化しているものと思われた。
[比較例3]
バターミルクを脱脂濃縮乳に代替した以外は実施例2と同様にして中鎖脂肪酸油脂と脱脂濃縮乳との濃縮乳タイプ乳化物を得た。しかし、実施例2で用いた殺菌処理装置において焦げ付きが見られた。さらに、得られた乳化物を牛乳を3倍程度に濃縮した全脂濃縮乳と風味の比較を行ったが、得られた乳化物の乳風味は、焦げ臭が伴うもので、全脂濃縮乳とは異質な風味を有するものであった。また、本乳化物について、その乳化性を検出するために粒度分布の測定を島津製作所株式会社製の粒度分布測定器SALD 300−V MODEL 2を用いて行ったが、そのメジアン径は3.52μmであり、乳化性が悪化しているものと思われた。
[実施例3]
実施例1で得られた中鎖脂肪酸油脂とバターミルクとの濃縮乳タイプ乳化物を用いて、下記表1の配合表および下記調製法に基づき、ミルク入りコーヒーを作成した。作成した直後のミルク入りコーヒーには油脂分の浮上分離もタンパクの沈澱も見られず、乳風味を十分に感じさせるものであった。さらに、当該ミルク入りコーヒーを55℃にて密封状態で3週間保存したところ、油脂分の浮上分離もタンパクの沈澱も、ほとんど見られず、乳風味を十分に感じさせるものであった。
Figure 0004750738
コーヒーの調製方法は以下の通りである。
1.コーヒー豆を粉砕し、定法により抽出する。
2.抽出液、砂糖、重曹、乳化物、香料の順に調合する。
3.60℃に予熱の後、均質化(150kg/cm)する。
4.缶に充填後、レトルト殺菌(120℃以上の設定温度に達温後所定のFまで)を行う。
*F値:121.1℃で、一定温度の微生物を死滅させるのに要する時間(耐熱パラメータが10℃)
[実施例4]
実施例2で得られた中鎖脂肪酸油脂とバターミルクとの濃縮乳タイプ乳化物を用いて、実施例3と同様にしてミルク入りコーヒーを作成した。作成した直後のミルク入りコーヒーには油脂分の浮上分離もタンパクの沈澱も見られず、乳風味を十分に感じさせるものであった。さらに、当該ミルク入りコーヒーを55℃にて密封状態で3週間保存したところ、油脂分の浮上分離もタンパクの沈澱も、ほとんど見られず、乳風味を十分に感じさせるものであった。
[比較例4]
比較例1で得られた中鎖脂肪酸油脂とバターミルクとの濃縮乳タイプ乳化物を用いて、実施例3と同様にしてミルク入りコーヒーを作成した。作成した直後のミルク入りコーヒーは乳風味は十分に感じさせるものであったが、油脂分の浮上分離もタンパクの沈澱も見られた。さらに、当該ミルク入りコーヒーを55℃にて密封状態で3週間保存したところ、油脂分の浮上分離もタンパクの沈澱も、保存前よりかなり増加していて、乳風味も少し異質なものに変化していた。

Claims (3)

  1. 炭素数が8〜10である中鎖脂肪酸のみからなる中鎖脂肪酸油脂を5〜30質量%含有し、かつ生クリームからバターを製造する際の副産物であるバターミルク中の乳固形分を5〜30質量%含有することを特徴とする濃縮乳タイプ乳化物。
  2. 乳化性に寄与する食品添加物として、カゼインナトリウムおよび/またはカゼインカリウムのみを含有し、かつ保存料を含有しない濃縮乳タイプ乳化物であって、超高温短時間加熱殺菌処理を施してなる、0〜10℃のチルド帯で長期間保存可能なことを特徴とする請求項1に記載の濃縮乳タイプ乳化物。
  3. 請求項1または請求項2に記載の濃縮乳タイプ乳化物、およびコーヒー抽出液または紅茶抽出液からなる、油脂分の浮上分離がなく、かつタンパクの沈澱がないことを特徴とするミルク入り飲料。
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