JP2877432B2 - 製氷装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （イ）産業上の利用分野 本発明は製氷装置に関し、特に、水皿を改良して成る
製氷装置に関するものである。

（ロ）従来の技術 従来技術として、例えば、特開昭61−86547号公報に
は、下向きに開口する多数の製氷小室を区画形成した冷
却器と、各小室を下方から閉塞する水皿と、該水皿に固
定した水タンクと、水皿を傾復動せしめる駆動装置と、
水皿表面に散水する散水器と、循環ポンプを備え、該ポ
ンプによって水タンク内の水を水皿表面に形成した噴水
孔から前記各小室に噴水して製氷運転を行うと共にホッ
トガスによって前記冷却器を加熱して脱氷運転を行う製
氷機において、前記製氷運転の終了に基ずく前記脱氷運
転の開始と同時に前記水皿表面に散水を開始し、該散水
から所定時間経過したとき、前記水皿の傾動を開始する
様にした事を特徴とする製氷機の運転方法が開示されて
いる。

（ハ）発明が解決しようとする課題 斯かる従来技術は、製氷運転の終了時点において、水
皿表面に強固に密着している氷下面と水皿表面との密着
を緩和させて、駆動装置の負荷を軽減させる目的で、水
皿表面に散水するようにしたものである。

しかし、所謂、逆セル型製氷装置の構造は、例えば、
実開昭62−154378号公報に開示されるように、下向きに
開口する多数の小室を有する冷却器と、前記各小室に対
応する噴水孔及び戻り穴を有し、冷却器を下方から十分
余裕をもって塞ぎ、両側及び後部にガイド壁を有する傾
復動可能な水皿と、該水皿の下側に設けられ水皿と共に
傾復動する水タンクと、水皿の表面に散水する散水管を
備えているのが一般的であり、前述のように駆動装置の
負荷を軽減させる目的で、水皿表面に散水した水は、冷
却器とガイド壁の間を通り、その一部は水皿の前端から
水タンクに導かれるが冷却器とガイド壁間の通路が狭い
ために、ガイド壁から溢水する恐れが多大であり、クレ
ームの原因となったり、この水が循環ポンプ等の電気部
品を濡らすと故障の原因にも成りかねなかった。

本発明は、この様な従来技術の問題点に鑑み、水皿に
散水した水のガイド壁から溢水を確実に防止した製氷装
置を提供するものである。

（ニ）課題を解決するための手段 本発明は上記課題を解決するために、下向きに開口す
る多数の小室を有する冷却器と、該冷却器の開口面積よ
り大きい面積を有する上面板に、前記各小室に対応する
噴水孔及び戻り孔を形成し、前記冷却器の開口面を閉塞
すると共に、回動支点側後部及び両側部に前記上面板よ
り上方に突出するガイド壁を有する傾復動可能な水皿
と、該水皿の下側に設けられ水皿と共に傾復動する水タ
ンクと、前記回動支点側に設けられ、水皿の上面に散水
する散水器を備える製氷装置において、前記冷却器の外
側に位置する前記水皿の上面板には、前記水タンクに通
じる複数の補助戻り孔を前記両側部のガイド壁に沿って
形成し、該補助戻り孔は前記水皿の下流側より上流側を
大きく形成して成る製氷装置である。

（ホ）作用 本発明によると、製氷終了時に水皿表面に散水された
水の一部は、補助戻り孔を通って水タンクに戻されるこ
とになり、ガイド壁からの溢水を防止することができ
る。また、水は水皿の上流側に散水されるため、上流部
の水位が高くなる傾向にあるが、補助戻り孔は水皿の下
流側より上流側を大きく形成しているため、上流部にお
ける極端な水位上昇を抑制することができ、ガイド壁か
らの溢水を一層確実に防止することができる。

（ヘ）実施例 以下に本発明の実施例を図面を参照して説明する。１
は所謂逆セル型の製氷装置で、下向きに開口する多数の
小室２を有し、上面には冷凍系の蒸発パイプ３を配設し
た冷却器４と、該該冷却器４の開口面積より大きい面積
を有する上面板5Aに前記各小室２に対応する噴水孔６及
びこの両側に戻り孔７を形成し、冷却器４の開口面を閉
塞すると共に、回動支点側後部及び両側部に、上面板5A
より上方に突出するガイド壁8,9,10を形成して成る傾復
動可能な水皿５と、該水皿５の下側に設けられ水皿５と
共に傾復動する水タンク11と、該水タンク11内の水を送
水管12に圧送し、前記噴水孔６を通して各小室２に噴水
すると共に、戻り孔７及び水皿５の上面板5A前端から水
タンク11へ帰還した余水を再ひ送水管12に循環せしめる
循環ポンプ13と、前記回動支点側に設けられ、水皿５の
上面に散水する散水器14と、水皿５を傾動及び復動せし
める駆動装置15を備えている。

然して、冷却器４の外側に位置する水皿５の上面板5A
には、水タンク11に通じる複数の大きな補助戻り孔16及
び複数の小さな補助戻り孔17を、側部ガイド壁9,10に沿
って夫々形成する。このうち大きな補助戻り孔16は水皿
５の上流側に位置し、小さな補助戻り孔17は水皿５の下
流側に位置している。

次に以上の構成に基づいて本発明の動作を製氷終了時
点から説明する。循環ポンプ13が停止して製氷運転を終
了すると、蒸発パイプ３に高温冷媒ガスを循環して冷却
器４を加熱し、各小室２に凍結した氷の脱氷運転を開始
する。同時に、給水弁18が開いて散水器14から冷却器４
と後部ガイド壁８間の水皿５の表面に散水される。この
水は、冷却器４と側部ガイド壁9,10間の水皿５上面板5A
の上を流水することによって、製水終了時に水皿５の上
面板5Aに強固に密着していた氷の下面と水皿５の上面板
5Aとの密着を緩和せしめる。また、散水された水の一部
は、大小補助戻り孔16,17を通って水タンク11に戻され
るため、各ガイド壁8,9,10からの溢水は防止される。し
かも、水皿５の上流側に形成した大きな補助戻り孔16の
作用によって、水皿５の上流部の水位が高くなる傾向を
抑制し、各ガイド壁8,9,10からの溢水を一層確実に防止
すると共に、冷却器４周囲の水皿５の上面に均一に流水
できるため、氷と水皿５の上面板5Aとの密着が一層効果
的に緩和される。

この様な密着緩和によって、水皿５を氷から剥離する
ときに掛かる駆動装置15の負荷を軽減することができる
のである。而して、水皿５は第２図の二点鎖線で示すよ
うに、各小室２を開放した傾斜位置まで駆動装置15によ
って傾動せしめられる。

その後、冷却器４から氷が離脱すると、水皿５は第２
図の実線で示すように、各小室２を閉塞する水平位置ま
で駆動装置15によって復動せしめられる。この状態で、
散水器14から水皿５の表面に散水された水は、水皿５の
上面板5A前端及び冷却器４に氷がないために冷却器４と
水皿５の上面板5A間の隙間から進入し、戻り孔７を通っ
て水タンク11へ給水される。この場合も大小補助戻り孔
16,17は溢水防止対策として有効に作用する。従って、
本発明は製氷終了と同時に、水皿５の表面に散水するも
のに限定されない。

（ト）発明の効果 本発明は以上のように、水皿表面に散水された水の一
部は、補助戻り孔を通って水タンクに戻されることにな
り、ガイド壁からの溢水を防止することができる。ま
た、水は水皿の上流側に散水されるため、上流部の水位
が高くなる傾向にあるが、補助戻り孔は水皿の下流側よ
り上流側を大きく形成しているため、上流部における極
端な水位上昇を抑制することができ、ガイド壁からの溢
水を一層確実に防止することができる。

【図面の簡単な説明】

図面はいずれも本発明の実施例を示し、第１図は冷却器
と水皿の関係を示す平面図、第２図は製氷装置の一部を
破断した側面図、第３図は第１図のＡ−Ａ断面図、第４
図は水皿の平面図、第５図は第４図のＢ−Ｂ断面図であ
る。 ２……小室、４……冷却器、６……噴水孔、７……戻り
孔、9,10……側部ガイド壁、11……水タンク、14……散
水器、16,17……補助戻り孔。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】下向きに開口する多数の小室を有する冷却
   器と、該冷却器の開口面積より大きい面積を有する上面
   板に、前記各小室に対応する噴水孔及び戻り孔を形成
   し、前記冷却器の開口面を閉塞すると共に、回動支点側
   後部及び両側部に前記上面板より上方に突出するガイド
   壁を有する傾復動可能な水皿と、該水皿の下側に設けら
   れ水皿と共に傾復動する水タンクと、前記回動支点側に
   設けられ、水皿の上面に散水する散水器を備える製氷装
   置において、前記冷却器の外側に位置する前記水皿の上
   面板には、前記水タンクに通じる複数の補助戻り孔を前
   記両側部のガイド壁に沿って形成し、該補助戻り孔は前
   記水皿の下流側より上流側を大きく形成したことを特徴
   とする製氷装置。