JP2876437B2 - 塗膜構造 - Google Patents

塗膜構造

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JP2876437B2
JP2876437B2 JP4200167A JP20016792A JP2876437B2 JP 2876437 B2 JP2876437 B2 JP 2876437B2 JP 4200167 A JP4200167 A JP 4200167A JP 20016792 A JP20016792 A JP 20016792A JP 2876437 B2 JP2876437 B2 JP 2876437B2
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幸文 谷口
貴和 山根
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  • Laminated Bodies (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車等の塗装に用い
られ、深みのある透明感の高い塗膜構造に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に自動車等の塗装は、車体を保護
し、耐久性を向上させるためのことを目的としている
が、近年は感性に訴える外観品質(塗装質感)の向上に
対する要求が強くなってきている。塗装質感を向上させ
るには、深み感、透明感、奥行き感を強くすることが必
要であり、高級感を与える塗装として漆黒感、深み感の
ある黒塗装に対する要求が強まってきているが、このよ
うな黒塗装を得ることができなかった原因として、塗膜
最外表面で生じる光の散乱、塗膜内に含有される顔料に
よる光の散乱、及び樹脂自体の光の散乱があり、黒さを
示す明度を十分に低くすることができなかった。
【0003】従来、塗装質感を向上させるために、下地
層に重ねて顔料を用いたカラーベース層を形成した後、
さらに白/黒隠蔽膜厚が100 μ以上のカラークリヤー層
を重ねて形成する方法において、最外表面での散乱を抑
制するために、黒のカラーベース層上にウェットオンウ
ェットで染料を含むカラークリヤー層を塗布し、さらに
透明クリヤー層を塗布するもの(実開平1−108726号公
報参照)が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の塗膜構造においては、カラーベース層に含有される
黒色顔料による散乱、及び樹脂自体の散乱を抑制するこ
とができず、十分な漆黒感を出すことが困難で、顔料に
より得られる明度Yの下限値はY=0.14であり、これよ
り低い明度を得ることができないという問題があった。
【0005】本発明の目的は、漆黒感、深み感のある黒
塗装を得ることのできる塗膜構造を提供することであ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明の塗膜構造は、下地層の上にカラーベース層を
下塗り層として形成し、その上にカラークリヤー層を形
成して成る塗膜構造であって、明度が0.2 未満である黒
色ベースカラー層と、黒色染料を0.1 重量%を超え10重
量%以下含有する黒色カラークリヤー層とを備えたもの
であり、塗膜表面での散乱、カラーベース層に含有され
る黒色顔料による散乱、及び樹脂自体の散乱を抑制する
ことができ、漆黒感、深み感のある黒塗装を得ることが
できる。
【0007】
【実施例】本発明の第1実施例を図1を参照して説明す
る。電着塗装層1と、その上面に設けた中塗塗装層2と
で下地層を形成し、該下地層の上面に、下地層まで入射
光が全く透過しないように完全隠蔽する黒色顔料入りカ
ラーベース層3を下塗り層として、カラーベース層3の
上面である境界面31を平滑にして塗布した後、入射光が
透過できる黒色染料の濃度と膜厚とを備えた単層または
複数層から成るカラークリヤー層4を塗布して焼き付
け、境界面31の表面荒さを±2μ以下に形成する。
【0008】この構成によると、カラーベース層3とカ
ラークリヤー層4との境界面31を平滑(表面荒さ±2μ
以下)に形成しているから、境界面31からの散乱光が塗
膜表面に出ることがない。
【0009】黒色カラーベース層3の明度YB を0.2 未
満(YB <0.2 )とし、黒色カラークリヤー層4に0.1
重量%を超え10重量以下の黒色染料を含有させるもので
あり、硫酸バリウム板の反射率を100 %として、カラー
クリヤー層3の層内からの反射率を0.1 %以下にする。
【0010】図2において、染料の樹脂への溶解限度か
ら、染料が十分に樹脂に溶解し得る上限として10重量%
以下の範囲が得られるから、黒色カラークリヤー層4内
には10重量%以下の黒色染料を含有させるものである。
なお、図2の実験結果は、使用染料が DBK−02(日本ペ
イント株式会社)、使用樹脂が OTO 571−1 (日本ペイ
ント株式会社)で得られたものである。
【0011】次に、図3において、上記範囲の染料濃度
で、黒色カラークリヤー層4の1コートの最大膜厚を80
μとして、カラーベース層3の明度YB と、トータル明
度Yとの関係であるカラーベース明度限界(顔料限界明
度)から、トータル明度Yが0.14未満(Y<0.14)とな
る範囲を求めると、YB が0.2 未満(YB <0.2 )とな
る。なお、図3の実験結果は、黒色カラークリヤー層4
において、使用染料が DBK−02(日本ペイント株式会
社)、使用樹脂が OTO 571−1 (日本ペイント株式会
社)、染料使用濃度が10重量%、使用膜厚が80μ、カラ
ーベース層3において、顔料限界明度を0.14として得ら
れたものである。
【0012】さらに、図3の実験結果と同じ条件で求め
た染料濃度下限を図4に示す。図4において、黒色カラ
ークリヤー層4内の黒色染料濃度(重量%)が大になる
につれトータル明度Yが低下するものであり、トータル
明度Yが0.14未満(Y<0.14)となる範囲を求めると、
0.1 重量%超の染料濃度となる。
【0013】この構成によると、塗膜表面での散乱、カ
ラーベース層3に含有される黒色顔料による散乱、及び
樹脂自体の散乱を、カラークリヤー層4内の黒色染料で
有効に抑制、吸収することができ、塗膜のトータル明度
Yを従来の限界(約0.14)より低下させることができる
ものである。
【0014】
【発明の効果】本発明は上述のとおり構成されているか
ら、以下に述べるとおりの効果を奏する。カラーベース
層の層内の散乱光が塗膜表面に出ることがなく、塗膜表
面での散乱、カラーベース層に含有される黒色顔料によ
る散乱、及び樹脂自体の散乱を、カラークリヤー層内の
黒色染料で有効に抑制、吸収することができ、塗膜のト
ータル明度Yを従来の限界(約0.14)より低下させるこ
とができるから、より漆黒感、深み感のある黒色塗膜を
得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の1実施例に係る塗膜構造の断面図で
ある。
【図2】 染料の樹脂への溶解曲線である。
【図3】 カラーベース明度に対するトータル明度曲線
である。
【図4】 染料濃度に対するトータル明度曲線である。
【符号の説明】 1 電着塗装層、2 中塗層、3 カラーベース層、4
カラークリヤー層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−238366(JP,A) 特開 平3−157167(JP,A) 特開 平4−89257(JP,A) 特開 平1−254279(JP,A) 特開 平3−12263(JP,A) 特開 平3−270769(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B05D 1/36,1/38 B05D 5/06 B05D 7/14 B05D 7/24 303 B32B 7/02 103 B32B 33/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下地層の上にカラーベース層を形成し、
    その上にカラークリヤー層を形成して成る塗膜構造であ
    って、明度が0.2未満である黒色ベースカラー層と、
    黒色染料を0.1重量%を超え10重量%以下含有する
    黒色カラークリヤー層とを備えたことを特徴とする塗膜
    構造。
  2. 【請求項2】 カラーベース層の上にカラークリヤー層
    を形成して成る塗膜構造であって、明度が0.2未満で
    ある黒色カラーベース層と、黒色染料を0.1重量%を
    超え10重量%以下含有する黒色カラークリヤー層とを
    備え、硫酸バリウム板の反射率を100%として、カラ
    ークリヤー層の層内からの反射率を0.1%以下とした
    ことを特徴とする塗膜構造。
  3. 【請求項3】 カラーベース層の上にカラークリヤー層
    を形成して成る塗膜構造であって、明度が0.2未満で
    ある黒色カラーベース層と、黒色染料を0.1重量%を
    超え10重量%以下含有し、カラーベース層の下地まで
    入射光が透過しないように隠蔽する黒色カラーベース層
    とを備えたことを特徴とする塗膜構造。
JP4200167A 1992-04-06 1992-07-06 塗膜構造 Expired - Fee Related JP2876437B2 (ja)

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US08/998,783 US5976677A (en) 1992-04-06 1997-12-29 Surface coating and method of applying the same

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