JP2875625B2 - 新規ペニシリン系化合物およびその製造法 - Google Patents

新規ペニシリン系化合物およびその製造法

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JP2875625B2 JP2319288A JP31928890A JP2875625B2 JP 2875625 B2 JP2875625 B2 JP 2875625B2 JP 2319288 A JP2319288 A JP 2319288A JP 31928890 A JP31928890 A JP 31928890A JP 2875625 B2 JP2875625 B2 JP 2875625B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、ペニシリンXに酸化酵素を作用させること
によって得られた新規なペニシリン系化合物およびその
製造方法に関する。
[従来の技術およびその課題] β−ラクタム系抗生物質は、一般に強力かつ広範な抗
菌活性を有すると共に、他の類に属する抗生物質に比し
低毒性であるため、感染治療薬として広く用いられて来
た。そのため、側鎖を修飾した各種誘導体が主に化学的
合成法により提供されてきた。
しかし、これら抗生物質には耐性菌が出現するため、
常に、より優れたかつ新規な抗生物質の開発が望まれて
きた。
[課題を解決するための手段] 本発明は、下記の一般式(1)、(2)および(3)
で示される新規なペニシリン系化合物およびそれらの製
造方法を提供する。
一般式(1) (式中、Rは水素原子、製薬学上許容できる塩、または
アルキル基もしくはアルコキシアルキル基、好ましくは
炭素数1〜4のアルキル基もしくは炭素数2〜12好まし
くは炭素数2〜10さらに好ましくは炭素数2〜6のアル
コキシアルキル基を表す) のペニシリン系化合物(以下ペニシリン系化合物XL−1
という)、一般式(2) (式中、Rは式(1)と同じ意味を表す) のペニシリン系化合物(以下ペニシリン系化合物XL−2
またはXL−3という。XL−2とXL−3は異性体を表
す)、および一般式(3) (式中、Rは式(1)と同じ意味を表す) のペニシリン系化合物(以下ペニシリン系化合物XL−4
という)。
本発明者らは、ヒドロキシフェニル基を側鎖として有
するペニシリンXについて、抗菌活性を有する新規化合
物を求めるべく永年にわたって研究を進めてきたとこ
ろ、該抗生物質に酸化酵素を作用させることにより、抗
菌活性を有する新規なカップリング成績体が得られるこ
とを見いだし本発明に到達した。
以下本発明を詳細に説明する。
本発明で用いられる酸化酵素は、酸化作用を示すもの
であれば特に限定されないが、好ましくはポリフェノー
ルオキシダーゼである。ポリフェノールオキシダーゼと
しての好ましい例を次に例示する。
ラッカーゼ、チロシナーゼ、ビリルビンオキシダー
ゼ、パーオキシダーゼ、アスコルビン酸オキシダーゼ、
セルロプラスミン等。
最も好ましい酸化酵素としては、コリオーラス・ベル
シカラー(Coriolus versicolor)、漆等から得られる
ラッカーゼである。さらに具体的には、コリオーラス・
ベルシカラー IFO 9791(Coriolus versicolor IFO 97
91)が挙げられる。この菌株は、財団法人醗酵研究所発
行のリスト・オブ・カルチャーズ(LIST OF CULTURES)
第8版、Vol.1.(1988)に記載される公知株である。
従来、酸化酵素(ラッカーゼ等)による酸化重合反応
は、漆器製造において利用されてきた。しかし、分子中
にフェノールを有する物質を酸化酵素を用いて酸化さ
せ、反応産物である基質の二量体を効率よく得る方法は
知られていない。それは、得られた二量体が酸化酵素に
より更に酸化重合されるため反応液中に蓄積されないこ
とによる。
本発明者らは、酸化酵素による酸化重合反応の反応条
件を種々検討した結果、基質濃度を10μmol/ml以下に
し、さらに反応の際に使用する緩衝液の塩濃度を0.5〜1
Mにすると、二量体が効率よく蓄積することを見いだし
た。また、基質を適当なエステルにすると、緩衝液への
溶解度を低くすることができ、さらに反応産物である二
量体が原料に比して疎水性であるので不溶物として、ま
た疎水性溶媒中に抽出して反応系外に蓄積することがで
きる。
基質としては、ペニシリンXまたはそのエステルが用
いられる。エステルとしては、酸化酵素による変換後、
接触還元、酸もしくはアルカリによる加水分解、あるい
はエステラーゼを用いた酵素法等の適当な方法によって
脱離できるエステルであれば特に限定されるものではな
い。例えば、ベンジルエステル、t−ブチルエステル、
ピバロキシメチルエステル等である。
酵素反応は、基質および酵素が酸素と接触しうる状態
で実施すればよく、例えば間欠的または連続的攪拌、も
しくは振盪下に実施すればよい。
例えば、ペニシリンXを基質とした場合には、ペニシ
リンXを緩衝液に溶かし、そこに酵素を添加して攪拌し
ながら反応させる。ペニシリンXのエステルを基質とし
た場合には、酵素を添加した緩衝液とペニシリンXのエ
ステルを溶解した非親水性有機溶媒の2層で振盪しなが
ら反応させる、ペニシリンXのエステルを反応器の壁面
に薄く塗布し、この反応器に酵素を添加した緩衝液を加
えて攪拌しながら反応させる、あるいはペニシリンXの
エステルを少量のメタノールに溶かし、この液を酵素を
添加した緩衝液中に注いでペニシリンXのエステルを懸
濁状態にして攪拌しながら反応させる等の方法を採用で
きる。
用いる基質の濃度は、通常10μmol/ml以下、好ましく
は0.5〜7μmol/mlの範囲である。反応に用いる酵素量
は、その種類、精製度によっても異なるが、一般には10
〜100μg/mlが好ましい。反応温度およびpHは、使用す
る酵素が実質的に失活しない温度、pHであれば特に限定
されるものではないが、用いる酵素の至適温度、至適pH
は一般には25〜40℃、pH4〜7である。反応時間は、使
用酵素の種類および反応条件によって異なるが、一般に
は1〜12時間で反応を完結できる。
反応の進行状況は、反応液を高速液体クロマトグラフ
ィーにかけ、反応生成物を検出することで確認できる。
反応生成物は、反応混合物からそれ自体公知の分離、
精製法に準拠した方法を用いて採取できる。例えば、反
応混合物が塩の場合にはpHを2〜3にして遊離体とし
て、反応混合物がエステルの場合にはそのまま、非親水
性有機溶媒、例えば酢酸エチル、酢酸ブチル、クロロホ
ルム等の有機溶媒で抽出することにより反応系から分離
できる。分離した生成物は有機溶媒を除いた後、分取用
高速液体クロマトグラフィーを用いてさらに精製するこ
とが好ましい。用いられる担体としては、シリカゲルあ
るいはオクタデシル基が結合した化学結合型シリカゲ
ル、またはポリスチレン系ポーラスポリマーゲル等を用
いることができる。移動相としては、ヘキサン、クロロ
ホルム、イソプロピルアルコールの混合溶媒、含水メタ
ノールまたは含水アセトニトリル等を用いることができ
る。
本発明の酸化酵素を用いた変換方法により生成したペ
ニシリン系化合物XL−1、XL−2、XL−3およびXL−4
は、構造解析の結果、2つのペニシリンXがラジカル重
合して生じたものと推定される新規化合物である。
ペニシリン系化合物XL−1、XL−2、XL−3およびXL
−4は、抗菌活性を有する。この抗菌活性を調べるた
め、マイクロタイターを用いたブロス希釈法により、各
種細菌に対するMIC(最小発育阻止濃度)試験を行っ
た。この試験は、各試験菌株をミューラー・ヒントン培
地(Difco社製)に植菌し、37℃で18〜20時間静置培養
した。この培養液(菌数約108個/ml)を生理食塩水で10
00倍に希釈し、この菌液0.1mlを、あらかじめ各試験化
合物の希釈列(ミューラー・ヒントン培地で調整)0.1m
lを注入した96穴のマイクロタイタープレートに添加
し、37℃で18〜20時間培養後、接種菌の発育を阻止した
試験化合物の最小濃度、即ち最小発育阻止濃度を肉眼に
より判定した。
試験結果を第1表に示す。
XL−1〜XL−4はいずれもナトリウム塩である。以下
実施例に基づき本発明を説明する。
実施例1 ペニシリンX(Na塩)500mgを0.5Mリン酸緩衝液(pH
6.0)200mlに溶かし基質溶液とした。この溶液に精製し
たラッカーゼ(Coriolus versicolor IFO 9791起源、タ
ンパク濃度2.3mg/ml)2mlを添加し、500ml容のビーカー
中でスターラで攪拌しながら30℃で6時間反応させた。
反応液の高速液体クロマトグラフィー(カラム:LiChros
orb RP−18(5μm)(メルク社4φ×150mm、移動相:
0.5ml/min、検出:UV280nm)による分析の結果、ペニシ
リンXのピークが減少し、ペニシリン系化合物XL−1、
XL−2、XL−3、XL−4に相当する新たなピークが、2
3.5分、15.6分、17.4分および6.2分の保持時間でそれぞ
れ検出された。
分離精製のために、この反応液を氷冷下に1N塩酸でpH
を2.5とし、200mlの酢酸エチルで抽出を行った。上記の
XL−1、XL−2、XL−3およびXL−4は酢酸エチル側に
抽出され、溶媒を減圧下に留去した後、10mlの0.1Mリン
酸緩衝液(pH6.8)に溶かし、分取用高速液体クロマト
グラフィー(カラム:LiChro Prep RP−18(メルク社)
2φ×25cm、移動相:メタノール/20mMリン酸緩衝液(p
H6.8)(18:82)、流速:7ml/min、検出:UV280nm)にか
け、XL−1、XL−2、XL−3およびXL−4のピークを分
取した。分取した画分の脱塩は、それぞれについて水で
平衡化させたダイヤイオンCHP−20(三菱化成(株)
製)カラム(1.2φ×15cm)に通塔し、吸着させ、50ml
の水で水洗後、40%含水メタノールで溶出させた。各溶
出液を減圧下に濃縮してメタノールを除いた後、凍結乾
燥してXL−1、XL−2、XL−3およびXL−4をナトリウ
ム塩としてそれぞれ21mg、26mg、22mgおよび12mgを得
た。
次に、これらの物質のメチルエステル化を行った。一
例として、XL−1の場合について説明する。XL−2、XL
−3およびXL−4の場合にも同様に操作してメチルエス
テル化した。
XL−1のナトリウム塩30mgをDMF1mlに溶かし、そこに
ヨウ化メチル55mgを添加し攪拌しながら室温で4時間反
応させた。反応液に氷冷した酢酸エチル50mlと20%食塩
水50mlの混合液を加え、XL−1のメチルエステル化物を
酢酸エチル層に抽出した。酢酸エチル抽出液を無水硫酸
ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮乾固し残渣を2mlのクロ
ロホルムに溶かした。これをクロロホルムで充填したシ
リカゲルカラム(ワコーゲル C−200(和光純薬
(株)製)、1.5φ×20cm)にかけ、クロロホルム/メ
タノール(20:1)で溶出した。溶出してきたXL−1のメ
チルエステル画分を合わせ溶媒を減圧下に留去しXL−1
のメチルエステル22mgを得た。
XL−1のメチルエステルの物性値は次に示す通りであ
った。
SI−MSm/z:727(M+H)
UVλmax(メタノール)nm(ε):217(23100)、290(4
600)。
IR(CHCl3)cm-1:1775、1745、1670、1495。1 H−NMR(CDCl3、400MHz):1.43(6H,s)、1.48(6H,
s)、3.54(2H,d,J=15.9Hz)、3.59(2H,d,J=15.9H
z)、3.76(6H,s)、4.40(2H,s)、5.51(2H,d,J=4.1
Hz)、5.62(2H,dd,J=4.1と8.8Hz)、6.57(2H,d,J=
8.8Hz)、6.87(2H,d,J=8.2Hz)、7.11(2H,dd,J=2.2
と8.2Hz)、7.15(2H,d,J=2.2Hz)、7.52(2H,br)、13 C−NMR(CDCl3):26.8、31.7、42.3、52.4、58.8、6
4.8、68.0、70.4、117.7、125.6、126.6、130.5、132.
6、152.6、168.1、171.2、173.6。
XL−2のメチルエステルの物性値を次に示す。
SI−MSm/z:727(M+H)
UVλmax(メタノール)nm(ε):210(40500)、296(5
400)。
IR(CHCl3)cm-1:1775、1745、1680、1495。1 H−NMR(CDCl3、400MHz):1.45(3H,s)、1.46(3H,
s)、1.50(3H,s)、1.58(3H,s)、2.82(1H,d,J=14.
8Hz)、3.00(1H,d,J=14.8Hz)、3.00(1H,dd,J=17.3
と2.4Hz)、3.14(1H,dd,J=17.3と4.1Hz)、3.58(2H,
s)、3.77(3H,s)、3.79(3H,s)、4.37(1H,s)、4.4
3(1H,s)、5.09(1H,m)、5.53(1H,d,J=4.1Hz)、5.
54(1H,d,J=4.1Hz)、5.63(1H,dd,J=4.1と8.8Hz)、
5.69(1H,dd,J=4.1と9.3Hz)、5.98(1H,d,J=10.2H
z)、6.15(1H,d,J=9.3Hz)、6.52(1H,d,J=8.8H
z)、6.54(1H,dd,J=10.2と1.6Hz)、6.80(1H,d,J=
8.2Hz)、7.08(1H,dd,J=1.9と8.2Hz)、7.17(1H,d,J
=1.9Hz)。13 C−NMR(CDCl3):26.9、27.1、31.3、31.7、38.6、4
2.6、43.1、47.0、52.3、52.5、58.5、58.6、64.7、65.
2、67.7、68.0、70.3、70.6、85.9、111.1、124.1、12
7.2、127.8、131.1、131.5、146.1、157.9、167.9、16
8.0、170.5、173.2、173.7、195.0。
XL−3のメチルエステルの物性値を次に示す。
SI−MSm/z:767(M+H)
UVλmax(メタノール)nm(ε):205(40100)、293(5
400)。
IR(CHCl3)cm-1:1780、1750、1680、1500。1 H−NMR(CDCl3、400MHz):1.46(3H,s)、1.49(3H,
s)、1.50(3H,s)、1.62(3H,s)、2.81(1H,d,J=14.
3Hz)、2.91(1H,d,J=14.3Hz)、3.00(1H,dd,J=17.5
と3.3Hz)、3.07(1H,dd,J=17.5と4.1Hz)、3.56(1H,
d,J=15.7Hz)、3.60(1H,d,J=15.7Hz)、3.77(3H,
s)、3.79(3H,s)、4.39(1H,s)、4.48(1H,s)、5.0
4(1H,m)、5.53(1H,d,J=4.1Hz)、5.54(1H,d,J=4.
1Hz)、5.67(1H,dd,J=4.1と9.1Hz)、5.68(1H,dd,J
=4.1と8.8Hz)、5.99(1H,d,J=10.4Hz)、6.41(1H,
d,J=9.1Hz)、6.49(1H,d,J=8.8Hz)、6.63(1H,dd,J
=10.4と1.9Hz)、6.79(1H,d,J=8.2Hz)、7.12(1H,d
d,J=1.9と8.2Hz)、7.21(1H,d,J=1.9Hz)。13 C−NMR(CDCl3):26.9、27.1、31.6、31.8、38.4、4
2.6、43.1、47.0、52.5、58.5、58.8、64.8、65.2、67.
6、68.0、70.4、70.5、85.8、111.1、124.2、127.5、13
1.0、146.2、157.9、167.9、168.0、170.6、173.2、17
3.7、195.0。
XL−4のメチルエステルの物性値を次に示す。
SI−MSm/z:727(M+H)
UVλmax(メタノール)nm(ε):211(41200)、276(5
300)。
IR(CHCl3)cm-1:1780、1750、1675、1500。1 H−NMR(CDCl3、400MHz):1.46(3H,s)、1.47(3H,
s)、1.51(3H,s)、1.54(3H,s)、3.49(2H,s)、3.6
1(2H,s)、3.77(6H,s)、4.40(1H,s)、4.41(1H,
s)、5.50(1H,d,J=4.4Hz)、5.53(1H,d,J=4.4H
z)、5.64(1H,dd,J=4.4と8.8Hz)、5.65(1H,dd,J=
4.4と8.8Hz)、6.09(1H,d,J=8.8Hz)、6.13(1H,d,J
=8.8Hz)、6.78(1H,d,J=2.2Hz)、6.95(1H,dd,J=
2.2と8.1Hz)、7.02(2H,d,J=8.1Hz)、7.04(1H,d,J
=8.1Hz)、7.26(2H,d,J=8.1Hz)。13 C−NMR(CDCl3):26.9、27.0、31.7、31.8、42.5、4
2.6、52.5、58.7、64.7、68.0、70.4、116.9、118.7、1
19.8、125.9、126.3、129.5、130.6、131.2、143.7、14
6.9、155.9、168.1、170.1、170.2、173.5。
実施例2 ペニシリンXのピバロキシメチルエステル300mgをク
ロロホルム30mlに溶かし、これから10mlづつ3つの2リ
ッター三角フラスコに分取し、それぞれ減圧下でクロロ
ホルムを除いてフラスコの底面にペニシリンXピバロキ
シメチルエステルを膜状にコーテイングした。それに0.
1Mリン酸緩衝液(pH6.0)100mlを加え、さらに精製した
ラッカーゼ(Coriolus versicolor IFO 9791起源、タン
パク濃度2.3mg/ml)1mlを添加した。酵素反応は30℃で
ゆっくり振りながら18時間行った。反応終了後、それぞ
れの反応液を合わせ、300mlの酢酸エチルで抽出し反応
生成物を酢酸エチル層に回収した。高速液体クロマトグ
ラフィー(カラム:Zorbax PRO−10 SIL(デユポン社
製)4.6φ×250mm、移動相:クロロホルムからクロロホ
ルム/2−プロパノール(10:1)へのグラジェント溶出
(60分)、流速:1.0ml/min、検出:UV 280nm)による分
析の結果、XL−1、XL−2、XL−3およびXL−4のピバ
ロキシメチルエステルに当たる生成物のピークが33.6
分、29.9分、31.6分および28.0分の保持時間でそれぞれ
検出された。
この酢酸エチル抽出液を無水硫酸ナトリウムで乾燥
後、減圧濃縮乾固し、ついで3mlのクロロホルムに溶か
し、クロロホルムで充填したシリカゲルカラム(ワコー
ゲルC−200(和光純薬(株)製)、2.5φ×47cm)にか
けた。目的物質の溶出は、高速液体クロマトグラフィー
(カラム:YMC−Pack SIL(山村化学(株)製)、2φ
×25cm、移動相:クロロホルム/2−プロパノール(10:
1.4)、流速:7.0ml/min、検出:UV 280nm)により精製
した。ピークを分取し、溶媒を留去してXL−1、XL−
2、XL−3およびXL−4のピバロキシメチルエステルを
それぞれ70mg、24mg、35mgおよび10mg得た。
1例としてXL−1のピバロキシメチルエステルの物性
値を示す。
UVλmax(メタノール)nm(ε):206(31100)、291(3
600)。
IR(KBr)cm-1:3450、1780、1760、1670、1500。1 H−NMR(CDCl3、400MHz):1.22(18H,s)、1.46(6H,
s)、1.48(6H,s)、3.55(2H,d,J=16.1Hz)、3.59(2
H,d,J=16.1Hz)、4.40(2H,s)、5.50(2H,d,J=4.1H
z)、5.64(2H,dd,J=4.4と8.8Hz)、5.75(2H,d,J=5.
9Hz)、5.85(2H,d,J=5.9Hz)、6.51(2H,d,J=8.8H
z)、6.88(2H,d,J=8.8Hz)、7.12(2H,dd,J=2.2と8.
2Hz)、7.15(2H,d,J=2.2Hz)、7.26(2H,br)。
実施例3 XL−1、XL−2、XL−3およびXL−4のピバロキシメ
チルエステルのXL−1、XL−2、XL−3およびXL−4へ
の変換は、エステラーゼを用いて行った。一例としてXL
−1のピバロキシメチルエステルの場合について説明す
る。XL−2、XL−3およびXL−4の場合も同様に処理し
て変換した。
XL−1のピバロキシメチルエステル30mgを1mlのメタ
ノールに溶かし、それを20mMリン酸緩衝液(pH6.8)100
mlに加えて懸濁状態とした。これにエステラーゼ(豚の
肝臓由来、ベーリンガー・マンハイム社)100μlを添
加して、18℃で攪拌しながら5時間反応させた。反応終
了後、反応液をダイヤイオンCHP−20(三菱化成(株)
製)カラム(1.7φ×11cm)に通塔し吸着させ、100mlの
水で洗浄後、40%含水メタノールで溶出させた。各溶出
画分は減圧下にメタノールを除いた後、凍結乾燥し、ナ
トリウム塩としてXL−1を17.4mg得た。
XL−1のナトリウム塩の物性値を次に示す。
UVλmax(メタノール)nm(ε):199(41600)、275(1
960)。
IR(KBr)cm-1:3400、1765、1660、1610、1510。1 H−NMR(CDCl3、400MHz):1.50(6H,s)、1.57(6H,
s)、3.62(2H,d,J=14.9Hz)、3.68(2H,d,J=14.9H
z)、4.23(2H,s)、5.42(2H,d,J=3.7Hz)、5.54(2
H,d,J=3.7Hz)、7.06(2H,d,J=8.5Hz)、7.37(2H,d
d,J=2.1と8.5Hz)、7.61(2H,d,J=2.1Hz)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 刀根 弘 神奈川県横浜市金沢区並木3丁目7番14 ―1003号 (72)発明者 岡本 六郎 神奈川県藤沢市花の木2丁目18番 (72)発明者 村尾 澤夫 大阪府堺市掘上緑町2丁目8番12号 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C12P 23/00 - 41/00 BIOSIS(DIALOG) REGISTRY(STN) CAPLUS(STN)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式 (式中、Rは水素原子、製薬学上許容できる塩、または
    アルキル基もしくはアルコキシアルキル基を表し、Xは または を表す) のペニシリン系化合物。
  2. 【請求項2】ペニシリンXに酸化酵素を作用させること
    により生成蓄積した蓄積物を分離精製することを特徴と
    する請求項(1)記載のペニシリン系化合物の製造方
    法。
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