JP3060561B2 - 新規含硫ペプタイド系化合物msog−1 - Google Patents
新規含硫ペプタイド系化合物msog−1Info
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- JP3060561B2 JP3060561B2 JP3461691A JP3461691A JP3060561B2 JP 3060561 B2 JP3060561 B2 JP 3060561B2 JP 3461691 A JP3461691 A JP 3461691A JP 3461691 A JP3461691 A JP 3461691A JP 3060561 B2 JP3060561 B2 JP 3060561B2
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は新規含硫ペプタイド系化
合物MSOG−1物質に関し、詳細には蛋白質合成阻害
作用をもつ一部の抗生物質に対しその作用を弱める、あ
るいは被検菌に耐性を付与させる抗生物質耐性付与新規
含硫ペプタイド系化合物MSOG−1に関する。
合物MSOG−1物質に関し、詳細には蛋白質合成阻害
作用をもつ一部の抗生物質に対しその作用を弱める、あ
るいは被検菌に耐性を付与させる抗生物質耐性付与新規
含硫ペプタイド系化合物MSOG−1に関する。
【0002】
【従来の技術、発明が解決しようとする課題、及びそれ
を解決するための手段】現在、抗生物質は医・農薬に広
く使用されているが、これら抗生物質の耐性菌の出現が
問題となっており、この耐性菌に有効な新たな抗生物質
を探す必要がある。しかしながら、新たな抗生物質をス
クリーニングする際、従来の抗生物質のスクリーニング
に使用した培地で抗菌活性を測定する方法では、耐性菌
の存在する既存の抗生物質をスクリーニングすることが
多く、効率よく新たな抗生物質を見い出すことができな
かった。
を解決するための手段】現在、抗生物質は医・農薬に広
く使用されているが、これら抗生物質の耐性菌の出現が
問題となっており、この耐性菌に有効な新たな抗生物質
を探す必要がある。しかしながら、新たな抗生物質をス
クリーニングする際、従来の抗生物質のスクリーニング
に使用した培地で抗菌活性を測定する方法では、耐性菌
の存在する既存の抗生物質をスクリーニングすることが
多く、効率よく新たな抗生物質を見い出すことができな
かった。
【0003】本発明者らは、現在使用されている抗生物
質の作用を抑制する活性を有する物質を含む培地でスク
リーニングすれば、効率よく新たな抗生物質を見い出す
ことができると考え、蛋白質合成阻害剤として用いられ
ているエリスロマイシン、クロラムフェニコール、ミカ
マイシンAB、チオペプチンおよびノシヘプタイドの作
用を阻害する物質をスクリーニングした。その結果、こ
れらの蛋白質合成阻害剤の作用を抑制する活性を有する
化合物をストレプトマイセス・アクツオススの変異株N
P−1株の培養菌体および培養上清中より見出し、この
物質を使用した抗生物質のスクリーニング系によって、
効率よく新規な抗生物質のスクリーニングを行うことが
できることを知得し、本発明を完成するに至った。
質の作用を抑制する活性を有する物質を含む培地でスク
リーニングすれば、効率よく新たな抗生物質を見い出す
ことができると考え、蛋白質合成阻害剤として用いられ
ているエリスロマイシン、クロラムフェニコール、ミカ
マイシンAB、チオペプチンおよびノシヘプタイドの作
用を阻害する物質をスクリーニングした。その結果、こ
れらの蛋白質合成阻害剤の作用を抑制する活性を有する
化合物をストレプトマイセス・アクツオススの変異株N
P−1株の培養菌体および培養上清中より見出し、この
物質を使用した抗生物質のスクリーニング系によって、
効率よく新規な抗生物質のスクリーニングを行うことが
できることを知得し、本発明を完成するに至った。
【0004】即ち本発明の要旨は、下記の理化学的性質
を有する新規含硫ペプタイド系化合物MSOG−1物質
に存する。 a)物質の性状:無色の粉末状物質 b)分子量:1074 c)紫外線吸収スペクトル:メタノール溶液中での測定
で下記の吸収を示す。 λMax 238,325(nm) d)赤外線吸収スペクトル:液膜法で測定した赤外吸収
スペクトルは次の主な吸収を示す。 3400−3200,2950,2920,1660,
1530,1480,1240,1160,750(cm
-1) e) 1H−核磁気共鳴スペクトル:重水素化ジメチルス
ルホキシド中、内部標準にテトラメチルシランを使用し
て測定したとき、次のような主なケミカルシフトを示
す。(500MHz ) 1.1,1.2,1.3,1.8,2.2−2.5,
2.7,3.2−3.6,3.7,4.0,4.2,
4.3,4.6,5.3,5.4,5.6,6.8,
7.1,7.3,7.5,7.6,7.7,8.0,
8.2,8.5,9.0,9.2,9.7,10.8
(ppm ) f)13C−核磁気共鳴スペクトル:重水素化ジメチルス
ルホキシド中、内部標準にテトラメチルシランを使用し
て測定したとき、次のような主なケミカルシフトを示
す。(500MHz ) 12.5,13.2,17.0,17.2,19.2,
20.6,27.2,28.0,28.9,29.4,
30.9,31.5,50.5,50.8,58.1,
65.7,66.8,74.5,95.3,118.
5,125.1,128.5,129.8,131.
1,148.8,149.0,149.8,160.
2,167.5,170.9,182.2(ppm ) g)溶解性:メタノール、エタノール、テトラヒドロフ
ランに可溶 水に難溶または不溶 h)呈色反応:アンスロン−硫酸に陽性 以下、本発明につき詳細に説明する。
を有する新規含硫ペプタイド系化合物MSOG−1物質
に存する。 a)物質の性状:無色の粉末状物質 b)分子量:1074 c)紫外線吸収スペクトル:メタノール溶液中での測定
で下記の吸収を示す。 λMax 238,325(nm) d)赤外線吸収スペクトル:液膜法で測定した赤外吸収
スペクトルは次の主な吸収を示す。 3400−3200,2950,2920,1660,
1530,1480,1240,1160,750(cm
-1) e) 1H−核磁気共鳴スペクトル:重水素化ジメチルス
ルホキシド中、内部標準にテトラメチルシランを使用し
て測定したとき、次のような主なケミカルシフトを示
す。(500MHz ) 1.1,1.2,1.3,1.8,2.2−2.5,
2.7,3.2−3.6,3.7,4.0,4.2,
4.3,4.6,5.3,5.4,5.6,6.8,
7.1,7.3,7.5,7.6,7.7,8.0,
8.2,8.5,9.0,9.2,9.7,10.8
(ppm ) f)13C−核磁気共鳴スペクトル:重水素化ジメチルス
ルホキシド中、内部標準にテトラメチルシランを使用し
て測定したとき、次のような主なケミカルシフトを示
す。(500MHz ) 12.5,13.2,17.0,17.2,19.2,
20.6,27.2,28.0,28.9,29.4,
30.9,31.5,50.5,50.8,58.1,
65.7,66.8,74.5,95.3,118.
5,125.1,128.5,129.8,131.
1,148.8,149.0,149.8,160.
2,167.5,170.9,182.2(ppm ) g)溶解性:メタノール、エタノール、テトラヒドロフ
ランに可溶 水に難溶または不溶 h)呈色反応:アンスロン−硫酸に陽性 以下、本発明につき詳細に説明する。
【0005】本発明の新規含硫ペプタイド系化合物(以
下、「MSOG−1物質と略記する)は、前記のような
理化学的性質を有するものであり、例えば、MSOG−
1物質を生産する能力を有するストレプトマイセス属に
属する微生物の培養物中から採取する事ができる。かか
る菌株の例としては、ストレプトマイセス・アクツオス
スの変異株NP−1株(以下「本菌株」又は「NP−1
菌株」と略記することがある。)が挙げられる。本菌株
は微工研菌寄第12046号として微工研に寄託されて
いる。NP−1菌株の微生物学的性状は以下の通りであ
る。 1)形態学的特徴 酵母−麦芽寒天、オートミール寒天、無機塩・スターチ
培地及びグリセロール−アスパラギン培地上で、コロニ
ーははじめ白色、後に灰色となる。基生菌糸及び気中菌
糸はよく発達し分岐する。気中菌糸上に分節型の長い胞
子連鎖部を形成する。胞子鎖は10−50程の胞子から
成る。胞子鎖は直立し、先端部で波状となる。ラセン状
に巻くことはない。胞子表面は平滑。 2)各種倍地上における特徴 27℃、14日間培養後の特徴 (イ)ベネット寒天培地上;生育良好、菌糸は豊富、胞
子形成旺盛、可溶性色素褐色の色素を産生する。 (ロ)グルコース・アスパラギン寒天培地上;生育は中
程度、気菌糸中程度、胞子形成旺盛、可溶性色素わずか
に産生する。 (ハ)グリセロール−アスパラギン寒天地上;生育中程
度、気菌糸中程度、胞子形成旺盛、可溶性色素わずかに
産生する。 (ニ)デンプン・無機塩寒天培地上;生育中程度、気菌
糸中程度、胞子形成旺盛、可溶性色素黄土色の式を産生
する。 (ホ)普通寒天培地上;生育旺盛、気菌糸は形成せず。
可溶性色素褐色の色素を産生する。 (ヘ)チロシン含有寒天培地上;生育中程度、気菌糸は
形成せず。可溶性色素褐色の色素を産生する。 (ト)リンゴ酸Ca含有培地上;生育中程度、気菌糸は
形成せず。可溶性色素産生せず。 3)生理学的性質 (イ)ゼラチンの液化;液化は遅く不完全 (ロ)デンプンの加水分解;加水分解は遅い。 (ハ)硝酸塩の還元;陽性 (ニ)脱脂乳の凝固;陰性 脱脂乳のペプトン化;遅い (ホ)メラニン色素の生成;陽性 (ヘ)炭素源の資化性; D−グルコース :+,D−マンニトール:+,L−
アラビノース:+,D−フラクトース:+,シュークロ
ース :+,ラムノース:+,D−キシロース :+,
ラフィノース :+,i−イノシトール:+ 4)分類学的考察 本菌株NP−1株は1)コロニー色調は灰色、2)胞子
形成様式はRectiflexibile、3)胞子表
面は平滑、4)メラニン色素を産生する特徴を有し、本
菌株の親株であるストレプトマイセス・アクツオススN
RRL2954の特徴によく一致する。また各種生理的
性状、炭素源の資化性においても上記菌株の性状によく
一致した。従って、本変異株NP−1株は、ストレプト
マイセス・アクツオススと同定した。
下、「MSOG−1物質と略記する)は、前記のような
理化学的性質を有するものであり、例えば、MSOG−
1物質を生産する能力を有するストレプトマイセス属に
属する微生物の培養物中から採取する事ができる。かか
る菌株の例としては、ストレプトマイセス・アクツオス
スの変異株NP−1株(以下「本菌株」又は「NP−1
菌株」と略記することがある。)が挙げられる。本菌株
は微工研菌寄第12046号として微工研に寄託されて
いる。NP−1菌株の微生物学的性状は以下の通りであ
る。 1)形態学的特徴 酵母−麦芽寒天、オートミール寒天、無機塩・スターチ
培地及びグリセロール−アスパラギン培地上で、コロニ
ーははじめ白色、後に灰色となる。基生菌糸及び気中菌
糸はよく発達し分岐する。気中菌糸上に分節型の長い胞
子連鎖部を形成する。胞子鎖は10−50程の胞子から
成る。胞子鎖は直立し、先端部で波状となる。ラセン状
に巻くことはない。胞子表面は平滑。 2)各種倍地上における特徴 27℃、14日間培養後の特徴 (イ)ベネット寒天培地上;生育良好、菌糸は豊富、胞
子形成旺盛、可溶性色素褐色の色素を産生する。 (ロ)グルコース・アスパラギン寒天培地上;生育は中
程度、気菌糸中程度、胞子形成旺盛、可溶性色素わずか
に産生する。 (ハ)グリセロール−アスパラギン寒天地上;生育中程
度、気菌糸中程度、胞子形成旺盛、可溶性色素わずかに
産生する。 (ニ)デンプン・無機塩寒天培地上;生育中程度、気菌
糸中程度、胞子形成旺盛、可溶性色素黄土色の式を産生
する。 (ホ)普通寒天培地上;生育旺盛、気菌糸は形成せず。
可溶性色素褐色の色素を産生する。 (ヘ)チロシン含有寒天培地上;生育中程度、気菌糸は
形成せず。可溶性色素褐色の色素を産生する。 (ト)リンゴ酸Ca含有培地上;生育中程度、気菌糸は
形成せず。可溶性色素産生せず。 3)生理学的性質 (イ)ゼラチンの液化;液化は遅く不完全 (ロ)デンプンの加水分解;加水分解は遅い。 (ハ)硝酸塩の還元;陽性 (ニ)脱脂乳の凝固;陰性 脱脂乳のペプトン化;遅い (ホ)メラニン色素の生成;陽性 (ヘ)炭素源の資化性; D−グルコース :+,D−マンニトール:+,L−
アラビノース:+,D−フラクトース:+,シュークロ
ース :+,ラムノース:+,D−キシロース :+,
ラフィノース :+,i−イノシトール:+ 4)分類学的考察 本菌株NP−1株は1)コロニー色調は灰色、2)胞子
形成様式はRectiflexibile、3)胞子表
面は平滑、4)メラニン色素を産生する特徴を有し、本
菌株の親株であるストレプトマイセス・アクツオススN
RRL2954の特徴によく一致する。また各種生理的
性状、炭素源の資化性においても上記菌株の性状によく
一致した。従って、本変異株NP−1株は、ストレプト
マイセス・アクツオススと同定した。
【0006】本発明において、目的とする蛋白質合成阻
害剤の作用を抑制する活性を有する物質は、前記の菌を
通常の微生物が利用し得る栄養物を含有する培地で、通
常、24〜30℃、120〜240時間培養することに
よって主に菌体内に蓄積される。炭素源としてはグルコ
ース、水飴、デキストリン、シュークロース、デンプ
ン、糖蜜、動・植物油等を使用できる。また窒素源とし
ては大豆粉、コーンスティープリカー、魚粕、酵母エキ
ス、肉エキス、ペプトンその他無機窒素源たとえばアン
モニウム塩等が用いられる。また一般に菌の生育または
抗生物質の生産を促進するために必要な無機塩として重
金属イオンやその他の微量促進物質を添加しても良い。
害剤の作用を抑制する活性を有する物質は、前記の菌を
通常の微生物が利用し得る栄養物を含有する培地で、通
常、24〜30℃、120〜240時間培養することに
よって主に菌体内に蓄積される。炭素源としてはグルコ
ース、水飴、デキストリン、シュークロース、デンプ
ン、糖蜜、動・植物油等を使用できる。また窒素源とし
ては大豆粉、コーンスティープリカー、魚粕、酵母エキ
ス、肉エキス、ペプトンその他無機窒素源たとえばアン
モニウム塩等が用いられる。また一般に菌の生育または
抗生物質の生産を促進するために必要な無機塩として重
金属イオンやその他の微量促進物質を添加しても良い。
【0007】本発明のMSOG−1物質は上記のように
して培養した培養、通常、菌体物中から常法に従い、メ
タノール、アセトン、テトラヒドロフラン等の溶媒抽
出、順相、逆相等のカラムクロマトグラフィー等により
処理して単離精製することができるが、本発明のMSO
G−1物質を得るためには、少なくとも高速液体クロマ
トグラフィーの精製工程を経ること、好ましくは、最終
精製行程に高速液体クロマトグラフィーにかけて分取す
る事が必要である。尚、各精製行程において活性画分
は、スタフィロコッカス・アウレウス209Pを被検菌
としてノシヘプタイド10ppm と各試験画分との混合液
を用いてアガー・ホール法により阻止円の減少すること
を指標として測定することができる。
して培養した培養、通常、菌体物中から常法に従い、メ
タノール、アセトン、テトラヒドロフラン等の溶媒抽
出、順相、逆相等のカラムクロマトグラフィー等により
処理して単離精製することができるが、本発明のMSO
G−1物質を得るためには、少なくとも高速液体クロマ
トグラフィーの精製工程を経ること、好ましくは、最終
精製行程に高速液体クロマトグラフィーにかけて分取す
る事が必要である。尚、各精製行程において活性画分
は、スタフィロコッカス・アウレウス209Pを被検菌
としてノシヘプタイド10ppm と各試験画分との混合液
を用いてアガー・ホール法により阻止円の減少すること
を指標として測定することができる。
【0008】
【実施例】以下に本発明を実施例によってさらに詳細に
説明するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実
施例によって限定されるものではない。 (実施例1) 1)培養 グルコース2.0%、大豆粉2.0%を含有する培地
(pH6.0)を80mlずつ500ml三角フラスコ25本
に分注し、121℃において20分間高圧減菌する。こ
れにストレプトマイセス・アクツオススNP−1株を1
白金耳ずつ植菌する。これを27℃において7日間、2
10回転にて振とう培養する。得られた培養物を遠心分
離して培養菌体および培養上清を得た。NP−1株によ
り生産される物質は、培養菌体および培養上清中に生産
されるが、その含有量は著しく培養菌体中に多いため、
精製は培養菌体のみを用いた。 2)単離精製 上記1)で得られた培養菌体にメタノール2リットルを
添加し、攪拌した後、遠心分離して菌体メタノール抽出
液を得た。この抽出液を純水にて充填させたダイヤイオ
ンHP−20(三菱化成社製)300mlに吸着させ1.
2リットルのアセトンで溶出させた。減圧下濃縮しアセ
トン留去後、pH2で水と酢酸エチルで分液した。酢酸エ
チルを減圧下濃縮し活性成分4.0gを得た。得られた
物質をODS−AQ 120−S50(山村化学社製)
にまぶし、一夜減圧下乾燥後、500mlの同樹脂の塔の
上にのせ、メタノール:アセトニトリル:純水混液(4
0:15:45、pH4酢酸にて調整)、次いでメタノー
ル:アセトニトリル:純水混液(50:15:35、pH
4酢酸にて調整)に展開するクロマトグラフィーをおこ
なった。活性画分を集め、減圧下濃縮乾固し0.2gの
淡黄色の粉末を得た。この活性成分の紫外線吸収スペク
トルを図5に示す。この粉末を、メタノール:アセトニ
トリル:純水混液(50:15:35、pH4酢酸にて調
整)を展開溶液とする高速液体クロマトグラフィーD−
ODS−5カラム(山村化学社製、20X250mm)に
付し、流速9.0ml/分で分取クロマトグラフィーをお
こない、保持時間19分のところに展開してくる画分を
得、これを減圧乾固させて無色の粉末状物質約70mgを
得た。この粉末状物質は、高速液体クロマトグラフィー
にかける前の淡黄色の粉末とは、紫外線吸収スペクトル
の270〜300nm付近の吸収パターンが異なってい
る。かくし得られた本発明のMSOG−1物質の理化学
的性質は前述のとおりであった。尚、各精製行程におい
て活性画分は、スタフィロコッカス・アウレウス209
Pを被検菌としてノシヘプタイド10ppm と各試験画分
との混合液をもちいてアガー・ホール法により阻止円の
減少することを指標として測定した。
説明するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実
施例によって限定されるものではない。 (実施例1) 1)培養 グルコース2.0%、大豆粉2.0%を含有する培地
(pH6.0)を80mlずつ500ml三角フラスコ25本
に分注し、121℃において20分間高圧減菌する。こ
れにストレプトマイセス・アクツオススNP−1株を1
白金耳ずつ植菌する。これを27℃において7日間、2
10回転にて振とう培養する。得られた培養物を遠心分
離して培養菌体および培養上清を得た。NP−1株によ
り生産される物質は、培養菌体および培養上清中に生産
されるが、その含有量は著しく培養菌体中に多いため、
精製は培養菌体のみを用いた。 2)単離精製 上記1)で得られた培養菌体にメタノール2リットルを
添加し、攪拌した後、遠心分離して菌体メタノール抽出
液を得た。この抽出液を純水にて充填させたダイヤイオ
ンHP−20(三菱化成社製)300mlに吸着させ1.
2リットルのアセトンで溶出させた。減圧下濃縮しアセ
トン留去後、pH2で水と酢酸エチルで分液した。酢酸エ
チルを減圧下濃縮し活性成分4.0gを得た。得られた
物質をODS−AQ 120−S50(山村化学社製)
にまぶし、一夜減圧下乾燥後、500mlの同樹脂の塔の
上にのせ、メタノール:アセトニトリル:純水混液(4
0:15:45、pH4酢酸にて調整)、次いでメタノー
ル:アセトニトリル:純水混液(50:15:35、pH
4酢酸にて調整)に展開するクロマトグラフィーをおこ
なった。活性画分を集め、減圧下濃縮乾固し0.2gの
淡黄色の粉末を得た。この活性成分の紫外線吸収スペク
トルを図5に示す。この粉末を、メタノール:アセトニ
トリル:純水混液(50:15:35、pH4酢酸にて調
整)を展開溶液とする高速液体クロマトグラフィーD−
ODS−5カラム(山村化学社製、20X250mm)に
付し、流速9.0ml/分で分取クロマトグラフィーをお
こない、保持時間19分のところに展開してくる画分を
得、これを減圧乾固させて無色の粉末状物質約70mgを
得た。この粉末状物質は、高速液体クロマトグラフィー
にかける前の淡黄色の粉末とは、紫外線吸収スペクトル
の270〜300nm付近の吸収パターンが異なってい
る。かくし得られた本発明のMSOG−1物質の理化学
的性質は前述のとおりであった。尚、各精製行程におい
て活性画分は、スタフィロコッカス・アウレウス209
Pを被検菌としてノシヘプタイド10ppm と各試験画分
との混合液をもちいてアガー・ホール法により阻止円の
減少することを指標として測定した。
【0009】(試験例)スタフィロコッカス・アウレウ
ス209Pを被検菌としたエリスロマイシン、クロラム
フェニコール、ミカマイシンAB、チオペプチン、チオ
ストレプトン、ノシヘプタイド、ネオマイシンのMSO
G−1物質による活性阻害効果エリスロマイシン、クロ
ラムフェニコール、ミカマイシンAB、チオペプチン、
ノシヘプタイド、ネオマイシンの一定量を、テトラヒド
ロフランと純水の混液(1:1)に溶かしたものと、一
方上記薬剤を同じ濃度になるように同様に溶かして、そ
れにMSOG−1物質を50μg/mlとなるように各薬
剤にまぜたものとを用意し、スタフィロコッカス・アウ
レウス209Pを被検菌として4℃で2時間拡散させた
後、37℃で18時間好気培養した。その後MSOG−
1物質を加えなかったものと加えたものとの生育阻害円
径を測定し、被検菌に対する阻止円形成阻害の度合いを
調べた。
ス209Pを被検菌としたエリスロマイシン、クロラム
フェニコール、ミカマイシンAB、チオペプチン、チオ
ストレプトン、ノシヘプタイド、ネオマイシンのMSO
G−1物質による活性阻害効果エリスロマイシン、クロ
ラムフェニコール、ミカマイシンAB、チオペプチン、
ノシヘプタイド、ネオマイシンの一定量を、テトラヒド
ロフランと純水の混液(1:1)に溶かしたものと、一
方上記薬剤を同じ濃度になるように同様に溶かして、そ
れにMSOG−1物質を50μg/mlとなるように各薬
剤にまぜたものとを用意し、スタフィロコッカス・アウ
レウス209Pを被検菌として4℃で2時間拡散させた
後、37℃で18時間好気培養した。その後MSOG−
1物質を加えなかったものと加えたものとの生育阻害円
径を測定し、被検菌に対する阻止円形成阻害の度合いを
調べた。
【0010】その結果を下記の表に示した。 生育阻止円径 MSOG−1(50μg/ml) ──────────────────── MSOG−1 MSOG−1 無添加 添 加 薬 剤 濃 度 (50μg/ml) ──────────────────────────────────── エリスロマイシン 10μg/ml 14.40mm 11.45mm クロラムフェニコール 100μg/ml 10.30mm 8.90mm ミカマイシンAB 10μg/ml 18.80mm 16.45mm チオペプチン 3.3μg/ml 16.35mm 14.65mm ノシヘプタイド 0.1μg/ml 16.23mm 12.35mm ネオマイシン 100μg/ml 15.50mm 15.50mm 上表よりMSOG−1物質は、蛋白質合成阻害作用を示
す一部の抗生物質の作用を弱める働き、あるいは被検菌
をその薬剤に対して耐性化させる働きを持つ。
す一部の抗生物質の作用を弱める働き、あるいは被検菌
をその薬剤に対して耐性化させる働きを持つ。
【0011】
【発明の効果】本発明のMSOG−1物質を使用するこ
とによって新しい作用機構を持つ新規蛋白質合成阻害剤
をスクリーニングすることができる。
とによって新しい作用機構を持つ新規蛋白質合成阻害剤
をスクリーニングすることができる。
【図1】MSOG−1物質の、メタノール中濃度20μ
g/mlでの紫外部吸収スペクトルである。
g/mlでの紫外部吸収スペクトルである。
【図2】MSOG−1物質の、液膜法で測定した赤外吸
収スペクトルである。
収スペクトルである。
【図3】MSOG−1物質の、重水素化ジメチルスルホ
キシド溶液中での水素核核磁気共鳴スペクトル図であ
る。
キシド溶液中での水素核核磁気共鳴スペクトル図であ
る。
【図4】MSOG−1物質の、重水素化ジメチルスルホ
キシド溶液中炭素核核磁気共鳴スペクトル図である。
キシド溶液中炭素核核磁気共鳴スペクトル図である。
【図5】MSOG−1物質前駆体の、メタノール中での
紫外部吸収スペクトル図である。
紫外部吸収スペクトル図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI (C12P 21/00 C12R 1:465) (72)発明者 浅見 泰子 神奈川県横浜市緑区鴨志田町1000番地 三菱化成株式会社総合研究所内 (56)参考文献 特開 昭61−91197(JP,A) 特開 昭61−50997(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07K 1/14 C12P 21/00 C12N 1/00 BIOSIS(DIALOG) WPI(DIALOG)
Claims (1)
- 【請求項1】 下記の理化学的性質を有する新規含硫ペ
プタイド系化合物MSOG−1 a)物質の性状:無色の粉末状物質 b)分子量:1074 c)紫外線吸収スペクトル:メタノール溶液中での測定
で下記の吸収を示す。 λMax 238,325(nm) d)赤外線吸収スペクトル:液膜法で測定した赤外吸収
スペクトルは次の主な吸収を示す。 3400−3200,2950,2920,1660,
1530,1480,1240,1160,750(cm
-1) e) 1H−核磁気共鳴スペクトル:重水素化ジメチルス
ルホキシド中、内部標準にテトラメチルシランを使用し
て測定したとき、次のような主なケミカルシフトを示
す。(500MHz ) 1.1,1.2,1.3,1.8,2.2−2.5,
2.7,3.2−3.6,3.7,4.0,4.2,
4.3,4.6,5.3,5.4,5.6,6.8,
7.1,7.3,7.5,7.6,7.7,8.0,
8.2,8.5,9.0,9.2,9.7,10.8
(ppm ) f)13C−核磁気共鳴スペクトル:重水素化ジメチルス
ルホキシド中、内部標準にテトラメチルシランを使用し
て測定したとき、次のような主なケミカルシフトを示
す。(500MHz ) 12.5,13.2,17.0,17.2,19.2,
20.6,27.2,28.0,28.9,29.4,
30.9,31.5,50.5,50.8,58.1,
65.7,66.8,74.5,95.3,118.
5,125.1,128.5,129.8,131.
1,148.8,149.0,149.8,160.
2,167.5,170.9,182.2(ppm ) g)溶解性:メタノール、エタノール、テトラヒドロフ
ランに可溶 水に難溶または不溶 h)呈色反応:アンスロン−硫酸に陽性
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3461691A JP3060561B2 (ja) | 1991-02-28 | 1991-02-28 | 新規含硫ペプタイド系化合物msog−1 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3461691A JP3060561B2 (ja) | 1991-02-28 | 1991-02-28 | 新規含硫ペプタイド系化合物msog−1 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH04273899A JPH04273899A (ja) | 1992-09-30 |
JP3060561B2 true JP3060561B2 (ja) | 2000-07-10 |
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ID=12419310
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3461691A Expired - Fee Related JP3060561B2 (ja) | 1991-02-28 | 1991-02-28 | 新規含硫ペプタイド系化合物msog−1 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3060561B2 (ja) |
-
1991
- 1991-02-28 JP JP3461691A patent/JP3060561B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH04273899A (ja) | 1992-09-30 |
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