JP3148331B2 - 抗生物質レスピノマイシン、その製造法並びに抗腫瘍剤及び抗ウイルス剤 - Google Patents

抗生物質レスピノマイシン、その製造法並びに抗腫瘍剤及び抗ウイルス剤

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規抗生物質、その製
造法並びに該抗生物質を有効成分として含む抗腫瘍剤及
び抗ウイルス剤に関する。
【従来の技術】アンスラサイクリン系抗生物質は、従来
より抗腫瘍剤としての有用性が報告され、例えば、Daun
orubicin(商品名:ダウノマイシン)、Doxorubicin
(商品名:アドリアシン)、Aclarubicinhydrochloride
(商品名:アグラシノン注射用)等は制癌剤として実用
化されている。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記抗
生物質を臨床に用いた場合には副作用が大きく、臨床上
の使用には制限があった。そこで、かかる欠点が少な
く、癌細胞の分化を誘導し、あるいは癌細胞の増殖を抑
制する新規アンスラサイクリン系抗生物質の提供が望ま
れていた。かかる課題を解決するための抗生物質とし
て、本発明者らは、アンスラサイクリン系抗生物質であ
る新規物質RK−483A(以下、抗生物質レスピノマ
イシンA1と記す)が顕著なヒト白血病細胞K−562
の増殖抑制効果を示し、さらに分化誘導活性を有するこ
とを見出し、特許出願した(特願平2−240958号
(特開平4−120088号公報))。さらに、本発明
者らは上記抗生物質レスピノマイシンA1が、ファージ
に対しても抗ファージ活性を示すことを明らかにし、本
物質を含む医薬用組成物が抗ウイルス剤として有用であ
ることをも見出した。該抗生物質レスピノマイシンA1
は、下記の構造式及び理化学的性質を有する。
【0003】
【化5】
【0004】性 状:黄色粉末 融 点:250℃以上(分解点) 分子式:C51H72N2O20 マススペクトル(SIMS) :m/z 1055(M+Na)+ m/z 10
33(M+H)+ 高分解能FAB 1033.4761(M+H)+ (C51H73O20N2 ,1033.4
765) 比旋光度:〔α〕D 20=+174°(c=0.28, CHCl3) 紫外部吸収スペクトル(メタノール中); λMeOH max nm(E1% 1cm )=220(114.4), 265(64.8), 2
90(sh, 24.0), 395(sh, 23.2), 415(26.4), 440(sh, 2
0.8), 赤外線吸収スペクトル(KBr);3410, 2910, 1675, 163
0, 1580, 1410, 1255, 1095, 965 cm-1 溶解性:ジメチルスルホキシド、酢酸エチル、クロロホ
ルム、メタノールに易溶 ヘキサンに不溶 呈色反応:ヨウ素、アニスアルデヒドに陽性
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、さらに、
上記抗生物質RK−483Aの関連物質として、下記の
構造式で表され、下記の理化学的性質を有する抗生物質
レスピノマイシンA2、抗生物質レスピノマイシンB、
抗生物質レスピノマイシンC及び抗生物質レスピノマイ
シンDを見出し、これらの抗生物質もヒト白血病細胞K
−562の増殖抑制効果を示し、さらに分化誘導活性を
有することを明らかにし、本発明を完成するに至った。
また、本発明者らは上記抗生物質レスピノマイシンが、
ファージに対しても抗ファージ活性を示すことを明らか
にし、本物質を含む医薬用組成物が抗ウイルス剤として
有用であることを見出し、本発明を完成するに至った。 (1) 抗生物質レスピノマイシン A2
【0006】
【化6】
【0007】性 状:黄色粉末 融 点:202℃以上(分解点) 分子式:C43H58O15N2 マススペクトル(SIMS) :m/z 843 (M+H)+ ,865
(M+Na)+ 比旋光度:〔α〕D 20=+213°(c=0.1,CHCl3) 紫外部吸収スペクトル(メタノール中); λMeOH max nm(E1% 1cm )=230(390.0), 265(310), 29
0(sh, 85), 400(sh,105), 415(120), 440(sh, 97.5), 赤外線吸収スペクトル(KBr);3450, 2950, 1670, 162
5, 1580, 1420, 1245, 1090, 1065, 1040, 940 cm-1 (2) 抗生物質レスピノマイシン B
【0008】
【化7】
【0009】性 状:黄色粉末 融 点:181℃以上(分解点) 分子式:C35H43O14N マススペクトル(SIMS) :m/z 702 (M+H)+ 比旋光度:〔α〕D 20=+207°(c=0.1,CHCl3) 紫外部吸収スペクトル(メタノール中); λMeOH max nm(E1% 1cm )=230(485), 262(320), 285
(s,115), 395(s, 110), 415(135), 435(s,110), 赤外線吸収スペクトル(KBr);3420, 2940, 1670, 162
5, 1580, 1415, 1245, 1080, 960 cm-1 (3) 抗生物質レスピノマシイン C
【0010】
【化8】
【0011】性 状:黄色粉末 融 点:190℃以上(分解点) 分子式:C36H45O14N マススペクトル(SIMS) :m/z 754 (M+K)+ ,m/z
716 (M+H)+ 高分解能FAB-MS m/z 716.2952(M+H)+ (C36H46O
14N,716.2985) 比旋光度:〔α〕D 20=+187°(c=0.09,CHCl3) 紫外部吸収スペクトル(メタノール中); λMeOH max nm(E1% 1cm )=230(360), 265(235), 285
(sh,80), 400(sh, 90), 415(105), 440(sh,85), 赤外線吸収スペクトル(KBr);3340, 2940, 1670, 162
5, 1580, 1420, 1250, 1085, 960 cm-1 (4) 抗生物質レスピノマイシン D
【0012】
【化9】
【0013】性 状:黄色粉末 融 点:210℃以上(分解点) 分子式:C51H70O22N2 マススペクトル(SIMS) :m/z 1063(M+H)+ 高分解能FAB-MS m/z 1063.4491(M+H)+ (C51H71O22
N2,1063.4483) 比旋光度:〔α〕D 20=+191°(c=0.31,CHCl3) 紫外部吸収スペクトル(メタノール中); λMeOH max nm(E1% 1cm )=230(261.5), 265(161.5),
285(sh,61.5), 415(71), 440(sh,57.7), 赤外線吸収スペクトル(KBr);3420, 2940, 1660, 163
0, 1580, 1545, 1420, 1250, 1090, 960 cm-1 上記抗生物質レスピノマイシンA2 、抗生物質レスピノ
マイシンB、抗生物質レスピノマイシンC及び抗生物質
レスピノマイシンDは、長野県諏訪市より採取された土
壌から分離されたストレプトミセスRK−483株(St
reptomyces sp.RK-483株) を培養して得た培養物からそ
れぞれ単離された。該ストレプトミセスRK−483株
は平成2年7月24日付で工業技術院微生物工業技術研
究所に寄託され、その寄託番号は微工研菌寄第11622 号
(FERMP-11622)である。
【0014】ストレプトミセスRK−483株の菌学的
性質は以下の通りである。 1.形態学的特徴1 /10イースト−スターチ寒天培地で、28℃、24日間
培養し、単純乾燥法により走査電子顕微鏡用サンプルを
調製して観察した。胞子連鎖の形態は直線から波状の間
であり、胞子の数は連鎖毎に50胞子以上であり、胞子
表面は平滑であった。 2.化学分類学的性状 (1) 細胞壁ジアミノピメリン酸の光学異性体 凍結乾燥菌体を6N塩酸で20時間加水分解し、塩酸除
去後セルロースTLCを用いて分析したところ、ジアミ
ノピメリン酸はLL型であった。これは細胞壁タイプI
型に属する。 (2) メナキノン組成 凍結乾燥菌体からクロロホルム−メタノール(2:1,
vol/vol)で抽出し、アセトン可溶成分をシリカゲルTL
Cで調製したものをメナキノン試料とした。分析はHP
LCと質量分析計を用いて行ったところ、メナキノンは
MK−9(H8)とMK−9(H6) を主成分とした。
【0015】3.培養性状 シーリングとゴットリープ(1966年)の方法(IS
P法)を用いて、菌体の培養性状を調べた。色調はカラ
ーハーモニーマニュアル第4版(Container 社)によっ
た。 (1) イーストエキス・モルトエキス寒天培地(ISP no.
2) 発 育:豊 富 基生菌糸色調:金茶(3pi) 気 菌 糸 :豊 富 気菌糸色調 :暗灰(5in) 可溶性色素 :無
【0016】 (2) オートミール寒天培地(ISP no.3) 発 育:豊 富 基生菌糸色調:金茶(3pg) 気 菌 糸 :豊 富 気菌糸色調 :灰(5fe) 可溶性色素 :茶 (3) 無機塩−スターチ寒天培地 発 育:豊 富 基生菌糸色調:金茶(3pg) 気 菌 糸 :豊 富 気菌糸色調 :灰(5fe) 可溶性色素 :茶 (4) グリセロール・アスパラギン寒天培地(ISP no.5) 発 育:豊 富 基生菌糸色調:竹色(2gc) 気 菌 糸 :豊 富 気菌糸色調 :灰(5fe) 可溶性色素 :無
【0017】(5) イーストエキス・スターチ寒天培地 発 育:豊 富 基生菌糸色調:丁子茶(3ni) 気 菌 糸 :豊 富 気菌糸色調 :灰(5fe) 可溶性色素 :茶 (6) グルコース・アスパラギン寒天培地 発 育:良 好 基生菌糸色調:無 色 気 菌 糸 :無 可溶性色素 :無
【0018】(7) 蔗糖硝酸塩寒天培地(Waksman's no.
1) 発 育:良 好 基生菌糸色調:DKラッゲージタン(4pg) 気 菌 糸 :良 好 気菌糸色調 :パーチメント(1cb) 可溶性色素 :茶 (8) V8ジュース寒天培地 発 育:豊 富 基生菌糸色調:金 茶(3pg) 気 菌 糸 :豊 富 気菌糸色調 :暗 灰(5ih) 可溶性色素 :無 (9) ポテト−ニンジン寒天培地 発 育:良 好 基生菌糸色調:メイプル(4le) 気 菌 糸 :良 好 気菌糸色調 :5cb 可溶性色素 :茶 気菌糸の色は灰色系を示し、基生菌糸には特徴的な色素
は蓄積されなかった。また、茶系の可溶性色素を産生し
た。
【0019】4.生理生化学的性状 (1) メラノイド色素の形成 下記の培地上にストレプトミセスRK−483株を27
℃、20日間培養した後に、寒天培地中に分泌されるメ
ラノイド色素の有無を観察した。+は色素生産陽性で、
−は陰性を示す。 ヘプトン−イーストエキス−鉄寒天培地(ISP培地6) ++ チロシン寒天培地(ISP培地7) ± トリプトン−イーストエキス寒天培地(ISP培地1) ±
【0020】(2) 炭素源の利用性 下記の糖あるいは炭水化物を唯一の炭素源とするプリド
ハムゴットリーブ培地(以下に組成を示す)上にRK−
483株を27℃、20日間培養し、生育の有無をもっ
て炭素源を利用性とした。 プリドハムゴットリーブ培地の組成 硫酸アンモニウム 2.64g リン酸第1カリウム 2.38g リン酸第2カリウム・3H2O 5.65g 硫酸マグネシウム・7H2O 1 g 下記の微量塩液 1 ml 硫酸銅・5H2O 0.64g 硫酸鉄・7H2O 0.11g 塩化マンガン・4H2O 0.79g 硫酸亜鉛・7H2O 0.15g 水 100ml 組成の全体1リットルとしてpH6.8〜7 +は生育良好で炭素源の利用性有、−は生育不能で炭素
源の利用性無を示す。
【0021】 D−グルコース ++ L−アラビノース ++ D−キシロース + L−イノシトール − D−マニトール − D−フルクトース ++ ラムノース − ショ糖 ++ ラフィノース ++
【0022】以上の菌学的性質からRK−483株をス
トレプトミセス属に属する菌であると同定した。抗生物
質レスピノマイシンA2 、抗生物質レスピノマイシン
B、抗生物質レスピノマイシンC及び抗生物質レスピノ
マイシンDからなる群から選ばれる抗生物質レスピノマ
イシンは、上記菌株を栄養源含有培地に接種し、好気的
に培養することにより製造される。抗生物質レスピノマ
イシンの生産菌としては上記菌株に限らず、ストレプト
ミセス属に属し、該抗生物質レスピノマシンを生産する
能力を有するものであれば、すべてこの生産に使用でき
る。上記微生物の培養方法は、原則的には一般微生物の
培養法に準ずるが、通常は液体培養による振盪培養法、
通気攪拌培養法などの好気的条件下で行なうのが好適で
ある。培養に用いられる培地としては、ストレプトミセ
ス属に属する微生物が利用できる栄養源を含有する培地
であればよく、各種の合成培地、半合成培地天然培地な
どいずれも用いることができる。培地組成としては炭素
源としてのグルコース、シュークロース、フルクトー
ス、グリセリン、デキストリン、澱粉、糖蜜、コーン・
スティーブ・リカー、有機酸などを単独または組み合せ
て用い得る。窒素源としてはファーマメディア、ペプト
ン、肉エキス、酵母エキス、大豆粉、カゼイン、アミノ
酸、尿素などの有機窒素源、硝酸ナトリウム、硫酸アン
モニウムなどの無機窒素源を単独または組み合せて用い
得る。
【0023】ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム
塩、リン酸塩、その他の重金属塩なども必要に応じて添
加使用され得る。なお、培養中発泡の著しいときは、ア
デカノール(登録商標)、シリコーンオイル等の公知の
各種消泡剤を適宜培地中に添加することもできるが、そ
の添加は目的物質の生産に悪影響を与えないものとする
必要がある。例えば0.5%以下で使用することが好まし
い。培地のpHは使用する微生物の至適pH範囲、通常中性
付近とするのが望ましい。培地温度は、微生物が良好に
生育する温度、通常2.0〜40℃、とくに好ましくは2
7℃付近に保つのがよい。培養時間は液体培養の場合、
一般に1〜5日間程度、好ましくは約72時間である。
上記培養によっで目的とする抗生物質レスピノマイシン
が生成蓄積される。もちろん上述した各種の培養条件
は、使用微生物の種類や特性、外部条件などに応じて適
宜変更でき、またそれぞれに応じて上記範囲から最適条
件を選択、調節される。
【0024】上記培養により生産される抗生物質レスピ
ノマイシンの単離は、該抗生物質の蓄積が最大になる時
に、発酵生産物を採取する一般的方法に準じて、抗生物
質レスピノマイシンと不純物との溶解度差を利用する手
段、吸着親和力の差を利用する手段、分子量の差を利用
する手段のいずれによっても実施でき、それぞれの方法
は単独、または適宜組合せて、あるいは反復して使用さ
れる。具体的には、抗生物質レスピノマイシンは、培養
濾液と菌体に存在するので、その培養濾液または菌体の
アセトン抽出物を遠心液々分配クロマトグラフィー、各
種のゲル濾過クロマトグラフィー、吸着クロマトグラフ
ィー、分取薄層クロマトグラフィー等を組み合わせて精
製すると、抗生物質レスピノマイシンの精製黄色粉末を
得ることができる。この様にして得た抗生物質レスピノ
マイシンからさらに抗生物質レスピノマイシンA2 、抗
生物質レスピノマイシンB、抗生物質レスピノマイシン
C及び抗生物質レスピノマイシンDを分離してもよい。
以下に製造例により本発明の抗生物質レスピノマイシン
の製造法の一例を示すが、本発明の抗生物質レスピノマ
イシンの製造法はこれらの製造例に限定されない。
【0025】
【製造例】
製造例1:抗生物質レスピノマイシンA1 、抗生物質レ
スピノマイシンB、抗生物質レスピノマイシンC及び抗
生物質レスピノマイシンDの製造 グルコース2%、可溶性デンプン1%、肉エキス0.1
%、乾燥酵母0.4%、大豆粉2.5%、食塩0.2%、リン
酸二カリウム0.005%の組成からなる36リットルの
培地に、ストレプトミセスRK−483株を接種し、2
7℃で72時間の通気攪拌培養した。この全培養液の濾
液をpH2に調整し、等量の酢酸エチルで抽出した。その
水量をpH7.5に調整し、再び等量の酢酸エチルで抽出
し、酢酸エチル層を減圧濃縮して粗活性物質を得た。粗
活性物質を遠心液々分配クロマトグラフィーに付し、酢
酸エチル:メタノール:0.01モル酢酸アンモニウムバ
ッハー(pH7.5)4:1:5の上層を固定層、下層を移
動層として逆層分配の下降法で溶出することにより抗生
物質レスピノマイシンA1,Dを主成分とする活性画分を得
た。次にクロロホルム:メタノール:水:酢酸=80:20:
6:14の溶媒系でシリカゲルカラムクロマトグラフィーを
行い、最終的には分取用シリカゲル薄層クロマトグラフ
ィーでクロロホルム:メタノール:水:酢酸80:2
0:6:14を展開溶媒としてかき取りを行い、同溶媒
系で溶出した。抗生物質レスピノマイシンA1,B,C及びD
を含む各画分を減圧濃縮し、残った水溶液をpH7.5に調
整した後、等量の酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層
を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮乾固し、
黄色粉末として抗生物質レスピノマイシンA176.85mg 、
抗生物質レスピノマイシンB 6.35mg、抗生物質レスピノ
マイシンC 12.75mg 及び抗生物質レスピノマイシンD 8
8.75mg が得られた。 製造例2:抗生物質レスピノマイシンA1 及び抗生物質
レスピノマイシンA2 の製造 グルコース2%、可溶性デンプン1%、肉エキス0.1
%、乾燥酵母0.4%、大豆粉2.5%、食塩0.2%、リン
酸二カリウム0.005%の組成からなる培地に、ストレ
プトミセスRK−483株を接種し、27℃で72時間
の通気攪拌培養し、390 リットルの培養液を得た。この
全培養液を濾過し、濾液と菌体とを得た。菌体は80%ア
セトンにて抽出し、廃菌体を濾過後、流出液を減圧濃縮
し、アセトンを除去した。得られた水層を最初の濾液と
合わせ、pH2 に調整し、酢酸エチルで洗浄した。水層部
をpH 7.5に調整した後、クロロホルムで抽出した。水洗
後、濃縮して得られた黒褐色の水溶液をさらにクロロホ
ルムで抽出し、無水硫酸ナトリウムで脱水濃縮乾固して
抗生物質レスピノマイシンA2 を主成分とする15g の黄
褐色の粉末を得た。粗活性物質をクロロホルム: メタノ
ール: 水: 酢酸=80:20:6:14の溶媒系を用いてシリカゲ
ルクロマトグラフィーを二回行うことにより、4.4gの抗
生物質レスピノマイシンA2 と472mg の抗生物質レスピ
ノマイシンA1が得られた。
【0026】上記抗生物質レスピノマイシンA2 、抗生
物質レスピノマイシンB、抗生物質レスピノマイシンC
及び抗生物質レスピノマイシンDは細胞増殖抑制効果な
らびに抗ファージ作用を示すので、これらの抗生物質レ
スピノマイシンを含有する組成物は制癌剤及び抗ウイル
ス剤として有用である。 試験例1:抗生物質レスピノマイシンの癌細胞増殖阻害
試験及び分化誘導活性試験 ヒト白血病細胞K−562をRPMI 1640培地
(10%の牛胎仔血清を含む)で培養した。これに一連
の希釈系列の抗生物質レスピノマイシンを加え、96時
間培養したのち、倒立顕微鏡下で生育を観察した後、ベ
ンジジン溶液を加え分化誘導活性を観察した。その結果
を表に示す。
【0027】
【表1】 ヒト白血病細胞K−562に対する効果 分化誘導濃度と分化率 癌細胞増殖阻害 (MIC) 抗生物質レスピノマイシン A1 1.58μg/ml(48 %) 50μg/ml 抗生物質レスピノマイシン A2 5.0 μg/ml(76.3 %) 50μg/ml 抗生物質レスピノマイシン B 5.0 μg/ml(10 %以下) 15.8μg/ml 抗生物質レスピノマイシン C 5.0 μg/ml(10 %以下) 15.8μg/ml 抗生物質レスピノマイシン D 0.5 μg/ml(10 %以下) 1.58μg/ml 抗生物質レスピノマイシンA1、A2はヒト白血病細胞K-56
2 を赤血球系へ分化誘導する活性を有しており、特に抗
生物質レスピノマイシンA2は分化誘導率が高く、優れた
活性を示した。抗生物質レスピノマイシンD は強い癌細
胞増殖阻害作用を示した。
【0028】試験例2 抗ウイルス試験 水1リットル当たり普通ブイヨン(栄研製)18g、酵
母エキス(ディフコ社製)2g、寒天15gを成分とす
る寒天平板を作成し、その上層にストレプトミセス・グ
リセウスとファージBを同一培地にて重層した。検定試
料を8mm径のペーパーディスクに40μg含浸させて寒
天平板上に置いた。28℃で48時間インキュベートした後
に、ペーパーディスクの周辺にファージプラークを阻止
した放線菌の成育の有無を判定した。ダウノマイシン
(40μg/ディスク)は、抗菌活性、抗ファージ活性
共に強く+++ で表した。対照としてメタノール液に浸し
たペーパーディスクでは抗菌抗ファージ活性共に無く−
で表した。+++ と−の間を抗菌活性あるいは抗ファージ
活性の強さに応じて+++±で表示した。
【0029】
【表2】 Streptomycesu griseus(ストレプトミセス・グリセウス) に対する抗ファージ活 性 抗菌活性 抗ファージ活性 抗生物質レスピノマイシン A1 + − 抗生物質レスピノマイシン A2 +++ + 抗生物質レスピノマイシン B + − 抗生物質レスピノマイシン C ± − 抗生物質レスピノマイシン D ++ +++
【0030】抗生物質レスピノマイシンDは強い抗ファ
ージ活性を示した。上記抗生物質レスピノマイシン
2 、抗生物質レスピノマイシンB、抗生物質レスピノ
マイシンC及び抗生物質レスピノマイシンDは、常法に
より錠剤、散剤、カプセル剤、注射剤、吸入剤または外
用剤等の製剤とすることができ、経口または非経口投与
により制癌剤若しくは抗ウイルス剤として臨床に供され
る。投与量は治療すべき症状及び投与方法により左右さ
れるが、制癌剤として投与する場合には成人1日あたり
1mg〜1,000mgであり、抗ウイルス剤として投与する
場合には成人1日あたり10mg〜1,000mgである。制
癌剤又は抗ウイルス剤において、二以上の抗生物質レス
ピノマイシンを組み合わせて使用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】抗生物質レスピノマイシンA2 の赤外線吸収ス
ペクトル(KBr)である。
【図2】抗生物質レスピノマイシンA2 の紫外線吸収ス
ペクトルである。
【図3】抗生物質レスピノマイシンA2 の400MHZ 1H
-NMRスペクトル(CDCl3 中) である。
【図4】抗生物質レスピノマイシンBの赤外線吸収スペ
クトル(KBr)である。
【図5】抗生物質レスピノマイシンBの紫外線吸収スペ
クトルである。
【図6】抗生物質レスピノマイシンBの400MHZ 1H-N
MRスペクトル(CDCl3 中) である。
【図7】抗生物質レスピノマイシンCの赤外線吸収スペ
クトル(KBr)である。
【図8】抗生物質レスピノマイシンCの紫外線吸収スペ
クトルである。
【図9】抗生物質レスピノマイシンCの400MHZ 1H-N
MRスペクトル(CDCl3 中) である。
【図10】抗生物質レスピノマイシンDの赤外線吸収ス
ペクトル(KBr)である。
【図11】抗生物質レスピノマイシンDの紫外線吸収ス
ペクトルである。
【図12】抗生物質レスピノマイシンDの400MHZ 1H
-NMRスペクトル(CDCl3 中) である。
【図13】抗生物質レスピノマイシンBの400MHZ 13
C-NMR スペクトル(CDCl3 中) である。
【図14】抗生物質レスピノマイシンCの400MHZ 13
C-NMR スペクトル(CDCl3 中) である。
【図15】抗生物質レスピノマイシンDの400MHZ 13
C-NMR スペクトル(CDCl3 中) である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI //(C12P 19/44 C12R 1:465) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07H 17/04 C12P 19/44 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式Iで表される抗生物質レスピノ
    マイシンA2。 【化1】
  2. 【請求項2】 下記式IIで表される抗生物質レスピノ
    マイシンB。 【化2】
  3. 【請求項3】 下記式IIIで表される抗生物質レスピ
    ノマイシンC。 【化3】
  4. 【請求項4】 下記式IVで表される抗生物質レスピノ
    マイシンD。 【化4】
  5. 【請求項5】 ストレプトミセス(Streptomyces)属
    に属し、請求項1に記載の抗生物質レスピノマイシンA
    2、請求項2に記載の抗生物質レスピノマイシンB、請
    求項3に記載の抗生物質レスピノマイシンC及び請求項
    4に記載の抗生物質レスピノマイシンDからなる群から
    選択される抗生物質レスピノマイシンの生産菌を培養
    し、その培養物から抗生物質レスピノマイシンA2、抗
    生物質レスピノマイシンB、抗生物質レスピノマイシン
    C及び抗生物質レスピノマイシンDを分離採取すること
    を特徴とする抗生物質レスピノマイシンの製造方法。
  6. 【請求項6】 抗生物質レスピノマイシン生産菌が、
    ストレプトミセスRK−483株(Streptomyces sp. R
    K-483)である請求項5記載の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1に記載の抗生物質レスピノマ
    イシンA2、請求項2に記載の抗生物質レスピノマイシ
    ンB、請求項3に記載の抗生物質レスピノマイシンC及
    び請求項4に記載の抗生物質レスピノマイシンDからな
    る群から選択される1以上の抗生物質レスピノマイシン
    を有効成分として含有することを特徴とする抗腫瘍剤。
  8. 【請求項8】 請求項1に記載の抗生物質レスピノマ
    イシンA2及び請求項4に記載の抗生物質レスピノマイ
    シンDからなる群から選択される1以上の抗生物質レス
    ピノマイシンを有効成分として含有することを特徴とす
    る抗ウイルス剤。
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