JP2599605B2 - カルボン酸エステルの製造法 - Google Patents

カルボン酸エステルの製造法

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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、カルボン酸エステルの製造法に関する。さ
らに詳しくは、本発明はカルボキシルエステラーゼを触
媒として、ヒドロキシ化合物と酸無水物とを有機溶媒中
で反応させることを特徴とするカルボン酸エステルの製
造法に関する。
従来の技術 従来知られているカルボン酸エステルの合成反応は、
有機化合的合成反応と酵素反応とに大別される。
このうち有機科学的反応としては、硫酸等を用いてヒ
ドロキシ化合物(RaOH:アシル基受容体)とカルボン酸
(RbCOOH:アシル基供与体)とを縮合させる脱水反応 (RaOH+RbCOOH→RaO−CORb+H2O)、あるいはヒドロキ
シ化合物(RaOH:アシル基受容体)にエステル(RbCO−O
Rc:アシル基供与体)を反応させ、ヒドロキシ化合物に
エステルのアシル基を結合させる科学的エステル交換反
応(RaOH+RbCO−ORc→RaO−CORb+RcOH)などが知られ
ている。
一方酵素反応としては、ヒドロキシ化合物とカルボン
酸とを基質とし、エステル加水分解反応の逆反応を利用
するエステル合成反応、あるいはヒドロキシ化合物とエ
ステルとを基質とするエステル交換反応などが知られて
いる。
発明が解決しようとする問題点 しかしながら、有機化学的合成反応には、カルボン
酸,エステル等のアシル基が結合するヒドロキシル基の
位置に特異性がなく、アシル基が結合するヒドロキシル
基を選択してエステルを製造する場合、必ずしも有用な
方法ではない。
例えば、豚赤痢感染症に対する予防治療薬として有効
であると報告され「山崎俊幸,末永格,生川憲明;第97
回日本獣医学会要旨集,V−58(1984)、生川憲明,中口
武,武田継之助;第97回日本獣医学会要旨集,V−59(19
84)]、物理化学的生物学的性質から明らかにされてい
る[ザ・ジャーナル・オブ・アンティビオティクス(Th
e Jornal of Antibiotics)第24巻,1頁(1971)、同誌
第26巻、647頁(1973)、ケミカル・アンド・ファーマ
シューティカル・ビュレティン(Chemical and Pharmac
eutical Bulletin)第22巻,99頁(1974)、同誌第23巻,
2201頁(1975)]ランカシジンA(式I)をランカシジ
ンC(式II)から合成する場合、有機化学的合成反応で
は、ランカシジンCの8位と14位に存在するヒドロキシ
ル基のうち、14位のヒドロキシル基のみを選択的にアセ
チル化することができないので適当な方法とは言えな
い。
一方酵素反応の場合、アシル基が結合するヒドロキシ
ル基の特異性があり、有用物質を選択的に合成する方法
として優れていると考えられる。しかしながら酵素によ
るエステル交換反応は、アシル基供与体として用いられ
るエステルが、接触に用いられるカルボキシルエステラ
ーゼにより加水分解を受けたり、目的とするエステルを
合成する反応と同時に逆反応も進行するために、多量の
アシル基供与体を必要とする。さらに、エステル交換反
応は、平衡可逆反応である性質上、アシル基受容体が完
全目的をエステルに転換することは望み得ない。また酵
素によるエステル加水分解反応の逆反応を利用するエス
テル合成反応は、完全な無水の状態で反応を行う必要が
ある等の制約があるうえに、エステルの収量は低く、実
用には供しがたい。
問題点を解決するための手段 上記した事情に鑑み、本発明者らは、アシル基が結合
するヒドロキシル基に特異性を有し、かつ少量のアシル
基供与体で高収率にエステルが得られる酵素反応を確立
すべく鋭意研究した結果、アシル基供与体に酸無水物を
使用し、有機用媒中で反応させと収量が意外にも向上す
ることを見い出し、これに基づいてさらに研究した結
果、本発明を完成した。
すなわち本発明は、カルボキシルエステラーゼを触媒
として用い、アシル基供与としての酸無水物とアシル基
受容体としてのヒドロキシ化合物とを有機用媒中で酵素
反応させることを特徴とするカルボン酸エステルの製造
法である。
本発明においてカルボン酸エステルが生成される際
に、触媒として用いられるカルボキシエステラーゼ(EC
3.1.1)の起源としては、放線菌を含む細菌、真菌等の
微生物の他、動物,植物等あらゆる生物に求めることが
でき、例えば動物肝臓エステラーゼ[メゾッド・イン・
エンザイモロジー(Method in Enzymology)第1巻,657
頁(1975)],該文献に記載の方法で調製されたシグマ
社(米国)製豚肝臓エステラーゼ,ストレプトミセス・
ロチエイ・バール・ボルビリス(Streptomyces rochei
var.volubilis)由来のT−2636エステラーゼ[ザ・ジ
ャーナル・オブ・アンティビオティクス,第24巻,1頁
(1971)]などが挙げられる。
当該カルボキシルエステラーゼは、天然のものを用い
てもよく、精製したものを用いてもよい。また精製の度
合いはいかなる程度のものでもよく、例えば蛋白質のみ
を抽出した粗酵素液,さらに精製した単一蛋白質標品な
どが挙げられる。
また本発明においては、反応を有利に遂行させるため
に、化学的に改質して本発明で用いられる有機溶媒に可
溶化せしめたカルボキシルエステラーゼを用いてもよ
い。カルボキシエステラーゼを化学的に改質する方法と
しては、例えば2,4−ビス(O−メトキシ−ポリエチレ
ングリコール)−6−クロロ−S−トリアジン(以下、
活性化PEG2と省略することがある。)を酵素蛋白質に接
触させ、ポリエチレングリコールを結合させた修飾蛋白
質を調製する方法[バイオケミカル・アンド・バイオフ
ィジカル・リサーチ・コミュニケーションズ(Biochemi
cal and Biophysical Research Communications)第122
巻,第2号,845頁(1984)]などが挙げられる。
上記したように、本発明におけるカルボキシルエステ
ラーゼは、有機溶媒に可溶化せしめたもの、可溶化せし
めていないもののいずれのものを用いてもよいが、有機
溶媒に可溶化せしめたカルボキシルエステラーゼを用い
るのが好ましい。
本発明におけるカルボキシルエステラーゼは、通常あ
らかじめ水性溶媒(例、緩衝液など)に溶解させて用い
るが、有機溶倍に可溶化せしめたカルボキシルエステラ
ーゼの場合には、少量の水を含有する有機溶倍に溶解さ
せて用いることもできる。またカルボキシルエステラー
ゼは、後述の実施例5に示すようにカルボキシルエステ
レラーゼ生産菌の発酵ろ液等をそのまま用いることも可
能である。
さらに、カルボキシルエステラーゼは固定化酵素とし
て用いることもできる。この場合、水相をほとんど形成
しない状態で反応を遂行させることが望ましく、例え
ば、有機溶媒に可溶化せしめたカルボキシルエステラー
ゼをカラム上の固定化酵素として用い、これにヒドロキ
シ化合物と酵無水物とを含有する有機溶媒を通液して、
反応させる方法が挙げられる。
本発明で用いられる酸無水物としては、通常の有機合
成反応(例、ペプチド合成反応,抗生物質合成反応な
ど)に用いられ、分子量が350以下(好ましくは230以
下)で、有機溶媒に可溶であるものが挙げられ、例え
ば、同一のカルボン酸2分子が水1分子を失って縮合し
たもの(例、無水酢酸,無水プロピオン酸,無水n−酪
酸,無水イソ酪酸,無水n−吉草酸,無水n−カプロン
酸,無水安息香酸など)、異なるカルボン酸2分子が水
1分子を失って縮合したもの(例、無水酢酸プロピオン
酸,無水プロピオン酸酪酸など)が挙げられるが、なか
でも同一のカルボン酸2分子が水1分子を失って縮合し
たものを用いるのが好ましい。
本発明において酸無水物はアシル基供与体として用い
られるが、供与するアシル基としては例えば、モノカル
ボン酸由来のもの(例、アセチル基,プロピオニル基な
ど)、脂肪族不飽和カルボン酸由来のもの(例、アクリ
ロイル基,プロピオロイル基など)、炭素環式カルボン
酸由来のもの(例、ベンゾイル基,ナフトイル基など)
などが挙げられる。
本発明で用いられる酸無水物としては、下記式IIIで
示されるものが好ましい。
[式中、RおよびR1はそれぞれ水素,アルキル基,アル
ケニル基,アルキニル基,アリール基またはアラルキル
基を示す。] 上記式IIIにおいて、アルキル基としては、炭素数が
1〜10の直鎖状または分枝状のアルキル基(例、メチ
ル,エチル,n−プロピル,イソプロピル,n−ブチル,t−
ブチル,n−ペンチル,n−ヘキシル,オクチル,ノニル,
デシルなど),5〜10員環の環状アルキル基(例、シクロ
ペンチル,シクロヘキシル,シクロオクチル,シクロデ
シルなど)が好ましく、アルケニル基としては炭素数が
2〜10の直鎖状または分枝状のアルケニル基(例、ビニ
ル,アリル,ブタジエニル,ヘキサジエニル,デセニル
など),5〜10員環の環状アルケニル基(例、シクロペン
テニル,シクロヘキセニル,シクロオクテニルなど)が
好ましく、アルキニル基としては、炭素数が2〜10の直
鎖状または分枝状のアルキニル基(例、エチニル,プロ
ピニル,ペンチニル,デシニルなど)が好ましく、アリ
ール基としては炭素数が6〜12のアリル基(例、フェニ
ル,ナフチル,ビフェニリルなど)が好ましく、アラル
キル基としては、炭素数が7〜10のアラルキル基(例、
ベンジル,フェネチル,フェナシルなど)が好ましい。
なかでも、RとR1が同一であるものが好ましく、とり
わけR,R1がともにアルキル基(好ましくは、炭素数が1
〜5のアルキル基)またはアリール基(好ましくは、フ
ェニル)であるものがさらに好ましい。
本発明で用いられるヒドロキシ化合物は、炭素に結合
したヒドロキシル基を1〜10個(好ましくは、1〜5
個)含む有機化合物であり、分子量が1,500以下(好ま
しくは、900以下)で、有機溶媒に可溶であるものが挙
げられ、例えばアルコール類(例、メタノール,エタノ
ール,n−プロパノール,イソプロパノール,n−ブタノー
ル等の一価アルコール、エチレングリコール,1,4−ブタ
ンジオール等の二価アルコール、グリセリン等の三価ア
ルコールなど)、フェノール類(例、フェノール,クレ
ゾール,ベンゼントリオール,ヒドロキノンなど)、複
素環式化合物(例、8−キノリノール,ヒドロキシピペ
リジンなど)、抗生物質類(例、テトラサイクリン類,
ロイコマイシンA1,ランカシジンC,クロラムフェニコー
ル,セファロスポリン,マリドマイシン,エリスロマイ
シンなど)、生理活性物質(フィブロスタチンE,Fな
ど)などを挙げることができ、なかでもアルコール類,
抗生物質類が好ましく、とりわけ低級(C2-4)アルコー
ル,ランカシジンC,マリドマイシンが好ましい。
本発明で用いられるヒドロキシ化合物は、下記式IVで
示されるのが好ましい。
R2OH IV [式中、R2は有機残基を示す。] 上記式IVにおける有機残基は、分子量が1,000以下の
有機残基であり、例えばアルキル基,アルケニル基,ア
ルキニル基,アリール基,アラルキル基,複素環基など
が挙げられる。
上記式IVにおいて、アルキル基としては炭素数が1〜
30の直鎖状または分枝状のアルキル基(例、メチル,エ
チル,n−プロピル,イソプロピル,n−ブチル,t−ブチ
ル,n−ペンチル,n−ヘキシル,オクチル,ノニル,ドデ
シル,ウンデシル,ヘニコシルなど),5〜20員環のシク
ロアルキル基(例、シクロペンチル,シクロヘキシル,
シクロオクチル,シクロデシル,アダマンチルなど)が
好ましく、アルケニル基としては炭素数が2〜30の直鎖
状または分枝状のアルケニル基(例、ビニル,アリル,
ブタジエニル,ヘキサジエニル,ウンデセニルなど),5
〜20員環のシクロアルケニル基(例、シクロペンテニ
ル,シクロヘキセニル,シクロオクテニルなど)が好ま
しく、アルキニル基としては炭素数が2〜30のアルキニ
ル基(例、エチニル,プロピニル,ペンチニル,デシニ
ル,ウンデシニルなど)が好ましく、アリール基として
は炭素数が6〜14のアリール基(例、フェニル,ナフチ
ル,アントラニル,ビフェニリルなど)が好ましく、ア
ラルキル基としては炭素数が7〜19のアラルキル基
(例、ベンジル,フェネチル,フェナシル,トリチルな
ど)が好ましく、複素環基としては1〜5個の窒素原
子,1〜5個の硫黄原子または/および1〜5個の酸素原
子を含む5〜20員環の複素環基が好ましく、該複素環は
5〜8員環の脂肪式炭化水素(例、シクロペンタン,シ
クロオクタンなど),6〜14員環の芳香族炭化水素(例、
ベンゼン,アントラセンなど),4〜8員環の複素環
(例、アゼチジン,チアシクロヘキサンなど)などと縮
合していてもよい。
上記式IVにおけるアルキル基,アルケニル基,アルキ
ニル基,アリール基,アラルキル基は置換基を有しても
よく、例えばヒドロキシル,アルコキシ,(例、メトキ
シ,エトキシ,プロポキシ,t−ブトキシなど),ニト
ロ,置換されていてもよいアミノ(例、アシル化された
アミノ,保護されたアミノなど),置換されていてもよ
いスルホ(例、メチルチオ,エチルチオ,イソプロピル
チオなど),複素環(例、ピリジル,チエニル,ベンゾ
チエニル,キノリルなど)などの置換基が挙げられる。
上記式IVにおける複素環基は置換基を有していてもよ
く、例えば上記式IVにおけるアルキル基,アルケニル
基,アルキニル基,アリール基,アラルキル基やヒドロ
キシル,アルコキシ(例、メトキシ,エトキシ,n−プロ
ポキシ,t−ブトキシなど),ニトロ,置換されていても
よいアミノ(例、アシル化されたアミノ,保護されたア
ミノなど),置換されていてもよいスルホ(例、メチル
チオ,エチルチオ,n−プロピルチオなど)などの置換基
が挙げられる。
ランカシジンCを用いる場合、有機溶媒に溶解させた
ものを用いてもよく、また後述の実施例5に示すように
発酵ろ液をそのまま用いることも可能である。
本発明においては、ヒドロキシ化合物1重量モルに対
して、1〜100重量モル好ましくは2〜20重量モルの酸
無水物が用いられる。
本発明で用いられ有機溶媒としては、pHが約3〜10の
もので、反応条件下でカルボキシルエステラーゼを失活
させないものであればいずれでもよいが、例えば鎖式炭
化水素類(例、n−ヘキサン,n−ヘプタン,n−ペンタ
ン,イソヘキサン,塩化メチレン,クロロホルム,四塩
化炭素,塩化エチレン,塩化エチリデン,塩化ビニリデ
ン,塩化ブチル,塩化アミル,塩化アリル,臭化エチレ
ン,エチレンクロルブロミド,フルオロトリクロルメタ
ンなど)、環式炭化水素類(例、シクロヘキサン,メチ
ルヘキサン,デカリン,ベンゼン,トルエン,キシレ
ン,エチルベンゼン,テトラリン,クロルベンゼン,O−
ジクロルベンゼン,ブロムベンゼン,O−クロルトルエ
ン,α−クロルナフタリンなど)、エーテル類(例、エ
チルエーテル,ジクロルエチルエーテル,メチルセロソ
ルブなど)、アセタール類(例、メチラール,アセトア
ルデヒドジエチルアセタールなど)、複素環式化合物
(例、フラン,フルフラール,2−メチルフラン,テトラ
ヒドロピラン,1,2−プロピレンオキシド,エピクロルヒ
ドリン,1,4−ジオキサン,ピリジン,モルホリンな
ど)、ケトン類(例、メチルエチルケトン,メチル−n
−プロピルケトン,メチル−n−ブチルケトン,メチル
イソプチルケトン,メチル−n−アミルケトン,ジエチ
ルケトン,エチル−n−ブチルケトン,ジアセトンアル
コール,メシチルオキシド,シクロヘキサノン,メチル
シクロヘキサノン,アセトフェノン,アセトニルアセト
ンなど)、エステル類(例、ギ酸メチル,ギ酸エチル,
酢酸メチル,酢酸エチル,プロピオン酸メチル,酪酸メ
チル,アセト酢酸エチル,安息香酸メチル,サリチル酸
メチル,アビエチン酸エチル,シュウ酸ジエチル,マロ
ン酸ジエチル,フタル酸ジエチル,アジピン酸ジオクチ
ルなど)、リン酸エステル類(例、リン酸トリエチルな
ど)、炭酸エステル類(例、炭酸ジエチルなど)、アミ
ン類(例、トリメチルアミンなど)、アミド類(例、ホ
ルムアミド,N,N−ジメチルホルムアミドなど)、ニトリ
ル類(例、アセトニトリルなど)、含硫化合物(例、二
硫化炭素,ジメチルスルホキシドなど)、石油留分
(例、石油エーテル,石油エーテル,石油ベンジン,リ
グロインなど)などを挙げることができるが、水と二層
形成しうるものが好ましく、なかでもケトン類,エステ
ル類が好ましく、とりわけメチレエチルケトン,メチル
−n−プロピルケトン,メチル−n−ブチルケトン,メ
チルイソブチルケトン,酢酸メチル,酢酸エチルが好ま
しい。
また本発明において、前述の酸無水物,ヒドロキシ化
合物は、有機溶媒の役割を兼ねて用いることもできる。
本発明の反応は、酸無水物,ヒドロキシ化合物を有機
溶媒中に含有させ、カルボキシルエステラーゼを加え、
充分混合しながら反応を行うことが好ましい。有機用溶
に可溶でないカルボキシルエステラーゼを用いる場合の
ように水を比較的多量に含む場合には、充分な混合を施
すことにより油中水型エマルジョンを形成させて、反応
を行うことが好ましい。一方、あ有機溶媒に可溶である
カルボキシルエステラーゼを用いる場合のように極く少
量の水を含む場合には、充分な混合を施すことにより水
を有機溶媒中に溶け込ませて、一相反応で反応を行うこ
ともできる。
反応温度およびpHは用いる酵素,基質,溶媒の種類に
より若干の差異はあるが、通常反応温度は約5〜90℃,
好ましくは約20〜70℃の範囲で、反応pHは約2〜10,望
ましくは約3〜9の範囲で反応を行うことが好ましい。
生成されるカルボン酸エステルを採取するには、通常
使用されるエステルの分離採取手段(例、ろ過,蒸留,
濃縮,クロマトグラフィー,再結晶など)を適宜適用で
きるが、最も簡単な方法として例えば蒸留による分別す
る方法を挙げることができる。また必要に応じて、シリ
カゲル,アルミナ等のカラムを用いるクロマトグラフィ
ーより生成化合物を分離し、常温で液状のものあるいは
沸点が比較的低いものについては蒸留により分別し、沸
点が高いものについては濃縮晶出させて採取する方法を
用いてもよい。
本発明のカルボン酸エステルの製造法によれば、アシ
ル基を選択的にヒドロキシル基と結合させることがえ
き、また反応がほとんど不可逆的に進行するため、少量
のアシル基供与体で高収率にカルボン酸エルテルを得る
ことができるので工業的に有利である。
実施例 以下に実施例および参考例を挙げて本発明をさらに具
体的に説明するが、これらの実施例は本発明の範囲をな
んら限定するものではない。
なお、特に規定しない場合には、%は重量/容量%を
示す。
参考例1 酵素の調製 グルコース3.0%,プロフロ(商品名,トレーダーオ
イル社製)1.0%,コーンスティープリカー3.5%,硫酸
マグネシウム0.02%,リン酸第2カリウム0.1%,大豆
油0.05%,炭酸カルシウム1.5%(百分率表示,重量/
容量)からなる培地500mlを、20%苛性ソーダ水溶液を
用いてpH7.0に調製したのち2容坂口フラスコに分注
し、綿栓をしてから滅菌した。これにストレプトミセス
・ロチェイ・バール・ボルビリス[IFO 12507][ATCC
−21250][特開昭59−183695号公報参照]の斜面培養
物を接種したのち、28℃で24時間復振盪培養機(83sp
m)上で培養した。50容発酵槽に上記の培地と同じ組
成の培地30を調製,減菌したのち、上記坂口フラスコ
培養物500mlを接種し、通気量1VVM(単位容量当りの毎
分の通気容量),撹拌回転数150rpmで24℃,24時間培養
して種培養物とした。200容発酵槽にグリセリン10
%,プロフロ(商品名,トレーダーオイル社製)2.0
%,コーンスティープリカー0.5%,ポリペプトン1.0
%,硫酸第1鉄0.1%,大豆油0.01%,β−シクロデキ
ストリン2.0%(百分率表示,重量/容量)からなる培
地100を調製し、20%苛性ソーダ水溶液を用いてpH7.0
に調製したのち、120℃,20分間の蒸気減菌した。これに
蒸気の種培養物5を移植し、通気量1VVM,撹拌回転数1
65rpm,温度24℃で96時間培養した。
かくして得られらた培養物60をとり、これに水20
とハイフロスーパーセル(ジョンズ・マンビル社製)2k
gを加えてろ過し、70のろ液を得た。このろ液10を6
0容器に採取し、エタノール40をこれに加え、撹拌
棒により充分に撹拌した。5℃にて12時間静置し、蛋白
質の沈澱を生ぜしめ、上清液をサイフォンにより除去し
て白濁沈澱物を得る。これを5℃、2,000×gの条件で
冷却遠心分離に供し、水分をできるだけ除去し、エタノ
ールを加えて洗浄を行う。同条件で遠心分離し、沈澱物
を集め、50mmHg,10℃,24時間の条件で真空乾燥を行い、
およそ200gの粉末を得た。こを500mlのトリスヒドロキ
シメチルアミメタン−塩酸緩衝液(pH7.4,0.05M)に懸
濁溶解させ、不溶部分を5℃,2,000×gの条件で遠心分
離して除去し、蛋白溶解液を得た。これに2のエタノ
ールを加えてよく混合し、ふたたび蛋白を沈澱させたの
ち5℃,24時間の条件で静置し、上清液をサイフォンに
より除去した。沈澱部分を5℃,2,000×gの条件で遠心
分離に供し、上清液部分を完全に除き、エタノールで洗
浄し、ふたたび同条件で遠心分離して沈澱物を採集し
た。これを50mmHg,10℃,24時間の条件で真空乾燥を行
い、およそ100gの蛋白の粉末を得た。
この粉末を300mlのトリスヒドロキシメチルアミノメ
タン−塩酸(pH7.4,0.05M)に溶解し、不溶部分を5℃,
2,000×gの条件で遠心分離して除去したのち、これを
口径200mm,長さ1500mmの円筒型カラムにセファデックス
G−50を充填してトリスヒドロキシメチルアミノメタン
−塩酸緩衝液(pH7.4,0.05M)で平衡兼したものに流し
込み、20ml/5分の流速で同緩衝得を通液してゲルろ過ロ
マトグラフィーを実施した。パラニトロフェニル酢酸を
用いてカルボキシルエステラーゼの活性を測定する方法
[ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー
(Journal of Biological Chemistry)第170巻,467頁
(1974)]によりカルボキシルエステラーゼ活性を測定
し、活性画分400mlを集め、これに2.4のエタノールを
加えて3容三角フラスコ中でスターラーを用いて混合
撹拌し、蛋白の沈澱を生ぜしめた。5℃,24時間の条件
で静置したのち、沈澱部分を5℃、2,000×gの条件で
遠心分離して採取し、さらに50mmHg,10℃,24時間の条件
で真空乾燥して、40gの蛋白の粉末を得た。これをトリ
スヒドロキシメチルアミノメタン−塩酸緩衝液(pH7.4,
0.05M)100mlに溶解させ、この溶解液を口径100mm,長さ
1500mmの円筒型カラムにセファデックスG−100を充填
させたゲルカラムに流し込み、つづいて同緩衝液を10ml
/5分の流速で通液し、ゲルろ過クロマトグラフィーを実
施した。活性画分を集めて、前述の緩衝液で平衡兼した
DEAEセファデックスA−50(口径50mm,長さ400mm)カラ
ムに流し込み、第1槽(高濃度塩液供給槽)に食塩1M濃
度を含むトリスヒドロキシメチルアミノメタン−塩酸緩
衝液(pH7.4,0.05M)2を充填し、第2槽(撹拌槽)
に食塩を含まないトリスヒドロキシメチルアミノメタン
−塩酸緩衝液(pH7.4,0.05M)2を充填したものから
成る塩濃度直線勾配イオン交換クロマトグラフィーに供
した。溶出液をクラクションコレクター(東洋5F−160K
型)により10mlずつ分画し、カルボキシルエステラーゼ
活性を測定して、活性画分300mlを採集した。これを1
容三角フラスコ中で、200gでの硫酸アンモニウム結晶
を撹拌しながら滴下する方法で塩析した。塩析物を5
℃,24時間の条件で静置し、蛋白質を完全に沈澱させた
のち、5℃,2,000×gの条件で遠心分離して蛋白沈澱物
を得た。この沈澱物をトリスヒドロキシメチルアミノメ
タン−塩酸緩衝液(pH7.4,0.05M)50mlに溶解せしめ、
ふたたび前述のセファデックスG−100カラムに流し込
み、前述と同条件でゲルろ過クロマトグラフィーを行な
った。得られた活性画分をふたたび前述と同条件でDEAE
セファデックスA−50を用いる塩濃度直線勾配イオン交
換クロマトグラフィーに供し、250mlの活性画分を得
た。これに硫酸アンモニウム167gを撹拌しながら滴下す
ることにより塩析を行い、5℃,24時間の条件で静置し
たのち、沈澱物を前述と同条件で遠心分離して得た。沈
澱物を30mlのトリスヒドロキシメチルアミノメタン−塩
酸緩衝液(pH7.4,0.05M)に溶解させ、この溶解液を前
述と同条件でセファデックスG−100を用いるゲルろ過
クロマトグラフィーに供し、活性画分を得、これをトリ
スヒドロキシメチルアミノメタン−塩酸緩衝液(pH7.4,
0.05M)で平衡化した口径10mm,長さ100mmのDEAEセファ
デックスA−50カラムに吸着せしめた。同緩衝液100ml
を通液したのち、食塩1M濃度を含有する同緩衝液20mlに
よりカルボキシルエステラーゼ活性画分を溶出した。こ
の溶出画分をセロファン透析チューブに注入し、3容
三角フラスコ内の水2の中に入れ、5℃にて24時間、
スターラーを用いて外液を撹拌しつつ透析した。透析
後、チューブ内液を2容ナス型フラスコに流し込み、
アセトン−ドライアイス中で薄膜状に凍結させたのち、
凍結真空乾燥機(バーティス社製,No.10−146MR−BA
型)に連結させ、20mmHgの真空条件で24時間の凍結真空
乾燥を行い、粉末状のストレプトミセス・ロチェイ・バ
ール・ボルビリス由来のカルボキシルエステラーゼ(EC
3.1.1.1)100mgを得た。得られたカルボキシルエステラ
ーゼは、SDSゲル電気泳動,超遠心パターンを測定した
結果、単一蛋白質であることが確認された。以下、この
カルボキシルエステラーゼをカルボキシルエステラーゼ
標品と略称することがある。
参考例2 化学的修飾酵素の調製 このカルボキシルエステ−標品50mg、8mlの0.1Mホウ
酸ナトリウム緩衝液(pH9.5)に溶解させ、これに2,4−
ビス(O−メトキシ−ポリエチレングリコール)−6−
クロロ−Sトリアジン(ポリエチレングリコールの分子
量;6000)を1.0g加え、5℃の条件で1時間撹拌した。
撹拌後、リン酸カリウム塩酸(0.2M,pH7.0)72mlを加え
て混合し反応を停止させた。次に、この溶液をミリポア
フイルターYM−10を用いろ限外ろ過装置(アミコン社
製,8050型)に入れて、リン酸カリウム緩衝液(0.2M,pH
7.0)400mlを用いて洗浄し、未反応の2,4−ビス(O−
メトキシ−ポリエチレングリコール)−6−クロロ−S
−トリアジンを除去した。洗浄後、ポリエチレングリコ
ールが結合した酵素蛋白質を含む溶液を500ml容ナス型
フラスコに入れ、アセトン−ドライアイスによる薄膜状
に凍結したのち、20mmHgの条件下で24時間の欄凍結真空
乾燥を行い、ポリエチレングリコールが結合したカルボ
キシルエステラーゼ(以下、PEG修飾エステラーゼと省
略することがある。)を600mg得た。
実施例1 ランカシジンC11mM,無水酢酸50mMとなるようにメチル
イソブチルケトン中に溶解させ、このものを2mlとり、2
0ml容の共栓付き試験管に入れ、これにトリスヒドロキ
シメチルアミノメタン−マレイン酸緩衝液(0.2M,pH7.
0)中に12mg/mlの濃度でPEG修飾エステラーゼを溶解せ
しめた酵素液を0.3ml加え、37℃,80spmの条件で試験管
振盪機により振盪を行なった。表1に示す時間に溶媒層
より採取し、以下に述べる高速液体クロマトグラフィー
法(以下、HPLC法と略称することがある。)によりラン
カシジンAの生成量を測定した。HPLC法は、高速液体ク
ロマトグラフィー装置(島津製作所製,LC−5A型)を用
い、マイクロプラシルカラム(300×3.9mmφ,ウォータ
ーズ社製,米国)を用いて、温度45℃,流速1.2ml/分の
条件で行なった。この条件下でクロマトグラフィーを行
なうと、ランカシジンCは7.0分,ランカシジンAは3.5
分の保持時間で溶出した。ランカシジンAの定量は、25
4nmの紫外線吸収検出器を用いて行なった。
対照として、無水酢酸50mMの代わりに酢酸エチル300m
Mまたは酢酸100mMを用いて同様に実施した。結果は表1
に示すとおりとなった。
表1の結果から、無水酢酸は酢酸エチル,酢酸に比べ
て、ランカシジンAの生成速度,生成量の点ではるかに
優れていることが明らかである。また、酢酸では実用に
供し得ないことも明らかである。
実施例2 反応時間を20分に固定し、アセチル基供与体の濃度を
表2に示すように変動させ、実施例1と同じ操作を繰り
返した。結果は表2に示すとおりとなった。
酵素反応に適用されるミカエリス・メンテンの式(式
)東京化学同人(株)発行「生化学辞典」第1版,123
9頁(1984)]を変形したラインウィーバー・バーク式
(式)[同辞典 第1版,1314頁(1984)]を利用し
て、アセチル基供与体に無水酢酸を用いた反応と酢酸エ
チルを用いた反応とを比較した。
υ:反応速度 Vmax:最大反応速度 [S]0:基質濃度 Km:ミカエリス定数 なお、[S]に表2のアセチル基供与体濃度を、υ
に表2にランカシジンA生成量を代入して、最小自乗法
によりKmおよびVmaxの値を求めた。結果は表3に示すと
おりとなった。
表3の結果から、アセチル基供与体として無水酢酸を
用いると、酢酸エチルを用いる場合に比べてKm値が極め
て小さくなるので、少量の基質で充分な反応生成物を得
られることが明らかである。
実施例3 10容グラスライニング反応槽(撹拌付き)にあらか
じめ37℃に保温してある2のメチルイソブチルケトン
を入れ、これにランカシジンC10gを投入して溶解させ
る。つぎに参考例2で得られたPEG修飾エステラーゼ1.2
gを、あらかじめトリスヒドロキシメチルアミノメタン
−マレイン酸緩衝液(0.2M,pH7.0)300mlに溶解せしめ
たものを投入した混合したのち、無水酢酸10mlを有機溶
媒中に加えて、37℃で40分撹拌しながら反応を行なっ
た。反応後、蒸留水2を加えて撹拌混合後、10容分
液ロート中に入れ、水溶液部分を除去した。さらに、こ
れに重炭酸ソーダ水2%(重量/容量)を500ml加え、
充分に撹拌混合したのち水溶液部分を除いた。重炭酸ソ
ーダ水による洗浄を同様にもう一度実施し、過剰の酸を
除去した。その後、蒸留水2による洗浄を分液ロート
中で2回実施したのち、溶媒部分を3容三角フラスコ
に移して、これに芒硝100gを添加して2時間放置した。
ろ紙ろ過で芒硝を除いたのち、減圧濃縮乾固し、10gの
ランカシジンAの粗結晶を得た。
この粗結晶を1のクロロホルムに溶解させ、シリカ
ゲル(メルク社製)を充填してクロロホルムで平衡化し
たカラム(口径80mm,長さ500mm)に流し込み、ランカシ
ジンAをシリカゲルカラムに吸着させた。このカラムを
2のクロロホルムで通液洗浄後、酢酸エチル,クロロ
ホルム(3:7容積比)混液で溶出し、溶出画分を東洋フ
ラクションコレクター(5F−160K型)を用いて20mlずつ
分画して、紫外部吸収を指標としてランカシジンAの溶
出画分を採集した。これを減圧濃縮乾固して、得られた
ランカシジンA粉末を1の酢酸エチルを加えて溶解さ
せたのち、ふたたび減圧濃縮に供して40mlに濃縮した。
これを5どに冷保すると、ランカシジンAの結晶が晶出
された。この結晶をグラスフィルターに集め、n−ヘキ
サンで洗浄し、40℃,20mmHgの条件で真空乾燥に供する
と、8.1gのランカシジンAの結晶が得られた。この結晶
の融点,旋光度,紫外部吸収値,元素分析値は完全に文
献[ザ・ジャーナル・オブ・アンティビオティクス,第
24巻,13頁(1971)]と一致した。HPLC法を用いて行な
った保持時間もランカシジンAの標準品と一致した。
実施例4 10グラスライニング反応槽(撹拌付き)に2のメ
チルイソブチルケトンを入れ37℃に保温したのち、ラン
カシジンC10gを溶解させた。これに、参考例1で得られ
たカルボキシルエステラーゼ標品を2mg/mlの濃度でトリ
スヒドロキシメチルアミノメタン−マレイン酸緩衝液
(0.2M,pH7.0)に溶解せしめたものを1加え、次に10
mlの無水酢酸を有機用媒中に加えて、40分間,37℃で撹
拌混合した。反応終了後、蒸留水2を加えて撹拌混合
後、10容分液ロートに移し、以下実施例3と同じ操作
を繰り返してランカシジンAの結晶を5.8g得た。
実施例5 参考例1におけるストレプトミセス・ロチェイ・バー
ル・ボルビリスを培養して得られた発酵液のろ液には、
ストレプトミセス・ロチェイ・バール・ボルビリス由来
のカルボシルエステラーゼが含まれているが、ストレプ
トミセス・ロチェイ・バール・ボルビリスはランカシジ
ンCを培養液中に分泌するいわゆるランカシジンCの生
産菌であることはすでに知られており[ザ・ジャーナル
・オブ・アンティビオティクス,第24巻,1頁(197
1)]、実施例1に記載のHPLC法に従ってランカシジン
Cの含量を測定すると、3500μg/mlの濃度のランカシジ
ンCを含有していることが確認されたので、本実施例で
は参考例1で得られる発酵ろ液を、本発明のカルボシル
エステラーゼおよびヒドロキシ化合物の両者を含有する
ものとして用いた。
このろ液1を10容グラスライニング反応槽(撹拌
付き)に入れて37℃に保温し、これにあらかじめ37℃に
保温したメチルイソブチルケトン1を混合し、さらに
無水酢酸10mlを有機溶媒中に添加して37℃で60分間撹拌
した。反応終了後、低温遠心分離機(トミー精工製,RD
−2IV型)により2000×g,5℃の条件で遠心分離し、さら
にこの液を10分液ロートに入れて上層の溶媒部分を採
取した。蒸留水2を加えて洗浄し、以下実施例3と同
じ操作により2.8gのランカシジンAを採取した。
実施例6 実施例3における無水酢酸10mlの代わりに、無水プロ
ピオン酸10mlを用いて、実施例3と同じ操作で実施し
た。
反応後の溶媒中の生成物については、ザ・ジャーナル
・オブ・アンティビオティクス,第26巻,647頁(1973)
に記載されている合成法で調製したランカシジンC−14
−プロピオネートを標準品として、実施例1に記載のHP
LC法に従って同定し確認した。すなわち蒸気HPLC法によ
り、2.40分の保持時間を有るランカシジンC−14−プロ
ピオネートが9.1g/の濃度で溶媒中に含まれているこ
とが確認された。
実施例3と同じ操作でランカシジンC−14−プロピオ
ネートを精製分離すると、7.2gの同化合物が採取され、
融点,旋光度,元素分析値,分子吸光係数は完全に文献
値[ザ・ジャーナル・オブ・アンティ、ビオティクス第
26巻,647頁(1973]と一致した。
実施例7 実施例6における無水プロピオン酸の代わりに無水n
−酪酸,無水イソ酪酸,無水n−カプロン酸,無水安息
香酸を用いた。それぞれ生成されたエステル化合物につ
いて、実施例1に記載のHPLC法を実施すると、保存時間
はそれぞれ2.03分,1.89分,4.06分,4.90分であった。分
離・採取方法は実施例3と同じ操作で行い、それぞれラ
ンカシジン−C−14−n−ブチレート,ランカシジンC
−14−イソブチレート,ランカシジンC−14−カプレー
ト,ランカシジンC−14−ベンゾエートが得られ、その
収量はそれぞれ5.70g,5.60g,3.10g,3.21gであった。
それぞれの化合物の融点,旋光度,元素分析値,分子
吸光係数は完全に文献値[ザ・ジャーナル・オブ・アン
ティビオティクス,第26巻,647頁(1973)]と一致し
た。
実施例8 エタノール1Mを含むメチルイソブチルケトン2を、
10容グラスライニング反応槽(撹拌付き)を入れて37
℃に保温し、参考例2で得られたPEG修飾エステラーゼ
を12mg/mlの濃度でトリスヒドロキシメチルアミノメタ
ン−マレイン酸緩衝液(0.2M,pH7.0)に溶解せしめたも
のを、この反応槽に300ml加える。これに表4に示す濃
度で無水酢酸を加え、37℃で20分間反応させた。反応収
量後、メチルイソブチルケトン槽を採取し、下記の条件
でガスクロマトグラフィー(GC)に供し、生成される酢
酸エチルと酢酸を定量した。ガスクロマトグラフィーの
条件は、島津製作所製GC−9Aを用い、カラムにポラパッ
クP(Porapak P)(60〜80メッシュ,内径3mm,長さ2m,
ウォーターズ社製)、検出器にガスクロマトグラフィー
検出器(島津製作所製,FID型)を用い、水素ガス圧0.5k
g/cm2,水素ガス流速35ml/分,空気圧0.5kg/cm2,空気流
速480ml/分,カラム温度140℃,注入器および検出器の
温度を150℃とした。この条件下で、試料の注入量を5
μとして実施した。各成分の保持時間は、生成物であ
る酢酸エチルが4.1分であり、エタノールは1.3分、酢酸
は2.6分、メチルイブチルケトンは6.0分であった。標準
品(和光純薬製試薬,特級)を基準として各成分の定量
を行い、表4に示す結果が得られた。
実施例9 実施例8の表4における無水酢酸点濃度30mMの場合に
つき、生成された酢酸エチルを以下に示す方法で分離採
取した。反応液に蒸留水5を加え充分に撹拌混合した
のち、10容分液ロートに移し、1時間静置したのち、
水溶液部分を除去した。次に重炭酸ソーダ水溶液2%
(重量/容量)を500ml加え分液ロートで充分に混合し
たのち、1時間静置し水溶液部分を除去し、さらに溶媒
部分に5の蒸留水を加え、同様な操作をして水溶液部
分を除いた。このような重炭酸ソーダ水溶液による洗浄
操作をさらに3回繰り返し、反応液中にある酵素蛋白
質、エタノールおよび酢酸を除去した。ふたたび蒸留水
5による洗浄をしたのち、回分式分留塔により、77
℃,常圧による蒸留を行い、酢酸エチルを分取した。本
化合物は20℃における比重,屈折率,沸点が完全に文献
値[メルク・インデックス(Merck Index)第8版(196
8)]と一致した。
実施例10 参考例2と同じ方法で、2,4−ビス(O−メトキシ−
ポリエチレングリコール)−6−クロロ−S−トリアジ
ンを用いて、豚肝臓由来カルボキシルエステラーゼ(EC
3.1.1.1,シグマ社製,(米国))のPEG修飾エステラー
ゼを調製した。これを用いて実施例8と同じ方法で無水
酢酸とエタノールより酢酸エチルを生成させる反応を実
施し、実施例8と同じ定量方法により酢酸エチルおよび
酢酸の生成量を定量した。結果を表5に示す。
実施例11 実施例10の表5における無水酢酸添加濃度30mMの場合
につき、生成された酢酸エチルの分離採取を実施例9と
同じ操作で実施した。3.0gの酢酸エチルを採取し、20℃
における比重,屈折率,沸点が完全に分献値[メルク・
インデックス,第8版(1968)]と一致することを確か
めた。
実施例12 エタノール1M濃度を含むメチルイソブチルケトン2
を、10容グラスライニング反応槽(撹拌付き)に入れ
て37℃に保温し、参考例1と同じ操作で調製されたスト
レプトミセス・ロチェイ・バール・ボルビリス由来のPE
G修飾エステラーゼを12mg/mlの濃度でトリスヒドロキシ
メチルアミノメタン−マレイン酸緩衝液(0.2M,pH7.0)
に溶解せしめたものを300ml加える。37℃で10分間撹拌
後、これに7.8gの無水プロピオン酸を有機溶媒中に添加
したのち、さらに37℃で20分間撹拌して反応させた。
反応終了後、反応液に5の蒸留水を加えて充分に撹
拌混合したのち、10容分液ロートに移し、1時間静置
後水溶液部分を除去した。次に重炭酸ソーダ水溶液2%
(重量/容量)を500ml加え、分液ロート中で充分に撹
拌混合したのち、1時間静置して水溶液部分を除き、さ
らに溶媒部分に5の蒸留水を加え、同様な操作をして
水溶液部分を除去した。このような重炭酸ソーダ水溶液
による洗浄操作を3回繰り返し、反応液中にある酵素蛋
白質,エタノールおよびプロピオン酸を除去した。この
溶媒部分を回分式分留塔に入れ、常圧,99℃で蒸留を行
い蒸留物として5.5gのプロピオン酸エチルを採取した。
本化合物は20℃における比重,屈折率,沸点を完全に文
献値[メルク・インデックス,第8版(1968)]と一致
した。
実施例13 実施例12における無水プロピオン酸の代わりに、無水
n−酪酸9.4を添加して同じ操作を実施した。回分式分
留塔により常圧,178℃の蒸留によりn−酪酸エチル6.3g
を採取した。本化合物は20℃における比重,屈折率,沸
点が完全に文献値[メルク・インデックス,第8版(19
68)]と一致した。
実施例14 実施例12における無水プロピオン酸の代わりに、無水
n−カプロン酸12.9gを添加して同じ操作を実施した。
回分式分留塔により常圧,208℃の蒸留でn−カプロン酸
エチル6.1gを採取した。本化合物は20℃における比重,
屈折率,沸点が完全に文献値[メルク・インデックス,
第8版(1968)]と一致した。
実施例15 実施例12におけるエタノールの代わりにn−プロパノ
ールを用いて、実施例12と同じ操作で実施した。怪聞式
分留塔により常圧,124℃において、プロピオン酸n−プ
ロピル6.0gを蒸留して採採取した。20℃における比重,
屈折率,融点が文献値[メルク・インデックス,第8板
(1968)]と完全に一致した。
実施例16 実施例12におけるエタノールの代わりにn−プロパノ
ール、無水プロピオン酸の代わりに無水n−酪酸9.4gを
用いて、実施例12と同じ操作で実施した。回分式分留塔
により、常圧,143℃の蒸留により、5.8gのn−酪酸n−
プロピルを採取した。本化合物は20℃における比重,屈
折率、融点が完全に分献値[メルク・インデックス第8
版(1968)]と一致した。
実施例17 実施例12におけるエタノールの代わりにイソプロパノ
ールを用い、無水プロピオン酸の代わりに無水酢酸6.1g
を用いて、実施例12と同じ操作で実施した。回分式分留
塔により、常圧,89℃の蒸留において、5.0gの酢酸イソ
プロピオニルを採取した。本化合物は20℃における比
重,屈折率,沸点が完全に文献値[メルク・インデック
ス,第8版(1968)]と一致した。
実施例18 実施例12におけるエタノールの代わりにn−ブタノー
ルを用い、無水プロピオン酸の代わりに無水酢酸6.1gを
用いて、実施例12と同じ操作で実施した。回分式分留塔
により、常圧,126℃の蒸留をして、5.2gの酢酸n−ブチ
ルを採取した。本化合物は20℃における比重,屈折率,
沸点が完全に文献値[メルク・インデックス,第8版
(1968)]と一致した。
実施例19 実施例12におけるエタノールの代わりにn−ブタノー
ルを用いて、実施例12と同じ操作で実施した。回分式分
留塔により、常圧,147℃の蒸溜をして、プロピオン酸n
−ブチル5.1gを採取した。本化合物は20℃における比
重,屈折率,沸点が完全に文献値[メルク・インデック
ス,第8版(1968)]と一致した。
実施例20 実施例12における無水プロピオン酸の代わりに無水安
息香酸13.6gを用いて、実施例12と同じ操作で実施し
た。回分式分留塔により、常圧,212℃の蒸留をして、安
息香酸エチル9.2gを採取した。本化合物は20℃における
比重,屈折率,沸点が完全に文献値[メルク・インデッ
クス,第8版(1968)]と一致した。
実施例21 実施例12におけるエタノールの代わりにエチレングリ
コールを用い、無水プロピオン酸の代わりに無水酢酸1
2.2gを用いて、同じ操作で実施した。回分式分留塔によ
り,182℃の蒸留をして、酢酸エチレングリコール2.0gを
採取した。さらに191℃の蒸留により、二酢酸エチレン
グリコールを2.2gを採取した。本化合物は20℃における
比重,屈折率,融点が完全に文献値[メルク・インデッ
クス,第8版(1968)]と一致した。
実施例22 200容発酵槽に、デキストリン10%,プロフロ(商
品名,トレーザーダーオイル社製)0.5%,脱脂大豆粉
2.0%,コーンスティープリカー1.0%,コーングルテン
ミール1.3%,パラアミノ安息香酸0.025%,硫酸アンモ
ニウム0.2%,食塩0.5%,硫酸第1鉄0.1%,硫酸銅0.0
05%,硫酸ニッケル0.03%,β−シクロデキストリン2.
4%,FS−アンチフォームF20(消泡剤,ダウコーニング
社(米国)製,商品名)0.2%(百分率表示,重量/容
量)からなる培地100を調製したのち、120℃,20分間
の蒸気滅菌をした。これに参考例1と同じ種培養物5
を移植し、通気量1VVM,撹拌回転数165rpm,温度25℃で96
時間培養した。
かくして得られた培養物60をとり、これに水20と
ハイフロスーパーセル(ジョンズ・マンビル社製)2kg
加えてろ過し、70ロ液を得た。実施例1に記載されて
いるHPLC法に従ってランカシジンCの含量を測定する
と、本ろ液中には4100μg/mlの濃度でランカシジンCが
含有されていることを認めた。これを1ずつ、1から
3まで番号を付した10容グラスライニング反応槽(撹
拌付き)3基にそれぞれ加え、1番には無水酢酸を100m
M含有するメチルイソブチルケトン1を加え、2番に
は酢酸エチルを200mM含有するメチルイソブチルケトン
1、3番には酢酸を200mM含有するメチルイソブチル
ケトン1を加え、37℃でそれぞれ60分撹拌することに
よりランカシジンCのアセチル化反応を行なった。反応
後に、それぞれ溶媒槽により少量(1ml程度)の試料を
採取して、実施例1に記載のHPLC法によるランカシジン
Aの定量を行い、反応収率(ランカシジンC全量に対す
る、生成されたランカシジンAの量の百分率比)を算出
し、表6に示した。さらにそれぞれについて、実施例3
と同じ方法でランカシジンAを精製採取し、重量を表6
に収量として示した。表6の結果から、無水酢酸をアセ
チル基供与体として用いた場合が、反応収率,収量とも
最も優れていることが明らかである。
反応収率;ろ液1中に含まれるランカシジンCの量
(4.1g)に対する反応後生成されたランカシジンAの量
の百分率 収量;精製採取されたランカシジンAの量 実施例23 20ml容の共栓付き試験管3本を用意し、このうち2本
にプロピオン酸エチル2mlを入れ、他の1本にメチルイ
ソブチルケトン2mlを入れる。これらにマリドマシシンI
II (式V:R1=R2=COCH2CH3,R3=H)をそれぞれ10mg加
え、よく撹拌して溶解させた。
プロピオン酸エチルを入れた2本の試験管をそれぞれ反
応系(1),反応系(2)として、メチルイソブチルケ
トンを入れたものを反応系(3)とし、参考例1で得ら
れたカルボキシルエステラーゼを2mg/mlの濃度でトリス
ヒドロキシメチルアミノメタン−マレイ酸緩衝液(0.2
M,pH7.0)に溶解せしめたものを2mlずつこれらの反応系
に加えた。反応系(2)および(3)には無水プロピオ
ン酸を20μずつ溶媒中に添加して、ただちに試験管振
盪機にかけ、共栓をして30分間,28℃にて振盪した。振
盪後、各反応系の溶媒部分をマイクロピペットで50μ
ずつ採取し、これらを薄槽クロマトグラフィー(Kiesel
gel 60,厚さ0.25mm 20×20cm,メルク社,米国)に添着
させた。反応系(1),(2),(3)に相当する3個
の試料のほかに、マリドマイシンIII(式V:R1=R2=COC
H2CH3,R3=H)および9−プロピオニルマリドマイシン
III(式V:R1=R2=R3=COCH2CH3)を添着させて、アセ
トン−トルエン(1:1)の溶媒系により薄層クロマトグ
ラフィーを実施した。
モード気流中で発色させる方法により、マリドマイシ
ンIIIおよび9−プロピオニルマリドマイシンIIIのRfが
それぞれ0.46および0.57であることを確認した後、各反
応系試料のマリドマイシンIIIおよび9−プロピオニル
マリドマイシンIIIに相当する部分の薄層をかきとり、
少量の酢酸エチルにより抽出したのち、アグリカルチュ
ラル・アンド・バイオロジカル・ケミストリー(Agricu
ltural Biological Chemistry),43巻,847頁,(1979
年)に記載のマリドマイシン類抗生物質の比色定量法に
従って、基質(マリドマイシンIII)および反応生成物
(9−プロピオニルマリドマイシンIII)を定量した。
結果は、表−7に示すとおりとなった。
実施例24 10容のグラスライニング反応層(撹拌付き)にあら
かじめ28℃に保温したメチルイソブチルケトン2を入
れ、これにマリドマイシンIII 10gを投入し溶解させ
た。つぎに、参考例1で得られたカルボキシルエステラ
ーゼ500mgをトリスヒドロキシメチルアミノメタン−マ
レイン酸緩衝液(0.2M,pH7.0)2に溶解せしめたもの
を加えた。溶媒層に20mlの無水プロピオン酸を加え、撹
拌をして1時間の反応に供した。反応後、反応液を10
容分液ロートに移し、水層部分を除いた。さらにこれに
重炭酸ソーダ水(2%)(w/v)500mlを加え、充分撹拌
混合した後水層部分を除いた。重炭酸ソーダ水による洗
浄をもう一度実施した後、蒸留水2による洗浄を分液
ロート中で2回実施した。溶媒部分を3容三角フラス
コに移して、これに芒硝100gを添加して2時間静置し
た。ろ紙ろ過により芒硝を除いた後、減圧濃縮乾固し、
10gの9−プロピオニルマリドマイシンIII粗結晶を得
た。
この粗結晶をトリエン1に溶解せしめ、トリエンで
平衡化したシリカゲル(メルク社,米国)カラム(口径
80mm,長さ500mm)に流し込み、9−プロピオニルマリド
マイシンIIIを吸着させた。続いてトリエン3を通液
した後、2.5容のトルエン−アセトン(1:0.5)混合溶
媒で溶出し、さらにトルエン−アセトン(1:1)混合溶
媒により溶出した。溶出画分は東洋フラクションコレク
ター(5F−160型)を用いて20mlずつ分画し、実施例23
で示した薄層クロマトグラフィーによる9−プロピオニ
ルマリドマイシンIII同定法により、本化合物を同定し
た。本化合物含有画分を集め、減圧濃縮した9.1gの白色
結晶を採取した。本結晶の元素分析値はC:H:N=59.7:8.
0:1.6、旋光度は[α]=−61.3゜(c=1,CHCl3)と
測定され、これらの値はアンチマイクロバイアル・エー
ジェンツ・アンド・ケモテラピー(Antimicrobial Agen
ts and Chmotherapy),第4巻,142頁(1973年)に記載
された値と一致した。また、IRスペクトルはケモテラピ
ー(CHEMOTHERAPY)第21巻,908頁(1973年)に記載され
たスペクトルと一致した。
本結晶はメタノール,エタノール,アセトンに溶けや
すく、クロロホルムにやや溶けやすく、水にほとんど溶
けない(以上、本結晶の性状)。
本結晶5mgを採り、アセトン2mlを加えて溶かしたの
ち、塩酸2mlを加えて振り混ぜるとき、赤紫色を呈す
る。さらに、クロロホルム2mlを加えて振り混ぜ、静置
するとき、クロロホルム層は弱い紫色を呈する。本結晶
20mg及びチオセミカルバジド2mgを採り、エタノール2ml
を加え、還流冷却器を付け、水浴上で1時間加熱する。
冷後、反応液の0.2mlを採り、エタノール50mlを加えて
混和した液につき、吸収スペクトルを測定するとき、波
長270−273nmに吸収の極大を示す。(以上、本結晶の確
認試験)。これらの性状および確認試験結果は、日本抗
生物質医薬品基準解説(1986年、薬業時報社)457頁の
記載(プロイピオ酸マリドマイシン)と一致した。
発明の効果 本発明のカルボン酸エステルの製造法によれば、アシ
ル基を選択的にヒドロキシル基と結合させることがで
き、また反応がほとんど不可逆的に進行するため、少量
のアシル基供与体で高収率にカルボン酸エステル得るこ
とができるので工業的有利である。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】カルボキシルエステラーゼを触媒として、
    ヒドロキシ化合物と酸無水物とを有機溶媒中で反応させ
    ることを特徴とするカルボン酸エステルの製造法。
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