JP3018277B2 - エステルの転移反応方法 - Google Patents
エステルの転移反応方法Info
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、固定化生体触媒を
用い、有機溶剤中で、光学活性アルコールのラセミ混合
物に対して、脂肪酸とビニルアルコールのエステルであ
るアシル供与物質によりエステルの転移反応を行う際
に、生体触媒の失活を招くことなく効率的にエステルの
転移反応を行う方法を提供するものであり、光学活性ア
ルコールのラセミ混合物の光学分割に応用される。
用い、有機溶剤中で、光学活性アルコールのラセミ混合
物に対して、脂肪酸とビニルアルコールのエステルであ
るアシル供与物質によりエステルの転移反応を行う際
に、生体触媒の失活を招くことなく効率的にエステルの
転移反応を行う方法を提供するものであり、光学活性ア
ルコールのラセミ混合物の光学分割に応用される。
【0002】
【従来の技術】光学活性アルコールは、医薬,農薬など
の生理活性物質や液晶材料等のファインケミカルズを合
成する際の中間体として近年、需要増加の著しい化合物
である。光学活性体の優先的結晶化や合成触媒を使った
不斉反応は、工程が複雑であったり触媒が高価であった
り、効率の点で問題がある場合が多いため、生体触媒を
使った有機溶剤中での不斉反応が注目されている。
の生理活性物質や液晶材料等のファインケミカルズを合
成する際の中間体として近年、需要増加の著しい化合物
である。光学活性体の優先的結晶化や合成触媒を使った
不斉反応は、工程が複雑であったり触媒が高価であった
り、効率の点で問題がある場合が多いため、生体触媒を
使った有機溶剤中での不斉反応が注目されている。
【0003】生体触媒を用いて光学活性アルコールを製
造する方法の一つとして、有機溶剤中で光学活性アルコ
ールのラセミ混合物とアシル供与物質を混合し、生体触
媒の作用によって光学活性アルコールのいずれかに優先
的にアシル基を導入し、該アシル化合物を蒸留もしくは
抽出といった操作で未反応のアルコールから分離する光
学分割法が知られている。
造する方法の一つとして、有機溶剤中で光学活性アルコ
ールのラセミ混合物とアシル供与物質を混合し、生体触
媒の作用によって光学活性アルコールのいずれかに優先
的にアシル基を導入し、該アシル化合物を蒸留もしくは
抽出といった操作で未反応のアルコールから分離する光
学分割法が知られている。
【0004】この際、アシル供与物質として一般式
【化1】 で表されるビニル化合物の優れていることが「テトラヘ
ドロン レターズ(Tetrahedron Letters )」28巻、
953−954(1987年)に報告されている。該ア
シル供与物質はアシル基をアルコールに転移するとビニ
ルアルコールになるが、ビニルアルコールは不安定で即
座にケト形になりアルデヒドを生成する。このため一度
光学活性アルコールに転移したアシル基が再びビニルア
ルコールに転移するというような逆反応が起こり得ない
ため、極めて優れたアシル供与物質として多く用いられ
ている。しかし、ビニルアルコールがケト形になり生成
するアルデヒドは反応性が高く、生体触媒に含まれるア
ミノ基やアルコール等の官能基と反応し、生体触媒の活
性を著しく低下させるという欠点があった。
ドロン レターズ(Tetrahedron Letters )」28巻、
953−954(1987年)に報告されている。該ア
シル供与物質はアシル基をアルコールに転移するとビニ
ルアルコールになるが、ビニルアルコールは不安定で即
座にケト形になりアルデヒドを生成する。このため一度
光学活性アルコールに転移したアシル基が再びビニルア
ルコールに転移するというような逆反応が起こり得ない
ため、極めて優れたアシル供与物質として多く用いられ
ている。しかし、ビニルアルコールがケト形になり生成
するアルデヒドは反応性が高く、生体触媒に含まれるア
ミノ基やアルコール等の官能基と反応し、生体触媒の活
性を著しく低下させるという欠点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は生体触媒を用
い、有機溶剤中で、一般式
い、有機溶剤中で、一般式
【化2】 で表される脂肪酸とビニルアルコールのエステルをアシ
ル供与物質として、光学活性アルコールのラセミ混合物
の一方に優先的にエステルの転移反応を行う際に、反応
時に生成するアルデヒドが生体触媒のアミノ基やアルコ
ール等の官能基と反応することを防止し、生体触媒の失
活を招くことなく、効率的にエステルの転移反応を行う
方法を提供するものである。
ル供与物質として、光学活性アルコールのラセミ混合物
の一方に優先的にエステルの転移反応を行う際に、反応
時に生成するアルデヒドが生体触媒のアミノ基やアルコ
ール等の官能基と反応することを防止し、生体触媒の失
活を招くことなく、効率的にエステルの転移反応を行う
方法を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意研究を
行い、エステル転移反応で生成するアルデヒドを、生体
触媒のアミノ基やアルコール等の官能基と反応する前に
取り除くことで、活性の低下が防止できることを見いだ
した。即ち、光学活性アルコールのラセミ混合物に対し
て、有機溶剤中でエステルの転移反応を触媒する生体触
媒を用い、脂肪酸とビニルアルコールのエステルをアシ
ル供与物質として用い、エステルの転移反応を行う際
に、反応液中にアシル供与物質の0.01〜0.1倍重
量の有機溶剤不溶性でアルデヒドを吸着する吸着剤を加
え、反応液中に生成するアルデヒドを吸着除去すること
で、生体触媒の失活を招くことなく、効率的にエステル
の転移反応を行うものである。
行い、エステル転移反応で生成するアルデヒドを、生体
触媒のアミノ基やアルコール等の官能基と反応する前に
取り除くことで、活性の低下が防止できることを見いだ
した。即ち、光学活性アルコールのラセミ混合物に対し
て、有機溶剤中でエステルの転移反応を触媒する生体触
媒を用い、脂肪酸とビニルアルコールのエステルをアシ
ル供与物質として用い、エステルの転移反応を行う際
に、反応液中にアシル供与物質の0.01〜0.1倍重
量の有機溶剤不溶性でアルデヒドを吸着する吸着剤を加
え、反応液中に生成するアルデヒドを吸着除去すること
で、生体触媒の失活を招くことなく、効率的にエステル
の転移反応を行うものである。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の固定化に用いる生体触媒
としては、エステルの転移反応を触媒する酵素,抗体,
微生物の何れでも良い。特にリパーゼ,コレステロール
エステラーゼ等の酵素触媒は発現活性,安定性,基質特
異性が高く好適である。酵素触媒の起源としては特に限
定されるものではなく、ブタ肝臓,ブタ膵臓由来リパー
ゼの他、リゾプス(Rhizopus)属,アスペルギ
ルス(Aspergillus)属,ムコール(Muc
or)属,ゲオトリウム(Geotorichum)
属,キャンデイダ(Candida)属,クロモバクテ
リウム(Chromobacterium)属,シュー
ドモナス(Pseudomonas)属,ペニシリウム
(Penicillium)等の細菌,糸状菌,酵母由
来のものが挙げられる。
としては、エステルの転移反応を触媒する酵素,抗体,
微生物の何れでも良い。特にリパーゼ,コレステロール
エステラーゼ等の酵素触媒は発現活性,安定性,基質特
異性が高く好適である。酵素触媒の起源としては特に限
定されるものではなく、ブタ肝臓,ブタ膵臓由来リパー
ゼの他、リゾプス(Rhizopus)属,アスペルギ
ルス(Aspergillus)属,ムコール(Muc
or)属,ゲオトリウム(Geotorichum)
属,キャンデイダ(Candida)属,クロモバクテ
リウム(Chromobacterium)属,シュー
ドモナス(Pseudomonas)属,ペニシリウム
(Penicillium)等の細菌,糸状菌,酵母由
来のものが挙げられる。
【0008】生体触媒はそれ単独で反応に用いてもよい
が、不溶性の担体に生体触媒を固定化した固定化生体触
媒は発現活性が高く好適である。固定化用担体としては
合成樹脂系のイオン交換体や無機系イオン交換体,セラ
イトの様な無機系濾過剤,多孔質ガラスビーズ,多糖類
系イオン交換体等があげられるが、高級脂肪酸を導入し
た架橋再生粒状多孔質キトサンは、有機溶剤に耐性が高
く固定化酵素の発現活性も大きいため好ましい。この中
でも特に固定化生体触媒としては特開平7−87974
号で開示した高級脂肪酸を導入した架橋再生粒状多孔質
キトサンにリパーゼを固定化した固定化リパーゼが活性
が高く、本願のエステル転移反応に好適である。
が、不溶性の担体に生体触媒を固定化した固定化生体触
媒は発現活性が高く好適である。固定化用担体としては
合成樹脂系のイオン交換体や無機系イオン交換体,セラ
イトの様な無機系濾過剤,多孔質ガラスビーズ,多糖類
系イオン交換体等があげられるが、高級脂肪酸を導入し
た架橋再生粒状多孔質キトサンは、有機溶剤に耐性が高
く固定化酵素の発現活性も大きいため好ましい。この中
でも特に固定化生体触媒としては特開平7−87974
号で開示した高級脂肪酸を導入した架橋再生粒状多孔質
キトサンにリパーゼを固定化した固定化リパーゼが活性
が高く、本願のエステル転移反応に好適である。
【0009】本発明で用いられる有機溶剤としては、ア
セトン,ジオキサン,テトラヒドロフラン,ジメチルス
ルホキシド,ジメチルアセトアミド,ジメチルホルムア
ミド等の極性溶剤,ベンゼン,トルエン,ヘキサン,ヘ
プタン,オクタン,シクロヘキサン,酢酸エチル,ブチ
ルアルコール,メチルエチルケトン,ジエチルエーテ
ル,塩化メチレン,クロロホルム,四塩化炭素等の非極
性溶剤があげられるが、一般に非極性溶剤を用いた場合
の方が生体触媒の活性発現が良好である。
セトン,ジオキサン,テトラヒドロフラン,ジメチルス
ルホキシド,ジメチルアセトアミド,ジメチルホルムア
ミド等の極性溶剤,ベンゼン,トルエン,ヘキサン,ヘ
プタン,オクタン,シクロヘキサン,酢酸エチル,ブチ
ルアルコール,メチルエチルケトン,ジエチルエーテ
ル,塩化メチレン,クロロホルム,四塩化炭素等の非極
性溶剤があげられるが、一般に非極性溶剤を用いた場合
の方が生体触媒の活性発現が良好である。
【0010】光学活性アルコールのラセミ混合物に関し
ては特に限定はなく、上記の有機溶剤に可溶であれば良
く、例えば不斉炭素をもつ芳香族、もしくは脂肪族の2
級アルコールが用いられ、また光学活性アルコールの濃
度については特に限定されるものではない。脂肪酸とビ
ニルアルコールのエステルであるアシル供与物質として
は、一般式
ては特に限定はなく、上記の有機溶剤に可溶であれば良
く、例えば不斉炭素をもつ芳香族、もしくは脂肪族の2
級アルコールが用いられ、また光学活性アルコールの濃
度については特に限定されるものではない。脂肪酸とビ
ニルアルコールのエステルであるアシル供与物質として
は、一般式
【化3】 で表されるものが用いられる。脂肪酸ビニルエステルの
鎖長は一般式の中のn数が0〜16の中から適宜選択さ
れ、固定化生体触媒の種類とアシル供与物質の組み合わ
せに起因する反応性の違いや、光学活性アルコールとの
エステル化物の蒸留,抽出といった分離精製操作の簡便
性を考慮して、例えば酢酸ビニルエステル,カプリル酸
ビニルエステル,ラウリル酸ビニルエステル,パルミチ
ン酸ビニルエステル等が挙げられる。
鎖長は一般式の中のn数が0〜16の中から適宜選択さ
れ、固定化生体触媒の種類とアシル供与物質の組み合わ
せに起因する反応性の違いや、光学活性アルコールとの
エステル化物の蒸留,抽出といった分離精製操作の簡便
性を考慮して、例えば酢酸ビニルエステル,カプリル酸
ビニルエステル,ラウリル酸ビニルエステル,パルミチ
ン酸ビニルエステル等が挙げられる。
【0011】有機溶媒中の光学活性アルコールのラセミ
混合物とアシル供与物質の濃度は特に限定されるもので
はなく、それぞれ0.05〜50重量%の範囲で適当な
濃度のものが選ばれる。この際、アシル供与物質は生体
触媒によって加水分解を受けるため、光学活性アルコー
ルより多く使用する必要があり、アシル供与物質の濃度
は光学活性アルコールの濃度の0.5倍重量から10倍
重量の範囲で選ばれる。勿論、アシル供与物質の加水分
解を抑えるために反応液中の制御は重要であり、含まれ
る水分は0〜1,000ppmの範囲で選ばれるが、加
水分解反応をできる限り抑えるために好ましくは0〜5
00ppmの範囲が好適である。
混合物とアシル供与物質の濃度は特に限定されるもので
はなく、それぞれ0.05〜50重量%の範囲で適当な
濃度のものが選ばれる。この際、アシル供与物質は生体
触媒によって加水分解を受けるため、光学活性アルコー
ルより多く使用する必要があり、アシル供与物質の濃度
は光学活性アルコールの濃度の0.5倍重量から10倍
重量の範囲で選ばれる。勿論、アシル供与物質の加水分
解を抑えるために反応液中の制御は重要であり、含まれ
る水分は0〜1,000ppmの範囲で選ばれるが、加
水分解反応をできる限り抑えるために好ましくは0〜5
00ppmの範囲が好適である。
【0012】本発明では、有機溶剤不溶性でアルデヒド
を吸着する吸着剤は反応液中に懸濁されるが、このよう
な吸着剤としては、セライト,ゼオライト,ヒドロキシ
アパタイト等の無機物質、スチレン−ジビニルベンゼン
共重合体やメタクリル酸−ジビニルベンゼン共重合体等
の合成樹脂系イオン交換体、セルロース,架橋デキスト
ラン,架橋アガロース,含窒素多糖であるキトサン等の
多糖類担体,架橋コラーゲンやカゼインのような有機溶
剤に不溶性の蛋白質が好適である。
を吸着する吸着剤は反応液中に懸濁されるが、このよう
な吸着剤としては、セライト,ゼオライト,ヒドロキシ
アパタイト等の無機物質、スチレン−ジビニルベンゼン
共重合体やメタクリル酸−ジビニルベンゼン共重合体等
の合成樹脂系イオン交換体、セルロース,架橋デキスト
ラン,架橋アガロース,含窒素多糖であるキトサン等の
多糖類担体,架橋コラーゲンやカゼインのような有機溶
剤に不溶性の蛋白質が好適である。
【0013】そしてアシル供与物質から生成するアルデ
ヒドに対して反応性を有する1級,2級,3級アミノ基
を持つもの、特に反応性の高い1級アミノ基を多数持つ
ものは、アルデヒドの除去に優れた性能を発揮し、例え
ばキトサンは分子内に多数の1級アミノ基を含有してい
るのでアシル供与物質から生成するアルデヒドを除去す
るのに優れた効果を発揮する。
ヒドに対して反応性を有する1級,2級,3級アミノ基
を持つもの、特に反応性の高い1級アミノ基を多数持つ
ものは、アルデヒドの除去に優れた性能を発揮し、例え
ばキトサンは分子内に多数の1級アミノ基を含有してい
るのでアシル供与物質から生成するアルデヒドを除去す
るのに優れた効果を発揮する。
【0014】反応液中に加える吸着剤の量は、アシル供
与物質の0.01〜0.1倍重量が好適であり、好まし
くは0.02〜0.1倍重量の範囲である。0.01倍
重量未満では効果が小さく、0.1倍重量より多く加え
ても効果が顕著に向上しない上に、吸着剤からの不純物
の溶出や吸着剤への基質成分の吸着が顕著になったり、
エステル転移反応での攪拌操作の妨げとなる欠点を生
じ、好ましくない。
与物質の0.01〜0.1倍重量が好適であり、好まし
くは0.02〜0.1倍重量の範囲である。0.01倍
重量未満では効果が小さく、0.1倍重量より多く加え
ても効果が顕著に向上しない上に、吸着剤からの不純物
の溶出や吸着剤への基質成分の吸着が顕著になったり、
エステル転移反応での攪拌操作の妨げとなる欠点を生
じ、好ましくない。
【0015】
【実施例】以下、本発明を実施例をあげて具体的に説明
するが、本発明はこの範囲に限定されるものではない。
尚、生体触媒固定化用担体の調製と、該生体触媒固定化
用担体を用いた固定化生体触媒の調製は、以下に示した
方法で行った。
するが、本発明はこの範囲に限定されるものではない。
尚、生体触媒固定化用担体の調製と、該生体触媒固定化
用担体を用いた固定化生体触媒の調製は、以下に示した
方法で行った。
【0016】1.生体触媒固定化用担体の調製方法 脱アセチル化度80%、平均分子量60,000のキト
サン1,200gを3.5%酢酸水溶液18,800g
に溶解した。該水溶液を、7%水酸化ナトリウム、20
%エタノール、73%水よりなる凝固溶液中に落下し、
キトサンを粒状多孔質に凝固再生し、中性になるまで充
分水洗し、平均粒径0.1mmの再生粒状多孔質キトサン
担体10,000ml(湿潤)を得た。
サン1,200gを3.5%酢酸水溶液18,800g
に溶解した。該水溶液を、7%水酸化ナトリウム、20
%エタノール、73%水よりなる凝固溶液中に落下し、
キトサンを粒状多孔質に凝固再生し、中性になるまで充
分水洗し、平均粒径0.1mmの再生粒状多孔質キトサン
担体10,000ml(湿潤)を得た。
【0017】この再生粒状多孔質キトサン担体それぞれ
500mlに水500mlと2.68gのエチレングリコー
ルジグリシジルエーテル(エポキシ当量87.13)を
加えて60℃で1時間架橋反応させた。反応終了後、水
洗し、架橋再生粒状多孔質キトサン担体500mlを得
た。
500mlに水500mlと2.68gのエチレングリコー
ルジグリシジルエーテル(エポキシ当量87.13)を
加えて60℃で1時間架橋反応させた。反応終了後、水
洗し、架橋再生粒状多孔質キトサン担体500mlを得
た。
【0018】架橋再生粒状多孔質キトサン担体が含む水
を、ジメチルアセトアミドで充分に除去した。該架橋再
生粒状多孔質キトサン担体500mlにジメチルアセトア
ミド500ml、7.620gの塩化ステアロイルと2.
530gのトリエチルアミンを加えた。これを25℃で
攪拌し18時間反応させた。反応残液を除去したのち、
ジメチルアセトアミドで洗浄し、次いでジメチルアセト
アミドを純水で除去し、180ml(湿容積)の生体触媒
固定化用担体を得た。
を、ジメチルアセトアミドで充分に除去した。該架橋再
生粒状多孔質キトサン担体500mlにジメチルアセトア
ミド500ml、7.620gの塩化ステアロイルと2.
530gのトリエチルアミンを加えた。これを25℃で
攪拌し18時間反応させた。反応残液を除去したのち、
ジメチルアセトアミドで洗浄し、次いでジメチルアセト
アミドを純水で除去し、180ml(湿容積)の生体触媒
固定化用担体を得た。
【0019】2.固定化生体触媒の調製方法 湿潤状態の上記1.で得た生体触媒固定化用担体を湿
重で10gとる。 100mgの生体触媒を含む水溶液10ml、1M−リン
酸緩衝液(pH7.5)を5ml,純水を235ml混合し
て生体触媒水溶液とし、生体触媒固定化用担体を入れ
る。 37℃で1時間攪拌し生体触媒を生体触媒固定化用担
体に吸着させる。 生体触媒固定化用担体を濾別しよく水洗した。 1M−リン酸緩衝液(pH7.5)を5ml、純水を2
42.5ml、1%グルタルアルデヒド水溶液を2.5ml
混合し固定液とした。 固定液に生体触媒吸着後の担体を入れ、37℃で1時
間攪拌し、生体触媒を生体触媒固定化用担体と共有結合
で固定化した。 生体触媒固定化用担体を濾別し、よく水洗し、湿潤固
定化生体触媒を得た。 アセトンで固定化生体触媒に含まれる水を十分に除去
脱水し、真空乾燥することにより乾燥状態の固定化生体
触媒3gを得た。
重で10gとる。 100mgの生体触媒を含む水溶液10ml、1M−リン
酸緩衝液(pH7.5)を5ml,純水を235ml混合し
て生体触媒水溶液とし、生体触媒固定化用担体を入れ
る。 37℃で1時間攪拌し生体触媒を生体触媒固定化用担
体に吸着させる。 生体触媒固定化用担体を濾別しよく水洗した。 1M−リン酸緩衝液(pH7.5)を5ml、純水を2
42.5ml、1%グルタルアルデヒド水溶液を2.5ml
混合し固定液とした。 固定液に生体触媒吸着後の担体を入れ、37℃で1時
間攪拌し、生体触媒を生体触媒固定化用担体と共有結合
で固定化した。 生体触媒固定化用担体を濾別し、よく水洗し、湿潤固
定化生体触媒を得た。 アセトンで固定化生体触媒に含まれる水を十分に除去
脱水し、真空乾燥することにより乾燥状態の固定化生体
触媒3gを得た。
【0020】〔実施例1〕生体触媒固定化用担体に生体
触媒としてリパーゼ(旭化成工業(株)製、商品名T−
01)を使用し、乾燥状態の固定化生体触媒としての固
定化リパーゼを得た。また、別に生体触媒固定化用担体
はジメチルアミド中で疎水基導入後、純水で処理した状
態にあるので、これに含まれる水をアセトンで十分に除
去脱水し、真空乾燥して有機溶剤不溶性のキトサン系吸
着剤を得た。5gのα−D、L−フェニルエチルアルコ
ール(41,000μmol)と、アシル供与物質とし
て8gの酢酸ビニルモノマー(93,000μmol)
を含むヘキサン溶液50mlを8個用意し、各々に固定化
リパーゼ10mgを入れ、各々に表1に示した量のキトサ
ン系吸着剤を加えた。35℃で130時間回転数100
r.p.mで攪拌し、エステル転移反応を行った。反応
終了後、瀘過によりリパーゼとキトサン系吸着剤を除
き、光学分割カラム(ダイセル化学工業(株)製、商品
名キラルセルOB)を用い高速液体クロマトグラフィー
にて反応液の組成を測定し、α−L−フェニルエチルア
ルコールの減少量(μmol)からエステルの転移量を
求め、その結果を表1に示した。
触媒としてリパーゼ(旭化成工業(株)製、商品名T−
01)を使用し、乾燥状態の固定化生体触媒としての固
定化リパーゼを得た。また、別に生体触媒固定化用担体
はジメチルアミド中で疎水基導入後、純水で処理した状
態にあるので、これに含まれる水をアセトンで十分に除
去脱水し、真空乾燥して有機溶剤不溶性のキトサン系吸
着剤を得た。5gのα−D、L−フェニルエチルアルコ
ール(41,000μmol)と、アシル供与物質とし
て8gの酢酸ビニルモノマー(93,000μmol)
を含むヘキサン溶液50mlを8個用意し、各々に固定化
リパーゼ10mgを入れ、各々に表1に示した量のキトサ
ン系吸着剤を加えた。35℃で130時間回転数100
r.p.mで攪拌し、エステル転移反応を行った。反応
終了後、瀘過によりリパーゼとキトサン系吸着剤を除
き、光学分割カラム(ダイセル化学工業(株)製、商品
名キラルセルOB)を用い高速液体クロマトグラフィー
にて反応液の組成を測定し、α−L−フェニルエチルア
ルコールの減少量(μmol)からエステルの転移量を
求め、その結果を表1に示した。
【0021】
【表1】
【0022】試験番号c〜hの結果から明らかなよう
に、酢酸ビニルモノマーに対して0.01〜0.2倍重
量のキトサン系吸着剤を反応液中に加えたとき、優れた
エステル転移活性を示した。しかし試験番号hについて
は、キトサン系吸着剤の添加重量が多すぎるのでキトサ
ン系吸着剤から不純物が溶出し、反応液が着色する欠点
があり、結果的には試験番号c〜gの範囲が好適であっ
た。
に、酢酸ビニルモノマーに対して0.01〜0.2倍重
量のキトサン系吸着剤を反応液中に加えたとき、優れた
エステル転移活性を示した。しかし試験番号hについて
は、キトサン系吸着剤の添加重量が多すぎるのでキトサ
ン系吸着剤から不純物が溶出し、反応液が着色する欠点
があり、結果的には試験番号c〜gの範囲が好適であっ
た。
【0023】〔実施例2〕5gのα−D、L−フェニル
エチルアルコール(41,000μmol)とアシル供
与物質として8gの酢酸ビニルモノマー(93,000
μmol)を含むヘキサン溶液50mlを8個用意し、各
々に実施例1で得られた固定化リパーゼ各10mgを入
れ、有機溶剤不溶性の吸着剤としてセライト(和光純薬
工業(株)製、No.543)の表2に示した量を各々
に加えた。35℃で130時間回転数100r.p.m
で攪拌し、エステル転移反応を行った。反応終了後、瀘
過により固定化リパーゼとセライト系吸着剤を除き、光
学分割カラム(ダイセル化学工業(株)製、商品名キラ
ルセルOB)を用い高速液体クロマトグラフィーにて反
応液の組成を測定し、α−L−フェニルエチルアルコー
ルの減少量(μmol)からエステルの転移量を求め、
その結果を表2に示した。
エチルアルコール(41,000μmol)とアシル供
与物質として8gの酢酸ビニルモノマー(93,000
μmol)を含むヘキサン溶液50mlを8個用意し、各
々に実施例1で得られた固定化リパーゼ各10mgを入
れ、有機溶剤不溶性の吸着剤としてセライト(和光純薬
工業(株)製、No.543)の表2に示した量を各々
に加えた。35℃で130時間回転数100r.p.m
で攪拌し、エステル転移反応を行った。反応終了後、瀘
過により固定化リパーゼとセライト系吸着剤を除き、光
学分割カラム(ダイセル化学工業(株)製、商品名キラ
ルセルOB)を用い高速液体クロマトグラフィーにて反
応液の組成を測定し、α−L−フェニルエチルアルコー
ルの減少量(μmol)からエステルの転移量を求め、
その結果を表2に示した。
【0024】
【表2】
【0025】試験番号k〜pの結果から明らかなよう
に、酢酸ビニルモノマーに対して0.01〜0.2倍重
量のセライト系吸着剤を反応液中に加えたとき、優れた
エステル転移活性を示した。試験番号pについては、攪
拌されたセライトが固定化リパーゼを磨耗,粉砕し、反
応の妨げとなる欠点があり、結果的に試験番号k〜oの
範囲が好適であった。
に、酢酸ビニルモノマーに対して0.01〜0.2倍重
量のセライト系吸着剤を反応液中に加えたとき、優れた
エステル転移活性を示した。試験番号pについては、攪
拌されたセライトが固定化リパーゼを磨耗,粉砕し、反
応の妨げとなる欠点があり、結果的に試験番号k〜oの
範囲が好適であった。
【0026】〔実施例3〕生体触媒としてコレステロー
ルエステラーゼ(旭化成工業(株)製、商品名T−1
6)を使用し、実施例1に準じて乾燥状態の固定化コレ
ステロールエステラーゼを得た。また別に、生体触媒固
定化用担体に含まれる水をアセトンで充分に除去脱水
し、真空乾燥し有機溶剤不溶性のキトサン系吸着剤を得
た。5gのα−D、L−フェニルエチルアルコール(4
1,000μmol)とアシル供与物質として表3に示
した種類の脂肪酸ビニルエステル各8gを含むヘキサン
溶液各々50mlに、固定化リパーゼ各々10mgを入れ、
0.2gのキトサン系吸着剤を各々に添加した。この場
合の、脂肪酸ビニルエステルに対するキトサン系吸着剤
の添加量は、0.025倍重量である。35℃で130
時間、回転数100r.p.mで攪拌し、エステル転移
反応を行った。反応終了後、瀘過により固定化リパーゼ
とキトサン系吸着剤を除き、光学分割カラム(ダイセル
化学工業(株)製、商品名キラルセルOB)を用い、高
速液体クロマトグラフィーにて反応液の組成を測定し、
α−L−フェニルエチルアルコールの減少量(μmo
l)からエステルの転移量を求めた。また同様にキトサ
ン系吸着剤を添加しないでエステル転移反応を行い、同
様に処理し測定した。その結果を表3に示した。
ルエステラーゼ(旭化成工業(株)製、商品名T−1
6)を使用し、実施例1に準じて乾燥状態の固定化コレ
ステロールエステラーゼを得た。また別に、生体触媒固
定化用担体に含まれる水をアセトンで充分に除去脱水
し、真空乾燥し有機溶剤不溶性のキトサン系吸着剤を得
た。5gのα−D、L−フェニルエチルアルコール(4
1,000μmol)とアシル供与物質として表3に示
した種類の脂肪酸ビニルエステル各8gを含むヘキサン
溶液各々50mlに、固定化リパーゼ各々10mgを入れ、
0.2gのキトサン系吸着剤を各々に添加した。この場
合の、脂肪酸ビニルエステルに対するキトサン系吸着剤
の添加量は、0.025倍重量である。35℃で130
時間、回転数100r.p.mで攪拌し、エステル転移
反応を行った。反応終了後、瀘過により固定化リパーゼ
とキトサン系吸着剤を除き、光学分割カラム(ダイセル
化学工業(株)製、商品名キラルセルOB)を用い、高
速液体クロマトグラフィーにて反応液の組成を測定し、
α−L−フェニルエチルアルコールの減少量(μmo
l)からエステルの転移量を求めた。また同様にキトサ
ン系吸着剤を添加しないでエステル転移反応を行い、同
様に処理し測定した。その結果を表3に示した。
【0027】
【表3】
【0028】試験番号s〜vおよびs´〜v´の結果か
ら明らかなように、アシル供与物質として脂肪酸ビニル
エステルの種類を変えた場合も、キトサン系吸着剤を反
応液中に共存させたとき、優れたエステル転移活性を示
した。
ら明らかなように、アシル供与物質として脂肪酸ビニル
エステルの種類を変えた場合も、キトサン系吸着剤を反
応液中に共存させたとき、優れたエステル転移活性を示
した。
【0029】
【発明の効果】本発明は生体触媒を用い、有機溶液中
で、光学活性アルコールのラセミ混合物に対して、脂肪
酸とビニルアルコールのエステルであるアシル供与物質
によりエステルの転移反応を行う際に、アシル供与物質
の0.01〜0.1倍重量の有機溶剤不溶性でアルデヒ
ドを吸着する吸着剤を共存させて反応を行うことを特徴
とするエステルの転移反応方法であり、有機溶剤中で、
アシル供与物質から、光学活性アルコールのラセミ混合
物の一方に、優先的にエステルの転移反応を行う際に、
生体触媒の失活を招くことなく、効率的にエステルの転
移反応が行える効果がある。
で、光学活性アルコールのラセミ混合物に対して、脂肪
酸とビニルアルコールのエステルであるアシル供与物質
によりエステルの転移反応を行う際に、アシル供与物質
の0.01〜0.1倍重量の有機溶剤不溶性でアルデヒ
ドを吸着する吸着剤を共存させて反応を行うことを特徴
とするエステルの転移反応方法であり、有機溶剤中で、
アシル供与物質から、光学活性アルコールのラセミ混合
物の一方に、優先的にエステルの転移反応を行う際に、
生体触媒の失活を招くことなく、効率的にエステルの転
移反応が行える効果がある。
Claims (1)
- 【請求項1】 固定化生体触媒を用い、有機溶剤中で、
光学活性アルコールのラセミ混合物に対して、脂肪酸と
ビニルアルコールのエステルであるアシル供与物質によ
りエステルの転移反応を行う際に、アシル供与物質の
0.01〜0.1倍重量の有機溶剤不溶性でアルデヒド
を吸着する吸着剤を共存させて反応を行うことを特徴と
するエステルの転移反応方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8104572A JP3018277B2 (ja) | 1996-04-02 | 1996-04-02 | エステルの転移反応方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8104572A JP3018277B2 (ja) | 1996-04-02 | 1996-04-02 | エステルの転移反応方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09271393A JPH09271393A (ja) | 1997-10-21 |
JP3018277B2 true JP3018277B2 (ja) | 2000-03-13 |
Family
ID=14384163
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP8104572A Expired - Fee Related JP3018277B2 (ja) | 1996-04-02 | 1996-04-02 | エステルの転移反応方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3018277B2 (ja) |
-
1996
- 1996-04-02 JP JP8104572A patent/JP3018277B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH09271393A (ja) | 1997-10-21 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |