JP2873012B2 - 酵母ベクター - Google Patents

酵母ベクター

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JP2873012B2 JP63502934A JP50293488A JP2873012B2 JP 2873012 B2 JP2873012 B2 JP 2873012B2 JP 63502934 A JP63502934 A JP 63502934A JP 50293488 A JP50293488 A JP 50293488A JP 2873012 B2 JP2873012 B2 JP 2873012B2
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    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N15/00Mutation or genetic engineering; DNA or RNA concerning genetic engineering, vectors, e.g. plasmids, or their isolation, preparation or purification; Use of hosts therefor
    • C12N15/09Recombinant DNA-technology
    • C12N15/63Introduction of foreign genetic material using vectors; Vectors; Use of hosts therefor; Regulation of expression
    • C12N15/79Vectors or expression systems specially adapted for eukaryotic hosts
    • C12N15/80Vectors or expression systems specially adapted for eukaryotic hosts for fungi
    • C12N15/81Vectors or expression systems specially adapted for eukaryotic hosts for fungi for yeasts

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、酵母、特にSaccharomyces cerevisiaeの遺
伝子工学に関する。
形質転換と言われる工程によつて、異種DNAが酵母細
胞に取込まれ、次いで遺伝的継承されて該DNAの発現が
行なわれる。形質転換についての最初の報告は1970年代
の後半に行なわれ、その時の形質転換は、酵母の細胞壁
を酵素の作用によつて除いてプロトプラストを得、これ
にDNAを加える方法を用いるものであつた(Hinnen et a
l.,1978;Beggs,1978)。最近ではインタクト酵母細胞を
用いた形質転換が証明されている(Hisac et al.,198
3)。
酵母は適当なプラスミドを用いて形質転換することが
でき、この目的のために通常、“シヤトルベクター”と
して構築されたプラスミドが使用されており、このシヤ
トルベクターはEscherichia coliあるいは酵母のいずれ
においても増殖することができる(Hinnen et al.,197
8;Beggs,1978;Struhl,et al.,1979)。
pBR322(Bolivar,1978)などのE.coliプラスミドDNA
配列がE.coli中に取込まれることによつてE.coli中での
ベクターDNAの量産が促進され、その結果酵母の形質転
換を効率良く行なうことができる。
酵母形質転換に一般的に使用されているプラスミドベ
クターは次の2つに大別される。即ち、(i)DNA複製
オリジンを有しているために、クロモゾームDNAに依存
することなく自己を維持することが出来る複製ベクタ
ー;及び(ii)クロモゾームDNAと組換えを起こし、宿
主細胞中の組換えDNAとして複製し自己を維持するイン
テグレイトベクターの2つである。複製ベクターは更
に、(a)酵母の同種2μmプラスミドから得られるDN
A複製オリジンを含む2μm由来プラスミドベクター;
(b)酵母のクロモゾームDNAから得られる見掛けの複
製オリジンを含む自己複製ベクター;及び(c)上記の
DNA複製オリジンの1つと更にセントロメアを含むこと
が知られている酵母クロモゾームDNA配列を有するセン
トロメアプラスミド(CEM)に分けられる。
上記したベクターで有効に酵母を形質転換するために
は、組換えDNAを保持する形質転換体を同定して選択す
ることが必要である。この選択は、ベクターDNA内に識
別可能な表現型を有する遺伝子を導入することによつて
達成される。実験室で酵母を形質転換するのに使用する
ベクターの場合には、LEU2,URA3,TRP1(Hinnen et al.,
1978;Beggs,1978;Gerbaud et al.,1979)などの原栄養
性遺伝子が通常使用され、これらは宿主の栄養要求性に
おける欠損を填補するように作用する。しかしながら、
発酵用酵母及び他の工業用途に用いられる酵母はしばし
ば倍数体であるため栄養要求性を示さず、従つて強力な
選択遺伝子に基づいた選択系を利用することが必要であ
る。この点に関連して、各種の耐性を発揮する遺伝子を
保持した2μm由来複製プラスミドベクターが報告され
ている。即ち、(i)G418(Jiminez et al.,1980;Webs
ter et al.,1983)、ハイグロマイシンB(Griz et a
l.,1983)、クロラムフエニコール(Cohen et al.,198
0;Hadfield et al.,1986)などの抗生物質に対して;及
び(ii)除草剤スルホメツロンメチル(Falco et al.,1
985)、コンパクチン(Rine et al.,1983)、銅(Hende
rson et al.,1985)などの他の毒性物質に対して耐性を
発揮する遺伝子を用いた例がある。
酵母中で組換え遺伝子が安定に継承されるか否かは、
形質転換に用いた酵母ベクターのタイプに依つている。
前記した2つのタイプのベクターのうちで安定なベクタ
ーはインテグレイトベクターである。酵母のインテグレ
イト形質転換の原理及び実際については文献(Botstein
& Davis,1982;Winston et al.,1983;Orr−Weaver et
al.,1983;Rothstein,1983)に記載されている。一般に
インテグレイト形質転換は比較的その効率が低く、閉環
状インテグレイトプラスミドの場合にはDNA1μg当り約
1−10個の形質転換体が得られることが報告されている
(Hinnen et al.,1979;Hicks et al.,1979)。しかしな
がら、酵母クロモゾームDNAと相同性を有するフリー末
端を持つ線状DNAは高い効率(100−1000倍)で酵母を形
質転換し、形質転換に用いたDNAは一般に開裂部位に対
して相同性を有する配列中に組込まれる(Orr−Weaver
et al.,1981)。従つて、適当な制限酵素を用いてベク
ターDNAを開裂することによつて、形質転換の効率を高
め、クロモゾームのインテグレイト部位を定めることが
可能である。形質転換の効率が十分に高く、かつクロモ
ゾーム内に組込まれるターゲツトDNA配列が、宿主細胞
の代謝に必須の遺伝子内に組込まれない場合には、発酵
用酵母の遺伝子的モデイフイケーシヨンにインテグレイ
ト形質転換を用いることかできる。最近、発酵用酵母に
用いるインテグレイト酵母ベクターについて報告されて
いる(Yocum,1985)。
インテグレイトベクターは選択を受けずに遺伝的に高
度に安定に継承されるが、複製ベクターはこれとは相違
して不安定である。遺伝的に継承される安定性は用いる
複製ベクターのタイプに依る。ARSプラスミドは高コピ
ー数で存在し(細胞1個当り約20−50コピー)、より安
定した傾向にあるが、1世代当り約10%以上の頻度で失
なわれる(Kikuchi,1983)。しかしながら、ARSプラス
ミドの安定性はセントロメアが結合することによつて上
昇する。セントロメアプラスミドは細胞1個当り1又2
コピーの割合いで存在し(Clarke & Carbon,1980)、
1世代当りわずかに1%が失なわれるにすぎない(Walm
sley et al.,1983)。キメラ2μm由来プラスミドは、
宿主の株及び該プラスミド中に存在する2μmDNA配列に
依つて各種の程度の遺伝的安定性を示す。
2μmプラスミドは細胞の核に存在していることが知
られている(Nelson & Fangnan,1979;Livingston & H
ahne,1979;Seligy et al.,1980;Takeo et al.,1980;Sig
urdson et al.,1981)が、メンデルの方法のように遺伝
されない(Livingston,1977)。2μmプラスミドを持
たない細胞(ciro)が、細胞1当り2μmプラスミドの
平均コピー数が50である半数体酵母集団から1世代当り
0.001%−0.01%の割合いで発生することが示されてい
る(Futcher & Cox,1983)。このような低レベルの遺
伝的不安定性の原因を説明するものとして、2μmプラ
スミドは通常の成長条件下しで細胞に対して何んらの利
点を有していないことが考えられる(Broach,1981;Futc
her & Cox,1983;Sigurdson et al.,1981)。しかしな
がら、2μmプラスミドを有している株について2μm
プラスミドが成長速度に対してわずかながら効果を及ぼ
していることが報告されている(Walmsley et al.,198
3)。S.cerevisiaeの各種の株を分析した所、発酵用酵
母(Tubb,1980;Aigle et al.,1984;Hinchliffe & Daub
ney,1986)などの酵母のほとんどの株に2μmプラスミ
ドが存在していたことが報告されている(Clark−Walke
r & Miklos,1974)。従つて、2μmプラスミドは常に
存在しており、このことが本質的に高度の遺伝的安定性
を有していることを示していると考えられている。
2μmプラスミドについての遺伝子分析及び分子分析
の結果、2μmプラスミドの複製及び安定性に関して多
くの情報が得られている(Volkert & Broach,1987)。
本質的にはこのプラスミドは6318塩基対の環状DNA分子
からなつている(Hartley & Donelson,1980)。そして
このプラスミドはユニークな二方向性のDNA複製オリジ
ンを有しており(Newlon et al.,1981)、これがすべて
の2μm由来ベクターの必須成分となつている。2μm
プラスミドは4つの遺伝子、即ちREP1,REP2,REP3及びFL
Pを含んでおり、これらが細胞1個当りのコピー数を高
く安定に維持するために必要とされている。REP1とREP2
遺伝子はトランス作用蛋白質をコードしており、この蛋
白質は、REP3遺伝子座と相互に作用して協力して機能を
発揮し、細胞分裂の際に2μmプラスミドの分割が安定
に行なわれるのを可能ならしめていると考えられている
(Volkert & Broach,1987)。この点に関して、REP3遺
伝子は、2μmプラスミドの安定な分離を行なうシス作
用遺伝子座として作用しており、クロモゾームセントロ
メアと類似の表現型を有している(Jayaram et al.,198
3;Kikuchi,1983)。2μmプラスミドの重要な特徴は、
2つの逆方向反復DNA配列(それぞれ559塩基対)が存在
することであり、この配列によつて環状分子が2つのユ
ニーク領域に分離されている。逆方向反復DNA配列の間
で分子内組換えが起こり、一方のユニーク領域が他のユ
ニーク領域に対して逆方向となり、A及びBと言われる
プラスミドの構造異性体が生じてin vivoで2つの異性
体を有する混合集団が産生される(Beggs,1978)。2つ
の逆方向反復配列間での組換えは、FLPと言われる遺伝
子の産生蛋白質によつて仲介され、FLP蛋白質が逆方向
反復領域内での高頻度の組換えを仲介することができ
る。この部位特異的組換えによつて、プラスミドコピー
数の増幅が実現されていると考えられている(Futcher,
1986;Volkert & Broach,1986;Som et al.,1988;Murray
et al.,1987)。
それぞれの逆方向反復配列は、3つのDNA反復配列サ
ブユニツト(第3図に三角形で示されている)を含んで
おり、そのうちの2つの隣接サブユニツトはお互いに同
じ方向性を有しており、他1つのサブユニツトは逆方向
であつて8塩基対結合又はスペーサー領域を介して他の
2つのサブユニツトのうちの1つに結合している。この
スペーサー領域はユニークXba I部位を有しており、FLP
遺伝子の生成物を認識しそしてその生成物によつてその
末端が切断される。それに隣接している配列は、他の逆
方向反復配列に対応する配列に対して相同性を有してお
り、従つて末端が切断された後に正確に組換えが行なわ
れる。Andrewsらによつて、8b.p.スペーサー領域を含む
74塩基対の配列がFLP部位特異的組換えには最低限必要
であることが見出された(Andrews et al.,1985)。
2μmプラスミドの複製系に基づいた酵母ベクター
は、2μmプラスミドの複製に必須ではない領域に異種
DNA配列を挿入することによつて構築される(Beggs,198
1)。このようなベクターには基本的に2つのタイプが
ある。即ち、(i)全2μmベクター及び(ii)2μm
オリジンベクターである。前者の場合には、2μmベク
ターの全てを有しており、そこにE.coliプラスミドDNA
などの各種の異種配列が挿入されている。このように挿
入されたプラスミドは、Cir+(2μm含有)及びCir°
(2μm欠損)宿主のいずれにおいても、高い遺伝的安
定性を有しており高いコピー数で維持される。他方後者
の2μmオリジンベクターは、通常、2μmのDNA複製
オリジンと2μmの599塩基対反復配列のシングルコピ
ーを有する最少DNA配列を持つのみであつて、このよう
なベクターはCir+宿主株でしか維持できない。何故な
ら、安定に維持されるためには、これらのベクターは、
内因性のプラスミドのREP1及びREP2遺伝子によつてコー
ドされる蛋白質をトランス作用蛋白質として用いる必要
があるためである。
異種遺伝子を発現して商業的に重要なポリペプチドを
高レベルで産生することのできる遺伝子的に修正された
酵母を構築する場合には、通常、高コピー数の酵母ベク
ターを選択することが望ましい。2μm由来ベクターは
発現プラスミドとして用いるには非常に好適であること
が証明されており、今日ではしばしば2μm由来ベクタ
ーが用いられている(Kingsman et al.,1985)。
欧州特許出願No.86303039.1(公開番号0201239A1、出
願人デルタ・バイオテクノロジーLtd)には、最初のビ
ール発酵時期には異種遺伝子の発現が起こらず、酵母の
量が蓄積されその後ビールから酵母を取り出すと異種蛋
白質の合成が誘導されるように、工業用酵母株を遺伝子
的に修正して発酵用酵母中で異種蛋白質を産生する方法
が記載されている。かかる方法は、強力な選択マーカー
CUP−1と修正ヒト血清蛋白質N−メチオニルアルブミ
ン(Met−HSA)をコードする遺伝子とを有する2μm由
来ベクターであつて該蛋白質の発現がガラクトース誘導
プロモーターによつて転与レベルで調節されているベク
ターで、発酵用酵母を形質転換することによつて達成さ
れる。上記の方法の実施期間中に、異種蛋白質の合成収
量を最大にするためには次のことを実現するのが必要で
ある。即ち、(i)発現される遺伝子(Met−HSAをコー
ドする)の高コピー数;(ii)非選択的な生育条件下に
おいて目的とする遺伝子の遺伝的安定性が高いこと;
(iii)発酵用酵母に導入される組換え遺伝子は、酵母
及び該酵母のビール並びに異種蛋白質の産生能に有害な
効果を与えないこと;及び(iv)酵母中に存在する組換
え遺伝子は、出来る限り、目的する遺伝子及びそれに隣
接する調節遺伝子に限るべきであること、である。上記
(ii)は特に重要であり、通常の発酵用酵母の生育メデ
イウム、即ちポツプが添加された麦芽抽出物に銅イオン
などの毒性物質を添加することは望ましくなくまた実用
的でない。銅イオンを添加する場合には、工程コストが
上昇し、第1の発酵生産物であるビールの質に有害で許
容し得ない効果を与えることになる。上記(iv)に関し
ては、遺伝子的に修正された酵母は、組換えプラスミド
のバクテリア由来の配列部分に起因する配列などの余分
なDNA配列を有していないのが望ましい。
本発明者の出願であつてEP−A−251744として公開さ
れた明細書には、目的するDNA配列を含有する相同性2
μmプラスミドDNA配列の2つのコピーが同じ方向性を
有しているインテグレイトベクターを構築し、このベク
ターで酵母を形質転換し、次いで得られる形質転換酵母
から、目的とするDNA配列が取込まれて修正された内因
性2μmプラスミドを保持する細胞を単離することによ
つて、内因性2μmプラスミドに目的とする蛋白質又は
ペプチドをコードするDNA配列を導入して、酵母細胞を
修正する方法が記載されている。インテグレイトベクタ
ー自体は、形質転換酵母細胞中で存続できない。相同性
2μmプラスミドDNA配列は、通常はそうではないが、
2μmプラスミド反復配列のコピーであつてもよい。
本発明者は、修正された2μmプラスミドを導入する
ことによつて酵母細胞を形質転換することのできる、上
記明細書に記載された方法の変法を見出した。
本発明の方法では、使用するプラスミドベクターは、
2つの同じ方向性を有している相同性2μmプラスミド
DNA FLP組換え部位の間に導入されているバクテリア中
でのベクターの増殖を可能にするDNA配列、目的とする
蛋白質又はペプチドをコードするDNA配列であつて必ず
しも必要ではないが好ましくは酵母に対して異種のDNA
配列、及び好ましくは選択マーカーDNA配列も含むベク
ターである。本発明の2μmプラスミドベクターは、FL
P組換え部位の3つのコピーを有しており、その1対は
同じ方向性を有しており、他の2対は逆の方向性を有し
ている。このような構成を有するプラスミドベクターで
酵母を形質転換すると、バクテリア中でのベクターの増
殖を可能にするDNA配列は自然に失われ、プラスミドベ
クターは、形質転換酵母の内因性2μmプラスドと置換
し得る修正2μmプラスミドとなる。この種のプラスミ
ドベクターを以後デイスインテグレイシヨンベクターと
いう。このようなベクターで形質転換された酵母は、目
的とする遺伝子を含みバクテリアDNAは含まない修正2
μmプラスミドの多数の染色体外コピーを有しており、
これらは非選択的生育条件下において遺伝的に安定に継
承されることが見出されている。
1986年秋の第13回目の“酵母遺伝子及び分子生物学”
についてのコンフエランスで、Bruschiは、2μ−由来
プラスミドの組換えによつてバクテリアDNA配列が除去
されることを報告したが、それは、その系がDNA分子の
構造と機能との関係を研究するのに用いることができる
ことを示唆したにすぎない。本発明者らは、同様の系
が、予期せぬ安定性を有する有利な発現ベクターの構築
に用いることができることを見出した。
本明細書で用いる“FLP組換え部位”とは、FLP遺伝子
生産物との相互作用の結果、組換えが可能な部位のいず
れをも意味する。もしAndrewらの知見(1985)が正しい
ならば、FLP組換え部位は、通常彼らによつて同定され
た74b.p配列をその最少配列として有している。実際
に、全反復配列の599塩基対以上を含んでいたとしても
何んらの特徴もない。またFLP組換え部位は、文献Volke
rt及びBroach(1986)Cell46,541−550;及びFutcher(1
988)Yeast4,27−40に記載されているように、FLP組換
えターゲットもしくは認識ターゲット部位を指す。
本発明の2μm由来デイスインテグレイシヨンベクタ
ーは、実験室及び工業用のいずれの酵母も形質転換でき
ることが見出された。このベクターは、細胞1個当り高
コピー数で維持され且つ非常に高い遺伝的安定性を有し
ている。更には、これまで報告されている他の2μm由
来ベクターと異なつて、本発明のデイスインテグレイシ
ヨンベクターは、酵母が形質転換される際に、バクテリ
アプラスミドDNA配列が自然に除去されるように構築さ
れている。かくして、2μmプラスミドに導入された目
的とする遺伝子が、非選択的生育条件においても余分な
バクテリアプラスミドDNA配列が存在することなく細胞
1当りのコピー数が高い状態で維持される発酵用酵母の
遺伝子的修正株が構築できる。このようなベクターを用
いて遺伝子的に修正された発酵用酵母を構築することに
より、目的とする遺伝子のみが発酵用酵母の後の世代ま
で安定に維持され、これによつて、付加的なDNA配列が
酵母の挙動及び/又は酵母によつて産生されるビールの
香り並びに特質に与える有害な効果を除去できる。
実際には、目的とする遺伝子はいずれの組換え遺伝子
であつてもよく、また酵母に対して異種のものでも同種
のものでもよい。本発明のデイスインテグレイシヨンベ
クターは例えば、発酵用酵母にMet−HSA遺伝子を安定に
インテグレイトするのに用いることがてき、この遺伝子
は、例えばEP−A−147198号明細書に記載された方法に
従つてホスホグリセレートキナーゼプロモーター(PG
K)により、あるいは例えばEP−A−201239号明細書に
記載されたGAL10/CYC1ハイブリツドプロモーターあるい
はEP−A−258067号明細書に記載されたGAL/PGKプロモ
ーターなどの調節酵母プロモーターによつて発現され
る。
本発明の系によつて安定に維持される付加的な遺伝子
は、例えば、発酵用酵母での細胞外グルコアミラーゼ酵
素の産生を規定するSaccharomyces diastaticusのDEX1
遺伝子,発酵用酵母でのエンド−1,2−1,4−β−グルカ
ナーゼの産生を規定するBacillus subtilisのβ−グル
カナーゼ遺伝子(Hinchliff & Box,1985)などであ
る。このような遺伝子は、遺伝子の発現レベルをコント
ロールし及び/又は遺伝子によつて産生される蛋白質が
発酵用酵母から分泌されるように、最初に遺伝子的に修
正することができる。
本発明の新しいデイスインテグレイシヨンベクター
は、EP−A−201239号明細書に記載された工程に用いる
のが特に有利である。なぜなら、この工程によれば、目
的とする遺伝子はビールの発酵の間は発現されずまた酵
母の通常の生育条件下でも発現されず、発酵後の工程で
発現されるように調節されているためである。従つて、
目的とする遺伝子の高レベル発現の時期と、細胞増殖に
よつて酵母のバイオマスが合成される時期とが分離され
ており、これによつて、プラス安定性に及ぼす遺伝子発
現の悪影響を最少にすることができる。
本発明のベクターは、(i)バクテリア宿主中での当
該ベクターの増殖に必要なバクテリアプラスミドDNA配
列;(ii)エキストラ2μmFLP組換え部位;(iii)目
的とする蛋白質又はペプチドをコードするDNA配列;及
び(iv)酵母形質転換体用の選択マーカーDNA配列を有
する完全2μmプラスミドを含むデイスインテグレイシ
ヨンベクター(前記定義の通り)であつて、2μmプラ
スミドの2つの逆方向反復配列の1つの配列内の制限酵
素部位に該バクテリアプラスミドDNA配列が存在し且つ
該エキストラ2μmFLP組換え部位が作成されていて、該
逆方向反復配列の1つの配列内の内因性FLP組換え部位
に対して同じ方向性を有して該エキストラFLP組換え部
位が存在しており、該エキストラFLP組換え部位と該逆
方向反復配列の1つの配列内の内因性FLP組換え部位と
の間に該バクテリアプラスミドDNA配列がはさまれてい
るデイスインテグレイシヨンベクターが好ましい。
このような本発明の好ましいデイスインテグレイシヨ
ンベクターは、1つもしくはそれ以上のバクテリアプラ
スミドDNA配列と、2μmプラスミドから得られる74塩
基対FLP組換え部位のエキストラコピーとが挿入された
完全2μmプラスミドからなる。更には、酵母形質転換
体用の選択マーカー例えばCUP−1と共に線状に並んだ
目的とする遺伝子が、2μmプラスミドの第2の部位に
挿入されている。バクテリアプラスミドDNA配列と酵母D
NA反復配列とが、全2μmプラスミドの2つの逆方向反
復配列の1つのコピー内の例えばXba I部位に挿入され
ている。DNA反復配列の正しい方向は、プラスミドの機
能に必須であり、例えばE.coliでの増殖に必要なバクテ
リアプラスミド配列は、2μmプラスミドのFLP組換え
部位の同じ方向性を有する2つのコピーの間にはさまれ
るようにプラスミドが構築される。DNA配列の配置は、
第3図に詳しく説明されている。このように構築するこ
とによつて、プラスミドを酵母に導入した時に2つの同
じ方向性を有するDNA反復配列の間で生じる部位特異的
組換えによりプラスミドから除かれるようなDNAの領域
内に、バクテリアプラスミドDNA配列を配置することが
できる。この部位特異的組換えは、2μmプラスミドの
FLP遺伝子生産物によつて仲介され、この生産物は、cir
+細胞を形質転換した場合には酵母の内因性2μmプラ
スミドによつて供給され、cir0細胞を形質転換した場合
にはデイスインテグレイシヨンベクター自身によつて供
給される。本発明のベクターは、形質転換酵母の内因性
2μmプラスミドを補なうのに使用すことができ、また
組換えはcir0細胞の方が速く起こることから、本発明の
ベクターは完全2μmプラスミドに基づくのが好まし
い。しかしながら、本発明のベクターが内因性2μmプ
ラスミドと共に存在する場合には、該ベクター中にない
REP1,REP2,REP3,FLPなどの遺伝子は、これら遺伝子の生
産物であるトランス作用蛋白質として供給される。これ
らのすべては複製のオリジンに必要なものである。
以下に詳述するように、バクテリアDNA配列を有する
挿入用DNA配列は、そのそれぞれの末端に反復配列のそ
れぞれの部分を保持していてもよく、この場合には該挿
入用DNA配列は、内因性組換え部位が破壊されて新たに
2つの新しいFLP組換え部位が形成されるように内因性
反復配列内に挿入され、このFLP組換え部位はそれぞれ
内因性組換え部位と挿入された挿入用DNAの相補性部分
とからなつている。あるいはまた、完全なFLP組換え部
位を挿入用DNA配列の一端に導入し、次いで得られるDNA
配列を、バクテリアDNA配列が内因性反復配列と挿入用
反復配列との間に存在するように、内因性反復配列に隣
接して又は離れて挿入される。挿入用DNA配列が、内因
性反復配列からか離れた位置に挿入される場合には、内
因性反復配列と挿入された反復DNA配列との間の内因性D
NA配列はバクテリアDNA配列とともに除去される。従つ
てこのDNA配列が必要な場合には、挿入用反復配列の内
因性反復配列から離れた側に(好ましくは挿入されるDN
A配列上に)更にこのDNA配列の1つのコピーを置く必要
がある。
目的とする遺伝子を挿入するインテグラル2μmプラ
スミドの部位は、該挿入によるプラスミドコピー数及び
遺伝的安定性への効果が最少にするように選択される。
従つて、REP1,REP2,REP3及びFLP遺伝子に対して害を与
えないような部位に目的とする遺伝子を挿入するのが好
ましく、特に、プラスミドを酵母のcir0宿主株の形質転
換に用いる場合にはそのようにするのが好ましい。
本発明のデイスインテグレイシヨンベクターの1つの
有利な特徴点は、それをcir+酵母株に導入した場合には
それがインテグラル2μmプラスミドを有しているため
にバクテリアプラスミド配列が除去される間または除去
された後にそれが内因性2μmプラスミドを補なうこと
ができることである。同様の状態については酵母のcir+
宿主株に導入された全2μmベクターについても報告さ
れている(Harford & Peters,1987)。本発明のデイス
インテグレイシヨンベクターは、酵母株の内因性2μm
プラスミドを補なうために用いることもできる。
添付した図面においては以下のことが示されている。
第1図は、プラスミドpBA112(Andrews,et al.,198
5)を示す。細い線は、バクテリアプラスミドpUC9から
誘導されるDNA配列を示し、太い棒状の囲いは、FLP組換
え部位を含む74塩基対DNAフラグメントを示し、三角形
は、それぞれのFLP組換え部位内の3つの内部DNA反復配
列の方向を示す(Andrews,et al.,1985)。
第2図は、プラスミドpSAC112を示す。プラスミドpSA
C112は、Bam H I,Pst I及びHind III部位が除去されて
いる以外はpBA112と同じである。
第3図は、プラスミドpSAC3を示す。太い線は、バク
テリアプラスミドpUC9のDNA配列を示し、太い棒状の囲
いは、FLP組換え部位を含む74塩基対DNAフラグメントを
示し、細い線は2μmプラスミドDNA配列を示し、三角
形は、それぞれのFLP組換え部位内の3つの内部DNA反復
配列の方向を示す。
第4図は、プラスミドpSAC3U1を示し、記号は第3図
と同じである。
第5図は、pSAC3U2のプラスミドマツプを示し、記号
は第3図と同じである。
第6図は、pSAC300のプラスミドマツプを示し、記号
は第3図と同じである。
第7図は、pSAC310のプラスミドマツプを示し、記号
は第3図と同じである。
第8図は、pSAC3C1のプラスミドマツプを示し、記号
は第3図と同じである。
第9図は、半数体酵母の生育を示す写真に基づいた図
面であり、URA3及びバクテリアbla遺伝子の遺伝的安定
性を示す。
第10図は、32Pでラベル化したpSAC3DNAでプローブし
た全酵母DNAのオートラジオグラフイーを示す。
以下に、本発明を実施例により説明する。
実施例1 プラスミドの構築 プラスミドpBA112(第1図,Andrews,et al.,1985)
を、制限酵素BamH I及びHind IIIで同時に消化すること
によつてプラスミドpSAC112(第2図)を構築した。線
状プラスミドDNAを、0.3mMdNTP(dATP,dTTP,dCTP,及びd
GTP)の存在下で37℃10分間、DNAポリメラーゼI(クレ
ノー)で処理した。DNAをフエノール:クロロホルムで
抽出し、エタノール沈殿し、次いでT4DNAリガーゼの存
在下で15℃で1晩インキユベートした。連結されたDNA
をE.coli株MC1061(CasadabanとCohen,1980)に導入
し、得られる形質転換体からプラスミドpSAC112を単離
し、BirnboimとDoly(1980)の方法によつて同定し特徴
付けを行なつた。
以下のようにしてプラスミドpSAC3(第3図)を構築
した。Guerineau,et al.,(1974)に記載された方法と
同様にしてDRI9株から、酵母2μmプラスミドDNAを単
離した。精製した2μmプラスミドDNAを、Maniatis,et
al.,(1982)に記載された方法と同様にして、制限酵
素Xba Iで部分消化し、Xba Iで開裂したpSAC112に連結
した。連結して得られるDNAをE.coli株AG1(NBL Enzyme
s Ltd.,Cramlington,Englandから入手した)に導入し
た。得られるアンピシリン耐性の形質転換体について、
プラスミドpYF92(Storms,R.K.et al.,1979)から得た
32Pラベル化2.2キロ塩基対EcoR Iフラグメントとのコロ
ニーハイブリダイゼーシヨンにより(GrunsteinとHogne
ss,1975)、2μmプラスミドに対する相同性をスクリ
ーニングした。2μmプラスミドに特異的なDNAプロー
ブに対して相同性を示すコロニーを単離し、そのプラス
ミドDNAを制限酵素マツピング法により特徴付けした。
かくしてプラスミドpSAC3を得た。
プラスミドpSAC3を制限酵素Pst Iで開裂することによ
つて、プラスミドpSAC3U1(第4図)及びpSAC3U2(第5
図)を構築した。線状DNAを、0.3mM dNTP(dATP,dTTP,d
CTP及びdGTP)の存在下で37℃で10分間、T4DNAポリメラ
ーゼで処理してブラント末端とした。DNAをフエノー
ル:クロロホルムで抽出し、リゲーシヨンを行なう前に
エタノール沈殿に付した。プラスミドpJDB110(Beggs,1
981)を、制限酵素Hind IIIで消化し、DNAフラグメント
を1%ゲルのアガロースゲルを電気泳動に付した。酵母
のURA3遺伝子を有する1.1キロ塩基対DNAフラグメントを
ゲルから単離し(Maniatis,et al.,1982)、0.3mA dNTP
(dATP,dTTP,dCTP及びdGTP)の存在下でDNAポリメラー
ゼI(クレノー)で処理した。1.1キロ塩基対Hind III
フラグメントをフエノール:クロロホルムで抽出し、エ
タノール沈殿に付し、上記で調製した線状pSAC3DNAとブ
ラント末端で連結した。得られる連結DNAをE.coli株AG1
に導入した。得られるアンピシリン耐性形質転換体につ
いて、プラスミドpJDB110から精製される1.1キロ塩基対
Hind IIIフラグメントの32Pラベル体を用いたコロニー
ハイブリダイゼーシヨンにより(GrunsteinとHogness,1
975)、URA3遺伝子に対する相同性をスクリーニングし
た。URA3遺伝子プローブに対して相同性を示すコロニー
から、プラスミドpSAC3U1(第4図)及びpSAC3U2(第5
図)を単離した。また、URA3遺伝子を含む1.1キロ塩基
対Hind III DNAフラグメントを、pSAC3のユニークEag I
部位及びSnaB I部位にブラント末端で連結して、pSAC30
0(第6図)及びpSAC310(第7図)と命名されたプラス
ミドをぞれぞれ得た。
プラスミドpET13:1(Henderson,et al.,1985)から得
られるCUP1遺伝子を保持する694塩基対Xba I−Kpn I DN
Aフラグメントを、pSAC3のユニークPst I部位へブラン
ト末端で連結することによつて、プラスミドpSAC3C1
(第8図)を構築した。
プラスミドpSAC3U1及びpSAC3U2による酵母の形質転換 デイスインテグレイシヨンベクターpSAC3U1(第4
図)及びpSAC3U2(第5図)は、2μmBフオームのユニ
ークPst I部位に挿入された選択酵母遺伝子URA3をそれ
ぞれ含むように構築されている。更には、それぞれのプ
ラスミドは、同じ方向性を有するFLP組換え部位の2つ
のコピーに接しているバクテリアプラスミドpUC9から得
られるDNA配列を保持している。pUC9DNAの位置は、これ
らの同じ方向性を有する2つのFLP組換え部位の間でのF
LPを介しての組換えが起こり、その結果、酵母の形質転
換の際にバクテリアプラスミドDNAが除去されるような
位置にある。Ito(1983)の方法に従つて、プラスミドp
SAC3U1及びpSAC3U2、半数体酵母株S150−2Bのcir+及びc
ir0誘導体株(Cashmore,et al.,1986)を形質転換して
ウラシル原栄養株とした。得られるURA形質転換体につ
いて、ChevalierとAigle(1979)の方法により、酵母で
のβ−ラクタム特異的酵素β−ラクタマーゼをコードす
るバクテリクアbla遺伝子の遺伝的継承性をスクリーニ
ングした。第9図にその結果が示されており、それによ
れば、両者のプラスミドは、全てのcir0株の形質転換体
においてURA+遺伝子からbla遺伝子を分離(segregate)
しており、酵母の形質転換の際に、プラスミドからバク
テリアDNA配列が除去されたことを示している。しかし
ながら、cir+株のURA+形質転換体の大部分については、
bla遺伝子が遺伝的に継承されていることが観察された
(pSAC3U1については20のうち15株、pSAC3U2については
20のうち18株)。これらのデータから、プラスミドの分
解、即ちFLPによるバクテリアプラスミドDNAの除去は、
cir+株よりもcir0株の形質転換の際により多く生じるこ
とが示されている。
形質転換体の分子分析 bla遺伝子を分離したURA+形質転換体(即ち、β−ラ
クタマーゼ・ネガテイブ・クローン,bla-)が、実際に
bla遺伝子とそれに隣接したバクテリアプラスミドDNA配
列を失なつているか否かを調べるために、酵母DNAを分
析した。pSAC3U1又はpSAC3U2で形質転換されたcir+及び
cir0株の2つのURA+bla-形質転換体を、ウラシルを含ま
ない選択最少培地で生育せしめて、以下に示す方法でそ
の全DNAを抽出した。よく生育した細胞を採取し、それ
らを、1Mソルビトール,0.025Mエチレンジアミンテトラ
酢酸(EDTA)pH8.0,8mg/mlジチオスレイトールの5mlに2
8℃で15分間再懸濁した。次いで、細胞を採取し、1.2M
ソルビトール,0.1Mクエン酸ナトリウム,0.01M EDTApH5.
8,0.025μl/mlザイモリアーゼ(キリンビール,Co.Ltd)
の5mlに28℃で、プロトプラストが得られるまで再懸濁
した。得られるプロトプラストを、1.2Mソルビトールで
3回洗浄し、3%サルコシル,0.5Mトリス/HCl pH7.5,0.
2M EDTA,100μl/mlプロテインアーゼKの1mlに55℃で60
分間再懸濁した。クロロホルム:イソプロパノール,フ
エノール,クロロホルム,次いでエーテルでDNA調製物
を抽出し、10mMトリス/HCl,1mM EDTA pH8に対して透析
した。酵母全DNAを、制限酵素EcoR I,Xba I及びPst Iで
消化し、得られるDNAフラグメントをアガロース電気泳
動で分離した。サザントランスフアー(Maniatis,et a
l.,1982)に従い、酵母全DNAを32Pラベル化pSAC3DNAに
ハイブリダイズさせた。その結果は第10図に示されてお
り、第10図は、32Pラベル化pSAC3DNAでプローブされた
酵母全DNAのオートラジオグラフイーを示している。プ
ラスミドpSAC3U1又はpSAC3U2で形質転換されたS150−2B
cir+株からDNAを単離した。それぞれの株/プラスミド
の組合わせの2つの形質転換体をA,Bと命名し、それら
を分析した。DNAは次のように制限酵素で消化した。
Xba I:トラツク1−4及び21−24 Pst I:トラツク5−12 EcoR I:トラツク13−20。
酵母の内因性2μmプラスミドの存在する公知の制限
酵素部位(HartleyとDonelson,1980)及び組換えプラス
ミドpSAC3U1及びpSAC3U2に基づき、プラスミドpSAC3に
対するハイブリダイゼーシヨンパターンを予想すること
が出来る。予想されるハイブリダイゼーシヨンパターン
を表1に示した。
カツコ内に示した数字は、分解したプラスミドがFLP
による内部変換を受けた場合に生じるフラグメントを示
すものである。
ハイブリダイゼーシヨンの結果(第10図)とその予想
(表1)とを比較すると、それぞれの形質転換体におい
て、同じ方向を有するFLP組換え部位内にあるバクテリ
アプラスミドDNA配列の除去に相当する欠失を組換えプ
ラスミドが受けたことが判る。更には、pSAC3U2/Bと命
名された形質転換体の場合には、S150−2B株の内因性2
μmプラスミドはもはや存在していない。このことは、
プラスミドpSAC3U2でcir+が形質転換されることによつ
て内因性2μmプラスミドが補なわれたことを示してい
る。
更に、プラスミドpSAC3U1とpSAC3U2が酵母の形質転換
の際にバクテリアプラスミドDNA配列の除去を受けたこ
とは、32Pラベル化pUC9DNA(VieiraとMessing,1982)に
対する上記したDNA調製物のハイブリダイゼーシヨンか
らも明らかである。URA+bla-形質転換体は、このDNAプ
ローブに対してハイブリダイズしなかつた。
酵母形質転換の際のプラスミドpSAC300,pSAC310及びpSA
C1の分解 URA+プラスミドpSAC300及びpSAC310を用いて、S150−
2Bのcir+及びcir0誘導体株を形質転換し、得られる形質
転換体のURA及びbla表現型を調べた。全ての場合におい
て、それらの表現型が失なわれていることが観察され
た。即ち、pSAC300及びpSAC310は酵母の形質転換の際に
バクテリアベクターDNAを除去することができる。この
点に関して、プラスミドpSAC300の場合には、S150−2B
のcir+誘導体株のbla-形質転換体が有意に高い比率で生
じることが観察された。このことについてはどのように
説明すべきかは判らない。しかしながら、次の可能性が
ある。即ち、pSAC300にURA3遺伝子が挿入されたことに
よつてEag I部位がこわれ、隣接しているFLP遺伝子の発
現が障害を受け、その結果FLPレコンビナーゼの発現が
高くなつた可能性がある。
プラスミドpSAC3C1を、銅感受性工業用酵母、特に発
酵用酵母の形質転換に用いることを考えた。即ち、Hinc
hliffeとDaubney(1986)に記載されているBassラーガ
ービール酵母BB11.0をpSAC3C1で形質転換した。次い
で、得られる銅耐性形質転換体について、β−ラクタマ
ーゼプレートアツセイによりbla表現型が存在するか否
かをチエツクした。テストした形質転換体の約18%がbl
a-銅耐性を示し、このことは、発酵用酵母宿主において
プラスミドpSAC3C1のin vivo分解が起つたことを示して
いる。
プラスミドpSAC300,pSAC310及びpSAC3C1のin vivo分
解について、表現型が失なわれた適当な宿主株の分子上
の特徴付けを十分に行なうことによつて分解が生じてい
ることを確認した。即ち、上記した32P−pUC9DNAに対し
て酵母全DNAをハイブリダイズさせた所、bla-誘導体株
については何んら相同性も検出されなかつた。
“分解”形質転換体のプラスミド安定性 pSAC3U1,pSAC3U2,pSAC300及びpSAC310の分解されたプ
ラスミド誘導体を保持するS150−2Bのcir+及びcir0株に
おけるURA+表現型の遺伝的安定性を、2%w/vグルコー
スを含YPD中で非選択的に酵母を生育せしめ、同じ最少
培地上にプレートし、次いでウラシルを欠いた最少培地
にレプリカプレートすることによつて調べた。1世代当
りのプラスミド欠損パーセントを計算し、表2に示し
た。
表2の結果から判るように、すべての分解された(デ
イスインテグレイトされた)ベクターは、S150−2Bのci
r+及びcir0誘導体株中で不安定である。しかしながら、
特にpSAC3U1,pSAC3U2及びpSAC310の不安定性のレベル
は、S150−2B中での他のURA+2μm由来組換えベクター
(Cashmore,et al.,1986)よりも少なくともワンオーダ
ー低い。
pSAC3の2μmプラスミド部分のユニークEag I部位に
URA3遺伝子を挿入することによつて、pSAC3U1,pSAC3U2
及びpSAC310から誘導される分解されたプラスミド誘導
体よりも安定性が低い分解されたプラスミド誘導体が得
られることは注目に値する。従つて、選択マーカーの挿
入部位が、得られる分解されたプラスミド誘導体の安定
性に対して大きな効果を与えることが明らかである。こ
の点に関して、2μmプラスミドのユニークSnaBa及びP
st I部位が組換え遺伝子の導入に適した遺伝子座を形成
することが明らかである。何故なら、このような部位へ
の挿入によつてプラスミドの安定性が悪影響を受けない
からである。
発酵用酵母の“分解”形質転換体でのプラスミド安定性 BB11.0のpSAC3C1形質転換体の分解されたプラスミド
誘導体を有する分解形質転換体について、銅耐性表現型
の安定性を調べた。上記したと同様にしてプラスミド安
定性の実験を行なつた所、非選択的生育条件下で1世代
当り0.014%のプラスミド欠損が観察された。この結果
から、pSAC3C1の分解されたプラスミド誘導対は発酵用
酵母株BB11.0中で非常に安定であり、組換え2μm由来
酵母ベクターについてこれまで観察されたことのない程
度の安定性を有している。
酵母中で目的とする遺伝子を安定に維持するためにデ
イスインテグレイシヨンベクターを使用することができ
る プラスミドpSAC3はユニークPSt I部位及びユニークSn
aB I部位を有しており、これらのいずれにDNA配列を挿
入しても、酵母でのプラスミドの分解誘導体の表現型の
安定性に対して悪い影響を与えることなく、DNA配列を
挿入することができる。これらの部位は、目的とする遺
伝子、例えばS.diastaticusのDEX−1遺伝子及び酵母プ
ロモーターで発現されるヒト血清アルブミン遺伝子の導
入のための遺伝子座として用いることができる。公知の
方法を用いて、酵母形質転換体の選択マーカーとともに
このような遺伝子をこのようなユニーク遺伝子座に挿入
することができる。あるいは、プラスミドpSAC3U1,pSAC
3U2,pSAC310及びpSAC3C1は、目的とする遺伝子を挿入す
るための受容体として用いることができる。この点に関
しては、プラスミドpSAC3U1,pSAC3U2及びpSAC310は、UR
A3遺伝子の3′−非翻訳領域にユニークSma I部位を有
している(Rose et al.,1984)。このSma I部位を、適
当な目的とする遺伝子を挿入するための遺伝子座として
用いることができる。
目的とする遺伝子を直接的にあるいは間接的に挿入す
るために(例えばURA遺伝子を挿入し、次いでそのSma I
部位に目的とする遺伝子を挿入するような場合)SnaB I
部位を用いることが望ましいか否かは、ベクターの分解
に依つている。即ち、バクテリアDNA配列の除去に依つ
ており、このことが本発明の他の1つの局面を形成して
いる。一般に、挿入された遺伝子から内因正2μm領
域、特に酵母の複製オリジン(ori)から離れたSnaB I
部位側のSTB領域まで転写が行なわれるのを止めるのが
望まれている。従つて、挿入される配列は、(a)目的
とする遺伝子、(b)そのori側に隣接した部位上にあ
るプロモーター及び(c)目的とする遺伝子の下流であ
つて且つ目的とする遺伝子とSTB領域との間にある3′
−転写ターミネーターからなるのが好ましい。
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s,323. Yocum,(1985),欧州特許出願No.163491. 組換え前においては、同じ方向を有する2つのFLP組
換え部位のみと、希望しない例えばそれらの間にあるバ
クテリアDNA(例えば組換え部位のペアーによつて分離
されたプラスミドの2つの部分の短い配列として)とを
有するプラスミドを構築してもよい。組換え後は、この
ようなプラスミドは1個の組換え部位を有し、従つて通
常の2μm組換えを起こさず、A型とB型の混合集団と
ならない。このようなプラスミドは上記したプラスミド
よりも不安定であるが、本発明の1局面を形成しそのも
のもクレームされる。
フロントページの続き (72)発明者 チネリィ,シモン アンドリュー イギリス国 エヌジー13 8イーティ ー,ノッティンガムシャー,ビンガム, マスターズ ロード,4 (56)参考文献 The HMBO J.,1986,Vo l.5,No.12,p3391−3399 Ce ll,Vol.46,1986,P541−550 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C12N 15/00 - 15/90 C12N 1/00 - 7/08 BIOSIS(DIALOG)

Claims (18)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a)バクテリアDNA配列、(b)3つのF
    LP組換えターゲットもしくは認識ターゲット部位、複製
    の起源(ori)及びSTB遺伝子からなる酵母2μmプラス
    ミド由来のDNA、並びに(c)関心蛋白質又はペプチド
    をコードするDNA配列から構成される2μmプラスミド
    ベクターであって;上記FLP組換えターゲットもしくは
    認識ターゲット部位の1対は同一方向性、他の2対は逆
    方向性にあり;上記バクテリア配列は、酵母が上記ベク
    ターでトランスフォームされた場合上記バクテリア配列
    が消失するように同一方向性にある上記1対のFLP組換
    えターゲットもしくは認識ターゲット部位の間に位置
    し;関心蛋白質又はペプチドをコードするDNA配列は同
    一方向性にある上記1対の部位の間に位置せず;関心蛋
    白質又はペプチドをコードする上記DNA配列はさらに、
    2μmプラスミド由来のDNA中oriとSTB遺伝子の間に、
    上記DNA配列の転写がori又はSTBに連続しないように配
    置される2μmプラスミドベクター。
  2. 【請求項2】選択マーカーDNA配列を含む「請求項1」
    に記載の2μmプラスミドベクター。
  3. 【請求項3】バクテリア配列はバクテリア内でのベクタ
    ーの複製を可能にする配列からなる「請求項1」に記載
    の2μmプラスミドベクター。
  4. 【請求項4】バクテリア配列はすべて、同一方向性にあ
    る上記1対の部位の間に位置する「請求項3」に記載の
    つ2μmプラスミドベクター。
  5. 【請求項5】関心蛋白質又はペプチドをコードするDNA
    配列は酵母に対して異種である「請求項1」に記載の2
    μmプラスミドベクター。
  6. 【請求項6】関心蛋白質又はペプチドをコードするDNA
    配列は、5′末端において酵母内で機能する分泌リーダ
    ー配列を介して酵母内で機能する遺伝子プロモーター
    に、3′末端において酵母内で機能する転写ターミネー
    ションシグナルに融合したHSAをコードするDNA配列であ
    る「請求項5」に記載の2μmプラスミドベクター。
  7. 【請求項7】関心蛋白質又はペプチドをコードするDNA
    配列は、5′末端でGAL/CYC1又はGAL/PGKハイブリッド
    プロモーターに、3′末端において酵母内で機能する転
    写ターミネーションシグナルに融合したMET−HSA遺伝子
    である「請求項6」に記載の2μmプラスミドベクタ
    ー。
  8. 【請求項8】関心蛋白質又はペプチドをコードするDNA
    配列は、5′末端において酵母内で機能する分泌リーダ
    ー配列を介して酵母内で機能する遺伝子プロモーター
    に、3′末端において酵母内で機能する転写ターミネー
    ションシグナルに融合したSaccharomyces cerevisiae v
    ar.diastaticusのDEX−1遺伝子であるか又はBacillus
    subtilisのβ−グルカナーゼをコードするDNA配列であ
    る「請求項1」に記載の2μmプラスミドベクター。
  9. 【請求項9】SnaBI部位に直接的又は間接的に挿入され
    た関心遺伝子を運搬する「請求項1」に記載の2μmプ
    ラスミドベクター。
  10. 【請求項10】「請求項1」に記載の2μmプラスミド
    ベクターの製造方法において、複製の起源(ori)及びS
    TB遺伝子を含有する完全2μmプラスミドベクターに
    (i)酵母のトランスフォーマントを選択するためのDN
    A配列、(ii)関心蛋白質又はペプチドをコードするDNA
    配列、並びに(iii)(a)バクテリア中でのベクター
    の増殖を可能にするバクテリアプラスミドDNA、及び
    (b)余分のFLP組換えターゲットもしくは認識ターゲ
    ット部位がベクター中に創成されて上記バクテリアDNA
    が互いに同一の方向性にある2つのFLP組換えターゲッ
    トもしくは認識ターゲット部位の間に挟まれるようなFL
    P組換えターゲットもしくは認識ターゲット部位のエレ
    メントからなる挿入体を挿入し、この場合関心蛋白質又
    はペプチドをコードする上記DNA配列は2μmプラスミ
    ド由来のoriとSTB遺伝子の間に、上記DNA配列の転写がo
    ri又はSTBを通って連続しないように挿入する方法。
  11. 【請求項11】挿入体は内因性FLP組換えターゲットも
    しくは認識ターゲット部位のユニークなXbaI部位に挿入
    され、挿入体の一方の末端はFLP組換えターゲットもし
    くは認識ターゲット部位の一方の末端を、挿入体の他方
    の末端はFLP組換えターゲットもしくは認識ターゲット
    部位の他方の末端を有する「請求項10」に記載の方法。
  12. 【請求項12】複製の起源(ori)及びSTB遺伝子を有
    し、酵母に対して異種である関心蛋白質又はペプチドを
    コードする非バクテリアDNA配列からなる2μmプラス
    ミドを含有する酵母細胞であり、プラスミドは上記細胞
    中にトランスフォームされた非バクテリアDNAからな
    り、関心蛋白質又はペプチドをコードする上記DNA配列
    は上記DNA配列の転写がori又はSTBを通って連続しない
    ようにoriとSTB遺伝子の間に配置される酵母細胞。
  13. 【請求項13】「請求項12」に記載の酵母細胞から細胞
    の繁殖及びその子孫細胞の繁殖によって誘導されて、酵
    母に対し異種である関心蛋白質又はペプチドをコードす
    るDNA配列に含有し、プラスミドは非バクテリアDNAから
    なる酵母細胞。
  14. 【請求項14】「請求項1」に記載の2μmプラスミド
    ベクターでトランスフォームされた醸造用酵母又は実験
    室用酵母。
  15. 【請求項15】「請求項14」に記載の2μmプラスミド
    ベクターでトランスフォームされた醸造用酵母又は実験
    室用酵母。
  16. 【請求項16】「請求項12〜15」のいずれかに記載の酵
    母を発酵させ、ついで関心蛋白質又はペプチドを分離す
    ることからなる関心蛋白質又はペプチドの製造方法。
  17. 【請求項17】SnaBI部位に直接的又は間接的に挿入さ
    れた関心遺伝子を運搬する2μmプラスミドベクター。
  18. 【請求項18】バクテリアDNA配列、1対の部位は同一
    方向性、他の2対の部位は逆方向性にある3つのFLP組
    換えターゲットもしくは認識ターゲット部位、及び関心
    蛋白質又はペプチドをコードするDNA配列から構成さ
    れ、上記バクテリア配列は、酵母が当該2μmベクター
    でトランスフォームされた場合、上記バクテリア配列が
    消失するように同一方向性にある上記1対の部位の間に
    位置し、関心蛋白質又はペプチドをコードするDNA配列
    は同一方向性にある上記1対の部位の間に位置せず、当
    該2μmベクターはSnaBI部位に直接的又は間接的に挿
    入された関心遺伝子を有する2μmプラスミドベクタ
    ー。
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