JP2871211B2 - 半導体装置の製造方法 - Google Patents

半導体装置の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は特にスタックキャパシタ
を有する半導体装置およびその製造方法およびその製造
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】シリコン超高集積回路の一つであるダイ
ナミックランダムアクセスメモリー(DRAM)におい
ては、ワード線によって形成される凹凸の段差部を含め
てキャパシタを形成し、これによって蓄積容量を増大さ
せ、読み出し精度およびソフトエラー耐性を向上させる
スタックキャパシタ技術が用いられている。
【0003】従来のスタックキャパシタ形成方法は、た
とえば特開昭63−318152号公報で述べられてい
る。すなわち、図2に示すように、まず、P型のシリコ
ン基板1上に熱酸化法を用いてゲート絶縁膜2を形成す
る。次でこのゲート絶縁膜2上にN+ 型多結晶シリコン
膜を形成し、フォトリソグラフィー技術とドライエッチ
ング技術を用いてワード線3を形成する。次にワード線
3をマスクとしてシリコン基板にひ素(As+ )をイオ
ン注入し、電荷蓄積電極に接続されるソース/ドレイン
(S/D)となるN+ 型領域4を形成する。次に、気相
成長(CVD)法によるシリコン酸化膜等からなる層間
絶縁膜5Aを形成する。さらに層間絶縁膜を形成した
後、ドライエッチング技術を用いてワード線の側壁にサ
イドウォール5Bを形成する。次に、電荷蓄積用の下層
電極となる多結晶シリコン膜6を形成した後、リンを注
入してN+ 型にする。その後、フォトリソグラィー技術
とドライエッチング技術を用いてパターニングする。次
いで、CVD法により下層電極の表面上にシリコン窒化
膜7を形成したのちピンホールを埋めるため表面を酸化
する。次に、CVD法により多結晶シリコン膜8を形成
し、リンを導入してN+ 型にした後、パターニングを行
なって下層電極に対向する電荷蓄積用の上層電極(セル
プレート)とする。この後、PSGからなる層間絶縁膜
9を形成し、ビット線10を構成して、DRAMセルが
完成する。
【0004】このようなキャパシタを製造する場合、下
層となる多結晶シリコン膜6には高濃度の不純物、例え
ばひ素あるいはリンが含まれており、表面には自然酸化
膜が成長しやすくなっている。したがって、このN+
多結晶シリコン膜上にCVD法によってシリコン窒化膜
7を堆積する場合、多結晶シリコン膜上の酸化膜はさら
に成長し、その厚さは2〜3nmとなっていると見積も
られる。シリコン酸化膜の誘電率は、シリコン窒化膜の
誘電率よりも小さい。ゆえに、CVD法によるシリコン
窒化膜と下層電極との間に、シリコン酸化膜があると、
上層電極と下層電極にはさまれた絶縁膜としての平均的
な誘電率は低下してしまう。したがって、蓄積できる電
荷量が少なくなる。蓄積できる電荷量を増すためには、
絶縁膜としての全体の厚さを薄くしなければならない。
自然酸化膜と熱酸化膜の厚さを制御することはできない
ので、シリコン窒化膜の厚さを薄くすると、シリコン酸
化膜の割合が増え、薄膜化しても蓄積できる電荷量はあ
まり増大しなくなる。
【0005】この問題を解決するために、熱窒化する方
法が用いられることがある。その方法は、例えば、特開
平2−16763号公報に記載されている。具体的に
は、まず図3に示すように下層電極となる多結晶シリコ
ン膜6を堆積する。この多結晶シリコン膜6には、イオ
ン注入あるいは熱拡散法によりリンを1×10201/c
2 程度にドーピングする。その後、多結晶シリコン膜
6表面上に形成された自然酸化膜を急速熱窒化して窒化
膜17Aに変える。急速窒化は950〜1150℃で、
アンモニア雰囲気中で行なう。ただし、これだけでは
0.5〜10nmの自然酸化膜をシリコンの窒化膜に変
えただけであるので、膜厚が薄いためにリーク電流が非
常に大きい。そのリーク電流を抑制するために、CVD
法で必要な厚さのシリコン窒化膜17をつけ足して、キ
ャパシタを構成する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】自然酸化膜を熱窒化す
ることによって、CVD炉に基板を挿入する際に形成さ
れる熱酸化膜の成長が抑制され、熱窒化とCVD法で形
成されたシリコン窒化膜全体の平均的な誘電率は向上す
る。しかしながら、従来の技術では、自然酸化膜に含ま
れていた酸素はそのまま膜中に残っており、完全にシリ
コン窒化膜にはなってはいない。したがって、誘電率は
シリコン窒化膜の本質的な値よりもまだ低い。また、従
来の技術では、酸素を含むシリコン窒化膜すなわちシリ
コン窒化酸化膜と、下層電極となる多結晶シリコン膜と
が接している。シリコン窒化酸化膜が多結晶シリコンと
接すると、トラップ等の電気的欠損が発生して信頼性が
低下する。したがって、化学量論的組成のシリコン窒化
膜が、多結晶シリコンと接する構造とすることが望まし
い。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の半導体装置の製
造方法は、半導体基板上に多結晶シリコン膜からなる下
層電極と誘体膜と上層電極とを順次形成する半導体装置
の製造方法において、下層電極をなす前記多結晶シリコ
ン膜とその表面の自然酸化膜とを800〜950℃のア
ンモニア雰囲気中で急速熱窒化処理して前記多結晶シリ
コン膜上に接した化学量論的組成のシリコン窒化膜とこ
のシリコン窒化膜上に形成されたシリコン酸化窒化膜と
を同時に形成することを特徴とする。
【0008】
【0009】
【0010】自然酸化膜を急速熱窒化法で窒化する際
に、従来よりも低い800〜950℃の温度範囲で窒化
すると、自然酸化膜と多結晶シリコン膜の界面から窒化
が始まる。その後、自然酸化膜の窒化と多結晶シリコン
膜の窒化が進み、多結晶シリコン膜とシリコンの窒化酸
化膜の間に化学量論的組成のシリコン窒化膜が形成され
る。
【0011】さらにシリコン窒化膜中の酸素を低減し、
誘電率をシリコン窒化膜の本質的な値に近づけるために
は、多結晶シリコン膜上の自然酸化膜を除去した後、た
だちに基板を自然酸化膜が再成長しない雰囲気下に置
き、急速熱窒化を行う。次いで、シリコン窒化膜表面上
に、自然酸化膜が成長しない雰囲気下でCVD炉に挿入
しシリコン窒化膜と上層電極となる多結晶シリコン膜を
連続的に成長する。このような製造方法によれば、下層
電極となる多結晶シリコン膜上の自然酸化膜の影響はな
くなる。また、シリコン窒化膜を成長させるCVD炉に
挿入する際に、熱酸化膜の形成がない。さらに、多結晶
シリコン膜を形成するCVD炉に挿入する際に、シリコ
ン窒化膜上の熱酸化膜の成長もない。したがって、膜中
に酸素を含まないシリコン窒化膜を形成することができ
る。
【0012】
【実施例】次に本発明を図面を用いて説明する。図1
(a),(b)は本発明の第1の実施例を説明するため
の半導体チップの断面図及びA部拡大断面図である。
【0013】図1(a)において、P型(100)のシ
リコン基板1上には開口部を有するゲート絶縁膜2が形
成されており、その上にはワード線3と層間絶縁膜5A
とサイドウォール5Bとが形成されている。そして開口
部のシリコン基板1にはソース/ドレイン(S/D)と
なるN+ 領域4が形成され、その上には多結晶シリコン
膜6からなる厚さ400nmの下層電極が形成されてい
る。ここまでの構造は、従来技術で形成することができ
る。そしてこの下層電極6上にはシリコン窒化膜7が形
成されている。以下シリコン窒化膜7を製造方法と共に
更に説明する。図1に示すシリコン基板を、急速熱窒化
装置(ランプアニーラ)を用いて、アンモニア雰囲気中
で800〜950℃に加熱し、高濃度にリンをドーピン
グした多結晶シリコン膜6の表面上に厚さ2nmのシリ
コン窒化膜7を形成した。
【0014】図4は、熱窒化シリコン膜の成長時間依存
性を示している。温度によって形成できる膜厚(自然酸
化膜が窒化された膜を含む)は異なる。急速熱窒化によ
ってできるシリコン窒化膜は、窒化時間に対して図4に
示すように飽和する。したがって、長時間加熱しても意
味はなく、逆に不純物原子の再分布などの悪影響をもた
らす。加熱時間は、長くても60秒程度で十分である。
窒化時間が短いと、膜厚の制御性が悪く、少なくとも3
0秒程度の窒化時間が必要である。形成されるシリコン
窒化膜の膜厚は、雰囲気を構成するアンモニア流量には
依存しない。
【0015】急速熱窒化法によって、自然酸化膜および
多結晶シリコンを850℃30秒で窒化した後、CVD
法で40nmのシリコン窒化膜7Cを堆積させた。図1
(b)はこの急速熱窒化とCVDで形成したシリコン窒
化膜の、深さ方向の組成分析結果にもとづく、膜の断面
図である。
【0016】表面には、シリコン窒化膜の自然酸化膜1
1がある。その下に、CVD法で形成されたシリコン窒
化膜7Cがある。その下に、シリコンの酸化窒化膜7B
がある。この層は、もともとは下層電極となる多結晶シ
リコン膜6上の自然酸化膜であったが、急速熱窒化によ
って窒化され、シリコン酸化窒化膜となったものであ
る。さらにその下に、酸素を含まないシリコン窒化膜7
Aが検出された。この層は、急速熱窒化中に、窒素が酸
化膜を通過し、多結晶シリコン膜6が窒化されることに
よって形成されたものである。
【0017】これに対し、急速熱窒化の条件を従来と同
じ1000℃30秒とすると、酸素が拡散して図1
(b)に示す構造が崩れ、シリコンの酸化窒化膜7Bが
多結晶シリコン膜6からなる下層電極との界面にまで達
する。ゆえに、シリコンの酸化窒化膜と下層電極との間
に、酸素を含まないシリコン窒化膜7Aを形成するため
には、急速加熱条件をせいぜい950℃30秒以下とす
る必要がある。800℃以下の加熱条件では、シリコン
窒化膜の形成が不十分となり、実用的ではなくなる。
【0018】以上のようにしてシリコン窒化膜を形成し
た後、従来と同様にCVD法により厚さ250nmの多
結晶シリコンからなる対向する上層電極を形成し、第2
層間絶縁膜を形成し、ビット線を形成し、カバー膜を形
成してDRAMセルを完成させた。本第1の実施例で
は、従来技術とは異なり、窒化膜の酸化を行なっていな
い。窒化膜酸化は、CVD法でシリコン窒化膜を形成し
た後、表面を酸化し、ピンホールのようなリーク電流が
流れやすい場所をシリコン酸化膜で埋める方法のことで
ある。本実施例による熱窒化を行なえば、電気的特性に
優れた絶縁膜を形成でき、窒化膜の酸化を行なう必要が
無い。このことは、蓄積できる電荷量を増す効果をもた
らす。
【0019】図5は、第1の実施例の半導体装置の長期
信頼性を加速試験法で評価した結果である。加速試験方
法は、試験温度を100℃とし、印加電界を12MV/
cmとした。図5の縦軸は累積故障率である。累積故障
率が50%となる時間を用いて、キャパシタの信頼性を
比較することができる。横軸は、加速試験を行なった時
間で、絶縁破壊に至るまでの時間である。aは、本実施
例による低温熱窒化法を用いて形成したキャパシタであ
る。bは、従来技術の高温熱窒化法を用いて形成したキ
ャパシタである。cは、通常のCVD法のみを用いて形
成したキャパシタである。実線と破線は印加電圧の極性
の違いを示し、実線は上層電極にプラスの電圧が印加さ
れていることを示す。破線は、上層電極にマイナスの電
圧が印加されていることを示す。図5より本実施例によ
れば、従来例に比べ一桁から二桁信頼性が向上すること
が明らかである。
【0020】図6は本発明の第2の実施例の製造装置の
ブロック図である。
【0021】図6において、自然酸化膜を除去するため
のドライ洗浄装置12とシリコン窒化膜を形成する急速
熱窒化装置13とシリコン窒化膜用のCVD装置14A
及び多結晶シリコン膜用CVD装置14Bは、搬送室1
5により接続され、入出室16より搬入されたシリコン
基板は酸化されることなくロードロック部18より各装
置内に搬入,搬出されるように構成されている。以下本
第2の実施例を用いた半導体装置の製造方法を第3の実
施例として説明する。
【0022】図6に示す連続プロセスの装置を構成し、
多結晶シリコン膜6までを形成した図1に示すシリコン
基板に対してシリコン窒化膜の形成を行なった。各プロ
セスの装置は、ゲートバルブを介して接続され、搬送室
15を経由して基板の移送を行なう。移送は高純度窒素
雰囲気中で行ない、自然酸化膜の成長を防いだ。まず、
無水フッ化水素ガスを用いたドライ洗浄装置12によっ
て、選択的に下層電極となる多結晶シリコン膜6上の自
然酸化膜を除去した。ドライ洗浄条件は、キャリアガス
を窒素(5リットル/分)とし、無水フッ化水素ガス
(1リットル/分)を用いた。
【0023】次いで、高純度窒素雰囲気中でシリコン基
板1を急速熱窒化装置13に搬送し、第1の実施例と同
様に熱窒化した。熱窒化は、アンモニア雰囲気中で85
0℃30秒の条件で行なった。次に、高純度窒素雰囲気
中でシリコン基板1をCVD装置14Aに搬送し、シリ
コン窒化膜7Cを付け足した。原料ガスはジクロルシラ
ンとアンモニアとし、成長温度800℃成長圧力1To
rrで行なった。流量はジクロルシラン;1リットル/
分、アンモニア;2.5リットル/分とした。さらに、
高純度窒素雰囲気中でシリコン基板1をCVD装置14
Bに搬送し、シランを原料ガスとして上層電極となる多
結晶シリコン膜を堆積させた。
【0024】以上のような連続的にプロセスを行なうこ
とにより、下層電極上の自然酸化膜が除去された状態で
熱窒化を行なうことができ、さらにシリコン窒化膜およ
び多結晶シリコン膜上に形成される熱酸化膜もなくな
り、膜中に酸素を含まないシリコン窒化膜のみを形成す
ることができる。
【0025】図7は、リーク電流の規格値を1×10-8
A/cm2 とした場合の電界強度(縦軸)と、酸化膜換
算膜厚(横軸)の関係を示す図であり、破線は、電源電
圧が3.3Vのとき、キャパシタに実際に印加される電
圧1.65Vがつくる電界強度を示している。酸化膜換
算膜厚とは、絶縁膜の膜厚測定において、酸化膜の比誘
電率を用いて決定したときの膜厚のことである。一点鎖
線は、従来技術の急速熱窒化法で形成したキャパシタの
特性である。
【0026】従来技術では、電源電圧を3.3Vとし、
リーク電流密度を10-8A/cm2 以下とする限り、
4.9nm以下に薄膜化することはできない。他方、本
第3の実施例により形成したキャパシタの特性(実線)
では、4.5nmまで薄膜化することができることを示
している。また、実線と一点鎖線のシリコン窒化膜で
は、物理的な膜厚は同じになるように作成しているの
で、本第3の実施例で形成したキャパシタの酸化膜換算
膜厚の方が薄いことは、膜の比誘電率が大きいことを意
味している。その値は、酸化膜換算膜厚4.5nmにお
いて、約8であった。このとき従来技術でのキャパシタ
では、その値は7であった。
【0027】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、キ
ャパシタの電極となる多結晶シリコン膜と化学量論的組
成のシリコン窒化膜が接するため、長期信頼性が約一桁
以上向上したキャパシタが得られる。また本発明によれ
ば、酸素を含まないシリコン窒化膜を形成できるため、
誘電率を向上させることができる。この結果、本発明を
用いれば、電荷蓄積量が多く、信頼性に優れたキャパシ
タを有する半導体装置を実現することができるという効
果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を説明するための半導体
チップの断面図。
【図2】従来例を説明するための半導体チップの断面
図。
【図3】従来例を説明するための半導体チップの断面
図。
【図4】窒化時間と膜厚との関係を示す図。
【図5】実施例と従来例の長期信頼性を示す図。
【図6】本発明の第2の実施例の製造装置のブロック
図。
【図7】誘電率を求めるための電界強度と酸化膜換算膜
厚との関係を示す図。
【符号の説明】
1 シリコン基板 2 ゲート絶縁膜 3 ワード線 4 N+ 型領域 5A 層間絶縁膜 5B サイドウォール 6 多結晶シリコン膜 7 シリコン窒化膜 8 多結晶シリコン膜 9 層間絶縁膜 10 ビット線 11 自然酸化膜 12 ドライ洗浄装置 13 急速熱窒化装置 14A,14B CVD装置 15 搬送室 16 入出室 18 ロードロック部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01L 27/04 H01L 21/822

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 半導体基板上に多結晶シリコン膜からな
    る下層電極と誘体膜と上層電極とを順次形成する半導体
    装置の製造方法において、下層電極をなす前記多結晶シ
    リコン膜とその表面の自然酸化膜とを800〜950℃
    のアンモニア雰囲気中で急速熱窒化処理して前記多結晶
    シリコン膜上に接した化学量論的組成のシリコン窒化膜
    とこのシリコン窒化膜上に形成されたシリコン酸化窒化
    膜とを同時に形成することを特徴とする半導体装置の製
    造方法。
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