JP2870547B2 - 絶縁電線 - Google Patents

絶縁電線

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JP2870547B2 JP29871589A JP29871589A JP2870547B2 JP 2870547 B2 JP2870547 B2 JP 2870547B2 JP 29871589 A JP29871589 A JP 29871589A JP 29871589 A JP29871589 A JP 29871589A JP 2870547 B2 JP2870547 B2 JP 2870547B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、電気的特性に優れ、耐外傷性、可能性に
富む絶縁電線に関する。
〔従来の技術〕
従来の絶縁電線の1つに、導体上にポリエチレンから
なる絶縁層を押出被覆して形成したポリエチレン絶縁電
線がある。
このポリエチレン絶縁電線は、ポリエチレンが持つ優
秀な電気絶縁性、高周波特性から電力ケーブルや通信ケ
ーブル等に広く用いられており、またポリエチレン自体
が可撓性に富むことから絶縁電線の可撓性も良好であ
る。
〔解決しようとする課題〕 しかしながら、このポリエチレン絶縁電線にあって
は、その絶縁層の厚さが薄い場合には、ポリエチレンが
比較的軟質で機械的強度が低いため、耐外傷性に劣る欠
点があった。
このため、機械的強度が高く、剛直なポリフェニレン
オキサイド(PPO)、ポリエーテルエーテルケトン(PEE
K)、ポリカーボネイト(PC)、ポリスルホンなどのい
わゆるエンジニアリングプラスチックを絶縁層とする絶
縁電線が考えられるが、これらは耐外傷性は良好である
が、電線としたときの可撓性が乏しく、曲げ加工性に劣
る欠点がある。また、エンジニアリングプラスチックは
その分子内に極性基が存在するため、比較的吸水性があ
り、長期間浸水条件で使用したりすると耐電圧特性が低
下する欠点もある。
そこで、この発明は、耐外傷性に優れ、可撓性に富
み、電気的特性にも優れた絶縁電線を提供することを目
的とする。
〔課題を解決するための手段〕
上述の目的を達成するため、この発明は、導体に架橋
ポリオレフィンから成る第1絶縁層を設け、この第1絶
縁層に液状絶縁体から成る中間層を介してポリフェニレ
ンオキサイド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエー
テルケトン、ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタ
レート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルイ
ミド、ポリアリレート、ポリ4−メチル−1−ペンテ
ン、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、フッ素系ポ
リマーおよびポリアミドから成る群から選ばれた1種以
上のポリマーからなる第2絶縁層を設けたものである。
〔作用〕
この発明では、第2絶縁層を施す前の工程において第
1絶縁層に液状絶縁体を施すため、第1絶縁層の外傷防
止が図られ、第2絶縁層が施された後には中間層が潤滑
保護層として機能し、耐外傷性、電気的特性に優れ、可
撓性に富んだものとなる。
〔実施例〕
以下にこの発明の好適な実施例を図面を参照にして説
明する。
図において、導体1に架橋ポリオレフィンから成る第
1絶縁層2を設け、この第1絶縁層2に液状絶縁体を塗
布し、さらにこの外周にポリフェニレンオキサイド、ポ
リエーテルケトン等を施して第2絶縁層4を施した。そ
の結果、第1絶縁層2と第2絶縁層4との間には中間層
3が存在することとなる。これにより、電気特性の良い
ポリオレフィン(第1絶縁層2)を薄くすることがで
き、耐外傷性のよいポリフェニレンオキサイド等が最外
層(第2絶縁層4)に位置することになり可撓性、電気
特性、耐外傷性をあわせもつ絶縁電線が得られる。
しかしながら、最外層(第2絶縁層4)が耐熱性の高
いポリマーであるために、溶融押出温度が高くなるため
冷却時の熱収縮が大きく、このため内層(第1絶縁層
2)の架橋ポリオレフィンに残留ひずみを与える結果と
なり、長期課電試験に劣る結果となることが判明した。
これを防止するためには、内層(第1絶縁層2)の架橋
ポリオレフィンと最外層(第2絶縁層4)の耐熱性の高
いポリマーとの層間がお互いに接着しないことが重要で
あり、このため電気特性の優れた離型層としての液状絶
縁体による中間層3が重要である。
この液状絶縁体としては最外層(第2絶縁層4)に押
出温度の高い耐熱性ポリマー施す際に熱分解や揮散しな
いものが好ましくこの点からシリコーンオイル、フッ素
オイル等が好適である。またこの液状絶縁体は均一に塗
布されることが好ましく、このため変性基を導入して層
間のぬれ性を改善したものも使用できる。
液状絶縁体の例としては (1) シリコーンオイル (2) 変性シリコーンオイル(末端反応性) (3) フッ素オイル が用いられる。
本発明において使用される末端反応性シリコーンオイ
ルは、 一般式(I) (ただし、Meはメチル基を示し、Xは、 −(CH2)mOH、−(CH2)mNH2、−H、 −CH=CH2、−C3H6OC2H4OH、 等の反応性の基を示し、m,nは1以上の整数である。)
で表される、両末端に反応性の基を有する化合物、もし
くは 一般式(II) で表される(ただし、Me,X,m,nは(I)式と同様であ
る。)、片末端に反応性の基を有する化合物である。
またこの末端反応性シリコーンオイルの体表的な具体
例を示すと、両末端に反応性の基を有するものでは、チ
ッソ株式会社製サイラプレーンFM1111、同1121、同112
5、同2231、同2241、同2242、同3311、同3321、同332
5、同4411、同4421、同4425、同5511、同5521、同552
5、信越科学工業株式会社製シリコーンオイルX−22−1
60AS、同X−22−160A、同X−22−160B、同X−22−16
0C、同X−22−161AS、同X−22−161A、同X−22−161
B、同X−22−161Cなどであり、片末端に反応製の基を
有するものでは、チッソ株式会社製サイラプレーンFM04
11、同0421、同0511、同0521、同0525、同0711、同072
1、同0725等であり、これらを1種または2種以上組み
合せて用いられる。
この発明で用いられるフッ素系オイルとは、分子内に
フッ素原子を含み、室温で液体であるオイルを言い、例
えばポリテトラフルオロエチレンの低分子量物、テトラ
フルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテ
ル共重合体の低分子量物、テトラフルオロエチレン−ヘ
キサフルオロエチレン共重合体の低分子量物、テトラフ
ルオロエチレン−エチレン共重合体の低分子量物、ポリ
ビニリデンフロライドの低分子量物、ポリクロロトリフ
ルオロエチレンの低分子量物などが用いられるが、これ
らの他にPEEKとの相溶性を高めるためにこれら化合物の
末端に各種の変性基を導入したものを用いることも好ま
しい。この変性基としては、メチルスチレン、オレフィ
ン、ポリエーテル、アルコール、アミノ基、メルカプト
基、エポキシ基、カルボキシル基、アミド基などがあ
る。また、このフッ素系オイルとして最も好適なものと
して、パーフルオロポリエーテルがある。パーフルオロ
ポリエーテルは、下記のような構造式を有し、極めて耐
熱性が高い特徴がある。
このパーフルオロポリエーテルは、長期にわたっては37
0℃以上で徐々に分解するものの短時間であれば450℃に
おいてもほとんど分解しない性質を有する。
このような構成の絶縁電線にあっては、絶縁層が3層
構造となっているので、それぞれの絶縁層の厚さを薄く
することができ、可撓性が良好となる。また、3層構造
となっているので、万一それぞれの絶縁層にピンホール
等の欠陥があってもその位置が重り合うことがほとんど
ないため、1層構造のものに比べて同一厚さであっても
絶縁特性が良好となる。
ここでの架橋ポリオレフィンとしては、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ポリ1−ブテン、ポリイソブチレ
ン、ポリ4−メチル−1−ペンテンなどのオレフィンモ
ノマーの単独重合体、エチレン−エチルアクリレート共
重合体(EEA)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EV
A)、エチレン−プロピレン共重合体(EPR)、エチレン
−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)、エチレン−ブ
テン−1共重合体、エチレン−ブテン−1−ジエン共重
合体などの共重合体あるいはこれらの2種以上のブレン
ドポリマーなどのポリオレフィンを架橋したものが用い
られる。ここでの架橋方法としては、ジクミルパーオキ
サイド、t−ブチルクミルパーオキサイドなどの有機過
酸化物を上記ポリオレフィンに適量添加した組成物を押
出被覆し、加熱して架橋する方法、上記ポリオレフィン
を押出被覆したのち、電子線を照射して架橋する方法、
上記ポリオレフィンにビニルトリメトキシシラン、ビニ
ルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエ
トシ)シラン等のシラン化合物と有機過酸化物を添加し
て混練してシラングラフト化ポリオレフィンとし、この
シラングラフト化ポリオレフィンを押出被覆したのち、
大気中あるいは水中で架橋させる方法などが採用され
る。
次表にこの発明の実施例1〜4と、絶縁層が1層だけ
のもの、2層だけのものを比較例1〜3としたものとを
比較した。
導体1に第1,2絶縁層2,4と中間層3を設けた絶縁電線
の製造方法の一例としては、タンデム押出し法を用い、
導体1を一方向へ送る途中に押出機を2つ設け、これら
押出機の間に設けたフェルトにシリコーンオイルを供給
し、最初の押出機の個所で導体1に第1絶縁層2を被覆
し、フェルトの個所で中間層3を塗布し、2つ目の押出
機の個所で第2絶縁層4を被覆する。中間層2の形成
は、フェルトによる塗布方式のみならず、噴霧方式を採
用しても良い。さらに、導体1の第1絶縁層2と中間層
3とを設けたものを一度巻取り、その後第2絶縁層4を
設けても良い。
〔効果〕
以上説明したように、この発明によれば、導体の周り
に第1絶縁層、中間層、第2絶縁層の3層が施してある
ため、電気的欠陥が極めて少なくなる。また、中間層を
形成する液状絶縁体のオイルが潤滑保護層となるため内
層の固体絶縁層の外傷防止となる。特に、液状絶縁体の
塗布は、最外層を施す以前における工程内での第1絶縁
層の外傷防止に有効である。
【図面の簡単な説明】
図面はこの発明の好適な実施例を示す断面図である。 1……導体、 2……第1絶縁層、 3……中間層、 4……第2絶縁層。
フロントページの続き (72)発明者 吉野 明 東京都江東区木場1丁目5番1号 藤倉 電線株式会社内 (72)発明者 村山 元久 東京都江東区木場1丁目5番1号 藤倉 電線株式会社内 (56)参考文献 特開 昭59−73807(JP,A) 特開 昭50−72186(JP,A) 実開 昭55−99021(JP,U) 実開 昭48−8681(JP,U) 実公 昭35−31451(JP,Y1) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01B 7/02,7/04 H01B 13/14

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】導体(1)に架橋ポリオレフィンから成る
    第1絶縁層(2)を設け、 この第1絶縁層(2)に液状絶縁体から成る中間層
    (3)を介してポリフェニレンオキサイド、ポリエーテ
    ルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネ
    ート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレ
    フタレート、ポリエーテルイミド、ポリアリレート、ポ
    リ4−メチル−1−ペンテン、ポリサルホン、ポリエー
    テルサルホン、フッ素系ポリマーおよびポリアミドから
    成る群から選ばれた1種以上のポリマーからなる第2絶
    縁層(4)を設けたことを特徴とする絶縁電線。
  2. 【請求項2】前記中間層(3)の液状絶縁体が、シリコ
    ーンオイル、変性シリコーンオイル、フッ素オイルから
    選択されたものであることを特徴とする請求項1に記載
    の絶縁電線。
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CN111508639B (zh) * 2020-04-14 2021-06-08 苏州巨峰电气绝缘系统股份有限公司 一种电动汽车电机用耐atf油、耐电晕漆包线及其制备方法

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