JP2870205B2 - 排気ガス還流弁制御装置 - Google Patents

排気ガス還流弁制御装置

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JP2870205B2
JP2870205B2 JP3064936A JP6493691A JP2870205B2 JP 2870205 B2 JP2870205 B2 JP 2870205B2 JP 3064936 A JP3064936 A JP 3064936A JP 6493691 A JP6493691 A JP 6493691A JP 2870205 B2 JP2870205 B2 JP 2870205B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は排気ガス還流弁制御装置
に係り、特に内燃機関の排気ガスを吸入混合気中に再循
環するための排気ガス還流弁の開度を制御する排気ガス
還流弁制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より内燃機関の排気ガス中の一酸化
炭素(CO),炭化水素(HC)及び窒素酸化物(NO
x)等の有害成分のうち、NOxを低減する排気ガス再
循環装置(EGR:エキゾースト・ガス・リサーキュレ
ーション)が知られている。このEGR装置によれば、
内燃機関の排気通路と吸気通路とを連通する排気ガス還
流通路の途中に設けられた排気ガス還流弁(EGR弁)
を通して排気ガスの一部を機関に吸入される燃料混合気
中に再循環し、機関シリンダ内の燃焼による熱を排気ガ
ス中の不活性ガスに奪わせて最高燃焼温度を下げること
により、NOxを低減している。
【0003】しかし、排気ガス再循環を行なうと、出力
の低下や燃焼の不安定を招くため、運転性(ドライバビ
リティ)悪化やHCの増加の問題が生じる。このため、
これらの問題を少なくするべく、運転状態に応じて排気
ガス再循環量を適切に制御する必要があり、そのために
EGR弁の開度(開口面積)を制御する。
【0004】このEGR弁は開ループのディジタル制御
で行なえ、位置精度にすぐれ、累積誤差も少ないなどの
理由から、従来より一般にステップモータ(通常は4相
構成)が使用されている。従来、このステップモータを
使用したEGR弁の制御装置には、弁体を閉弁方向に付
勢する第1のバネと、バルブシャフトとバルブ駆動軸
(ロータ)の間に介設されて、バルブシャフトをバルブ
駆動軸から離れる方向に付勢する第2のバネとを備え、
バルブ閉弁時に第2のバネのストローク内でバルブ駆動
軸をオーバストロークさせて、2つのバネの和の力によ
り弁体を弁座に押し付け、大なる押し付け力によって排
ガスの吸気系への漏れを防止する装置が知られている
(特開平1−203646号公報)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記の従来のEGR弁
制御装置では、4相構成のステップモータの1相が断線
した場合は、そのまま引続いて全相駆動すると、脱調が
生じ、閉弁方向にステップモータを駆動しても、ロータ
が回転しなかったり、開弁方向にロータが回転してしま
うことがあり、ロータの回転が極めて不安定である。こ
のため、目標開度を示す値(目標ステップ位置)をゼロ
(すなわち全閉)とし、ステップモータの回転制御に対
応して変化させる現在の開度を示す値(現在ステップ位
置又は実ステップ位置)が目標ステップ位置に等しくな
るよう、排気ガス還流弁のステップモータのコンピュー
タ制御を行なっても、現在ステップ位置の値と排気ガス
還流弁の開度とが正しく対応せず、排気ガス還流弁が全
閉状態となる前に現在ステップ位置がゼロとなってしま
い、その結果、制御装置は現在ステップ位置が目標ステ
ップ位置に等しくなったと判断して制御を終了してしま
う。
【0006】このため、ステップモータの1相が断線す
ると従来は制御不可と判断してEGR弁の全閉処理を行
なうこととなるが、その際、断線した相に相対する相の
通電を意図的に停止して2相のステップモータとして全
閉処理することが考えられる。2相のステップモータと
して駆動した方が、断線した1相を含めて4相駆動した
ときよりも励磁速度が一定で脱調の確率が極めて低いか
らである。この場合、4相のステップモータを2相で駆
動するため、回転方向が外力又は慣性力で決定されるこ
ととなるが、前記した第1のバネにより弁体が目的どお
り弁座に着座する方向(閉弁方向)に駆動される。
【0007】しかし、弁体が弁座に一旦着座すると、前
記第2のバネによって弁体及びバルブシャフトは弁座か
ら離れる方向(開弁方向)の力を受けるため、2相で駆
動するステップモータの回転方向が不安定となり、慣性
力によってはEGR弁が開弁してしまう可能性がある。
【0008】本発明は上記の点に鑑みなされたもので、
ステップモータの1相が断線したときは弁体が弁座に着
座した時点でステップモータを4相(実際は1相断線し
ているので3相)駆動に戻すことにより、上記の課題を
解決した排気ガス還流弁制御装置を提供することを目的
とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】図1は上記目的を達成す
る本発明の原理構成図を示す。同図に示すように、本発
明は内燃機関11の排気通路13から吸気通路12に到
る排気ガス還流通路14の途中に設けられた排気ガス還
流弁15の開度を、運転状態に応じてステップモータ1
5aを駆動して弁体15bのリフト量を可変することに
より制御する装置において、排気ガス還流弁15を第1
及び第2の付勢手段15c及び15dを有する構成と
し、更に開度検出手段16、断線検出手段17及び制御
手段18を有する構成としたものである。
【0010】上記の第1の付勢手段15cは弁体15b
を常時閉弁方向に付勢し、第2の付勢手段15dは弁体
15bの閉弁後、弁体15bを開弁方向に付勢する。ま
た、開度検出手段16は排気ガス還流弁15の開度を実
質的に検出する。断線検出手段17はステップモータの
複数相のうち一相の励磁コイル又は配線の断線を検出す
る。
【0011】また、制御手段18は断線検出手段17か
ら1相断線検出信号が入力された時は、開度検出手段1
6から閉弁検出信号が入力されるまで断線検出された1
相と相対する1相の励磁コイルを非通電とし、その後閉
弁検出信号が入力された時点から全相駆動に切換えてス
テップモータ15aを閉弁方向に駆動制御する。
【0012】
【作用】本発明ではステップモータ15aの励磁コイル
が1相断線したときは、断線した1相と相対する1相の
励磁コイルを非通電とし、前記第1の付勢手段15cに
よる外力と相まってステップモータ15aが弁体15b
を閉弁方向に移動させる。そして、弁体15bが弁座に
着座し全閉となると、開度検出手段16からの閉弁検出
信号に基づき、制御手段18がステップモータ15aを
全相駆動による閉方向制御に切換える。
【0013】これにより、排気ガス還流弁15の閉弁
後、前記第2の付勢手段15dにより弁体15bが開弁
方向に力を付勢されたとしても、その付勢力は弁体15
bを弁座から引き上げるまで及ばないから、上記の全相
駆動により脱調が生じたとしても全閉位置での弁体15
bの保持を最低限行なうことができる。
【0014】
【実施例】図2は本発明になる排気ガス還流弁制御装置
の一実施例を有する内燃機関の排気ガス再循環装置の構
成図を示す。同図中、図1と同一構成部分には同一符号
を付してある。本実施例は内燃機関11として4気筒4
サイクル火花点火式内燃機関(エンジン)に適用した例
で、後述するマイクロコンピュータ21によって制御さ
れる。
【0015】図2において、エアクリーナ22の下流側
にはエアフローメータ23及びスロットルバルブ24を
介してサージタンク25が設けられている。エアクリー
ナ22の近傍には吸気温を検出する吸気温センサ27が
取付けられ、またスロットルバルブ24には、スロット
ルバルブ24が全閉状態でオンとなるアイドルスイッチ
26が取付けられている。
【0016】また、スロットルバルブ24を迂回し、か
つ、スロットルバルブ24の上流側と下流側とを連通す
るバイパス通路28が設けられ、そのバイパス通路28
の途中にソレノイドによって開弁度が制御されるアイド
ル・スピード・コントロール・バルブ(ISCV)29
が取付けられている。このISCV29に流れる電流を
デューティ比制御して開弁度を制御し、これによりバイ
パス通路28に流れる空気量を調節することにより、ア
イドリング回転数が目標回転数に制御される。サージタ
ンク25は前記吸気通路12に相当するインテークマニ
ホルド30及び吸気弁31を介してエンジン32(前記
内燃機関11に相当する)の燃焼室33に連通されてい
る。インテークマニホルド30内に一部が突出するよう
各気筒毎に燃料噴射弁10が配設されており、この燃料
噴射弁10でインテークマニホルド30を通る空気流中
に燃料が噴射される。
【0017】燃焼室33は排気弁34及び前記排気通路
13に相当するエキゾーストマニホルド35を介して触
媒装置36に連通されている。また、37は点火プラグ
で、一部が燃焼室33に突出するように設けられてい
る。また、38はピストンで、図中、上下方向に往復運
動する。
【0018】イグナイタ39は高電圧を発生し、この高
電圧をディストリビュータ40により各気筒の点火プラ
グ37へ分配供給する。回転角センサ41はディストリ
ビュータ40のシャフトの回転を検出して例えば30℃
A毎にエンジン回転信号をマイクロコンピュータ21へ
出力する。
【0019】また、42は水温センサで、エンジンブロ
ック43を貫通して一部がウォータジャケット内に突出
するように設けらており、エンジン冷却水の水温を検出
して水温センサ信号を出力する。更に、44は酸素濃度
検出センサ(O2 センサ)で、その一部がエキゾースト
マニホルド35を貫通突出するように配置され、触媒装
置36に入る前の排気ガス中の酸素濃度を検出する。
【0020】また、O2 センサ44の上流側のエキゾー
ストマニホルド35とスロットルバルブ24の下流側の
インテークマニホルド30とが、前記排気ガス還流通路
14に相当する還流通路45によって連通されており、
更にこの還流通路45の途中にはEGRクーラ46と前
記排気ガス還流弁(以下、EGRVと記す)15が夫々
設けられている。
【0021】EGRクーラ46は還流通路45を流れる
排気ガスの温度を下げるためのものである。また、EG
RV15は後述するマイクロコンピュータ21からモー
タ駆動回路47及び断線検出回路48を通して入力され
る駆動信号に応じてバルブの開度が変化する構造であ
る。
【0022】図3は上記のEGRV15の一実施例の断
面図を示す。EGRV15は4相64極のステップモー
タ15a、弁体15b、前記第1の付勢手段15cに相
当する外側圧縮コイルばね51、前記第2の付勢手段1
5dに相当する内側圧縮コイルばね52その他より構成
されている。ステップモータ15aはステータコイル5
3、ロータ54、スクリュ55、モータシャフト56な
どから構成されている。弁体15bはバルブ57とバル
ブ57が先端部に固定されたシャフト58からなる。5
9は弁座で、バルブ57が嵌合できる開口部を有する。
【0023】シャフト58の他端部とモータシャフト5
6の先端部とは、プレート63a,63bを介して連結
されている。また、60は入口ポートで排気ガスが流入
する。61は出口ポートで、排気ガスを排出する。
【0024】外側圧縮コイルばね51は一端がプレート
63bに固定され、他端がハウジング62に固定され、
モータシャフト56及びシャフト58を夫々弁座59方
向へ(すなわち閉弁方向へ)ばね力を付勢している。ま
た、内側圧縮コイルばね52はプレート63a,63b
間に設けられ、通常は図示の如く、プレート63aのス
トッパをプレート63bに係止させている。
【0025】次に、このEGRV15の作動について説
明するに、ステップモータ15aへの駆動信号入力によ
りロータ54が回転すると、その回転運動がスクリュ5
5により直線運動に変換されてモータシャフト56に伝
達されるこのとき、ステップモータ15aの回転方向が
正転方向のときは、モータシャフト56が外側圧縮コイ
ルばね51のばね力に抗して図中、上方向に移動するこ
とにより、シャフト58を介してバルブ57が弁座59
から離れる方向へ(開弁方向へ)移動される。これによ
り、入口ポート60が弁座59の開口部を介して出口ポ
ート61に連通される。
【0026】他方、ステップモータ15aの回転方向が
逆転方向のときは、外側圧縮コイルばね51のばね力と
共に、図中、下方向に移動することにより、シャフト5
8を介してバルブ57が弁座59へ近付く方向へ(閉弁
方向へ)移動され、バルブ57が図示の如く弁座59に
着座した後もステップモータ15aが逆転方向に回転す
ると、内側圧縮コイルばね52のばね力に抗して更にモ
ータシャフト56が下方向に移動し、これによりシャフ
ト58及びバルブ57が図中、下方向に内側圧縮コイル
ばね52のストローク内でオーバストロークされる。こ
れにより、バルブ57はより強く弁座59に押し付けら
れ、入口ポート60からの排気ガスの出口ポート61へ
の洩れを防止できる。
【0027】このようにして、EGRV15の開度を制
御することにより、EGRクーラ46を通して入力され
る排気ガスの通過流量が制御され、これによりインテー
クマニホルド30への排気ガス再循環量が制御される。
【0028】図2のモータ駆動回路47は、ステップモ
ータ15aの4相の励磁コイルを順次通電する複数相の
駆動信号を発生する回路で、その出力駆動信号は断線検
出回路48を介してステップモータ15aの励磁コイル
へ供給される。また、断線検出回路48はステップモー
タ15aの励磁コイルの断線を検出する回路で、その検
出信号をマイクロコンピュータ21へ供給する。また、
49はイグニッションスイッチである。
【0029】このような構成の図2の各部の動作を制御
するマイクロコンピュータ21は図4に示す如く公知の
ハードウェア構成とされている。同図中、図2と同一構
成部分には同一符号を付し、その説明を省略する。図4
において、マイクロコンピュータ21は中央処理装置
(CPU)70、処理プログラムや後述のマップを格納
したリード・オンリ・メモリ(ROM)71、作業領域
として使用されるランダム・アクセス・メモリ(RA
M)72、機関停止後もデータを保持するバックアップ
RAM73、CPU70へそのマスタークロックを供給
するクロック発生器74を有し、これらを双方向のバス
ライン75を介して互いに接続する。
【0030】また、マイクロコンピュータ21は入力イ
ンタフェース回路76、マルチプレクサ付A/D変換器
77及び入出力インタフェース回路78を有し、A/D
変換器77及び入出力インタフェース回路78をバスラ
イン75に接続している。A/D変換器77には入力イ
ンタフェース回路76の出力が入力される。
【0031】エアフローメータ23、吸気温センサ2
7、水温センサ42及びO2 センサ44からの各検出信
号は、入力インタフェース回路76を通してA/D変換
器77に入力され、ここでディジタルデータに変換され
た後、順次バスライン75へ送出される。
【0032】一方、アイドルスイッチ26からの検出信
号、回転角センサ41からのエンジン回転数検出信号、
断線検出回路48からの検出信号は夫々入出力インタフ
ェース回路78を通してバスライン75へ送出される。
また、CPU70からバスライン75、入出力インタフ
ェース回路78を通してイグナイタ39、燃料噴射弁1
0、ISCV29、モータ駆動回路47へ夫々所定の制
御信号が送出される。かかるハードウェア構成のマイク
ロコンピュータ21は、図1に示した開度検出手段1
6、制御手段18を夫々ソフトウェア動作によって実現
する。
【0033】次に、前記した断線検出手段17を構成す
る断線検出回路48の構成及び作用について図5及び図
6と共に説明する。図5は断線検出回路48の一実施例
の回路図を示す。同図に示すように、断線検出回路48
はNPNトランジスタTr1〜Tr4、エミッタ抵抗R1
4 、コンパレータC1 〜C4 、ディレイ回路811
814 、D型フリップフロップ821 〜824 より構成
される。
【0034】NPNトランジスタTr1,Tr2,Tr3及び
r4はコレクタがステップモータ15aの励磁コイルS
1 ,S2 ,S3 及びS4 の各一端に接続され、エミッタ
が抵抗R1 ,R2 ,R3 及びR4 を介して接地され、ベ
ースがモータ駆動回路47の出力端に接続されている。
また、トランジスタTr1,Tr2,Tr3及びTr4のエミッ
タは、コンパレータC1 ,C2 ,C3 及びC4 の非反転
入力端子に接続されている。コンパレータC1 〜C4
各出力端子はD型フリップフロップ821 〜824 のデ
ータ入力端子に接続されている。
【0035】ディレイ回路811 〜814 は入力駆動信
号を一定時間τ遅延してD型フリップフロップ821
824 のトリガ入力端子Tに印加する。D型フリップフ
ロップ821 〜824 はQ出力信号をマイクロコンピュ
ータ21へ供給する。
【0036】かかる構成において、いまモータ駆動回路
47からトランジスタTr1〜Tr4の各ベースへ図6に示
す如く位相が90°ずつ異なる4相の駆動信号(対称方
形波)が供給されると、トランジスタTr1〜Tr4はベー
ス入力駆動信号がハイレベルの期間オンとされ、ローレ
ベルの期間オフとされる。トランジスタTr1のオン期間
は抵抗R7 →励磁コイルS1 →トランジスタTr1のコレ
クタ、エミッタ→抵抗R1 の順で電流が流れるため、励
磁コイルS1 が通電されると共に、抵抗R1 による電圧
降下によってコンパレータC1 の非反転入力端子の電圧
がハイレベルとなる。
【0037】コンパレータC1 の反転入力端子には電源
電圧VCを抵抗R5 及びR6 で分圧して得た電圧が印加
されているが、上記抵抗R1 に流れる電流によって抵抗
1 の両端に生ずる電圧(コンパレータC1 の非反転入
力端子の入力電圧)はこの分圧電圧よりも高くなるよう
に設定してあるため、このときコンパレータC1 の出力
電圧はハイレベルとなる。
【0038】一方、トランジスタTr1のオフ期間は上記
の電流が励磁コイルS1 及び抵抗R 1 に流れないから、
コンパレータC1 の非反転入力端子の入力電圧は前記分
圧電圧より低くなり、コンパレータC1 の出力電圧はロ
ーレベルとなる。
【0039】他のトランジスタTr2〜Tr4についても上
記と同様の動作原理により、トランジスタTr2〜Tr4
オン期間、励磁コイルS2 〜S4 が通電され、かつ、コ
ンパレータC2 〜C4 の出力電圧がハイレベルとなり、
他方、トランジスタTr2〜T r4のオフ期間は励磁コイル
2 〜S4 は通電されず、コンパレータC2 〜C4 の出
力電圧はローレベルとなる。これにより、ステップモー
タ15aは所定のオーバーラップ期間を持った2相励磁
方式で回転駆動される。
【0040】また、コンパレータC1 〜C4 の出力電圧
は図6にC1 〜C4 で示す如くになる(ただし後述する
如く、コンパレータC3 の出力電圧だけは図6では断線
時のものを示している)。
【0041】このコンパレータC1 〜C4 の出力電圧は
D型フリップフロップ821 〜82 4 のデータ入力端子
に印加され、ここでディレイ回路811 〜814 により
一定時間τ遅延されてトリガ端子T1 〜T4 へ入力され
る図6にT1 〜T4 で示す駆動信号の立上りエッジ入力
時点でラッチされる。
【0042】上記の一定時間τはトリガ端子T1 〜T4
の入力駆動信号の立上りエッジ位置が、D型フリップフ
ロップ821 〜824 のデータ入力端子への入力電圧
(コンパレータC1 〜C4 の出力電圧)のハイレベル期
間になるように設定されているため正常時はD型フリッ
プフロップ821 〜824 の各Q出力端子の出力信号は
すべてハイレベルとなる。
【0043】ここで、仮に励磁コイルS3 に断線が生じ
たものとすると、トランジスタTr3のベースにハイレベ
ルの駆動信号が供給されても、抵抗R7 及び励磁コイル
3 を介してトランジスタTr3のコレクタに流れるべき
電流が流れず、トランジスタTr3がオフのままであるた
め、コンパレータC3 の出力電圧は図6にC3 で示す如
く、本来破線で示すようにハイレベルとなるべき期間が
ローレベルとなる。
【0044】このため、D型フリップフロップ821
824 の各出力信号のうち、D型フリップフロップ82
3 のQ3 出力信号だけが、図6の波形中の一番下に示す
ようにそのT3 入力駆動信号立上り時点t1 でローレベ
ルとなる。このローレベルのQ3 出力信号は断線検出信
号としてマイクロコンピュータ21へ入力される。マイ
クロコンピュータ21はこの断線検出信号がD型フリッ
プフロップ823 からのものであると識別すると、励磁
コイルS3 又はその配線に断線があったものと判断し、
後述の図17のルーチンに従って処理動作を実行する。
【0045】次に図2に示した排気ガス還流弁制御装置
によるEGRV15の制御動作について説明する。マイ
クロコンピュータ21内の図4に示したCPU70はR
OM71に格納されているプログラムに従い、例えば4
ms毎に図7に示すEGRV制御ルーチンが起動され
る。まず、前記断線検出回路48から断線検出信号が入
力されたか否か、及びEGRV15の下流側の排気ガス
還流通路中に介設されたEGRガス温センサがEGRV
誤作動を検出したか否かを示すフラグFEGRFAIL
が“1”かどうか判定され(ステップ101)、“1”
でないときは(“0”のときは)EGRV15が正常で
あると判断して目標ステップ位置TSTEPを算出する
(ステップ102)。
【0046】上記の目標ステップ位置TSTEPの算出
は予めROM71に格納されている図8に示す機関回転
速度NEと吸入空気量QNとの2次元テーブルを参照し
てマップステップ数STEPBを算出し、これに図9に
示す如くスロットル開度TAに略逆比例する関係にある
スロットル開度補正係数KEGVTAを乗じることで行
なわれる。なお、上記のマップステップ数STEPBの
算出にあたり、図8のテーブルの各セルの間の値は補間
計算により算出される。この目標ステップ位置は例えば
最大値が「60」、最小値が「0」で、最大値「60」
のとき全開、「5」〜「0」のとき全閉を示す。
【0047】続いて、目標ステップ位置TSTEPと、
CPU70がEGRV15の開度として把握している現
在のステップ値ESTEPとの差の絶対値が“2”未満
か否か判定する(ステップ103)。ステップ値で
“2”程度の不感帯を持たせてハンチングを防止するた
めである。
【0048】|TSTEP−ESTEP|≧2のとき
は、目標ステップ位置TSTEPと現在のステップ値E
STEPとの大小比較を行なう(ステップ104)。機
関始動後等ではEGRV15は通常、全閉となっている
ため、TSTEP>ESTEPであり、よってステップ
105へ進んでカウンタCOPNが“0”か否か判定
し、“0”でないときは“0”とし(ステップ10
6)、“0”のときは前記ROM71に予め格納されて
いる表1に示すモード用テーブルを参照し、現在のモー
ドとそのうちのテーブル名「TEGROPN」とから新
たなモードを算出する(ステップ107)。
【0049】
【表1】
【0050】例えば、機関始動直後では全閉停止となっ
ているため、現在のモード(MODE)は表1からわか
るように“2”であり、よってこのときステップ107
で算出される新たなモードは、現モード“2”とモード
名「TEGROPN」との交点である“3”となる。な
お、表1のモード用テーブル中、内容の欄のn相は、励
磁方式を示しており、よって「2相」は図6にTr1〜T
r4で示したような2相励磁方式を意味する。
【0051】ステップ107の新モード算出後は、カウ
ンタCOPNを“1”にセットした後(ステップ10
8)、現在のステップ値ESTEPの値を“1”だけイ
ンクリメントして目標ステップ位置ESTEPに近付け
る(ステップ109)。ステップ109又は前記ステッ
プ106の処理後新モードの値MODEを現モードMO
DEに代入して記憶し直し(ステップ118)、このル
ーチンを終了する(ステップ119)。
【0052】以下、このルーチンを実行する毎にモード
が更新され、上記の場合はモードは2→3→0と更新さ
れる。この全閉時から開弁時への変更時のモード、4相
の励磁コイルのうち任意の隣り合う2相の励磁コイルに
流れる電流φn ,φn+1 の変化の様子を図10に示す。
なお、図10及び後述の図11〜図15の波形中φn
φn+1 はハイレベルが非通電時、ローレベルが通電時の
状態を示し、またn=4のときのφ5 はφ1 に等しい。
また、このときはカウンタCOPNにより、図7の4m
sのルーチンの2回に1回の割合でステップ109が実
行されるから、8ms毎に1ステップ開弁していく。
【0053】図7のルーチンの実行毎にステップ101
〜109と118が繰り返され、現在のステップ値ES
TEPが目標ステップ位置TSTEPと“1”又は
“0”との差に達すると、ステップ110が実行され、
表1のテーブル中から現在のモード“0”とテーブル名
「TEGRSTP」とから新たなモード“9”が算出さ
れ、ESTEPの値は現在の値のままとされて新モード
がMODEに記憶され直され(ステップ118)、この
ルーチンを終了する(ステップ119)。
【0054】一方、ステップ104でTSTEP≦ES
TEPと判定されたときは、現在のステップ値ESTE
Pが“9”未満か否か判定され(ステップ111)、
“9”未満のときはカウンタCCLSが“0”か否か判
定され(ステップ112)、“1”のときはカウンタC
CLSが“1”だけデクリメントされる(ステップ11
3)。CCLSが“0”のときは表1のモード用テーブ
ルを参照して、現在のモードとテーブル中のテーブル名
「TEGRCLX」とから新たなモード値MODEを算
出し(ステップ114)、CCLSの値を“13”にセ
ットする(ステップ115)。他方、ステップ111で
“9”以上と判定されたときは現在のモードと上記テー
ブル中のテーブル名「TEGRCLS」とから新たなモ
ード値MODEを算出する(ステップ116)。
【0055】ステップ115の処理後又はステップ11
6で新たなモード値MODEが算出され終わると、現在
のステップ値ESTEPを目標ステップ位置TETEP
に近付けるために“1”だけESTEPをデクリメント
した後(ステップ117)、新モード値MODEを現在
のモード値MODEに代入して(ステップ118)記憶
し直し、このルーチンを終了する(ステップ119)。
また、ステップ113の処理後はESTEPをデクリメ
ントすることなくステップ118へ進む。
【0056】これにより、ステップモータ15aを停止
状態からEGRV15を閉弁させる方向に起動するとき
は、図11に模式的に示す如く、モードは2→3→10
→1→1→…と変化し、またEGRV15の開弁状態か
ら停止状態とされるときは図12に模式的に示す如くモ
ードは0→9→8→7→6→2→…と変化し、EGRV
15の閉弁状態からEGRV15の停止状態にされると
きは図13に模式的に示すことくモードは1→9→8→
7→6→2→…と変化する。
【0057】更に、EGRV15が開弁状態から閉弁状
態へ反転するときのモード及びモータ駆動信号は図14
に、またEGRV15が閉弁状態から開弁状態へ反転す
るときのモード及びモータ駆動信号は図15に夫々示す
如く変化する。
【0058】このようにモード用テーブルを用いること
により、ステップモータ15aの駆動停止、反転、スタ
ート時に、表2に示す如くディレー時間を設けることが
できるため、ステップモータ15aの安定な作動が可能
になる。
【0059】
【表2】
【0060】このようにして、マイクロコンピュータ2
1は現在のステップ値ESTEPが運転状態に応じて変
化する目標ステップ位置TSTEPになるように制御す
ることで、EGRV15の開度を運転状態に応じて制御
することができる。
【0061】また、閉弁方向作動時には図7のステップ
111〜117に示したように、現在のステップ値ES
TEPが“9”未満のときはカウンタCCLSにより図
7の4msルーチンが14回起動される毎にESTEP
が“1”減少するから、“9”以上のときに比べてEG
RV15の弁体15bの移動速度が56ms(=4×1
4)毎に1ステップ閉弁するように設定される。これ
は、図3のバルブ57が弁座59に当接する時、早い移
動速度だと脱調する可能性があり、またバルブ57自体
が流量制御しているため、衝撃によりバルブ57が損傷
すると流量制御が正確にできなくなるからである。
【0062】また、モータ駆動回路47は弁体15bの
作動方向反転時は、図14,15及び16に示すよう
に、同じ相の励磁コイルに通常時より長い時間通電する
ように駆動パルスを発生する。これは確実に作動方向反
転を行なわせてステップモータ15aの脱調を防止する
ためである。なお、図16(A)〜(D)は図5のトラ
ンジスタTr1〜Tr4のベースに入力される各相の駆動パ
ルスを示す。
【0063】次に本実施例の断線時の作動について説明
する。図17は断線検出時のEGRV開度制御ルーチン
で、マイクロコンピュータ21は断線検出回路48から
の4つの並列入力信号のいずれかが所定時間以上ローレ
ベルが継続したときは、その入力信号に対応した相が断
線したと判定し、図7のフラグFEGRFAILが
“1”であると判定して図17のステップ120へ進
む。なお、4つの並列入力信号のすべてが所定期間以上
ハイレベルが継続した時は復帰条件として正常と判定す
る。
【0064】ステップ120ではRAM72に格納され
ている現在のステップ値ESTEPの値を2倍に変更し
てRAM72に格納し直す。また目標ステップ位置の値
を“0”とし、EGRV15の開度をゼロ(全閉)とす
るよう指示する。
【0065】続いて、マイクロコンピュータ21は検出
した断線相と対をなす相(例えば第3相断線のときは第
1相)を非通電とするべくモータ駆動回路47を制御す
る(ステップ121)。これにより、モータ駆動回路4
7から図5に示したトランジスタTr1〜Tr4のうち奇数
番目又は偶数番目の2つのトランジスタのベースのみに
駆動パルスが印加され、残りの2つのトランジスタのベ
ースには駆動パルスは印加されなくなる。そのため、ス
テップモータ15aは2相モータとして作動し、また弁
体15bを閉弁方向に駆動し始める。これにより、弁体
15bは断線検出時点のステップ値ESTEPの2倍
分、2相モータで閉弁側に駆動されることになり、若干
の脱調により現実のステップ値ESTEPとステップモ
ータ15aの回転とが対応しなくなる2相モータの場合
でも、全閉までは駆動されることが実験により判明して
いる。
【0066】ステップモータ15aを2相駆動に切換え
た後、現在のステップ値ESTEPがバルブ全閉に相当
する“5”より大であるか否か判定され(ステップ12
2)、“5”より大のときは続けてバルブを全閉方向へ
1ステップ分駆動し(ステップ123)、ESTEPの
値を“1”だけデクリメントして(ステップ124)、
再びステップ122に戻る。
【0067】上記の動作が繰り返されてステップ122
でESTEPの値が“5”以下と判定されると、バルブ
全閉と判断して再びステップモータ15aを4相駆動に
切り換える(ステップ125)。これにより、モータ駆
動回路47から4相の駆動パルスが発生されるが、ステ
ップモータ15aは1相が断線しているため実際には3
相駆動される。
【0068】次に現在のステップ値ESTEPの値が正
か否か判定され(ステップ126)、正のときは続けて
バルブを全閉方向へ1ステップ分駆動し(ステップ12
7)、ESTEPの値を“1”だけデクリメントして
(ステップ128)、再びステップ126に戻る。この
ようにして、ESTEPの値が“0”になるまで、ステ
ップモータ15aを4相駆動して弁体15bをオーバス
トロークさせて押し付け力を高める。
【0069】上記の動作が繰り返されてステップ126
でESTEPの値が“0”になったと判定されると、E
GRV15への駆動パルスの出力が停止され(ステップ
129)、停止時イニシャライズ処理実行後このルーチ
ンを終了する(ステップ130)。上記の停止時イニシ
ャライズ処理は低速度で9ステップ位置を基準に16ス
テップ閉弁方向にステップモータ15aを回転させる処
理である。
【0070】また、ステップ129でステップモータ1
5aの駆動を停止するのは、内側圧縮コイルばね52の
ばね力は、停止しているバルブ57を押し上げるほど大
きくなく、誤作動を考慮すると出力は停止した方が良い
からである。
【0071】このように、本実施例ではステップ12
4,128でのESTEPの算出によりEGRV15の
開度を実質的に検出して前記開度検出手段16を実現
し、またステップ121〜123,125〜127で前
記制御手段17を実現し、ESTEPがバルブ全閉にな
った時点でステップモータ15aを再び閉弁方向に4相
駆動することにより、オーバストローク側の駆動(全閉
締め切り力向上)は無理としても全閉位置(ESTEP
の値が“5”の位置)での保持を最低限行ない、バルブ
閉弁状態を確保するものである。
【0072】次に現在のステップ位置を示す値ESTE
Pが全閉を示す値“5”になった時点で、ステップモー
タ15aを2相駆動から4相駆動(実際には1相断線し
ているため3相)に切換えた理由について図18と共に
詳細に説明する。図18において、91はマグネットロ
ータ、92はシャフト、93はステータ、S1 〜S4
励磁コイルで、回転構造のステップモータ15aを構成
している。マグネットロータ91は図3のロータ54に
相当し、シャフト92を中心に回転する。ステータ93
は90°間隔で4つの内向きの凸部を有し、その凸部の
各々に励磁コイルS1 〜S4 (図3のステータコイル5
3、図5の励磁コイルS1 〜S4 に相当)が巻回されて
いる。また、励磁コイルS1 〜S4 中、丸を付した励磁
コイルは通電中であることを示す。
【0073】なお、図18では説明を簡便にするため
に、4相4極のステップモータで説明するが、本実施例
で用いられるステップモータは例えば特開昭60−81
442号公報に開示されたステップモータのように4相
多極(具体的には4相64極)の構成として、ロータの
保持磁力をアップさせると共に、作動速度の向上を可能
にしている。
【0074】図18に示すように、励磁コイルS1 のみ
が通電されると、マグネットロータ91側にS極が発生
するため、マグネットロータ91のN極が吸引されて同
図の左上に示すような状態となる。次に励磁コイルS2
のみが通電されると、励磁コイルS2 のマグネットロー
タ91側にS極が発生するため、マグネットロータ91
のN極が吸引されて同図の右上に示すようにマグネット
ロータ91が90°時計方向に回転された状態となる。
【0075】以下、同様に励磁コイルをS3 ,S4 ,S
1 ,…の順で通電することによりロータマグネット9は
シャフト92を中心として時計方向の回転を持続する。
一方、励磁コイルS1 〜S4 の通電順序を上記と逆にす
ることにより、ロータマグネット91はシャフト92を
中心として反時計方向に回転する。マグネットロータ9
1の時計方向の回転時にバルブが閉弁されるものとする
と、マグネットロータ91の反時計方向の回転時にはバ
ルブは開弁方向に移動制御される。なお、通常はステッ
プモータ15aは図6及び図16に示したように、2相
同時に励磁されているが、基本的には図18の原理に基
づいて回転する。
【0076】ここで、仮に第3相の励磁コイルS3 が断
線したものとすると、本実施例では第3相と相対する第
1相を非通電として第2相と第4相の2相モータを構成
するわけであるが、その場合は図18の右上と左下のみ
の通常構成となる。閉弁方向駆動のときは上記したよう
にマグネットロータ91は時計方向に回転するはずであ
るが、例えば第2相から第4相に通電が変った場合、マ
グネットロータ91が閉弁方向(時計方向)と開弁方向
(反時計方向)のどちらに回転するかは同条件のため規
定できず、マグネットロータ91はどちらの側にも回転
することが可能である。これがステップモータを2相構
成で使用したときの問題点で、2相構成のときの回転方
向は他の外力及び慣性力により決定される。
【0077】本実施例のステップモータ15aは図3に
示したように外側圧縮コイルばね51のばね力によりモ
ータシャフト56は閉弁方向に付勢されているため、現
在のステップ値ESTEPがバルブ全閉を示す“5”ま
ではステップモータ15aを2相駆動により閉弁方向に
駆動できる。
【0078】しかし、ESTEPが“4”以下のオーバ
ストローク時は図3の外側圧縮コイルばね51は関与せ
ず、内側圧縮コイルばね52をそのばね力に抗して押し
縮める必要がある。このことは、逆に言うと内側圧縮コ
イルばね52によりモータシャフト56は開弁方向の力
を受けることとなり、ステップモータ15aをそのまま
2相駆動しておくと、ロータ54(マグネットロータ9
1)の回転が不安定となり、慣性力によってはバルブ5
7が弁座59から離間する(開弁する)可能性がある。
【0079】そこで、本実施例ではESTEPが“5”
以下のときはステップモータ15aを4相駆動に戻す。
この場合、ステップモータ15aは第3相の励磁コイル
3 が断線しているから実際には第1相,第2相及び第
4相の3相の励磁コイルS1 ,S2 及びS4 が通電され
る。この状態で閉弁方向の駆動を行なうと、第2相から
第4相へ通電を変える時は前記の2相モータ状態と同一
であり、回転方向が定まらないが、第4相から第1相、
及び第1相から第2相への通電切換えは確実に行なわれ
るから、マグネットロータ91(ロータ54)は確実に
閉弁方向に駆動される。
【0080】よって第2相の励磁コイルS2 から第4相
の励磁コイルS4 への通電切換え時にロータが逆回りを
して2ステップ分開弁方向へ戻っても、その次の第4相
の励磁コイルS4 から第1相の励磁コイルS1 への通電
切換え又はその次の第1相の励起コイルS1 から第2相
の励磁コイルS2 への通電切換えによってロータが2ス
テップ分閉弁方向へ駆動されるため、前記した脱調によ
りロータが必ずしも回転しないことがあるが、全体とし
ては最悪バルブ57を弁座59に着座させ続けることが
できる。
【0081】このようにして、本実施例によれば、ステ
ップモータ15aの断線時のフェイルセーフとして、E
GRV15の弁体15bを確実に全閉状態とすることが
でき、エンジンストールやドライバビリティの悪化など
の不具合を防止することができる。
【0082】図19は断線検出回路及びモータ駆動回路
の他の実施例の回路図を示す。同図中、図2と同一構成
部分には同一符号を付し、その説明を省略する。図19
において、マイクロコンピュータ21の出力ポートはア
ンプ1311〜1314 を介してモータ駆動回路471
〜474 に接続されている。また、断線検出回路48 1
〜484 はアンプ1341 〜1344 を介してマイクロ
コンピュータ21の入力ポートに接続されている。ま
た、135はバッテリで、EGRV15内のステップモ
ータ15aに電源を供給する。
【0083】モータ駆動回路471 〜474 は夫々同一
構成で、ステップモータ15aの励磁コイルS1 〜S4
に夫々対応して設けられている。また、断線検出回路4
1 〜484 も夫々同一構成で、励磁コイルS1 〜S4
に夫々対応して設けられている。
【0084】モータ駆動回路471 〜474 の各々は、
抵抗R11〜R13,NPNトランジスタQ1 、及びダイオ
ードD1 からなり、アンプ1311 〜1314の出力端
に抵抗R11を介してトランジスタQ1 のベースが接続さ
れ、トランジスタQ1 のコレクタがダイオードD1 及び
抵抗R13を直列に介してバッテリ135の正電極と励磁
コイルS1 及びS3 、S2 及びS4 の各共通接続点に接
続されている。また、トランジスタQ1 のエミッタはバ
ッテリ135の負電極に接続されている。また、トラン
ジスタQ1 のコレクタは励磁コイルS1 〜S4 のうち対
応する相の励磁コイルの一端に接続されている。
【0085】断線検出回路481 〜484 の夫々は、抵
抗R14〜R18とコンデンサCA1 とダイオードD2 ,D
3 とコンパレータCOMPとよりなり、対応する一相の
励磁コイルの一端が抵抗R15及びR16を直列に介してコ
ンパレータCOMPの反転入力端子に接続され、またバ
ッテリ135の正電極励磁コイルS1 及びS3 、S2
びS4 の各共通接続点と、バッテリ135の負電極との
間に、抵抗R17及びR 18の直列回路が接続され、R17
18の接続点がコンパレータCOMPの非反転入力端子
に接続されている。
【0086】また、抵抗R16の一端はダイオードD2
アノード、D3 のカソード及び抵抗R15の共通接続点に
接続され、R16の他端はコンパレータCOMPの反転入
力端子とコンデンサCA1 の一端との接続点に接続され
ている。コンデンサCA1の他端とダイオードD3 のア
ノードと抵抗R14,R18の各他端とは夫々バッテリ13
5の負電極に接続されている。
【0087】かかる構成において、コンパレータCOM
Pの非反転入力端子には、バッテリ135の出力電源電
圧を抵抗R17及びR18で抵抗分圧して得た一定電圧(例
えばB/2)が印加されている。一方、コンパレータC
OMPの反転入力端子には、励磁コイルS1 〜S4 のう
ち対応する一相の励磁コイルが正常かつ駆動電流が通電
されていない時には、励磁コイルにはほとんど電流が流
れない(断線検出回路の抵抗R14が、コイル抵抗に比べ
て極めて大きい)ため抵抗R14の左端にはバッテリ電圧
とほぼ同等の電圧がかかり、コンパレータCOMPの反
転入力端子にもバッテリ電圧がかかる。従って、励磁コ
イルS1 〜S4 が断線しておらずかつ駆動電流が通電さ
れていないときは、コンパレータCOMPからハイレベ
ルが出力される。
【0088】一方、励磁コイルS1 〜S4 のうち一相、
例えばS1 が断線すると、バッテリ電圧が抵抗R14の左
端にかからないため、抵抗R14の左端は右端(バッテリ
のアース側に接続)と同一電位となる。つまり、コンパ
レータCOMPの反転入力端子電圧はほぼアース状態と
等しくなり、コンパレータCOMPの出力はローレベル
となる。マイクロコンピュータ21はアンプ1341
1344 からの入力信号のうちローレベルの信号がどの
アンプから入力されたかによって断線した相を識別す
る。
【0089】なお、断線が直った場合は、機関冷却水温
が所定値以上等の所定の条件を満足した段階で、機関始
動時のイニシャライズ処理実行後、通常のEGRV制御
に移行する。この機関始動時のイニシャライズ処理は、
つきあて全閉位置より開弁方向に4ステップ分ステップ
モータ15aを回転させ、その結果をステップ位置=ゼ
ロとする(又は16ステップ閉弁方向にステップモータ
15aを回転させた後、所定相が励磁されるまで最大3
ステップ閉弁方向に回転させる)。
【0090】
【発明の効果】上述の如く、本発明によれば、排気ガス
還流弁の弁体を駆動するステップモータの断線時には、
ステップモータを断相した相と相対する相を非通電とし
て駆動して閉弁した後、全相駆動に切換えることによ
り、全閉位置での弁体の保持を最小限行なうようにした
ため、全閉後に弁体を開弁方向に付勢する付勢手段に抗
して閉弁状態を保持することができ、よって上記ステッ
プモータの断線時のエンジンストールやドライバビリテ
ィ不良等の不具合を防止することができる等の特長を有
するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の原理構成図である。
【図2】本発明の一実施例を有する内燃機関の排気ガス
再循環装置の構成図である。
【図3】排気ガス還流弁の一実施例の構造断面図であ
る。
【図4】図2中のマイクロコンピュータのハードウェア
構成を示す図である。
【図5】図2中の断線検出回路の一例の回路図である。
【図6】図5の動作説明用信号波形図である。
【図7】排気ガス還流弁の制御ルーチンのうち正常時の
処理を示すフローチャートである。
【図8】目標ステップ位置を算出するために用いるテー
ブル説明図である。
【図9】目標ステップ位置を算出するために用いるスロ
ットル開度補正係数とスロットル開度との関係を示す図
である。
【図10】排気ガス還流分が駆動停止から開弁状態にさ
れるときのモード及びモータ駆動信号を示す図である。
【図11】排気ガス還流弁が駆動停止から閉弁状態にさ
れるときのモード及びモータ駆動信号を示す図である。
【図12】排気ガス還流弁が開弁状態から停止状態にさ
れるときのモード及びモータ駆動信号を示す図である。
【図13】排気ガス還流弁が閉弁状態から停止状態にさ
れるときのモード及びモータ駆動信号を示す図である。
【図14】排気ガス還流弁が開弁状態から閉弁状態にさ
れるときのモード及びモータ駆動信号を示す図である。
【図15】排気ガス還流弁が閉弁状態から開弁状態にさ
れるときのモード及びモータ駆動信号を示す図である。
【図16】弁体の作動方向反転時のステップモータ駆動
パルス波形を示す図である。
【図17】EGRV制御ルーチンの断線検出時の処理の
一実施例を示すフローチャートである。
【図18】全閉時にステップモータを2相モータ構成か
ら4相モータ構成へ切換える理由を説明するための、ス
テップモータの回転を模式的に示す図である。
【図19】モータ駆動回路及び断線検出回路の他の実施
例を示す回路図である。
【符号の説明】
11 内燃機関 12 吸気通路 13 排気通路 14 排気ガス還流通路 15 排気ガス還流弁(EGRV) 15a ステップモータ 15b 弁体 15c 第1の付勢手段 15d 第2の付勢手段 16 開度検出手段 17 断線検出手段 18 制御手段 21 マイクロコンピュータ 47,471 〜474 モータ駆動回路 48,481 〜484 断線検出回路 51 外側圧縮コイルばね 52 内側圧縮コイルばね 57 バルブ 59 弁座

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内燃機関の排気通路と吸気通路とを連通
    する排気ガス還流通路の途中に設けられた、ステップモ
    ータ及び弁体を有する排気ガス還流弁の開度を、運転状
    態に応じて該ステップモータを駆動して該弁体のリフト
    量を可変することにより制御する排気ガス還流弁制御装
    置において、前記排気ガス還流弁は、前記弁体を常時閉
    弁方向に付勢する第1の付勢手段と、該弁体の閉弁後該
    弁体を開弁方向に付勢する第2の付勢手段とを有する構
    成とされており、前記排気ガス還流弁の開度を実質的に
    検出する開度検出手段と、前記ステップモータの複数相
    のうち一相の励磁コイル又は配線の断線を検出する断線
    検出手段と、該断線検出手段から1相断線検出信号が入
    力された時は、前記開度検出手段から閉弁検出信号が入
    力されるまで断線検出された1相と相対する1相の励磁
    コイルを非通電とし、その後該閉弁検出信号が入力され
    た時点から全相駆動に切換えて前記ステップモータを閉
    弁方向に駆動制御する制御手段とを具備することを特徴
    とする排気ガス還流弁制御装置。
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