JP3621269B2 - 排気ガス還流制御装置 - Google Patents

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  • Output Control And Ontrol Of Special Type Engine (AREA)
  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)
  • Exhaust-Gas Circulating Devices (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、排気ガス還流制御装置に係り、特にステップモータ式の排気ガス還流制御弁を備えた排気ガス還流制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の発明では、特開平7−259617号公報に記載されているように、ステップモータのイニシャライズ、すなわち調整弁を駆動するためのステップモータの認識位置と実際のステップモータ位置を一致させる0点校正を、キースイッチのオフ時に実行していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、上記従来技術は、キースイッチオフのエンジン停止時に、ステップモータの駆動位置の0点校正を行うため、0点校正時の機械的な音が運転者に聞こえ易いという欠点があった。
【0004】
本発明の目的は、排気ガス還流制御弁を駆動するステップモータの0点校正時の機械的な音を、運転者には聞こえにくくする排気ガス還流制御装置を提供することにある
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明における排気ガス還流制御装置の特徴とするところは、排気ガス還流制御弁を駆動するステップモータ駆動部が、コントロールユニットからの制御信号に基づき、ステップモータのロータ位置の0点校正を始動が成功してエンジンが自力で運転維持できる回転数以上となったエンジン始動直後に行ない、かつエンジン回転数が所定値未満のときには前記0点校正は行なわないことにある。
【0006】
具体的には本発明は次に掲げる装置を提供する。
【0007】
本発明は、排気管の排気ガスを吸入管の吸入空気に還流する還流管路と、該還流管路に設けられ前記還流管路の開口面積を制御する排気ガス還流制御弁と、該排気ガス還流制御弁を駆動するステップモータを含むステップモータ駆動部と、該ステップモータ駆動部の動作を制御するコントロールユニットとを有し、前記ステップモータ駆動部は、前記コントロールユニットからの制御信号に基づき、前記ステップモータのロータ位置の0点校正を始動が成功してエンジンが自力で運転維持できる回転数以上となったエンジン始動直後に行ない、かつエンジン回転数が所定値未満のときには前記0点校正は行なわないことを特徴とする排気ガス還流制御装置を提供する。
【0009】
好ましくは、前記ステップモータのアイドル時のステップ位置を1相励磁位置とする。
【0010】
好ましくは、前記ステップモータのアイドル時のステップ位置が2相励磁位置であるとき、前記2相励磁位置を半ステップ開側の1相励磁位置に変更する。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態例に係る排気ガス還流制御装置を、図を用いて説明する。
【0012】
図1は、本発明の一実施の形態例に係る排気ガス還流制御装置が適用されたエンジンシステムの一例を示すものである。図1においてエンジン8が吸入すべき空気はエアクリーナ1の入口部2から取り入れられ、吸入空気量を制御する絞弁5を設置した絞弁ボディ6を通り、コレクタ7に入る。
【0013】
ここで、絞弁5は、これを駆動するモータ10と連結しており、モータ10を駆動することにより絞弁5を操作して、吸入空気量を制御できるようになっている。コレクタ7に至った吸入空気はエンジンの各シリンダ8に接続された各吸気管9に分配され、シリンダ8内に導かれる。
【0014】
一方、ガソリンなどの燃料は、燃料タンク11から燃料ポンプ12により吸引、加圧された上で燃料噴射弁13、燃圧レギュレータ14が配管されている燃料系に供給される。そして、この燃料は燃圧レギュレータ14により所定の圧力に調圧され、それぞれのシリンダ8に燃料噴射口を開口している燃料噴射弁13からシリンダ8内に噴射される。
【0015】
また、空気流量計3からは吸気流量を表わす信号が出力され、コントロールユニット15に入力されるようになっている。
【0016】
さらに、絞弁ボディ6には絞弁5の開度を検出するスロットルセンサ18が取り付けられており、その出力もコントロールユニット15に入力されるようになっている。
【0017】
次に、16はクランク角センサであり、カム軸によって回転駆動され、クランク軸の回転位置を表わす信号を出力する。この信号もコントロールユニット15に入力されるようになっている。
【0018】
20は、排気管24に設けられたA/Fセンサで、排気ガスの成分から実運転空燃比を検出、出力して、その信号は同じくコントロールユニット15に入力されるようになっている。
【0019】
コントロールユニット15は、エンジンの運転状態を検出する各種のセンサなどからの信号を入力として取り込み、所定の演算処理を実行し、この演算結果として算定された各種の制御信号を出力し、上記した燃料噴射弁13や点火コイル17や絞弁5操作のモータ10に所定の制御信号を出力し、燃料供給制御、点火時期制御、吸入空気量制御、排気ガス還流量制御を実行する。
【0020】
このようなエンジンにおいて、燃焼の温度を低下させることで窒素酸化物の生成を抑制させる排気ガス還流(以下、EGRと略す)を付加する手法がよく用いられる。すなわち、排気ガスを再び吸入空気に還流することで不活性ガスの濃度を高め、燃焼温度を低くする手段である。
【0021】
図1において、排気管24の排気ガスをコレクタ7の吸入空気に還流する還流管路25の途中に還流管路25の開口面積を制御するEGR制御弁21を設ける。EGR制御弁21は、ステップモータ22を含むステップモータ駆動部23により駆動される。
【0022】
コントロールユニット15は、上記と同じように、EGR制御弁21を駆動するステップモータ駆動部23に所定の制御信号を出力し、EGR量制御を実行する。
【0023】
また、コントロールユニット15は、例えば、ステップモータ22に外力が加わり、ステップモータ22のロータの位置がずれたとき、ロータを元の位置に戻す0点校正の制御信号をステップモータ駆動部23に出力し、0点校正を実行させる。
【0024】
EGR付加時のエンジン性能の一例を図2に示す。横軸のEGR率は吸入空気量に対するEGRガス量の比であり、値が大きい程大量のEGRガスが還流していることを示す。EGR率が高くなるにつれ燃焼の温度が低下するので、排気ガス中の窒素酸化物の濃度は単調に下がる。その一方で燃焼の速度が下がってくるため健全な燃焼が行われなくなる傾向となる。
【0025】
この現象はある程度のEGR率までは大きく顕現化はせず、所定のEGR率以上で急激に燃焼安定性が悪化する。このため、安定した燃焼状態と低い窒素酸化物濃度を得たい場合には精密なEGR率の制御が必要となる。
【0026】
EGRは、排気管から吸気管へ通路を設けて還流させることが一般的であり、吸気管と排気管の圧力差はエンジンの運転条件によりさまざまに変化する。かかる環境のもとでEGR率を精密に制御するには、EGRガス量を計量する計量部を設け、EGRガス量をエンジンの運転条件に応じて精密に計量することが必要となる。
【0027】
さらにEGRガス量を精密に計量するためには、還流管路25の開口面積を正確に制御することが必要である。この開口面積の制御において、ステップモータ22で駆動されるEGR制御弁21を設け、ステップモータ22の精密なストローク制御性を利用し開口面積を制御することが一般に行われている。
【0028】
ステップモータ22の動作を概念的に説明する図を図3に示す。ステップモータ22は、円周周りにNS極交互に帯磁した永久磁石ロータ51と、それを囲む2層の周状電磁コイル52からなる。図3は、永久磁石51を説明の便宜上NSの一組のみを記し、永久磁石と電磁コイルの周の一部を平面に投影して示している。
【0029】
ここで、電磁コイル52を図3(a)のように励磁すると、永久磁石51との力バランスにより図のような位置に安定する。次に下側電磁コイルの相を図の(b)のように通電方向を逆にすることによりN,S極を逆にすると、その隣の図のような位置に安定する。すなわち永久磁石51は図の同差分変位したこととなる。
【0030】
この動作を繰り返すことにより、ステップモータ22は、相対的に正確な周方向操作量を実現できる。これを直線運動に変換すると、相対的に正確な位置制御が行える。また、図3(c)のように2つの励磁相の1つのみ、この場合は(b)の状態に続き上側の層のみを励磁すると2相を励磁切替したときの半分の操作量を実現することができる。これにより、操作量の制御精度を2倍にすることができる。
【0031】
ここで、前述したように、ステップモータ22に外力が加わり、外力が磁力による保持力に打ち勝ったとき、例えば図3(a)のA位置にある永久磁石ロータ51は、図の右から左のB方向に動き、そこでA位置と同様の磁力のバランスが安定するB位置に移動する。このように外力によって永久磁石ロータ51は励磁相変化1周期分の位置おきの磁力バランスが安定な位置まで移動する。
【0032】
本現象は、永久磁石ロータ51の位置を検出するセンサなしには、ステップモータ駆動部23はその発生を検知することができない。これを脱調と称す。
【0033】
脱調した場合にはステップモータ22を用いての開口面積制御精度が悪化する不都合が生じる。
【0034】
そこで、永久磁石ロータ51の位置を検出するセンサを設定することなしに、ステップモータ駆動部23の永久磁石ロータ51位置認識位置と実際の永久磁石ロータ51位置を一致させる方法として、永久磁石ロータ51の0点校正が挙げられる。
【0035】
0点校正の校正方法を、以下に説明する。
図4は、ステップモータ駆動部23が、永久磁石ロータ51をストッパ−6位置から機械的制限のストッパ位置に向け所定周期で駆動させたときの挙動である。機械的制限は例えば永久磁石ロータ51のそれ以上の移動を止めるストッパである。図4の太線に示すように、前述の励磁相切替を所定時間毎に繰り返すことにより、ストッパ−5,−4,のような磁力の安定する所定間隔の位置へと永久磁石ロータ51が移動を行なう。
【0036】
ここで、永久磁石ロータ51位置がストッパ位置になったとき更に駆動を行なうと、永久磁石ロータ51の位置は、前述の脱調の部分で説明したように最寄りの磁力のバランスの安定する位置、すなわちストッパ−3位置へと移動する。更に駆動を続けると図のように同じ動作を繰り返す。
【0037】
同様な駆動を行なったときのステップモータ駆動部23のステップ位置認識値と永久磁石ロータ51の実際のステップ位置の関係を図6に示す。図6は、例えば前述の外力により、ステップモータ駆動部23のステップ位置認識値と永久磁石ロータ51の実際のステップ位置がずれている場合を示す。ストッパ位置の方向への駆動を位置認識ずれが考えられる回数分繰り返し、ストッパ位置で停止すると位置認識ずれはなくなる。
【0038】
ここで、0点校正中は、永久磁石ロータ51はストッパ位置に固定されるため本来の駆動動作を行うことができない。また、0点校正動作は機械的にストッパに永久磁石ロータ51を衝突させるため音が発生する。したがって、ステップモータ22で駆動されるEGR制御弁21では0点校正を実行できる条件に、音が発生しない制限を設ける必要がある。
【0039】
具体的には、0点校正音はエンジンの作動音に紛らせることで運転者に対し聞こえにくくすることができる。また、エンジン始動直後はエンジンの状態が安定していないためEGRを付加することは一般に考えにくい。これらのことから、エンジン始動直後に0点校正を行うことで0点校正の持つ欠点が克服できる。
【0040】
また、制御仕様として始動直後を定義すると、エンジンの回転数に着目した場合、始動前はエンジン回転数は自力で回転維持できない回転数であり、始動が成功したときはエンジンは自力回転を維持できる以上の回転数に変化する。このときはエンジンの作動音は期待できる環境にある。
【0041】
また、始動に失敗し、エンストに至った場合は自力で回転維持できない回転数となる。この場合には0点校正音が聞こえるので0点校正は行なわない方が良い。よって、エンジン回転数で0点校正実行可否を判定するには、回転数が自力で持続できる値以上であるかを条件とすることで適正に判定できる。
【0042】
以上の制御の1実施の形態例をフローチャートで表したものを図8に示す。
図8のような制御を所定時間ごとに繰り返すことにより所望の制御を行うことができる。また、さらにスタータ作動の条件を付加すれば、スタータ作動は運転者の明確な始動意志であるので、より正確な判定が行える。
【0043】
一方、EGRの付加条件としては前述のように燃焼が安定しているときにEGRを付加したい。したがって、アイドル時のようにEGRの外乱により燃焼状態の変化が生じやすい条件ではEGRを付加しないようにする。EGRを付加しないときは、EGR還流通路の開口面積を全閉とすることとなる。
【0044】
また、前述の0点校正のストッパは同じく全閉位置に設けるのが合理的である。なぜならば、0点校正中はEGR付加の必要はなく、またEGRを付加すると燃焼の成立性上危険だからである。
【0045】
さらに、EGR制御弁の構成上、ストッパ位置と開口面積の開き始める位置とを合わせることは部品精度を要求し、また必ずしも一致させる必要はない。したがって、図6に示すように、ストッパ位置と開口面積の開き始める位置とをずらして設定するのが良い。さらにストッパ位置は0点校正時に、確実な位置精度を要求するため制御力の強い2相励磁位置とするのが良い。
【0046】
以上のことから、アイドル時のようなEGRを付加しない条件では、ストッパ位置は2相励磁状態にある。ここで、2相を励磁するためには2相とも電磁コイルに通電することが必要になるため、消費電力は1相励磁時の2倍となる。
【0047】
一方、発電を行うオルタネータの発電能力は、図5に示すように、回転数に依存するため、アイドル時には発電能力が不足する場合がある。また、図7に示すように、EGR開口面積が開き始めるまで制御位置にオフセットを持たせた構造とすれば、アイドル時に2相励磁位置の隣の1相励磁位置に制御してもEGRが付加されることはなく、かつ消費電力を低減できる。
【0048】
ここで、EGR付加なしに限らず、EGR付加状態でも条件が許せば1相励磁位置にEGR制御弁を駆動することで消費電力低減が計れる。たとえば、筒内燃料噴射においてアイドル時に成層運転を行うような場合、目標のEGR率を得るためのEGR制御弁操作位置が2相励磁位置であるとき、これを1相励磁位置とすることは目標のEGR率とは異なったEGR率を与えることとなる。
【0049】
しかし、成層燃焼の安定性が、図9に示すように、EGR率に対し鈍感であれば、1相励磁位置に操作位置を改めることはエンジン性能上の不都合は事実上生じない。この際、半ステップ開側に目標励磁位置を改めることはEGR率を増すことを意味し、窒素酸化物排出量低減の意味で望ましい。
【0050】
このような制御のフローチャートを図10に示す。たとえば、アイドル状態であれば、均質燃焼のときは燃焼安定性確保からEGRを付加せず、成層燃焼のときは先に述べたようにEGR率に対し鈍感であるので、成層、均質いずれの状態にあってもEGRのステップモータ22を1相励磁位置とすることで、燃焼上の不都合を生じることなく消費電力低減が計れる。
【0051】
すなわち、先に述べた0点校正条件かをステップ101で判定し、0点校正条件にあるときはステップ103に進み0点校正を実行する。そうでないときは、ステップ102へ進みアイドル条件にあるかを判定し、アイドル条件にあるときはステップ104で1相励磁目標位置を与え、ステップ105でステップモータの駆動を行う。
【0052】
【発明の効果】
本発明によれば、排気ガス還流制御弁を駆動するステップモータの0点校正をエンジン始動後に行うことにより、運転者に0点校正時の音を聞こえにくくすることができ、運転者に安心感を与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態例に係る排気ガス還流制御装置が適用されたエンジンシステムの構成図である。
【図2】EGR付加時のエンジン性能の一例を示す図である。
【図3】図1のステップモータの動作を概念的に説明する図である。
【図4】0点校正の校正方法を説明する図である。
【図5】エンジン発電機の性能特性を示す図である。
【図6】ステップ位置認識値とロータの実際のステップ位置との関係を示す図である。
【図7】EGR制御バルブの性能特性を示す図である。
【図8】0点校正の動作処理のフローチャート図である。
【図9】エンジンの特性を表わす図である。
【図10】ステップモータ駆動部の制御処理のフローチャート図である。
【符号の説明】
7…コレクタ、8…シリンダ、9…吸気管、15…コントロールユニット、21…EGR制御弁、22ステップモータ、23ステップモータ駆動部、24排気管、25還流管路、51…永久磁石ロータ、52…電磁コイル

Claims (3)

  1. 排気管の排気ガスを吸入管の吸入空気に還流する還流管路と、該還流管路に設けられ前記還流管路の開口面積を制御する排気ガス還流制御弁と、該排気ガス還流制御弁を駆動するステップモータを含むステップモータ駆動部と、該ステップモータ駆動部の動作を制御するコントロールユニットとを有し、前記ステップモータ駆動部は、前記コントロールユニットからの制御信号に基づき、前記ステップモータのロータ位置の0点校正を始動が成功してエンジンが自力で運転維持できる回転数以上となったエンジン始動直後に行ない、かつエンジン回転数が所定値未満のときには前記0点校正は行なわないことを特徴とする排気ガス還流制御装置。
  2. 請求項1において、前記ステップモータのアイドル時のステップ位置を1相励磁位置とすることを特徴とする排気ガス還流制御装置。
  3. 請求項1において、前記ステップモータのアイドル時のステップ位置が2相励磁位置であるとき、前記2相励磁位置を半ステップ開側の1相励磁位置に変更することを特徴とする排気ガス還流制御装置。
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