JP2868039B2 - 低級金属酸化物の製造方法 - Google Patents

低級金属酸化物の製造方法

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JP2868039B2
JP2868039B2 JP4093935A JP9393592A JP2868039B2 JP 2868039 B2 JP2868039 B2 JP 2868039B2 JP 4093935 A JP4093935 A JP 4093935A JP 9393592 A JP9393592 A JP 9393592A JP 2868039 B2 JP2868039 B2 JP 2868039B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【001】
【産業上の利用分野】本発明は、低級金属酸化物の粉末
を工業的に製造する金属酸化物の製造方法に係り、特
に、炭化水素と酸素の混合ガスを燃焼して得られる不完
全燃焼炎を利用する金属酸化物の製造方法に関する。こ
こで、本発明における低級金属酸化物とは、例えば、4
族の金属である珪素の場合には、酸素との組成比が1:
2である高級金属酸化物の二酸化珪素(SiO2)に対
し、組成比が1:2よりも小さいSiO、Si2O3等
を指すものであり、また、別な例を挙げると、6族の金
属であるタングステンの場合には、酸素との組成比が
1:3である高級金属酸化物の三酸化タングステンに対
し、酸素との組成比が1:3よりも小さいWO2,W3
O等を指すものである。
【002】
【従来の技術】低級金属酸化物として代表的な珪素の低
級酸化物は、食品包装用のガスバリヤーフィルム、電子
部品の絶縁保護膜、光学部品の保護膜や反射防止膜等に
優れた特性を示すことから、これらの膜の蒸着用原料と
して工業的に重要な材料である。
【003】このような低級金属酸化物を合成する方法と
しては、金属と金属酸化物の混合物を真空中で高温加熱
して発生した蒸気を冷却、凝縮して低級金属酸化物を得
る方法が知られている。しかしながら、この方法は、バ
ッチ単位の製造方法であるため、連続的な生産には不向
きであり、また、量産するとしても、大型の真空高温炉
が必要であり、設備費が高くなるという欠点を有してい
る。そのため、連続的な生産であって、しかも大型の真
空高温炉等の設備を必要とすることなく製造できる新規
な製造方法の開発が望まれている。
【004】低級金属酸化物を製造する他の方法として
は、化学炎を利用することが考えられるが、化学炎の雰
囲気が酸化性雰囲気であるため、高級な金属酸化物の合
成には適しているが、低級金属酸化物に適用することは
困難である。
【005】化学炎を用いて粉末を合成する方法として
は、例えば、「化学工学」46、524(1982)に
示されているように、H−O炎やC−O
に揮発性金属ハロゲン化物を供給し酸化物超微粒子を合
成する例などがある。このような化学炎を用いる方法
は、設備のためのイニシャルコストが小さく量産が容易
であるなど工業的に有利な点が多いが、化学炎は単に高
温の酸化性雰囲気としてしか扱われておらず、炭化水素
に対して酸素を理論混合比以上に混合した完全燃焼状態
の炎が用いられているので、この方法では高級な金属酸
化物しか合成できない。
【006】また、特開昭60−255602公報にはバ
ーナー中に金属粉末を投入し酸化物超微粒子を製造する
方法が提案されているが、この場合、バーナーは反応を
促進させるための補助熱源でしかなく、超微粒子は金属
粉末の酸素雰囲気下における自己燃焼反応によって合成
されるのでやはり高級な金属酸化物しか合成することが
できない。
【007】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、従来の化学炎法では合成が困難とされていた低級金
属酸化物について化学炎法を応用した新規な合成方法を
用い、これにより、低級金属酸化物を工業的に連続的で
しかも簡便かつ安価に製造できる低級金属酸化物の製造
方法を提供することにある。
【008】
【課題を解決するための手段】上述の目的は、CxHyで
表現される炭化水素ガスと酸素ガスを混合比mが0.9
5・(x/2)<m<1.5・(x/2)の範囲となる
ように混合して点火することにより不完全燃焼炎を形成
させ、次いで該不完全燃焼炎中に、該不完全燃焼炎の作
用で容易に金属蒸気を発生させる金属酸化物若しくは金
属のいずれか又は両者の粉末からなる原料粉末を不活性
キャリヤガスと共に噴霧し、該不完全燃焼炎で発生する
ガスと上記金属蒸気とを気相反応させて低級金属酸化物
のガスを発生させ、このガスを急冷して低級金属酸化物
の粉末を得ることを特徴とする低級金属酸化物の製造方
法により、解決される。但し、CxHyの燃焼反応は次の
燃焼式で定義される。 CxHy+(x/2)・O2 → x・CO+(y/2)・H2
【009】好適には、不完全燃焼炎は、周囲に酸素を含
む気体の不存在下で形成され、低級金属酸化物は不完全
燃焼炎から排出された燃焼排ガスと共に輸送されて回収
される
【010】また、本発明の製造方法は、炭化水素ガスと
混合される酸素ガスの混合比率を変えることにより低級
金属酸化物の酸素量を制御することを特徴としている。
【011】例えば、本発明の製造方法では、炭化水素ガ
スがアセチレンガスであって、上記酸素ガスはアセチレ
ン1モルに対し0.95モルより多く1.5モルより少
ない割合の流量で混合され、また、上記原料粉末が二酸
化珪素である。
【012】
【作用】本発明における不完全燃焼炎中の気相反応は、
不完全燃焼炎の作用により発生した原料粉末の蒸気と、
炭化水素ガスの不完全燃焼で発生した一酸化炭素又は炭
化ラジカルとが高温下で反応して低級金属酸化物蒸気が
できる反応であり、この低級金属酸化物蒸気が炎の外に
出るとき急冷・凝縮されて低級金属酸化物粉末ができ
る。
【013】また、急冷工程を経るため、低級金属酸化物
で非化学量論組成(例えば、TiO0.7やTiO1.
25などのように結晶格子の一部が空孔となっているも
の)をとるものや常温で不安定なもの(例えば、Si
O)を合成することができる。
【014】本発明の製造方法で得られる酸化物粉末とし
ては、珪素、ゲルマニウム、チタン、モリブデン、タン
グステン、ユーロピウム等の金属の低級酸化物を挙げる
ことができる。これらの製造用原料としては、それぞれ
の金属の酸化物粉末もしくは金属の粉末を使用すること
ができる。例えば、一酸化珪素(SiO)を合成する場
合には、二酸化珪素粉末(SiO2)又は金属シリコン
粉末(Si)を用いることができる。
【015】これらの原料粉末は不完全燃焼炎の熱で容易
にその温度が上がるように、煙霧化して炎の中へ吹き込
まれる。煙霧化は、原料粉末をキャリアガス中に均一に
分散させる操作であり、これは内部に攪拌羽とテーブル
フィーダおよび分散ノズルを有する粉体供給器によって
行われる。攪拌羽によって細かくほぐされた原料粉末
は、テーブルフィーダによって少量ずつ定量的に分散ノ
ズルへ送られ、分散ノズルから高圧高速で吹き出してい
るキャリアガスによって煙霧状態にされる。煙霧化され
た原料粉末は輸送管を介してバーナまで圧送されバーナ
の中央部から不完全燃焼炎の中へ噴出される。この時、
原料粉末の粒径が小さすぎると粉末が互いに凝集し大き
なかたまりとなりやすく、不完全燃焼炎の中で十分に温
度が上がらなかったり輪送管内で詰まったりするなど運
転上不都合なことが生じる。また逆に、粒径が大きすぎ
ると熱容量が大きく炎の中で十分に温度が上がらない。
この理由から原料粉末の粒径が制約されるため、3〜1
0μmの範囲に調整するのが好ましい。
【016】一方、キャリアガスの種類としては、不完全
燃焼炎中の酸素濃度に影響を与えないこと、高温で金属
と反応しないこと、熱容量が小さく炎の温度を低下させ
ないことなどからアルゴンのような不活性ガスを使うの
が好ましい。キャリアガスの流量は、多いほど粉の煙霧
化や輪送管内の輸送が容易であるが、多すぎると不完全
燃焼炎の状態に影響を与えるので好ましくない。流量と
しては、バーナに供給される炭化水素の流量ガス以下に
調整するのが好ましく、さらに好ましくは1/2以下に
調整する。また、できるだけ少流量のガスで煙霧化や輪
送が行えるよう、分散ノズルのオリフィス面積は総和で
0.1mm以下にすることが好ましい。
【017】本発明において使用される炭化水素ガスとし
ては、メタン、エタン、プロパン、ブタン、エチレン、
プロピレン、アセチレン等が使用可能である。これらの
中でも火炎温度の高いアセチレンが最も好ましい。これ
は次のような理由による。通常、炎の外周部は内部に比
べて温度が低くなるため、不完全燃焼させた時にはこの
外周部で「すす」が発生しやすい状態になり、発生した
「すす」が生成粉末中に混入し不純物となってしまう恐
れがある。従って、アセチレンのような燃焼温度が高い
ガスを使用すれば「すす」の発生が抑えられ有利であ
る。
【018】本発明は、炭化水素ガスと酸素ガスとを混合
することにより、不完全燃焼炎を形成するので、本発明
における不完全燃焼炎について、例えば、炭化水素ガス
としてアセチレンガスを使用する例で説明すると、完全
燃焼の場合の反応は、 C2H2 + 2.5O2→ 2CO2 + H2O となり、燃焼により発生するガス成分は二酸化炭素と水
蒸気もにであるのに対し、酸素の混合比率が小さく、即
ち、酸素不足の状態になると、燃焼ガス中には一酸化炭
素、水素が含まれるようになり、混合比が1までに減少
すると、反応は、 C2H2 + O2→ 2CO + H2 となり、中性燃焼状態となる。さらに、酸素の混合比が
小さくなると、燃焼炎中には炭素ラジカルが認められる
ようになり、還元性燃焼状態となる。
【019】従って、炭化水素としてアセチレンガスを用
いる場合、不完全燃焼は酸素ガスの混合比mをアセチレ
ン1に対し2.5より小さくすることによって得られ、
この時、混合比mの値が変わるにつれて燃焼ガスの成分
も変化し、不完全燃焼炎の雰囲気は酸性雰囲気から中性
さらに還元性雰囲気まで変化する。
【020】上述の場合には、炭化水素ガスとして好まし
いアセチレンガスについて説明したが、一般式としてC
XHYで表される炭化水素ガスの場合における酸素ガス
の混合比mについて考察すると、上述のアセチレンガス
と同様な中性焼炎は、 CXHY+(X/2)・O2→X・CO+(Y/2)・H2 で表される。この中性燃焼炎の酸素混合比(X/2)を
基準にして、本発明においては、酸素ガスの混合比m
は、 0.95・(X/2)<m<1.5・(X/2)・・・(A) の範囲に調整される。
【021】酸素ガスの混合比mの値を(A)式の範囲内
に調整するのは、X/2=1のアセチレンガスの場合と
同様に、混合比mの値によって不完全燃焼炎の雰囲気が
変化し、混合比mが大きくなり過ぎると、強い酸化性を
示し、これにより、生成物は完全に酸化されてしまい、
低級金属酸化物の合成には不適当である。
【022】一方、酸素ガスの混合比mが小さくなり過ぎ
ると、生成物中に金属の炭化物が混入したり、炎中の炭
素源の濃度が過剰になって「すす」が析出したりするよ
うになる。従って、混合比mは上記(A)式の範囲内に
調整することが好ましい。
【023】さらに重要なことには、低級金属酸化物中の
酸素濃度は酸素ガスの混合比mの値によって変化するの
で、所望の酸素濃度するためには上記(A)式の範囲内
でさらに細かく調整することが望ましい。
【024】例えば、珪素の低級酸化物SiOxを製造す
る際、酸素濃度xを高くするときは混合比mを大きく、
逆に酸素濃度xを低くするときは混合比mを小さくする
ことにより、酸素濃度xを自在に変えることができる。
【025】本発明においては原料粉末を不完全燃焼炎の
中で気化させることが必要であるので、炎の温度は原料
粉末の気化温度以上になるよう調整される。使用する炭
化水素の種類や酸素の混合比によっては、発熱量が小さ
くて気化温度以上にならない場合もありうる。このよう
な場合には、外部ヒータにより補助加熱を行い炎の温度
を気化温度以上まで上げてやるとよい。
【026】本発明において、不完全燃焼炎中に供給され
る原料粉末の供給量は粉体供給器内のテーブルフィーダ
によって調整されるが、その量が多すぎると炎の温度や
収率に影響を与えるので、使用する炭化水素の種類と流
量、酸素の混合比、原料粉末の熱容量、キャリアガスの
流量、気相反応にともなって出入りする熱の量、補助加
熱の有無などを考慮して気相反応が十分進行するように
最適の量が容易に決定される。
【027】本発明においては、好適には、不完全燃焼炎
は、酸素を含まない雰囲気中で形成される。これは大気
中など酸素を含む雰囲気中で燃焼させると、炎は中心部
の非酸化性の内炎と外気が拡散・混合してきて酸化性の
外炎とからなる二重構造をとるため、内炎でできた低級
金属酸化物が外炎を通る間に酸化されてしまうという不
都合が起こることによる。酸素を含まない雰囲気は、例
えば、外気から遮断された反応容器の一端にバーナーを
取り付け他の一端から容器内のガスを排気するような装
置構成によって容易に作ることができる。
【028】炎の中の気相反応によってでできた低級金属
酸化物ガスは、炎の外へ出ると急速に冷却されて凝縮し
粉末となる。この粉末は、燃焼排ガスと共に反応容器の
排気側に付設したサイクロン、バグフィルタ等の集塵機
に導かれ排ガスと分離され製品として回収される。
【029】換言すれば、本発明は、酸素を含まない雰囲
気中で形成させた炭化水素の不完全燃焼炎中のガスと、
炎の熱でガス化した原料粉末の蒸気との気相反応を利用
して金属の低級金属酸化物を製造する方法であり、二酸
化珪素粉末を原料にして珪素の低級酸化物を合成する場
合を例にとると、次のようなプロセスを経て粉末が合成
される。まず、原料の二酸化珪素粉末は粉体供給器内で
煙霧化されキャリアガスとともに炎の中に吹き込まれ
る。煙霧化された二酸化珪素粉末は炎の熱と温度で容易
に気化し、ただちに不完全燃焼中の一酸化炭素や炭化ラ
ジカルと反応して酸化珪素(SiOx)の蒸気ができ
る。発生した酸化珪素蒸気が炎の外へ出るとき急冷され
て酸化珪素粉末ができる。この急冷作用によって、常温
では不安定な珪素の低級酸化物を得ることができる。こ
れを集塵機回収するだけで製品化できる。
【030】
【実施例】まず、本発明に係る低級金属酸化物の製造装
置について説明する。この製造装置は、原料粉体を供給
するための粉体供給器部2と、この粉体供給器部2に接
続されると共に炭化水素ガス及び酸素ガスを供給するバ
ーナ部4と、バーナ部4から連続した反応容器部6と、
反応容器部6から順次連続して接続されて後処理をする
ためのサイクロン部8、バグフィルター部10及び排気
用ブロア部12とから成っている。これら粉体供給器部
2、バーナ部4、反応容器部6、サイクロン部8、バグ
フィルター部10及び排気用ブロア部12は互いに気密
に接続されて1つの系を成している。
【031】粉体供給器部2は、粉体原料貯留用のホッパ
22と、このホッパ22内で粉体原料を撹拌するための
攪拌羽24と、撹拌された粉体原料を連続して供給する
ためのテーブルフィーダ26と、粉体原料を分散さす分
散ノズル28とから成っている。また、ホッパ22の外
側には、撹拌羽24とターンテーブルフィーダ26とを
駆動するためのモータ30が設けられている。そして、
分散ノズル28にはキャリアガス供給配管32が組み込
まれており、このキャリアガス供給配管32を介して不
活性の高圧キャリアガス、例えば、アルゴンガスが分散
ノズル28に供給される。分散ノズル28は原料粉末輪
送管34に接続されている。図2及び図3には、分散ノ
ズル28の拡大図が示されており、図2及び図3から明
らかなように、分散ノズル28はターンテーブルフィー
ダ26の周辺に沿って所定間隔だけ隔てて複数個、図示
の場合、12個からなっており、図2中、矢印aで示さ
れる方向にキャリアガス供給配管32からの高圧キャリ
アガスが噴出され、図2中の符号bで示されるように、
原料粉体が煙霧化される。
【032】原料粉末輸送管34の他端はバーナ部4に接
続されてており、バーナ部4はバーナ本体42を有して
おり、このバーナ本体42の一端には原料粉末輸送管3
4と共に炭化水素供給配管44及び酸素供給配管46が
接続されており、これら原料粉末輪送管34、炭化水素
供給配管44及び酸素供給配管46には、図示しない流
量制御器がそれぞれ取付けられている。一方、バーナ本
体42の他端はノズルとなっており、反応容器部6に気
密に接続されている。
【033】反応容器部6は、鉛直方向に保持された円筒
形の反応容器62を有しており、この反応容器62の上
部には、上記バーナ本体62のノズル側の端を気密に組
み込むための開口と、この開口と同心円状に設けられた
置換ガス供給口64とを有している。また、稼働時のバ
ーナ部4からの火炎の長さにぼぼ相当した反応容器62
の部位の外周部には補助加熱用の外部ヒータ66が取付
けられており、火花放電式の着火装置68も組み込まれ
ている。反応容器62の下部は、火炎から受ける高熱に
耐えるように水冷二重管になっている。そして、この反
応容器62は輸送管68に接続されており、この輪送管
70には、希釈ガスを噴出するための希釈ガス噴出ノズ
ル72が反応容器62の下の位置で挿入されている。
【034】輸送管68の他端は、合成した低級金属酸化
物の粉末を捕集するためのサイクロン部8に接続されて
おり、このサイクロン部8は、反応容器62の下部と同
様に水冷二重管になってガスの冷却器の役割も兼ねてい
る。サイクロンの下流部には微粉末捕集用のバグフィル
タ部10が輸送管を介して接続されており、バグフィル
タ部10の下流には排気用の高圧ブロア部12が連結さ
れている。
【035】次に、このように構成された低級金属酸化物
の製造装置の作動についてのべる。
【036】まず、置換ガス供給口64から反応容器62
内にアルゴンガス等の不活性ガスが流し込まれ、同時に
希釈ガス供給ノズル72から空気もしくは窒素等の希釈
ガスが輸送管70内に流し込まれ、排気用の高圧ブロア
部12によって反応容器部6からサイクロン部8、バグ
フィルタ部10にいたるまでの系内のガスが排気され、
これにより、系内のガスが徐々に不活性ガスに置換され
る。
【037】続いて、炭化水素供給配管44及び酸素供給
配管46から炭化水素ガスと酸素ガスがそれぞれバーナ
ー部4に供給され、バーナー部4の内部で予混合された
後反応容器62内に噴出される。運転中、それぞれのガ
スの流量と混合比は、常にあらかじめ設定した値に保た
れるようマスフローコントローラによって正確に制御さ
れる。反応容器62内に噴出された混合ガスは、噴出後
すぐに着火装置68によって着火され不完全燃焼炎が反
応容器62内に形成される。補助加熱が必要な場合は、
ガスの供給に先立ち外部ヒータ66に所定の電力が投入
される。
【038】この不完全燃焼炎の働きにより、反応容器6
2内に残留している酸素は次第に消費されていき、一定
時間の後には、反応容器62内は、着火によって混合ガ
スから生じた不完全燃焼ガスと置換用ガスとからのみな
る不完全雰囲気に完全に置き変えられる。
【039】尚、置換ガス供給口64からの置換ガスの供
給は、運転中、反応容器62及び輸送管70の管壁を熱
から保護するため、継続され、また、希釈ガス噴出ノズ
ル72からの希釈ガスの噴出も継続され、これにより、
ガスの滞留しやすいサイクロン部8、バグフィルタ部1
0内での爆発が起こらないように不完全燃焼ガスの希釈
が行われる。その流量は流量計で制御され、不完全燃焼
で生じた可燃性ガスの濃度がその爆発範囲外になるよう
に調整される。
【040】このようにして反応容器62内のガスが置換
された後、粉体供給器部2から煙霧化された原料粉末が
原料粉末輸送管34を介して不完全燃焼炎内に供給され
る。粉体供給器部2においては、ホッパ22内に充填さ
れた原料粉末は、内部の攪拌羽24によってほぐされな
がらテーブルフィダ26により少量ずつ定量的に分散ノ
ズル28の吹き出し口に供給された後、分散ノズル28
から吹き出す高圧高速のキャリアガスによって粉末は非
常に細かく分散され煙霧化される。
【041】煙霧化された原料粉末が不完全燃焼炎中へ吹
き込まれると、原料粉末は炎の熱で気化し、炎中のガス
と気相反応して低級酸化物蒸気を生成し、炎の外に出る
とき急冷されて低級金属酸化物の粉末ができる。
【042】その後、低級金属酸化物粉末は輸送管70を
経てガスと供にサイクロン部8に送られ、ここでガスと
分離・捕集される。サイクロン部8で分離できなかった
残余の微粒子は、後段のバグフィルタ部12で完全にガ
スと分離され回収される。分離されたガスは、排気用の
高圧ブロア部12を経て系外に排出される。
【043】以下、このような酸化物粉末製造装置を用い
て低級金属酸化物粉末を製造する具体的な実施例につい
て説明する。
【044】(実施例1)炭化水素ガスとしてアセチレン
を用いて不完全燃焼炎を形成し、原料粉末として二酸化
硅素粉末から硅素の低級酸化物を合成した例を以下に示
す。
【045】まず、置換ガス供給口64からアルゴンガス
を50(1分間当りの標準状態換算の流量、リットル単
位、即ち、以下「Nl/分」と記す)の流量で反応容器
62内に吹き込み、一方、希釈ガス噴出ノズル72から
は空気を1000(Nl/分)の流量で噴出させ、これ
により、系内のガス置換を行った。
【046】続いてアセチレンガスと酸素ガスをそれぞれ
を20.9 (Nl/分)、18.8(Nl/分)の流
量でバーナ部4に供給し、不完全燃焼炎を反応容器62
内に形成させた。このとき、上述の(A)式における酸
素ガスの混合比はm=0.98であるので、炎中にはア
セチレンの不完全燃焼によって一酸化炭素、水素の外、
若干の炭素ラジカルが生成し、炎は弱還元性の状態であ
る。
【047】原料粉末の二酸化珪素には平均粒径6.1μ
mの粉末を用い、アルゴンのキャリアガスを9(平方セ
ンチ当りのキログラム・フォース、即ち、kgf/cm
)の圧力、9(Nl/分)の流量で分散ノズル28よ
り噴出させて、3(g/分)の割合でバーナ部4ヘ供給
した。
【048】この時の火炎温度は、熱平衡計算よれば29
00℃となる。この温度は、二酸化硅素の気化温度29
50℃より若干低いので、外部ヒータ66により補助加
熱を行う必要がある。そこで、火炎を形成する前に、反
応容器62内の温度が300℃となるよう外部ヒータ6
6により温度調整した。
【049】生成した低級金属酸化物粉末は、サイクロン
部8とバグフィルタ部10でガスと分離し回収した。
【050】このようにして合成した低級金属酸化物粉末
を、透過型電子顕微鏡写真観察、BET法による吸着比
表面積測定、X線回折、EDS分析及び化学分析により
評価した。
【051】図4には、得られた珪素の低級酸化物粉末の
電子顕微鏡写真を示す。この写真及び吸着比表面積測定
から、得られた低級金属酸化物粉末は、粒径を50〜1
00nm、比表面積を80m/gとする微細な球形状
の粉末であった。
【052】図5には、得られた珪素の低級酸化物粉末の
X線回折図を示す。図5の回折パターンから明らかに、
得られた粉末はアモルファス構造を有していることが判
る。
【053】さらにエネルギー分散形X線分光分折(ED
S分析)の結果から、各粉末の珪素と酸素の比率が1:
1であり、得られた珪素の低級酸化物はSiOの化学式
で表されることが判明した。
【054】次に、その他の元素の化学分折の結果を下記
に示す。尚、比較のため、原料粉末の測定値をカッコ内
に示す。 Fe 180ppm (260ppm) Co 3ppm未満( 3ppm未満) Zr 1ppm未満( 8ppm) Ni 1ppm未満( 2ppm) Cr 1ppm未満( 2ppm) Mn 1ppm未満( 2ppm) このように、得られた珪素の低級酸化物中の不純物は原
料粉末よりも少なく、純度が上がっていることが判る。
【055】(実施例2〜4)実施例1における酸素ガス
の混合比mは0.98であったが、実施例2〜4では、
混合比mを1.0、1.2及び1.4と変えて、それぞ
れ、珪素の低級酸化物を製造した。回収した珪素の低級
酸化物SiOx中の酸素濃度xの値をEDS分析により
評価した。
【056】図6には、混合比mの値と珪素の低級酸化物
中の酸素濃度の関係を示す。図6から明らかに、混合比
mを変えることにより、珪素の低級酸化物中の酸素濃度
xを制御することが可能であり、混合比mを増加させる
ことにより、式SiOx中の酸素濃度xを増加させるこ
とができた。
【057】(実施例5)金属ゲルマニウム粉末からゲル
マニウムの低級酸化物を合成した例を以下に示す。
【058】金属粉末を原料に使用する場合、酸素ガスの
混合比mは1より大きくすることが好ましく、ここで
は、混合比は=1.1とした。また、金属ゲルマニウム
の気化温度は2830℃であって、しかもこのゲルマニ
ウム金属の酸化は発熱反応であることから、外部ヒータ
66による補助加熱は行わなかった。回収された粉末
は、EDS分析により、GeOの化学式で示されるゲル
マニウムの低級酸化物微粉末であった。
【059】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の方法によ
れば、炭化水素の不完全燃焼炎の作用で原料粉末の蒸気
と気相反応させることにより、従来の化学炎法では合成
が困難とされていた低級金属酸化物について化学炎法を
応用した新規な合成方法を開発し、これにより、低級金
属酸化物を工業的に連続的でしかも簡便かつ安価に製造
できる金属酸化物の製造方法を提供できる。従来の大型
真空炉を使う方法に比べると、本発明の方法によれば、
設備を極めて簡便にでき、しかも、圧倒的にイニシャル
コストを低くすることができる。
【060】また、本発明の方法によれば、炭化水素の不
完全燃焼炎による気相反応によって原料粉末として金属
の酸化物粉末又は金属粉末から低級金属酸化物を製造で
きると共に、原料粉末を一度ガス化して気相反応させる
ので、反応が均一に進み、得られた粉末は純度が極めて
高い。
【061】さらに、本発明の方法によれば、酸素ガスの
混合比を制御することによって酸化物粉末中の酸素濃度
を任意に変えることができる。
【062】さらにまた、気相反応の後に急冷工程を経る
ため、非化学量論組成をとるもの、或いは常温で不安定
な低級金属酸化物を合成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る低級金属酸化物の製造装置を示す
概略系統図である。
【図2】図1の粉体供給器部の分散ノズルの付近を拡大
して模式的に示す概略模式図である。
【図3】図2の分散ノズルを下方方向から示す概略模式
図である。
【図4】本発明の一実施例により得られた珪素酸化物粉
末の粒子構造を示す電子顕微鏡写真図である。
【図5】図4の珪素酸化物粉末のX線回折を示すグラフ
図である。
【図6】本発明の珪素酸化物における酸素ガス混合比と
酸素濃度との関係を示すグラフ図である。
【符号の説明】
2 粉体供給器部 4 バーナ部 6 反応容器部 8 サイクロン部 10 バグフィルタ部 12 高圧ブロア部 28 分散ノズル 32 キャリアガス供給配管 34 粉末輸送管 44 炭化水素供給配管 46 酸素供給配管 72 希釈ガス噴出ノズル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C01B 13/20 C01B 33/18 C01G 1/02

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 CxHyで表現される炭化水素ガスと酸素
    ガスを混合比mが0.95・(x/2)<m<1.5・
    (x/2)の範囲となるように混合して点火することに
    より不完全燃焼炎を形成させ、次いで該不完全燃焼炎中
    に、該不完全燃焼炎の作用で容易に金属蒸気を発生させ
    る金属酸化物若しくは金属のいずれか又は両者の粉末か
    らなる原料粉末を不活性キャリヤガスと共に噴霧し、該
    不完全燃焼炎で発生するガスと上記金属蒸気とを気相反
    応させて低級金属酸化物のガスを発生させ、このガスを
    急冷して低級金属酸化物の粉末を得ることを特徴とする
    低級金属酸化物の製造方法。但し、CxHyの燃焼反応は
    次の燃焼式で定義される。 CxHy+(x/2)・O2 → x・CO+(y/2)・H2
  2. 【請求項2】上記炭化水素ガスがアセチレンガスであっ
    て、上記酸素ガスはアセチレン1モルに対し0.95モ
    ルより多く1.5モルより少ない割合の流量で混合さ
    れ、また、上記原料粉末が二酸化珪素であることを特徴
    とする請求項1項ないし3項のいずれか1項に記載の低
    級金属酸化物の製造方法。
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