JP2866108B2 - 安息香酸誘導体の製造方法 - Google Patents

安息香酸誘導体の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、安息香酸誘導体の製造法に関する。更に詳
しくは、記録材料として有用なフルオラン化合物の重要
な製造原料となる安息香酸誘導体の製造法に関する。
〔従来の技術〕
従来、無色ないし淡色の電子供与性化合物(発色性化
合物)と有機もしくは無機の電子受容性物質(顕色剤)
との呈色反応を利用し、圧力、熱または電気などの外部
エネルギーの媒介により、伝達される情報を記録する方
式として、感圧記録、感熱記録および通電感熱記録など
がある。
これらの記録方式には、発色性化合物として、フルオ
ラン化合物が広く用いられている。
フルオラン化合物の原料となる安息香酸誘導体として
は、従来、例えば、式(III a)および式(III b)の化
合物が知られている。
これらの安息香酸誘導体を原料として、それぞれ式
(IV a)および式(IV b)のフルオラン化合物が製造さ
れている。
しかし、式(IV a)の化合物は、感圧記録材料として
用いるには,カプセルオイルに対する溶解度が極めて低
いという欠点があり、また感熱記録材料として用いるに
は、例えば、ビスフェノールA等の顕色剤と混合する
と、それ自体灰色ないし黒灰色に発色し、これを紙に塗
布すると、灰色ないし黒灰色に着色(地汚れ)した紙し
か得られないという欠点があった。
また、式(IV b)の化合物は、感熱記録材料として用
いるには、発色する温度が高すぎるため、現在、より高
速かつ高密度に記録しようする要望に適合した充分な性
能とは言えず、より低温ですみやかに発色する発色性化
合物が強く望まれている。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明の課題は、上記の欠点を解消した感圧および感
熱等の記録材料に適したフルオラン化合物の原料とし
て、有用な安息香酸誘導体の製造法を提供することであ
る。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者らは、上述の課題を解決するために種々検討
し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は一般式(I) (式中、Rは窒素に結合する炭素が一級である炭素数1
〜4のアルキル基を示す)で表される安息香酸誘導体
を、一般式(II) (式中、Rは窒素に結合する炭素が一級である炭素数1
〜4のアルキル基を示す)で表される3−アミノフェノ
ール誘導体と無水フタル酸とを反応させて製造する方法
にかかわるものである。
本発明の一般式(I)で表される安息香酸誘導体化合
物の製造方法は、具体的な態様を実施例に示すように、
一般式(II)で表される3−アミノフェノール誘導体と
無水フタル酸とを反応させて一般式(I)で表される安
息香酸誘導体を生成させ、反応液から分離した該安息香
酸誘導体に水酸化ナトリウムを作用させて該安息香酸誘
導体のナトリウム塩として分離し、ついで分離した該ナ
トリウム塩に酸を作用させて単離することを特徴とする
一般式(I)で表される安息香酸誘導体の製造法であ
る。
一般式(II)で表される3−アミノフエノール誘導体
と無水フタル酸との反応は、無溶媒、またはベンゼン、
トルエン、キシレンまたはテトラクロロエチレン等の溶
媒中で行うことができる。
反応温度は、60〜140℃の範囲が好ましく、反応時間
は、反応温度により異なるが、数時間から数十時間の間
が好ましい。またこの反応の際、例えば、塩化亜鉛のよ
うなルイス酸を添加してもよい。
一般式(II)で表される化合物は、例えば、Rがイソ
ブチル基の化合物は、例えば、レゾルシンとイソブチル
アミンとより得られる3−N−イソブチルアミノフエノ
ールを、例えば、アリルクロライドまたはアリルブロマ
イドのようなアリル化剤でアリル化を行うことにより製
造できる。また、3−アミノフェノールを、例えば、イ
ソブチルブロマイドのようなイソブチル化剤とより得ら
れる3−N−イソブチルアミノフェノールと同様にアリ
ル化を行うことによっても得ることができる。
また、一般式(II)で表される化合物で、R2がエチル
基の化合物は、例えば、3−N−エチルアミノフェノー
ルを、例えば、アリルクロライドまたはアリルブロマイ
ドのようなアリル化剤でアリル化を行うことによって製
造できる。
このような一般式(II)で表される3−アミノフェノ
ール誘導体を無水フタル酸と反応させて、生成した一般
式(I)で表される安息香酸誘導体を反応液から分離す
る。
ついで、反応液から分離した、該安息香酸誘導体を水
酸化ナトリウム含有している水溶液または、例えば、イ
ソプロパノールのようなアルコールの水溶液で処理し
て、該安息香酸誘導体のナトリウム塩を析出させる。さ
らに、析出した該ナトリウム塩を分離し、水に分散させ
て塩酸のような酸を作用させ一般式(I)で表される安
息香酸誘導体を析出させる。これを単離して着色性不純
物のない高純度の生成物として安息香酸誘導体を取得す
ることができる。
〔発明の作用〕
本発明の方法で得られる化合物は、着色不純物が極め
て少なく、このような不純物の含有が問題となる記録材
料用の発色性物質であるフルオラン化合物を製造する原
料として非常に有用である。
本発明の方法で得られる安息香酸誘導体を原料として
得られる、例えば次式(V): のフルオラン化合物は、感圧記録材料に使用する際、カ
プセルオイルに対する溶解度が極めて高く、かつ感熱記
録材料に使用すると、前記式(IV)の化合物を用いた場
合に比べ、地汚れのない白色度の高い感熱紙が得られ、
更に、式(IV a)の化合物に比べ、より低温ですみやか
に黒色に発色するという、優れた特徴を有している。
〔実施例〕
以下、実施例により、本発明の化合物について更に具
体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定され
るものではない。
実施例1 レゾルシンとn−ブチルアミンとより製造した3−N
−n−ブチルアミノフェノールをアリルクロライドでア
リル化して得られた3−N−アリル−N−n−ブチルア
ミノフェノール45gと無水フタル酸49gを100mlのトルエ
ン中、10時間加熱した後、反応液を温水200mlで2回洗
浄して、その後トルエン層を分離し、さらにトルエンを
留去した。
残渣にイソプロパノール200mlと40%NaOH水溶液を加
え、およそ一晩、室温で放置後、析出したナトリウム塩
を濾過して、イソプロパノール200mlで洗浄した。
ナトリウム塩を水400mlに分散後、10%NCl水溶液でpH
6とした後、析出した固体を集め、水洗、乾燥し、目的
とする安息香酸誘導体2−(4′−N−アリル−N−n
−ブチルアミノ−2′−ヒドロキシベンゾイル)安息香
酸31g(収率40%)をクリーム色の結晶として得た。融
点132〜133℃。
実施例2 実施例1で使用した3−N−アリル−N−n−ブチル
アミノフェノールの代わりに、3−N−アリル−N−エ
チルアミノフェノールを用い、実施例1とほとんど同様
な操作を行って、2−(4′−N−アリル−N−エチル
アミノ−2′−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸を融点
148〜151℃のクリーム色結晶として得た。
実施例3 実施例1で使用した3−N−アリル−N−n−ブチル
アミノフェノールの代わりに3−N−アリル−N−n−
プロピルアミノフェノールを用い、実施例1とほとんど
同様な操作を行って、2−(4′−N−アリル−N−n
−プロピルアミノ−2′−ヒドロキシベンゾイル)安息
香酸を融点129.5〜131℃のクリーム色結晶として得た。
比較例 3−N−n−ブチルアミノフェノールをアリルクロラ
イドでアリル化して得られた3−N−アリル−N−n−
ブチルアミノフェノール45gと無水フタル酸49gを100ml
のトルエン中、10時間加熱した後、反応液を温水200ml
で2回洗浄して、その後トルエン層を分離し、さらにト
ルエンを留去した。
残渣にイソプロパノール200mlを加え、還流した後、
およそ一晩、室温で放置後、析出した固体を濾過、乾燥
して目的とする安息香酸誘導体2−(4′−N−アリル
−N−n−ブチルアミノ−2′−ヒドロキシベンゾイ
ル)安息香酸32gを赤紫色の固体として得た。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−229591(JP,A) 特開 昭61−91259(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) CA(STN) REGISTRY(STN) WPI(DIALOG)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(II)で表される3−アミノフェノ
    ール誘導体と無水フタル酸とを反応させ、反応液から分
    離した一般式(I)で表される安息香酸誘導体に水酸化
    ナトリウムを作用させて該安息香酸誘導体のナトリウム
    塩として分離し、ついで分離した該ナトリウム塩に酸を
    作用させて分離することを特徴とする一般式(I)で表
    される安息香酸誘導体の製造法。 (式中、Rは窒素に結合する炭素が一級である炭素数1
    〜4のアルキル基を示す) (式中、Rは窒素に結合する炭素が一級である炭素数1
    〜4のアルキル基を示す)
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