JP2764326B2 - 安息香酸誘導体及びその製造法 - Google Patents

安息香酸誘導体及びその製造法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、新規な安息香酸誘導体及びその製造法に関
する。
更に詳しくは、記録材料として有用なフルオラン化合
物の重要な製造原料となる安息香酸誘導体及びその製造
法に関する。
〔従来の技術〕
従来、無色ないし淡色の電子供与性化合物(発色性化
合物)と有機もしくは無機の電子受容性物質(顕色剤)
との呈色反応を利用し、圧力、熱または電気などの外部
エネルギーの媒介により、伝達される情報を記録する方
式として、感圧記録、感熱記録および通電感熱記録など
がある。
これらの記録方式には、発色性化合物として、フルオ
ラン化合物が広く用いられている。
フルオラン化合物の原料となる安息香酸誘導体として
は、従来、例えば、式(IIIa)、式(IIIb)の化合物が
知られている。
これらの安息香酸誘導体を原料として、それぞれ式
(IVa)および式(IVb)のフルオラン化合物が製造され
ている。
しかし、式(IVa)の化合物は、感圧記録材料として
用いるには、カプセルオイルに対する溶解度が極めて低
いという欠点があり、また感熱記録材料として用いるに
は、例えば、ビスフェノールA等の顕色剤と混合する
と、それ自体灰色ないし黒灰色に発色し、これを紙に塗
布すると、灰色ないし黒灰色に着色(地汚れ)した紙し
か得られないという欠点があった。
また、式(IVb)の化合物は、感熱記録材料として用
いるには、発色する温度が高すぎるため、現在、より高
速かつ高密度に記録しようする要望に適合した充分な性
能とは言えず、より低温ですみやかに発色する発色性化
合物が強く望まれている。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明の課題は、上記の欠点を解消した感圧および感
熱等の記録材料に適した、フルオラン化合物の原料とし
て有用な安息香酸誘導体およびその製造方法を提供する
ことである。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者らは、上述の課題を解決するために種々の化
合物を探索し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は一般式(I) (式中、R1はメチル基またはエチル基を示す)で表され
る安息香酸誘導体,およびこの化合物を、一般式(II) (式中、R2は、一般式(I)の場合に同じである)で表
される3−アミノフェノール誘導体と無水フタル酸とを
反応させて製造する方法である。
本発明の化合物は、一般式(II) (式中、R2はメチル基またはエチル基を示す)で表され
る3−アミノフエノール誘導体と無水フタル酸とを無溶
媒、あるいはベンゼン、トルエン、キシレンまたはテト
ラクロロエチレン等の溶媒中で反応させることにより製
造することができる。
反応温度は、60〜140℃の範囲が好ましく、反応時間
は、反応温度により異なるが、数時間から数十時間の間
が好ましい。またこの反応の際、例えば、塩化亜鉛のよ
うなルイス酸を添加してもよい。
一般式(II)で表される化合物は、例えば、R2がメチ
ル基の化合物は、例えば、レゾルシンと2−メトキシエ
チルアミンより得られる3−N−2′−メトキシエチル
アミノフエノールを、例えば、アリルクロライドまたは
アリルブロマイドのようなアリル化剤でアリル化を行う
ことにより製造できる。
また、3−アリルアミノフェノールを、例えば、2−
メトキシエチル−p−トルエンスルホン酸エステルのよ
うな2−メトキシエチル化剤により2−メトキシエチル
化させることによっても好適に製造できる。
また、一般式(II)で表される化合物で、R2がエチル
基の化合物は、例えば、3−N−2′−エトキシエチル
アミノフェノールを、例えば、アリルクロライドまたは
アリルブロマイドのようなアリル化剤でアリル化を行う
ことによって製造できる。
また、3−アリルアミノフェノールを、例えば、2−
エトキシエチル−p−トルエンスルホン酸エステルのよ
うな2−エトキシエチル化剤により2−エトキシエチル
化させることによっても好適に製造できる。
〔発明の作用〕
本発明の化合物は、記録材料用の発色性物質として新
規なフルオラン化合物を製造する原料として非常に有用
である。
本発明の化合物を用いて製造されるフルオラン化合
物、例えば、つぎの式(V)の化合物は 感圧記録材料に使用する際、カプセルオイルに対する
溶解度が極めて高く、かつ感熱記録材料に使用すると、
前記式(IV)の化合物を用いた場合に比べ、地汚れのな
い白色度の高い感熱紙が得られ、更に、式(IVa)の化
合物に比べ、より低温ですみやかに黒色に発色するとい
う、優れた特徴を有している。
〔実施例〕
以下、実施例により、本発明の化合物について更に具
体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定され
るものではない。
実施例1 〔一般式(I)においてR1がメチル基である化合物〕 レゾルシンと2−メトキシエチルアミンとより製造し
た3−N−2′−メトキシエチルアミノフェノールをア
リルクロライドでアリル化して得られた3−N−2′−
メトキシエチル−N−アリルアミノフェノール45gと無
水フタル酸49gを100mlのトルエン中、10時間加熱した
後、反応液を温水200mlで2回洗浄後、トルエン層を分
離し、さらにトルエン200mlと40%NaOH水溶液を加え、6
0〜70℃で2時間加温した。その後、一晩、室温で放置
後、析出したナトリウム塩を濾過して、トルエンで洗浄
し、乾燥した。
ナトリウム塩を水400mlに分散後、10%HCl水溶液でpH
6とした後、析出した固体を集め、水洗、乾燥し2−
(4′−2″−メトキシエチル−N−アリルアミノ−
2′−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸30gをクリーム
色の結晶として得た。
収率40%、融点103〜107℃ 実施例2 〔一般式(I)においてR1がエチル基である化合物〕 実施例1において、3−N−2′−メトキシエチル−
N−アリルアミノフェノ−ルの代わりに、3−N−2′
−エトキシエチル−N−アリルアミノフェノール(一般
式(II)においてR2がエチル基である化合物)を用いた
ほかは実施例に記載した方法に従い、2−(4′−N−
2″−エトキシエチル−N−アリルアミノ−2′−ヒド
ロキシベンゾイル)安息香酸を収率45%でクリーム色の
結晶として得た。
融点121〜123℃
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−229591(JP,A) 特開 昭61−91259(JP,A) 欧州公開176161(EP,A1) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C07C 229/00 C07C 227/00 CA(STN)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(I)で表される安息香酸誘導体。 (式中、R1はメチル基またはエチル基を示す)。
  2. 【請求項2】一般式(II) (式中、R2はメチル基またはエチル基を示す)で表され
    る3−アミノフェノール誘導体と無水フタル酸とを反応
    させることを特徴とする請求項(1)記載の一般式
    (I)で表される安息香酸誘導体の製造法。
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