JP2865740B2 - 燃焼装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、バーナに対するガス燃料の供給量と燃焼用
空気の送風量との比を調整して、前記バーナの燃焼状態
を制御する制御手段を備えた燃焼装置に関する。

〔従来の技術〕

従来、上記の如き燃焼装置においては、バーナに対す
るガス燃料供給量を可変とする型式、あるいは、固定と
する型式のいずれにしても、バーナに対するガス燃料の
供給量と、燃焼用空気の送風量との比（以下、空燃比と
称する）は、ガス燃料の温度にかかわらず、使用ガス燃
料やガス燃料供給量等に応じて、その値が予め設定され
ていて、前記制御手段が、ガス燃料の温度に関係なく、
単に体積的に、予め設定された値の比になるように調整
維持するように構成されていた。

〔発明が解決しようとする課題〕

しかし、上述の従来装置では、制御手段によって空燃
比が体積的に上記の設定値に調整されても、ガス燃料の
温度による膨張収縮のためにバーナに対するガス燃料の
実質的な供給量が変化することにより、空燃比が実質上
で不適切となって燃焼不良や異音発生を生じることがあ
った。

そして、上記の現象は、バーナの燃焼運転開始当初で
バーナの燃焼運転が定常状態に至るまでの間において、
すなわち、装置温度が未だ低温であるために供給過程で
の装置保有熱によるガス燃料の昇温がなく、ガス燃料が
低温のまま収縮状態でバーナに供給されるときにおい
て、特に顕著に生じる。

このような問題点を解消するためには、例えば、ガス
燃料の温度を検出する温度センサ等を設け、その温度セ
ンサによる検出温度に基づいて空燃比を補正することも
考えられるが、その場合には、温度センサ等が必要とな
り、又、それに伴って制御構成も複雑化する虞れがあ
る。

本発明は、このような従来の問題点に着目したもの
で、その目的は、特別な温度センサ等を必要とせず、制
御構成も簡単で、しかも、上述したバーナの燃焼運転開
始当初における問題の解消を図る点にある。

〔課題を解決するための手段〕

本発明による燃焼装置の第１の特徴構成は、バーナに
対するガス燃料の供給量と燃焼用空気の送風量との比を
調整して、前記バーナの燃焼状態を制御する制御手段を
備えた燃焼装置において、前記制御手段が、前記バーナ
の燃焼運転が開始された時点から定常状態に至るまでの
間においては、前記バーナの定常状態における前記比の
設定値よりも、ガス燃料の供給量に対して相対的に燃焼
用空気の送風量を予め設定された量だけ増加させて前記
比を調整し、定常状態に至ると、前記設定値になるよう
に前記比を調整するように構成したことにある。

又、本発明の燃焼装置の第２の特徴構成は、前記制御
手段が、前記バーナの燃焼運転開始時点から設定時間の
間を、前記定常状態に至るまでの間として、前記比を調
整するように構成したことにある。

〔作 用〕

上述本発明の第１特徴構成によれば、バーナの燃焼運
転開始当初でバーナの燃焼運転が定常状態に至るまでの
間において、装置温度が未だ低温であるためにガス燃料
が装置保有熱による昇温がなく低温のまま収縮状態でバ
ーナに供給され、そのために、空燃比が体積的には予め
設定された値の比に調整されているにもかかわらず、実
質的には空燃比がガス燃料供給量の過大側に不適正とな
ることに対し、前記制御手段が、バーナの燃焼運転が開
始された時点から定常状態に至るまでの間において、バ
ーナの定常状態において設定された空燃比よりも、ガス
燃料供給量に対して相対的に燃焼用空気の送風量を増加
させて空燃比を調整することにより、実質的な空燃比の
ガス燃料供給量過大側への不適正化が防止される。

そして、その増加させる燃焼用空気の送風量は、予め
設定された量だけ増加させるものであるから、例えば、
ガス燃料の温度を検出する温度センサ等を設け、その温
度センサによる検出温度に基づいて燃焼用空気の送風量
を増加させる構成に較べ、特別な温度センサ等を必要と
せず、制御構成も簡略化することができ、そして、装置
保有熱によるガス燃料の昇温が期待できる定常状態に至
ると、定常状態において設定された空燃比に調整するこ
とにより、実質的な空燃比のガス燃料供給量過少側への
不適正化も防止される。

又、本発明の第２特徴構成においては、バーナの燃焼
運転が開始された時点から定常状態に至るまでの時間を
予め設定しておき、前記制御手段が、その設定した時間
を定常状態に至るまでの時間として、燃焼用空気の送風
量を相対的に増加させるように調整する。

〔発明の効果〕

以上の結果、本発明の第１特徴構成によれば、バーナ
の燃焼運転開始当初において、ガス燃料が低温であるこ
とに起因した実質空燃比の不適正化により燃焼不良や異
音発生が生じることを簡単な構成で、且つ、複雑な制御
構成を必要とせずに効果的に防止でき、ガス燃料の昇温
が期待できる定常状態においても、実質空燃比を適正に
維持して、この種の燃焼装置の燃焼性を大幅に向上し得
るに至った。

尚、本発明の第２特徴構成を採用すれば、バーナの燃
焼運転が定常状態に至ったか否かを判別するにあたり、
設定時間という単なる時限的な方式を採用するから、例
えば、バーナの燃焼運転が定常状態に至ったことを判別
する手段を設けて、その判別手段によって判別する構成
を採用する等に比べ、制御構成を一層簡略化できる利点
がある。

〔実施例〕

次に本発明の実施例を説明する。

第１図は、燃焼装置の一例としての給湯装置を示し、
主要構成として、フィンチューブ型の水加熱用熱交換器
（１）、バーナ（２）、ファン（３）、及び、運転制御
を司る制御手段としての制御器（４）を備えている。

制御器（４）は、給湯路（５）を接続した給湯栓
（６）が開栓されると、それに伴い、熱交換器（１）へ
の給水路（７）における水量センサ（８）が水量検知状
態となることに応答して、ファン（３）を起動すると共
に、ガス弁（９）を開弁して点火プラグ（10）をスパー
クさせることによりバーナ（２）を着火させ、もって、
給湯運転を開始させる。

そして、給湯栓（６）が閉栓されると、それに伴い、
水量センサ（８）が水量非検知状態となることに応答し
て、ガス弁（９）を閉弁してバーナ（２）を消火させる
と共に、ファン（３）を停止する。

制御器（４）は給湯運転時において、記憶給水温（t
i）、設定器（12）から指定された設定給湯温（tx）、
及び、水量センサ（８）による検出給水量（wi）に基づ
き、給湯温を設定給湯温（tx）とするのに要する燃焼量
（ｑ）を算出して、電磁比例弁（13）の通電電流（ｉ）
を算出燃焼量（ｑ）に応じた値に調整することにより、
バーナ（２）に対するガス燃料の供給量（ｇ）を算出燃
焼量（ｑ）に応じた量に調整し、更に、給湯温センサ
（14）による検出給湯温（to）と設定給湯温（tx）との
偏差（Δｔ）に応じて、上記の電磁比例弁（13）に対す
る通電電流（ｉ）の調整によるガス燃料供給量（ｇ）の
調整に補正を加え、もって、給湯温を設定給湯温（tx）
に精度良く調整する。

尚、記憶給水温（ti）は、前回の給湯運転時において
検出給湯温（to）、検出給水量（wi）、及び、燃焼量
（ｑ）に基づき演算したものである。

制御器（４）には、ガス燃料の供給量（ｇ）とファン
（３）による燃焼用空気の送風量（ｖ）との比（空燃
比）を調整する空燃比調整部（4A）、及び、この空燃比
調整部（4A）による空燃比調整に補正を加える補正部
（4B）を備えさせてあり、空燃比調整部（4A）は、基本
的には、第２図に示す如く予め設定してある、電磁比例
弁（13）の通電電流（ｉ）とファン回転数（ｎ）との基
準相関関係（ｌ）に基づき、ファン回転数（ｎ）を、前
述のガス燃料供給量調整において調整された通電電流
（ｉ）に対応する回転数に調整することにより、燃焼用
空気の送風量（ｖ）をガス燃料の供給量（ｇ）に応じた
風量に調整して、空燃比をガス燃料の供給量（ｇ）に応
じた最適値（特許請求の範囲における設定値に相当）に
調整する。

一方、補正部（4B）は、バーナ（２）の燃焼運転開始
時点（すなわち、水量センサ（８）の水量検知に応答し
てバーナ（２）を着火する時点）から設定時間（例えば
１分間程度）の間だけ、前記の基準相関関係（ｌ）に代
えて、それよりもファン回転数増大側に別途設定してあ
る補正相関関係（ｌ′）に基づき、前述と同様の空燃比
調整を空燃比調整部（4A）に実行させることにより、前
記の設定時間の間、ガス燃料の供給量（ｇ）に対する燃
焼用空気の送風量（ｖ）を前記の基準相関関係（ｌ）に
基づく通常空燃比調整時よりも予め設定された量だけ増
加させる側の補正を空燃比調整部（4A）の空燃比調整に
対し加えるものとしてある。

つまり、バーナ（２）の燃焼運転開始当初において、
装置温度が未だ低温であるためにガス燃料が装置保有熱
による昇温がなく低温のまま収縮状態でバーナ（２）に
供給されることに起因して、実質上の空燃比がガス燃料
供給量の過大側に不適正となることを、上述の補正部
（4B）によるバーナ燃焼運転開始当初の時限補正をもっ
て防止し、設定時間が経過してガス燃料の昇温が期待で
きる状態になると、空燃比を前記最適値に戻すようにし
てある。

第１図において、（15）は、外装ケーシング（16）内
において制御器（４）の収納室を仕切り形成する仕切り
部材であり、外装ケーシング（16）には、制御器収納室
の下部と外部とを連通させる下部開口（16a）、及び、
制御器収納室の上部と外部とを連通させる上部開口（16
b）を設けてある。

つまり、仕切り部材（15）により仕切った収納室に制
御器（４）を内装することで、バーナ（２）の発生熱か
ら制御器（４）を保護し、又、制御器（４）そのものの
発生熱によるドラフト作用で収納室内の熱気を上部開口
（16b）から放出すると共に下部開口（16a）から外部空
気を収納室内に取り込むことにより、制御器（４）の熱
的保護を一層効果的に行えるようにしてある。

〔別実施例〕

次に本発明の別実施例を列記する。

（イ）本発明を実施するにあたり、前述の実施例では、
調整手段（空燃比調整部（4A））による空燃比調整に対
して補正手段（補正部（4B））により補正を加える形態
として、一定のガス燃料供給量（ｇ）に対して燃焼用空
気の送風量（ｖ）を補正調整する形態を採用したが、こ
れに代えて、ガス燃料の供給量（ｇ）を補正調整する形
態を採用したり、又、燃焼用空気の送風量（ｖ）とガス
燃料の供給量（ｇ）との双方を補正調整する形態を採用
しても良い。

（ロ）本発明において、バーナ（２）に対するガス燃料
の供給量（ｇ）と燃焼用空気の送風量（ｖ）との比（空
燃比）を設定値に調整する調整手段（4A）の具体的調整
構成は種々の構成変更が可能である。

（ハ）本発明は、給湯装置以外の種々の燃焼装置に適用
でき、又、バーナ（２）に対するガス燃料供給量（ｇ）
を可変とする型式、及び、固定とする型式のいずれにも
適用できる。

（ニ）本発明において、バーナ（２）の燃焼運転開始
後、設定時間の経過時点で時限的に補正手段（4B）の補
正動作を終了させる方式に代えて、バーナ（２）の燃焼
運転が定常状態に至ったことを適宜方式により判別する
判別手段を設け、この判定手段の判別結果に基づいて補
正手段（4B）の補正動作を終了させる構成としても良
い。

尚、バーナ（２）の燃焼運転開始後、設定時間の経過
時点で補正手段（4B）の補正動作を終了させる方式を採
用する場合、設定時間は、装置特性等に応じて適宜決定
すれば良く、又、前回のバーナ燃焼運転停止後、短時間
でのバーナ燃焼運転の再開では、補正手段（4B）による
補正を自動的に省略する構成としても良い。

尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を便利にする
為に符号を記すが、該記入により本発明は添付図面の構
造に限定されるものではない。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は本発明の実施例を示し、第１図は装
置構成図、第２図はファン回転数と弁通電電流との相関
グラフである。 （２）……バーナ、（４）……制御手段。

フロントページの続き (72)発明者 田中 直己 大阪府大阪市港区南市岡１丁目１番52号 株式会社ハーマン内 (72)発明者 片岡 稔治 大阪府大阪市港区南市岡１丁目１番52号 株式会社ハーマン内 (72)発明者 表 悦子 大阪府大阪市港区南市岡１丁目１番52号 株式会社ハーマン内 (56)参考文献 特開 昭63−169420（ＪＰ，Ａ) 特開 昭49−78940（ＪＰ，Ａ) 実開 昭57−132951（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭62−98952（ＪＰ，Ｕ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) F23N 1/02

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】バーナ（２）に対するガス燃料の供給量
   （ｇ）と燃焼用空気の送風量（ｖ）との比を調整して、
   前記バーナ（２）の燃焼状態を制御する制御手段（４）
   を備えた燃焼装置であって、 前記制御手段（４）が、前記バーナ（２）の燃焼運転が
   開始された時点から定常状態に至るまでの間において
   は、前記バーナ（２）の定常状態における前記比の設定
   値よりも、ガス燃料の供給量（ｇ）に対して相対的に燃
   焼用空気の送風量（ｖ）を予め設定された量だけ増加さ
   せて前記比を調整し、定常状態に至ると、前記設定値に
   なるように前記比を調整するように構成してある燃焼装
   置。
2. 【請求項２】前記制御手段（４）が、前記バーナ（２）
   の燃焼運転開始時点から設定時間の間を、前記定常状態
   に至るまでの間として、前記比を調整するように構成し
   てある請求項１記載の燃焼装置。