JP2862346B2 - 無重力空間用手洗い装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、手の洗浄に使用される手洗い装置に係わ
り、特に、宇宙空間等の無重力空間で使用される無重力
空間用手洗い装置に関する。

〔従来の技術〕

現在、宇宙工学の発達により、人間が無重力状態の宇
宙空間に、長期間滞在することが可能になっており、人
間が長期にわたり宇宙空間で生活する必要に伴って、体
の衛生を保つために、無重力状態で使用可能なシャワー
装置あるいは手洗い装置が要求されるであろう。

しかし、無重力状態の宇宙空間では、使用者の体が浮
遊してしまう上に、シャワー水も水玉となって部屋中に
飛散して、一箇所に流れ落ちることがないので排水が難
しい等の問題がある。

このような問題を解決するために、本出願人等は、先
に、実開平１−128500号公報に開示されるような、「無
重力状態で使用するシャワー装置」を開発し、出願し
た。

この無重力状態で使用するシャワー装置は、第３図に
示すように、水密を保持して構成したシャワー室11の内
部に、シャワー水の吐水部13と、多孔板からなる浮床15
を設け、このシャワー室11の天井部に、前記浮床15へ向
けて空気噴出する送風機17を設置するとともに、前記シ
ャワー室11の底面には、浮床15の孔を通過した空気とシ
ャワー水とを吸引する吸引口19を設けたものである。

このような無重力状態で使用するシャワー装置では、
使用者は、無重力状態下にあってもシャワー室11内に生
じた気流によって、浮床15に対して押し付けられ、重力
が作用している如く適度に固定される。

また、吐水部13から吐水されたシャワー水も使用者の
体を洗浄した後に、シャワー室11内で浮遊せずに気流と
ともに、吸引口19に集められて排水することができ、こ
れにより無重力状態下におけるシャワー浴を支障なく実
現することが可能となる。

〔発明が解決しようとする課題〕

しかしながら、このような従来の無重力状態で使用す
るシャワー装置では、シャワー浴により体に付着したシ
ャワー水を体から除去するのが非常に困難であるという
問題がある。

すなわち、本発明者等は、無重力状態におけるシャワ
ー水の体に対する挙動を鋭意研究した結果、無重力状態
においては、体に付着した水滴は、体に水膜状に付着
し、この水膜を体から剥離することが非常に困難である
ということを見出した。

このことは、所定の手洗い装置により、手を洗う場合
にも同様に成立し、手に付着した水滴は、手に水膜状に
付着し、この水膜を手から剥離することが非常に困難と
なる。

本発明は、かかる知見に基づいてなされたもので、手
洗い時に、手に水膜状に付着した水を手から確実に除去
することのできる無重力空間用手洗い装置を提供するこ
とを目的とする。

〔課題を解決するための手段〕

本発明の無重力空間用手洗い装置は、手洗い用の内部
空間が形成される手洗い容器と、手洗い容器の上部に設
けるとともに送風機に連絡する送気路と、手洗い空間の
底部側に設けた吸引装置と、手洗い容器に設けられ手洗
用の内部空間に手が挿入できる開口部と、送気路内に設
けるとともに手洗い水を比較的低圧で内部空間に向かっ
て吐水する吐水部と、送気路に設けるとともに手洗い水
の吐水により洗浄後の手に付着した水膜に向けて比較的
高圧のジェット水流を噴出し、水膜を手から除去するジ
ェット水流噴出手段と、手洗い容器の上部に設けられジ
ェット水流噴出手段により除去された手に乾燥用の温風
を噴出するエアータオルとからなることを特徴とするも
のである。

〔作用〕

本発明の無重力空間用手洗い装置では、送風機から供
給される空気が、送風口から送気路内に流れて拡散し、
底面に向かって噴出され吸引される。そして、手洗い容
器の開口部から手を挿入すると、先ず、手洗い水が吐水
部から比較的低圧で手に向けて吐水され、この手洗い水
により手の洗浄が行なわれ、この後、ジェット水流噴出
手段が作動され、ジェット水流が、洗浄により手に付着
した水膜に向けて噴出され、水膜が手から剥離除去され
る。次いで、エアータオルから温風が手に向かって噴出
され、これにより、手表面が完全に乾燥される。

〔実施例〕

以下、本発明の詳細を図面に示す一実施例について説
明する。

第１図は、本発明の無重力空間用手洗い装置の一実施
例を示すもので、図において符号31は、手洗い用の内部
空間が形成される手洗い容器を示している。

この手洗い容器31は、水密を保持して形成される略直
方体状のチャンバーからなり、その前面には、左右に所
定間隔を置いて、手を挿入する一対の開口部33が形成さ
れている。

手洗い容器31の内部には、図示しない手洗い水供給装
置から供給される湯または水を比較的低圧で吐水する吐
水部35が配置されている。

手洗い容器31の外部には、送風機41が設置され、この
送風機41の送風口43が手洗い容器31の内壁面上に開設さ
れ、また、送風機を覆って通気板45が配置されている。

通気板45には、多数の通気孔47が形成され、この通気
板45は、送風面に対して送気路49となる所定の間隔を置
いて配置されている。

手洗い容器31の底面には、吸引口51が開設され、この
吸引口51と図示しない吸引装置とが、連絡管55により連
結されている。

しかして、この実施例では、手洗い容器31の内部に
は、手洗い水の吐出により手に付着した水膜に向けて比
較的高圧のジェット水流を噴出し、水膜を手から除去す
るジェット水流噴出手段57が配置されている。

このジェット水流噴出手段57は、供給管59と、この供
給管59の先端に配置されるノズル61とを有している。

供給管59は、湯または水を比較的高圧で供給する図示
しないジェット水供給装置に接続されている。

なお、ノズル61の先端から噴出されるジェット水流の
流速は、手に痛い等の不快感を与えない程度の流速が望
ましく、例えば、４〜5m/s程度の流速が望ましい。

図において、符号63は、水石鹸あるいはゲル状石鹸等
の石鹸を吐出する石鹸吐出ノズルを示しており、また、
符号65は、乾燥用の温風を噴出するエアータオルを示し
ている。

以上のように構成された無重力空間用手洗い装置で
は、送風機41から供給される空気は、送風口43から送気
路49内に流れて拡散し、通気板45の通気孔47から底面へ
向けて噴出され吸引口51に吸引される。

そして、手洗い容器31の開口部33から手を挿入する
と、この手の挿入が図示しないセンサーにより感知さ
れ、先ず、石鹸吐出ノズル63から所定量の石鹸が自動的
に手に向けて吐出される。

この後、予め定められた所定時間後に、自動的に吐水
部35から手に向けて吐水され、この水により手表面に水
膜が形成され、この水膜により手が洗われ、汚れが水膜
内に分散される。

この後、予め定められた所定時間後に、自動的にジェ
ット水流噴出手段57のノズル61からジェット水が手に向
けて噴出され、これにより、手表面の水膜が除去され
る。

そして、この後、予め定められた所定時間後に、自動
的に、エアータオル65から温風が手に向けて噴出され、
これにより、手表面が完全に乾燥される。

しかして、以上のように構成された無重力空間用手洗
い装置では、手洗い用の内部空間が形成される手洗い容
器31に、手を挿入する開口部33を形成するとともに、手
洗い容器31内に、手洗い水を比較的低圧で吐水する吐水
部35を配置し、さらに、手洗い水の吐出により手に付着
した水膜に向けて比較的高圧のジェット水流を噴出し、
水膜を手から除去するジェット水流噴出手段57を配置し
たので、手洗い容器31の開口部33から手を挿入すると、
先ず、手洗い水が吐水部35から比較的低圧で手に向けて
吐水され、この手洗い水により手の洗浄が行なわれ、こ
の後、ジェット水流噴出手段57が作動され、ジェット水
流が、洗浄により手に付着した水膜に向けて噴出され、
水膜が手から剥離除去されることになり、手洗い時に、
手に水膜状に付着した水を手から確実に除去することが
可能となる。

なお、以上述べた実施例では、ジェット水流噴出手段
57を吐水部35と独立して設けた例について述べたが、本
発明は、かかる実施例に限定されるものではなく、例え
ば、第２図に示すように、吐水部67に、高圧および低圧
の水噴出機能を付加し、ジェット水流噴出手段の機能を
付与するように構成しても良いことは勿論である。

すなわち、第２図においては、吐水部67が圧力可変式
の蛇口とされ、所定の制御手段により、自動的に圧力あ
るいは出口形状を変化させることにより、ジェット水流
が噴出可能とされている。

また、手洗い容器31として、水密を保持して形成され
る略直方体状のチャンバーの例について説明したが、チ
ャンバーは水密を保持して形成されるものであれば良い
ので、その形状としては円筒状や球状であっても良いこ
とは勿論である。

〔発明の効果〕

以上述べたように、本発明の無重力空間用手洗い装置
では、手洗い用の内部空間が形成される手洗い容器に、
手を挿入する開口部を形成するとともに、手洗い容器内
に、手洗い水を比較的低圧で吐水する吐水部を配置し、
手洗い水の吐出により手に付着した水膜に向けて比較的
高圧のジェット水流を噴出し、水膜を手から除去するジ
ェット水流噴出手段を配置し、さらに、ジェット水流噴
出手段により除去された手に乾燥用の温風を噴出するエ
アータオルを配置したので、手洗い容器の開口部から手
を挿入すると、先ず、手洗い水が吐水部から比較的低圧
で手に向けて吐水され、この手洗い水により手の洗浄が
行なわれ、この後、ジェット水流噴出手段が作動され、
ジェット水流が、洗浄により手に付着した水膜に向けて
噴出され、水膜が手から剥離除去されることになり、手
洗い時に、手に水膜状に付着した水を手から確実に除去
し、さらに、エアータオルから温風が手に向かって噴出
され、これにより、手表面を完全に乾燥することができ
るという利点がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の無重力空間用手洗い装置の一実施例を
示す正面図である。 第２図は本発明の無重力空間用手洗い装置の他の実施例
を示す正面図である。 第３図は従来の無重力空間用シャワー装置を示す縦断面
図である。 〔主要な部分の符号の説明〕 31……手洗い容器 33……開口部 35……吐水部 57……ジェット水流噴出手段。

フロントページの続き (72)発明者 森山 敏彦 東京都江東区南砂２丁目５番14号 株式 会社竹中工務店技術研究所内 (72)発明者 大辻 馨 愛知県名古屋市港区大江町10番地 三菱 重工業株式会社名古屋航空宇宙システム 製作所内 (56)参考文献 実開 平１−128500（ＪＰ，Ｕ) 特公 平１−35647（ＪＰ，Ｂ２) 特公 昭57−48215（ＪＰ，Ｂ２) (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) B64G 1/60 A47K 7/04

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】手洗い用の内部空間が形成される手洗い容
   器と、 手洗い容器の上部に設けるとともに送風機に連絡する送
   気路と、 手洗い空間の底部側に設けた吸引装置と、 手洗い容器に設けられ手洗用の内部空間に手が挿入でき
   る開口部と、 送気路内に設けるとともに手洗い水を比較的低圧で内部
   空間に向かって吐水する吐水部と、 送気路に設けるとともに手洗い水の吐水により洗浄後の
   手に付着した水膜に向けて比較的高圧のジェット水流を
   噴出し、水膜を手から除去するジェット水流噴出手段
   と、 手洗い容器の上部に設けられジェット水流噴出手段によ
   り除去された手に乾燥用の温風を噴出するエアータオル
   と からなることを特徴とする無重力空間用手洗い装置。