JP2855351B2 - ポリアリーレンスルフィドシートおよびその製造方法 - Google Patents
ポリアリーレンスルフィドシートおよびその製造方法Info
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- JP2855351B2 JP2855351B2 JP1312944A JP31294489A JP2855351B2 JP 2855351 B2 JP2855351 B2 JP 2855351B2 JP 1312944 A JP1312944 A JP 1312944A JP 31294489 A JP31294489 A JP 31294489A JP 2855351 B2 JP2855351 B2 JP 2855351B2
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- sheet
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- polyarylene sulfide
- pas
- crystallization
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- Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
- Extrusion Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)
- Shaping By String And By Release Of Stress In Plastics And The Like (AREA)
- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
Description
【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、ポリアリーレンスルフィド(以下、PASと
略記)のシートに関し、さらに詳しくは、PASを主体と
する熱可塑性材料からなる熱的寸法安定性、平面性、平
滑性および耐屈曲性などの機械的特性に優れたPASシー
トおよびその製造方法に関する。
略記)のシートに関し、さらに詳しくは、PASを主体と
する熱可塑性材料からなる熱的寸法安定性、平面性、平
滑性および耐屈曲性などの機械的特性に優れたPASシー
トおよびその製造方法に関する。
ポリフェニレンスルフィド(以下、PPSと略記)に代
表されるPASを主成分とするフィルムは、耐熱性、耐薬
品性、機械的強度、電気的特性などに優れた特性を有
し、各種工業的用途を持っている。
表されるPASを主成分とするフィルムは、耐熱性、耐薬
品性、機械的強度、電気的特性などに優れた特性を有
し、各種工業的用途を持っている。
ところが、PASの延伸フィルムは高温領域での熱収縮
等の変形が生じ易いという問題点がある。そこで、高温
での寸法安定性の要求される用途には、未延伸で配向度
の少ないPASシートが用いられる。その場合、PASはガラ
ス転移点が低いので、耐熱性を付与するためには未延伸
シートを結晶化させることが必要である。なぜならば、
従来のPAS未延伸シートは、結晶化させないものでは100
℃程度以上の温度になると強度が著しく低下し、微少荷
重で大変形を起すからである。例えば、第1図に示すよ
うに、微少な一定荷重下で、一定速度で昇温して行った
場合、結晶化させないものでは線(3)のごとく、約12
0℃位から大きな伸びを示し、微少荷重により大きく変
形することを示す。一方、結晶化度6%のものでは、線
(1)のごとく、結晶化させないものが示したような12
0℃近傍での大変形は示さない。さらに、結晶化度24%
と充分に高い結晶化度にまで結晶化させたものでは線
(2)のごとく高温での変形が少なく、耐熱寸法安定性
が良好であることがわかる。しかし、従来の方法では、
充分に結晶化させたPAS未延伸シートは伸度が低く、脆
くなり易いという欠点を有する。
等の変形が生じ易いという問題点がある。そこで、高温
での寸法安定性の要求される用途には、未延伸で配向度
の少ないPASシートが用いられる。その場合、PASはガラ
ス転移点が低いので、耐熱性を付与するためには未延伸
シートを結晶化させることが必要である。なぜならば、
従来のPAS未延伸シートは、結晶化させないものでは100
℃程度以上の温度になると強度が著しく低下し、微少荷
重で大変形を起すからである。例えば、第1図に示すよ
うに、微少な一定荷重下で、一定速度で昇温して行った
場合、結晶化させないものでは線(3)のごとく、約12
0℃位から大きな伸びを示し、微少荷重により大きく変
形することを示す。一方、結晶化度6%のものでは、線
(1)のごとく、結晶化させないものが示したような12
0℃近傍での大変形は示さない。さらに、結晶化度24%
と充分に高い結晶化度にまで結晶化させたものでは線
(2)のごとく高温での変形が少なく、耐熱寸法安定性
が良好であることがわかる。しかし、従来の方法では、
充分に結晶化させたPAS未延伸シートは伸度が低く、脆
くなり易いという欠点を有する。
これまでに、PPS未延伸シートの改良に関して、特公
昭59−42611号、特開昭57−121052号、特開昭59−18461
9号および特開昭62−251121号などに各種の提案がなさ
れている。
昭59−42611号、特開昭57−121052号、特開昭59−18461
9号および特開昭62−251121号などに各種の提案がなさ
れている。
ところで、従来、PAS未延伸シートの結晶化は、非晶
シートをPASのガラス転移点以上、融点以下の温度範囲
で熱処理することによって行なわれていた。すなわち、
一般にPPSを主成分とするシート状成形物は、原料樹脂
を溶融してスリット状口金からシート状に押出し、冷却
固化して非晶シートとした後に熱処理することにより製
造されている。
シートをPASのガラス転移点以上、融点以下の温度範囲
で熱処理することによって行なわれていた。すなわち、
一般にPPSを主成分とするシート状成形物は、原料樹脂
を溶融してスリット状口金からシート状に押出し、冷却
固化して非晶シートとした後に熱処理することにより製
造されている。
従来法による結晶化のための熱処理として、例えば、
加熱された液体または気体の流れ、あるいは加熱された
ロールなどの固体の表面に、被処理シートを接触せしめ
る方法(特公昭59−42611号)がある。また、シート状
物の周辺をクランプなどで支持して熱処理したり、シー
ト状物の一点または二点を連続的に支持し、熱炉中を連
続的に通過させることにより熱処理したり、あるいは平
滑なステンレススチール製ベルト上で熱処理したものを
圧縮成形あるいは圧延ロールなどにより加圧して表面を
平滑にする方法なども知られている(特開昭59−184619
号)。
加熱された液体または気体の流れ、あるいは加熱された
ロールなどの固体の表面に、被処理シートを接触せしめ
る方法(特公昭59−42611号)がある。また、シート状
物の周辺をクランプなどで支持して熱処理したり、シー
ト状物の一点または二点を連続的に支持し、熱炉中を連
続的に通過させることにより熱処理したり、あるいは平
滑なステンレススチール製ベルト上で熱処理したものを
圧縮成形あるいは圧延ロールなどにより加圧して表面を
平滑にする方法なども知られている(特開昭59−184619
号)。
しかし、これら従来の熱処理方法では、工業的にPAS
未延伸シートを製造する場合、いずれも平面性・平滑性
に優れたシートを得ることは難しい。平滑なPASシート
を得るためには、圧縮成形あるいは圧延ロールなどの複
雑な工程を要し、装置が大がかりになる。
未延伸シートを製造する場合、いずれも平面性・平滑性
に優れたシートを得ることは難しい。平滑なPASシート
を得るためには、圧縮成形あるいは圧延ロールなどの複
雑な工程を要し、装置が大がかりになる。
ところで、PASシートの熱処理による挙動は、冷却固
化された非晶状態のシートが、加熱によりガラス転移点
以上の温度に曝されることによって、一定時間経過後に
結晶化して硬化するというものである。そこで、加熱し
た液体や気体の流れの中でPAS非晶シートが熱処理され
る場合には、温度上昇に伴ないシートは膨張し、粘着性
を有するようになる。そして、PASのガラス転移点以上
となり、シートが柔らかくなった時、歪んだり、局所的
に伸びたり、接触しているものに粘着したり、さらには
PAS内部に存在する微量の低沸点物の噴出によるシート
表面の荒れが生じたりする。その後、結晶化が進行し硬
化するが、得られるシートは平面性に欠け、かつ表面状
態の悪いものとなる。そして結晶化に伴う密度上昇分だ
け体積収縮を起し、体積収縮に伴う寸法変化が起る。
化された非晶状態のシートが、加熱によりガラス転移点
以上の温度に曝されることによって、一定時間経過後に
結晶化して硬化するというものである。そこで、加熱し
た液体や気体の流れの中でPAS非晶シートが熱処理され
る場合には、温度上昇に伴ないシートは膨張し、粘着性
を有するようになる。そして、PASのガラス転移点以上
となり、シートが柔らかくなった時、歪んだり、局所的
に伸びたり、接触しているものに粘着したり、さらには
PAS内部に存在する微量の低沸点物の噴出によるシート
表面の荒れが生じたりする。その後、結晶化が進行し硬
化するが、得られるシートは平面性に欠け、かつ表面状
態の悪いものとなる。そして結晶化に伴う密度上昇分だ
け体積収縮を起し、体積収縮に伴う寸法変化が起る。
さらに、空気加熱による結晶化では、PASはガラス転
移点以上で非常に柔らかくなり、わずかの風圧等でシー
トが変形したり破れたりするので平面性の良好なシート
を得るのは実際には極めて難しい。また、球晶の発達も
著しいため、平面性も悪いものしか得られない。
移点以上で非常に柔らかくなり、わずかの風圧等でシー
トが変形したり破れたりするので平面性の良好なシート
を得るのは実際には極めて難しい。また、球晶の発達も
著しいため、平面性も悪いものしか得られない。
このように、熱処理の過程でPASシートは熱膨張し、
柔らかくなるので、熱処理の間、シートを機械的に固定
しないと平面性が低下し、厚み斑が生じ、外観が悪化す
る。
柔らかくなるので、熱処理の間、シートを機械的に固定
しないと平面性が低下し、厚み斑が生じ、外観が悪化す
る。
ところが、PASシートを単に加熱ロールやステンレス
スチール製ベルトなどの固体の表面に接触させて熱処理
する方法では、温度上昇に伴いシートが膨張し、しかも
粘着性を有しているので、シートが局所的に固体表面か
らわずかに浮き上がる現象が生じる。そして結晶化に伴
う体積収縮が起る。また、空気の抱き込み現象も見られ
る。その後、結晶化に伴い硬化が生ずるが、この場合、
シート表現は固体に接した所と浮き上がった所とで段差
を生じ、平面性の悪いものしか得られない。
スチール製ベルトなどの固体の表面に接触させて熱処理
する方法では、温度上昇に伴いシートが膨張し、しかも
粘着性を有しているので、シートが局所的に固体表面か
らわずかに浮き上がる現象が生じる。そして結晶化に伴
う体積収縮が起る。また、空気の抱き込み現象も見られ
る。その後、結晶化に伴い硬化が生ずるが、この場合、
シート表現は固体に接した所と浮き上がった所とで段差
を生じ、平面性の悪いものしか得られない。
テンターを用いて、PASシートの両耳端部をクリップ
等で支持して熱処理すると、端部のシートは無駄とな
り、またクリップ部からの破断が生じ易い。しかも、テ
ンターは設備費や運転経費が高く、経済性に問題があ
る。
等で支持して熱処理すると、端部のシートは無駄とな
り、またクリップ部からの破断が生じ易い。しかも、テ
ンターは設備費や運転経費が高く、経済性に問題があ
る。
このような平面性の悪い結晶化PASシートは、それを
圧縮成形や圧延ロールなどにより加圧しても、すでに結
晶化してしまっているため厚み斑や反り、小さな凹凸な
どを充分に除去して、平面性・平滑性に優れたものとす
ることはできない。しかも、工程が複雑で経済的にも不
利である。
圧縮成形や圧延ロールなどにより加圧しても、すでに結
晶化してしまっているため厚み斑や反り、小さな凹凸な
どを充分に除去して、平面性・平滑性に優れたものとす
ることはできない。しかも、工程が複雑で経済的にも不
利である。
本発明者らは、先に、PAS非晶シートを加熱ロールを
用いて熱処理するに際し、該シートを予熱後、加熱ロー
ルとピンチロールの間をピンチ圧0.05〜10kg/cmで通過
させ、連続的に線状で加圧すれば平面性・平滑性に優れ
たPASシートの得られることを見出し、特願昭62−32954
2号として特許出願した。このように、ピンチロールを
用い、温度と接圧をコントロールしながらPASシートを
加熱ロール上で結晶化させると、従来のものと比較して
平面性を大幅に改良することができる。しかし、シート
表面にピンチロール表面の凹凸が転写されたり、粗大球
晶が発生する場合があるため、高度に平面性・平滑性が
要求される分野には未だ不充分である。さらに、この方
法では熱処理するための独立した工程が必要である。
用いて熱処理するに際し、該シートを予熱後、加熱ロー
ルとピンチロールの間をピンチ圧0.05〜10kg/cmで通過
させ、連続的に線状で加圧すれば平面性・平滑性に優れ
たPASシートの得られることを見出し、特願昭62−32954
2号として特許出願した。このように、ピンチロールを
用い、温度と接圧をコントロールしながらPASシートを
加熱ロール上で結晶化させると、従来のものと比較して
平面性を大幅に改良することができる。しかし、シート
表面にピンチロール表面の凹凸が転写されたり、粗大球
晶が発生する場合があるため、高度に平面性・平滑性が
要求される分野には未だ不充分である。さらに、この方
法では熱処理するための独立した工程が必要である。
また、結晶化したポリエーテルエーテルケトンフィル
ムの製造において、キャスティングロール温度を150〜2
50℃の範囲とすることにより、フィルムの冷却と結晶化
を一段で行なう方法が提案されているが(特開昭63−92
430号)、この方法をPASシートの製造法に適用した場
合、PASは溶融結晶化温度が低く、かつ、ガラス転移点
以上の温度で非晶状態にある時、極めて伸び易い特徴を
有するので、キャスティングロール上での結晶化が不充
分であり、シートがロールに密着し、ロールからのはが
れ性が悪く、かつ、平面性・平滑性や物性の劣るシート
しか得られない。
ムの製造において、キャスティングロール温度を150〜2
50℃の範囲とすることにより、フィルムの冷却と結晶化
を一段で行なう方法が提案されているが(特開昭63−92
430号)、この方法をPASシートの製造法に適用した場
合、PASは溶融結晶化温度が低く、かつ、ガラス転移点
以上の温度で非晶状態にある時、極めて伸び易い特徴を
有するので、キャスティングロール上での結晶化が不充
分であり、シートがロールに密着し、ロールからのはが
れ性が悪く、かつ、平面性・平滑性や物性の劣るシート
しか得られない。
さらにPASの場合、外観上良好なシートが得られたと
しても折曲げに弱いシートとなってしまう場合があり、
その温度範囲の選択が必要である。
しても折曲げに弱いシートとなってしまう場合があり、
その温度範囲の選択が必要である。
本発明の目的は、熱的寸法安定性、平面性、平滑性、
耐屈曲性等に優れたPASシートを提供することにある。
耐屈曲性等に優れたPASシートを提供することにある。
本発明の他の目的は、諸物性、特にシート表面の平滑
性に優れたPASシートを経済的な方法により提供するこ
とにある。
性に優れたPASシートを経済的な方法により提供するこ
とにある。
本発明者らは、前記従来技術の有する問題点を解決す
べく鋭意研究した結果、高分子量でかつ溶融結晶化温度
が高い範囲にあるPASを用いて、スリット状ダイからシ
ート状に溶融押出し、次いで特定の温度範囲に制御した
キャスティングロール上でシートの冷却と結晶化を一段
階で行なうことにより、平面性に優れているとともに、
少なくともシートの片面が高度に平滑性を有し、かつ、
耐屈曲性などの機械的特性に優れたPASシートが経済的
に得られることを見出し、この知見に基づいて本発明を
完成するに至った。
べく鋭意研究した結果、高分子量でかつ溶融結晶化温度
が高い範囲にあるPASを用いて、スリット状ダイからシ
ート状に溶融押出し、次いで特定の温度範囲に制御した
キャスティングロール上でシートの冷却と結晶化を一段
階で行なうことにより、平面性に優れているとともに、
少なくともシートの片面が高度に平滑性を有し、かつ、
耐屈曲性などの機械的特性に優れたPASシートが経済的
に得られることを見出し、この知見に基づいて本発明を
完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨は次のとおりである。
(1)溶融粘度η*が1,000〜25,000ポイズ(ただし、
η*は、310℃、剪断速度200sec-1の条件で測定した値
である)で、溶融結晶化温度Tc2が170℃〜240℃(ただ
し、Tc2は、示差走査熱量計を用い、23℃から10℃/分
の速度で380℃まで昇温し、380℃で3分間保持した後、
10℃/分の速度で降温した時に現われる結晶化の発熱ピ
ーク温度である)のポリアリーレンスルフィドを主体と
する熱可塑性材料からなるシートであって、 (a)少なくとも片面の表面粗さRaが0.09μm以下で、 (b)結晶化度が5%以上であり、かつ、 (c)切断するまでの屈曲回数Yが下記式(I)を満足
する、 log Y≧7.11−2.34log t (I) 〔ただし、tは、シート厚(μm)を表わす〕 ものであることを特徴とする平面性・平滑性に優れたポ
リアリーレンスルフィドシート。
η*は、310℃、剪断速度200sec-1の条件で測定した値
である)で、溶融結晶化温度Tc2が170℃〜240℃(ただ
し、Tc2は、示差走査熱量計を用い、23℃から10℃/分
の速度で380℃まで昇温し、380℃で3分間保持した後、
10℃/分の速度で降温した時に現われる結晶化の発熱ピ
ーク温度である)のポリアリーレンスルフィドを主体と
する熱可塑性材料からなるシートであって、 (a)少なくとも片面の表面粗さRaが0.09μm以下で、 (b)結晶化度が5%以上であり、かつ、 (c)切断するまでの屈曲回数Yが下記式(I)を満足
する、 log Y≧7.11−2.34log t (I) 〔ただし、tは、シート厚(μm)を表わす〕 ものであることを特徴とする平面性・平滑性に優れたポ
リアリーレンスルフィドシート。
(2)ポリアリーレンスルフィドを主体とする熱可塑性
材料を、スリット状のダイからシート状に溶融押出し
て、キャスティングロール上で冷却固化してシートを製
造する方法において、該ポリアリーレンスルフィドとし
て溶融粘度η*が1,000〜25,000ポイズ(ただし、η*
は、310℃、剪断速度200sec-1の条件で測定した値であ
る)で、溶融結晶化温度Tc2が170℃〜240℃(ただし、T
c2は、示差走査熱量計を用い、23℃から10℃/分の速度
で380℃まで昇温し、380℃で3分間保持した後、10℃/
分の速度で降温した時に現われる結晶化の発熱ピーク温
度である)のポリマーを使用し、かつ、前記キャスティ
ングロールの温度T(℃)を下記式(II) 120≦T≦190−0.02t (II) 〔ただし、tは、シート厚(μm)を表わす〕 で規定される範囲内に制御し、シートの冷却と結晶化を
一段階で行なうことを特徴とする平面性・平滑性に優れ
たポリアリーレンスルフィドシートの製造方法。
材料を、スリット状のダイからシート状に溶融押出し
て、キャスティングロール上で冷却固化してシートを製
造する方法において、該ポリアリーレンスルフィドとし
て溶融粘度η*が1,000〜25,000ポイズ(ただし、η*
は、310℃、剪断速度200sec-1の条件で測定した値であ
る)で、溶融結晶化温度Tc2が170℃〜240℃(ただし、T
c2は、示差走査熱量計を用い、23℃から10℃/分の速度
で380℃まで昇温し、380℃で3分間保持した後、10℃/
分の速度で降温した時に現われる結晶化の発熱ピーク温
度である)のポリマーを使用し、かつ、前記キャスティ
ングロールの温度T(℃)を下記式(II) 120≦T≦190−0.02t (II) 〔ただし、tは、シート厚(μm)を表わす〕 で規定される範囲内に制御し、シートの冷却と結晶化を
一段階で行なうことを特徴とする平面性・平滑性に優れ
たポリアリーレンスルフィドシートの製造方法。
本発明によるPASシートは、従来法により急冷固化し
た非晶性シートを熱処理して得た結晶化PASシートと比
較し、平面性に優れているとともに、シート表面の少な
くとも片面が極めて平滑であり、かつ、耐屈曲性などの
機械的特性にも優れている。
た非晶性シートを熱処理して得た結晶化PASシートと比
較し、平面性に優れているとともに、シート表面の少な
くとも片面が極めて平滑であり、かつ、耐屈曲性などの
機械的特性にも優れている。
以下、本発明の構成要素を詳述する。
熱可塑性材料 本発明においては、熱可塑性材料としてPAS単独また
はPASを主成分としこれに他の熱可塑性樹脂や充填剤等
を配合した樹脂組成物を使用する。
はPASを主成分としこれに他の熱可塑性樹脂や充填剤等
を配合した樹脂組成物を使用する。
(PAS) 本発明で用いるPASは、シートとするために、溶融粘
度η*が1,000〜25,000ポイズ(ただし、η*は、310
℃、剪断速度200sec-1で測定したものである)、好まし
くは3,000〜20,000ポイズの実質的に直鎖状の高分子量
のものである。
度η*が1,000〜25,000ポイズ(ただし、η*は、310
℃、剪断速度200sec-1で測定したものである)、好まし
くは3,000〜20,000ポイズの実質的に直鎖状の高分子量
のものである。
ここで、実質的に直鎖状の高分子量PASとは、実質的
に二官能性モノマーを主体とするモノマーから得られた
ポリマーをいう。なお、少量のポリハロベンゼンをモノ
マーとして存在させることなどにより、若干の分枝構造
を導入したポリマーであってもよい。
に二官能性モノマーを主体とするモノマーから得られた
ポリマーをいう。なお、少量のポリハロベンゼンをモノ
マーとして存在させることなどにより、若干の分枝構造
を導入したポリマーであってもよい。
PASの溶融粘度が1,000ポイズ未満であると、製膜性に
劣りシートを安定して得がたいばかりでなく、得られた
シートの耐屈曲性が低くなる。逆に、25,000ポイズを超
えると、安定した溶融押出しが困難である。
劣りシートを安定して得がたいばかりでなく、得られた
シートの耐屈曲性が低くなる。逆に、25,000ポイズを超
えると、安定した溶融押出しが困難である。
また、本発明で使用するPASは、溶融結晶化温度(T
c2)〔ただし、示差走査熱量計(以下、DSCと略記)を
用い、23℃から10℃/分の速度で380℃まで昇温し、380
℃で3分間保持した後、10℃/分の速度で降温した時に
現われる結晶化の発熱ピーク温度である)が170〜240℃
のものであり、好ましくは180〜240℃、さらに好ましく
は200〜240℃のものである。
c2)〔ただし、示差走査熱量計(以下、DSCと略記)を
用い、23℃から10℃/分の速度で380℃まで昇温し、380
℃で3分間保持した後、10℃/分の速度で降温した時に
現われる結晶化の発熱ピーク温度である)が170〜240℃
のものであり、好ましくは180〜240℃、さらに好ましく
は200〜240℃のものである。
Tc2が170℃未満であると、溶融押出したシートのキャ
スティングロール上での結晶化速度が遅く、結晶化させ
るのに時間を要して実用的でないばかりか、キャスティ
ングロール上での結晶化が不充分であるため、シートが
キャスティングロール表面に密着してはがれが悪く、局
部的にシートが伸びるなどの不都合を生じ、平面性、平
滑性、外観の悪い、しかも機械的特性に劣るシートしか
得ることができない。逆に、Tc2が240℃を超えると、PA
Sシートの結晶化速度が速すぎ、シートの厚み方向での
結晶構造が不均一となるためと推定されるが、耐屈曲性
の充分なものが得られ難い。
スティングロール上での結晶化速度が遅く、結晶化させ
るのに時間を要して実用的でないばかりか、キャスティ
ングロール上での結晶化が不充分であるため、シートが
キャスティングロール表面に密着してはがれが悪く、局
部的にシートが伸びるなどの不都合を生じ、平面性、平
滑性、外観の悪い、しかも機械的特性に劣るシートしか
得ることができない。逆に、Tc2が240℃を超えると、PA
Sシートの結晶化速度が速すぎ、シートの厚み方向での
結晶構造が不均一となるためと推定されるが、耐屈曲性
の充分なものが得られ難い。
このような実質的に直鎖状の高分子量のPASは、前記
特開昭61−7332号公報に記載されているように、アルカ
リ金属硫化物とジハロ芳香族化合物とを、N−メチルピ
ロリドンなどの有機アミド溶媒中で、水の存在下に、特
定の二段階昇温重合方法により好適に得ることができ
る。
特開昭61−7332号公報に記載されているように、アルカ
リ金属硫化物とジハロ芳香族化合物とを、N−メチルピ
ロリドンなどの有機アミド溶媒中で、水の存在下に、特
定の二段階昇温重合方法により好適に得ることができ
る。
アルカリ金属硫化物としては、硫化リチウム、硫化ナ
トリウム、硫化カリウム、硫化ルビジウム、硫化セシウ
ムおよびこれらの混合物がある。
トリウム、硫化カリウム、硫化ルビジウム、硫化セシウ
ムおよびこれらの混合物がある。
ジハロ芳香族化合物としては、p−ジクロルベンゼ
ン、m−ジクロルベンゼン、2,5−ジクロルトルエン、
p−ジブロムベンゼン、2,6−ジクロルナフタリン、1
−メトキシ−2,5−ジクロルベンゼン、4,4′−ジクロル
ビフェニル、3,5−ジクロル安息香酸、p,p′−ジクロル
ジフェニルエーテル、4,4′−ジクロルジフェニルスル
ホン、4,4′−ジクロルジフェニルスルフォキシド、4,
4′−ジクロルジフェニルケトンおよびこれらの混合物
などがある。
ン、m−ジクロルベンゼン、2,5−ジクロルトルエン、
p−ジブロムベンゼン、2,6−ジクロルナフタリン、1
−メトキシ−2,5−ジクロルベンゼン、4,4′−ジクロル
ビフェニル、3,5−ジクロル安息香酸、p,p′−ジクロル
ジフェニルエーテル、4,4′−ジクロルジフェニルスル
ホン、4,4′−ジクロルジフェニルスルフォキシド、4,
4′−ジクロルジフェニルケトンおよびこれらの混合物
などがある。
本発明で使用するPASは、実質的に直鎖状であり、好
ましくはポリフェニレンスルフィド、特に好ましくはポ
リ−p−フェニレンスルフィド、あるいはm−フェニレ
ンスルフィド単位を少量成分として含有するポリ−p−
フェニレンスルフィド共重合体である。また、トリクロ
ロベンゼンなどのポリハロベンゼンを少量成分として共
重合させることにより、若干の分枝構造を導入したポリ
−p−フェニレンスルフィド共重合体なども好適に用い
ることができる。
ましくはポリフェニレンスルフィド、特に好ましくはポ
リ−p−フェニレンスルフィド、あるいはm−フェニレ
ンスルフィド単位を少量成分として含有するポリ−p−
フェニレンスルフィド共重合体である。また、トリクロ
ロベンゼンなどのポリハロベンゼンを少量成分として共
重合させることにより、若干の分枝構造を導入したポリ
−p−フェニレンスルフィド共重合体なども好適に用い
ることができる。
(任意成分) 本発明における熱可塑性材料としてPASを単独で使用
してもよいが、少量のポリエチレン、ポリプロピレン、
ポリ−4−メチルペンテン−1などのポリオレフィン、
ポリイソプレン等のゴム、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリカーボネート、四フッ化エチレン樹脂、ポリエ
ーテルエーテルケトン、ポリケトンスルフィド、ポリア
ミド類、芳香族ポリイミド類、芳香族ポリエステル類、
ポリスチレン、ポリアクリル酸エステル類、ポリメタク
リル酸エステル類、ポリエーテルニトリル、ポリエーテ
ルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリスルホン、
ポリエーテルイミドなどの熱可塑性樹脂を配合してもよ
い。
してもよいが、少量のポリエチレン、ポリプロピレン、
ポリ−4−メチルペンテン−1などのポリオレフィン、
ポリイソプレン等のゴム、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリカーボネート、四フッ化エチレン樹脂、ポリエ
ーテルエーテルケトン、ポリケトンスルフィド、ポリア
ミド類、芳香族ポリイミド類、芳香族ポリエステル類、
ポリスチレン、ポリアクリル酸エステル類、ポリメタク
リル酸エステル類、ポリエーテルニトリル、ポリエーテ
ルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリスルホン、
ポリエーテルイミドなどの熱可塑性樹脂を配合してもよ
い。
また、ガラス繊維、芳香族ポリアミド繊維、カーボン
ブラック、タルク、クレイ、酸化チタン、二硫化モリブ
デン、カーボン繊維など各種の有機または無機充填剤を
添加してもよい。
ブラック、タルク、クレイ、酸化チタン、二硫化モリブ
デン、カーボン繊維など各種の有機または無機充填剤を
添加してもよい。
さらに、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤などの添加剤を
添加してもよい。
添加してもよい。
各種配合剤の中でも、特に、結晶化核剤として、カー
ボンブラック、酸化ケイ素、カオリン、クレイ、酸化チ
タン等を添加することが好ましい。これらの添加は、結
晶化シートにおける球晶の生長を押え、シート表面をよ
り平滑にする。溶融押出シートを静電印加しながらキャ
スティングロール上にピニングする場合、ピニング面は
球晶が粗大化し易いので、結晶核剤の添加はこれを押え
るのに有効である。
ボンブラック、酸化ケイ素、カオリン、クレイ、酸化チ
タン等を添加することが好ましい。これらの添加は、結
晶化シートにおける球晶の生長を押え、シート表面をよ
り平滑にする。溶融押出シートを静電印加しながらキャ
スティングロール上にピニングする場合、ピニング面は
球晶が粗大化し易いので、結晶核剤の添加はこれを押え
るのに有効である。
また、マイカやカーボン繊維などの平板状無機充填剤
あるいは繊維状無機充填剤等の添加は、シート剛性向上
に有効である。
あるいは繊維状無機充填剤等の添加は、シート剛性向上
に有効である。
これらの任意成分は、通常の混合方法により混合する
か、あるいは溶融混合してペレットとしてから、溶融押
出装置に供給する。
か、あるいは溶融混合してペレットとしてから、溶融押
出装置に供給する。
PASシートの製造方法 PASシートの成形においては、通常、PASを主体とする
熱可塑性材料は、溶融押出機に供給され、PASの融点以
上の温度に加熱され溶融される。溶融されたPASを主体
とする熱可塑性材料は、Tダイなどのスリット状のダイ
からシート状に連続的に押出され、次いでキャスティン
グロール上で冷却固化される。
熱可塑性材料は、溶融押出機に供給され、PASの融点以
上の温度に加熱され溶融される。溶融されたPASを主体
とする熱可塑性材料は、Tダイなどのスリット状のダイ
からシート状に連続的に押出され、次いでキャスティン
グロール上で冷却固化される。
本発明においては、このキャスティングロールの温度
を120〜190℃の範囲内であって、しかもシートの厚みに
より変動する範囲内の温度、すなわち下記式(II)で規
定される温度範囲になるように制御して、シートの冷却
と結晶化を一段階で行なう。
を120〜190℃の範囲内であって、しかもシートの厚みに
より変動する範囲内の温度、すなわち下記式(II)で規
定される温度範囲になるように制御して、シートの冷却
と結晶化を一段階で行なう。
120≦T≦190−0.02t (II) 〔ただし、tは、シート厚(μm)を表わす〕 シート厚が大きいほどキャスティングロール上で冷却
され難いため、シート厚に対応してキャスティングロー
ルの温度を制御する必要がある。
され難いため、シート厚に対応してキャスティングロー
ルの温度を制御する必要がある。
キャスティングロールの温度が前記式(II)の下限
(おおよそ120℃)未満であると、実質的にシートの急
冷がなされ、非晶シートとなり、機械的特性の低いもの
しか得られない。したがって、結晶化度が5%以上のシ
ートを得ることが困難である。また、このような低温条
件下では、キャスティングロール上での滞留時間を長く
しても結晶化はそれほど進まない。しかも、低結晶化シ
ートは、キャスティングロールからのはがれが悪く、平
面性の良好なシートを得ることが難しい。ただし、キャ
スティングロールの表面の材質をセラミックとしたり、
あるいはキャスティングロールにフッ素系離型剤等を塗
布すれば、比較的低温でのはがれ性そのものは改善され
るが、結晶化が実質上進まないため、PASのガラス転移
温度Tg以上で、前記下限温度未満の温度領域では、非晶
状態の時極めて伸び易い特徴を有するため、円滑なはが
れ性を得ることができない。
(おおよそ120℃)未満であると、実質的にシートの急
冷がなされ、非晶シートとなり、機械的特性の低いもの
しか得られない。したがって、結晶化度が5%以上のシ
ートを得ることが困難である。また、このような低温条
件下では、キャスティングロール上での滞留時間を長く
しても結晶化はそれほど進まない。しかも、低結晶化シ
ートは、キャスティングロールからのはがれが悪く、平
面性の良好なシートを得ることが難しい。ただし、キャ
スティングロールの表面の材質をセラミックとしたり、
あるいはキャスティングロールにフッ素系離型剤等を塗
布すれば、比較的低温でのはがれ性そのものは改善され
るが、結晶化が実質上進まないため、PASのガラス転移
温度Tg以上で、前記下限温度未満の温度領域では、非晶
状態の時極めて伸び易い特徴を有するため、円滑なはが
れ性を得ることができない。
逆に、キャスティングロールの温度が前記式(II)の
上限(おおよそ190℃)を越えると、得られたシートの
耐屈曲性が悪化する。これは、PASの最大結晶化速度に
なる温度がおおよそ190℃であり、この温度を超える領
域での結晶化では大きな球晶が生成するためと推定され
る。また、球晶を形成する結晶ラメラも、高温になる程
厚く、結晶サイズが大きくなり、結晶ラメラをつなぐ連
結鎖(tie chain)も少なくなるものと推定される。こ
のように結晶ラメラ間の結合力や球晶間の結合力が弱ま
るため、シートの耐屈曲性が悪化するものと思われる。
耐屈曲性の観点からみた好ましい上限温度は、シート厚
にもよるが、ほぼ175℃である。
上限(おおよそ190℃)を越えると、得られたシートの
耐屈曲性が悪化する。これは、PASの最大結晶化速度に
なる温度がおおよそ190℃であり、この温度を超える領
域での結晶化では大きな球晶が生成するためと推定され
る。また、球晶を形成する結晶ラメラも、高温になる程
厚く、結晶サイズが大きくなり、結晶ラメラをつなぐ連
結鎖(tie chain)も少なくなるものと推定される。こ
のように結晶ラメラ間の結合力や球晶間の結合力が弱ま
るため、シートの耐屈曲性が悪化するものと思われる。
耐屈曲性の観点からみた好ましい上限温度は、シート厚
にもよるが、ほぼ175℃である。
なお、製膜安定性の観点から見れば、キャスティング
ロール温度は190℃よりも高温側で結晶化速度が遅くな
り、キャスティングロール上で結晶化しなくなる温度、
おおよそ240℃まで製膜可能である。しかし、このよう
な高温領域で製膜したシートは、上述のような理由によ
り耐屈曲性の良好なシートとはなり得ない。
ロール温度は190℃よりも高温側で結晶化速度が遅くな
り、キャスティングロール上で結晶化しなくなる温度、
おおよそ240℃まで製膜可能である。しかし、このよう
な高温領域で製膜したシートは、上述のような理由によ
り耐屈曲性の良好なシートとはなり得ない。
溶融押出シートのキャスティングロール上での滞留時
間は、キャスティングロールの温度および溶融結晶化温
度Tc2の範囲などにもよるが、通常、0.1〜5分間であ
る。
間は、キャスティングロールの温度および溶融結晶化温
度Tc2の範囲などにもよるが、通常、0.1〜5分間であ
る。
また、溶融押出したPASシートをキャスティングロー
ル上に密着させるために、静電印加法を用いることが好
ましい。静電印加法を併用すれば、シートをさらに平滑
とすることができる。
ル上に密着させるために、静電印加法を用いることが好
ましい。静電印加法を併用すれば、シートをさらに平滑
とすることができる。
上記方法で得られた結晶化したPASシートを、さらに2
00〜280℃の高温で、0.1〜180分間熱処理すると、平面
性・平滑性が優れているとともに、一層高弾性率のシー
トを得ることができ、寸法安定性の優れたものとなる。
この温度範囲未満であると、結晶化度がやや低いままと
なり、弾性率もあまり高くならない場合がある。逆に、
この温度範囲を越えると、PASの融解が起こり、平面性
・平滑性が悪くなる。また、この加熱時間より短いと加
熱処理の効果が見られず、逆に、長すぎるのは、工程上
経済的でない。
00〜280℃の高温で、0.1〜180分間熱処理すると、平面
性・平滑性が優れているとともに、一層高弾性率のシー
トを得ることができ、寸法安定性の優れたものとなる。
この温度範囲未満であると、結晶化度がやや低いままと
なり、弾性率もあまり高くならない場合がある。逆に、
この温度範囲を越えると、PASの融解が起こり、平面性
・平滑性が悪くなる。また、この加熱時間より短いと加
熱処理の効果が見られず、逆に、長すぎるのは、工程上
経済的でない。
<配向結晶化シートの製造条件> また、溶融粘度が高い、5,000ポイズ以上、好ましく
は7,000ポイズ以上、更に好ましくは8,000ポイズ以上の
高粘度のPASを用い、Tダイからの押出量とシートの巻
き取り速度を調整し、溶融押出・キャスティング時に比
較的大きな引落し率(ドラフト率)で巻き取ることによ
って配向したシートとすることができる。後述の配向度
で0.7以下にも、し得る。このシートは、低粘度のPASを
用いた場合と比較して、容易に薄膜化することができ
る。そして、このようにして得た配向結晶化シートは、
耐屈曲性や降伏点強度、破断強度などの機械的物性がさ
らに改善されたものである。
は7,000ポイズ以上、更に好ましくは8,000ポイズ以上の
高粘度のPASを用い、Tダイからの押出量とシートの巻
き取り速度を調整し、溶融押出・キャスティング時に比
較的大きな引落し率(ドラフト率)で巻き取ることによ
って配向したシートとすることができる。後述の配向度
で0.7以下にも、し得る。このシートは、低粘度のPASを
用いた場合と比較して、容易に薄膜化することができ
る。そして、このようにして得た配向結晶化シートは、
耐屈曲性や降伏点強度、破断強度などの機械的物性がさ
らに改善されたものである。
さらに、キャスチングロール上で配向結晶化して得ら
れたシートの大きな特徴は、配向しているにもかかわら
ず、寸法安定性の良好なことである。このような挙動
は、非晶鎖の緊張度が低いこと、結晶サイズが比較的一
定していて、溶融し易い微細な結晶が少ないことによる
ものと推定される。このような構造は、溶融状態である
高温から結晶化させることによって発現するものであ
る。ガラス転移点近傍で延伸し、それを定長下で熱処理
して結晶化させるような従来の方法に比し高温を必要と
せず、工程経済上も好ましいものである。また、比較的
低配向の場合は寸法安定性が更に向上し、しかもドラフ
ト方向での強伸度は大きい。
れたシートの大きな特徴は、配向しているにもかかわら
ず、寸法安定性の良好なことである。このような挙動
は、非晶鎖の緊張度が低いこと、結晶サイズが比較的一
定していて、溶融し易い微細な結晶が少ないことによる
ものと推定される。このような構造は、溶融状態である
高温から結晶化させることによって発現するものであ
る。ガラス転移点近傍で延伸し、それを定長下で熱処理
して結晶化させるような従来の方法に比し高温を必要と
せず、工程経済上も好ましいものである。また、比較的
低配向の場合は寸法安定性が更に向上し、しかもドラフ
ト方向での強伸度は大きい。
このような配向結晶化シートを得るには、溶融押出し
後、シートを一定以上のドラフト率で引っ張り、流動配
向させると同時に冷却・結晶化させる必要がある。具体
的には、溶融粘度が一定値以上、好ましくは310℃、剪
断速度200sec-1の条件下で7,000ポイズ以上、更に好ま
しくは8,000ポイズ以上と高粘度のPASを用いることが必
要であり、従来知られている低粘度のPASでは、流動配
向させても、緩和速度が大きく、配向緩和が起こり、分
子鎖が流動配向した状態での結晶化は難しい。このよう
なPASとしては、モノマーとしてジハロベンゼンの他に
好ましくは0.05モル%以上5モル%以下のトリハロベン
ゼンを用いて、分技構造を持たせて溶融粘度を高めた樹
脂であることがより好ましい。溶融粘度は高い程好まし
いが25,000ポイズを越すと溶融押出しが困難となる。
後、シートを一定以上のドラフト率で引っ張り、流動配
向させると同時に冷却・結晶化させる必要がある。具体
的には、溶融粘度が一定値以上、好ましくは310℃、剪
断速度200sec-1の条件下で7,000ポイズ以上、更に好ま
しくは8,000ポイズ以上と高粘度のPASを用いることが必
要であり、従来知られている低粘度のPASでは、流動配
向させても、緩和速度が大きく、配向緩和が起こり、分
子鎖が流動配向した状態での結晶化は難しい。このよう
なPASとしては、モノマーとしてジハロベンゼンの他に
好ましくは0.05モル%以上5モル%以下のトリハロベン
ゼンを用いて、分技構造を持たせて溶融粘度を高めた樹
脂であることがより好ましい。溶融粘度は高い程好まし
いが25,000ポイズを越すと溶融押出しが困難となる。
上述のような高粘度PASを用いて、T−ダイからシー
ト状に押出す時の樹脂温度は290℃〜360℃の範囲にある
ことが好ましい。配向緩和を押えて、効率良く配向結晶
化させるには、樹脂温度は低い方が好ましいが、押出機
およびダイ内での流動が難しくなる。T−ダイから出た
樹脂はキャスティングロールで巻き取り、樹脂の流出速
度に対し、巻き取り速度を大きくし(この比をドラフト
率という)分子鎖に流動配向を与える。この時、T−ダ
イ先端とキャスティングロールとの距離は近い程好まし
い。すなわち時間を短くし温度勾配を大きくする効果が
ある。しかし、通常は装置上の限界があり5mm〜30mm程
度の距離とする。
ト状に押出す時の樹脂温度は290℃〜360℃の範囲にある
ことが好ましい。配向緩和を押えて、効率良く配向結晶
化させるには、樹脂温度は低い方が好ましいが、押出機
およびダイ内での流動が難しくなる。T−ダイから出た
樹脂はキャスティングロールで巻き取り、樹脂の流出速
度に対し、巻き取り速度を大きくし(この比をドラフト
率という)分子鎖に流動配向を与える。この時、T−ダ
イ先端とキャスティングロールとの距離は近い程好まし
い。すなわち時間を短くし温度勾配を大きくする効果が
ある。しかし、通常は装置上の限界があり5mm〜30mm程
度の距離とする。
キャスティングロールの温度はロール上で結晶化させ
る必要があることから120℃以上であることが好まし
い。ポリ−p−フェニレンサルファイド樹脂の最大結晶
化速度を与える温度は190℃近辺であり、190℃近辺の温
度域に近い程、速やかに結晶化する。したがって、200
℃以上の高温になると結晶化もまた遅くなる傾向にあ
る。キャスティングロールの温度で溶融した樹脂を冷却
するので、樹脂がロールに接した初期の段階では樹脂温
度はロール温度よりも高い。また高温で結晶化させたシ
ートは球晶の粗大化に伴うものと思われるが、低温キャ
スティングロールで結晶化させたシートに較べ、相対的
に耐屈曲性が悪い傾向にあり好ましくない。従ってキャ
スティングロール温度は通常は120℃〜200℃の範囲であ
ることが好ましい。なお、ドラフト率は、樹脂の溶融温
度に大きく依存するが配向結晶化シートを得るには、通
常5以上、好ましくは10以上のドラフト率であることが
好ましい。ドラフト率は高い程高配向するが安定した巻
取りを行なうには5,000位が上限である。巻取りテンシ
ョンとしては2.5g/mm2以上が好ましい。
る必要があることから120℃以上であることが好まし
い。ポリ−p−フェニレンサルファイド樹脂の最大結晶
化速度を与える温度は190℃近辺であり、190℃近辺の温
度域に近い程、速やかに結晶化する。したがって、200
℃以上の高温になると結晶化もまた遅くなる傾向にあ
る。キャスティングロールの温度で溶融した樹脂を冷却
するので、樹脂がロールに接した初期の段階では樹脂温
度はロール温度よりも高い。また高温で結晶化させたシ
ートは球晶の粗大化に伴うものと思われるが、低温キャ
スティングロールで結晶化させたシートに較べ、相対的
に耐屈曲性が悪い傾向にあり好ましくない。従ってキャ
スティングロール温度は通常は120℃〜200℃の範囲であ
ることが好ましい。なお、ドラフト率は、樹脂の溶融温
度に大きく依存するが配向結晶化シートを得るには、通
常5以上、好ましくは10以上のドラフト率であることが
好ましい。ドラフト率は高い程高配向するが安定した巻
取りを行なうには5,000位が上限である。巻取りテンシ
ョンとしては2.5g/mm2以上が好ましい。
PASシート 本発明のPASシートは、平面性・平滑性に優れ、次の
ような物性(熱処理前および熱処理後の物性)を有する
シートである。
ような物性(熱処理前および熱処理後の物性)を有する
シートである。
(a)少なくとも片面の表面粗さRaが0.09μm以下であ
る。
る。
(b)結晶化度が5%以上である。
(c)切断するまでの屈曲回数Yが下記式(I)を満足
する。
する。
log Y≧7.11−2.34log t (I) 〔ただし、tは、シート厚(μm)を表わす〕 本発明のPASシートの厚みは、通常、5mm以下の薄膜状
の成形物であり、好ましくは10μm〜2mm、より好まし
くは20μm〜600μmの厚さを有するものである。
の成形物であり、好ましくは10μm〜2mm、より好まし
くは20μm〜600μmの厚さを有するものである。
本発明のPASシートは、従来公知のものに比べて平面
性・平滑性に優れている。
性・平滑性に優れている。
平面性の点についていえば、従来の非晶シートを加熱
ロールなどの固体表面に接触させる熱処理法によって得
られるPASシートは、固体に接触または粘着した部分と
熱膨張により浮き上がった部分とで斑ができるのに対し
て、本発明のPASシートは溶融押出したシート状物を非
晶化することなく直ちにキャスティングロール上で冷却
と結晶化を一段階で行なっているため、シート全面でゆ
がみや反りなどがなく、フラットで平面性が良好であ
る。
ロールなどの固体表面に接触させる熱処理法によって得
られるPASシートは、固体に接触または粘着した部分と
熱膨張により浮き上がった部分とで斑ができるのに対し
て、本発明のPASシートは溶融押出したシート状物を非
晶化することなく直ちにキャスティングロール上で冷却
と結晶化を一段階で行なっているため、シート全面でゆ
がみや反りなどがなく、フラットで平面性が良好であ
る。
平滑性の点では、シートの両面とも適度な表面粗さを
持ち、動摩擦係数が小さく、優れた実用性を有する。特
に、キャスティングロールに接触した面の表面粗さRa
は、0.09μm以下、好ましくは0.06μm以下、さらに好
ましくは0.02μm以下と従来品に比べて極めて小さい。
持ち、動摩擦係数が小さく、優れた実用性を有する。特
に、キャスティングロールに接触した面の表面粗さRa
は、0.09μm以下、好ましくは0.06μm以下、さらに好
ましくは0.02μm以下と従来品に比べて極めて小さい。
本発明のPASシートは、その結晶化度が5%以上、好
ましくは10%以上の結晶化シートである。結晶化度が5
%未満では、耐熱性が不充分であり、PASのガラス転移
温度を超える温度領域ではシートが水アメ状に極めて柔
らかくなり耐熱性に劣るため、実用的ではない。ただ
し、PASシートの耐屈曲性は、結晶化度が低いほど良好
な傾向を示すので、結晶化度が5%以上の範囲内におい
て、使用目的に応じて結晶化度の好適な範囲を選択すれ
ばよい。
ましくは10%以上の結晶化シートである。結晶化度が5
%未満では、耐熱性が不充分であり、PASのガラス転移
温度を超える温度領域ではシートが水アメ状に極めて柔
らかくなり耐熱性に劣るため、実用的ではない。ただ
し、PASシートの耐屈曲性は、結晶化度が低いほど良好
な傾向を示すので、結晶化度が5%以上の範囲内におい
て、使用目的に応じて結晶化度の好適な範囲を選択すれ
ばよい。
機械的特性に関しても、本発明のPASシートは、耐屈
曲性をはじめとして、降伏点強度や破断強度、破断伸
度、引張弾性率などの諸物性に優れており、実用性の高
いものである。
曲性をはじめとして、降伏点強度や破断強度、破断伸
度、引張弾性率などの諸物性に優れており、実用性の高
いものである。
耐屈曲性についてみると、本発明のPASシートは、切
断するまでの屈曲回数Yが下記式(I)を満足するもの
であり、優れた耐屈曲性を示す。
断するまでの屈曲回数Yが下記式(I)を満足するもの
であり、優れた耐屈曲性を示す。
log Y≧7.11−2.34log t (I) 〔ただし、tは、シート厚(μm)を表わす〕 特に、高粘度のPASを用い、高いドラフト率で巻き取
った配向結晶化シートは、薄膜とすることが容易であ
り、高度の耐屈曲性を示す。
った配向結晶化シートは、薄膜とすることが容易であ
り、高度の耐屈曲性を示す。
また、本発明のPASシートは、23℃における降伏点強
度が6kg/mm2以上、破断強度が4kg/mm2以上、破断伸度が
10%以上、引張弾性率が280kg/mm2以上の優れた機械的
特性を有する。
度が6kg/mm2以上、破断強度が4kg/mm2以上、破断伸度が
10%以上、引張弾性率が280kg/mm2以上の優れた機械的
特性を有する。
これらの機械的特性は、溶融粘度が10,000ポイズ以上
の高粘度のPASを使用し、キャスティング時に比較的大
きなドラフト率で巻き取り、配向結晶化シートとするこ
とによってさらに向上させることができる。
の高粘度のPASを使用し、キャスティング時に比較的大
きなドラフト率で巻き取り、配向結晶化シートとするこ
とによってさらに向上させることができる。
本発明のPASシートは、シートを曲げて加工したり、
あるいは張力をかけてセットするときや、真空成形、圧
空成形などにおける絞り加工などの場合でも充分に耐え
て、破損しにくい。
あるいは張力をかけてセットするときや、真空成形、圧
空成形などにおける絞り加工などの場合でも充分に耐え
て、破損しにくい。
用 途 本発明のPASシートは、片面の表面粗さRaが0.09μm
以下と極めて平滑であるため、もう一方の面を粗面化し
て滑り易くし、例えば、平滑化と易滑性が要求されるフ
ロッピーディスク用ベースフィルムなどの磁気記録材料
用ベースフィルムとして好適である。
以下と極めて平滑であるため、もう一方の面を粗面化し
て滑り易くし、例えば、平滑化と易滑性が要求されるフ
ロッピーディスク用ベースフィルムなどの磁気記録材料
用ベースフィルムとして好適である。
さらに、本発明のPASシートは、耐熱性、平面性、平
滑性、耐屈曲性などを要求される分野、例えば、コンデ
ンサー用フィルム、フレキシブルプリント配線板、チッ
プ・キャリア、TABテープ(Tape for automated bondin
g)などの電子・電気工業分野、また、場合によっては
充填剤を加えたシートを鉄板に貼りあわせてブッシュな
どの摺動部材として機械工業分野など広範な分野で使用
することができる。
滑性、耐屈曲性などを要求される分野、例えば、コンデ
ンサー用フィルム、フレキシブルプリント配線板、チッ
プ・キャリア、TABテープ(Tape for automated bondin
g)などの電子・電気工業分野、また、場合によっては
充填剤を加えたシートを鉄板に貼りあわせてブッシュな
どの摺動部材として機械工業分野など広範な分野で使用
することができる。
以下、本発明を実施例および比較例を挙げて具体的に
説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるも
のではない。
説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるも
のではない。
物性の測定方法 本発明におけるPASおよびPASシートの特性値の測定方
法は、次ぎのとおりである。
法は、次ぎのとおりである。
<溶融粘度> PASの溶融粘度は、310℃、剪断速度200sec-1で測定し
たものである。
たものである。
<溶融結晶化温度> Tc2は、DSCを用い、23℃から10℃/分の速度で380℃
まで昇温し、380℃で3分間保持した後、10℃/分の速
度で降温した時に現われる結晶化の発熱ピーク温度をチ
ャートから読み取った。
まで昇温し、380℃で3分間保持した後、10℃/分の速
度で降温した時に現われる結晶化の発熱ピーク温度をチ
ャートから読み取った。
<表面粗度> 表面粗度Ra(μm)は、表面粗さ計(東京精密(株)
社製、サーフコム 550A)で、JIS B−0601に基づき
測定した。
社製、サーフコム 550A)で、JIS B−0601に基づき
測定した。
<動摩擦係数> 東洋精機(株)社製「摩擦測定機TR型」を用い、ASTM
D−1894に基づき測定した。
D−1894に基づき測定した。
<結晶化度> 塩化亜鉛−水系を用い、密度勾配管を作成し、23℃で
測定した比重値(ρ)、および結晶密度(ρc)、非結
晶密度(ρa)から重量結晶化度(Xc)を次式により求
めた。
測定した比重値(ρ)、および結晶密度(ρc)、非結
晶密度(ρa)から重量結晶化度(Xc)を次式により求
めた。
Xc=(ρc/ρ){(ρ−ρa)/(ρc−ρa)} なお、実施例で使用したポリフェニレンスルフィドの
ρcは文献値(European Polymer Journal,vol.7,1127
(1971)で1.43)から1.4300、ρaは種々急冷試料を作
成し、X線回折写真で無定形を確認した試料の実測平均
値で1.3125とした。
ρcは文献値(European Polymer Journal,vol.7,1127
(1971)で1.43)から1.4300、ρaは種々急冷試料を作
成し、X線回折写真で無定形を確認した試料の実測平均
値で1.3125とした。
<破断強度、破断伸度、引張弾性率および降伏点強度> 東洋ボールドウィン(株)社製「テンシロン」を用
い、23℃および200℃で5号ダンベルで打ち抜いた試料
シートを、ASTM D−638に従い試長33mm、幅6mm、引張
り速度50mm/分で測定した。歪−応力曲線から破断強
度、破断伸度、および初期歪部からの引張弾性率を求め
た。また、降伏点での応力を降伏点強度とした。
い、23℃および200℃で5号ダンベルで打ち抜いた試料
シートを、ASTM D−638に従い試長33mm、幅6mm、引張
り速度50mm/分で測定した。歪−応力曲線から破断強
度、破断伸度、および初期歪部からの引張弾性率を求め
た。また、降伏点での応力を降伏点強度とした。
<配向度> 各試料の巻取り方向を正確にそろえて、厚み4mmかそ
れ以上になるように貼り合わせたシートから、巻取り方
向に平行に幅1mmに短冊状に切り出した。切り出した短
冊状試料を理学電機社製X線回折装置に取り付けた繊維
試料台に幅1mm方向に平行に、厚み4mmかそれ以上になる
ように貼り合わせたシートに直角にX線が入射するよう
に(すなわち、シートのEdge面に垂直にX線が入射され
るように)セットした。
れ以上になるように貼り合わせたシートから、巻取り方
向に平行に幅1mmに短冊状に切り出した。切り出した短
冊状試料を理学電機社製X線回折装置に取り付けた繊維
試料台に幅1mm方向に平行に、厚み4mmかそれ以上になる
ように貼り合わせたシートに直角にX線が入射するよう
に(すなわち、シートのEdge面に垂直にX線が入射され
るように)セットした。
試料を垂直にセットし、赤道方向に2θスキャンを行
ない、(200)面の回折ピーク強度を求めた(Iφ=
0)。次に、試料を垂直方向から30゜傾けて、同様に2
θスキャンを行ない(200)面の回折ピーク強度を求め
た(Iφ=30)。
ない、(200)面の回折ピーク強度を求めた(Iφ=
0)。次に、試料を垂直方向から30゜傾けて、同様に2
θスキャンを行ない(200)面の回折ピーク強度を求め
た(Iφ=30)。
配向度は、Iφ=30/Iφ=0として求めた。
なお、PASシートが無配向の場合、配向度は0.7以上の
値となる。
値となる。
<耐屈曲性>−切断するまでの屈曲回数− 測定試料を長さ100mm、幅15mmに切り出し、東洋精機
社製MIT耐揉疲労試験機を用いて、JIS−8115にしたが
い、チャック間55mmで試料をセットし、荷重1.25kgで、
曲げ角135度、曲げ速度175回/分で左右に曲げてシート
が切断するまでの屈曲回数を求め、耐屈曲性の指標とし
た。
社製MIT耐揉疲労試験機を用いて、JIS−8115にしたが
い、チャック間55mmで試料をセットし、荷重1.25kgで、
曲げ角135度、曲げ速度175回/分で左右に曲げてシート
が切断するまでの屈曲回数を求め、耐屈曲性の指標とし
た。
[実施例1] 溶融粘度が7,300ポイズ(310℃、剪断速度200sec-1で
測定)、溶融結晶化温度Tc2が172℃(DSCを用い、23℃
から10℃/分の速度で380℃まで昇温し、380℃で3分間
保持した後、10℃/分の速度で降温した時に現われる結
晶化の発熱ピーク温度)である実質的に直鎖状のポリ−
p−フェニレンスルフィドを溶融押出し、ペレット化し
た。
測定)、溶融結晶化温度Tc2が172℃(DSCを用い、23℃
から10℃/分の速度で380℃まで昇温し、380℃で3分間
保持した後、10℃/分の速度で降温した時に現われる結
晶化の発熱ピーク温度)である実質的に直鎖状のポリ−
p−フェニレンスルフィドを溶融押出し、ペレット化し
た。
得られたペレットを、35mmφ、L/D=28の押出機に取
り付けたリップクリアランス0.55mm、幅250mmのリップ
を有するT−ダイでシート状に押出した。樹脂の溶融温
度は310℃、押出量は、3.0kg/時間であった。T−ダイ
先端部とキャスティングロール上端部の間を約10mmと
し、キャスティングロール表面温度は155℃に設定し
た。キャスティングロールの直径は300mmであった。
り付けたリップクリアランス0.55mm、幅250mmのリップ
を有するT−ダイでシート状に押出した。樹脂の溶融温
度は310℃、押出量は、3.0kg/時間であった。T−ダイ
先端部とキャスティングロール上端部の間を約10mmと
し、キャスティングロール表面温度は155℃に設定し
た。キャスティングロールの直径は300mmであった。
シート厚が190μmになるように巻き取り速度をコン
トロールして巻き取った。巻き取り速度は0.85m/分であ
った。
トロールして巻き取った。巻き取り速度は0.85m/分であ
った。
得られたシートの密度は1.341g/cm3(23℃)であり、
この値から求めた結晶化度は25.9%であった。また、こ
のシートのキャスティングロールに接した面の表面粗さ
Raは0.050μmであり、キャスティングロール面と反対
側の面では0.130μmであった。このシートのキャステ
ィングロールに接した面の動摩擦係数は0.3であった。
耐屈曲性について、折曲切断回数を測定したところ320
回であった。
この値から求めた結晶化度は25.9%であった。また、こ
のシートのキャスティングロールに接した面の表面粗さ
Raは0.050μmであり、キャスティングロール面と反対
側の面では0.130μmであった。このシートのキャステ
ィングロールに接した面の動摩擦係数は0.3であった。
耐屈曲性について、折曲切断回数を測定したところ320
回であった。
さらに、このシートをギャーオーブンの熱風中で260
℃、10分間熱処理して結晶化を促進させた。この熱処理
後のキャスティングロールに接していた側の面および反
対側の面の表面粗さRaは、それぞれ0.060μmおよび0.1
40μmであった。結晶化度は33.1%に上昇していた。こ
のシートのキャスティングロールに接した面の動摩擦係
数は0.3であった。耐屈曲性について、折曲切断回数を
測定したところ110回であった。また、この熱処理後の
シートの降伏点強度は9kg/mm2、破断速度は6kg/mm2、破
断伸度は40%、引張り弾性率は330kg/mm2であった。
℃、10分間熱処理して結晶化を促進させた。この熱処理
後のキャスティングロールに接していた側の面および反
対側の面の表面粗さRaは、それぞれ0.060μmおよび0.1
40μmであった。結晶化度は33.1%に上昇していた。こ
のシートのキャスティングロールに接した面の動摩擦係
数は0.3であった。耐屈曲性について、折曲切断回数を
測定したところ110回であった。また、この熱処理後の
シートの降伏点強度は9kg/mm2、破断速度は6kg/mm2、破
断伸度は40%、引張り弾性率は330kg/mm2であった。
[比較例1、2] 実施例1と同じ原料ペレットと装置を用い、キャステ
ィングロールの表面温度のみを変え、他は同一条件でシ
ートを製造した。キャスティングロールの表面温度とシ
ートのはがれ性および結晶化度の関係についての測定結
果を第1表に示す。
ィングロールの表面温度のみを変え、他は同一条件でシ
ートを製造した。キャスティングロールの表面温度とシ
ートのはがれ性および結晶化度の関係についての測定結
果を第1表に示す。
比較例1のシートは、表面粗さRaは表裏ともに0.010
μmと良好であったが、実質的に非晶シートであり、室
温での破断強度は6kg/mm2であったが、120℃では0.1kg/
mm2程度と、極めて弱いものになってしまい、わずかの
外力で変形し、形状を保持するのも難しい状態となっ
た。このシートをギャーオーブンの熱風中で260℃、10
分間熱処理して結晶化を促進させたところ、結晶化度は
33%程度となったが、均一な熱処理はできず、反りおよ
び厚み斑が著しく機械的特性の測定はできなかった。
μmと良好であったが、実質的に非晶シートであり、室
温での破断強度は6kg/mm2であったが、120℃では0.1kg/
mm2程度と、極めて弱いものになってしまい、わずかの
外力で変形し、形状を保持するのも難しい状態となっ
た。このシートをギャーオーブンの熱風中で260℃、10
分間熱処理して結晶化を促進させたところ、結晶化度は
33%程度となったが、均一な熱処理はできず、反りおよ
び厚み斑が著しく機械的特性の測定はできなかった。
比較例2のシートは、キャスティングロールからのは
がれ性が不良であり、均一なシートは得られなかった。
従って結晶化度も局所的にばらつきがみられたが、いず
れも10%以下であった。また、キャスティングロールの
はがれ不良に伴うシートの反りや厚み斑のため、表面粗
さや熱処理後の機械的特性の測定はできなかった。
がれ性が不良であり、均一なシートは得られなかった。
従って結晶化度も局所的にばらつきがみられたが、いず
れも10%以下であった。また、キャスティングロールの
はがれ不良に伴うシートの反りや厚み斑のため、表面粗
さや熱処理後の機械的特性の測定はできなかった。
[実施例2](結晶核剤の使用例) 溶融粘度が6,800ポイズ(310℃、剪断速度200sec-1で
測定)、溶融結晶化温度Tc2が204℃である実質的に直鎖
状のポリ−p−フェニレンスルフィド10重量部に対し、
結晶核剤としてカーボンブラック(商品名三菱カーボン
MA−100)を1.0重量部添加した系からなるペレットを作
成した。
測定)、溶融結晶化温度Tc2が204℃である実質的に直鎖
状のポリ−p−フェニレンスルフィド10重量部に対し、
結晶核剤としてカーボンブラック(商品名三菱カーボン
MA−100)を1.0重量部添加した系からなるペレットを作
成した。
得られたペレットを用い、実施例1と同様の装置を用
い、溶融温度310℃、押出量3.0kg/時間、キャスティン
グロール温度160℃で結晶化シートを作成した。シート
の厚みが160μmになるように巻き取り速度をコントロ
ールして巻き取った。この時の巻き取り速度は1.0m/分
であった。
い、溶融温度310℃、押出量3.0kg/時間、キャスティン
グロール温度160℃で結晶化シートを作成した。シート
の厚みが160μmになるように巻き取り速度をコントロ
ールして巻き取った。この時の巻き取り速度は1.0m/分
であった。
巻き取りに際し、キャスティングロールからシートは
極めてスムーズにはがれた。得られたシートの結晶化度
は27.0%であり、キャスティングロールに接した面の表
面粗さRaは0.010μmで極めて平滑であった。また、そ
の反対側の面は、0.040μmであった。
極めてスムーズにはがれた。得られたシートの結晶化度
は27.0%であり、キャスティングロールに接した面の表
面粗さRaは0.010μmで極めて平滑であった。また、そ
の反対側の面は、0.040μmであった。
球晶の生成状況について走査型電子顕微鏡により観察
したところ、球晶は形成されておらず、表面は極めて微
細な波状構造を形成していた。
したところ、球晶は形成されておらず、表面は極めて微
細な波状構造を形成していた。
さらに、このシートをギャーオーブンの熱風中で260
℃、10分間熱処理して結晶化を促進させた。熱処理シー
トのキャスティングロールに接した面の表面粗さRaは0.
010μm、その反対側の面は0.040μmであった。
℃、10分間熱処理して結晶化を促進させた。熱処理シー
トのキャスティングロールに接した面の表面粗さRaは0.
010μm、その反対側の面は0.040μmであった。
物性値の測定結果等は第2表に一括して示す。
[実施例3] 結晶核剤を添加しなかった以外は、実施例2と同じポ
リ−p−フェニレンスルフィドを用い、実施例2と同一
の条件で厚み160μmのシートを得た。
リ−p−フェニレンスルフィドを用い、実施例2と同一
の条件で厚み160μmのシートを得た。
巻き取りに際し、キャスティングロールからのシート
のはがれはスムーズであった。得られたシートの結晶化
度は26.1%であり、キャスティングロールに接した面の
表面粗さRaは0.045μmで、その反対側の面では0.110μ
mであった。
のはがれはスムーズであった。得られたシートの結晶化
度は26.1%であり、キャスティングロールに接した面の
表面粗さRaは0.045μmで、その反対側の面では0.110μ
mであった。
物性値の測定結果等は第2表に一括して示す。
[実施例4](静電印加法の使用例) 実施例1と同じ原料ペレットを用い、実施例1と同じ
装置で、樹脂の溶融温度310℃、押出量3.0kg/時で溶融
押出した。キャスティングロールの表面温度は155℃で
あった。この時、押出された溶融樹脂がロールに接する
点からロールの半径方向に約5mm離れた位置に、ロール
軸に平行に太さ0.15mm径のタングステン製のワイヤ(ピ
ニングワイヤー)を張り、そのワイヤとロールとの間
に、約5.0KVの直流電圧を印加しながら静電印加キャス
トした。
装置で、樹脂の溶融温度310℃、押出量3.0kg/時で溶融
押出した。キャスティングロールの表面温度は155℃で
あった。この時、押出された溶融樹脂がロールに接する
点からロールの半径方向に約5mm離れた位置に、ロール
軸に平行に太さ0.15mm径のタングステン製のワイヤ(ピ
ニングワイヤー)を張り、そのワイヤとロールとの間
に、約5.0KVの直流電圧を印加しながら静電印加キャス
トした。
得られたシートの厚みは160μmであり、この時の巻
き取り速度は約1.0m/分であった。得られたシートの結
晶化度は27.5%であった。また、このシートのキャステ
ィングロールに接した面の表面粗さRaは0.020μmであ
り、ピニングワイヤー側の面では0.100μmであった。
き取り速度は約1.0m/分であった。得られたシートの結
晶化度は27.5%であった。また、このシートのキャステ
ィングロールに接した面の表面粗さRaは0.020μmであ
り、ピニングワイヤー側の面では0.100μmであった。
このシートをギャーオーブンの熱風中、260℃、10分
間熱処理したシートの結晶化度は33.1%であり、表面粗
さRaはキャスティングロール面で0.030μm、ピニング
ワイヤー側の面では0.090μmであった。
間熱処理したシートの結晶化度は33.1%であり、表面粗
さRaはキャスティングロール面で0.030μm、ピニング
ワイヤー側の面では0.090μmであった。
物性値の測定結果等は第2表に一括して示す。
[実施例5] ピニングワイヤーに静電印加を行なわなかった以外
は、実施例4と同じ原料ペレットを用い、実施例4と同
じ条件で厚み160μmのシートを得た。
は、実施例4と同じ原料ペレットを用い、実施例4と同
じ条件で厚み160μmのシートを得た。
得られたシートの結晶化度は28.4%であった。また、
このシートのキャスティングロールに接した面の表面粗
さRaは0.060μmであり、その反対側の面では0.150μm
であった。
このシートのキャスティングロールに接した面の表面粗
さRaは0.060μmであり、その反対側の面では0.150μm
であった。
このシートをギャーオーブン中で熱風により260℃、1
0分間熱処理したところ、シートの結晶化度は35.0%、
表面粗さRaは、キャスティングロールに接した面で0.06
0μm、その反対側の面では0.160μmであった。
0分間熱処理したところ、シートの結晶化度は35.0%、
表面粗さRaは、キャスティングロールに接した面で0.06
0μm、その反対側の面では0.160μmであった。
物性値の測定結果等は第2表に一括して示す。
[比較例3] 溶融粘度が870ポイズ、溶融結晶化温度Tc2が253℃で
ある実質的に直鎖状のポリ−p−フェニレンサルファイ
ドを溶融押出してペレット化した。
ある実質的に直鎖状のポリ−p−フェニレンサルファイ
ドを溶融押出してペレット化した。
得られたペレットを実施例1と同様の装置を用い、実
施例4と同様の条件で静電印加装置を用いて、シートを
製造した。キャスティングロール表面温度は170℃で、
得られた結晶化シートの厚さは260μmであった。
施例4と同様の条件で静電印加装置を用いて、シートを
製造した。キャスティングロール表面温度は170℃で、
得られた結晶化シートの厚さは260μmであった。
得られたシートの結晶化度は、34.0%であった。さら
に、このシートのキャスティングロール面に接した面の
表面粗さRaは0.010μm、ピニングワイヤー側の面は0.0
07μmであった。
に、このシートのキャスティングロール面に接した面の
表面粗さRaは0.010μm、ピニングワイヤー側の面は0.0
07μmであった。
さらに、得られたシートをギャーオーブンの熱風中
で、260℃、10分間熱処理して結晶化を促進させた。熱
処理後のシートの結晶化度は38.6%であった。またキャ
スティングロール面に接した面の表面粗さRaは0.009μ
mであり、ピニングワイヤー側の面は0.010μmであっ
た。
で、260℃、10分間熱処理して結晶化を促進させた。熱
処理後のシートの結晶化度は38.6%であった。またキャ
スティングロール面に接した面の表面粗さRaは0.009μ
mであり、ピニングワイヤー側の面は0.010μmであっ
た。
耐屈曲性について、切断するまでの屈曲回数を測定し
たところ熱処理前のシートは2回であり、熱処理後のシ
ートでは1回であった。したがって、このシートは耐屈
曲性が劣悪で脆いものであり、曲げ加工などのできない
ものである。
たところ熱処理前のシートは2回であり、熱処理後のシ
ートでは1回であった。したがって、このシートは耐屈
曲性が劣悪で脆いものであり、曲げ加工などのできない
ものである。
物性値の測定結果等は第2表に一括して示す。
[実施例6] 溶融粘度が9,400ポイズ(310℃、剪断速度200sec-1で
測定)、溶融結晶化温度Tc2が179℃の実質的に直鎖状の
ポリ−p−フェニレンスルフィドを溶融押出し、ペレッ
ト化した。
測定)、溶融結晶化温度Tc2が179℃の実質的に直鎖状の
ポリ−p−フェニレンスルフィドを溶融押出し、ペレッ
ト化した。
得られたペレットを実施例4と同じ装置で、樹脂の溶
融温度310℃、押出量2.1kg/時で溶融押出した。キャス
ティングロールの表面温度は150℃であった。この時、
ピニングワイヤーとドラムとの間に、約5.0KVの直流電
圧を印加しながら静電印加キャストした。巻き取り速度
は0.57m/分であった。得られたシートの厚みは約200μ
mであった。
融温度310℃、押出量2.1kg/時で溶融押出した。キャス
ティングロールの表面温度は150℃であった。この時、
ピニングワイヤーとドラムとの間に、約5.0KVの直流電
圧を印加しながら静電印加キャストした。巻き取り速度
は0.57m/分であった。得られたシートの厚みは約200μ
mであった。
得られたシートの切断するまでの屈曲回数を測定した
ところ370回であり、このシートをギャーオーブン中、2
60℃で10分間熱処理したシートの屈曲回数は140回であ
った。
ところ370回であり、このシートをギャーオーブン中、2
60℃で10分間熱処理したシートの屈曲回数は140回であ
った。
物性値の測定結果等は第2表に一括して示す。
[実施例7] キャスティングロールの表面温度を150℃から175℃に
変えた以外は実施例6と同様にしてシートを得た。
変えた以外は実施例6と同様にしてシートを得た。
得られたシートの切断するまでの屈曲回数を測定した
ところ140回であり、このシートをギャーオーブン中、2
60℃で10分間熱処理したシートの屈曲回数は105回であ
った。
ところ140回であり、このシートをギャーオーブン中、2
60℃で10分間熱処理したシートの屈曲回数は105回であ
った。
物性値の測定結果等は第2表に一括して示す。
[実施例8〜13] ジクロルベンゼン100重量に対しトリクロロベンゼン
を0.2重量部添加した系から重合して得た溶融粘度14,00
0ポイズ(310℃、剪断速度200sec-1で測定)、溶融結晶
化温度Tc2198℃の高粘度ポリ−p−フェニレンスルフィ
ドをペレット化し、得られたペレットを実施例1と同様
の装置を用いて溶融押出して、キャスティングロール上
で結晶化させてシートを作成した。この時の溶融押出温
度は315℃、ダイ部の温度は320℃とした。
を0.2重量部添加した系から重合して得た溶融粘度14,00
0ポイズ(310℃、剪断速度200sec-1で測定)、溶融結晶
化温度Tc2198℃の高粘度ポリ−p−フェニレンスルフィ
ドをペレット化し、得られたペレットを実施例1と同様
の装置を用いて溶融押出して、キャスティングロール上
で結晶化させてシートを作成した。この時の溶融押出温
度は315℃、ダイ部の温度は320℃とした。
押出量は、2.1kg/時間であった。静電印加装置の印加
電圧は4.0KVであり、キャスティングドラムの表面温度
は155℃であった。巻き取り速度を変えて第3表のよう
な厚みのシートを作成した。いずれもキャスティングロ
ールからのはがれは良好であり、外観の優れたシートを
得た。
電圧は4.0KVであり、キャスティングドラムの表面温度
は155℃であった。巻き取り速度を変えて第3表のよう
な厚みのシートを作成した。いずれもキャスティングロ
ールからのはがれは良好であり、外観の優れたシートを
得た。
ただし、実施例12は押出量を約1.0kg/時間に下げ、巻
き取り速度を調整してキャスティングを行なった。さら
に、実施例13は押出量を約0.5kg/時間に下げて巻き取っ
た。他の条件は実施例8と同じであった。
き取り速度を調整してキャスティングを行なった。さら
に、実施例13は押出量を約0.5kg/時間に下げて巻き取っ
た。他の条件は実施例8と同じであった。
実施例9で得られたシートのキャスティングロールに
接した面での表面粗さRaは、0.010μmであり、ピニン
グワイヤー側の面は0.025μmであった。また、このシ
ートの降伏点強度は8kg/mm2、破断強度は6kg/mm2、破断
伸度44%、引張り弾性率300kg/mm2であった。
接した面での表面粗さRaは、0.010μmであり、ピニン
グワイヤー側の面は0.025μmであった。また、このシ
ートの降伏点強度は8kg/mm2、破断強度は6kg/mm2、破断
伸度44%、引張り弾性率300kg/mm2であった。
さらに、このシートを260℃、10分間、ギャーオーブ
ンの熱風中で熱処理し、結晶化を促進させた。シートの
結晶化度は33.1%であり、シートのキャスティングロー
ル面側の表面粗さRaは0.024μm、ピニングワイヤー側
のそれは0.035μmであった。降伏点強度は9kg/mm2、破
断強度6kg/mm2、破断伸度31%、引張り弾性率310kg/mm2
であった。
ンの熱風中で熱処理し、結晶化を促進させた。シートの
結晶化度は33.1%であり、シートのキャスティングロー
ル面側の表面粗さRaは0.024μm、ピニングワイヤー側
のそれは0.035μmであった。降伏点強度は9kg/mm2、破
断強度6kg/mm2、破断伸度31%、引張り弾性率310kg/mm2
であった。
また、実施例13のシートを260℃、10分間、ギャーオ
ーブンの熱風中で熱処理し、結晶化促進を行なった。こ
の時、シートの端部は長さ方向、幅方向ともフリーであ
った。熱処理前の長さおよび幅に対し、熱処理後の長さ
および幅は、長さ方向に対し2.5%収縮し、幅方向には
0%収縮した。結晶化度は33.1%であった。このように
して260℃、10分間熱処理し結晶化を促進したシート
を、さらに255℃で10分間、シートの端部は長さ方向、
幅方向ともフリーにして熱処理を行なったところ、熱処
理後の長さ方向および幅方向の寸法変化率は、ともに0
%であった。一方、同じ樹脂を用いて、常法により非晶
シートを作り、逐次二軸延伸により縦3.5倍、横3.5倍に
延伸したフィルムを定長下で260℃、10分間熱処理し
た。フィルムの厚みは15μmであった。この二軸延伸フ
ィルムを、端部は長さ方向、幅方向ともフリーにして、
さらに255℃で10分間熱処理を行なったところ、熱処理
後の長さ方向および幅方向の収縮率は、それぞれ4%お
よび6%であった。
ーブンの熱風中で熱処理し、結晶化促進を行なった。こ
の時、シートの端部は長さ方向、幅方向ともフリーであ
った。熱処理前の長さおよび幅に対し、熱処理後の長さ
および幅は、長さ方向に対し2.5%収縮し、幅方向には
0%収縮した。結晶化度は33.1%であった。このように
して260℃、10分間熱処理し結晶化を促進したシート
を、さらに255℃で10分間、シートの端部は長さ方向、
幅方向ともフリーにして熱処理を行なったところ、熱処
理後の長さ方向および幅方向の寸法変化率は、ともに0
%であった。一方、同じ樹脂を用いて、常法により非晶
シートを作り、逐次二軸延伸により縦3.5倍、横3.5倍に
延伸したフィルムを定長下で260℃、10分間熱処理し
た。フィルムの厚みは15μmであった。この二軸延伸フ
ィルムを、端部は長さ方向、幅方向ともフリーにして、
さらに255℃で10分間熱処理を行なったところ、熱処理
後の長さ方向および幅方向の収縮率は、それぞれ4%お
よび6%であった。
このように実施例13で得られた結晶化シートは、熱収
縮率が少なく、熱的寸法安定性に優れたものである。さ
らに、得られたシートのエッジ(Edge)面に垂直にX線
を入射して求めた結晶の配向度は0.47であり、高度に配
向していた。また、実施例13で得られた結晶化シートの
切断するまでの屈曲回数は、熱処理前で20万回、熱処理
後で10万回であり、高度の耐屈曲性を示した。
縮率が少なく、熱的寸法安定性に優れたものである。さ
らに、得られたシートのエッジ(Edge)面に垂直にX線
を入射して求めた結晶の配向度は0.47であり、高度に配
向していた。また、実施例13で得られた結晶化シートの
切断するまでの屈曲回数は、熱処理前で20万回、熱処理
後で10万回であり、高度の耐屈曲性を示した。
これらの実施例で得られたシートの特性値および加工
条件等について一括して第4表に示す。
条件等について一括して第4表に示す。
[実施例14] 溶融粘度が9,400ポイズ、溶融結晶化温度Tc2が179℃
である実質的に直鎖状のポリ−p−フェニレンスルフィ
ドを溶融押出し、ペレット化した。
である実質的に直鎖状のポリ−p−フェニレンスルフィ
ドを溶融押出し、ペレット化した。
得られたペレットを、35mmφ、幅250mmのリップを有
するT−ダイでシート状に押出した。樹脂の溶融温度は
310℃、押出量は2.1kg/時間であった。キャスティング
ロールの表面温度は132℃であった。この時、押出され
た溶融樹脂がロールに接する点からロールの半径方向に
約5mm離れた位置にロール軸に並行に太さ0.15mm径のタ
ングステン製のワイヤ(ピニングワイヤー)を張り、そ
のワイヤーとロールとの間に、約4.5kVの直流電圧を印
加しながら静電印加キャストした。キャスティングロー
ルの巻取り速度は約0.58m/分であった。
するT−ダイでシート状に押出した。樹脂の溶融温度は
310℃、押出量は2.1kg/時間であった。キャスティング
ロールの表面温度は132℃であった。この時、押出され
た溶融樹脂がロールに接する点からロールの半径方向に
約5mm離れた位置にロール軸に並行に太さ0.15mm径のタ
ングステン製のワイヤ(ピニングワイヤー)を張り、そ
のワイヤーとロールとの間に、約4.5kVの直流電圧を印
加しながら静電印加キャストした。キャスティングロー
ルの巻取り速度は約0.58m/分であった。
得られたシートの厚みは200μmであり、結晶化度は
6%であった。このシートのキャスティングロールに接
した面の表面粗さRaは、0.018μmでありピニングワイ
ヤー側の面では0.110μmであった。このシートをシー
トAとする。
6%であった。このシートのキャスティングロールに接
した面の表面粗さRaは、0.018μmでありピニングワイ
ヤー側の面では0.110μmであった。このシートをシー
トAとする。
このシートAの耐屈曲性について、切断するまでの屈
曲回数を測定したところ380回であった。
曲回数を測定したところ380回であった。
さらに、シートAを240℃にコントロールしたセラミ
ックロール上で熱処理した。セラミックロール上での滞
留時間は約1分であった。得られたシートの結晶化度は
24%であった。また、切断するまでの屈曲回数は140回
であった。この熱処理シートをシートBとする。
ックロール上で熱処理した。セラミックロール上での滞
留時間は約1分であった。得られたシートの結晶化度は
24%であった。また、切断するまでの屈曲回数は140回
であった。この熱処理シートをシートBとする。
一方、キャスティングロール温度を50℃とし、押出し
条件、ピニング条件および巻取り速度を上記実施例14と
同じにして非晶性の200μm厚シートを作成した。この
シートの結晶化度はゼロであった。また、このシートの
切断するまでの屈曲回数は420回であった。この非晶シ
ートをシートCとする。
条件、ピニング条件および巻取り速度を上記実施例14と
同じにして非晶性の200μm厚シートを作成した。この
シートの結晶化度はゼロであった。また、このシートの
切断するまでの屈曲回数は420回であった。この非晶シ
ートをシートCとする。
シートA、BおよびCの高温での耐熱性を観察する目
的で、メトラー社製TMA(Thermo Mechanical Analyze
r)40を用い、微小荷重1.7g/mm2を各試料シートに負荷
した状態で、2℃/分の昇温速度で加熱して行った。こ
の時の試料シートの伸縮挙動を第1図に示した。第1図
中、線(1)はシートAの、線(2)はシートBの、線
(3)はシートCの各伸縮挙動を示すものである。
的で、メトラー社製TMA(Thermo Mechanical Analyze
r)40を用い、微小荷重1.7g/mm2を各試料シートに負荷
した状態で、2℃/分の昇温速度で加熱して行った。こ
の時の試料シートの伸縮挙動を第1図に示した。第1図
中、線(1)はシートAの、線(2)はシートBの、線
(3)はシートCの各伸縮挙動を示すものである。
第1図から、非晶シートCはガラス転移点(約90℃)
を越す温度域に入ると大変形を起し、伸びて破断に至る
ことが分かる〔線(3)〕。
を越す温度域に入ると大変形を起し、伸びて破断に至る
ことが分かる〔線(3)〕。
一方、結晶化度6%のシートAは非晶部の膨張等に伴
う若干の伸びをガラス転移点を越した温度域で示すが、
少なくとも250℃までの高温領域で大変形を起し、破断
に至るようなことはない〔線(1)〕。
う若干の伸びをガラス転移点を越した温度域で示すが、
少なくとも250℃までの高温領域で大変形を起し、破断
に至るようなことはない〔線(1)〕。
さらに、結晶化度24%のシートBは第1図の線(2)
のような挙動を示し、ほぼシートAと同じ伸縮挙動を示
す。シートAに較べシートBは結晶化度が高いので、ガ
ラス転移点を越した温度域での伸び変形がシートAより
も少なくなっている。
のような挙動を示し、ほぼシートAと同じ伸縮挙動を示
す。シートAに較べシートBは結晶化度が高いので、ガ
ラス転移点を越した温度域での伸び変形がシートAより
も少なくなっている。
[比較例4] 表面粗さRaが0.063μmを有する150mmφのセラミック
ロールとゴム製のピンチロール(この時のゲージ圧は3.
0kg/cm2であり、線圧のピンチ圧は1.2kg/cmであっ
た。)等からなる熱処理装置を用い、セラミックロール
の温度を155℃にコントロールした。一方、ゴム製のピ
ンチロールの表面温度は約100℃であった。
ロールとゴム製のピンチロール(この時のゲージ圧は3.
0kg/cm2であり、線圧のピンチ圧は1.2kg/cmであっ
た。)等からなる熱処理装置を用い、セラミックロール
の温度を155℃にコントロールした。一方、ゴム製のピ
ンチロールの表面温度は約100℃であった。
比較例1で得られた厚み190μmの非晶シートをピン
チロール表面に約10秒間沿わせて予熱してから、ピンチ
部に導入した。ピンチ点を通過後はセラミックロール上
に移行させ、セラミックロール上で加熱処理して結晶化
させた。この時のセラミックロール上でのシートの滞留
時間は約30秒であり、また、セラミックロール表面の周
速は約0.3m/分であった。
チロール表面に約10秒間沿わせて予熱してから、ピンチ
部に導入した。ピンチ点を通過後はセラミックロール上
に移行させ、セラミックロール上で加熱処理して結晶化
させた。この時のセラミックロール上でのシートの滞留
時間は約30秒であり、また、セラミックロール表面の周
速は約0.3m/分であった。
このような条件下で、非晶シートをピンチロールで線
状に加圧し、次いで結晶化させることにより結晶化シー
トを調製し、得られたシートを巻き取りロールに巻き取
った。
状に加圧し、次いで結晶化させることにより結晶化シー
トを調製し、得られたシートを巻き取りロールに巻き取
った。
得られたシートの表面粗さRaはセラミックロール側で
0.150μm、ピンチロール側で0.170μmであった。シー
トの結晶化度は20%であり、破断強度5.2kg/mm2、破断
伸度80%、ヤング率350kg/mm2であり、切断するまでの
屈曲回数は130回であった。また、ピンチロール側のシ
ート面同士での動摩擦係数は0.3であった。
0.150μm、ピンチロール側で0.170μmであった。シー
トの結晶化度は20%であり、破断強度5.2kg/mm2、破断
伸度80%、ヤング率350kg/mm2であり、切断するまでの
屈曲回数は130回であった。また、ピンチロール側のシ
ート面同士での動摩擦係数は0.3であった。
[実施例15] 溶融粘度が3,100ポイズ、溶融結晶化温度Tc2が205℃
である実質的に直鎖状のポリ−p−フェニレンスルフィ
ドを溶融押出し、ペレット化した。
である実質的に直鎖状のポリ−p−フェニレンスルフィ
ドを溶融押出し、ペレット化した。
得られたペレットを、35mmφ、L/D=28の押出機に取
り付けたリップクリアランス0.55mm、幅250mmのリップ
を有するT−ダイでシート状に押出した。樹脂の溶融温
度は310℃、押出量は、3.0kg/時間であった。T−ダイ
先端部とキャスティングロール上端部の間を約10mmと
し、キャスティングロール表面温度は150℃に設定し
た。キャスティングロールの直径は300mmであった。
り付けたリップクリアランス0.55mm、幅250mmのリップ
を有するT−ダイでシート状に押出した。樹脂の溶融温
度は310℃、押出量は、3.0kg/時間であった。T−ダイ
先端部とキャスティングロール上端部の間を約10mmと
し、キャスティングロール表面温度は150℃に設定し
た。キャスティングロールの直径は300mmであった。
シート厚が120μmになるように巻き取り速度をコン
トロールして巻き取った。巻き取り速度は1.35m/分であ
った。
トロールして巻き取った。巻き取り速度は1.35m/分であ
った。
得られたのシートの密度は1.343g/cm3(23℃)であ
り、この値から求めた結晶化度は27.6%であった。ま
た、このシートのキャスティングロールに接した面の表
面粗さRaは0.045μmであり、キャスティングロール面
と反対側の面では0.110μmであった。このシートのキ
ャスティングロールに接した面の動摩擦係数は0.3であ
った。耐屈曲性について、折曲切断回数を測定したとこ
ろ370回であった。
り、この値から求めた結晶化度は27.6%であった。ま
た、このシートのキャスティングロールに接した面の表
面粗さRaは0.045μmであり、キャスティングロール面
と反対側の面では0.110μmであった。このシートのキ
ャスティングロールに接した面の動摩擦係数は0.3であ
った。耐屈曲性について、折曲切断回数を測定したとこ
ろ370回であった。
さらに、このシートをギャーオーブンの熱風中で260
℃、10分間熱処理して結晶化を促進させた。この熱処理
後のキャスティングロールに接していた側の面および反
対側の面の表面粗さRaは、それぞれ0.055μmおよび0.1
30μmであった。結晶化度は30%に上昇していた。配向
度は0.97であった。このシートのキャスティングロール
に接した面の動摩擦係数は0.3であった。
℃、10分間熱処理して結晶化を促進させた。この熱処理
後のキャスティングロールに接していた側の面および反
対側の面の表面粗さRaは、それぞれ0.055μmおよび0.1
30μmであった。結晶化度は30%に上昇していた。配向
度は0.97であった。このシートのキャスティングロール
に接した面の動摩擦係数は0.3であった。
耐屈曲性について、折曲切断回数を測定したところ18
0回であった〔前記式(I)による計算値は176回〕。
0回であった〔前記式(I)による計算値は176回〕。
また、この熱処理後のシートの降伏点強度は9kg/m
m2、破断強度は7kg/mm2、破断伸度は30%、引張り弾性
率は320kg/mm2であった。
m2、破断強度は7kg/mm2、破断伸度は30%、引張り弾性
率は320kg/mm2であった。
[実施例16〜17] 実施例8で用いたのと同じ溶融粘度14,000ポイズの樹
脂を用い、同様の押出条件下、押出量2.0kg/時間で押出
し、巻き取り速度を調整してキャスティングを行なっ
た。巻き取り速度は1.62m/分であり、得られたシートの
厚みは50μmであった。シートの結晶化度は23%で、配
向度は0.75であった(実施例16)。
脂を用い、同様の押出条件下、押出量2.0kg/時間で押出
し、巻き取り速度を調整してキャスティングを行なっ
た。巻き取り速度は1.62m/分であり、得られたシートの
厚みは50μmであった。シートの結晶化度は23%で、配
向度は0.75であった(実施例16)。
一方、実施例1で用いた溶融粘度7,300ポイズの樹脂
を用い、上記と同一条件で、押出量2.0kg/時間、巻き取
り速度1.62m/分で、50μm厚のシートを作成した。この
シートの結晶化度は22%であり、配向度は0.97でほぼ無
配向に近いものであった(実施例17)。
を用い、上記と同一条件で、押出量2.0kg/時間、巻き取
り速度1.62m/分で、50μm厚のシートを作成した。この
シートの結晶化度は22%であり、配向度は0.97でほぼ無
配向に近いものであった(実施例17)。
これらのシートは、押出しダイリップのクリアランス
が0.55mmであったので、引き落とし率(ドラフト率)は
11である。
が0.55mmであったので、引き落とし率(ドラフト率)は
11である。
一方、溶融温度310℃でドラフト率11の時の巻き取り
テンションを測定するために、キャピログラフ用い、溶
融温度310℃で、1.0φmm×10mmLのノズルから、樹脂を
押出した時の、ドラフト率11での糸の巻き取りテンショ
ンを求めた。
テンションを測定するために、キャピログラフ用い、溶
融温度310℃で、1.0φmm×10mmLのノズルから、樹脂を
押出した時の、ドラフト率11での糸の巻き取りテンショ
ンを求めた。
実施例16の樹脂の場合、上記条件下での、巻き取りテ
ンションは8gであり、ノズル断面積あたり10g/mm2の張
力がかかっていた。一方、実施例17の樹脂の場合、巻き
取りテンションは1gであり、ノズル断面積あたり1.3g/m
m2の張力がかかっていた。
ンションは8gであり、ノズル断面積あたり10g/mm2の張
力がかかっていた。一方、実施例17の樹脂の場合、巻き
取りテンションは1gであり、ノズル断面積あたり1.3g/m
m2の張力がかかっていた。
これらのシートの170℃で縦横各方向の熱収縮率は、
実施例16のシートが1.0/0(MD/TD)、実施例17のシート
が0.5/0(MD/TD)でいずれも良好であった。しかし、実
施例20のシートの破断伸度は、縦方向(MD)で100%で
あったが、実施例17のシートは30%であった。
実施例16のシートが1.0/0(MD/TD)、実施例17のシート
が0.5/0(MD/TD)でいずれも良好であった。しかし、実
施例20のシートの破断伸度は、縦方向(MD)で100%で
あったが、実施例17のシートは30%であった。
巻き取りテンションをどのように設定するかは、樹脂
の特性と加工条件にもよるが、巻き取りテンションの大
きい条件下で得たシートは、エッジ面からの結晶の配向
度が大きく、MD方向での破断伸度を大きくする。本発明
における好ましい巻き取りテンションは、2.5g/mm2以上
である。
の特性と加工条件にもよるが、巻き取りテンションの大
きい条件下で得たシートは、エッジ面からの結晶の配向
度が大きく、MD方向での破断伸度を大きくする。本発明
における好ましい巻き取りテンションは、2.5g/mm2以上
である。
本発明により、PASを主体とする熱可塑性材料から熱
的寸法安定性、平面性、平滑性および耐屈曲性などの機
械的特性に優れたPASシートが経済的に提供される。
的寸法安定性、平面性、平滑性および耐屈曲性などの機
械的特性に優れたPASシートが経済的に提供される。
第1図は、実施例14で得られた各シートの加熱温度によ
る伸縮挙動を示す図であり、メトラー社製TMA(Thermo
Mechanical Analyzer)40を用い、微小荷重1.7g/mm2を
各試料シートに負荷した状態で、2℃/分の昇温速度で
加熱して測定したチャートである。 線(1):シートA(結晶化度6%) 線(2):シートB(結晶化度24%) 線(3):シートC(結晶化度0%)(比較例)
る伸縮挙動を示す図であり、メトラー社製TMA(Thermo
Mechanical Analyzer)40を用い、微小荷重1.7g/mm2を
各試料シートに負荷した状態で、2℃/分の昇温速度で
加熱して測定したチャートである。 線(1):シートA(結晶化度6%) 線(2):シートB(結晶化度24%) 線(3):シートC(結晶化度0%)(比較例)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08L 81:02 (56)参考文献 特開 昭62−290515(JP,A) 特開 平1−101136(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08J 5/00 - 5/02,5/12 - 5/22 B29C 47/00 - 47/96 B29C 55/00 - 55/26
Claims (7)
- 【請求項1】溶融粘度η*が1,000〜25,000ポイズ(た
だし、η*は、310℃、剪断速度200sec-1の条件で測定
した値である)で、溶融結晶化温度Tc2が170℃〜240℃
(ただし、Tc2は、示差走査熱量計を用い、23℃から10
℃/分の速度で380℃まで昇温し、380℃で3分間保持し
た後、10℃/分の速度で降温した時に現われる結晶化の
発熱ピーク温度である)のポリアリーレンスルフィドを
主体とする熱可塑性材料からなるシートであって、 (a)少なくとも片面の表面粗さRaが0.09μm以下で、 (b)結晶化度が5%以上であり、かつ、 (c)切断するまでの屈曲回数Yが下記式(I)を満足
する、 log Y≧7.11−2.34log t (I) 〔ただし、tは、シート厚(μm)を表わす〕 ものであることを特徴とする平面性・平滑性に優れたポ
リアリーレンスルフィドシート。 - 【請求項2】ポリアリーレンスルフィドを主体とする熱
可塑性材料を、スリット状のダイからシート状に溶融押
出して、キャスティングロール上で冷却固化してシート
を製造する方法において、該ポリアリーレンスルフィド
として溶融粘度η*が1,000〜25,000ポイズ(ただし、
η*は、310℃、剪断速度200sec-1の条件で測定した値
である)で、溶融結晶化温度Tc2が170℃〜240℃(ただ
し、Tc2は、示差走査熱量計を用い、23℃から10℃/分
の速度で380℃まで昇温し、380℃で3分間保持した後、
10℃/分の速度で降温した時に現われる結晶化の発熱ピ
ーク温度である)のポリマーを使用し、かつ、前記キャ
スティングロールの温度T(℃)を下記式(II) 120≦T≦190−0.02t (II) 〔ただし、tは、シート厚(μm)を表わす〕 で規定される範囲内に制御し、シートの冷却と結晶化を
一段階で行なうことを特徴とする平面性・平滑性に優れ
たポリアリーレンスルフィドシートの製造方法。 - 【請求項3】ポリアリーレンスルフィドを主体とする熱
可塑性材料が結晶核剤を含有するものである請求項2記
載のポリアリーレンスルフィドシートの製造方法。 - 【請求項4】キャスティングロール上でキャスティング
するとともに静電印加密着させる請求項2記載のポリア
リーレンスルフィドシートの製造方法。 - 【請求項5】結晶化したシートをさらに200〜280℃で0.
1〜180分間熱処理する請求項2記載のポリアリーレンス
ルフィドシートの製造方法。 - 【請求項6】ポリアリーレンスルフィドが溶融粘度η*
が8,000ポイズ以上(ただしη*は310℃、剪断速度200s
ec-1の条件で測定した値である)であって、ダイ先端と
キャストロールの上端が少なくとも30mm以内であり、ド
ラフト率10以上である請求項2記載のポリアリーレンス
ルフィドシートの製造方法。 - 【請求項7】溶融粘度η*が8,000ポイズ以上(ただし
η*は310℃、剪断速度200sec-1の条件で測定した値で
ある)であって、一軸配向した請求項1記載のポリアリ
ーレンスルフィドシート。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1312944A JP2855351B2 (ja) | 1988-12-02 | 1989-12-01 | ポリアリーレンスルフィドシートおよびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP63-304167 | 1988-12-02 | ||
JP30416788 | 1988-12-02 | ||
JP1312944A JP2855351B2 (ja) | 1988-12-02 | 1989-12-01 | ポリアリーレンスルフィドシートおよびその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH02255839A JPH02255839A (ja) | 1990-10-16 |
JP2855351B2 true JP2855351B2 (ja) | 1999-02-10 |
Family
ID=26563803
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP1312944A Expired - Lifetime JP2855351B2 (ja) | 1988-12-02 | 1989-12-01 | ポリアリーレンスルフィドシートおよびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2855351B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4740566B2 (ja) * | 2004-09-02 | 2011-08-03 | 株式会社クレハ | 半導電性フィルム、その製造方法及び電荷制御部材 |
-
1989
- 1989-12-01 JP JP1312944A patent/JP2855351B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH02255839A (ja) | 1990-10-16 |
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