JP2775635B2 - 低オリゴマー性シートおよびその製造方法 - Google Patents

低オリゴマー性シートおよびその製造方法

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JP2775635B2
JP2775635B2 JP1040289A JP4028989A JP2775635B2 JP 2775635 B2 JP2775635 B2 JP 2775635B2 JP 1040289 A JP1040289 A JP 1040289A JP 4028989 A JP4028989 A JP 4028989A JP 2775635 B2 JP2775635 B2 JP 2775635B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、ポリアリーレンスルフィド(以下、PASと
略記)のシートに関し、さらに詳しくは、オリゴマー等
溶剤抽出性低分子量物の含有量が少なく、機械的特性に
優れたPASシートの製造方法に関する。また、本発明
は、低オリゴマー性であって、かつ、熱的寸法安定性、
平面性、平滑性および耐屈曲性などの機械的特性に優れ
たPASシートおよびその製造方法に関する。本発明のPAS
シートは、例えば、冷媒圧縮機のモータ絶縁用シート状
成形物として特に有用である。
〔従来の技術〕
ポリフェニレンスルフィド(以下、PPSと略記)に代
表されるPASは、パラジクロルベンゼンなどのジハロ芳
香族化合物とアルカリ金属硫化物とを、有機アミド溶媒
中で重合させることにより得られるが、重合反応系から
回収されたポリマー中には、未反応物や副生物が含まれ
ている。そこで、通常は、重合反応終了後にポリマーの
水洗濾過を繰り返してこれらの不純物を除去する。
しかし、副生物の中でもオリゴマーは水洗濾過による
除去が困難である。PAS中にオリゴマー等溶剤抽出性低
分子量物(以下、単に「オリゴマー等」ということがあ
る)が多量に存在すると、成形品の物性に悪影響を与え
る。例えば、オリゴマー等を多量に含むPASシートを、
ケース本体内に圧縮装置およびモータが内蔵された冷媒
圧縮機のモータ絶縁用シート状成形物として使用した場
合、オリゴマー等がフレオンで抽出され、冷媒圧縮機の
故障の要因となるおそれがある。
従来、PAS中のオリゴマー等を除去する方法として
は、重合後、得られたPASの粉末または粒状物(以下、
パウダーという)を有機溶剤で洗浄する方法が知られて
いる。例えば、特開昭57−121052号公報には、重合され
水洗されたPPS粉末を塩化メチレン、N−メチルピロリ
ドン、クロロホルム、トルエン、アセトンなどの有機溶
剤で洗浄することにより、クロロホルム抽出による抽出
物が抽出前の全体重量の1.5重量%以下のPPSシートを得
る方法が記載されている。また、特開昭63−45478号公
報には、PPS中の全オリゴマーの1/4以上をキシレン、ベ
ンジルアルコール等の有機溶剤で除去したPPSフィルム
を冷媒圧縮機のモータ絶縁フィルムとして使用すること
が記載されている。
しかしながら、PASパウダー中のオリゴマー等を有機
溶剤で抽出除去する従来の方法では、一般に、PASのガ
ラスて転移温度(PPSでは約90℃)よりも低い温度で行
なわれるため、オリゴマー等の除去効率は、パウダーの
粒径およびポロシティ(多孔質性)に依存し、通常のPA
Sパウダーでは充分にオリゴマー等を除去することが困
難である。例えば、前記特開昭57−121052号公報記載の
方法では、その実施例によると、クロロホルム抽出によ
る抽出物が抽出前の全体重量の0.6〜0.7重量%程度にま
で低減させることができるにすぎない。また、工業材
料、第36巻、第6号(1988年4月号)第18〜37頁には、
PPSフィルムの特性と用途展開に関する論文が掲載され
ているが、市販の低オリゴマー性PPSフィルムのキシレ
ン抽出量(リフラックス14日間)が1.0重量%であるこ
とが示されている(第36頁表6)。
本発明者らも、実際に、溶融粘度η(310℃、剪断
速度200sec-1で測定)が6800ポイズのポリ−p−フェニ
レンスルフィドであって、窒素吸着によるBET法比表面
積が約10cm2/gのパウダーをアセトンで3回洗浄後、冷
水で5回洗浄したものを用いてシートを成形したとこ
ろ、このシートからキシレン抽出(リフラックス72時
間)により約0.9重量%の抽出物が抽出された。このよ
うに、BET法比表面積が大きく、ポロシティの大きなPPS
パウダーを用いても、有機溶剤による洗浄方法では、オ
リゴマー等の含有量を、例えば、キシレン抽出量0.5重
量%以下と大幅に低減させることは困難である。
一方、PASシートやフィルムは電気絶縁材料や電子部
品、コンデンサーなど広範な分野に用いられてきている
が、近年、機械的特性の向上とともに低オリゴマー性の
要求水準はますます高くなっている。特に、冷媒圧縮機
のモータ絶縁用シート状成形物としてPASシートを使用
する場合、耐フレオン性とともに、高度の低オリゴマー
性が要求される。なお、本発明において、低オリゴマー
性とは、オリゴマー等溶剤抽出性低分子量物の含有量が
少ないことをいう。
ところが、従来の有機溶剤による洗浄方法では実用上
オリゴマー等の除去の度合に限界があり、また、多量の
溶剤使用に伴う環境汚染等の問題もある。
また、PASシートを冷媒圧縮機のモータ絶縁用シート
状成形物とする場合、前記特開昭63−45478号公報に示
されているように、PASシートを複雑な形状に折曲げ加
工する必要があるが、従来の結晶化度の高いPASシート
では、室温成形により折曲げ部が白化ないしは破断し易
く、絶縁不良となる恐れがあった。
このように、熱的寸法安定性、平面性、平滑性および
耐屈曲性などの機械的特性に優れているとともに、成形
加工性が良好で、低オリゴマー性の要求水準を高度に満
足するPASシートが求められているが、従来技術では、
いまだ不十分である。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明の目的は、オリゴマー等溶剤抽出性低分子量物
の含有量が少なく、機械的特性に優れたPASシートの製
造方法に提供することにある。
また、本発明の目的は、高度に低オリゴマー性であっ
て、かつ、熱的寸法安定性、平面性、平滑性および耐屈
曲性などの機械的特性に優れたPASシートとその製造方
法を提供することにある。
本発明の他の目的は、冷媒圧縮機のモータ絶縁用シー
トとして特に有用な低オリゴマー性で、成形加工性が良
好、かつ、耐屈曲性などの機械的特性に優れたPASシー
トを提供することにある。
本発明者らは、前記従来技術の有する問題点を解決す
るために鋭意研究した結果、予めポリアリーレンスルフ
ィドをベント式押出機により溶融押出するとともに、ベ
ント孔からベント部を真空に引くことによって、該ポリ
アリーレンスルフィド中に含まれるオリゴマー等を除去
したポリマーを用いてPASシートを製造すれば、有機溶
剤による洗浄方法と比較して、高度に低オリゴマー性の
シートの得られることを見出した。
また、ベント式押出機の溶融樹脂と接する部分を鉄元
素をできるだけ含まない材質のものとすることにより、
樹脂の着色や未溶融物の発生、溶融粘度の大幅な上昇を
抑制しながらオリゴマー等を効率よく除去できることを
見出した。
さらに、この低オリゴマー性PASからシートを製造す
るにあたって、特性の物性を有するPASを用い、結晶化
度を調整し、あるいはキャスティングロールの温度を制
御して、キャスティングロール上でシートの冷却と結晶
化を一段階で行なう方法を採用することなどにより、高
度に低オリゴマー性であっで、成形加工性が良好で、熱
的寸法安定性、平面性、平滑性および耐屈曲性などの機
械的特性に優れたPASシートの得られることを見出し
た。
本発明は、これらの知見に基づいて完成するに至った
ものである。
〔課題を解決するための手段〕
本発明によれば、ポリアリーレンスルフィドをスリッ
ト状のダイからシート状に溶融押出し、キャスティング
ロール上で冷却固化してシートを製造する方法におい
て、ポリアリーレンスルフィドとして、溶融粘度η
(310℃、剪断速度200sec-1で測定)が1,000〜25,000
ポイズで、溶融結晶化温度Tc2(差動走査熱量計を用
い、23℃から10℃/分の速度で380℃まで昇温し、380℃
で3分間保持した後、10℃/分の速度で降温した時に現
れる結晶化の発熱ピーク温度である)が170℃〜240℃の
ポリアリーレンスルフィドをベント式押出機により溶融
押出するとともに、ベント孔からベント部を真空に引く
ことによって、該ポリアリーレンスルフィド中に含まれ
るオリゴマー等溶融剤抽出性低分子量物を除去したポリ
マーを用いることを特徴とする低オリゴマー性シートの
製造方法が提供される。
また、本発明によれば、溶融粘度η(310℃、剪断
速度200sec-1で測定)が1,000〜25,000ポイズで、溶融
結晶化温度Tc2(差動走査熱量計を用い、23℃から10℃
/分の速度で380℃まで昇温し、380℃で3分間保持した
後、10℃/分の速度で降温した時に現れる結晶化の発熱
ピーク温度である)が170℃〜240℃のポリアリーレンス
ルフィドからなるシートであって、 (a)該シートのキシレン抽出による抽出物が抽出前の
全体重量の0.5重量%以下、 (b)少なくとも片面の表面粗さRaが0.09μm以下、お
よび (c)結晶化度が5%以上 であることを特徴とする低オリゴマー性シートが提供さ
れる。
さらに、本発明によれば、低オリゴマー性シートを折
曲げ成型してなる冷媒圧縮機のモータ絶縁用シート状成
形物が提供される。
以下、本発明について詳述する。
PAS 本発明で用いるPASは、シートとするために、溶融粘
度ηが1,000〜25,000ポイズ(ただし、ηは、310
℃、剪断速度200sec-1で測定したものである)、好まし
くは3,000〜20,000ポイズのものであることが好まし
い。
PASの溶融粘度が1,000ポイズ未満であると、製膜性に
劣りシートを安定して得がたいばかりでなく、得られた
シートの耐屈曲性が低くなる。逆に、25,000ポイズを超
えると、安定した溶融押出しが困難である。
また、PASからシートを製造するに当たって、キャス
ティングロールの温度を制御し、キャスティングロール
上でシートの冷却と結晶化を一段階で行なう方法を採用
する場合、本発明で使用するPASは、溶融結晶化温度(T
c2)〔ただし、差動走査熱量計(以下、DSCと略記)を
用い、23℃から10℃/分の速度で380℃まで昇温し、380
℃で3分間保持した後、10℃/分の速度で降温した時に
現われる結晶化の発熱ピーク温度である)が170〜240℃
のものであり、好ましくは170〜220℃のものであること
が望ましい。
Tc2が170℃未満であると、溶融押出したシートのキャ
スティングロール上での結晶化速度が遅く、結晶化させ
るのに時間を要して実用的でないばかりか、キャスティ
ングロール上での結晶化が不充分であるため、シートが
キャスティングロール表面に密着してはがれが悪く、局
部的にシートが伸びるなどの不都合を生じ、平面性、平
滑性、外観の悪い、しかも機械的特性に劣るシートしか
得ることができない。逆に、Tc2が240℃を超えると、PA
Sシートの結晶化速度が速すぎ、シートの厚み方向での
結晶構造が不均一となるためと推定されるが、耐屈曲性
の充分なものが得られ難い。
このようなPASは、前記特開昭61−7332号公報に記載
されているように、アルカリ金属硫化物とジハロ芳香族
化合物とを、N−メチルピロリドンなどの有機アミド溶
媒中で、水の存在下に、特定の二段階昇温重合方法によ
り好適に得ることができる。
アルカリ金属硫化物としては、硫化リチウム、硫化ナ
トリウム、硫化カリウム、硫化ルビジウム、硫化セシウ
ムおよびこれらの混合物がある。
ジハロ芳香族化合物としては、p−ジクロルベンゼ
ン、m−ジクロルベンゼン、2,5−ジクロルトルエン、
p−ジブロムベンゼン、2,6−ジクロルナフタリン、1
−メトキシ−2,5−ジクロルベンゼン、4,4′−ジクロル
ビフェニル、3,5−ジクロル安息香酸、p,p′−ジクロル
ジフェニルエーテル、4,4′−ジクロルジフェニルスル
ホン、4,4′−ジクロルジフェニルスルフォキシド、4,
4′−ジクロルジフェニルケトンおよびこれらの混合物
などがある。
本発明で使用するPASは、好ましくはポリフェニレン
スルフィド、特に好ましくはポリ−p−フェニレンスル
フィド、あるいはm−フェニレンスルフィド単位を少量
成分として含有するポリ−p−フェニレンスルフィド共
重合体である。また、トリクロロベンゼンなどのポリハ
ロベンゼンを少量成分として共重合させることにより、
若干の分枝構造を導入したポリ−p−フェニレンスルフ
ィド共重合体なども好適に用いることができる。
任意成分 本発明において、PASを単独で使用してもよいが、少
量のポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−4−メチル
ペンテン−1などのポリオレフィン、ポリイソプレン等
のゴム、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネー
ト、四フッ化エチレン樹脂、ポリエーテルエーテルケト
ン、ポリケトンスルフィドなどの熱可塑性樹脂を配合し
てもよい。
また、ガラス繊維、カーボンブラック、タルク、クレ
イ、酸化チタン、二流化モリブテン、カーボン繊維など
各種の有機または無機充填剤を添加してもよい。
さらに、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤などの添加剤を
添加してもよい。
各種配合剤の中でも、特に、結晶化核剤として、カー
ボンブラック、酸化ケイ素、カオリン、クレイ、酸化チ
タン等を添加することが好ましい。これらの添加は、結
晶化シートにおける球晶の生長を押え、シート表面をよ
り平滑にする。溶融押出シートの静電印加しながらキャ
スティングロール上にピニングする場合、ピニング面は
球晶が粗大化し易いので、結晶核剤の添加はこれを押え
るのに有効である。
また、マイカやカーボン繊維などの平板状無機充填剤
あるい繊維状無機充填剤等の添加は、シート剛性向上に
有効である。
これらの任意成分は、通常の混合方法により混合する
か、あるいは溶融混合してペレットとしてから、溶融押
出装置に供給する。
オリゴマー等溶剤抽出性 低分子量物の除去方法 本発明では、シート製造用に使用するPASとして、予
めPASをベント式押出機により溶融押出するとともに、
ベント孔からベント部を真空に引くことによって、該PA
中に含まれるオリゴマー等溶剤抽出性低分子量物を除去
したポリマーを用いる。
ベント式押出機としては、単軸押出機、二軸押出機の
いずれでもよいが、二軸押出機により二軸混練しながら
押し出す方がオリゴマー等の除去効率から見て好まし
い。
また、ベント式押出機の溶融樹脂と接する部分、すな
わちシリンダーの内壁とスクリュー表面は、鉄元素をで
きるだけ含まない材質とすることが好ましい。そのため
に、例えば、スクリュー表面はハードクロムメッキし、
シリンダーの内壁はコバルト−クロム−ホウ素等の金属
からなるアロイで表面コートした押出機を用いることが
好ましい。PASは、押出機による溶融混練を行なうと着
色したり、未溶融のブツブツが発生し易く、溶融粘度も
変化し易い。ところが、押出機の溶融樹脂と接触する部
分の材質を鉄元素をできるだけ含まない材質のものとす
ることにより、樹脂の着色や未溶融物の発生、溶融粘度
の大幅な上昇などを抑制することができる。この材質の
選択は、特に、オリゴマーおよびオリゴマー類似の化合
物等低分子量物の溶剤抽出量をできるだけ低く押えるの
に重要である。溶融PASが鉄と接して硫化鉄を生ずる場
合があり、上述の現象を起こし易いからである。
ベント式押出機のベント孔からベント部を真空に引き
ながら、PASを溶融押し出しすることによってオリゴマ
ー等低分子量物が除去される。オリゴマー等低分子量を
効果的に除去するには、ベント部はPAS自身が十分溶融
した個所にあることが効果的であり、ベント部が少なく
とも400mmHg以下、好ましくは100mmHg以下に減圧される
ように、ベント孔から真空ポンプ等の手段により真空に
引く。
PASは、ベント式押出機の中で、溶融温度以上、通
常、350〜390℃程度に加熱溶融されて液状となってお
り、かつ、充分に混練されることによって、オリゴマー
等低分子量物が効率よく除去される。
本発明では、PASパウダーをベント式抽出機により、
ベント孔からベント部を真空に引きながら溶融押出し
て、通常、オリゴマー等低分子量物を除去したペレット
を調製する。そして、このオリゴマー等の含有量の少な
いペレットを用いてシートを形成する。得られたシート
は、キシレン抽出による抽出物が0.5重量%以下、好ま
しくは0.4重量%以下の高度に低オリゴマー性のシート
である。
PASのシートの製造方法 PASシートの成形においては、PASは、溶融押出機に供
給され、PASの融点以上の温度に加熱され溶融される。
溶融されたPASは、Tダイなどのスリット状のダイから
シート状に連続的に押出され、次いでキャスティングロ
ール上で冷却固化される。
PAS未延伸シートは、結晶化させないものでは100℃以
上の温度になると強度が著しく低下し、PASシート自身
の形状保持も困難な位になり、微小荷重で容易に変形し
てしまう。場合によっては、自重で変形することもあり
得る。一方、結晶化度5%程度以上であれば、PAS自身
の形状保持能力が発現し、微小荷重や自重によって変形
することはなくなる。しかも、15%以下の結晶化度であ
ればシートの厚さが100μm以上であっても室温で折曲
げ加工が可能である。充分に結晶化されたシートでは、
室温で折曲げると、折曲げ部分が白化し、極端に薄くな
り、破れたり、部分的に切れたりする。
そこで、通常、キャスティングロール上で冷却固化し
て得たPAS非晶シートは、PASのガラス転移点以上、融点
以下の温度範囲で熱処理することにより結晶化させる。
熱処理方法としては、非晶シートを加熱された液体また
は気体の流れ、あるいは加熱されたロールなどの固体表
面に、接触せしめる方法など各種の方法がある。
このように、溶融押出PASシートは、キャスティング
ロール上で急冷し非晶シートとしてから熱処理して結晶
化させるのが通常の方法であり、本発明においてもこの
方法を採用することができるが、特定のPASを用い、こ
のキャスティングロールの温度を120〜190℃、好ましく
は120〜160℃の範囲内に制御すれば、シートの冷却と結
晶化を一段階で行なうことができる。
従来、結晶化したポリエーテルエーテルケトンフィル
ムの製造において、キャスティングロール温度を150〜2
50℃の範囲とすることにより、フィルムの冷却と結晶化
を一段で行なう方法が提案されているが(特開昭63−93
430号公報)、この方法を通常の溶融結晶化温度Tc2の低
いPASを用いたシートの製造法に適用した場合キャステ
ィングロール上での結晶化が不充分であり、しかもPAS
はガラス転移点以上の温度で非晶状態にあるとき、極め
て伸びやすい特徴を有するので、シートがロールに密着
し、ロールからのはがれ性が悪く、かつ、平面性、平滑
性や物性の劣るシートしか得ることができない。そこ
で、キャスティングロール上で冷却と結晶化を一段階で
行なう方法をPASシートの製造法に適用する場合、前記
したとおり、溶融粘度が高く、しかも170〜240℃と高い
溶融結晶化温度Tc2を有するPASを用い、製造条件につい
ても特定の条件を採用する必要がある。
このキャスティングロール上で冷却と結晶化を一段階
で行なう方法によれば、非晶シートとしてから熱処理し
て結晶化させる方法と比べて、熱的寸法安定性、平面
性、平滑性および耐屈曲性などの機械的特性がさらに優
れたPASシートを得ることができる。
この方法の場合、キャスティングロールの温度が120
℃未満であると、実質的にシートの急冷がなされ、非晶
シートとなり、機械的特性の低いものしか得られない。
したがって、結晶化度が5%以上のシートを得ることが
困難である。また、このような低温条件下では、キャス
ティングロール上での滞留時間を長くしても結晶化はそ
れほど進まない。しかも、低結晶化シートは、キャステ
ィングロールからのはがれが悪く、平面性の良好なシー
トを得ることが難しい。
逆に、キャスティングロールの温度が190℃を越える
と、得られたシートの耐屈曲性が悪化する。
溶融押出シートのキャスティングロール上での滞留時
間は、キャスティングロールの温度および溶融結晶化温
度Tc2の範囲などにもよるが、通常、0.1〜5分間であ
る。
また、溶融押出したPASシートをキャスティングロー
ル上に密着させるために、静電印加法を用いることが好
ましい。静電印加法を併用すれば、シートをさらに平滑
とすることができる。
結晶化したPASシートは、さらに200〜280℃の高温
で、0.1〜180分間熱処理すると、平面性・平滑性が優れ
ているとともに、一層高弾性率のシートを得ることがで
き、寸法安定性の優れたものとなる。この温度範囲未満
であると、結晶化度がやや低いままとなり、弾性率もあ
まり高くならない場合がある。逆に、この温度範囲を越
えると、PASの融解が起こり、平面性・平滑性が悪くな
る。また、この加熱時間より短いと加熱処理の効果が見
られず、逆に、長すぎるのは、工程上経済的でない。
また、溶融粘度が7,000ポイズ以上の高粘度のPASを用
い、Tダイからの押出量とシートの巻き取り速度を調整
し、溶融押出・キャスティング時に比較的大きな引落し
率(ドラフト率)で巻き取ることによって配向度が0.7
以下の配向したシートとすることができる。このシート
は、低粘度のPASを用いた場合と比較して、容易に薄膜
化することができる。そして、このようにして得た配向
結晶化シートは、耐屈曲性や降伏点強度、破断強度など
の機械的物性がさらに改善されたものであり、また、配
向しているにもかかわらず、寸法安定性の良好なことで
ある。このようなPASとしては、モノマーとしてジハロ
ベンゼンの他に好ましくは0.05モル以上5モル%以下の
トリハロベンゼンを用いて、分枝構造を持たせて溶融粘
度を高めた樹脂であることがより好ましい。溶融粘度は
高い程好ましいが25,000ポイズを越すと溶融押出しが困
難となる。
なお、ドラフト率は、樹脂の溶融粘度に大きく依存す
るが配向結晶化シートを得るには、通常5以上、好まし
くは10以上のドラフト率であることが好ましい。ドラフ
ト率は高い程高配向するが安定した巻取りを行なうには
5,000位が上限である。
低結晶化度シートの製造法 結晶化度を5〜15%程度に低く押えたPASシートは、
通常の結晶化シートと比べて折曲げ加工性が良好であ
り、室温で折曲げ成形加工(23℃前後の温度で、加熱す
ることなく成形)しても、折曲げ部の白化や破断が生じ
ない。
特に、150μm厚以上の厚い、低結晶化度のシートの
場合に、同等厚みの高結晶化度のシートに較べ、この現
象が顕著である。
このような低結晶化度のPASシートを製造するに際
し、その製造条件の範囲はかなり狭い。製造に際して
は、PAS自身が有する結晶化速度、すなわち溶融結晶化
温度Tc2に依存し、さらにキャスティングロールの温度
とキャスティングロール上での滞留時間に依存する。工
業的に製膜する場合は、特に、キャスティングロールの
温度とそこでの滞留時間のコントロールが重要である。
この点について、例を挙げて説明する。
第1図は、シート厚200μmで、ポリ−p−フェニレ
ンスルフィドを溶融状態からキャスティングロール上で
結晶化させたときのキャスティングロール温度と結晶化
速度の関係を示す図であり、(A)はキャスティングロ
ール上での滞留時間が90秒、(B)は50秒の場合を示
す。第1図の(A)の場合において、キャスティングロ
ール温度が128℃であると、結晶化度は3.4%であるが、
135℃とキャスティングロール温度が7℃上昇すると、
結晶化度が22%にまで上昇する。そこで、結晶化度を5
〜15%の範囲にコントロールするには、この場合、キャ
スティングロール温度を130〜134℃と4℃の範囲内でコ
ントロールすることが必要であり、工業的にシートを製
造する場合には、非常に注意深くキャスティングうロー
ル温度をコントロールしなければならないことを意味す
る。
また、第1図の(B)は、滞留時間を50秒と短くした
場合であるが、滞留時間が短くなると、低結晶化度にコ
ントロールするに際し、キャスティングロールの温度範
囲はさらに狭くなる傾向を示す。
第2図は、同じく、ポリ−p−フェニレンスルフィド
を溶融状態からキャスティングロール上で結晶化させた
ときのキャスティングロール温度と結晶化速度の関係を
示す図であり、(D)がシート厚200μmであるのに対
し、(C)はシート厚が400μmである場合を示す。キ
ャスティングロール上での滞留時間は、いずれも90秒で
ある。シートが厚くなると、溶融状態から冷却するため
の熱量がシートの単位面積あたり大きくなるので、低結
晶化シートを得るには、キャスティングロールの温度は
相対的に低くする必要がある。温度のコントロール範囲
は、わずかではあるが狭くなる傾向にある。
このような低結晶化度のPASシートを製造するには、
溶融結晶化温度Tc2が170〜220℃のPASを用い、キャステ
ィングロールの温度を120〜160℃に制御し、キャスティ
ングロール上での滞留時間を5〜300秒の範囲に制御し
てシート化することが好ましい。
PASシート 本発明のPASシートは、キシレン抽出による抽出物が
抽出前の全体重量の0.5重量%以下、好ましくは0.4重量
%以下の高度に低オリゴマー性のシートである。
ここで、キシレン抽出とは、PASシート試料を沸騰キ
シレン中で72時間連続して抽出を行なうことをいう。キ
シレン抽出により、主としてPASシート中に残存してい
るオリゴマー等溶剤抽出性低分子量物がキシレン中に抽
出される。したがって、抽出物が少ないほど、オリゴマ
ー等低分子量物の除去効率がよいことを示す。
また、溶融粘度ηが1,000〜25,000ポイズ、溶融結
晶化温度Tc2が170〜240℃のPASを予め該PASをベント式
押出機で溶融押出してオリゴマー等を除去したポリマー
を用い、スリット状のダイからシート状に溶融押出し、
次いで120〜190℃、好ましくは120〜160℃の範囲内に制
御したキャスティングロール上でシートの冷却と結晶化
を一段階で行なう方法を採用すると、 (a)シートのキシレン抽出による抽出物が抽出前の全
体重量の0.5重量%以下で、 (b)少なくとも片面の表面粗さRaが0.09μm以下、 (c)結晶化度が5%以上 の平面性、平滑性に優れたシートを得ることができる。
上記シートは、スリット状のダイから溶融押出したシ
ート状物を非晶化することなく直ちにキャスティングロ
ール上で冷却と結晶化を一段階で行なっているため、シ
ート全面でゆがみや反りなどがなく、フラットで平面性
が良好である。平滑性の点では、シート両面とも適度な
表面粗さを持ち、動摩擦係数が小さく、優れた実用性能
を有する。特に、キャスティングロールに接触した面の
表面粗さRaは、0.09μm以下、好ましくは0.06μm以
下、さらに好ましくは0.02μm以下と従来品位比べ極め
て小さい。また、結晶化度が5%以上の結晶化シートで
あり、耐屈曲性をはじめ、降伏点強度、破断伸度、引張
弾性率などの諸物性に優れている。
用 途 本発明のPASシートは、磁気記録材料用ベースフィル
ム、コンデンサー用フィルム、フレキシブルプリント配
線版、チップ・キャリア、TABテープなどの電子・電気
工業分野、摺動部材などの機械工業分野など広範な分野
で使用することができる。
特に、その中でも、高度に低オリゴマー性であるとい
う特性を生かして、冷媒圧縮機のモータ絶縁用シート状
成形物として好適に使用することができる。冷媒圧縮機
は、圧縮機およびモータがケース本体内に内蔵された構
造を有するが、そのモータ絶縁用シートは、機械的強度
に優れているとともに、耐熱性、耐フレオン性、低オリ
ゴマー性が要求される。本発明のPASシート、特にキャ
スティングロール上で冷却と結晶化を一段階で行なって
得たPASシートは、低オリゴマー性であるとともに、平
面性、平滑性に優れ、また、耐屈曲性などの機械的強度
に優れたものであるため、前記モータ絶縁用シート状成
形物として良好な実用性能を発揮する。
冷媒圧縮機のモータ絶縁用シート状成形物 本発明のPASシートを冷媒圧縮機のモータ絶縁用シー
ト状成形物として使用する場合、通常、シートを折曲げ
加工する必要がある。ところが、PAS未延伸シートを室
温で、例えば、180゜に折曲げると、折り曲げ部の外側
が白化し、クラックが入り易い。クラックの発生は、シ
ートの厚みにも依存するが、むしろPAS結晶化シートは
室温で伸長した場合、ネッキング現象が著しく、大きく
くびれるが、このネッキング現象が折り曲げ時にも生ず
るためと推定される。
このような現象は、PASのガラス転移点(PPSでは、約
95℃)よりも高い温度で変形させることによって大きく
緩和することができる。そこで、PASシートをPASのガラ
ス転移点以上、融点以下の温度範囲で折曲げ成型する
と、ネッキング現象が緩和され、クラックの発生を防止
することができる。
例えば、PASとして、溶融粘度ηが9,000ポイズ(31
0℃、200sec-1で測定)、溶融結晶化温度Tc2が180℃の
実質的に直鎖状のポリ−p−フェニレンスルフィドを用
い、厚さ250μm、結晶化度25%のシートを作成し、こ
のシートを室温で折曲げ成形を試みたところ、20個中、
すべが折曲げ部で白化し、その中で3個は完全に折れて
破断した。ところが、折曲げ成形加工を130℃で行なっ
たところ、折曲げ部の白化や破断は認められなかった。
しかし、PASのガラス転移点以上、融点以下の温度範
囲で工業的にPASシートを折曲げ加工するには、特別の
加熱工程と加熱温度の制御が必要である。そこで、製造
コストを低減し、また、室温で折曲げ成形を行なう従来
のモータ絶縁用シート状成形物の成形工程で成形を行な
うためには、PASシートがそのガラス転移点以下、例え
ば、室温(23℃前後)で成形加工できるものであること
が望ましい。
室温で折曲げ成形にしても、折曲げ部の白化や破断の
ない冷媒圧縮機のモータ絶縁用シート状成形物を得るた
めには、PASシートとして、、結晶化度を5〜15%の範
囲に押えた低結晶化度シートを使用すればよいことが分
かった。例えば、PASとして、溶融粘度ηが9,000ポイ
ズ(310℃、200sec-1で測定)、溶融結晶化温度Tc2が18
0℃の実質的に直鎖状のポリ−p−フェニレンスルフィ
ドを用い、厚さ250μm、結晶化度10%のシートを作成
し、このシートを室温で折曲げ成形を試みたところ、折
曲げ部の白化や破断、クラック等は認められなかった。
折曲げ加工におけるクラック発生の程度は、折曲げ試
験での切断回数(シートが折曲げ部で切断に至るまでの
屈曲回数)を指標とすることができる。
第3図に、PASシートの結晶化度と切断回数との関係
を示したが、図中、●は溶融粘度η*が6,000ポイズ(3
10℃、200sec-1で測定)実質的に直鎖状のポリ−p−フ
ェニレンスルフィドを用いて製造した厚さ200μmのシ
ートであり、□は溶融粘度η*が2,600ポイズ(310℃、
200sec-1で測定)実質的に直鎖状のポリ−p−フェニレ
ンスルフィドを用いて製造した厚さ200μmのシートで
ある。この図から明らかなように、結晶化度が15%程度
までのPASシートは、優れた耐屈曲性を示し、したがっ
て室温での折曲げ加工におけるクラックの発生が大幅に
少ないことを示している。
ただし、結晶化度が0〜5%未満のPASシートも優れ
た耐屈曲性を示すが、このように結晶化度が0か極めて
小さいものは、ガラス転移点以上の高温条件下で膨張
し、非常に柔らかくなり、いわゆるモチ状になって、微
小加重によっても変形する。これに対して、結晶化度が
5%以上のPASシートでは、結晶がシート全体を分子鎖
に対し架橋構造を形成すると解される挙動を示し、高温
下でも微小加重による変形を示さない。したがって、室
温での折曲げ加工性とPASシートの耐熱性の要求を満足
するには、結晶化度を5〜15%とする必要がある。
なお、このような低結晶化PASシートを室温で折曲げ
加工し、その後、熱処理を行なってもよい。
〔実施例〕
以下、本発明について実施例および比較例を挙げて具
体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定さ
れるものではない。
物性の測定法法 本発明におけるPASおよびPASシートの特性値の測定法
は、次ぎのとおりである。
<溶融粘度> PASの溶融粘度は、310℃、剪断速度200sec-1で測定し
た値である。
<溶融結晶化温度> Tc2は、DSCを用い、23℃から10℃/分の速度で380℃
まで昇温し、380℃で3分間保持した後、10℃/分の速
度で昇温した時に表われる結晶化の発熱ピーク温度をチ
ャートから読み取った。
<表面粗さ> 表面粗さRa(μm)は、表面粗さ計(東京精密(株)
社製 サーフコム 550A)で、JIS B−0601に基づき
測定した。
<動摩擦係数> 東洋精機(株)社製「摩擦測定機TR型」を用い、ASTM
B−0601に基づき測定した。
<結晶化度> 塩化亜鉛−水系を用い、密度勾配管を作成し、23℃で
測定した比重値(ρ)、および結晶密度(ρ)、非結
晶密度(ρ)から重量結晶化度(Xc)を次式により求
めた。
Xc=(ρC/ρ){(ρ−ρ)/(ρ−ρ)} なお、実施例で使用したポリフェニレンスルフィドの
ρは1.4300、ρは1.3125とした。
<破断強度、破断伸度、引張弾性率および降伏点強度> 東洋ボールドウィン(株)社製「テンシロン」を用
い、23℃および200℃で、5号ダンベルで打ち抜いた試
料シートを、ASTM D−638にしたがい試長33mm、幅6m
m、引張速度50mm/分で測定した。歪−応力曲線から破断
強度、破断伸度、および初期歪部から引張弾性率を求め
た。また、降伏点での応力を降伏点強度とした。
<配向度> 各試料の巻取り方向を正確にそろえて、厚み4mmかそ
れ以上になるように張り合わせたシートから、巻取り方
向に並行に幅1mmに短冊状に切り出した。切り出した短
冊状試料を理学電機社製X線回折装置に取り付けた繊維
試料台に幅1mm方向に並行に、厚み4mmかそれ以上になる
ように貼り合わせたシート面に直角にX線が入射するよ
うに(すなわち、シートのEgde面に垂直にX線が入射さ
れるように)セットした。
試料を垂直にセットし、赤道方向に2θスキャンを行
ない、(200)面の回折ピーク強度を求めた(Iφ=0
゜)。次に、試料を垂直方向から30゜傾けて、同様に2
θスキャンを行ない(200)面の回折ピーク強度を求め
た(Iφ=30゜)。
配向度は、(Iφ=30゜)/(Iφ=0゜)として求
めた。なお、PASシートが無配向の場合、配向度は0.7以
上の値となる。
<耐屈曲性>−切断するまでの屈曲回数− 測定試料を長さ100mm、幅15mmに切り出し、東洋精機
(株)社製MIT耐揉疲労試験機を用いて、JIS−8115にし
たがい、チャック間55mmで試料をセットし、荷重1.25kg
で、曲げ角135度、曲げ速度175回/分で左右に曲げてシ
ートが切断するまでの屈曲回数を求め、耐屈曲性の指標
とした。この屈曲回数を切断回数ということがある。
<キシレン抽出> 得られたPASシートを1cm角に切り、10gを正確に秤量
し、冷却器付きのフラスコに入れた。さらに市販のキシ
レン(特級グレード)100ccをフラスコに入れた。シー
ト試料とキシレンの入ったフラスコを約155℃に保たれ
たオイルバス中に浸漬し、キシレンを沸騰(キシレンの
沸点は約140℃)させながら、シート試料中のオリゴマ
ー等溶剤抽出性低分子量物の抽出を行なった。
抽出は連続して行ない、72時間続けた。抽出実験後、
室温まで冷却し、キシレン溶液をフラスコから秤量ビン
に移した。さらに、キシレンでシート試料の入ったフラ
スコを3回、合計約100ccのキシレンで洗浄した。洗浄
液を全て回収し、前記秤量ビンに移した。次ぎに、秤量
ビン中のキシレンを約85℃で加熱し、わずかに減圧しな
がら、恒量になるまでキシレンを蒸発させて除去した。
恒量になったところで残渣の量を求め、キシレン抽出物
量(オリゴマー等低分子量分物の量)とした。
[実施例1] PASとして、溶融粘度η*が9,400ポイズ(310℃、200
sec-1で測定)、溶融結晶化温度Tc2が179℃の実質的に
直鎖状のポリ−p−フェニレンスルフィド(以下、PPPS
と略記)のパウダーを用いた。また、ベント式抽出機と
して、プラスチック工学社製二軸押出機BT−30〔ただ
し、シリンダー部は日立金属社製H−503(Ni−Co−Cr
−Si−B合金)で表面コートされ、また、スクリューは
ハードクロムメッキしたものである。〕を用い、そのベ
ント孔にコールドトラップを有する真空ポンプを取り付
けた。
PPPSのパウダーを前記二軸押出機を用いて、ポリマー
の溶融温度320℃で、ガット状に溶融押出し、水冷し
て、ペレット化した。この二軸押出機のベント部(ポリ
マーの溶融部)に取り付けてあるベント孔から真空ポン
プで真空引きを行ない、オリゴマー等溶剤抽出性低分子
量物を除去した。この時の押出量は約10kg/時間であ
り、真空引きの減圧度は、ベント部近傍に取り付けた圧
力計から読み取ると、約−72cmHg(約40mmHg)を示し
た。
このようにして得られたペレットを、35mmφ、L/D=2
8の単軸押出機に取り付けた幅25cm、リップクリアラン
ス0.5mmのT−ダイからシート状に溶融押出しを行なっ
た。ポリマーの溶融温度は310℃、押出量は2.5kg/時間
であった。T−ダイ先端部とキャスティングロールの間
を約10mmとし、キャスティングロールの表面温度は130
℃に設定した。キャスティングロールの直径は300mmで
あった。
シート厚が200μmとなるように巻き取り速度を0.27m
/分にコントロールして巻き取った。なお、キャスティ
ングロール軸に並行に太さ0.15mm径のタングステン製の
ワイヤ(ピニングワイヤ)を張り、そのワイヤとロール
との間に、約5kvの直流電流を印加しながら静電キャス
トした。
得られたシートの密度は1.325g/cm3(23℃)であり、
この値から求めた結晶化度は12%であった。このシート
のキャスティングロールに接した面の表面粗さは0.022
μmであり、キャスティングロールと反対側の面では0.
49μmであった。このシートのキャスティングロールに
接した面の動摩擦係数は0.3であった。耐屈曲性につい
て、折曲げ切断回数を測定したところ370回であった。
さらに、このシートをギャーオーブンの熱風中で260
℃、10分間熱処理して結晶化を促進させた。この熱処理
後のシートの結晶化度は28%であり、キャスティングロ
ールに接していた側の面および反対側の面の表面粗さRa
は、それぞれ0.030μmであった。また、キャスティン
グロールに接した側の面の動摩擦係数は0.3であった。
折曲げ切断回数は120回であり、降伏点強度は9kg/mm2
破断強度は7kg/mm2、破断伸度は40%、引張弾性率は330
kg/mm2であった。
このシートのキシレン抽出物の量は、シート試料に対
し、0.27重量%であった。なお、この値は、同じシート
から得たシート試料について、前記キシレン抽出操作を
三回行って得た測定値の平均値である。
このように、本発明の方法によれば高度に低オリゴマ
ー性のシートを得ることができる。
〔比較例1〕 実施例1と同じPPPSを用い、35mmφ、L/D=28の単軸
押出機(ベント孔なし)を用いて、ポリマーの溶融温度
320℃、押出量約4kg/時間で押出してペレット化した。
得られたペレットを用い、実施例1と同じ装置で同一
条件で押出し、約200μm厚のシートを作成した。
実施例1と同様にキシレン抽出を行なったところ、オ
リゴマー等溶剤抽出性分子量物の抽出量は0.56重量%で
あった。
〔実施例2〕 溶融粘度η*が5,900ポイズ(310℃、200sec-2で測
定)、溶融結晶化温度Tc2が200℃の実質的に直鎖状のPP
PSパウダーを実施例1と同じベント式二軸押出機を用い
てペレット化した。押出温度および押出量のペレット化
条件もほぼ同じであった。この時、真空引きの減圧度
は、圧力計の目盛りで約−70cmHg(約60mmHg)であっ
た。
得られたペレットを実施例1と同じ条件でシート状に
溶融押出し、キャスティングロール上で結晶化させて厚
さ200μmのシートを得た。
このシートの実施例1と同様にして求めたキシレン抽
出量は0.43重量%であった。
得られたシートの密度は1,320g/cm3(23℃)であり、
この値から求めた結晶化度は7%であった。また、この
シートのキャスティングロールに接した面の表面粗さは
0.018μmであり、キャスティングロールと反対側の面
では0.045μmであった。このシートのキャスティング
に接した面の動摩擦係数は0.4であった。耐屈曲性につ
いて、折曲げ切断回路を測定したところ350回であっ
た。
さらに、このシートをギャーオーブンの熱風中で260
℃、10分間熱処理して結晶化を促進させた。この熱処理
後のシート結晶化度は27%であり、キャスティングロー
ルに接していた側の面および反対側の面の表面粗さRa
は、それぞれ0.026μmおよび0.052μmであった。ま
た、キャスティングロールに接した側の面の動摩擦係数
は0.3であった。折曲げ切断回数は105回であり、降伏点
強度は9kg/mm2、破断強度は7kg/mm2、破断強度は30%、
引張弾性率は350kg/mm2であった。
[比較例2] 実施例2と同じPPPSを用い、比較例1と同様の製法で
製造したペレットから得たシートのキシレン抽出量は0.
82重量%であった。
[実施例3] 冷媒圧縮機のモータ絶縁用シート) 折曲げ加工 実施例1で得られた結晶化シート(熱処理シート、結
晶化度28%)を85×25mmの大きさに裁断し、125℃に加
温してからU字型(180℃)に折曲げ加工を行なった。
この折曲げ加工を5回行なったが、折曲げ部の外側にク
ラックは生じなかった。これに対して、室温(23℃)で
折曲げ加工を行なったところで、5回中3回の割合でク
ラックの発生が見られた。
また、折曲げ加工して得られたシート状成形物を冷媒
圧縮機のモータ絶縁用シート状成形物として用いたとこ
ろ、高温タイプのモータであるにもかかわらず、長期間
故障なく使用することができた。
[実施例4] (低結晶化度シートの室温での折り曲げ加工の例) 実施例2で作成した結晶化度7%の長さ10cmのシート
を幅85mmにスリットし、左右両端から3mmずつのところ
でそれぞれU字形に折曲げながら室温(23℃)にコント
ロールされた2本の、回転している金属ロール間を通
し、折曲げを固定した。
2本の金属ロール間のクリアランスは、おおよそ0.5m
mであり、折曲げ固定が充分に行なわれるように、手動
で微調整した。得られたシートは、充分に折曲げ固定さ
れており、かつ、折曲げ部分で白化や破れは認められ
ず、充分実用性のあるものであった。
〔発明の効果〕
本発明によれば、高度に低オリゴマー性のシートを得
ることができる。また、予めベント式押出機でオリゴマ
ー等溶剤抽出性低分子量物を除去したPASを用い、好適
には、キャスティングロール上で冷却と結晶化を一段階
で行なう方法により、低オリゴマー性で、平面性、平滑
性、機械的強度に優れたシートを得ることができ、特
に、冷媒圧縮機のモータ絶縁用シート状成形物として用
いれば、故障の少ない、高温のタイプのモータを得るこ
とができる。また、PASシートの結晶化度を5〜15%と
低結晶化度の範囲に調節すれば、室温で折り曲げ加工が
容易にできるシートを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、シート厚200μmのポリ−p−フェニレンス
ルフィドシートを製造する場合における、キャスティン
グロール温度とシートの結晶化度の関係を示す図であ
る。Aは、キャスティングロール上での滞留時間が90秒
の場合を、Bは、50秒の場合を示す。 第2図は、キャスティングロール上での滞留時間が90秒
で、ポリ−p−フェニレンスルフィドシートを製造する
場合における、キャスティングロール温度とシートの結
晶化度の関係を示す図であり、Cは、シート厚400mm、
Dは、シート厚200mmの場合を示す。 第3図は、ポリ−p−フェニレンスルフィドシートの結
晶化度と対屈曲性(切断回数=切断に至るまでの屈曲回
数)との関係を示す図である。 図中、●は溶融粘度η*が6,000ポイズの、また、□は
2,600ポイズのポリp−フェニレンスルフィドを用いて
製造した厚さ200μmのシートを表わす。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B29L 7:00 (56)参考文献 特開 昭63−141718(JP,A) 特開 昭63−245443(JP,A) 特開 平2−34663(JP,A) 特開 昭63−137822(JP,A) 特公 昭51−6105(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B29C 47/00 - 47/96 B29B 13/00 - 13/10

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリアリーレンスルフィドをスリット状の
    ダイからシート状に溶融押出し、キャスティングロール
    上で冷却固化してシートを製造する方法において、ポリ
    アリーレンスルフィドとして、溶融粘度η(310℃、
    剪断速度200sec-1で測定)が1,000〜25,000ポイズで、
    溶融結晶化温度Tc2(差動走査熱量計を用い、23℃から1
    0℃/分の速度で380℃まで昇温し、380℃で3分間保持
    した後、10℃/分の速度で降温した時に現れる結晶化の
    発熱ピーク温度である)が170℃〜240℃のポリアリーレ
    ンスルフィドをベント式押出機により溶融押出するとと
    もに、ベント孔からベント部を真空に引くことによっ
    て、該ポリアリーレンスルフィド中に含まれるオリゴマ
    ー等溶融剤抽出性低分子量物を除去したポリマーを用い
    ることを特徴とする低オリゴマー性シートの製造方法。
  2. 【請求項2】ポリアリーレンスルフィドをベント式押出
    機により溶融押出するとともに、ベント孔からベント部
    を真空に引く工程において、該ベント部が100mmHg以下
    に減圧されるように、ベント孔からベント部を真空に引
    く請求項1記載の低オリゴマー性シートの製造方法。
  3. 【請求項3】低オリゴマー性シートのキシレン抽出によ
    る抽出物が抽出前の全体重量の0.5重量%以下である請
    求項1または2記載の低オリゴマー性シートの製造方
    法。
  4. 【請求項4】ベント式抽出機の溶融樹脂と接する部分を
    鉄元素をできるだけ含まない材質のものとする請求項1
    ないし3のいずれか1項に記載の低オリゴマー性シート
    の製造方法。
  5. 【請求項5】前記キャスティングロールの温度を120〜1
    90℃の範囲内に制御し、シートの冷却と結晶化を一段階
    で行なう請求項1ないし4のいずれか1項に記載の低オ
    リゴマー性シートの製造方法。
  6. 【請求項6】シートの結晶化度が5%以上となるよう
    に、シートの冷却と結晶化を一段階で行なう請求項5記
    載の低オリゴマー性シートの製造方法。
  7. 【請求項7】溶融粘度η(310℃、剪断速度200sec-1
    で測定)が1,000〜25,000ポイズで、溶融結晶化温度Tc2
    (差動走査熱量計を用い、23℃から10℃/分の速度で38
    0℃まで昇温し、380℃で3分間保持した後、10℃/分の
    速度で降温した時に現れる結晶化の発熱ピーク温度であ
    る)が170℃〜240℃のポリアリーレンスルフィドからな
    るシートであって、 (a)該シートのキシレン抽出による抽出物が抽出前の
    全体重量の0.5重量%以下、 (b)少なくとも片面の表面粗さRaが0.09μm以下、お
    よび (c)結晶化度が5%以上 であることを特徴とする低オリゴマー性シート。
  8. 【請求項8】結晶化度が5〜15%である請求項7記載の
    低オリゴマー性シート。
  9. 【請求項9】請求項7または8記載の低オリゴマー性シ
    ートからなる冷媒圧縮機のモータ絶縁用シート状成形
    物。
  10. 【請求項10】前記低オリゴマー性シートを、該シート
    のガラス転移点以上、融点以下の温度条件で折曲げ成型
    することを特徴とする請求項9記載のモータ絶縁用シー
    ト状成形物の製造方法。
  11. 【請求項11】結晶化度5〜15%の前記低オリゴマー性
    シートを、室温で折曲げ成型することを特徴とする請求
    項9記載のモータ絶縁用シート状成形物の製造方法。
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