JPH1081765A - インフレーションフィルム用樹脂及びインフレーションフィルム - Google Patents

インフレーションフィルム用樹脂及びインフレーションフィルム

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JPH1081765A
JPH1081765A JP8257665A JP25766596A JPH1081765A JP H1081765 A JPH1081765 A JP H1081765A JP 8257665 A JP8257665 A JP 8257665A JP 25766596 A JP25766596 A JP 25766596A JP H1081765 A JPH1081765 A JP H1081765A
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JP
Japan
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film
resin
melt viscosity
blown film
shear rate
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Application number
JP8257665A
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English (en)
Inventor
Kiyomi Ouchi
清美 大内
Naomitsu Nishihata
直光 西畑
Masato Tada
正人 多田
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Kureha Corp
Original Assignee
Kureha Corp
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Publication date
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  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Shaping By String And By Release Of Stress In Plastics And The Like (AREA)
  • Polymers With Sulfur, Phosphorus Or Metals In The Main Chain (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 インフレーション法により安定して製膜する
ことができるポリアリーレンスルフィド樹脂、及び該ポ
リアリーレンスルフィド樹脂を用いたインフレーション
フィルムを提供することにある 【請求項1】 アルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合
物をトリハロ芳香族化合物の存在下に重合して得られる
分岐型ポリアリーレンスルフィド樹脂であって、310
℃、剪断速度200/秒で測定した溶融粘度η200が5
0〜3000Pa・sで、該溶融粘度η200と310
℃、剪断速度1200/秒で測定した溶融粘度η1200
の比R(η200 /η1200)が下記の関係式(1) 【数1】 を満足するポリアリーレンスルフィド樹脂からなること
を特徴とするインフレーションフィルム用樹脂、及び該
樹脂をインフレーション法によりフィルム状に成形して
なることを特徴とするインフレーションフィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐熱性、難燃性、
耐フレオン性、電気絶縁性などに優れたポリアリーレン
スルフィド樹脂フィルムに関し、さらに詳しくは、イン
フレーション法による製膜が可能なポリアリーレンスル
フィド樹脂、及び該樹脂を用いてインフレーション法に
より製膜してなるインフレーションフィルムに関する。
本発明のインフレーションフィルムは、例えば、磁気記
録媒体などの基材フィルム、電線被覆などの電気絶縁材
料、熱収縮フィルムなどとして、広範な用途に使用する
ことができる。
【0002】
【従来の技術】ポリフェニレンスルフィド樹脂(以下、
PPS樹脂と略記)に代表されるポリアリーレンスルフ
ィド樹脂(PAS樹脂)のフィルムは、耐熱性、難燃
性、耐加水分解性、湿度安定性、電気特性、耐薬品性な
どに優れており、例えば、電気絶縁材料(電線被覆、モ
ータ、トランス)、フレキシブルプリント基板、コンデ
ンサ、電子部品(絶縁シートなど)、自動車関連(ダイ
アフラムなど)、粘着テープ、食品包装、内装材、磁気
記録媒体(フロッピーなど)など多くの分野で使用され
ている。
【0003】フィルムの代表的な成形方法としては、テ
ンター法(Tダイ法)とインフレーション法(チューブ
ラー法)とがある。従来、PAS樹脂フィルムは、一般
に、テンター法により成形されていた。すなわち、PA
S樹脂を押出機により溶融してTダイから押し出し、キ
ャステイングロールで冷却してシート状の未延伸フィル
ムを作り、これをテンターを使用して一軸または二軸延
伸して延伸フィルムとし、さらに熱処理を行う方法であ
る。テンター法によれば、諸特性に優れたPAS樹脂フ
ィルムを得ることができる。しかしながら、テンター法
は、装置が大型で、しかも精密な機構を持ったテンター
を使用しなければならないため、設備費がかさむという
欠点がある。また、テンター法では、得られたフィルム
の耳部を取り除かなければならないこと、製袋には側面
と底の接着が必要であることなどの問題点がある。
【0004】これに対して、インフレーション法は、T
ダイ法に比べて、装置が簡単で設備費が比較的低廉であ
り、操作も容易である。しかも、インフレーション法
は、フィルムの耳部を取り除く必要がないこと、製
袋には底接着のみでよいこと、膨張のさせ方によりサ
イズ(折り幅)の変更が容易であること、膨張のさせ
方によりフィルムの縦方向(引き取り方向)と横方向へ
の樹脂の配向を比較的容易に調節することができるの
で、得られたフィルムの縦と横方向の強度バランスを調
節することができることなどの利点がある。したがっ
て、PAS樹脂フィルムの製膜法として、Tダイ法だけ
ではなく、インフレーション法をも適用することができ
るならば、これらの利点を享受することができる。しか
しながら、従来からテンター法による製膜に使用されて
きたPAS樹脂をインフレーション法に適用することは
困難であった。以下、この点について詳述する。
【0005】インフレーション法では、通常、押出機に
よって溶融した樹脂を円形ダイによって円筒状に成形
し、連続したチューブ状のパリソンを吐き出させ、次い
で、これに通常空気を圧入し、樹脂の塑性を利用して膨
張させ、厚みを薄くしたフィルム状に成形する。汎用の
ダイレクトインフレーション法では、ダイから押し出さ
れた溶融パリソンにダイ側より直接空気を吹き込んで膨
張させ、バブルを形成させた後、リング状に冷却空気や
水を吹き付け、任意の膨張比で固化させる。次いで、バ
ブルを安定板(ガイド板)により一対のピンチロール
(ニップロール)間に誘導し、該ピンチロールで空気を
絞り、フラットなフィルムに折りたたみ、巻き取り機に
よってロール状に巻き取る。巻き取る前に、必要に応じ
て熱処理工程を付加する。膨張は、通常、厚みを薄くす
るだけであるが、樹脂の材質や膨張と固化の条件によっ
て、ある程度の延伸配向を与えて、収縮性のフィルムを
得ることもできる。また、再加熱インフレーション法に
よれば、パリソンをいったん冷却した後、必要により再
加熱して、融点以下の温度で膨張成形するために、大き
な配向が生じ、延伸フィルムとなる。この延伸フィルム
は、収縮性を除去する必要がある場合には、巻き取る前
に熱処理工程が付加されることが多い。
【0006】ところが、従来、テンター法による製膜に
使用されてきたPAS樹脂は、溶融状態で安定して膨張
させることが困難である。直鎖型PAS樹脂をテンター
法により製膜する技術は、既に確立しているが、このP
AS樹脂をインフレーション法によりチューブ状の溶融
樹脂にして空気で膨張させると、樹脂切れが生じ、連続
的に安定して製膜することが困難であった。また、得ら
れたフィルムを熱処理すると、不透明となったり、平滑
性が損なわれたり、あるいは機械的強度が低下して、実
用に供することが困難になる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、イン
フレーション法により安定して製膜することができるP
AS樹脂、及び該PAS樹脂を用いたインフレーション
フィルムを提供することにある。本発明者らは、前記従
来技術の問題点を克服するために鋭意研究した結果、ア
ルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物をトリハロ芳香
族化合物の存在下に重合して得られる分岐型PAS樹脂
であって、特定の溶融粘度の範囲と溶融特性を有する選
択された樹脂を用いた場合に、インフレーション法を適
用して、円形ダイから出たチューブ状の溶融樹脂を空気
で連続的に膨張させても、樹脂切れを生じることなく安
定して製膜することができることを見いだした。また、
この方法により得られたフィルムを熱処理しても、実用
に供し得るフィルムの得られることを見いだした。本発
明は、これらの知見に基づいて完成するに至ったもので
ある。
【0008】
【課題を達成するための手段】かくして、本発明によれ
ば、アルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物をトリハ
ロ芳香族化合物の存在下に重合して得られる分岐型ポリ
アリーレンスルフィド樹脂であって、310℃、剪断速
度200/秒で測定した溶融粘度η200が50〜300
0Pa・sで、該溶融粘度η200と310℃、剪断速度
1200/秒で測定した溶融粘度η1200との比R(η
200 /η1200)が下記の関係式(1)
【0009】
【数3】 を満足するポリアリーレンスルフィド樹脂からなること
を特徴とするインフレーションフィルム用樹脂が提供さ
れる。また、本発明によれば、アルカリ金属硫化物とジ
ハロ芳香族化合物をトリハロ芳香族化合物の存在下に重
合して得られる分岐型ポリアリーレンスルフィド樹脂で
あって、310℃、剪断速度200/秒で測定した溶融
粘度η200が50〜3000Pa・sで、該溶融粘度η
200と310℃、剪断速度1200/秒で測定した溶融
粘度η1200との比R(η200 /η1200)が下記の関係式
(1)
【0010】
【数4】 を満足するポリアリーレンスルフィド樹脂をインフレー
ション法によりフィルム状に成形してなることを特徴と
するインフレーションフィルムが提供される。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明では、次のような特定の選
択されたPASA樹脂をインフレーションフィルム用樹
脂として使用する点に特徴を有する。 (1)アルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物をトリ
ハロ芳香族化合物の存在下に重合して得られる分岐型P
AS樹脂であること。 (2)310℃、剪断速度200/秒で測定した溶融粘
度η200が式(2)の範囲にあること。
【0012】
【数5】 (3)該溶融粘度η200と310℃、剪断速度1200
/秒で測定した溶融粘度η1200との比R(=η200 /η
1200)が下記の関係式(1)を満足すること。
【0013】
【数6】 本発明者らは、インフレーション法によりPAS樹脂か
らなるフィルムを得るために検討を重ねた結果、前記要
件(1)〜(3)を満足する選択されたPAS樹脂を使
用することにより、連続的に安定してインフレーション
フィルムの得られることを見いだした。
【0014】本発明で使用するPAS樹脂は、アルカリ
金属硫化物とジハロ芳香族化合物のみから得られる直鎖
型樹脂ではなく、三官能モノマーであるトリハロ芳香族
化合物を共存させて得られる分岐型樹脂である。このよ
うな分岐型とすることにより、前記関係式(1)を満足
するPAS樹脂を得ることができ、そして、該PAS樹
脂を用いてインフレーションフィルムを製造した場合、
安定して製膜することができ、実用性能に優れたフィル
ムを得ることができる。なお、低分子量のPAS樹脂を
空気の存在下に酸化架橋(キュアリング)して得られる
架橋型樹脂は、製膜することができない。
【0015】本発明で使用するPAS樹脂は、310
℃、剪断速度200/秒で測定した溶融粘度η200が5
0〜3000Pa・s、好ましくは200〜2500P
a・s、より好ましくは300〜2000Pa・sであ
る。この溶融粘度η200が50Pa・s未満であると、
PAS樹脂をダイから押し出した際、溶融状態での粘弾
性が乏しく、膨張させることが困難となる。溶融粘度η
200が3000Pa・sを超えると、ゲル状物の発生が
顕著になり、均一なインフレーションフィルムを得るこ
とが困難となる。本発明で使用するPAS樹脂は、前記
関係式(1)を満足することが必要である。Rが下記式
(3)で表される範囲にあると、溶融した樹脂をダイか
ら押出した場合、溶融状態での粘弾性が乏しいため、チ
ューブ状の溶融樹脂を空気で膨張させる際に樹脂切れを
起こし、製膜が困難となる。
【0016】
【数7】 Rが下記式(4)で表される範囲にあると、チューブ状
の溶融樹脂を空気で膨張させると、フィルム表面にフィ
ッシュアイ状の不均一部分が多数発生し、しかも均一な
厚みのフィルムを得ることができない。
【0017】
【数8】 図1に、PAS樹脂の溶融粘度η200(横軸)とR値
(縦軸)の関係を示す。本発明で使用するPAS樹脂
は、図1のABCDの4つの点で囲まれる範囲内のもの
である。図1の白四角印は、各実施例で合成したPAS
樹脂の特性値をプロットしたものであり、黒三角印は、
角比較例で合成したPAS樹脂の特性値をプロットした
ものである。
【0018】上記の如き溶融粘度及び溶融特性を持った
PAS樹脂は、アルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合
物をトリハロ芳香族化合物の存在下に重合する際に、各
モノマーの割合や重合条件を適切なものとすることによ
り得ることができる。アルカリ金属硫化物としては、例
えば、硫化ナトリウム、硫化カリウム、硫化リチウム、
硫化ルビジウム、硫化セシウム、及びこれらの混合物な
どが挙げられる。また、アルカリ金属硫化物は、常法に
より反応容器中でin situで生成させてもよい。
これらのアルカリ金属硫化物は、水和物、水性混合物、
または無水物の形で用いることができる。アルカリ金属
硫化物中に微量存在するアルカリ金属重硫化物やアルカ
リ金属チオ硫酸塩と反応させるために、少量のアルカリ
金属水酸化物を添加して、これらの不純物を除去する
か、あるいは硫化物へ転化させてもよい。これらの中で
も硫化ナトリウムが最も安価であるため、工業的には好
ましい。
【0019】ジハロ芳香族化合物としては、例えば、p
−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、o−ジク
ロロベンゼン、p−ジブロモベンゼン等のジハロベンゼ
ン;2,5−ジクロロトルエン、1−メトキシ−2,5
−ジクロロベンゼン等の置換ジハロベンゼン;1,4−
ジクロロナフタレン等のジハロナフタレン;4,4′−
ジクロロビフェニル、3,3′−ジクロロビフェニル等
のジハロビフェニル;3,5−ジクロロ安息香酸等のジ
ハロ安息香酸;4,4′−ジクロロベンゾフェノン等の
ジハロベンゾフェノン;4,4′−ジクロロジフェニル
スルホン、3,3′−ジクロロジフェニルスルフォン等
のジハロジフェニルスルホン;4,4′−ジクロロジフ
ェニルエーテル等のジハロフェニルエーテル;などを挙
げることができる。これらの中でも、経済性や物性等の
観点から、ジハロベンゼンが好ましく、p−ジクロロベ
ンゼンなどのp−ジハロベンゼンがより好ましい。特
に、ジハロ芳香族化合物として、p−ジハロベンゼン
を、好ましくは70重量%以上、より好ましくは80重
量%以上、さらに好ましくは90重量%以上の割合で含
有するものが好ましい。
【0020】トリハロ芳香族化合物としては、例えば、
1,2,3−トリクロロベンゼン、1,2,3−トリブ
ロモベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン、1,
2,4−トリブロモベンゼン、1,3,5−トリクロロ
ベンゼン、1,3,5−トリブロモベンゼン、1,3−
ジクロロ−5−ブロムベンゼン等のトリハロベンゼン;
トリハロベンゼンのアルキル置換体;これらの混合物等
が挙げられる。これらの中でも、経済性、反応性、物性
等の観点から、1,2,4−トリハロベンゼン、1,
3,5−トリハロベンゼン、及び1,2,3−トリクロ
ロベンゼンが好ましい。
【0021】PAS樹脂の製造方法としては、水を含有
する極性有機溶媒中で、アルカリ金属硫化物とジハロ芳
香族化合物とをトリハロ芳香族化合物の存在下に重縮合
反応させる方法を採用することができる。水としては、
例えば、アルカリ金属硫化物の水和水、添加水、反応
水、アルカリ金属硫化物水溶液の水などが挙げられる。
有機アミド溶媒としては、例えば、N−メチルピロリド
ン、N−エチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムア
ミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルカプ
ロラクタム、ジメチルイミダゾリジノン、テトラメチル
尿素、ヘキサメチルホスホン酸アミドなどが挙げられ
る。これらの中でも、経済性や安定性の観点から、N−
メチル−2−ピロリドン(NMP)が特に好ましい。
【0022】仕込みジハロ芳香族化合物のモル数aと仕
込みアルカリ金属硫化物のモル数bとの比a/bは、通
常、0.95〜1.10、好ましくは0.98〜1.0
8、より好ましくは1.00〜1.06の範囲内になる
ように調製する。トリハロ芳香族化合物は、仕込みアル
カリ金属硫化物1モルに対して、通常、0.0002〜
0.01モル、好ましくは0.0004〜0.009モ
ル、より好ましくは0.0005〜0.007モルの範
囲内となるように調整して、重合反応系に添加する。
【0023】仕込みアルカリ金属化合物1モルに対し
て、トリハロ芳香族化合物が0.0002モル未満で
は、生成PAS樹脂の溶融状態における粘弾性が不十分
となり、チューブ状の溶融樹脂を膨張させる際に樹脂切
れを起こしやすく、安定してインフレーションフィルム
を得ることが困難となる。また、十分に配向することが
できないので、得られたフィルムの強度が低下する。逆
に、トリハロ芳香族化合物が0.01モル超過では、生
成PAS樹脂の溶融粘度が高くなるため、製膜時に樹脂
切れを引き起こしやすく、連続して均一なインフレーシ
ョンフィルムを得ることが困難となる。重合反応系への
トリハロ芳香族化合物の添加は、重合の初期であっても
後期であってもよいが、初期の場合の方が少量の添加で
もより効果的である。
【0024】重合方法については、従来公知の方法を採
用することができ、特に限定されないが、具体例とし
て、例えば、仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり
0.5〜2.4モルの水が存在する状態で、150〜2
35℃の温度で反応を行って、ジハロ芳香族化合物の転
化率50〜98モル%程度まで反応させ、次いで、仕込
みアルカリ金属硫化物1モル当たり2.5〜7.0モル
の水を反応系内に存在させて、245〜280℃の温度
に昇温して反応を継続する方法を挙げることができる。
極性有機溶媒の使用量は、アルカリ金属硫化物1モル当
たり、通常、0.2〜2.0kg、好ましくは0.3〜
1.0kgである。
【0025】PAS樹脂を用いてインフレーション法に
より製膜するには、通常、押出機によって溶融したPA
S樹脂を円形ダイにより円筒状に成形し、連続したチュ
ーブ状のパリソンとして吐き出させる。これに、通常、
空気を圧入し、厚みを薄くしたフィルム状に成形する。
PAS樹脂は、その融点以上、好ましくは(融点+20
℃)〜350℃の温度において溶融させた後、スパイダ
ー・ダイ、スパイラル・ダイを経て円筒状とする。パリ
ソンを溶融状態で成形するダイレクトインフレーション
法により製膜する場合には、溶融パリソンにダイ側より
直接空気を吹き込んで膨張させ、バブルを形成させた
後、リング状に冷却空気や水を吹き付けて冷却する。円
筒状フィルムは、安定板を経てピンチロールによってフ
ラットなフィルムに折りたたまれ、巻き取り機によって
ロール状に巻き取られる。
【0026】押出機のダイから溶融樹脂を押し出し、円
筒状フィルムを形成した後、安定板へ至る際、通常、5
00℃/毎分以上、好ましくは1000℃/毎分以上の
冷却速度で冷却することが好ましく、それによって、外
観の良好なインフレーションフィルムを得ることができ
る。冷却速度が小さすぎると十分に膨張させることがで
きず、白濁した外観で、かつ、機械的強度が低いインフ
レーションフィルムとなる。
【0027】本発明では必要に応じて、円筒状フィルム
を熱処理することができる。熱処理は、安定板及びピン
チローラを経て、フラットなフィルムに折りたたんだ
後、該フィルムを通常120〜270℃、好ましくは1
30〜260℃の温度範囲で熱処理する方法が用いられ
る。熱処理温度が低すぎると十分に結晶化することがで
きず、高温での寸法安定性が損なわれる。フィルムを熱
処理することなく、熱収縮性フィルムとして使用するこ
ともできる。PAS樹脂には、必要に応じて、安定剤、
滑剤、核剤、充填剤、エラストマー、その他の熱可塑性
樹脂などを少量成分として添加してもよい。
【0028】
【実施例】以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明を
さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例に
限定されるものではない。
【0029】[実施例1]ポリマー合成例1 含水硫化ソーダ(純度46.06%)373kg及びN
−メチルピロリドン(以下、NMPと略記)800kg
をチタン張り重合缶に仕込み、窒素ガス雰囲気下で徐々
に約200℃まで昇温しながら、54.4モルの硫化水
素と共に、水141kgを留出させた。次いで、p−ジ
クロルベンゼン(以下、p−DCBと略記)324.7
kg、1,2,4−トリクロルベンゼン0.796k
g、及びNMP274kgの混合溶液を供給して、22
0℃で5時間重合反応を行った。次に、水96.6kg
を圧入し、255℃で5時間重合反応を行った後、24
5℃に降温して5時間重合を継続した。重合反応終了
後、反応系を冷却し、次いで、反応混合液を目開き15
0μm(100メッシュ)のスクリーンで篩分し、粒状
ポリマーを分離した。粒状ポリマーは、メタノール洗と
水洗をそれぞれ3回行った後、脱水し、乾燥した。得ら
れたポリマーの310℃、剪断速度200/秒における
溶融粘度は1315Pa・sで、R=2.64であっ
た。
【0030】インフレーションフィルム製膜実験 上記で得られたポリマーを、30mmφ二軸混練押出機
(プラスチック工業研究所製BT−30型機)へ供給
し、シリンダー温度300〜330℃にて混練を行い、
ペレットを作製した。得られたペレットをインフレーシ
ョンフィルム製膜用ダイを備えた二軸押出機(東洋精機
製作所製ラボプラストミル)へ供給し、シリンダー温度
335℃、押出量52g/分、引取速度10m/分、ブ
ロー比2.3の条件で、折り径90mm、平均膜厚22
μmの透明なインフレーションフィルムを作製した。イ
ンフレーションフィルムは、ダイから安定板まで1mと
し、10m/分の速度で巻き取った。樹脂の温度を赤外
線樹脂温度計で測定したところ、ダイ出口で320℃、
安定板に接触する部分では150℃であった。次に、得
られたインフレーションフィルムを熱風循環式オーブン
中で200℃にて5分間定長熱処理を行った。熱処理を
行った後、インフレーションフィルムは白色半透明であ
った。
【0031】配向度 このようにして得られたインフレーションフィルムの配
向度を広角X線散乱法によって測定した。測定には理学
電機製X線発生装置GF−2028型を用い、40KV
−20mAの出力で、Niフィルターを通してCu−K
α線を用いた。2θ=20.5°で赤道線上の散乱強度
0と、子午線方向60°における散乱強度I60を測定
し、(I60/I0)値を配向度とした。その結果、Th
rough方向では配向度0.2、End方向では配向
度0.9、Edge方向では配向度0.1以下であっ
た。
【0032】引張試験 得られたインフレーションフィルムの引き取り方向(以
下、MD方向と略記)及び引き取り方向に対して90°
方向(以下、TD方向と略記)の引張強さ(以下、TS
と略記)及び引張伸び(以下、TEと略記)を、以下の
条件で測定した。 ・試験機:(株)東洋ボールドウィン社製テンシロン ・試料長:100mm ・引張速度:100mm/分 その結果、MD方向では、TS=80MPa、TE=7
2%で、TD方向では、TS=83MPa、TE=4%
であった。
【0033】[実施例2]ポリマー合成例2 含水硫化ソーダ(純度46.10%)371kg及びN
MP800kgをチタン張り重合缶に仕込み、窒素ガス
雰囲気下で徐々に約200℃まで昇温しながら、54.
0モルの硫化水素と共に、水140.0kgを留出させ
た。次に、p−DCB325kg、1,2,4−トリク
ロルベンゼン0.885kg、及びNMP270kgの
混合溶液を供給して、220°で5時間重合反応を行っ
た。次いで、水95.8kgを圧入し、255℃で5時
間重合反応を行った後、245℃に降温して5時間重合
を継続した。重合反応終了後、反応系を冷却し、次い
で、反応混合液を目開き150μm(100メッシュ)
のスクリーンで篩分し、粒状ポリマーを分離した。粒状
ポリマーは、メタノール洗と水洗をそれぞれ3回行った
後、脱水し、乾燥した。得られたポリマーの310℃、
剪断速度200/秒における溶融粘度は726Pa・s
で、R=2.72であった。
【0034】インフレーションフィルム製膜実験 上記で得られたポリマーを、30mmφ二軸混練押出機
(プラスチック工学研究所製BT−30型機)へ供給
し、シリンダー温度300〜320℃にて混練を行い、
ペレットを作製した。得られたペレットをインフレーシ
ョンフィルム製膜用ダイを備えた二軸押出機(東洋精機
製作所製ラボプラストミル)へ供給し、シリンダー温度
320℃、押出量55g/分、引取速度10m/分、ブ
ロー比2.3の条件で。折り径90mm、平均膜厚23
μmの透明なインフレーションフィルムを作製した。イ
ンフレーションフィルムは、ダイから安定板まで1mと
し、10m/分の速度で巻き取った。樹脂の温度を赤外
線樹脂温度計で測定したところ、ダイ出口で310℃〜
313℃、安定板に接触する部分では150℃であっ
た。
【0035】次に、得られたインフレーションフィルム
を熱風循環式オーブン中で250℃にて1分間定長熱処
理を行った。熱処理を行った後、インフレーションフィ
ルムは白色半透明であった。実施例1と同様にして、得
られたインフレーションフィルムの配向度を広角X線散
乱法によって測定した。その結果、Through方向
では配向度0.2、End方向では配向度0.9、Ed
ge方向では配向度0.2であった。得られたインフレ
ーションフィルムの引張強さ及び引張伸びを測定した。
その結果、MD方向では、TS=75MPa、TE=8
0%、TD方向では、TS=77MPa、TE=5%で
あった。
【0036】[実施例3]ポリマー合成例3 含水硫化ソーダ(純度46.21%)372kg及びN
MP820kgをチタン張り重合缶に仕込み、窒素ガス
雰囲気下で徐々に約200℃まで昇温しながら、53.
9モルの硫化水素と共に、水140.5kgを留出させ
た。次に、p−DCB326kg、1,2,4−トリク
ロルベンゼン0.856kg、及びNMP255kgの
混合溶液を供給して、220℃で5時間重合反応を行っ
た。次いで、水96.2kgを圧入し、255℃で5時
間重合反応を行った後、245℃に降温して5時間重合
を継続した。重合反応終了後、反応系を冷却し、次い
で、反応混合液を目開き150μm(100メッシュ)
のスクリーンで篩分し、粒状ポリマーを分離した。粒状
ポリマーは、メタノール洗と水洗をそれぞれ3回行った
後、脱水し、乾燥した。得られたポリマーの310℃、
剪断速度200/秒における溶融粘度は1100Pa・
sで、R=2.85であった。
【0037】インフレーションフィルム製膜実験 上記で得られたポリマーを、30mmφ二軸混練押出機
(プラスチック工学研究所製BT−30型機)へ供給
し、シリンダー温度300〜320℃にて混練を行い、
ペレットを作製した。得られたペレットをインフレーシ
ョンフィルム製膜用ダイを備えた二軸押出機(東洋精機
製作所製ラボプラストミル)へ供給し、シリンダー温度
330℃、押出量52g/分、引取速度10m/分、ブ
ロー比2.3の条件で、折り径90mm、平均膜厚22
μmの透明なインフレーションフィルムを作成した。イ
ンフレーションフィルムは、ダイから安定板まで1mと
し、10m/分の速度で巻き取った。樹脂の温度を赤外
線樹脂温度計で測定したところ、ダイ出口で315℃〜
318℃、安定板に接触する部分では150℃であっ
た。
【0038】次に、得られたインフレーションフィルム
を熱風循環式オーブン中で250℃にて1分間定長熱処
理を行った。熱処理を行った後、インフレーションフィ
ルムは白色半透明であった。実施例1と同様にして、得
られたインフレーションフィルムの配向度を広角X線散
乱法によって測定した。その結果、Through方向
では配向度0.2、End方向では配向度0.9、Ed
ge方向では配向度0.1であった。得られたインフレ
ーションフィルムの引張強さ及び引張伸びを測定した。
その結果、MD方向では、TS=78MPa、TE=8
0%、TD方向では、TS=80MPa、TE=6%で
あった。
【0039】[実施例4]ポリマー合成例4 含水硫化ソーダ(純度46.40%)370kg及びN
MP810kgをチタン張り重合缶に仕込み、窒素ガス
雰囲気下で徐々に約200℃まで昇温しながら、54.
0モルの硫化水素と共に、水140.0kgを留出させ
た。次に、p−DCB320kg、1,2,4−トリク
ロルベンゼン0.465kg、及びNMP263kgの
混合溶液を供給して、220℃で5時間重合反応を行っ
た。次いで、水96.5kgを圧入し、255℃で5時
間重合反応を行った後、245℃に降温して5時間重合
を継続した。重合反応終了後、反応系を冷却し、次い
で、反応混合液を目開き150μm(100メッシュ)
のスクリーンで篩分し、粒状ポリマーを分離した。粒状
ポリマーは、メタノール洗と水洗をそれぞれ3回行った
後、脱水し、乾燥した。得られたポリマーの310℃、
剪断速度200/秒に於ける溶融粘度は340Pa・s
で、R=2.18であった。
【0040】インフレーションフィルム製膜実験 上記で得られたポリマーを、30mmφ二軸混練押出機
(プラスチック工学研究所製BT−30型機)へ供給
し、シリンダー温度290〜315℃にて混練を行い、
ペレットを作製した。得られたペレットを、インフレー
ションフィルム製膜用ダイを備えた二軸押出機(東洋精
機製作所製ラボプラストミル)へ供給し、シリンダー温
度315℃、押出量50g/分、引取速度7m/分、ブ
ロー比2.3の条件で、折り径90mm、平均膜厚30
μmの透明なインフレーションフィルムを作製した。イ
ンフレーションフィルムは、ダイから安定板まで1mと
し、7m/分の速度で巻き取った。樹脂の温度を赤外線
樹脂温度計で測定したところ、ダイ出口で308℃〜3
10℃、安定板に接触する部分では150℃であった。
【0041】次に、得られたインフレーションフィルム
を熱風循環式オーブン中で250℃にて1分間定長熱処
理を行った。熱処理を行った後、インフレーションフィ
ルムは白色半透明であった。実施例1と同様にして、得
られたインフレーションフィルムの配向度を広角X線散
乱法によって測定した。その結果、Through方向
では配向度0.23、End方向では配向度0.9、E
dge方向では配向度0.25であった。得られたイン
フレーションフィルムのTS及びTEを測定した。その
結果、MD方向では、TS=73MPa、TE=84
%、TD方向では、TS=74MPa、TE=7%であ
った。
【0042】[比較例1]ポリマー合成例5 含水硫化ソーダ(純度46.40%)390kg及びN
MP800kgをチタン張り重合缶に仕込み、窒素ガス
雰囲気下で徐々に約200℃まで昇温しながら、57.
8モルの硫化水素と共に、水148.0kgを留出させ
た。次に、p−DCB354.6kg、1,2,4−ト
リクロルベンゼン8.210kg、及びNMP218k
gの混合溶液を供給して、220℃で4時間重合反応を
行った。次いで、水85.6kgを圧入し、0.6℃/
分の速度で255℃まで昇温し、255℃で5時間重合
反応を行った。重合反応終了後、反応系を冷却し、次い
で、反応混合液を目開き150μm(100メッシュ)
のスクリーンで篩分し、粒状ポリマーを分離した。粒状
ポリマーは、アセトン洗3回、水洗4回、0.6%の塩
化アンモニウム水溶液洗1回を施し、脱水し、乾燥し
た。得られたポリマーの310℃、剪断速度200/秒
に於ける溶融粘度は3100Pa・sで、R=4.08
であった。
【0043】インフレーションフィルム製膜実験 上記で得られたポリマーを、30mmφ二軸混練押出機
(プラスチック工学研究所製BT−30型機)へ供給
し、320℃でペレット化しようとしたが、未溶融物が
あり、ストランドにならなかった。そのため、ペレット
を作製することができなかった。
【0044】[比較例2]ポリマー合成例6 含水硫化ソーダ(純度46.40%)372kg及びN
MP805kgをチタン張り重合缶に仕込み、窒素雰囲
気下で徐々に約200℃まで昇温しながら、53.9モ
ルの硫化水素と共に、水140.3kgを留出させた。
次いで、p−DCB330kg、1,2,4−トリクロ
ロベンゼン0.989kg、及びNMP274kgの混
合溶液を供給して、220℃で5時間重合反応を行っ
た。次に、水97.3kgを圧入し、255℃で1時間
重合反応を行った後、240℃に降温して5時間重合反
応を継続した。重合反応終了後、反応系を冷却し、次い
で、反応混合液を目開き150μm(100メッシュ)
のスクリーンで篩分し、粒状ポリマーを分離した。粒状
ポリマーは、メタノール洗と水洗をそれぞれ3回行った
後、脱水、乾燥した。得られたポリマーの310℃、剪
断速度200/秒における溶融粘度は600Pa・s
で、R=2.98であった。
【0045】インフレーションフィルム製膜実験 上記で得られたポリマーを、30mmφ二軸混練押出機
(プラスチック工学研究所製BT−30型機)へ供給
し、シリンダー温度290〜310℃にて混練を行い、
ペレットを作製した。得られたペレットをインフレーシ
ョンフィルム製膜用ダイを備えた二軸押出機(東洋精機
製作所製ラボプラストミル)へ供給し、シリンダー温度
315℃、押出量50g/分、引取速度6m/分、ブロ
ー比2.3の条件で、折り径90mmのインフレーショ
ンフィルムを作製した。しかし、得られたインフレーシ
ョンフィルムは、フィシュアイ状の不均一部分が多く、
延伸切れを引き起こし、均一な延伸ができなかった。
【0046】[比較例3]ポリマー合成例7 含水硫化ソーダ(純度46.40%)390kg及びN
MP800kgをチタン張り重合缶に仕込み、窒素雰囲
気下で徐々に約200℃まで昇温しながら、57.2モ
ルの硫化水素と共に、水147kgを留出させた。次い
で、p−DCB337.5kgとNMP219kgとの
混合溶液を供給して、220℃で4.5時間重合反応を
行った。次に、水80.8kgを圧入し、255℃で2
時間重合反応を行った後、245℃に降温して、11時
間重合反応を継続した。重合反応終了後、反応系を冷却
し、次いで、反応混合液を目開き150μm(100メ
ッシュ)のスクリーンで篩分し、粒状ポリマーを分離し
た。粒状ポリマーは、メタノール洗と水洗をそれぞれ3
回行った後、脱水し、乾燥した。得られたポリマーの3
10℃、剪断速度200/秒における溶融粘度は、91
6Pa・sで、R=1.90であった。
【0047】インフレーションフィルム製膜実験 上記で得られたポリマーを、30mmφ二軸混練押出機
(プラスチック工学研究所製BT−30型機)へ供給
し、シリンダー温度290〜320℃にて混練を行い、
ペレットを作製した。得られたペレットをインフレーシ
ョンフィルム製膜用ダイを備えた二軸押出機(東洋精機
製作所製ラボプラストミル)へ供給し、シリンダー温度
320℃、押出量50g/分、引取速度6m/分、ブロ
ー比2.3の条件で、折り径90mmのインフレーショ
ンフィルムを作製した。しかし、樹脂切れが生じ、安定
して連続製膜ができなかった。さらに、樹脂切れ後の復
旧作業が困難で、再スタートするのに手間取った。
【0048】[比較例4]ポリマー合成例8 含水硫化ソーダ(純度46.21%)420kg、及び
NMP720kgをチタン張り重合缶に仕込み、窒素雰
囲気下で徐々に約200℃まで昇温しながら、61.8
モルの硫化水素と共に、水160.0kgを留出させ
た。次いで、p−DCB363.6kgとNMP250
kgとの混合溶液を供給して、220℃で4.5時間重
合反応を行った。次に、水56.5kgを圧入し、25
5℃で5時間重合反応させた。重合反応終了後、反応系
を冷却し、次いで、反応混合液を目開き150μm(1
00メッシュ)のスクリーンで篩分し、粒状ポリマーを
分離した。粒状ポリマーは、メタノール洗3回、水洗を
3回、3%塩化アンモニウム溶液洗1回、水洗2回を行
い、水でリスラリーした後、塩酸を添加しpH約5に調
整し、脱水し、乾燥した。得られたポリマーの310
℃、剪断速度200/秒における溶融粘度は、192P
a・sで、R=1.37であった。
【0049】インフレーションフィルム製膜実験 上記で得られたポリマーを、30mmφ二軸混練押出機
(プラスチック工学研究所製BT−30型機)へ供給
し、シリンダー温度290〜305℃にて混練を行い、
ペレットを作製した。得られたペレットをインフレーシ
ョンフィルム製膜用ダイを備えた二軸押出機(東洋精機
製作所製ラボプラストミル)へ供給し、シリンダー温度
310℃、押出量50g/分で延伸しようとしたが、弾
力性に乏しく、樹脂切れが生じ、製膜ができなかった。
これらの実施例及び比較例における樹脂の溶融粘度、製
膜条件、フィルム物性などを一括して表1に示す。
【0050】
【表1】
【0051】
【発明の効果】本発明によれば、特定のPAS樹脂を用
いることにより、耐熱性、耐薬品性、耐フレオン性、電
気的特性などに優れたPAS樹脂のインフレーションフ
ィルムを得ることができる。得られたインフレーション
フィルムは、記録材の基材フィルム、電線の被覆材、熱
収縮フィルムなどの広範な用途分野で使用することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、PAS樹脂の溶融粘度η200とR(η
200 /η1200)値との関係を示すグラフである。ABC
Dの枠内が、本発明のインフレーションフィルム用PA
S樹脂の範囲である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合
    物をトリハロ芳香族化合物の存在下に重合して得られる
    分岐型ポリアリーレンスルフィド樹脂であって、310
    ℃、剪断速度200/秒で測定した溶融粘度η200が5
    0〜3000Pa・sで、該溶融粘度η200と310
    ℃、剪断速度1200/秒で測定した溶融粘度η1200
    の比R(η200 /η1200)が下記の関係式(1) 【数1】 を満足するポリアリーレンスルフィド樹脂からなること
    を特徴とするインフレーションフィルム用樹脂。
  2. 【請求項2】 アルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合
    物をトリハロ芳香族化合物の存在下に重合して得られる
    分岐型ポリアリーレンスルフィド樹脂であって、310
    ℃、剪断速度200/秒で測定した溶融粘度η200が5
    0〜3000Pa・sで、該溶融粘度η200と310
    ℃、剪断速度1200/秒で測定した溶融粘度η1200
    の比R(η200 /η1200)が下記の関係式(1) 【数2】 を満足するポリアリーレンスルフィド樹脂をインフレー
    ション法によりフィルム状に成形してなることを特徴と
    するインフレーションフィルム。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002331035A (ja) * 2001-05-11 2002-11-19 Kanegafuchi Chem Ind Co Ltd バルーン用パリソン

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