JP2853513B2 - 自動変速機の変速制御装置 - Google Patents

自動変速機の変速制御装置

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JP2853513B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動変速機の低速段エ
ンジンブレーキ状態で、エンジンが過回転するのを確実
に防止するための変速制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】自動変速機は各種摩擦要素(摩擦クラッ
チや摩擦ブレーキ)の選択的油圧作動(締結)により対
応変速段を選択し、作動する摩擦要素の変更により他の
変速段への変速を行うよう構成する。
【0003】ところで変速に当たっては、本願出願人が
開発使用中で、「NISSANマキシマ新型車解説書J
30型系車変更点の紹介」1991年8月発行(FOO
7671)に記載の自動変速機等に見られる如く、変速
指令にシフト弁を応動させてマニュアル弁からの前進変
速段選択圧を対応する走行用摩擦要素に振り分け、該走
行用摩擦要素を作動させることにより所定の変速を行う
ようにするのが常套であった。
【0004】しかし、かようにシフト弁を介して変速を
行うのでは、当該変速に当り作動されることとなった走
行用摩擦要素の作動圧を変速ショック軽減用に適切に制
御するための弁および回路や、該作動されることとなっ
た走行用摩擦要素の作動タイミングを変速ショック軽減
用に適切に制御するための弁および回路等が別途必要で
あり、自動変速機の変速制御油圧回路が複雑且つ高価に
なるのを免れ得なかった。
【0005】この問題解決のために従来、米国特許第
4,935,872号明細書において、シフト弁を一切
用いず、マニュアル弁を前進自動変速レンジにする間、
このマニュアル弁から出力される前進変速段選択圧を、
各走行用摩擦要素へ個々の調圧弁による調圧下に給排し
て、走行用摩擦要素を選択的に作動させることにより、
所定変速段を選択することができるようにした自動変速
機の変速制御装置が提案された。
【0006】かかる提案技術によれば、走行用摩擦要素
の作動圧経時変化およびその立ち上がりタイミングを個
々の調圧弁により任意に制御することができ、該調圧弁
を適切に制御するだけで変速ショックを確実に軽減する
ことが可能となり、変速ショック軽減用の弁や回路を別
途に付加する必要がなくて、自動変速機の構成を簡単且
つ安価なものにすることができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかして、かかる変速
制御システムを、前記「NISSANマキシマ新型車解
説書J30型系車変更点の紹介」1991年8月発行
(FOO7671)に記載された自動変速機の歯車変速
機構に用いる時、以下の問題を生ずる。
【0008】即ちこの自動変速機では、低速段(第1
速)での動力伝達をワンウェイクラッチ(ローワンウェ
イクラッチ)を介して行うようにし、低速段から高速段
へのアップシフト変速が、当該ワンウェイクラッチのオ
ーバーランにより完遂されるようにすることで、変速シ
ョック対策がし易くなるようにしている。
【0009】しかして、上記のワンウェイクラッチは低
速段でのエンジンブレーキを効かなくすることから、こ
のエンジンブレーキが必要な場合のために、ワンウェイ
クラッチに並列的にエンジンブレーキ用摩擦要素を設
け、これをエンジンブレーキ要求時に作動させてワンウ
ェイクラッチの上記オーバーランを不能にする。
【0010】ところで、このようにしてエンジンブレー
キが効くようにする場合、車速が高いと、低速段である
ことから、エンジンが許容回転数以上まで車輪により逆
駆動(過回転)され、エンジンの耐久性が損なわれる。
この問題に鑑み上記文献に記載の変速制御油圧回路にお
いては、シフト弁に、車速がエンジンの過回転を生じな
い回転数に低下するまで低速段への変速を行わせなくす
る機能を持たせていた。
【0011】しかし、前進段選択圧を各走行用摩擦要素
へ個々の調圧弁による調圧下に給排して、走行用摩擦要
素を選択的に作動させることにより、所定変速段を選択
するようにした前記の変速制御装置を用いる場合、シフ
ト弁がないために当該エンジンの過回転防止対策を施し
得ない。
【0012】本発明は、シフト弁がない場合において
も、即ちこれに頼ることなくエンジンブレーキ時におけ
るエンジンの過回転を防止し得るようにした変速制御装
置を構築することで上述の問題を解消することを目的と
する。
【0013】
【課題を解決するための手段】この目的のため本発明
は、マニュアル弁を前進自動変速レンジにする間、該マ
ニュアル弁から出力される前進変速段選択圧を、各走行
用摩擦要素へ個々の調圧弁による調圧下に給排して、走
行用摩擦要素を選択的に作動させることにより、所定変
速段を選択することができ、マニュアル弁を低速段エン
ジンブレーキレンジにする間、該マニュアル弁から出力
される前進変速段選択圧およびエンジンブレーキレンジ
圧のうち、前進変速段選択圧により対応する走行用摩擦
要素を作動させて低速段を選択すると共に、エンジンブ
レーキレンジ圧によりエンジンブレーキ用摩擦要素を作
動させて、該低速段でのエンジンブレーキが得られるよ
うにした自動変速機において、前記低速段エンジンブレ
ーキ状態にするとエンジンが過回転する車速域か否かを
判別するエンジン過回転判別手段と、該手段からの信号
に応答し、エンジンが過回転する車速域では、前記マニ
ュアル弁からエンジンブレーキ用摩擦要素に至るエンジ
ンブレーキレンジ圧回路を遮断する遮断弁とを設けたも
のである。
【0014】
【作用】自動変速機は、マニュアル弁を前進自動変速レ
ンジにした状態で、このマニュアル弁から出力される前
進変速段選択圧を、各走行用摩擦要素へ個々の調圧弁に
よる調圧下に給排して、走行用摩擦要素を選択的に作動
させることにより、所定変速段を選択する。そして、マ
ニュアル弁を低速段エンジンブレーキレンジにした状態
で、このマニュアル弁から出力される前進変速段選択圧
およびエンジンブレーキレンジ圧のうち、前進変速段選
択圧により対応する走行用摩擦要素を作動させて低速段
を選択し、同時に、エンジンブレーキレンジ圧によりエ
ンジンブレーキ用摩擦要素を作動させて、当該低速段で
のエンジンブレーキを可能にする。
【0015】ところでエンジン過回転判別手段は、当該
低速段でのエンジンブレーキ状態になるとエンジンが過
回転する車速域か否かを判別し、この過回転を生ずる車
速域で遮断弁は、エンジンブレーキレンジ圧回路を遮断
し、マニュアル弁からエンジンブレーキ用摩擦要素へエ
ンジンブレーキレンジ圧が供給されなくする。よって、
当該車速域でエンジンブレーキ用摩擦要素が締結される
ことはなく、シフト弁がない変速制御装置であると雖も
エンジンの過回転を防止することができる。
【0016】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づき詳細に
説明する。図1は本発明変速制御装置を適用した自動変
速機の動力伝達列及び各種摩擦要素の締結論理表を示
す。この伝動列は本願出願人の発行になる前記文献に記
載された自動変速機における歯車変速機構と同じもの
で、トルクコンバータ1を介しエンジンクランクシャフ
ト(図示せず)からの回転動力を伝達される入力軸2及
びこれに同軸に出力軸3を具え、これら入出力軸上に同
軸に配した第1遊星歯車組4及び第2遊星歯車組5と、
後述の各種摩擦要素とで構成する。
【0017】第1遊星歯車組4はサンギヤ4S、リング
ギヤ4R、これらに噛合するピニオン4P及びピニオン
4Pを回転自在に支持するキャリア4Cよりなる通常の
単純遊星歯車組とし、第2遊星歯車組5もサンギヤ5
S、リングギヤ5R、ピニオン5P及びキャリア5Cよ
りなる単純遊星歯車組とする。
【0018】次に変速制御を司る各種摩擦要素を説明す
る。キャリア4CはハイクラッチH/Cを介して入力軸
2に適宜結合可能とし、サンギヤ4Sはバンドブレーキ
B/Bにより適宜固定可能とする他、リバースクラッチ
R/Cにより入力軸2に適宜結合可能とする。キャリア
4Cは更に多板式のローリバースブレーキLR/Bによ
り適宜固定可能にすると共に、ローワンウェイクラッチ
LO/Cを介して逆転(エンジンと逆方向の回転)を阻
止する。リングギヤ4Rはキャリア5Cに一体結合して
出力軸3に駆動結合し、サンギヤ5Sを入力軸2に結着
する。リングギヤ5RはオーバーランクラッチOR/C
を介して適宜キャリア4Cに結合可能とする他、フォワ
ードワンウェイクラッチFO/C及びフォワードクラッ
チF/Cを介してキャリア4Cに相関させる。フォワー
ドワンウェイクラッチFO/CはフォワードクラッチF
/Cの結合状態でリングギヤ5Rを逆転方向(エンジン
回転と逆の方向)においてキャリア4Cに結合させるも
のとする。
【0019】ハイクラッチH/C、リバースクラッチR
/C、ローリバースブレーキLR/B、オーバーランク
ラッチOR/C及びフォワードクラッチF/Cは夫々、
油圧の供給により作動されて前記した適宜の結合及び固
定を行うものであるが、バンドブレーキB/Bは特に図
1の表に示す如く2速サーボアプライ室2A、3速サー
ボレリーズ室3R及び4速サーボアプライ室4Aを有
し、常態で開放され、室2Aのみへの圧力供給により締
結され、室2Aに加え室3Rにも圧力を供給する時開放
され、室2A,3Rに加え室4Aにも圧力を供給する時
締結されるものとする。
【0020】図1の動力伝達列は、摩擦要素B/B,H
/C,F/C,OR/C,LR/B,R/Cを同図の表
中に示す如く種々の組合せで締結作動(○印で示す)さ
せることにより、摩擦要素FO/C,LO/Cの適宜作
動(係合)と相俟って、遊星歯車組4,5を構成する要
素の回転状態を変え、これにより入力軸2の回転速度に
対する出力軸3の回転速度比を変えて前進4速後退1速
の変速段を得ることができる。なお、図1の表中△印も
作動(油圧流入)を示すが、この△印はエンジンブレー
キが必要な時に作動させるべきエンジンブレーキ用摩擦
要素を示す。そして、△印の如くオーバーランクラッチ
OR/Cが作動されている間、これに並置したフォワー
ドワンウェイクラッチFO/Cは解放不能に保たれてエ
ンジンブレーキを可能にし、ローリバースブレーキLR
/Bが作動している間これに並置したローワンウェイク
ラッチLO/Cが解放不能に保たれエンジンブレーキを
可能にすること勿論である。
【0021】更に、図1の表中フォワードクラッチF/
Cの点線丸印は、このクラッチが第4速で動力伝達に関
与しないにもかかわらず、変速制御油圧回路の都合上締
結のままにすることを示す。
【0022】図2は、上記歯車変速機構の変速制御油圧
回路を示す。11はレギュレータ弁で、オイルポンプ12か
らの作動油を周知の作用により所定のライン圧に調圧
し、これを自動変速機の全ての元圧として使用するよう
回路13に出力する。この回路13からのライン圧はマニ
ュアル弁14およびパイロット弁15等に供給する。
【0023】マニュアル弁14は運転者が希望する走行形
態に応じ手動操作するもので、駐(停)車を希望してP
(N)レンジにする時回路13のライン圧をどの出力回路
にも供給せず、全てをドレンする。又マニュアル弁14
は、前進自動変速走行を希望して前進自動変速(D)レ
ンジにする時、図示の如く回路13のライン圧を回路16
に前進変速段選択圧(Dレンジ圧)として出力し、他の
出力回路を全てドレンし、第2速エンジンブレーキ走行
を希望して2レンジにする時回路13のライン圧を回路1
7にも2レンジ圧として出力し、他の出力回路をドレン
し、第1速エンジンブレーキ走行を希望してエンジンブ
レーキ(1)レンジにする時回路13のライン圧を回路1
8にもエンジンブレーキレンジ圧(1レンジ圧)として
出力し、他の出力回路をドレンするものとする。但し、
本例では2レンジ圧を必要としないため、回路17を閉
塞しておく。更にマニュアル弁14は、後退走行を希望し
てRレンジにする時回路13のライン圧を回路19のみに
後退変速段選択圧(Rレンジ圧)として出力し、他の出
力回路を全てドレンするものとする。
【0024】回路16のDレンジ圧は、ワンウェイオリ
フィス20を介してフォワードクラッチF/Cの作動に
供し、この作動をワンウェイオリフィス20とアキュム
レータ21とで緩やかに行わせることにより、フォワー
ドクラッチF/Cの締結ショック、つまりN→Dセレク
トショックを緩和する。
【0025】パイロット弁15は回路13からのライン圧
を減圧して一定のパイロット圧となし、これを回路22
により遮断弁23のON・OFFソレノイド24、切り
換え弁25のON・OFFソレノイド26、調圧弁27
のデューティソレノイド28、調圧弁29のデューティ
ソレノイド30、調圧弁31のデューティソレノイド3
2に供給するものとする。
【0026】ソレノイド24,26,28,30,32
はそれぞれ、OFF時、回路22からのパイロット圧を
ドレンして対応する弁23,25,27,29,31へ
信号圧を印加せず、これら弁を常態のままにし、ON
時、回路22からのパイロット圧を元圧として対応する
弁23,25,27,29,31へ信号圧を印加するも
のとする。但しデューティソレノイド28,30,31
は、駆動デューティに応じて回路22からのパイロット
圧をドレンし、対応する弁27,29,31に印加する
信号圧を駆動デューティに対応して加減し得るものとす
る。
【0027】遮断弁23は、ソレノイド24のOFF
時、図示の常態となって回路16を回路33に通じ、回
路18をドレンポート23aに通じ、回路34をドレン
ポート23bに通じ、ソレノイド弁24のON時、逆位
置に切り換わって回路16を遮断し、回路33をドレン
ポート23aに通じ、回路18,33間を連通させるも
のとする。
【0028】回路33は調圧弁27,29,31の入力
ポートに接続し、これら調圧弁はソレノイド28,3
0,32からのデューティ制御圧に応動し、回路33か
らの圧力を元圧として出力回路35,36,37の圧力
を上昇させ、過剰圧をドレンポート27a,29a,3
1aより排除することにより、出力回路35,36,3
7の圧力をソレノイド28,30,32の駆動デューテ
ィに対応した値に調圧するものとする。
【0029】切り換え弁25は、ソレノイド26のOF
F時、図示の常態位置となって回路35をドレンポート
25aに通じ、回路38をドレンポート25bに通じ、
回路16から分岐した回路39を回路40に通じるも、
ソレノイド26のON時、逆位置に切り換わって回路3
8を回路35に通じ、回路40をドレンポート25bに
通じるものとする。
【0030】回路38の圧力は、ワンウェイオリフィス
41を介してバンドブレーキB/Bの4速サーボアプラ
イ室4Aに供給してバンドブレーキB/Bの作動に供
し、この作動をワンウェイオリフィス41とアキュムレ
ータ42とで緩やかに行わせることにより、バンドブレ
ーキB/Bの締結で行う変速時の変速ショックを緩和す
る。
【0031】回路36は、バンドブレーキB/Bの3速
サーボレリーズ室3RおよびハイクラッチH/Cに接続
し、回路37はバンドブレーキB/Bの2速サーボアプ
ライ室2Aに接続する。回路40はオーバーランクラッ
チ減圧弁43を介してオーバーランクラッチOR/Cに
接続し、回路40の圧力をオーバーランクラッチ減圧弁
43により所定値に減圧してオーバーランクラッチOR
/Cの作動に供するものとする。
【0032】回路34は1レンジ減圧弁44、シャトル
弁45および回路46を介してローリバースブレーキL
R/Bに接続し、回路34の圧力を1レンジ減圧弁44
により所定値に減圧してローリバースブレーキLR/B
の作動に供するものとする。
【0033】最後に、回路19の圧力はワンウェイオリ
フィス47を介してリバースクラッチR/Cに供給して
該リバースクラッチR/Cの作動に供し、この作動をワ
ンウェイオリフィス47とアキュムレータ48とで緩や
かに行わせることにより、リバースクラッチR/Cの締
結ショック、つまりN→Rセレクトショックを緩和す
る。
【0034】回路19は更に、回路49を介してシャト
ル弁45の残りの入力ポートに接続し、このシャトル弁
および回路46を経て回路19をローリバースブレーキ
LR/Bにも通じさせる。
【0035】ソレノイド24,26のON,OFF制
御、およびソレノイド28,30,32のデューティ制
御は夫々、エンジン過回転判別手段としてのコントロー
ラ50によりこれらを実行し、これがためコントローラ
50には、エンジンスロットル開度THを検出するスロ
ットル開度センサ51からの信号、車速VSPを検出す
る車速センサ52からの信号、およびマニュアル弁14
の選択レンジを検出するレンジセンサ53からの信号R
NGを入力する。コントローラ50はこれら入力情報を
基に、図3の論理表に沿った各ソレノイドの制御を介し
選択レンジ毎に通常の変速を行うと共に、図4の制御プ
ログラムにより本発明が狙いとするエンジン過回転防止
作用を生起させるものとする。
【0036】上記実施例の作用を次に説明する。Dレンジ 前進自動変速を希望してマニュアル弁14をDレンジに
すると、マニュアル弁14は回路13のライン圧を回路
16に前進変速段選択圧として出力する。この圧力は一
方でワンウェイオリフィス20を経てフォワードクラッ
チF/Cに達し、これを作動させるが、この際フォワー
ドクラッチF/Cの締結はワンウェイオリフィス20お
よびアキュムレータ21により緩やかに行われ、締結シ
ョックを緩和される。
【0037】ここでコントローラ50は、センサ51,
52で検出したエンジンスロットル開度THおよび車速
VSPから好適変速段を演算し、これが第1速である場
合、図3に示すようにソレノイド24,26のみをON
する。
【0038】ソレノイド24のONは遮断弁23を図示
位置から逆位置に切り換え、回路16から遮断弁23に
達する圧力をここで遮断すると共に、回路33をドレン
ポート23aに通じ、更に回路34を回路18に通じ
る。なお、回路18はマニュアル弁14のDレンジでド
レンされているため、回路34もドレンされ、この回路
でローリバースブレーキLR/Bが作動されることはな
い。また、回路33が上記の通りドレンされることで、
回路33に係わるバンドブレーキB/Bの全室2A,3
R,4AおよびハイクラッチH/Cもドレンされ、バン
ドブレーキB/BおよびハイクラッチH/Cが作動され
ることもない。
【0039】ソレノイド26のONは切り換え弁25を
図示位置から逆位置に切り換え、回路35,38間を連
通させると共に、回路40をドレンポート25bに通
じ、かかる回路40のドレンはオーバーランクラッチO
R/Cをして非作動状態に保つ。
【0040】なお、回路19はマニュアル弁14のDレ
ンジでドレンされているため、この回路でリバースクラ
ッチR/Cが作動されることもない。
【0041】以上により、図1の歯車変速機構はフォワ
ードクラッチF/Cのみが作動されることとなり、フォ
ワードワンウェイクラッチFO/Cおよびローワンウェ
イクラッチLO/Cの係合と相俟って前進第1速を選択
することができる。
【0042】コントローラ50は、センサ51,52で
検出したエンジンスロットル開度THおよび車速VSP
から好適変速段が第2速であると演算する場合、図3に
示すようにソレノイド26を第1速の時と同じON状態
にするも、ソレノイド24をOFFし、ソレノイド32
を後述のデューティ制御下にONする。
【0043】ソレノイド24のOFFは遮断弁23を図
示位置にし、回路16からの圧力を回路33に出力する
と共に、回路34をドレンポート23bに通じてローリ
バースブレーキLR/Bを非作動状態に保つ。回路33
への圧力は調圧弁27,29,31に達するが、コント
ローラ50がソレノイド28,30の駆動デューティを
0%に保つため、回路35,36に圧力を出力すること
はなく、これら回路に係わるバンドブレーキB/Bの室
4A,3RおよびハイクラッチH/Cに作動圧を供給し
ない。ところでコントローラ50は、ソレノイド32を
ONするに当り、その駆動デューティを0%から漸増さ
せる。これにより回路37の圧力も漸増し、この圧力が
バンドブレーキB/Bの2速サーボアプライ室2Aに至
って、バンドブレーキB/Bを徐々に締結させる。
【0044】よって、図1の歯車変速機構はフォワード
クラッチF/CおよびバンドブレーキB/Bの作動によ
り、フォワードワンウェイクラッチFO/Cの係合と相
俟って前進第2速を選択することができる。
【0045】コントローラ50は、センサ51,52で
検出したエンジンスロットル開度THおよび車速VSP
から好適変速段が第3速であると演算する場合、図3に
示すように第2速の状態に付加して、ソレノイド30を
後述のデューティ制御下にONする。ソレノイド30の
駆動デューティは0%から漸増させ、これにより回路3
6の圧力も漸増される。この圧力がバンドブレーキB/
Bの3速サーボレリーズ室3RおよびハイクラッチH/
Cに至って、バンドブレーキB/Bを解放させると共
に、ハイクラッチH/Cを締結させる。
【0046】よって、図1の歯車変速機構はフォワード
クラッチF/CおよびハイクラッチH/Cの作動によ
り、フォワードワンウェイクラッチFO/Cの係合と相
俟って前進第3速を選択することができる。
【0047】コントローラ50は、センサ51,52で
検出したエンジンスロットル開度THおよび車速VSP
から好適変速段が第4速(オーバードライブ)であると
演算する場合、図3に示すように第3速の状態に付加し
て、ソレノイド28を後述のデューティ制御下にONす
る。ソレノイド28の駆動デューティは0%から漸増さ
せ、これにより回路35の圧力も漸増される。この圧力
が切り換え弁25および回路38を介しバンドブレーキ
B/Bの4速サーボアプライ室4Aに至って、このバン
ドブレーキB/Bを再締結させる。ところでこの際、回
路38のワンウェイオリフィス41およびアキュムレー
タ42はバンドブレーキB/Bの再締結を滑らかに行わ
せ、その締結ショックを緩和することができる。
【0048】よって、図1の歯車変速機構はバンドブレ
ーキB/BおよびハイクラッチH/Cの作動により前進
第4速を選択することができる。なお、この第4速でフ
ォワードクラッチF/Cは、動力伝達に関与しないた
め、油圧回路の便宜上締結状態に保つこととした。
【0049】運転者が図示せざるOD(オーバードライ
ブ)禁止スイッチにより第4速(オーバードライブ)を
禁止する指令を発する場合、コントローラ50は図3に
示すように第4速の状態からソレノイド28をOFFす
ると共に、ソレノイド26もOFFする。ソレノイド2
6のOFFにより切り換え弁25は図示の位置に切り換
わり、回路38をドレンポート25bに通じてバンドブ
レーキB/Bの4速サーボアプライ室4Aをドレンする
と共に、回路39,40間を通じて回路16の圧力をオ
ーバーランクラッチOR/Cに供給する。4速サーボア
プライ室4AのドレンはバンドブレーキB/Bの解放に
より、図1の歯車変速機構をして第3速にダウンシフト
変速せしめ、オーバーランクラッチOR/Cへの圧力供
給はこれを締結して、図1の歯車変速機構を第3速での
エンジンブレーキが可能な状態にする。
【0050】2レンジ 第2速エンジンブレーキ走行を希望してマニュアル弁1
4を2レンジにすると、マニュアル弁14は回路13の
ライン圧を回路16に前進変速段選択圧として出力し、
回路17にも回路13のライン圧を出力する。しかし、
回路17への圧力は本例では何にも使用しないため、マ
ニュアル弁14は変速制御油圧回路に対しDレンジの場
合と同じように作用する。
【0051】一方、この2レンジでコントローラ50は
図3に示すように、ソレノイド32のみをONし、前記
したDレンジ第2速とは、ソレノイド26がOFFされ
る点で異なる。
【0052】ソレノイド32のONはバンドブレーキB
/Bを締結させ、フォワードクラッチF/Cの締結と
で、Dレンジ第2速時と同じく図1の変速歯車機構を第
2速選択状態にする。
【0053】そして、ソレノイド26のOFFは切り換
え弁25を図示の位置にし、回路39,40間を通じて
回路16の圧力をオーバーランクラッチOR/Cに供給
する。これにより上記OD禁止時と同じく、オーバーラ
ンクラッチOR/Cが締結され、図1の歯車変速機構を
第2速でのエンジンブレーキが可能な状態にすることが
できる。
【0054】1レンジ 第1速エンジンブレーキ走行を希望してマニュアル弁1
4を1レンジにすると、マニュアル弁14は回路13の
ライン圧を回路16に前進変速段選択圧として出力し、
回路18にも回路13のライン圧を出力する。
【0055】一方、この1レンジでコントローラ50は
図3に示すように、ソレノイド24のみをONし、前記
したDレンジ第1速とは、ソレノイド26がOFFされ
る点で異なる。
【0056】ソレノイド24のONは遮断弁23を図示
位置と逆の位置にし、回路16から遮断弁23に達する
圧力をここで遮断すると共に、回路33をドレンポート
23aに通じ、更に回路34を回路18に通じる。回路
33のドレンは第2速以上の変速段を選択させなくし、
従って図1の変速歯車機構を第1速選択状態にする。
【0057】また、回路18,34の連通は、当該1レ
ンジで回路18が回路13のライン圧を出力されること
から、この圧力によりローリバースブレーキLR/Bを
して、これを締結させることとなる。この際ローリバー
スブレーキLR/Bが、その作動圧を1レンジ減圧弁4
4により適切に減圧されて、締結容量を適切にされるこ
とは言うまでもない。
【0058】なお、この1レンジでコントローラ50は
図3に示すように、ソレノイド26をOFFするため、
切り換え弁25が図示位置にあって、オーバーランクラ
ッチOR/Cを締結する。
【0059】よって、図1の歯車変速機構はDレンジ第
1速選択時と同じ状態になるのに加えて、ローリバース
ブレーキLR/BおよびオーバーランクラッチOR/C
が締結されることとなり、第1速でのエンジンブレーキ
を生起させることができる。
【0060】ところで、かかる1レンジへのセレクト
時、コントローラ50はソレノイド24を上記の如くO
Nするに際し、これを図4の制御プログラムに基づいて
制御する。つまり、先ずステップ61で車速VSPおよ
び選択レンジRNGを読み込み、ステップ62で1レン
ジ選択中か否かをチェックし、またステップ63におい
て車速VSPが第1速でエンジンの過回転を生ずる車速
域の下限値Vs以上か否かをチェックする。
【0061】1レンジ以外では図4におけるソレノイド
24の制御が不要であるから、制御をそのまま終了し
て、ソレノイド24のON,OFFを図3の論理表のま
まに行わせ、また1レンジでもVSP≧Vsならエンジ
ンの過回転を生ずる車速域であることから、この場合も
制御をそのまま終了して、ソレノイド24をOFFに保
つ。これにより遮断弁23が図2に示す位置に保たれ
て、ローリバースブレーキLR/Bを作動させることが
なく、図1の歯車変速機構をエンジンブレーキが効かな
い状態に保って、エンジンの過回転を回避することがで
きる。
【0062】しかして、1レンジ選択時に車速VSPが
設定車速Vs未満であれば、或は当初車速VSPが設定
車速Vs以上でもその後に設定車速Vs未満に低下すれ
ば、エンジンブレーキによっても、エンジンが過回転さ
れることがないから、ステップ64でソレノイド24を
直ちにONして、図1の歯車変速機構をエンジンブレー
キが効く状態にする。
【0063】Rレンジ 後退走行を希望してマニュアル弁14をRレンジにする
と、マニュアル弁14は回路13のライン圧を回路19
に後退変速段選択圧として出力する。この圧力は一方
で、ワンウェイオリフィス47を経てリバースクラッチ
R/Cに達し、これを作動させるが、この際リバースク
ラッチR/Cの締結はワンウェイオリフィス47および
アキュムレータ48により緩やかに行われ、締結ショッ
クを緩和される。回路19の圧力は他方で、回路49、
シャトル弁45および回路46を経てローリバースブレ
ーキLR/Bに達し、これを作動させる。
【0064】よって、図1の歯車変速機構はリバースク
ラッチR/CおよびローリバースブレーキLR/Bの作
動により後退変速段を選択することができる。
【0065】なお、上述の例における調圧弁27および
デューティソレノイド28は、バンドブレーキB/Bの
各室2A,3R,4A間において受圧面積の関係を適切
に定める場合、これらを省略することができ、この場合
回路35を回路33に直接接続する。
【0066】
【発明の効果】かくして本発明変速制御装置は請求項1
に記載の如く、低速段(図示例では第1速)でのエンジ
ンブレーキ時にエンジンが過回転されるような車速域で
は、これを判別する手段(図示例ではコントローラ5
0)からの信号に応動して、エンジンブレーキ用摩擦要
素へ作動圧が供給されることのないようにする遮断弁
(図示例では遮断弁23)を設けて構成したから、前進
変速段選択圧を各走行用摩擦要素へ個々の調圧弁(図示
例では調圧弁27,29,31)による調圧下に給排し
て、走行用摩擦要素を選択的に作動させることにより、
シフト弁なしに所定変速段を選択し得るようにした変速
制御装置を用いる場合でも、低速段でのエンジンブレー
キ時にエンジンが過回転されるのを確実に防止すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の変速制御装置を適用した自動変速機の
動力伝達列を各種摩擦要素の締結論理表と共に示す説明
図である。
【図2】同伝動列の変速制御油圧回路に適用した本発明
変速制御装置の一実施例を示す油圧回路図である。
【図3】同変速制御油圧回路中におけるソレノイドのO
N,OFFと選択変速段との関係を示す論理表である。
【図4】同例におけるコントローラが1レンジ選択時に
おいて実行する遮断弁ソレノイドの制御プログラムを示
すフローチャートである。
【符号の説明】
1 トルクコンバータ 2 入力軸 3 出力軸 4 第1遊星歯車組 5 第2遊星歯車組 F/C フォワードクラッチ(走行用摩擦要素) B/B バンドブレーキ(走行用摩擦要素) FO/C フォワードワンウェイクラッチ H/C ハイクラッチ(走行用摩擦要素) OR/C オーバーランクラッチ R/C リバースクラッチ LR/B ローリバースブレーキ(エンジンブレーキ用
摩擦要素) 11 レギュレータ弁 12 オイルポンプ 14 マニュアル弁 15 パイロット弁 23 遮断弁 24 遮断弁ソレノイド 25 切り換え弁 26 切り換え弁ソレノイド 27 調圧弁 28 調圧弁デューティソレノイド 29 調圧弁 30 調圧弁デューティソレノイド 31 調圧弁 32 調圧弁デューティソレノイド 45 シャトル弁 50 コントローラ(エンジン過回転判別手段) 51 スロットル開度センサ 52 車速センサ 53 レンジセンサ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−299351(JP,A) 特開 平4−366067(JP,A) 特開 平4−107356(JP,A) 特開 平3−163265(JP,A) 特開 平2−304247(JP,A) 特開 昭62−159839(JP,A) 特開 昭62−41454(JP,A) 特開 平2−216327(JP,A) 特開 平3−20167(JP,A) 実開 平2−33963(JP,U) 米国特許4935872(US,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) F16H 59/00 - 61/12 F16H 61/16 - 61/24 F16H 63/40 - 63/48

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マニュアル弁を前進自動変速レンジにす
    る間、該マニュアル弁から出力される前進変速段選択圧
    を、各走行用摩擦要素へ個々の調圧弁による調圧下に給
    排して、走行用摩擦要素を選択的に作動させることによ
    り、所定変速段を選択することができ、 マニュアル弁を低速段エンジンブレーキレンジにする
    間、該マニュアル弁から出力される前進変速段選択圧お
    よびエンジンブレーキレンジ圧のうち、前進変速段選択
    圧により対応する走行用摩擦要素を作動させて低速段を
    選択すると共に、エンジンブレーキレンジ圧によりエン
    ジンブレーキ用摩擦要素を作動させて、該低速段でのエ
    ンジンブレーキが得られるようにした自動変速機におい
    て、 前記低速段エンジンブレーキ状態にするとエンジンが過
    回転する車速域か否かを判別するエンジン過回転判別手
    段と、 該手段からの信号に応答し、エンジンが過回転する車速
    域では、前記マニュアル弁からエンジンブレーキ用摩擦
    要素に至るエンジンブレーキレンジ圧回路を遮断する遮
    断弁とを設けたことを特徴とする自動変速機の変速制御
    装置。
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US4935872A (en) 1988-04-29 1990-06-19 Chrysler Corporation Method of shift selection in an electronic automatic transmission system

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