JP2852025B2 - 新規な百日咳毒素変異株、このような変異株を生産し得るボルデテラ菌株及び抗百日咳菌ワクチンの開発に於けるそれらの使用 - Google Patents

新規な百日咳毒素変異株、このような変異株を生産し得るボルデテラ菌株及び抗百日咳菌ワクチンの開発に於けるそれらの使用

Info

Publication number
JP2852025B2
JP2852025B2 JP8191142A JP19114296A JP2852025B2 JP 2852025 B2 JP2852025 B2 JP 2852025B2 JP 8191142 A JP8191142 A JP 8191142A JP 19114296 A JP19114296 A JP 19114296A JP 2852025 B2 JP2852025 B2 JP 2852025B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
pertussis
mutants
mutant
bordetella
strain
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP8191142A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH09163978A (ja
Inventor
ピッツア マリアグラツィア
コヴァッチ アントネーロ
ラップオーリ リノ
ネンチォーニ ルチアーノ
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
SUKURAABO SpA
Original Assignee
SUKURAABO SpA
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Family has litigation
First worldwide family litigation filed litigation Critical https://patents.darts-ip.com/?family=26327122&utm_source=google_patent&utm_medium=platform_link&utm_campaign=public_patent_search&patent=JP2852025(B2) "Global patent litigation dataset” by Darts-ip is licensed under a Creative Commons Attribution 4.0 International License.
Priority claimed from IT8920341A external-priority patent/IT1230139B/it
Priority claimed from IT01928690A external-priority patent/IT1238007B/it
Application filed by SUKURAABO SpA filed Critical SUKURAABO SpA
Publication of JPH09163978A publication Critical patent/JPH09163978A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2852025B2 publication Critical patent/JP2852025B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/195Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from bacteria
    • C07K14/235Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from bacteria from Bordetella (G)
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K39/00Medicinal preparations containing antigens or antibodies
    • A61K39/02Bacterial antigens
    • A61K39/099Bordetella
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K39/00Medicinal preparations containing antigens or antibodies

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Mycology (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Gastroenterology & Hepatology (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Medicines Containing Antibodies Or Antigens For Use As Internal Diagnostic Agents (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、百日咳毒素変異株
を生産し分泌し得る、減少された毒性を有するか、また
は毒性をもたない新規な免疫学的に活性な百日咳毒素菌
株、それらの調製のための手段及び方法、並びに有効な
抗百日咳菌ワクチンを開発するためのそれらの使用に関
する。
【0002】また、本発明は、活性成分として少なくと
も一種の免疫学的に活性な百日咳毒素変異株を含み、し
かも減少された毒性を有するか、または毒性をもたない
抗百日咳菌ワクチンとして好適な免疫原性製剤(これは
ホルムアルデヒドにより処理されていてもよい)、また
は上記の変異株を生産し分泌し得るボルデテラ菌株もし
くは百日咳菌ワクチンを生産し得ないtoxボルデテラ菌
株に関する。
【0003】
【従来の技術】百日咳、即ち痙攣性せき及び重い呼吸シ
ンソマトロジィ(sinthomatology)の発作を特徴とする
バクテリア源の感染症は、全年令の個人を冒し、幼年期
の場合には、患者の0.5%で致命的である。
【0004】百日咳菌(これは百日咳の病因学的因子で
ある)は、病原性段階(段階I)中に一連の毒性成分を
生産し、その中で百日咳毒素(PT)がその疾患の主な病
原性因子に相当するだけでなく、重大な免疫原に相当す
る。
【0005】PT(これは5つの異なるサブユニット(S
1、S2、S3、S4、及びS5)からなるアンヘキサ
マー(anhexamer)の構造を有する)は、実際に、百日
咳に対して保護を与えるのに充分な量の抗体を実験動物
に誘導し得る。
【0006】感染の発生率は、好適なワクチンによる個
人の免疫化により制御し得る。
【0007】現在、細胞ワクチンが使用され、これはメ
ルチオレート(merthiolate)により処理され56℃で殺
された病原性百日咳菌の全細胞からなるワクチンであ
る。
【0008】しかしながら、上記のワクチンは、保護免
疫を与えるが、単なる水泡、紅斑及び発熱から痙攣及び
脳損傷に至る範囲の望ましくない副作用を生じることが
ある。これらの動機に関し、上記のワクチンの使用は最
近数年間で著しく減少されてきており、その疾患の新し
い大発生をもたらした。
【0009】それ故、無細胞ワクチンが、ホルムアルデ
ヒド(サトウ(Sato)ら著、Infect.Immun.41巻、313〜32
0頁 (1983年))、グルタルアルデヒド(クエンチン−ミ
レット(Quentin-Millet)ら著、J.Bio.Stand.16巻、99〜
108頁 (1988年))、テトラニトロメタン(シバー(Sibe
r)ら、1988年;ウィンドベリィ(Windberry)ら、1988
年、International Workshop of Bordetell pertussi
s、ハミルトン(Hamilton)、MO)、トリニトロベンゼンス
ルホン酸(フィッシュ(Fisch)ら著、Infect.Immun.44
巻、1〜16頁 (1984年))、過酸化水素(セクラ(Sekur
a)ら著、Infect.Immun.113巻、806〜813頁 (1983年))
の如き種々の化学試薬により解毒された病原性百日咳菌
により生産され分泌された一種以上の抗原毒性タンパク
質からなる技術に於いて提案された。
【0010】しかしながら、上記の解毒方法は、下記の
欠点を呈する。タンパク質毒性の復帰。実際に、ホルム
アルデヒドで解毒されたPTまたはPT及び糸状血球凝集素
(両方ともホルムアルデヒドにより処理されている)の
みからなる無細胞ワクチン(サトウY.ら著(Lancet i、
122〜126頁、1984年))は、子供の80%をその疾患から
保護し、50〜60%を感染から保護する(Ad hoc Group f
or the Study of Pertussis Vaccines、Lancet 1巻、9
59〜960頁、1988年)が、毒性の復帰を示す(ソートサ
エター(Sortsaeter)J.ら著、Pediatr.Infect.Dis.J.,
7巻、637〜645頁、1988年);解毒段階に必要とされる
苛酷な条件によりひき起こされる抗原タンパク質の減少
された免疫原性;解毒生産物の再現性の欠如;夫々の調
製に関して復帰を評価する試験(これらの試験は長時間
を要する)の必要なこと、及び最後に、このような抗原
タンパク質の調製に使用される人々に関して、多量の毒
性物質を取扱うことに於ける危険性。
【0011】知られているように、百日咳毒素の毒性
は、そのS1サブユニットのADP−リボシル−トランス
フェラーゼ活性により媒介される。上記欠点のない百日
咳ワクチンの調製に適した、野生型百日咳毒素(PT)に
関して変化された毒性を有する分子を得る目的のため、
S1のN−末端部分及び/またはC−末端部分の一連の
欠失変異株、並びにイタリア特許出願第22481号A(198
7年1月21日出願)に開示されているような、一つ以上
のアミノ酸置換を配列中に含む、S1に類似性の一連の
ペプチドが、構成され、大腸菌で形質発現された。
【0012】実際に、百日咳トキシンのサブユニットS
1を暗号化するDNAフラグメントは、部位特異性の突然
変異誘発により修飾されて、特異性部位中に、PT中に存
在するアミノ酸残基と異なるアミノ酸残基を含むサブユ
ニットを暗号化した。上記の処理された大腸菌株の培養
により得られたペプチドは、百日咳毒素の一つに関して
変化された毒性を示した。しかしながら、上記のペプチ
ドは、MS2バクテリオファージのポリメラーゼの98個の
アミノ酸のアミノ末端配列に融合されたタンパク質とし
て形質発現された。
【0013】更に、生体内(マウス)中で試験された場
合、上記のペプチドは、おそらく、それらがそのままで
は、それらが天然分子中で呈するのと同じ立体配座構造
を示し得ないという理由のため、保護抗百日咳抗体の生
成を誘導し得なかった。それ故、異種タンパク質(即
ち、宿主微生物菌株により自然に生産されないタンパク
質)を得るために、DNA組換え技術により処理された大
腸菌の如き宿主微生物を用いる方法は、所望の免疫原性
を有する生産物の調製に適さないようである。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、従来
技術の欠点のない、すなわち毒性の少ない、抗百日咳ワ
クチンの調製に適する免疫原を得ることである。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、上記の
ように、従来技術の欠点のない、抗百日咳ワクチンの調
製に適する免疫原を得ることである。これは、本発明に
よれば、減少された毒性を有するか、または毒性をもた
ない百日咳毒素変異株を形質発現し分泌し得る新規なボ
ルデテラ菌株を提供することにより得られる。
【0016】それ故、本発明の別の目的は、サブユニッ
トのS1アミノ酸配列の特異性部位中に、一つ以上の欠
失残基または異なるアミノ酸残基により置換された残基
を含むことを特徴とする、減少された毒性を有するか、
または毒性をもたない免疫活性な変異株を得ることであ
る。
【0017】本発明は、0.035%〜0.420%の重量/容量
%のホルムアルデヒドによる処理により得られる、熱安
定性及び減少された、もしくは不在の、分裂促進性(mi
toge-nenetic property)及び血球凝集性を特徴とす
る、毒性のない、もしくは減少された毒性を有する免疫
活性な百日咳毒素変異株である。
【0018】本発明の更に別の目的は、減少された毒性
を示すか、または毒性を示さない免疫活性な百日咳毒素
変異株を生産し分泌し得るボルデテラ菌株である。
【0019】本発明の別の目的は、このようなボルデテ
ラ菌株を調製する方法である。
【0020】本発明の更に別の目的は、好適な条件中で
このような突然変異ボルデテラ菌株を培養することを含
む、減少された毒性を有するか、または毒性をもたない
免疫活性な百日咳毒素変異株の調製方法である。
【0021】本発明の別の目的は、抗百日咳の有効な細
胞ワクチンの調製のために、減少された毒性を示すか、
または毒性を示さない百日咳毒素の免疫活性変異株を生
産し分泌し得るボルデテラ菌株、及び/または百日咳毒
素を生産し得ないΔtoxボルデテラ菌株を使用すること
である。
【0022】本発明の別の目的は、有効な抗百日咳無細
胞ワクチンの調製のために、必要によりホルムアルデヒ
ドにより処理された、減少された毒性を有するか、また
は毒性をもたない免疫活性な百日咳毒素変異株を使用す
ることである。
【0023】更に、本発明は、目的として、免疫有効量
の上記のボルデテラ菌株を含む、病原性百日咳菌から誘
導する感染に対して有効な保護応答を人に誘導し得る無
細胞ワクチンとして適する免疫原性製剤を有する。
【0024】本発明の更に別の目的は、免疫有効量の、
減少された毒性を有するか、または毒性をもたない免疫
活性な百日咳毒素変異株(上記の変異株は必要によりホ
ルムアルデヒドで処理される)を含む、病原性百日咳菌
から誘導する感染に対して有効な保護応答を人に生じ得
る無細胞ワクチンとして好適な免疫原性製剤である。
【0025】本発明の別の目的は、以下の説明及び実施
例を読むことにより明らかにされる。
【0026】
【発明の実施の形態】特に、本発明の減少された毒性を
有するか、または毒性をもたない免疫活性な百日咳毒素
変異株は、サブユニットの1アミノ酸配列のアミノ酸残
基Glu129、Asp11、Trp26、Arg9、Phe50、Asp1、Arg13、
Tyr130、Gly86、Ile88、Tyr89、Tyr8、Gly44、Thr53及
びGly80の少なくとも一つが欠失されるか、または天然
アミノ酸の群から選ばれた異なるアミノ酸により置換さ
れるという事実を特徴とする。
【0027】本発明の好ましい百日咳毒素変異株は、ア
ミノ酸残基Glu129とアミノ酸残基Arg9、Asp11、Asp13及
びTrp26の少なくとも一つとが、欠失されるか、または
天然アミノ酸の群から選ばれた異なるアミノ酸残基によ
り置換されるという事実を特徴とする、百日咳毒素変異
株である。
【0028】本発明の実施態様によれば、百日咳毒素変
異株は、表2及び表3の欄1に示されたアミノ酸置換を
含む。これらの表中、第一行には突然変異タンパク質の
名称が示され、第二行には、行なわれた突然変異の型が
示され、第三行には、突然変異に利用されたヌクレオチ
ド配列が示される。
【0029】これらの中で、下記の百日咳毒素変異株
が、特に好ましい。PT 28G(PT-129G)、L9/28G(PT-9K/12
9G)、L13/28G(PT-13L/129G)、I26/28G(PT-26I/129G)、L
13/I26/28G(PT-13L/26I/129G)、PT-88E/89S及びE88/S89
/28G(PT-88E/89S/129G)。
【0030】上記の特徴を有するPT変異株は、本発明に
よれば、部位特異性の突然変異誘発により突然変異され
た百日咳菌から単離されたPTを暗号化する染色体遺伝子
を含むボルデテラ菌株の培養により、あるいはS1サブ
ユニットを暗号化するヌクレオチド配列の一つ以上の特
異性部位中のヌクレオチド塩基の欠失により、得られ
る。
【0031】本発明によれば、上記のボルデテラ菌株
は、 a)少なくとも一種の抗生物質に耐性な野生型ボルデテ
ラ菌株を選択し、 b)(a)で得られた菌株中の相同組換えにより、百日咳
毒素を暗号化する染色体遺伝子を異なるタンパク質を暗
号化する遺伝子で置換し、 c)(b)で得られたPT(Δtox)遺伝子を含まないボル
デテラ菌株を選択し、 d)百日咳菌から単離された百日咳毒素遺伝子を突然変
異誘発し、 e)ボルデテラを複製し得ない適当に変性されたプラス
ミド中で上記の突然変異遺伝子を導入し、 f)(c)で選択されたボルデテラ菌株(Δtox)中の上
記のプラスミドを導入し、ついで最後に g)突然変異百日咳毒素遺伝子による相同組換えが行な
われたボルデテラ菌株を単離することを含む方法により
得られる。
【0032】本発明のボルデテラ野生型菌株は、種百日
咳菌、パラ百日咳菌及び気管支敗血症菌の中から選ばれ
る。最後の二つは、百日咳毒素オペロンを有している
が、その内部に官能プロモーターの不在のため、通常そ
れを生産しない。
【0033】本発明の方法の段階a)に於いて、ボルデ
テラ菌株は、突然変異株の選択を容易にするために、一
種以上の抗生物質に対して耐性にされる。
【0034】本発明の実施態様によれば、上記のボルデ
テラ菌株は、ナリジクス酸(nal)及びストレプトマイ
シン(str)に対して耐性にされる。
【0035】本発明の方法の段階b)に於いて、置換
は、PTと異なるタンパク質を暗号化する遺伝子、例えば
カナマイシン(Kan)による、a)で得られた菌株中に
含まれるPTを暗号化する染色体遺伝子の相同組換えによ
り、行なわれる。その組換えは、一般に知られる技術を
用いて、ボルデテラ中で複製し得ないプラスミドを用い
て行なわれてもよい。プラスミドpRTP1が使用されるこ
とが好ましく、その構成はスティビッツ(Stibitz)Sら
(GENE、50巻、133〜140頁、1986年)により記載され
た。
【0036】上記のプラスミドは、大腸菌株を用いて二
成分で、あるいは云わゆるヘルパープラスミドを含む大
腸菌株を用いて三成分で接合によりボルデテラ細胞中に
導入されてもよい。本発明によれば、pRTP1プラスミド
はEccRI制限酵素により消化され、ついでPTと異なるタ
ンパク質を暗号化する遺伝子を含み、且つヌクレオチド
の中に、PT101 ATCC 67854プラスミド中に含まれる百日
咳菌PTの遺伝子の領域1〜420及び3625〜4696に相当す
る配列を含むDNA EcoRIフラグメントとつながれる。つ
いで、大腸菌細胞は、得られたプラスミドにより形質転
換され、形質転換体が通常の技術を用いて選択される。
【0037】ついで、このようにして選択された陽性の
クローンが、ボルデット−ゲンゴウ(Bordet-Gengou)(B
Gと称する)培地で37℃で約48時間予め培養された、
a)で得られたボルデテラ菌株と接合される。その接合
は、通常の技術に従って、10mMのMgCl2が添加されたBG
培地で37℃で3〜6時間行なわれる。
【0038】本発明の方法の段階c)に於いて、染色体
レベルで相同組換えが行なわれたボルデテラ菌株は、好
適な抗生物質の添加により選択的にされたGB培地で選択
される。nal及びstrに耐性のボルデテラ菌株が使用さ
れ、PTと異なる遺伝子がカナマイシンの一種である場
合、培地に添加される抗生物質はnal、str及びKanであ
る。
【0039】この培地で増殖する菌株(三つの抗生物質
に対しで耐性である)は、カナマイシン遺伝子によるPT
遺伝子の完全な置換が行なわれ、且つストレプトマイシ
ンに対する感受性を付与するpRTP1プラスミドを失なっ
た菌株である。
【0040】このような置換を確かめる目的で、以下に
Δtoxとして示される上記の菌株が、サザンブロット
(E.サザン(E.Souther)著、J.Mol.Biol;98巻、503〜51
7頁、(1975年))、ELISA分析(ウオン(Wong) K.H.及び
スケルトン(Skelton) S.K.J.著、Clinical Microbiol.2
6巻、1316〜1320頁、1988年)及びCH0細胞に関する毒性
試験(ヒュウレット(Hewlett),E.L.ら著、Infect.Immu
n.40巻、1198〜1230頁 (1983年))により、特性決定さ
れた。
【0041】これらの結果は、以下のことを示した。 a)PT遺伝子の分子量よりも低い分子量を有するヌクレ
オチドフラグメントのΔtox菌株染色体のDNA中の存在、
これは上記の遺伝子及びその置換体(カナマイシン遺伝
子)の両方と雑種をつくる; b)Δtox菌株のいずれもが、ELISA分析により検出可能
な量で百日咳毒素を生産、分泌し得ない; c)1/10に希釈されたボルデテラΔtoxの上澄液を用い
て測定されたCH0細胞に関する毒性は、それらの増殖を
変更し得ない。上澄液をそのまま用いて、わずかに非特
異的な毒性が観察される。
【0042】上記のΔtox菌株が病原性百日咳菌に対し
て保護を与える能力を確かめる目的のため、「21/PAR76
20.4 CODE OF FEDERAL REGULATIONS、Potency test of
pertussis vaccine(百日咳ワクチンの効能試験)」に
記載されているように「大脳内抗原投与」分析が、行な
われる。実施例1に示された得られた結果は上記の菌株
がPTを暗号化する遺伝子を最早有していないが、病原性
百日咳菌による大脳内感染に対して優れた保護を依然と
して誘起し得ることを示す。
【0043】本発明の方法の段階d)に於いて、突然変
異PT遺伝子の構成はPT101 ATCC 67854プラスミド中に含
まれる百日咳菌PTを暗号化する遺伝子のS1サブユニッ
トを暗号化するヌクレオチド配列の決定された部分の1
種以上のヌクレオチドを部位特異的な突然変異誘発作用
によって欠失または置換することにより行なわれる。
【0044】本発明の一つの実施態様によれば、PT遺伝
子は表2及び表3中に示された突然変異を含み、第一欄
の3行に示されたヌクレオチド配列を用いて、構成され
る。
【0045】本発明の方法の段階e)に於いて、段階
d)で得られた突然変異遺伝子がボルデテラ中で複製し
得ないプラスミド中でクローン化される。
【0046】その目的のために、プラスミドpRTP1が利
用され、ゲンタマイシン(市販されている)に対する抵
抗性を暗号化する遺伝子またはテトラサイクリン(市販
されている)に対する抵抗性を暗号化する遺伝子をその
制限部位BamH1中に挿入することにより、それを変性す
る。このような遺伝子のクローン化は遺伝子工学に一般
に使用される既知の技術の一つに従って行なわれる。か
くして、夫々pRTPG1及びpRTPT1として示される新規なベ
クターが使用されて、突然変異PT遺伝子をボルデテラΔ
tox菌株染色体中に挿入する。
【0047】特に、突然変異遺伝子はプラスミドpRTPG1
及びpRTPT1中でクローン化され、得られる組換えプラス
ミドが大腸菌細胞中に形質転換により導入される。形質
転換体は上記のような操作により、Δtoxボルデテラ菌
株と接合される。
【0048】本発明の目的に適した大腸菌細胞はサイモ
ン(Simon)R.ら著、Biotech1巻、784〜791頁、1983年に
記載された大腸菌SSM10である。
【0049】最後に、本発明の方法の段階g)に於い
て、ボルデテラ菌株の選択が行なわれ、それらの染色体
中に突然変異PT遺伝子を含む。
【0050】特に、最初に、染色体中に組込まれた組換
えプラスミドを含むボルデテラ菌株の選択がnal及びゲ
ンタマイシンまたはnal及びテトラサイクリンを添加し
たBG培地による培養によって行なわれ、ついで上記のプ
ラスミドを失った菌株の選択がstrを含むBG培地による
培養により行なわれる。最後に、この培地で増殖し得る
コロニーが単離され、nal、str及びKanまたはnal及びst
rを含むBG培地で培養される。この最後の培地により、
この様に操作して、Kan遺伝子の突然変異PT遺伝子によ
る置換のために、カナマイシン抵抗性フェノタイプを失
ったボルデテラコロニーが選択される。
【0051】上記のボルデテラ菌株が突然変異染色体遺
伝子により暗号化されたPT変異株の形質を発現し、分泌
する能力を確かめるために、これらの菌株の幾つかが好
適な培地、例えば実施例1に示された組成を有する培地
中で培養される。生産データは下記のことを示す。
【0052】百日咳菌株は同じ野生型菌株を培養するこ
とにより得られる量に匹敵する量でPT変異株を生産す
る。PT毒素を通常生産しない気管支敗血症菌株及びパラ
百日咳菌株は驚くべきことに培地中でPT毒素生産、分泌
し得る。パラ百日咳菌株は百日咳菌株よりも多量にPT毒
素を生産する。
【0053】上記の結果は例えば、百日咳菌PTの一つの
如き有効なプロモーターによる、上記の野生型ボルデテ
ラ中に存在する不活性なプロモーターの置換が上記の菌
株にPTまたはPTの変異株の形質を発現することを可能に
することを示す。
【0054】本発明によれば、上記のようにして得られ
たPT変異株が例えばセクラ(Sekura)R.D.ら著、J.Biol.C
hem.258巻、14647〜14651頁(1983年)に記載された精
製技術の如き、当業者に知られた精製技術の中から選ば
れた精製技術により、無細胞培地から純粋な形で取出さ
れる。
【0055】本発明によれば、或種のPT変異株の物理化
学的性質、生物学的性質及び免疫学的性質が試験管内及
び生体内で測定された。
【0056】物理化学的性質に関する限り、ポリアクリ
ルアミドゲルによるSDS中の電気泳動(SDS-PAGE)によ
る分析は混在タンパク質の不在及びPTの一つと同じパタ
ーンを示し、一方、アミノ酸分析は既知のアミノ酸配列
に基づいて予想される値と一致するアミノ酸組成を示
す。
【0057】更に、ジメチル(2,6-O-)β-シクロデキス
トリンの不在がベレイ(Beley)J.G (1985年)により記載
された方法(「Laboratory techniques in biochemistr
y andmolecular biology(生化学及び分子生物学に於け
る実験室技術)」、バードン(Burdon)R.H.及びバン・ク
ニッペンベルグ(Van Knippennberg)P.H.(編集)Elsevi
er 16巻)を用いて確認され、また、無細胞抗百日咳ワ
クチンの可能な混在物質である、フェチュイン、タンパ
ク質69KD及び糸状血球凝集素の何れもの不在がこのよう
なタンパク質に特異的な抗体を利用するウエスタンブロ
ッティング分析[トウビン(Towbin)H.T.ら著(1976年、
P.N.A.S.、USA,73巻、361〜365頁]により確認される。
最後に、皮膚壊死性毒素の不在がキム(Kime) K.T.ら著
(1986年)(Infect.Immun、52巻、370〜377頁)に記載さ
れるようなモルモットに関して行なわれる分析により確
認され、一方、培地に一般に用いられる成分であるシク
ロデキストリンの不在が薄層クロマトグラフィーにより
示される。
【0058】本発明によるPT変異株毒性の不在または減
少は試験管内及び生体内の種々の実験系で測定される。
【0059】CHO(チャイニーズハムスター卵巣細胞)
細胞分析で得られた結果は生来のPT毒性に関して10倍〜
1,000,000倍の毒性の消失までの減少を示す。特に、PT-
129G、PT-9K/129G、PT-13L/129G、PT-26I/129G、PT-13L
/26I/129G、PT-88E/89S及びPT-88E/89S/129Gの変異株を
用いて、最良の結果が得られる。
【0060】更に、その他の分析のいずれに於いても、
生産物の毒性はここで用いた最高の投与量でも観察され
なかった。
【0061】このような結果は毒性のPT活性がそのS1
サブユニットのADP−リボシルトランスフェラーゼ活性
によるものであることを裏付ける。
【0062】S1サブユニットの遺伝子操作によっては
変更されない唯一のPT変異株活性は細胞に対する分裂促
進性(mitogeneticity)及び血球凝集能力であり、これ
らは、知られているように、Bオリゴマーの存在により
分子に付与される。実際に、分裂促進活性の存在に関し
て試験管内で分析される上記のオリゴマー(表2及び表
3中Bで示される)のみを分泌する本発明のボルデテラ
菌株は上記した既知の技術の教示を裏付ける。
【0063】上記の生体内の活性の役割は未だ明らかで
ないが、試験管内で確かめられる分裂促進効果をもつた
めには、高濃度(0.3〜1.0μg/ml)が必要であることか
ら、それは最小または存在しなくなるべきであること
が、予知し得る。このような濃度はワクチン接種の部位
にのみ存在する。しかしながら、本発明によれば、本発
明を限定しないが、PT-9K/129G変異株の免疫原性が以下
の実施例に示されるように生体内で試験される。その結
果は上記の変異株が高い抗体力価を有する抗PT抗体の生
成を誘起し得ること及び上記の抗体がCHO細胞に関するP
T毒性作用を中和し得ることを示す。
【0064】それ故、突然変異PT遺伝子の構成に関して
行なわれた遺伝子操作が百日咳毒素の典型的な免疫原性
を変更しないこと及び既知の技術に報告されたことと異
なって、上記の性質がPTS1サブユニットの酵素活性と
は無関係であることを結論し得る。
【0065】よって、本発明により得られたボルデテラ
菌株及び酵素的に不活性なPT変異株(減少された毒性を
有するか、または毒性をもたない)は有効な百日咳ワク
チンの開発のための優れた候補である。
【0066】本発明に従って、抗百日咳ワクチンとして
適する免疫原性処方は上記の菌株またはそれらにより生
産された変異株を、患者に於いて免疫原性物質のための
ビヒクルとして一般に使用される担体の中から選ばれた
製薬的に許容し得る担体に添加することにより調製し得
る。このような担体の例は食塩水である。抗原生産物は
溶液または懸濁液の形で担体中に存在してもよい。ま
た、上記の処方は免疫応答を刺激し、それ故、ワクチン
有効性を改良するために、補助薬(アジュヴァント)を
含んでもよい。本発明の目的のため、好適な補助薬は例
えば、リン酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、1−
インターロイキンもしくは2−インターロイキンまたは
それらのペプチドフラグメン卜を含む。
【0067】抗百日咳ワクチンとして好適な免疫原性処
方は一般に、百日咳に対して有効な免疫を与えるために
選ばれた最終濃度の菌株及びそれらにより生産された突
然変異体を含む。処方後に、ワクチンは無菌容器中に導
入され、種々の温度、例えば4℃、20℃、もしくは37℃
で保たれてもよく、または凍結乾燥されてもよい。百日
咳に対して有効な免疫を誘起するため、都合よく処方さ
れたワクチンを1以上の投薬量で投与してもよい。本発
明のワクチンは通常の方法により投与し得る。その処置
は一つの投薬量またはそれより多い投薬量を継続的に投
与することからなってもよい。本発明のワクチンは例え
ば、破傷風トキソイドもしくはジフテリアトキソイドま
たはその他のボルデテラ抗原の如き、一種以上の抗原成
分を含んでもよい。
【0068】最後の処方が抗百日咳ワクチン中に含まれ
ることを確かめるために、0.035%〜0.420%の重量/容
量で表わされる量(即ち、0.300〜0.025のPT変異株/ホ
ルムアルデヒド重量比に相当する)のホルムアルデヒド
で安定化し得る。
【0069】このような濃度で使用されるホルムアルデ
ヒドは変異株安定化を可能にすることの他に、免疫学的
性質を変えないで、使用される濃度に応じて、分裂促進
性及び血球凝集活性の減少及び/または消失を誘起す
る。
【0070】ジフテリア毒素のCRM197に関する文献に記
載されたこと(その分子のホルムアルデヒド処理か保護
免疫を得るのに必要であった)と異なって、本発明者ら
はホルムアルデヒドで安定化されたPT変異株及びホルム
アルデヒドで安定化されなかったPTへ変異株の両方が同
じ免疫学的活性(抗体中和の誘起及び病原性百日咳菌に
よる大脳感染に対する保護)を示すことを驚くべきこと
に見い出した。
【0071】両方の処方(安定化変異株を含み、または
含まない)は20℃または4℃で保たれる場合、同じ安定
性を示すが、一方、37℃では、ホルムアルデヒドで処理
された変異株に関して、一層高い安定性が観察される。
【0072】本発明の抗百日咳ワクチンは活性成分とし
て、化学試薬により解毒されたPTを含む既知の技術のワ
クチンに対してかなりの利点を示す。本発明の遺伝子操
作により得られたPT変異株は実際に、不可逆性の毒性変
更及び未変化の免疫原性を示す。
【0073】本発明のPT変異株の安定性は人体に予想さ
れる投薬量の1000倍である1500μg/体重1kgによる生体
内試験が局所もしくは全身の毒性反応をもたらさないと
いう証拠により更に確かめられる。
【0074】要するに、本発明により突然変異されたボ
ルデテラ菌株及び好ましくは、それらにより生産される
突然変異PT毒素は高い免疫原性及び毒性を有しないため
に、所望の特性を有する合成の細胞及び無細胞の抗百日
咳ワクチンの開発に特に適する抗原である。
【0075】本発明に従って、百日咳菌(W28)PTL9/28
G(PT-9K/129G)、パラ百日咳菌PT28G(PT-129G)及びパラ
百日咳菌PTI26/28G(PT-26I/129G)がATCC 53894、ATCC 5
3892及びATCC 53893として、1989年4月5日に、ザ・ア
メリカン・タイプ・カルチャー・センター(the Americ
an Type Culture Center)に寄託された。
【0076】以下の実施例は例示であり、本発明の限定
ではない。
【0077】
【実施例】
実施例1百日咳毒素遺伝子を含まないボルデテラ(Δtox)変異
株の構成 百日咳菌株BP 165、BP Tohama及びBPW 28(SCLAVO S.p.
A.)、パラ百日咳菌の株BP 14(SCLAVO S.p.A.)及び気
管支敗血症菌BP 7865(SCLAVO S.p.A.)をストレプトマ
イシン(str)及びナリジクス酸(nal)に耐性にする。
【0078】実際に、夫々の菌株の約1010個の細菌を80
0μg/mlのstrまたは200μg/mlのnalを含み、15%のフィ
ブリンが除去した無菌血液を補充したボルデット−ゲン
ゴウ(BG)寒天[ジフコ(DIFCO)]上に塗布し、37℃で
約100時間培養する。
【0079】上記のプレート上で増殖した自然変異株を
単離し、それらの染色体中に含まれる百日咳毒素を暗号
化する遺伝子を図1に示された方式に従って操作して、
カナマイシン構造遺伝子で置換する。
【0080】この目的のためにプラスミドpRTP1(スチ
ビッツ(Stibiz)ら著、Gene、50巻、133〜140頁、1986
年)を使用した。これはボルデテラ中で複製しないが、
接合によりそれの中に導入し得る。
【0081】実際に、プラスミドpRTR1(10μg)を、供
給業者により示唆された方法に従って、50ユニットの制
限酵素EcoRI(BRL)で切断する。ついでプラスミドDNA
を1ユニットT4 DNAリガーゼの存在下でリガーゼの混合
物[66mMのトリス(Tris)−HCl pH7.6、1mMのATP、10mM
のMgCl2、15mMのジチオスレイトール(dithiothreito
l)]10μl中で、カナマイシン(Kan)[ファーマシア(P
harmacia)、ウプサラ(Uppsala)]に対する抵抗性を暗号
化する構造遺伝子を含み、側面に位置する領域1〜420
及び3626〜4692に相当するヌクレオチド配列の中に構造
百日咳毒素遺伝子を含むDNA EcoRIフラグメント0.2μg
と14℃で一夜にわたって接合する。上記のフラグメント
はまずプラスミドDNA PT101 ATCC 67854を制限酵素BstE
II(これは位置421及び3625という制限部位のみで切断
する)で切断し、配列421〜3625を排除し、ついでクレ
ノー酵素により、末端部位の切断力を失わせたBstEIIを
つくることにより得られる。最後に、Kan遺伝子を含む
フラグメントHincIIをT4 DNAリガーゼの存在下のリガー
ゼ混合物中で、上記の文献に記載された線状化プラスミ
ドDNAと接合する。14℃で約18時間後に、リガーゼ混合
物を使用して受容大腸菌細胞を形質転換し、該形質転換
体を50μg/mlのアンピシリン及び50μg/mlのカナマイシ
ンを添加したLB寒天培地上で35℃で一夜にわたって選別
する。最後に、陽性クローンの1から、期待される特性
を有するプラスミドを単離し、続いて、EcoRI制限酵素
で切断する。カナマイシン遺伝子を含むDNAフラグメン
トを、マニアチス(Maniatis)ら著(1983年)「Methods
in Enzymology(酵素学に於ける方法)」に記載される
ようにアガロースゲル上で単離する。
【0082】ついで、上記のEcoRIフラグメントを、Eco
RIで先に切断されたpRTP1プラスミドと接合し、得られ
るリガーゼ混合物を使用して、「Methods in Enzymolog
y」101巻、20〜78頁、1983年に於いてメシング(Messin
g)により記載されるようにして、サイモン(Simon)R.ら
著[Biotechnol,1巻、784〜791頁 (1983年)]により記
載された大腸菌SM10細胞を受容性に形質転換する。
【0083】形質転換体を50μg/mlのアンピシリン及び
50μg/mlのカナマイシンを含むLB寒天プレート(ジフ
コ、Lab.)上で37℃で24時間選別する。
【0084】陽性クローンの一つから、期待される特性
を有する、pRTP1-ΔPT-KANと称されるプラスミドを抽出
する。続いて、上記のプラスミドで形質転換されLB寒天
上で37℃で約18時間培養された大腸菌SM10細胞をボルデ
ット−ゲンゴウ培地で48時間にわたり、予め培養された
ボルデテラのstrまたはnalに耐性の菌株と接合する。そ
の接合は10mMのMgCl2を添加したBG培地で37℃で3〜6
時間行なわれる。ついで、得られるコロニーを回収し、
30μg/mlのナリジクス酸及び50μg/mlのカナマイシンを
含むBG培地に塗布する。このような抗生物質に耐性の菌
株を選別する目的で、それらのプレートを37℃に保つ。
3日後(気管支敗血症菌の場合)及び5〜6日後(百日
咳菌及びパラ百日咳菌の場合)に、nal及びKANに耐性の
多数の単一の溶血性コロニーが観察され、これらはそれ
らの染色体中に、百日咳毒素遺伝子の側面領域の1つと
の相同組換えにより組込まれたpRTP1-ΔPT-KANを含む。
また、同様に第二領域の組換えを容易にし、それ故にカ
ナマイシンの遺伝子によるPT染色体遺伝子の置換を容易
にするために、コロニーを400μg/mlのストレプトマイ
シンを含むBG培地上に再度塗布する。上記の文献に記載
されたように操作して、染色体ボルデテラ抵抗性に優性
形質として有し、ストレプトマイシンに対する感受性を
与えるpRTP1プラスミドを失なった菌株を選択する。
【0085】こうして、二つの型のコロニー、即ち次の
ものが得られる。 1)完全にプラスミドを欠き、及び組換えも行なわれて
おらず、str及びnalに耐性で、かつKanに感受性のコロ
ニー、及び 2)二重組換え(Δtox)により、カナマイシン遺伝子
のPT遺伝子への置換が行なわれた、str、nal及びKanに
耐性のコロニー。
【0086】このような染色体の置換を確かめる目的
で、菌株Δtox W2、Δtox Tohama、Δtox 165、Δtox P
14及びΔtox 7865の特性をサザンブロット、ELISA分析
及びCHO細胞に関する毒性により、既知の技術に従って
検定する。実際に、マームル(Marmur)、J.の方法[J.Mo
l.Biol.3巻、208〜216頁 (1961年)]により上記のボル
デテラ菌株から単離された染色体DNAを好適な制限酵素
で切断し、電気泳動にかけ、ニトロセルロース膜上に移
し、ついでプローブとして4696を用い、BRLニック−翻
訳キットを用いてPT遺伝子を含むbpEcoRIフラグメント
と放射性同位元素でラベル付けしたKAN遺伝子を含むDNA
フラグメントとを交配(hybrid)する。
【0087】その交配反応はE.サザンの方法[J.Mol.Bi
ol.,98巻、503〜517頁(1975年)に従って操作して行な
われる。
【0088】その結果は両プローブと交配するPT遺伝子
の分量よりも低い分子量をもつDNAフラグメントのボル
デテラΔtox菌株染色体DNA中の存在を示す。
【0089】ボルデテラΔtox菌株をSS変性培地中で37
℃で72時間培養する。その培地の組成(g/lで示す)は
以下のとおりである。
【0090】L−グルタミン酸ナトリウム 10.7;L−
プロリン 0.24;NaCl 2.5;KH2PO4 0.5;KCl 0.2;MgCl
2・6H2O 0.1;CaCl2 0.02;トリス 6.1;L−システィ
ン 0.04*;FeS04・7H2O 0.001*;ナイアシン 0.004*
グルタチオン 0.10*;アスコルビン酸 0.02*;レスミン
酸(resumin acids)10.0;2,6-O-ジメチル-β-シクロ
デキストリン 1.0、pH7.6。
【0091】この培地を20分間滅菌し、一方、*が符さ
れた成分を濾過により別々に滅菌する。規則的な間隔
で、培地試料を採取し、12000r.p.m.t.p.m.で4℃で4
分間遠心分離する。続いて、無細胞上澄液の分取液を百
日咳毒素が存在するか否か、及びその毒性を確かめるた
めに、ELISA試験及びCHO細胞に関する毒性により分析す
る。
【0092】ウォング(Wong),k.H.及びスケルトン(Skel
ton),S.K.著[J. of Clinical Microbiol.,26巻、1316
〜1320頁 (1988年)]に記載されたようにして行なわれ
たELISA分析はΔtox菌株のいずれもが検出可能な量のPT
を生産し得ないことを示す。
【0093】更に、1/10に希釈された上澄液はCHO細胞
[ヒュウレット(Hewlett),E.Lら著、Infect.Immun,40
巻、1198〜1230頁 (1983年)]を変性しない。未希釈上
澄液を用いれば、非特異的な毒性が観察される。
【0094】上記の菌株がPTを生産しないにせよ、病原
性百日咳菌に対する保護を依然として与え得るか否かを
確かめる目的で、CODE OF FEDERAL REGULATION、potenc
y test of pertussis vaccine(百日咳ワクチンの効能
試験)、21/par 7620に記載された技術に従って、大脳
内抗原投与試験が行なわれる。実際に、Δtox W28菌株
及びTohama菌株並びに抗百日咳ワクチンの調製に一般に
使用される同じ野生型菌株を590nmで測定した光学密度
0.7まで、300mlの変性SS培地中で37℃で培養する。つい
で、培養菌を10000t.p.m.で10分間遠心分離し[J10
ローターを備えたベックマン(Beckman)J21遠心分
離器]、ついで上澄液から分離された細胞を50mlの食塩
水中に再度懸濁し、56℃に30分間保つ。続いて、得られ
る懸濁液をCODE OF FEDERAL REGULATIONに記載されたよ
うにして適当に希釈して、異なる投薬量用の通常のワク
チンとして使用する。その結果を、下記の表1に示す。
【0095】
【表1】
【0096】表から観察し得るように、Δtox菌株に関
してわずかな保護の減少か観察されるが、それらは依然
として極めて良好な保護を与え、それ故、抗百日咳ワク
チンとして特に適するようである。*は細胞懸濁液の容
量を示す。
【0097】実施例2変化された毒性を有するPT形態を生産するボルデテラ変
異株の構成 実施例1に示されたようにして得られたΔtox菌株の染
色体中に突然変異形態の百日咳毒素遺伝子を導入する目
的で、部位BamHI中に、ゲンタマイシン(ファーマシ
ア、ウプサラ)に対する抵抗性を暗号化する遺伝子及び
テトラサイクリン(ファーマシア、ウプサラ)に対する
抵抗性を暗号化する遺伝子を導入して、pRTP1プラスミ
ドを変性する。上記の遺伝子のクローン化はマニアチス
らにより記載された組換えDNAの既知の技術を用いて行
なわれる。ついで、ボルデテラ染色体中に百日咳毒素の
突然変異株を導入するために、夫々pRTPG1及びpRTPT1と
称されるこれらの新規ベクターを使用する。特に、上記
の遺伝子は異なるアミノ酸を暗号化するその他の遺伝子
による、ヌクレオチド配列のPT101 ATCC 67854プラスミ
ド中に含まれるPTを暗号化する遺伝子に於ける、欠失ま
たは置換により、部位特異的な突然変異誘発技術により
得られる。更に詳細には、下記の表2及び表3の第一欄
に示される突然変異をS1ヌクレオチド配列中に含むPT
遺伝子が構成される。
【0098】pRTPG1プラスミド及びpRTPT1プラスミド中
に上記の突然変異を含むEcoRIフラグメントをクローン
化した後に、SM10大腸菌細胞を形質転換するために、こ
れらを使用し、こうして得られた形質転換体をΔtoxボ
ルデテラ菌株と接合する。ついで、染色体中にこのよう
なプラスミドの組込みを示すコロニーを、夫々、30μg/
mlのnal及び20μg/mlのゲンタマイシンまたは30μg/ml
のnal及び12.5μg/mlのテトラサイクリンを含むBG培地
プレートで選別する。こうして選別されたコロニーは全
て、それら自体の染色体中に組込まれたプラスミドを示
す。続いて、プラスミドを失ったコロニーを選別する目
的で、報告されているようにして得られたコロニーを40
0μg/mlのストレプトマイシンを含むBG培地に塗布す
る。ついで、上記の培地上に増殖し得るコロニーを、夫
々次のものを含有するBGプレート上で同時に培養する。
【0099】a)nal 30μg/ml、str 400μg/ml及び50
μg/mlのカナマイシン b)nal 30μg/ml、str 400μg/ml a)中に得られたコロニーはプラスミドを失ったコロニ
ーであり、それ故、カナマイシンに耐性である元のΔto
xコロニーと同じである。一方、培地b)で増殖された
コロニーはカナマイシンに対する抵抗性を失ったもので
あり、その遺伝子は突然変異を生じた遺伝子により、置
換された。
【0100】b)で得られたコロニーがPT変異株を生
産、分泌する能力の例として、百日咳菌W28/PT-129G、
パラ百日咳菌P14/PT-129G及び気管支敗血症菌7865/PT-1
29Gの菌株をまずBGプレート上に塗布し、ついで15mlの
変性SS培地中で37℃で72時間培養する。ELISA分析によ
る監視により評価されたPT変異株生産のデータが図2に
示され、以下のことを示す。
【0101】試験した全てのボルデテラ菌株がPT変異株
を生産し、パラ百日咳菌がその他のボルデテラ菌の2倍
の量のPT変異株を生産する。
【0102】表2及び表3の第一欄に示された突然変異
の主因となるPT遺伝子を含有する百日咳菌W28株及びBP
165株並びにパラ百日咳菌P14株を上記の文献に示された
ように培養することにより得られたPT変異株の生産に関
するデータが表2及び表3の第三欄に示され、以下のこ
とを示す。
【0103】試験した全ての菌株はPT変異株の形質を発
現し分泌し得る。上記のPT変異株の幾つかが野生型PT(+
+++)に関して得られた量に匹敵する量で生産され、且つ
パラ百日咳菌P14は百日咳菌の2倍の量のPT変異株を生
産する。
【0104】上記の菌株の幾つか(Bで示される)は百
日咳毒素のオリゴマーB(サブユニットS2、S3、S
4及びS5により構成される)のみを分泌する。
【0105】更に、大脳内抗原投与試験後に得られた結
果は上記のボルデテラ菌株が抗百日咳細胞ワクチンの開
発に適することを示す。
【0106】
【表2】
【0107】
【表3】
【0108】実施例3 A)PT変異株の生産及び精製 パラ百日咳菌P14/PT-129G株、百日咳菌W28 9K/129G株、
百日咳菌W28 13L/129G株及び百日咳菌W28 26I/129G株を
20LのSS変性培地(pH7.4)を含む30Lの容量のケマッ
プ(Chemap)発酵容器中で、0.1v/v/mの空気流量で培養
する。毎分の回転数を最小の200から最大の700まで変え
て、溶解酸素量を20%に保つ。温度を35℃に調節し、pH
を1.5Nのグルタミン酸、1.5Nの塩酸、0.15Nのプロリン
を含む溶液を使用することにより中性の値に保つ。約36
〜48時間後、即ち培養菌が590nmで測定した光学密度14
〜18に達した時に、細胞を発酵培地の遠心分離[ベック
マン(Beckman)JCF-7遠心分離器、600ml/分の流量で、
19000pm.4℃、3分間]により除去し、突然変異タンパ
ク質を無細胞上澄液から精製し、無菌条件[デュラポア
(Durapore、商標)カートリッジ〈ミリポア(Millipor
e)〉odo. 22mμによる]中アフィ−ゲル・ブルー(Aff
i-Gel Blue)による吸着及びセクラ(Sekura)R.D.ら著
J.Biol.Chem.,258巻、14647〜14561頁(1983年)により
記載されたセファロース−フェツイン(Sepharose-fetu
in、商標)による逐次アフィニティ(successive affin
ity)クロマトグラフィーにより濾過する。
【0109】B)精製PT変異株の物理化学的性質の測定 上記の文献に示されたようにして精製された幾つかのPT
変異株の物理化学的性質をリームリ(Leammli)N.K.著 Na
ture,227巻、680〜685頁(1970年)により記載されたよ
うに操作して、コマシー(Coomassie)ブルーで着色さ
れたポリアクリルアミド・ナトリウムドデシルサルフェ
ート(SDS)でゲル電気泳動により測定する。
【0110】図3に示された結果は混在タンパク質の不
在及び野生型PTのパターンと同じパターンを示す。その
他の混在物質、特に変異株の調製のための発酵方法に使
用された物質が存在しているか否かを確かめるための別
の対照実験によれば以下のことが確かめられた。
【0111】ビーレイ(Beeley),J.G.著、「laboratory
techniques in biochemistry and molecular biology
(生化学及び分子生物学に於ける実験技術)」バードン
(Burdon),R.H.及びバン ニッペンベルグ(Van Knippennb
erg),P.H.(編集), Elsevier 16巻(1985年)に記載され
た方法に従って測定された。ジメチル(2,6-O)β−シク
ロデキストリンの不在;69KDタンパク質に対して特異的
な抗体を利用するウェスタンブロッティング分析(トウ
ビン(Towbin),H.T.ら著、P.N.A.S.,USA,73巻、361〜365
頁、1976年)により測定された、69KDタンパク質のフェ
チュイン及び糸状血球凝集素(これらは無細胞抗百日咳
ワクチンの潜在的な混在物質である)の不在;クメ(Kum
e),K.T.ら著、Infect.Immu.52巻、370〜377頁、1986年
に記載されたようにして、モルモットに対して行なわれ
た試験により測定された、熱壊死生毒素の不在;薄層ク
ロマトグラフィーにより測定された、シクロデキストリ
ン(これは培地の主成分である)の不在。PT変異株(収
率80%)は純度99%を示す。
【0112】実施例4 A)CHO細胞に関する毒性 この試験は、DMEN培地[Flow lab.,マクレーン(Mclea
n),Va]中1/10に希釈された、表2及び表3の第一欄に
示された突然変異を含む幾つかのボルデテラ菌株の培養
の粗上澄液及び精製上澄液を使用して行なわれる。
【0113】先の表2及び表3に示された結果は野生型
PTに関して百日咳毒素変異株の毒性の減少を示す。最良
の結果が変異株PT-26I/129G、PT-9K/129G及びPT-13L/12
9Gに関して得られ、これらについて毒性の不在が観察さ
れる。更に、解毒されなかったPT-129G変異株は野生型
百日咳毒素に関して、1.5〜10%の残留毒素を示し、一
方、ムノツ(Munoz),J.J.ら著 Infect.Immun.,32巻、243
〜250頁(1981年)により記載されたようにグルタルア
ルデヒドで解毒された同じ変異株はCHO細胞に関して認
められる程の毒性を示さない。
【0114】B)RIA試験による親和性定数の測定 この試験により、ポリクローナル抗体(抗PTヤギγ−グ
ロブリン、SCLAVO S.p.A.)及びモノクローナル抗S1
抗体[H.サトウ(Sato)ら著、Infect.Immu.,46巻、422〜
428頁(1984年)に記載された1B7]に関する幾つかのPT
変異株の親和性定数が測定される。
【0115】96個のウエルのポリスチレンの平底マイク
ロプレート[ダイナテク・ラボラトリィズ・インコーポ
レーテッド(Dynatech Laboratories Inc.)、アレキサン
ドリア(Alexandria),Va]の夫々のウエル中に、10μg/m
lの抗体を含む200μlのグリシン緩衝液5mM、pH9.2を導
入する。4℃で一夜後、プレートを食塩水・リン酸塩緩
衝液(PBS)pH8.0中の2.5%(重量/容量)のウシアル
ブミン血清(BSA)で飽和し、0.125ml/lのトゥイーン
(Tween)-20を含む100μlのPBSで洗浄する。ついで、
プレートを異なる濃度(0.01-0.025-0.05-0.1-0.25-0.5
-1.0μg/ml)のPT及びPT変異株の存在下で、125I(ヨー
ド125)でラベル付けされた百日咳毒素の夫々のウエル
中で105cpm(カウント/分)で、保温する。室温(20〜
25℃)で3時間後、プレートをPPSで徹底的に洗浄し、
含まれる放射能をγ−カウンター(パッカード(Packar
d)Inst.USA)で測定する。各試料を2回分析する。百日
咳毒素を供給業者の指示に従って操作して、通常のクロ
ラミンT法(BDH Chem.,英国)により放射性ヨウ素でラ
ベル付けする。
【0116】下記の表4に示された結果は全てのPT変異
株がモノクローナル1B7抗体の認識されたエピトープを
維持し、それらが百日咳抗毒素ヤギγ−グロブリンから
高い親和性を有するものとして認識され、それ故PT毒素
を中和し得ることを示す。
【0117】
【表4】
【0118】実施例5PT変異株の生体内特性決定 幾つかのPT変異株の生物学的性質及び抗百日咳ワクチン
に於けるそれらの使用の可能性を下記の方法により試験
した。
【0119】a)大脳内抗原投与 この試験は通常の細胞ワクチン(対照)並びに、PT-129
G変異株そのもの及びグルタルアルデヒドで解毒されたP
T-129G変異株(PT-129G Det)及びPT-26I/129Gを用いて
行なわれる。結果が表5に示される。
【0120】
【表5】
【0121】PT-129Gを用いて得られた低い生存率
(*)はPT毒素の毒性の約1〜2%である変異株残留毒
性による。
【0122】b)白血球増加(LEUCOCYTOSIS) 体重約20gの年令7〜8週の4匹の雌のBalb/Cマウスの
群を0日目に、0.2mlの生理(食塩水)無菌アピローゲ
ン(apyrogen)溶液そのもの(対照)または(0.004-0.
02-0.04-0.1-0.5及び1.0μg/マウス)のPT;(0.1-0.5
-2.5-μg/マウス)のPT-13L:(0.1-0.5-2.5-12.5-25.
0及び50.0μg/マウス)のPT-9K、PT−129G、解
毒されたPT−129G、PT-26I/129G、PT-13L/129G及
びPT-9K/129Gを含む0.2mlの生理(食塩水)無菌アピロ
ーゲン溶液で、静脈内注射により処置する。
【0123】3日後に、マウスから採血し、合計の単核
細胞数(PBMC)/ml−末梢血をチュルク液(0.01%ゲンチ
アアナバイオレット及び3%酢酸)中で個々に数える。
ついで、赤血球の溶液ライサント(lisant)で予め処理
された、夫々のマウスの末梢血の一部をFACS(螢光励起
細胞分離捕集装置)で使用して、対照に対して、各種の
毒素で処置されたマウス中のリンパ球の増加率及び多形
核細胞の増加率を測定する。
【0124】図4に示された結果は一般にPTに対してPT
変異株毒性の減少を示し、これは変異株PT-26I/129G、P
T-9K/129G及びPT-13L/129Gに関して0.01%よりも低い値
に達する。
【0125】同じ試験が0.5mlの生理無菌溶液そのもの
または上記と同じ濃度のPTまたはPT-9K/129G変異株を含
む0.5mlの生理無菌溶液の0日目の腹腔内注射により、B
alb/Cマウスの群に対して行なわれる。
【0126】投与の3日後に、血液試料を動物の眼窩神
経叢から採取し、上記のように試験する。個々に試験さ
れた5匹の動物からの白血球のカウントの平均+/−標
準偏差として表わされた結果が夫々PT及びPT-9K/129Gに
関して、図4及び表6に示される。
【0127】
【表6】
【0128】c)ヒスタミン感受性 体重約20gの年令7〜8週の5匹の雌のBalb/Cマウスの
群に、0日目に、0.5mlの生理食塩水無菌アピローゲン
溶液そのもの(対照)または各種の投薬量のPT、PT-129
Gそのもの、またはグルタルアルデヒドで解毒されたPT-
129G(PT-129G Det.)、PT-9K及びPT-9K/129Gを含む0.5m
lの生理食塩水無菌アピローゲン溶液で腹腔内接種す
る。投与6日後に、マウスを4mg/マウスのヒスタミン
・二塩酸塩(シグマ・ケミカル・カンパニイ(Sigma Che
mical Company)、セントルイス、MO)を含む0.5mlの生
理無菌アピローゲン溶液で腹腔内接種する。ヒスタミン
投与の24時間後に、死亡を記録する。結果を、下記の表
7及び表8に示す。
【0129】
【表7】
【0130】
【表8】
【0131】d)アナフィラキシー アナフィラキシー感受性の強化をステインマン(Steinma
n)Lらに記載された方法[P.N.A.S.USA 82巻、8733〜873
6頁 (1985年)]に従って測定する。
【0132】体重約20gの年令7〜8週の5匹の雌のBal
b/Cマウス(H-2d)の群を−1日目、+1日目、+6日
目に、0.2mlの生理食塩水無菌アピローゲン溶液そのも
の(対照)またはウシ血清アルブミン(BSA)(シグマ・
ケミカル・カンパニィ、セントルイス、MO)を含む0.2m
lの上記の溶液を腹腔内接種する。ついで、同じ群の複
数のマウスを0日目、+2日目に、0.4mlのアピローゲ
ン無菌食塩水そのもの、または40、100及び500ng/マウ
スのPT、100、500及び2500ng/マウスのPT-129Gそのもの
もしくはグルタルアルデヒドで解毒されたPT-129G(PT-
129G Det)または500、2500及び7500ng/マウスのPT-9K/
129Gを含む0.4mlの上記の食塩水で静脈内接種する。最
後のBSA投与の2時間後に死亡を記録する。結果を表9
に示す。
【0133】
【表9】
【0134】e)IAP(膵島活性化タンパク質) PTまたはPT-9K/129Gによる膵島の活性化を、クレーフテ
ンベルグ(Kreeftenberg)、J.Gら(J.Biol.Stand.,12
巻、151〜157頁、1984年)により記載されたように測定
する。
【0135】体重約20gの年令5〜7週の5匹の雌のBal
b/Cマウスの群を0.2mlのアピローゲン無菌食塩水そのも
の(対照)または25μg/mlのPT-9K/129Gもしくは1μg/
mlのPTを含む0.2mlの上記の食塩水を腹腔内接種する。
4日後に、マウス血清中のインシュリンの量(mU/lで表
わされる)を測定する。
【0136】結果は予想されるように、PTにより誘発さ
れるインシュリン分泌の著しい増加(19.6mU/l)を示
し、一方、PT-9K/129G変異株により誘起される分泌物の
値(5mU/l)は対照により得られた値(8mU/l)に匹敵す
る。
【0137】実施例6PT-9K/129G変異株のホルムアルデヒド処理 A)変異株PT-9K/129Gの分裂促進性、血球凝集活性及び
親和性定数に及ぼす、その処理の効果の研究 実施例3に記載されたようにして精製された変異株を0.
025%のリジン(味の素、日本)及び0.01%のメルチオ
レート[エランコ(ELANCO)、米国]を含むPBS、pH7.4に
対して4℃で24時間透析し、ついでPBS中に再度懸濁す
る。タンパク質含量の測定[ロウリィ(Lowry)、O.H.ら
著、J.Biol.Chem.,193巻、265〜275頁(1951年)を参照
のこと]の後に、混合物の分取物に各種の濃度[0.035
%〜0.420%(W/V)]のホルムアルデヒド(PBS中の4%
溶液、pH7.4)を添加して、変異株対ホルムアルデヒド
の最終比(重量/重量)0.300〜0.025を得る。得られた
混合物を0.025Mのリジンの不在下及び存在下で37℃で48
時間保温し、ついでPBSに対して繰返し透析する。つい
で、混合物を試験して、それらの遊離のホルムアルデヒ
ド含量を測定し、これが0.01%(重量/容量)よりも低
いことが判明する。更に、SDS-PAGEで分析された混合物
はPTと同じ電気泳動パターン及び幾つかの特別の帯域
[そのうちの1つはサブユニットS2及びS3と共に移
行し、それよりも高い分子量をもつその他のものはサブ
ユニットS1と共に移行する(図5、レーン3を参照の
こと)]の存在を示す。
【0138】ついで、異なる濃度のホルムアルデヒドで
処理されたPT-9K/129G変異株(PTF-9K/129Gと称され
る)の分裂促進活性を正常の成人から単離されたヒトの
末梢血単核細胞(PBMC)の増殖応答として測定し、PT並
びに同じ変異株そのものの分裂促進活性と比較する(図
6を参照のこと)。実際に、PBMC細胞を2mMのL−グル
タミン、1%の非必須アミノ酸、10×10-5Mの2−メル
カプトエタノール及び10%のヒトアルブミン血清で補充
された0.2mlのRPMI 1640[ジブコ・ラボラトリィズ(Gib
co Laboratories)、パイスレイ(Paisley)]中の105個/
ウエルの濃度で、96個の平底ウエルマイクロプレート
[コスター(Costar)、ケンブリッジ、MA]のウエルに入
れる。
【0139】ついで、PT及びPTF-9K/129G変異株並びにP
T-9K/129G変異株を0.1、0.3、1.0及び3.0並びに6.0μg/
mlの濃度で各ウエル中に添加する。37℃で96時間保温し
た後、各ウエル中に1μCiの(3H)チミジン(sp.act.185
GBq/ミリモル;アメーシャム・インターナショナル(Ame
rsham International)、アメーシャム英国)を導入す
る。室温で16時間後に、細胞を細胞コレクター(スカト
ロン(Skatron)、リアー(Lier)、ノルウエー)でガラス
ウールフィルター上に集め、含まれる放射能を液体シン
チレーションにより測定する。図6(PT、PT-9K/129G)
及び表10(PT-9K/129G及びPTF-9K/129G)に示された
結果は以下のことを示す。
【0140】PT-9K/129G変異株はPTタンパク質のTヒト
リンパ球に対する分裂促進活性に匹敵するTヒトリンパ
球に対する分裂促進活性を維持する。これは上記の分裂
促進活性がBオリゴマーの存在によるという観察と一致
する。ホルムアルデヒド濃度を増加すると、分裂促進活
性を消失まで減少する。
【0141】変異株PTF-9K/129Gの血球凝集活性をサト
ウ(Sato)ら著、Infect.Immun.41巻、313頁〜320頁、198
3年に記載されたようにして、標的細胞として、グルタ
ルアルデヒドで固定されたニワトリの赤血球を用いて測
定する。表10中に示された結果は増加するホルムアル
デヒドによる処理が変異株の血球凝集活性を次第に減少
することを示す。
【0142】親和性定数を先の実施例4に記載されたよ
うにして測定する。結果を表10に示す。
【0143】
【表10】
【0144】表10中、 a)結果は2回試験された夫々の培養菌に関して平均の
カウント/分(cpm×10-3)として表わされる。 b)結果はグルタルアルデヒドで固定されたニワトリの
赤血球の完全な凝集を生じるタンパク質投与量として表
わされる。 c)親水性定数はRIA試験により測定される。 d)試料中のホルムアルデヒドの%(重量/容量)が記
載される。 e)試料中の変異株/ホルムアルデヒド比(重量/重
量)を示す。
【0145】B)PT-9K/129Gの安定性に関するホルムア
ルデヒド処理の研究 PT、変異株PT-9K/129Gそのもの及び0.035%(W/V)のホ
ルムアルデヒドで処理された同変異株(PTF-9K/129G)
を4℃、20℃及び37℃に保つ。
【0146】ついで、タンパク質を120日後(4℃及び2
0℃の場合)及び30日後(37℃の場合)に処理して、電
気泳動プロフィール並びにポリクローナル(抗PTγ−グ
ロブリン)(A)抗体及びモノクローナル(1B7)(B)抗
体に対する親和性定数を測定する。
【0147】結果(表11及び図5)は4℃及び20℃で
120日の期間にわたって保たれた分子がそれらの電気泳
動パターンまたはそれらの親和定数の変化を受けないこ
とを示す。
【0148】37℃で30日間保たれた同分子はその代わり
に、PT及びPT-9K/129G変異株に関して、S1サブユニッ
トに相当する帯の強度の次第の減少を示し(図5、レー
ン4及び5)、これはPTK-9K/129G変異株に関して観察
されない(図5、レーン6)。
【0149】
【表11】
【0150】表中、 a)非線形回帰分析により評価されたデータがKa(L/モ
ル)として表わされ、3回試験された試料に関して得ら
れた値の幾何平均を表わす。標準偏差値は15%より高く
ない。 b)N.D.=測定されず。
【0151】C)アミノ酸組成の分析 変異株PT-9K/129Gのアミノ酸残基の分析は0.035%のホ
ルムアルデヒドの処理の前及び後に、スパックマン(Spa
ckman)D.Hら著、Anal.Chem,30巻、1190〜1206頁に記載
されたようにして、行なわれる。PT変異株の酸加水分解
は減圧下でシールされたバイアル中110℃で24時間6N
のHCl中で行なわれる。その後、アミノ酸分析は、アミ
ノ酸分析装置(コントロン(Kontron)、チューリッヒ、
スイス)を用いて行なわれる。
【0152】酸加水分解中、トリプトファンアミノ酸残
基が分解され、それ故、それを測定することができなか
った。更に、酸加水分解中の脱アミド化のため、アスパ
ラギン及びグルタミンがアスパラギン酸及びグルタミン
酸中で夫々変換される。アスパラギン+アスパラギン酸
の合計(Asx)及びグルタミン+グルタミン酸の合計(G
lx)に相当する値が表12に示される。結果を表12に
示す。
【0153】
【表12】
【0154】表12中、 a)一次タンパク質構造から推定される理論値がアミノ
酸/タンパク質の比として表わされる。 b)N.D.=測定されず。 c)下線が符された値は0.025MのリシンGeの存在下の
ホルムアルデヒド処理後のリシン増加量を示す。
【0155】実施例7CHO細胞に対するPTF-9K/129G変異株の毒性 1×104個のCHO細胞を異なるPTF-9K/129G投与量(0.01
〜5μg/ml)及びPT投与量(0.3pg〜90ng/ml)と共に48
時間保温する。細胞の形態変化を生じ得る最小投与量を
測定する。結果は、PTF-9K/129G変異株が最大の試験投
与量(5μg/ml)で毒性がなく、PT(5pg/ml)よりも少
なくとも106倍毒性でないことを示す。
【0156】実施例8PTF-9K/129G変異株の生物学的性質の生体内特性決定 A)アナフィラキシー強化 アナフィラキシー感受性の導入がステインマン,Lらによ
り記載された方法(P.N.A.S.USA、82巻、8733〜8736
頁、1985年)に従って測定される。
【0157】体重約20gの5〜7週の5匹の雌のBalb/C
マウスの群を0.2mlの生理無菌アピローゲン食塩水その
もの、または1mg/マウスのBSA(シグマ・ケミカル・
カンパニイ、セントルイス、MO)を含むその0.2mlの食
塩水で、−1日目、+1日目及び+6日目に腹腔内接種
した。ついで、マウスの同じ群を0.2mlのアピローゲン
無菌食塩水そのもの、または0.04、0.1及び0.5μg/マ
ウスのPTまたは2.5及び7.5μg/マウスのPTF/9K/129Gを
含む0.2mlのその食塩水で0日目及び+2日目に静脈内
処置した。最後のBSA投与の2時間後に、死亡を記録し
た。結果を表13に示す。
【0158】B)ヒスタミン感受性 体重約20gの5〜7週の雌のBalb/Cマウスの群を0.5mlの
食塩水アピローゲン無菌生理液そのもの、または0.00
4、0.02、0.04、0.1、0.5及び1.0μgのPTもしくは2.5、
12.5、25.0、50.0μgのPTF-9K/129Gを含む0.5mlのその
生理液で0日目に腹腔内接種する。
【0159】+6日目に、マウスを、ヒスタミン=塩酸
塩4mgを含む0.5mlのアピローゲン無菌食塩水で腹腔内
接種した。ヒスタミン投与の24時間後に、死亡を記録し
た。結果を表13に示す。
【0160】C)白血球増加 体重約20gの5〜7週の5匹の雌のBalb/Cマウスの群を
0.5mlのアピローゲン無菌溶液そのもの、または0.004、
0.02、0.04、0.1、0.5及び1.0μg PTもしくは2.5、12.
5、25.0及び50.0μgのPTF-9K/129Gを含む0.5mlのその溶
液で0日目に腹腔内接種した。
【0161】投与の3日後に、動物の眼窩集網から血液
試料を採取し、試験して白血球増加を測定した。個々に
試験された5匹の動物からの白血球カウントの平均+/
−標準偏差として表わされる結果を表13に示す。
【0162】
【表13】
【0163】表からわかるように、腹腔内接種されたマ
ウスは3日後に投与量に依存する白血球増加を示す。末
梢血単核細胞(BPMC)の増加は0.020μgの精製PT毒素で
もって統計上有意であり、一方、PTF-9K/129Gは50μg/
マウスの投与量で白血球増加を全く促進し得ない。
【0164】上記と同じ投与量で腹腔内接種された上記
の変異株はヒスタミン投与後にマウスに致死効果を誘起
しない。一方、0.5μg/マウスの投与量で接種されたPT
は100%の死亡率を生じる。
【0165】百日咳毒素がBSAアナフィラキシーを強化
する能力、即ち細胞抗百日咳ワクチンによりひき起こさ
れる脳障害と関連した現象はPTF-9K/129G変異株に関す
る限り、存在しない。
【0166】0.04μgのPTで接種されたマウスに80%の
死亡率を生じるアナフィラキシー強化は7.5μgのPTF-9K
/129Gで処置されたマウスに観察されない。
【0167】D)急性毒性 毒性の腹腔内もしくは皮下研究がOMSの指示[WHO Tech.
Rep.Ser.638巻、60〜80頁 (1979年)]に従って行なわれ
る。
【0168】5匹のマウス及び5匹のラットの群を、PT
-9K/129G変異株及びPTF-9K/129G変異株(体重1kg当り1
500μg)で腹腔内接種し、皮下接種した。ついで、動物
を制御下に14時間保ったが、その間に局所反応または全
身反応を示すような体重変化またはその他の徴候が記録
されなかった。
【0169】実施例9抗百日咳無細胞ワクチンの開発 A)PTF-9K/129G変異株の免疫原性の分析 PTF-9K/129G変異株の免疫原性を調べる目的のため、体
重350gの4週の年令の6匹のモルモットを0.001mgのナ
トリウムエチル水銀チオサリチレート及びAl(OH)3(1mg
/ml)に吸着された3、10、25及び50μgのPTF-9K/129G並
びに0.75ml(ヒトの投薬量の1.5倍に相当する)の古典
的な三種DPTワクチン(抗ジフテリア、抗百日咳及び抗
破傷風)(SCLAVO,S.p.A.)(百日咳成分は死滅百日咳菌
からなる)を含む0.5mlの生理アピローゲン無菌食塩水
で皮下接種する。
【0170】最初の接種から4週間後に、血液試料を採
取し、動物を同じ投薬量のPTF-9K/129G及びDPTワクチン
で再度皮下接種する。第二の接種から2週間後に、別の
血液試料を採取する。ついで、試料から得られた血清を
ELISA分析で処理して抗体及び抗PT力価を測定し、CHO試
験で処理してPTを中和する抗体能力を測定する。ELISA
分析[これはエングバル(Engvall)及びペールマン(Perl
mann)により記載されたELISA分析:J.Immunol.,109巻、
129〜135頁(1972年)の改良法である]は以下のように
して行なわれる。
【0171】ポリスチレンの平底マイクロプレート(ダ
イナテク・ラボラトリイズInc., アレキサンドリア、V
A)の各ウエル中に、1μgの精製PT(抗原)を含む200
μl PBS(pH7.4)を導入する。固相上の抗原吸着は37℃
で3時間、ついで4℃で一夜、保湿室中で行なわれる。
プラスチック材料上の血清タンパク質の非特異的吸着を
PBS中の1%のBSAでもって最小にした後、モルモットか
ら得られ、0.05%のトウイーン−20を添加したPBSで
1:9120に連続希釈された血清試料を各マイクロプレー
トウエルに導入し、37℃で2時間保温する。終了時に、
0.05%トウイーン−20を含むPBS中1:3000に希釈さ
れたアルカリホスファターゼ[マイルス(Miles)、イエ
ダ(Yeda)、イスラエル]で接合されたIgGヤギ抗体抗モ
ルモットを各ウエルに導入し、プレートを37℃で2時間
保温する。全ての工程で、保温間にプレートを洗浄する
ため、100μl容量を使用する。洗浄は0.05%のトウイー
ン−20及び0.02%のNaN3を含むPBSを用いて3回行な
われる。特異的基質(p−ニトロフェニルホスフェー
ト、1mg/ml)を添加した30分後に室温で生じる比色反
応をタイターテク・マルチスカン(Titertek Multiskan)
(フロー・ラボラトリィズ(Flow Laboratories)、マク
リーン(McLean)、VA)中で405nmで読み取る。
【0172】各プレートに関する対照は抗原を含まない
血清試料及びその逆のものを含むウエルを含む。抗体力
価を評価し、グラフ中に、重複して試験された血清の希
釈(横軸)対夫々の吸光度の平均(縦軸)を示す。変曲
点と吸光度軸との交差が未希釈血清吸光度(ABS-MAX)の
値を示す。PPT及び異なる投薬量のPTF-9K/129Gで免疫化
された各群の動物に関して得られたABS-MAX値が夫々の
サンプリング後に、夫々の免疫前の血清と比較される
(図7)。ABS-MAX増加はそれがワクチン投与前の血清に
関して得られた値よりも少なくとも4倍高い場合に、統
計上有意と考えられる。
【0173】図7から観察し得るように、最初の接種の
4週間後に採取された未希釈血清は405nmで吸光度値(A
BS-MAX、1回投与)を示し、この値は免疫化前に測定さ
れた値よりも32〜40倍高い。第二の接種から2週間後に
採取された血清に関して、更に50%の増加が観察される
(ABS-MAX、2回投与)。
【0174】PTF-9K/129G免疫化後に観察される抗体力
価の増加はCHO試験で測定される中和活性と相関関係が
ある。事実、3、10、25及び50μgのPTF-9K/129Gの1回
の注射後に得られた血清は120pgPTにより誘起されるCHO
細胞に対する凝集効果を中和でき、夫々1/20、1/20、
1/20及び1/80の希釈である。毒素を中和する能力は第
二の免疫化後に、かなり増大する。事実、3μgのPTF-9
K/129Gにより免疫化された動物から得られた抗体は1/
1,280の希釈で毒素活性を中和できる(図7を参照のこ
と)。
【0175】B)マウスに於ける細胞抗百日咳ワクチン
の効能の分析 体重約16gの3〜4週の16CD1(チャールズ・リバー(Cha
rles River)、カルコ(Calco)、イタリア)雄のマウスの
群をOMS規準に従って、0.24、1.20、1.92、4.80、12.00
及び30.00μgの液体(非吸着)PT-9K/129G並びにAl(OH)
3(1mg/ml)に吸着された0.035%のホルムアルデヒドで
安定化された0.24、1.20、6.00及び30.00μgの同変異体
(PTF-9K/129G)を含む0.5mlの無菌食塩水で腹腔内接種
する。陽性の対照として、マウスの群を0.00032、0.00
1、0.008及び0.04mlの通常の抗百日咳細胞ワクチン[ナ
ショナル・インスティテュート・オブ・ヘルス(Nationa
l Institute of Health)、ベセスダ(Bethesda)、MD]で
腹腔内接種する。投与14日後、マウスを平均致死量の30
0倍を含む病原性百日咳菌(菌株18323;SCLAVO S.p.
A.)の懸濁液で大脳内(IC)感染させる。ついで、マウ
スを制御下に14日間保った。結果を表14に示す。
【0176】
【表14】
【0177】表から観察されるように、Al(OH)3に吸着
されたPTF-9K/129Gは1.2μg/マウス(PD50)の投薬量で50
%のマウスに麻痺または死亡からの保護を誘起する。
【0178】ホルムアルデヒドで処理されない液体PT-9
K/129Gにより、一層良好な結果が得られる。
【0179】事実、毎回PT-9K/129Gを免疫原として使用
して、IC抗原投与直後に100%の保護に達する。しかし
ながら、PD50(1.1μg/マウス)は有意に変化しない。
【0180】実施例11成人ボランティアに於ける無細胞抗百日咳ワクチンの臨
床試験 この研究の目的はボランティア集団に於いて、活性成分
としてPTF-9K/129Gを含む無細胞抗百日咳ワクチンの寛
容性及び免疫原性(特異的な中和抗体を誘導する能力)
を評価することである。
【0181】この目的のため、20ELISA単位(EU)/mlより
低い抗PT抗体力価を有する29人の成人、即ち男女の健康
な個人を選んだ。患者をそれらの病歴(百日咳に関して
未知/陰性、疾患に関して陽性、ワクチン化に関して陽
性)に応じて、分ける。
【0182】各群の中で随時選択した後、患者を以下の
ように連続に処置する。
【0183】1)PTF-9K/129G変異株を含む抗百日咳無
細胞ワクチン(18人のボランティア)。夫々の0.5mlの
投薬量は15μgのPTF-9K/129G(活性成分)、0.001mgの
ナトリウムエチル水銀チオサリチレート及び0.5mgの水
酸化アルミニウム(賦形剤)を含む。あるいは、 2)ワクチンに関して未分化(indifferentiated)の特
性の水酸化ナトリウムからなる偽薬(11人のボランティ
ア)。随時選択に基づいて、各患者は2回の投与の問に
6週間の間隔で、左三角筋の部位で、2回投与の抗百日
咳ワクチンまたは2回投与の偽薬を筋肉内投与される。
【0184】患者を試験の開始後3ケ月間、制御下に保
ち、局所及び/または全身の副作用の全てを調べる。
【0185】全血漿及び/またはγヒトグロブリンの投
与が実験の開始前3ケ月以降及びその全期間中に避けら
れる。
【0186】同じ期間中に、またコルチゾン化合物及び
/または抗高血圧症薬の投与が避けられる。
【0187】患者をワクチン投与後30分間、厳しい観察
下に置く。毎日、ワクチン投与に続く5日間にわたっ
て、アセラー(ascellar)測定による体温の値を調べ、
投与部位及びサテライト・スーパーフィシャル・リンパ
グランジュラー・ステーション(Satellite superficia
l lymphoglandular station)の検査及び触診を行な
う。
【0188】抗百日咳ワクチン投与の4日後に、血液学
的試験、血液化学試験、免疫学的試験(CD3、CD4、CD1
9、CD25、CD23、CD14及びCD57としてリンパ系細胞の活
性化マーカー;PT、PT-9K/129G及び破傷風トキソイド抗
原に関する試験管内増殖)を行なう目的で静脈末梢血の
試料を採取する。
【0189】ワクチン投与の30日後に、抗体滴定の他
に、細胞媒介免疫評価及びIgE滴定がまた行なわれる。
【0190】2回目のワクチンまたは偽薬の投与後に、
上記の方法に従って、同じ分析が行なわれる。
【0191】1回目及び2回目のワクチン投与の後に副
作用が現われないことはPTF-9K/129G変異体に対して完
全に耐性であることを示す。
【0192】各ボランティアに関して、抗百日咳抗体力
価(ELISA分析)及び中和力価(CHO細胞)が測定され
る。
【0193】結果を表15に示す。
【0194】
【表15】
【0195】抗体抗PT力価は標準参照血清[US Referen
ce Human Pertussis Antiserum. ロット番号3、FDA、
ベセスダ、米国、J.メンクラーク(Menclark)博士から供
給された]の幾何平均として表わされ、一方、中和力価
はCMO細胞に対する天然毒素の凝集効果を抑制し得る最
大血清希釈として表わされる。( )内の値はスチュー
デントt検定で測定された95%の信頼限界を表わす。先
の表に、ワクチン及び偽薬の投与の前及び後に測定され
た抗体力価及び中和力価の増加率(後/前)が示され
る。
【0196】
【発明の効果】本発明によれば、減少された毒性を有す
るか、または毒性をもたない百日咳毒素変異株を形質発
現し分泌し得る新規なボルデテラ菌株が提供され、これ
により毒性の少ない有効な抗百日咳菌ワクチンが得られ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】ボルデテラ菌株染色体から百日咳毒素遺伝子を
除去し、突然変異毒素を暗号化する遺伝子またはカナマ
イシンで置換するために使用される方法の略図である。
【図2】縦軸に、百日咳菌W28/PT129G(X)、気管支敗血
症菌7865/PT-129G( )及びパラ百日咳菌P14/PT-129G(D)
の菌株の培養により得られるPT-129Gの光学密度(O.
D.)及び生産を示し、横軸に時間を示すグラフである。
【図3】PT野生型(A)毒素及びに精製変異株PT-9K(B)、P
T-129G(C)、PT-26I/129G(D)、PT-13L/129G(E)、PT-9K/1
29G(F)のポリアクリルアミド15%ゲル電気泳動パターン
を示す。
【図4】横軸にPT及びPT変異株の投薬量(μm/マウス
で表わされる)を示し、縦軸に白血球の数(×106ml)
を示すグラフである。
【図5】野生型PT(レーン1、4)、PT-9K/129G非安定
化変異株(レーン2、5)、ホルムアルデヒドで同定化
された同変異株(PTF-9K/129G)(レーン3及び6)の0
日目(レーン1、2、3)及び37℃で1ケ月後(レーン
4、5、6)の電気泳動パターンを示す。
【図6】野生型PT及びPT-9K/129G変異株に対するPBMC分
裂促進応答を示す。この試験に使用されたPBMCは、熱失
活PTに対して著しい抗原特異的応答を示さない。標準偏
差は15%未満であった。
【図7】PTまたは異なる投薬量のAl(OH)3に吸着されたP
TF-9K/129Gの1回もしくは2回の皮下注射後にモルモッ
ト中に得られる抗体の抗体力価(ELISA分析)及び中和
能力を示す。抗体の抗毒素レベルは、未希釈血清の最大
吸光度(ABS-MAX)の値として表わされる。中和力価(N
T)は、3回分析された、120pg PTにより誘導されたCHO
細胞に関する凝集効果の100%の抑制を誘導し得る最高
血清希釈の回帰として表わされる。
【図8】異なる濃度(%)のホルムアルデヒド(0.03
5、0.042、0.052、0.070、0.105、0.140、0.210及び0.4
20%)で処理されたPT-9K/129G試験体のポリアクリルア
ミドSDSゲルによる電気泳動を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 リノ ラップオーリ イタリア国、シエナ、ケルチェ グロッ サ 53035 モンテリッジョーニ、ヴィ ア カラマンドレイ 39 (72)発明者 ルチアーノ ネンチォーニ イタリア国、シエナ、ポッジボンジ 53036、ヴィア エス カテリーナ 13 (56)参考文献 特開 平3−169825(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C12N 15/31,1/20 C07K 14/235 C12P 21/02 A61K 39/10

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 サブユニット1のアミノ酸配列のアミノ
    酸残基Glu129、Asp11、Trp26、Arg9、Phe50、Arg13、Ty
    r130、Gly86、Ile88、Tyr89、Tyr8、Gly44、Thr53及びG
    ly80の少なくとも一つが天然アミノ酸の群から選ばれた
    異なるアミノ酸により置換または欠失されることを特徴
    とする、野生型百日咳毒素と比較してCHO細胞に対する
    1%以下の毒性を有する免疫活性百日咳毒素変異体であ
    って、Arg9およびGlu129の二つのアミノ酸残基のみがそ
    れぞれLysおよびGlyに置換されている変異体を除く、変
    異体。
JP8191142A 1989-04-28 1996-07-19 新規な百日咳毒素変異株、このような変異株を生産し得るボルデテラ菌株及び抗百日咳菌ワクチンの開発に於けるそれらの使用 Expired - Lifetime JP2852025B2 (ja)

Applications Claiming Priority (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
IT8920341A IT1230139B (it) 1989-04-28 1989-04-28 Ceppi di bordetella utili come vaccini antipertosse
IT20341A/89 1989-04-28
IT19286A/90 1990-02-07
IT01928690A IT1238007B (it) 1990-02-07 1990-02-07 Mutanti della tossina della pertosse, ceppi di bordetella capaci di produrre detti mutanti e loro impiego per lo sviluppo di vaccini antipertosse

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2111865A Division JP2655583B2 (ja) 1989-04-28 1990-05-01 新規な百日咳毒素変異体、このような変異体を生産し得るボルデテラ菌株及び抗百日咳菌ワクチンの開発に於けるそれらの使用

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH09163978A JPH09163978A (ja) 1997-06-24
JP2852025B2 true JP2852025B2 (ja) 1999-01-27

Family

ID=26327122

Family Applications (2)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2111865A Expired - Lifetime JP2655583B2 (ja) 1989-04-28 1990-05-01 新規な百日咳毒素変異体、このような変異体を生産し得るボルデテラ菌株及び抗百日咳菌ワクチンの開発に於けるそれらの使用
JP8191142A Expired - Lifetime JP2852025B2 (ja) 1989-04-28 1996-07-19 新規な百日咳毒素変異株、このような変異株を生産し得るボルデテラ菌株及び抗百日咳菌ワクチンの開発に於けるそれらの使用

Family Applications Before (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2111865A Expired - Lifetime JP2655583B2 (ja) 1989-04-28 1990-05-01 新規な百日咳毒素変異体、このような変異体を生産し得るボルデテラ菌株及び抗百日咳菌ワクチンの開発に於けるそれらの使用

Country Status (10)

Country Link
US (2) US7427404B1 (ja)
EP (1) EP0396964B1 (ja)
JP (2) JP2655583B2 (ja)
AT (1) ATE127347T1 (ja)
CA (1) CA2015677C (ja)
DE (1) DE69022106T2 (ja)
DK (1) DK0396964T3 (ja)
ES (1) ES2078258T3 (ja)
GR (1) GR3018285T3 (ja)
HK (1) HK17096A (ja)

Families Citing this family (30)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
AP8900132A0 (en) * 1988-07-22 1991-01-14 Smithkline Biolog Bordetella pertussis vaccine
DE69022106T2 (de) * 1989-04-28 1996-02-15 Sclavo Spa Pertussistoxin-Mutanten, dieselbe produzierende Bordetella-Stämme und ihre Verwendung als Vakzin gegen Pertussis.
US5786189A (en) * 1989-11-29 1998-07-28 Smithkline Beecham Biologicals (S.A.) Vaccine
IT1248735B (it) * 1990-06-21 1995-01-26 Sclavo Spa Vaccini acellulari contro la pertosse
DE4113385A1 (de) * 1991-04-24 1992-10-29 Biotechnolog Forschung Gmbh Hybridtransposon mit pt-operon, plasmide und bakterienstaemme dafuer
GB9115332D0 (en) * 1991-07-16 1991-08-28 Connaught Lab Manipulation of gene copy number in bordetella
GB9513371D0 (en) 1995-06-30 1995-09-06 Biocine Spa Immunogenic detoxified mutant toxins
DK0725653T3 (da) 1993-10-05 2004-10-11 Celltech Pharmaceuticals Ltd Vaccinepræparater
GB9326174D0 (en) * 1993-12-22 1994-02-23 Biocine Sclavo Mucosal adjuvant
FR2754543B1 (fr) * 1996-10-11 1998-12-31 Pasteur Institut Souche de bordetella deficiente dans la production de toxine et exprimant une proteine hydride, liposomes comprenant de la fha et leurs utilisations comme vaccins, et utilisation de la fha pour stimuler les reponses immunitaires
GB9622660D0 (en) 1996-10-31 1997-01-08 Biocine Spa Immunogenic detoxified mutant toxin
US6818222B1 (en) 1997-03-21 2004-11-16 Chiron Corporation Detoxified mutants of bacterial ADP-ribosylating toxins as parenteral adjuvants
US7115730B1 (en) 1999-04-27 2006-10-03 Chiron Srl Immunogenic detoxified mutant E. coli LT-A-toxin
US7101558B2 (en) * 2000-06-26 2006-09-05 The United States Of America As Represented By The Department Of Health And Human Services High yield pertussis vaccine production strain and method for making same
GB0308198D0 (en) 2003-04-09 2003-05-14 Chiron Srl ADP-ribosylating bacterial toxin
GB0313916D0 (en) 2003-06-16 2003-07-23 Glaxosmithkline Biolog Sa Vaccine composition
BRPI0402630B8 (pt) * 2004-07-05 2021-05-25 Fund Butantan processo de obtenção de vacina pertussis celular menos reatogênica
EP3006565B1 (en) * 2009-04-24 2020-03-25 THE GOVERNMENT OF THE UNITED STATES OF AMERICA, as represented by the Secretary, Department of Health and Human Services Selective detection of bordetella parapertussis
US20100317593A1 (en) * 2009-06-12 2010-12-16 Astrazeneca Ab 2,3-dihydro-1h-indene compounds
CA2793978C (en) 2010-03-30 2021-08-03 Pfenex Inc. High level expression of recombinant toxin proteins
JP5966018B2 (ja) * 2011-12-21 2016-08-10 バイオネット−エイジア,カンパニー・リミテッド 改変ボルデテラ・パータシス株
US9169304B2 (en) 2012-05-01 2015-10-27 Pfenex Inc. Process for purifying recombinant Plasmodium falciparum circumsporozoite protein
JP2015525794A (ja) 2012-08-06 2015-09-07 グラクソスミスクライン バイオロジカルズ ソシエテ アノニム 乳児においてrsv及び百日咳菌に対する免疫応答を惹起するための方法
US20140037680A1 (en) 2012-08-06 2014-02-06 Glaxosmithkline Biologicals, S.A. Novel method
CA2886938A1 (en) 2012-10-12 2014-04-17 Glaxosmithkline Biologicals S.A. Non-cross-linked acellular pertussis antigens for use in combination vaccines
MX362793B (es) 2013-03-08 2019-02-13 Janssen Vaccines & Prevention Bv Vacuna acelular contra pertussis.
BE1022008B1 (fr) 2013-08-05 2016-02-03 Glaxosmithkline Biologicals S.A. Compositions immunogenes combinees
CN108025053A (zh) 2015-04-16 2018-05-11 创赏有限公司 百日咳杆菌免疫原性的疫苗组合物
EP3876982A1 (en) 2018-11-06 2021-09-15 GlaxoSmithKline Biologicals S.A. Immunogenic compositions
EP3799884A1 (en) 2019-10-01 2021-04-07 GlaxoSmithKline Biologicals S.A. Immunogenic compositions

Family Cites Families (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5750925A (en) * 1980-09-12 1982-03-25 Takeda Chem Ind Ltd Preparation of pertussis toxoid
CA1340373C (en) * 1986-01-28 1999-02-02 Rino Rappuoli Cloning and sequencing of the dna fragment which codes for the five subunits of the pertussis toxin, a hybrid plasmid containing the dna fragment and micro-organisms transformed by the hybrid plasmid and capable of expressing all or some of the subunits of the pertussis toxin
US4883761A (en) * 1986-03-25 1989-11-28 The United States Of America As Represented By The Department Of Health And Human Services Pertussis toxin gene: cloning and expression of protective antigen
KR0168039B1 (ko) * 1987-09-04 1999-01-15 로버트 디. 웨스트 재조합 dna에서 유도한 보르데텔라 외독소 소단위체의 유사체 및 그를 포함하는 백신
IT1223334B (it) * 1987-11-02 1990-09-19 Sclavo Spa Polipeptidi immunologicamente attivi con una tossicita' alterata utili per la preparazione di un vaccino antipertosse
US6713072B1 (en) * 1987-11-02 2004-03-30 Chiron S.R.L. Immunologically active polypeptides with altered toxicity useful for the preparation of an antipertussis vaccine
US5221618A (en) 1987-11-24 1993-06-22 Connaught Laboratories Limited Genetic detoxification of pertussis toxin
GB8727489D0 (en) * 1987-11-24 1987-12-23 Connaught Lab Detoxification of pertussis toxin
IT1223529B (it) * 1987-12-18 1990-09-19 Sclavo Spa Epitopo immunodominante protettivo contenuto nella subunita' s1 della tossina della pertosse
AP8900132A0 (en) * 1988-07-22 1991-01-14 Smithkline Biolog Bordetella pertussis vaccine
US5000952A (en) * 1988-08-02 1991-03-19 The Board Of Trustees Of The Leland Stanford, Jr. University Polypeptide pertussis toxin vaccine
DE69022106T2 (de) * 1989-04-28 1996-02-15 Sclavo Spa Pertussistoxin-Mutanten, dieselbe produzierende Bordetella-Stämme und ihre Verwendung als Vakzin gegen Pertussis.

Also Published As

Publication number Publication date
CA2015677A1 (en) 1990-10-28
EP0396964B1 (en) 1995-09-06
EP0396964A1 (en) 1990-11-14
JP2655583B2 (ja) 1997-09-24
DE69022106T2 (de) 1996-02-15
HK17096A (en) 1996-02-09
ATE127347T1 (de) 1995-09-15
ES2078258T3 (es) 1995-12-16
JPH09163978A (ja) 1997-06-24
GR3018285T3 (en) 1996-03-31
DE69022106D1 (de) 1995-10-12
JPH03169825A (ja) 1991-07-23
US7427404B1 (en) 2008-09-23
US7666436B1 (en) 2010-02-23
CA2015677C (en) 2005-06-21
DK0396964T3 (da) 1995-10-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2852025B2 (ja) 新規な百日咳毒素変異株、このような変異株を生産し得るボルデテラ菌株及び抗百日咳菌ワクチンの開発に於けるそれらの使用
US5786189A (en) Vaccine
KR0168039B1 (ko) 재조합 dna에서 유도한 보르데텔라 외독소 소단위체의 유사체 및 그를 포함하는 백신
EP0322533B1 (en) Bordetella pertussis toxin with altered toxicity
US7902349B2 (en) Nucleic acids encoding protective epitopes of adenyl cyclase-haemolysin (AC-Hly)
EP0527724B1 (en) Compositions and treatments for pneumonia in animals
US6713072B1 (en) Immunologically active polypeptides with altered toxicity useful for the preparation of an antipertussis vaccine
US6660261B1 (en) Bordetella strain expressing the FHA hybrid, liposomes and vaccines
JPH10510984A (ja) 無細胞性抗ボルデテラワクチン
EP0352250B1 (en) Bordetella pertussis vaccine
US6214356B1 (en) Use of adenylate cyclase or bacteria producing it as vaccines against bordetella
EP0502016B1 (en) Novel vaccine
Rappuoli et al. Towards third-generation whooping cough vaccines
US7232671B2 (en) Pertussis toxin gene: cloning and expression of protective antigen
Rappuoli et al. Recombinant acellular pertussis vaccine—from the laboratory to the clinic: improving the quality of the immune response
KR20030032976A (ko) 보르데텔라 페르투시스 및 보르데텔라 파라페르투시스에대한 백신 제조용 펩티드
AU2903700A (en) Vaccine
Corbel et al. Recent developments in pertussis research
EP1468076A1 (en) Defective entities and uses therefor
US20030044430A1 (en) Pertussis toxin gene: cloning and expression of protective antigen
US20030044891A1 (en) Pertussis toxin gene: cloning and expression of protective antigen
KELLY CHARLOTTE D. PARKER, 1, 2* N. CHRISTINE MOLINA, ¹ SANDRA M. KELLY, 2 ROY CURTISS III, 2 AND JINAN YU1, 3

Legal Events

Date Code Title Description
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 19981008

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20071113

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081113

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091113

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091113

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101113

Year of fee payment: 12

EXPY Cancellation because of completion of term
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101113

Year of fee payment: 12