JP2850145B2 - 形状異方性軟磁性合金粉末 - Google Patents
形状異方性軟磁性合金粉末Info
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- Soft Magnetic Materials (AREA)
Description
【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は,高い磁化を有するFeを主成分とする金属粉
末を通常の機械的粉砕法により粉砕し,しかも粉末に形
状異方性を付与することにより,特定な方向のみ軟磁気
特性の向上した形状異方性軟磁性合金粉末に関するもの
である。
末を通常の機械的粉砕法により粉砕し,しかも粉末に形
状異方性を付与することにより,特定な方向のみ軟磁気
特性の向上した形状異方性軟磁性合金粉末に関するもの
である。
[従来の技術] 従来,安価にて高い磁化を有する鉄(Fe)は,磁性材
料においては,最も重要な物質となっている。一般にFe
を多量に含有する金属は磁化が容易である軟磁性を示
す。これらFeを主成分とする軟磁性合金は,塊状や板状
で使用されることが通例となっていた。
料においては,最も重要な物質となっている。一般にFe
を多量に含有する金属は磁化が容易である軟磁性を示
す。これらFeを主成分とする軟磁性合金は,塊状や板状
で使用されることが通例となっていた。
しかしながら,近年,形状が容易に選択できる粉末を
使用した成形,塗布等の手法が活用されている。一般
に,粉末は,金属の占める割合が少なくなるために,単
位体積当り磁化量が小さくなくなる傾向となる。それに
加えて,粒状化にともない反磁界の影響も大きくなり,
磁化特性が低下する傾向となる。
使用した成形,塗布等の手法が活用されている。一般
に,粉末は,金属の占める割合が少なくなるために,単
位体積当り磁化量が小さくなくなる傾向となる。それに
加えて,粒状化にともない反磁界の影響も大きくなり,
磁化特性が低下する傾向となる。
これら負の減少を軽減するためには,粉末に形状異方
性を付与し,特定の方向にのみ磁化を容易にする方法が
有用となる。
性を付与し,特定の方向にのみ磁化を容易にする方法が
有用となる。
[発明が解決しようとする課題] 一般に,Feを主成分とする軟磁性合金は,粘く,通常
の機械的粉砕法では,粉末化ができないとされてきた。
そのため溶湯噴霧法により合金粒子を得る方法や,液体
急冷法により薄帯を製造した後,粉砕し合金粉末とする
方法が,Feを多量に含有する金属粉末の一般的な製法と
されている。
の機械的粉砕法では,粉末化ができないとされてきた。
そのため溶湯噴霧法により合金粒子を得る方法や,液体
急冷法により薄帯を製造した後,粉砕し合金粉末とする
方法が,Feを多量に含有する金属粉末の一般的な製法と
されている。
しかしながら,この製法は,高価な設備を導入する必
要があること,処理量が少ないこと,安定した製造条件
が狭いこと等の工業的な不利益も多い。
要があること,処理量が少ないこと,安定した製造条件
が狭いこと等の工業的な不利益も多い。
そこで,本発明の技術的課題は,これら製造上の欠点
を除去するために,旧来より実施され,機械的粉砕によ
り,Feを主成分とした合金粉末を得るもので,安価な設
備を使用し,安定した製造状態で,Feを主成分とする形
状異方性軟磁性合金粉末を提供することにある。
を除去するために,旧来より実施され,機械的粉砕によ
り,Feを主成分とした合金粉末を得るもので,安価な設
備を使用し,安定した製造状態で,Feを主成分とする形
状異方性軟磁性合金粉末を提供することにある。
[課題を解決するための手段] 本発明は,旧来実施されている一般的な製造設備を使
用して,Feを主成分とする形状異方性を有する軟磁性合
金粉末を安価にして,安定的に製造できるように構成し
たもので,通常の溶解法で製造された合金インゴット
を,一般的に粉砕に使用されている設備を使用して製造
できるように,Fe系合金の組成を調整したものであり,Si
がXwt%,BがYwt%(但し,X=3.0〜23.0,Y=0.1以上かつ
X+Y=3.1〜23.0)残部が実質的にFeからなる強磁性
合金粉末であって,各粉末粒子は板状の結晶質粒子で,
その板面に平行な一方向に磁化容易軸を有することを特
徴とする。
用して,Feを主成分とする形状異方性を有する軟磁性合
金粉末を安価にして,安定的に製造できるように構成し
たもので,通常の溶解法で製造された合金インゴット
を,一般的に粉砕に使用されている設備を使用して製造
できるように,Fe系合金の組成を調整したものであり,Si
がXwt%,BがYwt%(但し,X=3.0〜23.0,Y=0.1以上かつ
X+Y=3.1〜23.0)残部が実質的にFeからなる強磁性
合金粉末であって,各粉末粒子は板状の結晶質粒子で,
その板面に平行な一方向に磁化容易軸を有することを特
徴とする。
一般に,Fe系合金は,一部の合金(例えば,Fe−Co系)
を除きFeの含有量が多いほど,高い磁化を有する傾向に
ある。したがって,安価にして,高い磁化特性を示す金
属材料は,高Fe側で実現されることになり,工業上極め
て有用な機能性材料となっている。そこで,本発明で
は,強磁性粉末を提供することが目的であるので,4πIs
5KG以上の特性を有することを条件として設定した。
を除きFeの含有量が多いほど,高い磁化を有する傾向に
ある。したがって,安価にして,高い磁化特性を示す金
属材料は,高Fe側で実現されることになり,工業上極め
て有用な機能性材料となっている。そこで,本発明で
は,強磁性粉末を提供することが目的であるので,4πIs
5KG以上の特性を有することを条件として設定した。
本発明では,Fe中にSiをXwt%,BをYwt%とし,X=3.0〜
23.0,Y=0.1〜20.0,ただし,X+Y=3.1〜23.0の範囲で
含有した合金を旧来から使用されている粉砕設備で粉砕
することにより,形状異方性を有する軟磁性合金粉末
を,安価にして,安定的に製造できるものである。
23.0,Y=0.1〜20.0,ただし,X+Y=3.1〜23.0の範囲で
含有した合金を旧来から使用されている粉砕設備で粉砕
することにより,形状異方性を有する軟磁性合金粉末
を,安価にして,安定的に製造できるものである。
本発明において,Fe中のSi含有量をXwt%,B含有量をTw
t%とし,X+Y=3.1wt%以上としたのは,X+Yの値が3.
1wt%以下では合金インゴットが粘く,ジョークラッシ
ャー等による一般的な機械的粉砕機での粉砕が不可能で
あったり,困難となるからである。また,本発明におい
て,Xを3.0wt%以上とし,Yを0.1wt%以上としたのは,こ
れ以下の領域ではX+Y=3.1wt%以上においての粉砕
が不可能になるからである。
t%とし,X+Y=3.1wt%以上としたのは,X+Yの値が3.
1wt%以下では合金インゴットが粘く,ジョークラッシ
ャー等による一般的な機械的粉砕機での粉砕が不可能で
あったり,困難となるからである。また,本発明におい
て,Xを3.0wt%以上とし,Yを0.1wt%以上としたのは,こ
れ以下の領域ではX+Y=3.1wt%以上においての粉砕
が不可能になるからである。
一方,本発明において,Xを23.0wt%以下,Yを20.0wt%
以下とし,X+Y=23.0wt%以下としたのは,これ以上の
領域では,合金粉末の磁化が5KG以下となり,Fe系合金の
特徴である高磁化特性が著しく減少した状態となるから
である。
以下とし,X+Y=23.0wt%以下としたのは,これ以上の
領域では,合金粉末の磁化が5KG以下となり,Fe系合金の
特徴である高磁化特性が著しく減少した状態となるから
である。
また,本発明において,粉末の形状異方性化は主に,
ジョークラッシャー等による粗粉砕した粉末をボールミ
ル等で比較的小さい機械的応力を,絞り返し加えていく
工程で実現される。
ジョークラッシャー等による粗粉砕した粉末をボールミ
ル等で比較的小さい機械的応力を,絞り返し加えていく
工程で実現される。
ここで得られた形状異方性粉末は,一般的に板状とな
っており,反磁界の関係で板面方向が磁化容易方向とな
る。この形状異方性化は,粒子の長径/短径が1(球
板)でなければ発生するものであり,本発明において
は,板状粒子の厚さが約0.1〜1000μm,直径が約1〜500
0μmの範囲での調整が容易にできる。一般的な傾向と
して,偏平度の向上した粒子は,板状粒子の直径が数十
μmで,厚さが1μm前後で実現されることが多い。
っており,反磁界の関係で板面方向が磁化容易方向とな
る。この形状異方性化は,粒子の長径/短径が1(球
板)でなければ発生するものであり,本発明において
は,板状粒子の厚さが約0.1〜1000μm,直径が約1〜500
0μmの範囲での調整が容易にできる。一般的な傾向と
して,偏平度の向上した粒子は,板状粒子の直径が数十
μmで,厚さが1μm前後で実現されることが多い。
尚,後述する本発明の実施例では,ジョークラッシャ
ーと回転ボールミルによる粉砕,偏平化についてのみ述
べているが,旧来からの粉砕機として知られているハン
マーミル,スタンプミル,ロールミル等による粉砕や,
振動ミル,遠心ミル,遊星ミル等のボールによるエネル
ギー伝達で粉砕する機種での工程を付加したり,代替し
ても,本発明の合金組成の効果が現われることは,明白
である。
ーと回転ボールミルによる粉砕,偏平化についてのみ述
べているが,旧来からの粉砕機として知られているハン
マーミル,スタンプミル,ロールミル等による粉砕や,
振動ミル,遠心ミル,遊星ミル等のボールによるエネル
ギー伝達で粉砕する機種での工程を付加したり,代替し
ても,本発明の合金組成の効果が現われることは,明白
である。
[実施例] 以下,本発明の実施例について説明する。
実施例1 純度が99.8%以上の鉄(Fe)及びケイ素(Si),ホウ
素(B)を使用してアルゴン雰囲気中で,高周波加熱に
より,Siが2.0,3.0,4.0,5.0,10.0,20.0,23.0,Bが0,0.1,
1.0,3.0,10.0,15.0,20.0残部Feの厚さ約20mmのインゴッ
ト49種類を作製した。
素(B)を使用してアルゴン雰囲気中で,高周波加熱に
より,Siが2.0,3.0,4.0,5.0,10.0,20.0,23.0,Bが0,0.1,
1.0,3.0,10.0,15.0,20.0残部Feの厚さ約20mmのインゴッ
ト49種類を作製した。
次に,これらインゴットをハンマーを用いて,最大長
辺か約10cm以下になるように破砕した。
辺か約10cm以下になるように破砕した。
次に,これらインゴットの破砕片を用いて,市販され
ているジョークラッシャーによる粉砕を実施した。尚,
インゴット破砕片は1ケずつ投入した。
ているジョークラッシャーによる粉砕を実施した。尚,
インゴット破砕片は1ケずつ投入した。
その結果を第1表に示す。表中,×印はインゴットの
粉砕が不可能であり,△印は粉砕が不可能ではないが困
難な状況と判断され,○印は粉砕が十分可能であり,◎
印は容易に粉砕できる状況であり, は著しく容易に粉砕できる状況を示している。
粉砕が不可能であり,△印は粉砕が不可能ではないが困
難な状況と判断され,○印は粉砕が十分可能であり,◎
印は容易に粉砕できる状況であり, は著しく容易に粉砕できる状況を示している。
Fe−Si−B合金で,SiをXwt%,及びBをYwt%とし,X
=3.0wt%以上,Y=0.1wt%以上含有することによりX+
Y=3.1wt%以上にて,市販されている通常の粉砕によ
っても粉砕が可能となっている。
=3.0wt%以上,Y=0.1wt%以上含有することによりX+
Y=3.1wt%以上にて,市販されている通常の粉砕によ
っても粉砕が可能となっている。
実施例2 実施例1で得られたSiがXwt%(X=3.0,10.0,20.0,2
3.0)BがYwt%(Y=0,5.0,10.0,15.0,20.0)で残部Fe
の20種類の粗粉砕粉末をそれぞれ1mm以下に分級した。
3.0)BがYwt%(Y=0,5.0,10.0,15.0,20.0)で残部Fe
の20種類の粗粉砕粉末をそれぞれ1mm以下に分級した。
次に,これら粉末を,ステンレスボール及びエタノー
ルを用いて,湿式でボールミル粉砕した。ここで,ステ
ンレスボール径及び回転数,運転時間を変化させること
により,平均直径が約30〜50μm,平均厚さが3〜5μm
で,直径/厚さの平均が約7〜13の板状粒子からなる合
金粉末を各々得た。
ルを用いて,湿式でボールミル粉砕した。ここで,ステ
ンレスボール径及び回転数,運転時間を変化させること
により,平均直径が約30〜50μm,平均厚さが3〜5μm
で,直径/厚さの平均が約7〜13の板状粒子からなる合
金粉末を各々得た。
次に,これら粉末に対し,液状のエポキシ樹脂を2wt
%混合した後,金型を使用して,約500kg/cm2の圧力で
一方向に加圧圧縮して約13mmの立方体の圧粉体を得た。
%混合した後,金型を使用して,約500kg/cm2の圧力で
一方向に加圧圧縮して約13mmの立方体の圧粉体を得た。
この圧粉体について,粉末の圧縮方向と平行な方向及
び,それと直交する方向の磁気特性を測定した。
び,それと直交する方向の磁気特性を測定した。
その結果を第1図に示す。図中4πIsは,粉末の占積
率を100%に換算した値である。
率を100%に換算した値である。
4πIs5KG以上は,Si組成値Xwt%,B組成値Ywt%とし,X
+Y=23wt%以下の領域で達成される。
+Y=23wt%以下の領域で達成される。
また,粉末の圧縮方向による磁化特性は,粉末圧縮方
向と平行な方向に比べ,それと直交する方向は,磁化曲
線の立ち上がりが急峻であり,1Hcも低い値を示してい
た。これは,粉末圧縮方向と直交する方向が磁気容易と
なっていることを示している。
向と平行な方向に比べ,それと直交する方向は,磁化曲
線の立ち上がりが急峻であり,1Hcも低い値を示してい
た。これは,粉末圧縮方向と直交する方向が磁気容易と
なっていることを示している。
この圧粉体の断面を顕微鏡にて,観察したところ,粉
末圧縮方向と直交する方向に,板状合金粒子の長軸が揃
った積層状態となっていた。
末圧縮方向と直交する方向に,板状合金粒子の長軸が揃
った積層状態となっていた。
したがって,圧粉体の磁化異方性特性は,粉末の形状
による磁化容易性に起因していることがわかる。
による磁化容易性に起因していることがわかる。
[発明の効果] 以上説明したように,本発明の形状異方性軟磁性合金
粉末の製造方法によれば,安価な設備を使用し,安定し
た製造状態でFeを主成分とする形状異方性軟磁性合金粉
末を提供することができる。
粉末の製造方法によれば,安価な設備を使用し,安定し
た製造状態でFeを主成分とする形状異方性軟磁性合金粉
末を提供することができる。
第1図は,実施例2におけるFe−Si−B合金粉末のSi,B
含有量と磁気特性(4πIs,1Hc)の関係を示す図であ
る。 図中,○印はSi組成値3.0wt%,△印は10.0wt%,×印
は20.0wt%,□印は23.0wt%を示している。また,実線
は粉末圧縮方向と直交した測定方向での特性値を示し,
破線は,粉末圧縮方向と平行した測定方向での特性値を
示している。
含有量と磁気特性(4πIs,1Hc)の関係を示す図であ
る。 図中,○印はSi組成値3.0wt%,△印は10.0wt%,×印
は20.0wt%,□印は23.0wt%を示している。また,実線
は粉末圧縮方向と直交した測定方向での特性値を示し,
破線は,粉末圧縮方向と平行した測定方向での特性値を
示している。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01F 1/14
Claims (1)
- 【請求項1】SiがXwt%,BがYwt%(但し,X=3.0〜23.0,
Y=0.1〜20.0,X+Y=3.1〜23.0)残部が実質的にFeか
らなる強磁性合金粉末であって,各粉末粒子は板状の結
晶質粒子で,その板面に平行な一方向に磁化容易軸を有
することを特徴とする形状異方性軟磁性合金粉末。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1338595A JP2850145B2 (ja) | 1989-12-28 | 1989-12-28 | 形状異方性軟磁性合金粉末 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1338595A JP2850145B2 (ja) | 1989-12-28 | 1989-12-28 | 形状異方性軟磁性合金粉末 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH03201414A JPH03201414A (ja) | 1991-09-03 |
JP2850145B2 true JP2850145B2 (ja) | 1999-01-27 |
Family
ID=18319651
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP1338595A Expired - Fee Related JP2850145B2 (ja) | 1989-12-28 | 1989-12-28 | 形状異方性軟磁性合金粉末 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2850145B2 (ja) |
-
1989
- 1989-12-28 JP JP1338595A patent/JP2850145B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH03201414A (ja) | 1991-09-03 |
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