JP4089212B2 - 希土類合金の造粒粉の製造方法および希土類合金焼結体の製造方法 - Google Patents

希土類合金の造粒粉の製造方法および希土類合金焼結体の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、希土類合金の造粒粉の製造方法および希土類合金焼結体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
希土類合金の焼結磁石(永久磁石)は、一般に、希土類合金の粉末をプレス成形し、得られた粉末の成形体を焼結し、時効処理することによって製造される。現在、希土類・コバルト系磁石と、希土類・鉄・ボロン系磁石の二種類が各分野で広く用いられている。なかでも、希土類・鉄・ボロン系磁石(以下、「R−Fe−B系磁石」と称する。RはYを含む希土類元素、Feは鉄、Bはボロンである。)は、種々の磁石の中で最も高い最大磁気エネルギー積を示し、価格も比較的安いため、各種電子機器へ積極的に採用されている。
【0003】
R−Fe−B系焼結磁石は、主にR2Fe14Bの正方晶化合物からなる主相、Nd等からなるRリッチ相、およびBリッチ相から構成されている。なお、Feの一部がCoやNiなどの遷移金属と置換されてもよく、ボロン(B)の一部が炭素(C)で置換されてもよい。本発明が好適に適用されるR−Fe−B系焼結磁石は、例えば、米国特許第4,770,723号および米国特許第4,792,368号の明細書に記載されている。
【0004】
このような磁石となるR−Fe−B系合金を作製するために、従来は、インゴット鋳造法が用いられてきた。一般なインゴット鋳造法によると、出発原料である希土類金属、電解鉄およびフェロボロン合金を高周波溶解し、得られた溶湯を鋳型内で比較的ゆっくりと冷却することによって合金インゴットが作製される。
【0005】
近年、合金の溶湯を単ロール、双ロール、回転ディスク、または回転円筒鋳型の内面などと接触させることによって、比較的速く冷却し、合金溶湯から、インゴットよりも薄い凝固合金(「合金フレーク」と称することにする。)を作製するストリップキャスト法や遠心鋳造法に代表される急冷法が注目されている。このような急冷法によって作製された合金片の厚さは、一般に、約0.03mm以上約10mm以下の範囲にある。急冷法によると、合金溶湯は冷却ロールに接触した面(ロール接触面)から凝固し始め、ロール接触面から厚さ方向に結晶が柱状に成長してゆく。その結果、ストリップキャスト法などによって作製された急冷合金は、短軸方向のサイズが約0.1μm以上約100μm以下で、長軸方向のサイズが約5μm以上約500μm以下のR2Fe14B結晶相と、R2Fe14B結晶相の粒界に分散して存在するRリッチ相とを含有する組織を持つにいたる。Rリッチ相は希土類元素Rの濃度が比較的高い非磁性相であり、その厚さ(粒界の幅に相当する)は約10μm以下になる。
【0006】
急冷合金は、従来のインゴット鋳造法(金型鋳造法)によって作製された合金(インゴット合金)に比較して相対的に短い時間(冷却速度:102℃/秒以上、104℃/秒以下)で冷却されているため、組織が微細化され、結晶粒径が小さいという特徴を有している。また、粒界の面積が広く、Rリッチ相は粒界内に広く広がっているため、Rリッチ相の分散性にも優れるという利点がある。これらの特徴が故に、急冷合金を用いることによって、優れた磁気特性を有する磁石を製造することができる。
【0007】
また、Ca還元法(あるいは還元拡散法)と呼ばれる方法も知られている。この方法は以下の工程を含む。まず、希土類酸化物のうちの少なくとも1種と、鉄粉および純ボロン粉と、フェロボロン粉およびホウ素酸化物のうちの少なくとも1種とを所定の割合で含む混合粉、あるいは上記構成元素の合金粉または混合酸化物を所定の割合で含む混合粉に、金属カルシウム(Ca)および塩化カルシウム(CaCl)を混合し、不活性ガス雰囲気下で還元拡散処理を施す。得られた反応生成物をスラリー化し、これを水処理することによって、R−Fe−B系合金の固体が得られる。
【0008】
なお、本明細書において、固体合金の塊を「合金塊」と呼び、従来のインゴット鋳造法によって得られる合金インゴットおよびストリップキャスト法などの急冷法によって得られる合金フレークなどの溶湯を冷却して得られた凝固合金だけでなく、Ca還元法によって得られる固体合金など、種々の形態の固体合金を含むものとする。
【0009】
プレス成形に供される合金粉末は、これらの合金塊を、例えば水素吸蔵法および/または種々の機械的粉砕法(例えば、ディスクミルが用いられる)で粉砕し、得られた粗粉末(例えば、平均粒径10μm〜500μm)を例えばジェットミルを用いた乾式粉砕法で微粉砕することによって得られる。
【0010】
プレス成形に供せられるR−Fe−B系合金粉末の平均粒径は、磁気特性の観点から、1.5μm〜6μmの範囲内にあることが好ましい。なお、粉末の「平均粒径」は、特にことわらない限り、ここでは、質量中位径(mass median diameter:MMD)を指すことにする。しかしながら、このように平均粒径が小さな粉末を用いると流動性やプレス成形性(キャビティ充填性および圧縮性を含む)が悪く、生産性が悪い。
【0011】
この問題を解決する方法として、合金粉末粒子の表面を潤滑剤で覆うことが検討されている。例えば、特開平08−111308号公報および対応米国特許5、666、635号(譲受人:住友特殊金属株式会社)の明細書には、平均粒径10μm〜500μmのR−Fe−B系合金の粗粉末に、少なくとも1種の脂肪酸エステルを液状化した潤滑剤を、0.02質量%〜5.0質量%添加混合後、不活性ガスを用いたジェットミル粉砕を行い、R−Fe−B系合金の微粉末(例えば平均粒径1.5μm〜5μm)を作製する技術が開示されている。
【0012】
潤滑剤は、粉末の流動性や成形性(圧縮性)を改善するとともに、成形体に固さ(強度)を付与するためのバインダとして機能する一方、焼結体中に残存炭素として残留し磁気特性を低下させる原因となるので、優れた脱バインダ性が要求される。例えば、特開2000−306753号公報には、脱バインダ性に優れた潤滑剤として、解重合ポリマ、解重合ポリマと炭化水素系溶剤の混合物、および解重合ポリマと低粘度鉱油と炭化水素系溶剤との混合物が開示されている。
【0013】
しかしながら、上述した潤滑剤を用いる方法によると、ある程度の改善効果は得られるものの、キャビティ内に均一に充填することは難しく、また充分な成形性が得られない。特に、ストリップキャスト法等の急冷法(冷却速度が102/秒〜104/秒)で作製された粉末は、インゴット法によって作製された粉末に比べて、平均粒径が小さいだけでなく粒度分布がシャープ(急峻)なので、特に流動性が悪い。そのため、キャビティに充填される粉末の量が許容範囲を超えてばらついたり、キャビティ内の充填密度が不均一になったりする。その結果、成形体の質量や寸法が許容範囲を超えてばらついたり、成形体に欠けや割れが生じすることがある。
【0014】
R−Fe−B系合金粉末の流動性および成形性を改善するための他の方法として、造粒粉を用いる試みがなされている。
【0015】
例えば、特開昭63−237402号公報には、室温で液体状態のパラフィン混合物と脂肪族カルボン酸との混合物を粉末に対して0.4〜4.0質量%添加し、混練後、造粒することによって得られた造粒粉を用いることによって、成形性を改善できることが開示されている。また、造粒剤としてPVA(ポリビニルアルコール)を用いる方法も知られている。なお、造粒剤も潤滑剤と同様に成形体に強度を付与するバインダとして機能する。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特開昭63−237402号公報に開示されている造粒剤を用いると、脱バインダ性が悪いため、R−Fe−B系焼結磁石の場合、焼結体中に残留する炭素によって磁気特性が低下するという問題がある。
【0017】
また、PVAを用いてスプレードライヤ法で製造された造粒粉は、逆に、結合力が強いので、得られた造粒粉が固すぎ、外部磁界を印加しても造粒粉が完全に崩壊しない。従って、1次粒子を充分に磁界配向させることができず、その結果、優れた磁気特性を有する磁石が得られないという問題がある。PVAも脱バインダ性が悪く、PVAに由来する炭素が磁石に残存しやすい。この問題を解決するために水素雰囲気下で脱バインダ処理を行う方法もあるが、充分に炭素を除去することは難しい。
【0018】
また、本願出願人は、造粒粉が配向磁界によって崩壊し難いという問題を解決するために、静磁界を印加した状態で造粒することによって、磁界配向した個々の粒子(1次粒子)が造粒剤で結合された造粒粉を製造する方法を提案した(特開平10−140202号公報)。この造粒粉を用いると、磁界配向していない1次粒子を造粒剤で結合した造粒粉を用いた場合よりも、磁気特性は改善されるものの、プレス成形時に十分に磁界配向させることが困難なため、造粒していない希土類合金粉末を用いた場合よりも磁気特性が低い。
【0019】
上述したように、これまで種々の造粒剤や造粒方法が検討されてきたが、流動性やプレス成形性に優れ、且つ、優れた磁気特性を有する磁石を製造することが可能な希土類合金の造粒粉を工業的に生産できる方法は、まだ開発されていない。
【0020】
一方で、磁石の小型化・薄型化および高性能化へのニーズが高まっており、小型または薄型の高性能な磁石を高い生産効率で製造できる製造方法の開発が望まれている。一般に、希土類合金焼結体(またはこれを着磁した磁石)を機械加工すると加工ひずみの影響で磁気特性が低下するが、小型の磁石においてはこの磁気特性の低下を無視できない。従って、小型の磁石ほど、実質的に機械加工を必要としない程度の寸法精度で、使用される最終形状を有する焼結体を作製することが強く望まれる。このような背景からも、流動性やプレス成形性に優れた希土類合金粉末、特に、R−Fe−B系合金粉末に対する需要が一層強くなっている。
【0021】
本発明は、上記の諸点に鑑みてなされたものであり、流動性やプレス成形性に優れ、且つ、優れた磁気特性を有する磁石を製造することが可能な希土類合金の造粒粉の製造方法、および高品質の希土類合金焼結体を高い生産効率で製造する方法を提供することを主な目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】
本発明による希土類合金の造粒粉の製造方法は、希土類合金の粉末を用意する工程と、前記粉末に残留磁化を付与する工程と、前記粉末の残留磁化による凝集力を利用して造粒する工程とを包含し、そのことによって上記目的が達成される。
【0023】
前記造粒工程は、外部から磁界を印加することなく前記粉末の粒子に運動エネルギーを与える工程を含み、前記粒子は与えられた運動エネルギーによる転動作用によって成長することが好ましい。
【0024】
上記の製造方法は、残留磁化を有する前記粉末を容器内に充填する工程と、前記容器内において、外部から磁界を印加することなく前記粉末の粒子に運動エネルギーを与える工程とを包含してもよい。あるいは、前記粉末を容器内に充填する工程と、前記容器内の前記粉末に磁界を印加することによって前記粉末に残留磁化を与える工程と、前記容器内において、外部から磁界を印加することなく残留磁化を有する前記粉末の粒子に運動エネルギーを与える工程とを包含してもよい。
【0025】
前記粉末に造粒剤を付与する工程をさらに包含してもよいし、前記粉末に造粒剤を付与する工程を含まないでもよい。
【0026】
前記粉末に残留磁化を付与する工程は、交番減衰磁界を印加することによって行われることが好ましい。
【0027】
前記希土類合金は、Dyを2質量%以上、またはTbを1質量%以上、またはDyとTbとの合計を1質量%以上含むR−Fe−B系合金であることが好ましい。
【0028】
前記粉末の平均粒径が1.5μm以上6μm以下の範囲内にあることが好ましい。
【0029】
前記造粒工程は、平均粒径が0.05mm以上3.0mm以下の範囲内にある造粒粉を作製する工程であることが好ましい。
【0030】
本発明による希土類合金焼結体の製造方法は、上記のいずれかの希土類合金の造粒粉の製造方法を用いて造粒粉を製造する工程と、前記造粒粉に脱磁磁界を印加することなく、前記造粒粉を含む希土類合金の粉末をキャビティに充填する工程と、前記造粒粉を含む希土類合金の粉末に配向磁界を印加した状態でプレス成形することによって成形体を形成する工程と、前記成形体を焼結する工程とを包含し、そのことによって上記目的が達成される。
【0031】
本発明による希土類合金の造粒粉は、残留磁化を有する平均粒径が1.5μm以上6μm以下の希土類合金の粉末を含み、平均粒径が0.05mm以上3.0mm以下の範囲内にあり、前記粉末は、前記残留磁化による凝集力によって互いに結合していることを特徴とする。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、本発明による実施形態の造粒粉の製造方法ならびに希土類合金焼結体の製造方法を説明する。以下の実施形態の説明においては、磁気特性に優れる反面、特に流動性の低い、ストリップキャスト法で作製されたR−Fe−B系合金粉末を用いた焼結磁石の製造方法を例に本発明の特徴を説明するが、本発明はこれに限られず、他の方法によって製造された希土類合金粉末を用いてもよい。
【0033】
本発明による実施形態のR−Fe−B系合金焼結体の製造方法は、R−Fe−B系合金の粉末(以下、「原料粉末」または「1次粒子粉末」という。)を作製する工程と、原料粉末に残留磁化を付与する工程と、原料粉末の残留磁化による凝集力を利用して造粒する工程と、造粒粉を含むR−Fe−B系合金粉末に磁界を印加した状態でプレス成形することによって成形体を形成する工程と、成形体を焼結する工程と包含する。得られた焼結体を公知の方法で着磁することによって、R−Fe−B系焼結磁石が得られる。なお、着磁工程は、焼結後の任意の時点で実行され、例えば、焼結磁石のユーザによって使用の直前に実行されてもよい。
【0034】
本発明による実施形態のR−Fe−B系合金焼結体の製造方法においては、原料粉末の残留磁化による凝集力を用いて造粒する。従って、造粒剤の添加量を低減したり、あるいは、従来よりも結合力が低い結合剤を用いることができる。さらには、造粒剤の添加を省略することすら可能になる。
【0035】
図1(a)、(b)および(c)を参照しながら、本発明の実施形態による造粒粉の製造方法および得られた造粒粉の特徴を説明する。図1の左側は造粒粉の構造を模式的に示す図であり、図1の右側はプレス成形のためのキャビティ内で配向磁界を印加された後の造粒粉の状態を模式的に示す図である。図1(a)は本発明の実施形態による造粒粉12a、(b)は造粒剤を用いた従来の造粒粉12b、(c)は上述の特開平10−140202号公報に記載された方法によって得られた造粒粉12cをそれぞれ示している。
【0036】
図1(a)に示すように、本実施形態の造粒粉12aは、残留磁化を有する1次粒子10aが磁気的な凝集力によって弱く結合している。ここでは造粒剤を用いない場合を例示している。残留磁化を有する1次粒子10aは磁気的な閉回路を形成するように磁気的に結合し、造粒粉12aの残留磁化は僅か(例えば0mT〜10mT(ミリテスラ)程度)である。造粒粉12a中の1次粒子10aの残留磁化の方向は、図1(c)に示す造粒粉12cとは異なり、ランダムに向いている。例えば、1次粒子10aの平均粒径は、1.5μm以上6.0μm以下であり、造粒粉12aの平均粒径は0.05mmから3.0mm程度である。残留磁化は、ガウスメータのプローブを造粒粉中に挿入して測定することができる。
【0037】
この造粒粉12aは適度な粒径を有するので、流動性に優れ、且つ残留磁化も低いので、ブリッジングを起こすことなくキャビティに容易に均一に充填される。さらに、1次粒子10aは磁気的な凝集力によって結合しているだけなので、図1(a)の左側に図示するように、配向磁界(例えば0.1T〜0.8T)の印加によって確実に1次粒子10aに崩壊し、1次粒子10aは磁界配向する。また、造粒剤を含まないので、焼結体の炭素含有量を増加させることもない。この造粒粉12aを用いて製造された焼結体を着磁することによって得られる磁石は、原料粉末(残留磁化は実質的にゼロ)を造粒せずに用いて得られる磁石と実質的に同じ磁気特性を有する。すなわち、本発明の実施形態の造粒粉を用いることによって、磁気特性を低下させること無く、流動性および成形性を改善することができる。勿論、成形体の強度を向上するためなどの目的で、造粒剤を添加しても良い。造粒剤は補助的に用いられるので強い結合力は不要であり、磁気特性を低下させないように、その量や種類を選択すればよい。
【0038】
これに対し、図1(b)に示したように、原料粉末の1次粒子10bを造粒剤14によって結合した造粒粉12bは、配向磁界では十分に崩壊せず、その結果、得られる焼結磁石の磁気特性が低下する。原料粉末を造粒せずに用いた場合に比べて、例えば、残留磁化は1%〜10%程度低下する。なお、図1(b)の造粒粉12b中の1次粒子10bは、残留磁化を有していないので、矢印を記載していない。
【0039】
また、図1(c)に示したように、静磁界中で1次粒子10cを配向させながら、造粒剤14で1次粒子10cを結合、固定した造粒粉12cを用いると、磁気特性の低下は抑制されるものの、造粒粉12cが完全に1次粒子10cまで崩壊しないので、原料粉末を造粒せずに用いた場合に比べて、例えば、残留磁化は1%〜数%程度低下する。また、図1(c)に模式的に示したように、造粒粉12cは磁極の方向に沿った細長い形状になり、流動性の観点から不利である。さらに、造粒粉12cは比較的大きな残留磁化を有しているので、一旦、脱磁(消磁)しないと、ブリッジングを起こすのでキャビティに充填できない。
【0040】
これに対し、本発明の実施形態による造粒粉12aは、球形に近く、且つ、残留磁化も小さいので脱磁を必要とせず、キャビティに容易に均一に充填することができる。上述したように、本発明の実施形態の造粒粉12aは、流動性およびキャビティへの充填性に優れ、且つ、実質的に磁気特性の低下がない焼結磁石を製造することができる。
【0041】
本発明の実施形態の造粒粉は、残留磁化を有する原料粉末の粒子に運動エネルギーを与え、粒子が与えられた運動エネルギーによる転動作用によって成長する過程を含む造粒方法によって得られる。例えば、転動造粒法、流動層造粒法、攪拌混合造粒法や振動造粒法を採用することができる。すなわち、従来のできる造粒装置、流動層造粒装置、攪拌混合造粒装置や振動造粒装置の容器(造粒槽)に、残留磁化を有する原料粉末を充填し、それぞれ常法に従って、造粒粉を得ることができる。また、必要に応じて、造粒剤を添加しても良い。
【0042】
本発明の実施形態による造粒粉の製造方法において、原料粉末に残留磁化を付与する工程は、造粒装置の容器に原料粉末を充填する前に行っても良いし、容器に充填した後に行っても良い。但し、本実施形態による造粒粉12aの1次粒子10aは、残留磁化による磁気的な凝集力で結合しているので、外部から磁界を印加すると造粒粉12aは崩壊する。従って、粒子の成長過程は実質的にゼロ磁界下で行われるようにする。これは、図1(c)に示した造粒粉12cの製造方法では、造粒粉12が最終的に造粒剤14によって固定されるまで、1次粒子10cを配向させるために磁界を印加し続ける必要があるのと対照的である。なお、本明細書における「実質的なゼロ磁界」とは、粒子が転動作用によって成長する過程で、粉末の残留磁化によって磁気的な閉回路が形成された造粒粉が得られる程度および粉末の残留磁化に影響を及ぼさない程度の弱い磁界をいう。
【0043】
残留磁化を付与するために印加する磁界は種々の磁界を用いることができる。なお、1次粒子が有する残留磁化はわずかでよいので、交番減衰磁界を用いることが好ましい。なお、残留磁化を付与するための磁界は、交番減衰磁界に限られず、単調減衰磁界や他のパルス磁界や静磁界を用いてもよい。
【0044】
なお、残留磁化を付与しても原料粉末の保磁力が小さいと、最終的な造粒粉が得られるまでの間に消磁してしまい、造粒粉の形状を維持できないことがある。従って、原料粉末の保磁力が比較的高いものが好ましい。具体的には、原料粉末を嵩密度が2.0g/cm3となるように容器に充填し、BHトレーサで測定した保磁力の値を原料粉末の見掛け上の保磁力とすると、原料粉末は、70kA/m以上の保磁力を有することが好ましく、80kA/m以上の保磁力を有することがさらに好ましい。例えば、R−Fe−B系合金の場合には、Dyを2質量%以上、またはTbを1質量%以上、またはDyとTbとの合計を1質量%以上含む合金が好ましい。
【0045】
プレス成形に供せられるR−Fe−B系合金の粉末としては、上述のようして製造された造粒粉のみを用いることが流動性や成形性の観点からは好ましいが、造粒粉と原料粉末(1次粒子粉末)とを混合して用いることもできる。但し、原料粉末の割合が増えると流動性が低下するので、造粒による流動性の改善効果を十分に得るためには、実質的に造粒粉のみを用いることが好ましい。また、造粒粉に混合して原料粉末を用いる場合には、粒子表面が潤滑剤で被覆されていることが好ましい。1次粒子の表面を潤滑剤で被覆することによって、R−Fe−B系粉末の流動性を改善することができるとともに、R−Fe−B系合金の酸化を防止することができる。なお、本願明細書においては、実質的に希土類合金のみの粉末(表面の酸化物層は含み得る)だけでなく、希土類合金の粉末とともに造粒剤や潤滑剤を含むプレス成形に供せられる粉末も希土類合金の粉末と呼ぶことにする。
【0046】
本発明による実施形態のR−Fe−B系合金焼結体を用いた磁石の製造方法を工程順に説明する。
【0047】
まず、ストリップキャスト法を用いて、R−Fe−B系合金フレークを作製する(例えば、米国特許第5,383,978号参照)。具体的には、公知の方法によって製造された、R−Fe−B系合金を高周波溶解により溶湯とする。なお、R−Fe−B系合金としては、上記の他に、例えば米国特許第4,770,723号および米国特許第4,792,368号の明細書に記載されている組成のものを好適に用いることができる。R−Fe−B系希土類合金の典型的な組成では、RとしてNdまたはPrが主に用いられ、Feは部分的に遷移元素(例えばCo)に部分的に置換されてもよく、BはCによって置換されてもよい。
【0048】
この合金の溶湯を1350℃に保持した後、ロール周速度を約1m/秒、冷却速度500℃/秒、過冷度200℃の条件で単ロール上で急冷し、厚さ0.3mmの合金フレークを得る。この合金フレークに水素を吸蔵させ、脆化させることによって合金粗粉末を得る。この合金粗粉末をジェットミル装置を用いて窒素ガス雰囲気中で微粉砕することによって、例えば平均粒径が1.5μm〜6μmで、BET法による比表面積が約0.45m2/g〜約0.55m2/gの合金粉末(原料粉末)が得られる。この原料粉末の真密度は、7.5g/cm3である。
【0049】
次に、得られた原料粉末に残留磁化を付与する。ここでは、ピーク磁界が1.0Tの交番減衰磁界を印加する。
【0050】
次に、残留磁化を有する原料粉末を造粒する。ここでは、流動層造粒法を用いる。流動層造粒法を用いると、球形に近い形状の造粒粉を得ることができるとともに、適度な固さの造粒粉を得ることができる。造粒粉が球形に近い形状を有していると、流動性および成形性に優れる。また、造粒粉の固さは、造粒剤の影響も受けるが、上述したように固すぎても柔らか過ぎても不都合を生じる。
【0051】
流動層造粒法で造粒するための造粒装置20を模式的に図2に示す。造粒装置20は、送風用ブロア21と、調温調湿器22と、流動槽23と、切換弁24と、逆圧用ブロア26とを備えている。このような造粒装置20として、例えば不二パウダル株式会社製のスイング・プロセッサを好適に用いることができる。
【0052】
まず、送風用ブロア21によって形成される空気流によって、流動槽23において通常の流動化が行なわれる。このとき、正圧によって空気流は実線の矢印のように流れる(流動過程)。次に、切換弁24を切換えると、逆圧用ブロア26によって図中の破線の矢印で示すように空気が流れる(圧密過程)。圧密過程においては、下向きの空気流により、粉体層が形成、圧縮され、造粒粉の固さが増す。一方、上向きの空気流により、圧密過程で形成された粉体層が破壊され、流動化空気の摩砕作用によって、球形に近い形状の造粒粉が生成される。切換弁24の切換を繰り返し行なってもよく、空気量や繰り返しサイクルを制御することによって、造粒粉の固さを調整することができる。また、造粒工程の時間を制御することによって、造粒粉の平均粒径を調整することができる。
【0053】
なお、残留磁化を有する原料粉末を用いると、残留磁化を有しない原料粉末を用いた場合よりも短時間(例えば約半分の時間)で所望の造粒粉が得られる。これは、残留磁化を有する原料粉末を用いると、造粒粉を生成するための核が1次粒子間の磁気的な凝集力によって容易に生成されるためと推察される。
【0054】
造粒粉の平均粒径は0.05mm〜3.0mmの範囲内にあることが好ましい。一般に、造粒粉に含まれる1次粒子はわずかであり、また3次粒子以上の高次の造粒粉も非常に少ないので、実質的に2次粒子の平均粒径が造粒粉の平均粒径を代表するものとして扱うことができる。ここでは、造粒粉の平均粒径として、顕微鏡観察によって求めた2次粒子の平均粒径を用いる。造粒粉の平均粒径が0.05mmより小さいと、流動性の改善効果が低く、十分な密度で均一な成形体を得ることが難しい。一方、造粒粉の平均粒径が3mmより大きいと、キャビティへの充填性が低下し、十分な密度で均一な成形体を得ることが難しい。造粒粉の平均粒径は、0.1mm〜2.0mmの範囲内にあることがさらに好ましい。
【0055】
次に、得られた造粒粉をプレス成形することによって成形体を形成する。ここでは、造粒粉だけを用いて成形体を形成する。プレス成形には公知のプレス成形装置を用いることができ、典型的には、上下パンチで金型のキャビティ(ダイホール)内の粉末をプレスする一軸プレス成形装置が用いられる。造粒粉末の移送は、例えば、気密性の高い容器内に窒素ガスを充満または流気させた状態で、バッチごとに行う。
【0056】
一軸プレス成形機の金型のキャビティに造粒粉を充填する。造粒粉をキャビティに充填する工程は、例えば、ふるいを用いた充填方法や、特公昭59−40560号公報、特開平10−58198号公報、実開昭63−110521号公報や特開2000−248301号公報に開示されているようなフィーダボックスを用いた充填方法(これらを総称して「落とし込み方法」ということもある。)を用いて実行することができる。
【0057】
特に、小さい成形体を形成する場合、キャビティの内容積に対応する量の造粒粉を、キャビティを用いて計量することが好ましい。例えば、下方に開口部を有するフィーダボックスをキャビティ上に移動させ、造粒粉を重力落下(自然落下)させた後、キャビティに供給された余剰の造粒粉をすりきることによって、比較的均一に、所定量の造粒粉を充填することができる。勿論、別途計量した造粒粉を漏斗などを用いてキャビティに充填しても良い。
【0058】
キャビティ内に造粒粉を充填した後、一軸プレス装置の上パンチを降下し、キャビティの開口部を塞いだ状態で、配向磁界を印加し、造粒粉を1次粒子に崩壊させるとともに、1次粒子を磁界配向させる。本発明による造粒粉は、0.1T〜0.8Tの比較的弱い磁界で確実に1次粒子に崩壊する。但し、充分な配向度を考慮すると、0.5T〜1.5T程度が望ましい。磁界の方向は、例えばプレス方向と垂直方向である。このように磁界を印加しながら、例えば98MPaの圧力で、上下パンチで粉末を一軸プレスする。その結果、相対密度(成形体密度/真密度)が0.5〜0.7の成形体が得られる。なお、磁界の方向は、必要に応じてプレス方向に対して平行としてもよい。
【0059】
次に、得られた成形体を、真空中または不活性ガス雰囲気中で、例えば約1000℃〜約1180℃の温度で、約1時間から6時間焼結する。本実施形態の造粒粉は、造粒剤を含まない、あるいは、焼結工程に実質的に除去され得る程度の造粒剤しか含まないので、脱バインダ工程を別途設ける必要がない。なお、従来の典型的な脱バインダ工程は、約200℃〜800℃の温度で、約2Paの圧力の不活性ガス雰囲気下で、約3時間〜約6時間実行されている。
【0060】
得られた焼結体を、例えば約450℃〜約800℃の温度で、約1時間〜8時間時効処理することによって、R−Fe−B系焼結磁石が得られる。この後、任意の段階で、着磁することによってR−Fe−B系焼結磁石が最終的に完成する。
【0061】
本発明によると、上述のしたように流動性および成形性に優れた造粒粉を用いるので、充填量のばらつきが少なく、且つキャビティ内に均一に充填される。従って、プレス成形によって得られた成形体の質量および寸法のばらつきが少ない。また、成形体に欠けや割れが発生することも少ない。
【0062】
さらに、本実施形態の造粒粉の1次粒子は、実質的に残留磁化の磁気的な凝集力によって結合しているので、配向磁界の印加によって1次粒子に確実に崩壊する。従って、1次粒子の配向度が低下することがない。また、造粒剤の炭素が焼結体中に残存することによる磁気特性の低下も最小限に抑制されるので、優れた磁気特性を有する焼結磁石を得ることができる。このように、本発明によると、高品質のR−Fe−B系合金焼結磁石を高い生産効率で製造することができる。
【0063】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明する。
【0064】
R−Fe−B系合金粉末を以下の様にして作製した。出発原料として、純度99.9%の電解鉄、Bを19.8%含有するフェロボロン合金、純度99.7%以上のNdおよびDyを用いて、合金溶湯を調製した。この合金溶湯からストリップキャスト法で30.0質量%Nd、5.0質量%Dy、64.0質量%Fe、1.0質量%Bの組成のR−Fe−B系合金のフレークを得た。これをジェットミルを使用し、不活性ガス(例えばN2ガス、ガス圧58.8MPa)中で微粉砕し、平均粒径3μmの原料粉末を得た。
【0065】
次に、実施例用の原料粉末に、交番減衰磁界(ピーク磁界1.0T)を印加し、残留磁化を付与した。
【0066】
次に、流動層造粒法(例えば、不二パウダル株式会社製のスイング・プロセッサ)で造粒粉を調製した。実施例2から3および比較例2および3の造粒粉の製造には、本願出願人らによる特願2001−96572号に記載されているポリブテンとイソパラフィンを造粒剤として用いた。実施例および比較例のいずれの場合も、造粒粉の平均粒径が0.5mmとなるように条件を設定した。得られた造粒粉の残留磁化は0.2mT程度であった。実施例1から3の造粒工程は約15分であり、比較例2および3の造粒工程は約30分を要した。なお、比較例1は、原料粉末(磁界の印加を行っていない)を造粒することなしに用いた。実施例1から3および比較例1から3のそれぞれにプレス用粉末の調製条件を表1にまとめて示す。
【0067】
【表1】
Figure 0004089212
【0068】
また、表1には、それぞれのプレス用粉末の安息角をあわせて示す。安息角が大きい粉末は流動性が悪く、安息角が小さいものほど流動性が優れている。比較例1として示したように、原料粉末を造粒しないと安息角は約52°と大きく、流動性が低い。これに対し、造粒を行った実施例1〜3、比較例2および3のいずれのプレス粉末も安息角は50°未満まで低下している。特に、実施例1および2のプレス粉末は、比較例2のプレス粉末(造粒剤の添加量1質量%)よりも安息角が小さく、流動性が優れている。すなわち、残留磁化を利用することによって、従来よりも少ない造粒剤の添加によって、流動性が改善されることがわかる。なお、造粒剤の添加量が2質量%の実施例3および比較例3では、流動性に差が見られなった。
【0069】
表1に示したそれぞれのプレス用粉末を、上述したフィーダボックスを用いた方法で、縦20mm、横15mm、深さ10mmのキャビティ内に充填し、一軸プレス成形(98MPa、配向磁界(0.8T)をプレス方向に直角に印加)を行った。この充填工程およびプレス成形工程は、全ての実施例および比較例について同じ条件で行った。なお、プレス条件を変えて成形体密度(グリーン密度)の異なる成形体を形成した。
【0070】
実施例1と比較例1のプレス成形体の質量ばらつき(%)と充填量ばらつき(σ)を評価した。成形体の質量ばらつきは、{(最大質量−最小質量)/平均質量(n=50)}×100(%)で求めた。また、充填量ばらつき(σ)は、50個の成形体の質量分布の標準偏差を示している。実施例1の成形体の質量ばらつきは約5%であり、比較例1の質量ばらつき約15%に比べて著しく改善されている。これは、充填量ばらつき(σ)についても同様で、比較例1の充填量ばらつき(σ)が約0.33であるのに対し、実施例1の充填量ばらつき(σ)は0.18と大きく改善されており、造粒によって流動性が改善されたことがわかる。勿論、造粒によって、成形性も同様に改善されており、成形体に欠けや割れが発生する割合も、比較例9に比べ著しく少なかった。これらの造粒の効果は、他の実施例についても確認された。
【0071】
得られた成形体をAr雰囲気中で、1060℃にて約4時間焼結したあと、600℃で1時間の時効処理を施し、焼結体を得た。さらに、この焼結体を2387kA/mの条件で着磁することによって、焼結磁石を得た。それぞれの実施例および比較例について、サンプル数は50個とした。
【0072】
得られた焼結磁石の残留磁化Br(T)を図3示す。図3からわかるように、実施例1(図3中の黒丸)のBrは、比較例1(図3中の白丸)のBrと実質的な差異は認められず、優れた磁気特性を有している。造粒剤を添加した実施例2および実施例3のBrは、同量の造粒剤を添加し残留磁化を有していない原料粉末を用いた比較例2および比較例3のBrとほぼ同等であった。残留磁化を利用して造粒する場合においても、造粒剤はできるだけ少ない方が好ましい。
【0073】
上述したように、1次粒子の残留磁化による磁気的な凝集力を利用して造粒粉を作製することによって、造粒剤の結合力のみを用いて造粒粉を用いる場合に比べて、造粒剤の添加量を減らしても同等以上の流動性を得ることができるので、従来の同等以上の生産性で、従来よりも優れた磁気特性を有する焼結磁石を製造することができる。さらに、1次粒子の残留磁化のみを用いて造粒粉を作製すれば、磁気特性の低下を実質的に無くすことができる。
【0074】
【発明の効果】
本発明によると、流動性やプレス成形性に優れ、且つ、優れた磁気特性を有する磁石を製造することが可能な希土類合金の造粒粉の製造方法が提供される。この造粒粉を用いることによって、高品質の希土類合金焼結体を高い生産効率で製造する方法が提供される。
【0075】
本発明によると、磁気特性を低下させることなく、希土類合金粉末の流動性および成形性を改善することができるので、従来は磁気特性を犠牲にしていたプレス成形が困難な形状の焼結磁石の磁気特性を向上することができる。さらに、造粒時間の短縮や、脱バインダ工程の省略が可能となり、希土類焼結磁石の生産性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、本発明の実施形態による造粒粉の構造を模式的に示す図であり、(b)および(c)は比較のための従来の造粒粉の構造を模式的に示す図である。
【図2】本発明による実施形態のR−Fe−B系合金造粒粉の製造に用いられる造粒装置20を模式的に示す図である。
【図3】本発明の実施例の造粒粉および比較例の造粒粉を用いて得られた焼結磁石の残留磁束密度Brを示すグラフである。
【符号の説明】
10a、10b、10c 1次粒子
20a、20b、20c 造粒粉
20 造粒装置
21 送風用ブロア
22 調温調湿器
23 流動槽
24 切換弁
26 逆圧用ブロア

Claims (12)

  1. 希土類合金の粉末を用意する工程と、
    前記粉末に残留磁化を付与する工程と、
    前記粉末の残留磁化による凝集力を利用して造粒する工程と、
    を包含する、希土類合金の造粒粉の製造方法。
  2. 前記造粒工程は、外部から磁界を印加することなく前記粉末の粒子に運動エネルギーを与える工程を含み、前記粒子は与えられた運動エネルギーによる転動作用によって成長する、請求項1に記載の希土類合金の造粒粉の製造方法。
  3. 残留磁化を有する前記粉末を容器内に充填する工程と、
    前記容器内において、外部から磁界を印加することなく前記粉末の粒子に運動エネルギーを与える工程と、
    を包含する請求項1または2に記載の希土類合金の造粒粉の製造方法。
  4. 前記粉末を容器内に充填する工程と、
    前記容器内の前記粉末に磁界を印加することによって前記粉末に残留磁化を与える工程と、
    前記容器内において、外部から磁界を印加することなく残留磁化を有する前記粉末の粒子に運動エネルギーを与える工程と、
    を包含する請求項1または2に記載の希土類合金の造粒粉の製造方法。
  5. 前記粉末に造粒剤を付与する工程をさらに包含する、請求項1から4のいずれかに記載の希土類合金の造粒粉の製造方法。
  6. 前記粉末に造粒剤を付与する工程を含まない、請求項1から4に記載のいずれかに記載の希土類合金の造粒粉の製造方法。
  7. 前記粉末に残留磁化を付与する工程は、交番減衰磁界を印加することによって行われる、請求項1から6のいずれかに記載の希土類合金の造粒粉の製造方法。
  8. 前記希土類合金は、Dyを2質量%以上、またはTbを1質量%以上、またはDyとTbとの合計を1質量%以上含むR−Fe−B系合金である、請求項1から7のいずれかに記載の希土類合金の造粒粉の製造方法。
  9. 前記粉末の平均粒径が1.5μm以上6μm以下の範囲内にある請求項1から8のいずれかに記載の希土類合金の造粒粉の製造方法。
  10. 前記造粒工程は、平均粒径が0.05mm以上3.0mm以下の範囲内にある造粒粉を作製する工程である、請求項1から9のいずれかに記載の希土類合金の造粒粉の製造方法。
  11. 請求項1から10のいずれかに記載の希土類合金の造粒粉の製造方法を用いて造粒粉を製造する工程と、
    前記造粒粉に脱磁磁界を印加することなく、前記造粒粉を含む希土類合金の粉末をキャビティに充填する工程と、
    前記造粒粉を含む希土類合金の粉末に配向磁界を印加した状態でプレス成形することによって成形体を形成する工程と、
    前記成形体を焼結する工程と、
    を包含する、希土類合金焼結体の製造方法。
  12. 残留磁化を有する平均粒径が1.5μm以上6μm以下の希土類合金の粉末を含み、平均粒径が0.05mm以上3.0mm以下の範囲内にあり、前記粉末は、前記残留磁化による凝集力によって互いに結合している、希土類合金の造粒粉。
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