JP2002194402A - 希土類合金焼結体の製造方法および希土類焼結磁石 - Google Patents

希土類合金焼結体の製造方法および希土類焼結磁石

Info

Publication number
JP2002194402A
JP2002194402A JP2000394080A JP2000394080A JP2002194402A JP 2002194402 A JP2002194402 A JP 2002194402A JP 2000394080 A JP2000394080 A JP 2000394080A JP 2000394080 A JP2000394080 A JP 2000394080A JP 2002194402 A JP2002194402 A JP 2002194402A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
rare earth
powder
earth alloy
granulated powder
alloy
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000394080A
Other languages
English (en)
Inventor
Akira Makita
顕 槇田
Shigeru Takagi
繁 高木
Masao Nomi
正夫 能見
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Metals Ltd
Original Assignee
Sumitomo Special Metals Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Special Metals Co Ltd filed Critical Sumitomo Special Metals Co Ltd
Priority to JP2000394080A priority Critical patent/JP2002194402A/ja
Publication of JP2002194402A publication Critical patent/JP2002194402A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01FMAGNETS; INDUCTANCES; TRANSFORMERS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR MAGNETIC PROPERTIES
    • H01F1/00Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties
    • H01F1/01Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials
    • H01F1/03Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity
    • H01F1/032Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity of hard-magnetic materials
    • H01F1/04Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity of hard-magnetic materials metals or alloys
    • H01F1/047Alloys characterised by their composition
    • H01F1/053Alloys characterised by their composition containing rare earth metals
    • H01F1/055Alloys characterised by their composition containing rare earth metals and magnetic transition metals, e.g. SmCo5
    • H01F1/0555Alloys characterised by their composition containing rare earth metals and magnetic transition metals, e.g. SmCo5 pressed, sintered or bonded together
    • H01F1/0558Alloys characterised by their composition containing rare earth metals and magnetic transition metals, e.g. SmCo5 pressed, sintered or bonded together bonded together

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Crystallography & Structural Chemistry (AREA)
  • Inorganic Chemistry (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Power Engineering (AREA)
  • Powder Metallurgy (AREA)
  • Hard Magnetic Materials (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】希土類合金の造粒粉を用いて、寸法精度の高い
希土類合金焼結体を高い生産効率で製造する方法を提供
する。 【解決手段】希土類合金の粉末を作製する工程と、前記
粉末を有機バインダを用いて造粒粉を調製する工程と、
水分量が0.02質量%以下に制御された前記造粒粉を
含む希土類合金粉末材料をプレス成形することによって
成形体を形成する工程と、前記成形体を焼結する工程と
を包含する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、希土類合金焼結体
の製造方法および希土類焼結磁石に関し、特に、R−F
e−B系合金焼結体の製造に好適に用いられる製造方法
およびR−Fe−B系焼結磁石に関する。
【0002】
【従来の技術】希土類合金焼結体は、例えば、希土類焼
結磁石(永久磁石)として用いられている。希土類焼結
磁石としては、現在、サマリウム・コバルト系磁石と、
ネオジム・鉄・ボロン系磁石の二種類が各分野で広く用
いられている。なかでも、ネオジム・鉄・ボロン系磁石
(以下、「R−Fe−B系磁石」と称する。)は、種々
の磁石の中で最も高い磁気エネルギー積を示し、価格も
比較的安いため、各種電子機器へ積極的に採用させてい
る。なお、RはYを含む希土類元素、Feは鉄、Bはボ
ロンおよびボロンを置換するカーボンであり、Feの一
部がCoやNiなどの遷移金属と置換されてもよい。
【0003】R−Fe−B系焼結磁石は、例えば、以下
のようにして製造される。
【0004】(1)原料金属を高温で溶解し、所定の組
成の希土類合金塊を得る。
【0005】(2)この合金塊を粉砕して、微小な希土
類合金粉末を得る。
【0006】(3)得られた合金粉末を磁界中でプレス
成形することによって所定の形状の成形体を得る。
【0007】(4)この成形体を高温(例えば約100
0℃以上)で焼結し、焼結磁石を得る。
【0008】(5)得られた焼結磁石の磁気特性を高め
るために、さらに時効処理と呼ばれる熱処理を行う。
【0009】(6)この焼結磁石の表面を研磨し、寸法
と形状を整える。この後、必要に応じて、表面処理(保
護コーティング)を行う。なお、最終的な磁気特性を得
るための着磁工程は、焼結工程の後の任意の時点で実行
され得る。
【0010】希土類合金塊を作製するために、従来は、
原料合金の溶湯を鋳型に入れ、比較的ゆっくりと冷却す
るインゴット鋳造法が用いられてきた。近年、合金の溶
湯を単ロール、双ロール、回転ディスク、または回転円
筒鋳型の内面などの接触させることによって、比較的速
く冷却し、合金溶湯から、インゴットよりも薄い凝固合
金(「合金フレーク」と称することにする。)を作製す
るストリップキャスト法や遠心鋳造法に代表される急冷
法が注目されている。
【0011】R−Fe−B系焼結磁石は、主にR2Fe
14Bの正方晶化合物からなる主相、Nd等からなるRリ
ッチ相、およびBリッチ相から構成されている。急冷合
金は、従来のインゴット鋳造法(金型鋳造法)によって
作製された合金(インゴット合金)に比較して相対的に
短い時間(冷却速度:102℃/秒以上、104℃/秒以
下)で冷却されているため、組織が微細化され、結晶粒
径が小さいという特徴を有している。また、粒界の面積
が広く、Rリッチ相は粒界内に広く広がっているため、
Rリッチ相の分散性にも優れるという利点がある。これ
らの特徴が故に、急冷合金を用いることによって、優れ
た磁気特性を有する磁石を製造することができる。
【0012】なお、本明細書において、溶湯を冷却する
ことによって得られる凝固合金の塊を「合金塊」と呼
び、従来のインゴット鋳造法によって得られる合金イン
ゴットおよびストリップキャスト法などの急冷法によっ
て得られる合金フレークなど、種々の形態の固体合金を
含むものとする。プレス成形に供される合金粉末は、こ
れらの合金塊を、例えば水素化粉砕法および/または種
々の機械的粉砕法を用いて粉砕することによって得られ
た粗粉末(例えば、平均粒径10μm〜500μm)を
微粉砕することによって得られる。
【0013】プレス成形に供せられる粉末には、通常、
平均粒径(特にことわらない限り、ここでは、質量中位
径(mass median diameter:MMD)を指す。))が1μ
m〜10μmの粉末が用いられる。平均粒径が1μmよ
りも小さいと体積に対する表面積の比率が大きく、希土
類合金の酸化による磁気特性の低下が大きくなる。一
方、平均粒径が10μmを超えると、焼結後の結晶粒径
が大きくなり過ぎたり、好ましい結晶形態が得られない
ため、磁気特性が低下する。
【0014】このように、希土類焼結磁石の製造に用い
られる希土類合金粉末は、粉末冶金で一般的に用いられ
る粗粉(平均粒径100μm程度)に比べて平均粒径が
小さく、流動性が悪い。その中でも、ストリップキャス
ト法で作製された合金粉末は、平均粒径が小さく(例え
ば、約2μm〜5μm)で、且つ粒度分布が狭いので、
特に流動性が悪い。その結果、キャビティに充填される
粉末の量が許容範囲を超えてばらついたり、キャビティ
内の充填密度が不均一になったりする。その結果、成形
体の寸法が許容範囲を超えてばらついたり、成形体に欠
けや割れが生じすることがある。特に、上述した焼結磁
石の製造においては、キャビティ内に充填された合金粉
末に外部磁界を印加することによって、合金粒子を磁界
方向に配向させる必要があるので、充填密度を適切な範
囲に制御することも要求される。
【0015】さらに、近年、マイクロモータ、マイクロ
アクチュエータや光アイソレータなどに用いられる小型
の希土類焼結磁石に対する需要が増加している。一般
に、希土類焼結磁石(特に、R−Fe−B系)を機械加
工すると加工ひずみの影響で磁気特性が低下するが、小
型の磁石においてはこの磁気特性の低下を無視できな
い。従って、小型の磁石ほど、実質的に機械加工を必要
としない程度の寸法精度で、使用される最終形状を有す
る焼結体を作製することが強く望まれる。
【0016】しかしながら、キャビティの開口部が小さ
くなると(例えば最小寸法が5mm以下)、粉末のブリ
ッジと呼ばれる現象によって、キャビティに粉末を充填
することがさらに難しくなる。例えば、光アイソレータ
用の小型の筒状磁石の製造において、希土類合金粉末を
筒状に一体にプレス成形することが難しい。そこで、従
来は、例えば特開平7−159731号公報に開示され
ているように、筒体を複数の部分に分割した磁石を組み
合わせる方法が用いられていた。
【0017】上述の問題を解決するために、本願出願人
は、造粒することによって流動性を改善した希土類合金
粉末を用いた希土類磁石の製造方法を開発した(例え
ば、特開平8−88111号公報、特開平11−871
64号公報および特開2000−197966号公
報)。造粒粉を用いると、一次粒子からなる粉末を用い
た場合に比べて、流動性が改善されるので、キャビティ
への充填量が安定し、成形体および焼結体の寸法精度が
向上する上、開口部の小さなキャビティにも容易に粉末
材料を充填することができるという利点が得られた。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、本発明
者がさらに検討した結果、希土類合金粉末を造粒するこ
とによって流動性を改善しても、造粒粉のロットによっ
て流動性が変動し、キャビティへの充填量が変動すると
いう問題が発生することを知見した。また、流動性が良
好な造粒粉でも、流動性が経時的に低下し、充填量のば
らつきが増大するものがあった。特に、小型の焼結磁石
の製造においては、1ロットの造粒粉を短期間で使い切
れないことが多いので、流動性が時間とともに低下する
と、寸法精度が許容範囲を超えてばらつき、生産性が低
下することがある。
【0019】本発明は、上記の諸点に鑑みてなされたも
のであり、希土類合金の造粒粉を用いて、寸法精度の高
い希土類合金焼結体を高い生産効率で製造する方法およ
び寸法精度の高い小型の希土類焼結磁石を提供すること
を主な目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明の希土類合金焼結
体の製造方法は、希土類合金の粉末を作製する工程と、
前記粉末を有機バインダを用いて造粒粉を調製する工程
と、水分量が0.02質量%以下に制御された前記造粒
粉を含む希土類合金粉末材料をプレス成形することによ
って成形体を形成する工程と、前記成形体を焼結する工
程とを包含し、そのことによって上記目的が達成され
る。
【0021】前記希土類合金粉末材料は、前記造粒粉を
50質量%以上含むことが好ましく、希土類合金粉末の
一次粒子を含まないことがさらに好ましい。
【0022】前記造粒粉を露点が−40℃以下の不活性
ガス雰囲気中で保存する工程を包含することが好まし
い。
【0023】前記造粒粉に含まれる前記有機バインダ
は、50質量%以上のポリビニルアルコールを含み、且
つ、前記ポリビニルアルコールのケン化度は98mol
%以上である、ことが好ましい。
【0024】前記プレス成形工程は、開口部の最小寸法
が3mm以下のキャビティに充填された前記希土類合金
粉末材料を一軸プレスする工程を包含してもよい。
【0025】前記希土類合金はR−Fe−B系合金であ
って、前記粉末の平均粒径は2μm〜5μmの範囲内に
あってもよい。
【0026】前記造粒粉の平均粒径は、25μm〜10
0μmの範囲内にあることが好ましい。
【0027】前記造粒粉は、0.05質量%から0.8
質量%の前記有機バインダを含むことが好ましい。
【0028】本発明の希土類焼結磁石は、上記のいずれ
かの方法で製造された希土類合金焼結体を着磁すること
によって得られる。希土類合金は、R−Fe−B系合金
であって、粉末の平均粒径が2μm〜5μmの範囲内に
あることが好ましい。
【0029】本発明による光アイソレータは、上記の希
土類焼結磁石とファラデー素子とを備える。前記希土類
焼結磁石は一体に形成された筒状磁石であって、前記フ
ァラデー素子は筒状磁石の内部に配置される構成として
もよい。また、前記希土類磁石の形状は、筒の側面の一
部が欠落した形状、例えば凹字状(外形が角柱状の筒の
側面の一部が欠落した形状)であってもよい。
【0030】
【発明の実施の形態】本発明者は、上述したR−Fe−
B系焼結磁石の成形に用いる造粒粉の流動性が製造ロッ
ト間および経時的に変動する原因を詳細に検討した結
果、造粒粉中に残存する水分量が多いものほど流動性が
低いという傾向を見出し、本発明に至った。
【0031】以下、図面を参照しながら、本発明による
実施形態の希土類合金焼結体の製造方法を説明する。以
下の実施形態の説明においては、特に流動性の低い希土
類粉末材料を用いる、R−Fe−B系焼結磁石の製造方
法を例に本発明の特徴を説明するが、本発明はこれに限
られず、他の希土類焼結磁石の製造方法にも好適に用い
られる。
【0032】図1に示したように、本発明による希土類
合金焼結体の製造方法は、希土類合金の粉末を作製する
工程S1と、粉末を有機バインダを用いて造粒粉を調製
する工程S2と、水分量が0.02質量%以下に制御さ
れた造粒粉を含む希土類合金粉末材料をプレス成形する
ことによって成形体を形成する工程S3と、成形体を焼
結する工程S4と包含する。得られた焼結体を公知の方
法で着磁することによって、希土類焼結磁石が得られ
る。なお、着磁工程は、焼結後の任意の工程で実行され
得、例えば、焼結磁石のユーザが使用の直前に実行され
る。
【0033】本発明の希土類合金焼結体の製造方法にお
いて、プレス成形に供せられる造粒粉に残存する水分量
が0.02質量%以下に制御されているので、造粒粉は
優れた流動性を有している。希土類合金粉末(微粉砕に
よって得られた一次粒子)の造粒工程は、スプレー造粒
法や流動造粒法を用いて実行でき、有機バインダを含む
溶液を乾燥する工程の条件を適宜調節することによっ
て、造粒粉の水分量を制御することができる。
【0034】また、造粒直後の造粒粉の水分量が0.0
2質量%以下であっても、造粒粉を保存している間に雰
囲気中の水分を吸収し、プレス成形に供せられる時点に
おける造粒粉の水分量が0.02質量%を超えてしまう
ことがある。造粒粉の保存期間中の吸湿を防止するため
には、造粒粉を露点が−40℃以下の不活性ガス雰囲気
中で保存することが好ましい。後に例示するように、ス
トリップキャスト法で作製したR−Fe−B系合金の造
粒粉については、−40℃以下の不活性ガス雰囲気中で
保存することによって、少なくとも72時間に亘って、
造粒粉の水分量を0.02質量%以下に維持することが
できる。
【0035】なお、雰囲気からの水分の浸入を防止する
ために、減圧雰囲気中に保存しても良いが、特別な設備
を必要とするので好ましくない。また、希土類合金粉末
は酸化されやすいので、雰囲気ガスとしては、不活性ガ
ス(HeガスやArガスなどの狭義の不活性ガスだけで
なく窒素ガスを含む。)を用いることが好ましい。水分
量を制御した不活性ガスで充満した密閉容器内に造粒粉
を保存してもよいし、上述のように水分量が制御された
不活性ガスを容器内に流気させながら保存してもよい。
密閉容器は高価で取り扱いも煩雑なので、流気を用いる
ことが好ましい。流気を用いる場合には、露点が−40
℃以下の不活性ガス以外のガス(典型的には大気)が、
造粒粉を保存してる容器内に実質的に浸入しない構造を
有する容器を用いればよい。
【0036】バインダとしては、公知のバインダを用い
ることができる。その中でも、取り扱いの容易さ、安全
性および環境保護の観点から、水溶性の有機バインダを
用いることが好ましく、溶媒としては水を用いることが
好ましい。水溶性の有機バインダとして代表的なポリビ
ニルアルコール(以下、「PVA」と略す。)は、ケン
化度によって吸湿性が異なり、造粒粉の良好な流動性の
経時変化を抑制するためには、ケン化度が98mol%
以上のものを用いることが好ましい。一般に、作業性の
観点から、水に簡単に溶解するようにケン化度が88m
ol%程度のPVAが用いられることが多いが、吸湿性
を抑制するために、多少の作業性を犠牲にしても、ケン
化度98mol%以上の、いわゆる完全ケン化品として
上市されているPVAを用いることが好ましい。また、
PVAと他の水溶性の有機バインダ、例えばメチルセル
ロースとを混合して用いる場合、バインダ中のPVAの
質量が50%を超えるときには、ケン化度が98mol
%以上のPVAを用いることが好ましい。なお、バイン
ダに、潤滑剤、例えばグリセリンを少量混合して用いて
もよい。
【0037】プレス成形に供せられる希土類合金粉末材
料として、上述のように水分量が調整された造粒粉のみ
を用いることが流動性の観点からは好ましいが、造粒粉
と一次粒子粉末とを混合して用いることもできる。但
し、一次粒子粉末の割合が増えると流動性が低下するの
で、造粒による流動性の改善効果を十分に得るために
は、造粒粉の割合が50質量%以上あることが好まし
い。また、造粒粉に混合して用いられる一次粒子粉末
は、粒子表面が潤滑剤で被覆されていることが好まし
い。一次粒子を潤滑剤で被覆することによって、希土類
粉末材料の流動性を改善することができるとともに、希
土類合金の酸化を防止することができる。なお、本願明
細書においては、プレス成形に供せられる「希土類合金
粉末材料」は、一般に、希土類合金粉末だけでなく、バ
インダや潤滑剤を含み得るので、実質的に希土類合金の
みの粉末からなる「希土類合金粉末」に対して、「希土
類合金粉末材料」と呼ぶことにする。
【0038】上述のように希土類合金粉末を造粒するこ
とによって流動性を改善すると、開口部の最小寸法が3
mm以下の非常に小さなキャビティに、所定量の粉末材
料を安定に充填することができる。従って、小型で寸法
精度が高い希土類合金焼結体を高い生産性で製造するこ
とが可能となる。
【0039】例えば、希土類焼結磁石の材料として優れ
ている、ストリップキャスト法を用いて作製されたR−
Fe−B系合金粉末で、平均粒径が2μm〜5μmの範
囲内にある粉末(一次粒子)は、平均粒径が25μm〜
100μmの範囲内にある造粒粉とすることによって流
動性が著しく改善される。このとき、造粒粉は、0.0
5質量%〜0.8質量%の有機バインダを含むことが好
ましい。
【0040】このようなR−Fe−B系合金の造粒粉を
用いると、開口部の最小寸法が3mm以下の非常に小さ
なキャビティに、所定量の粉末材料を安定に充填するこ
とができる。従って、成形体の寸法のばらつきは抑制さ
れ、且つ、焼結後の機械加工も実質的に不要となり、小
型で高性能のR−Fe−B系焼結磁石を高い生産性で製
造することが可能となる。このような焼結磁石は、光ア
イソレータやマイクロアクチュエータ等に好適に用いら
れる。
【0041】本発明による実施形態のR−Fe−B系焼
結磁石の製造方法を工程順に説明する。
【0042】まず、ストリップキャスト法を用いて、R
−Fe−B系合金フレークを作製する(例えば、米国特
許第5,383,978号参照)。具体的には、公知の
方法によって製造された、R−Fe−B系合金を高周波
溶解により溶湯とする。なお、希土類合金としては、上
記の他に、例えば米国特許第4,770,723号およ
び米国特許第4,792,368号の明細書に記載され
ている組成のものを好適に用いることができる。
【0043】この合金の溶湯を1350℃に保持した
後、ロール周速度を約1m/秒、冷却速度500℃/
秒、過冷度200℃の条件で単ロール上で急冷し、厚さ
0.3mmの合金フレークを得る。この合金フレークに
水素を吸蔵させ、脆化させることによって合金粗粉末を
得る。この合金粗粉末をジェットミル装置を用いて窒素
ガス雰囲気中で微粉砕することによって、例えば平均粒
径が2μm〜5μmの合金粉末(一次粒子)が得られ
る。この合金粉末の真密度は、7.5g/cm3であ
る。この微粉砕工程は、特願平11−62848号に記
載されている装置および方法を用いて好適に実行され
る。このように、ストリップキャスト法などの急冷法
(冷却速度:102〜104℃/sec)により作製され
た合金の微粉砕粉末は、粒度分布が狭く、成形性が乏し
いが、良好な磁気特性の磁石の原料として好適に用いら
れる。
【0044】次に、合金粉末を造粒する。
【0045】得られた合金粉末を造粒して造粒粉を得る
方法としては、例えば、合金粉末に水と有機バインダを
添加、混合して得られたスラリーを、窒素ガス中で噴霧
乾燥することによって造粒粉を得るスプレー造粒法や、
あるいは、合金粉末を攪拌して流動層を形成し、そこに
有機バインダの溶液を噴霧しながら乾燥することによっ
て造粒粉を得る流動造粒法など、公知の造粒方法のいず
れかを選択すればよい。ただし、R−Fe−B系焼結磁
石の原料である合金粉末は極めて酸化しやすいので、例
えば、造粒工程を不活性ガス雰囲気中で行うなど、酸化
を極力防ぐことが望ましい。
【0046】造粒粉(二次粒子)の平均粒径は、25μ
m〜100μmの範囲内にあることが好ましい。平均粒
径が上記の範囲外であると、流動性の改善効果が十分に
得られないことがある。特に、ストリップキャスト法を
用いて作製された合金粉末(平均粒径が2μm〜5μ
m)のような流動性が悪い一次粉末を用いる場合には、
造粒粉の平均粒径は上記の範囲内にあることが好まし
い。なお、造粒粉は、厳密な意味での二次粒子に限られ
ず、例えば少量の三次粒子等を含んでもよい。
【0047】図2(a)および(b)に、典型的なR−
Fe−B系合金粉末(一次粒子)および造粒粉の電子顕
微鏡写真を示す。図2(a)は、ストリップキャスト法
で作製された平均粒径が約3μmのR−Fe−B系合金
粉末を示している。図2(b)は、図2(a)に示した
合金粉末をスプレー造粒法で造粒することによって得ら
れた、平均二次粒子径が約50μmの造粒粉を示してい
る。図2(b)に示したように、造粒粉はほとんど二次
粒子からならり、一次粒子や三次粒子はほとんど含まれ
ていない。
【0048】造粒のために合金粉末に添加する有機バイ
ンダは、溶媒を揮散させた後に合金粉末を凝集させる効
果がある高分子バインダが好ましい。溶媒として水を用
いる場合には、例えばメチルセルロースやPVAなどを
好適に用いることができる。また、溶媒にアルコールを
用いる場合には、例えばヒドロキシプロピルセルロース
を好適に用いることができる。有機バインダの添加量
は、乾燥後の正味の添加量が、造粒粉の質量の0.05
〜0.8質量%の範囲にあることが好ましく、0.1〜
0.5質量%の範囲にあることがさらに好ましい。バイ
ンダが0.05質量%よりも少ないと十分に造粒されな
いことがある。一方、バインダが0.8質量%を超える
と磁界の印加によって造粒粉が十分に崩壊されず、一次
粒子を十分に磁界配向させることができないことがある
ので、好ましくない。また、焼結体に炭素が残存すると
焼結磁石の磁気特性が低下するので、有機成分の添加量
は少ない方が好ましい。
【0049】PVAを用いる場合、そのケン化度が98
mol%未満であると、吸湿性が高く、造粒粉の流動性
が時間とともに低下しやすくなるので、ケン化度が98
mol%以上のPVAを用いることが好ましい。PVA
のケン化度とは側鎖に占める水酸基(−OH)の割合の
ことである。一般に利用されているPVAの多くは、側
鎖のうちの70〜90mol%が水酸基(残りが酢酸基
(−OCOCH3))であり、そのケン化度は70〜9
0mol%である。これは部分ケン化型と呼ばれてい
る。一方、ケン化度が98mol%以上のPVAは、完
全ケン化型と呼ばれている。酢酸基は吸湿性があるた
め、水分量の増加と流動性の低下を防止するには、有機
バインダが全体の50質量%以上のPVAを含む場合に
は、完全ケン化型のPVAを用いることが望ましい。
【0050】PVAやメチルセルロースなどの水溶性有
機バインダは、水を溶剤として用いることができるの
で、可燃性の溶剤(例えばアルコール)を必要とする有
機バインダよりも好ましい。
【0051】また、造粒粉に含まれる水分量を0.02
質量%以下に制御する。造粒粉に含まれる水分量は0.
01質量%以下であることがさらに好ましい。造粒粉に
含まれる水分量が0.02質量%を超えると流動性が低
下し、キャビティへの充填量にばらつきが生じやすい。
造粒粉中の水分量を0.02質量%以下に制御するため
には、例えば、造粒工程における乾燥条件(乾燥温度お
よび/または乾燥時間)を調製する。例えば、スプレー
造粒法においては、乾燥に用いる窒素ガスの温度を高め
たり、窒素ガス中の水分量を低くするなどすればよい。
乾燥条件は造粒法に応じて適宜選択される。なお、水分
量は、例えば電量滴定法によって求めれらる。
【0052】水分量が多いと流動性が低下する理由には
種々の可能性が考えられるが、一次粒子を相互に結合し
ている有機バインダのフィルムの強度(凝集力)が低下
し、造粒粉の崩壊が起こりやすくなり、流動性が低下す
るものと考えられる。
【0053】造粒直後の水分量を0.02質量%以下に
制御しても、造粒粉を保存している間に吸湿して水分量
が増加すると、流動性が低下することがある。造粒粉の
吸湿を抑制するためには、露点が−40℃以下の雰囲気
中で保存することが好ましい。また、合金の酸化を抑制
するために、不活性ガス雰囲気中で保存することが好ま
しい。造粒後プレス成形に供せられるまで、上記の雰囲
気中で保存されることが好ましい。乾燥した窒素を容器
内に流気させると、簡便な装置および容器で造粒を所定
の条件下で保存することができる。例えば、工場内の窒
素配管(液体窒素をガス源とする)から供給される窒素
ガスの露点は−70℃程度である。なお、雰囲気の露点
は露点計で測定され得る。
【0054】得られた造粒粉は、プレス成形工程に供せ
られる。造粒粉と一次粒子を混合して用いることもでき
るが、造粒による流動性の改善効果を最大限に利用する
ためには、一次粒子を実質的に含まないことが好まし
い。特に、例示するストリップキャスト法を用いて作製
された合金粉のように流動性が低い材料を用いて、非常
に小さい成形体をプレス成形する場合には、造粒粉のみ
を用いることが好ましい。なお、造粒粉と一次粒子とを
混合した希土類合金粉末材料の流動性は、一次粒子の割
合(質量基準)の増加とともにほぼリニアに低下する。
【0055】次に、造粒粉をプレス成形することによっ
て成形体を形成する。ここでは、造粒粉だけを用いて成
形体を形成する。プレス成形には公知のプレス成形装置
を用いることができ、典型的には、上下パンチで金型の
キャビティ(ダイホール)内の粉末をプレスする一軸プ
レス成形装置が用いられる。
【0056】まず、一軸プレス成形機の金型のキャビテ
ィに造粒粉を充填する。造粒粉をキャビティに充填する
工程は、例えば、ふるいを用いた充填方法や、特公昭5
9−40560号公報、特開平10−58198号公
報、実開昭63−110521号公報や特開2000−
248301号公報に開示されているようなフィーダー
ボックスを用いた充填方法(これらを総称して「落とし
込み方法」ということもある。)を用いて実行すること
ができる。
【0057】特に、小さい成形体を形成する場合、キャ
ビティの内容積に対応する量の造粒粉を、キャビティを
用いて計量することが好ましい。例えば、キャビティ上
をフィーダボックスの棒状部材を往復運動させることに
よって、キャビティに供給された余剰の造粒粉をすりき
りながら充填することによって、比較的均一に、所定量
の造粒粉を充填することができる。また、このような充
填方法を用いることによって、磁界配向が可能な程度の
低密度充填(相対密度が0.20〜0.35の範囲)を
実現することができる。なお、本明細書において、相対
密度とは、粉末材料の充填密度/真密度を指す。キャビ
ティを用いて粉末材料を計量した場合の充填密度は、キ
ャビティ内に充填された粉末材料の質量/キャビティ内
容積で与えられる。
【0058】キャビティ内に造粒粉を充填する工程も露
点が−40℃以下の雰囲気中で実行されることが好まし
い。フィーダボックスを用いる充填方法を採用すると、
フィーダボックス内に露点が−40℃以下の不活性ガス
(例えば窒素)を導入することによって、吸湿を防止で
きるとともに、酸化を防止することができる。
【0059】キャビティ内に造粒粉を充填した後、一軸
プレス装置の上パンチを降下し、キャビティの開口部を
塞いだ状態で、磁界を印加し、造粒粉を一次粒子に崩壊
させるとともに、一次粒子を磁界配向させる。磁界の方
向は例えば、プレス方向と平行であり、磁界強度は例え
ば、0.8MA/mである。このように磁界を印加しな
がら、例えば50MPaの圧力で、上下パンチで粉末材
料を一軸プレスする。その結果、相対密度(成形体密度
/真密度)が0.5〜0.7の成形体が得られる。な
お、磁界の方向は、必要に応じてプレス方向に対して直
交する方向としてもよい。但し、磁界方向とプレス方向
とが平行の方が、キャビティ内の粉末材料の分布が磁界
によって偏ることが少ないので好ましい。
【0060】次に、得られた成形体を、真空中または不
活性ガス雰囲気中で、例えば約1000℃〜約1180
℃の温度で、約1〜2時間焼結する。なお、焼結磁石に
含まれる炭素の量を減らし、磁気特性を向上するため
に、上記焼結工程の前に、バインダ(および潤滑剤)を
加熱除去(除去)することが好ましい。加熱除去工程
は、約 200℃〜800℃の温度で、約2Paの圧力
下で、約3〜約6時間実行される。
【0061】得られた焼結体を、例えば約450℃〜約
800℃の温度で、約1〜8時間時効処理することによ
って、R−Fe−B系焼結磁石が得られる。この後、任
意の段階で、着磁することによって、R−Fe−B系焼
結磁石が最終的に完成する。例えば、光アイソレータ用
の筒状磁石の場合、筒内にファラデー素子等を装着して
から着磁される。
【0062】本発明によると、造粒粉に含まれる水分量
が0.02質量%以下の状態で、キャビティに充填され
るので、充填量のばらつきが少なく、且つキャビティ内
に均一に充填される。従って、プレス成形によって得ら
れた成形体の寸法のばらつきが少なく、その結果、寸法
精度も高い焼結体磁石が得られる。このように、本実施
形態によると、高い寸法精度を有する小型の希土類磁石
を高い生産性で製造することができる。
【0063】本実施形態によるR−Fe−B系焼結磁石
を用いた光アイソレータ10を図3に模式的に示す。
【0064】光アイソレータ10は、筒状のR−Fe−
B系焼結磁石(以下、筒状磁石という。)12と、その
内部に装着されたファラデー素子13と、ファラデー素
子13の両側に配置された偏光子14aおよび検光子1
4bとを有している。ファラデー素子13および偏光子
14aおよび検光子14bには、公知の素子を用いるこ
とができる。筒状磁石12は、例えば、外径2.5m
m、内径1.5mm、高さ1.5mmである。勿論、筒
状磁石12の形状は例示したものに限られず、角柱状の
開口部を有する円筒や、外形が角柱状の筒や、その他の
形状のものであってもよい。
【0065】本実施形態の光アイソレータ10が有する
筒状磁石12は、R−Fe−B系焼結磁石であり、フェ
ライト磁石やサマリウムコバルト磁石よりも高い最大磁
気エネルギー積を有するので、小型で高性能の光アイソ
レータ10を実現できる。また、筒状磁石12は上述し
た方法で製造されており、寸法精度が高いので、機械加
工による磁気特性の低下も無く、生産性も高いという利
点を有している。本実施形態による筒状磁石は、特開2
000−310749号公報に開示されている偏波無依
存型光アイソレータ等の公知の光アイソレータに好適に
用いられる。
【0066】以下、本発明の実施例を説明する。 (実施例1)上述した方法に従って、ネオジムが31.
0質量%、ボロンが1.0質量%、残部が鉄、および不
可避的に含有される元素からなる組成を有し、平均粒径
が3.0μmのR−Fe−B系合金粉末を得た。
【0067】本実施例の製造方法における造粒工程は、
流動造粒法で実行した。流動造粒装置として、ホソカワ
ミクロン株式会社製のアグロマスタ(多機能型流動造粒
機AGM−2、造粒室径:φ150mm、窒素ガス流
量:1.0m3/min、羽根回転数:500rpm)
を用いた。
【0068】得られた合金粉末(約1kg)を流動造粒
装置に供給し、窒素ガス(露点が−70℃)を40℃に
加熱し流気させながら、合金粉を攪拌している状態で、
バインダ溶液を噴霧した。バインダ溶液としては、10
質量%のヒドロキシプロピルセルロースのエチルアルコ
ール溶液を用い、バインダの正味の添加量が0.25質
量%になるように噴霧した。その後、窒素ガスの温度を
昇温して、エチルアルコールを揮発させ、二次粒子の平
均粒径が約80μmの造粒粉を得た。
【0069】乾燥時の窒素ガスの温度と得られた造粒粉
の水分量、および流動性の関係を表1に示す。なお、流
動性は、造粒粉の試料30gが開口径5mmのロートを
全量通過する時間(秒)で評価した。
【0070】次に、得られた造粒粉を上述したフィダー
ボックスを用いた方法で、外径3mm、深さ8mmのキ
ャビティー内に充填し、一軸プレス成形を行った。得ら
れた成形体を真空中、約1100℃で焼結することによ
って得られた焼結体の寸法バラツキを表1に示す。寸法
バラツキは、焼結体試料100個の測定値の最大値と最
小値の差を平均値で割って数値を%で表示する。
【0071】(比較例1)実施例1と同じ条件で乾燥温
度だけを変えて造粒を行ったときに得られた造粒粉の水
分量、および流動性を表1に示す。また、得られた造粒
粉を実施例1と同じ条件で成形、焼結したときの焼結体
の寸法バラツキを表1に示す。
【0072】
【表1】 表1に示した結果から、造粒粉に含まれる水分量が多い
ほど流動性が低く、造粒粉に含まれる水分量を0.02
質量%以下に制御することにより、流動性の優れた造粒
粉を得ることができることがわかる。さらに、水分量が
0.02質量%以下の造粒粉を用いた実施例1(試料1
〜4)の寸法精度は比較例1(試料5および6)に比べ
て高いことが分かる。また、試料1〜4の寸法精度を比
較すると、水分量が少ないほど寸法精度が高く、水分量
を0.01質量%以下に制御することが好ましいことが
分かる。
【0073】(実施例2)上述した方法に従って、ネオ
ジムが30.0質量%、ディスプロシウムが1.0質量
%、ボロンが1.0重量%、残部鉄、および不可避的に
含有される元素からなる組成を有し、平均粒径が5.0
μmのR−Fe−B系合金粉末を得た。
【0074】本実施例の製造方法における造粒工程は、
スプレー造粒法で実行した。スプレー造粒装置として、
大川原化工機株式会社製のスプレードライヤー(窒素ガ
ス密閉循環型CL−12、乾燥室寸法:φ1.2m、熱
風温度:80−150℃、熱風流量:2.3m3/mi
n、凝集機温度:5℃(水分を取り去る装置の冷却温
度))を用いた。
【0075】得られた合金粉末に、表2に示す有機バイ
ンダを加え、さらに水を加えて、合金粉末の濃度が60
質量%のスラリーを調製した。これを窒素循環型のスプ
レードライヤーに供給(粉末換算で1.3kg/h)
し、乾燥温度100℃で噴霧乾燥させてスプレー造粒を
行い、水分量が0.01質量%、二次粒子の平均粒径が
約50μmの造粒粉を得た。造粒直後の流動性を表2に
示す。
【0076】次に、この造粒粉を表2に示す露点を有す
る窒素ガスを流気した容器内に72時間保存した後、再
び水分量と流動性を測定した結果を表3に示す。
【0077】(比較例2)実施例2で用いた合金粉末と
同じロットの合金粉末に、表2に示す有機バインダを加
え、実施例2と同じ条件でスプレー造粒を行い、水分量
が0.01質量%、二次粒子の平均粒径が約50μmの
造粒粉を得た。造粒直後の流動性を表2に示す。
【0078】次に、この造粒粉を表2に示す露点を有す
る窒素ガスを流気した容器内に72時間保存した後、再
び水分量と流動性を測定した結果を表3に示す。
【0079】
【表2】
【0080】
【表3】 表2および表3に示した結果から、PVAを50質量%
含むバインダを含む造粒粉は、PVAのケン化度が98
mol%以上であると(実施例2の試料No.10、1
1、12)、露点が−20℃の窒素ガス中で保存して
も、水分量は0.02質量%を超えない。これに対し、
ケン化度が75mol%のPVAを用いると(比較例2
の試料No.13、14)、露点が−20℃や−35℃
の窒素ガス中に保存すると、水分量が0.02質量%を
超えてしまい、流動性が著しく低下することが分かる。
このように、バインダにPVAを用いる場合には、ケン
化度が98mol%以上の完全ケン化品を用いることが
好ましいことが分かる。
【0081】また、ケン化度が98mol%未満であっ
ても、露点が−40℃以下の雰囲気中で保存することに
よって、水分量を0.02質量%以下に維持できること
が分かる(実施例2の試料No.7、8、9)。
【0082】このように、十分に低い露点の雰囲気中に
造粒粉を保存することによって、造粒粉の吸湿を防止
し、造粒から日数が経っても、造粒粉の流動性の低下が
抑制される。その結果、安定な品質を有する成形体、ひ
いては焼結体を製造することが可能となる。
【0083】
【発明の効果】本発明によると、希土類合金の造粒粉を
用いて、寸法精度の高い希土類合金焼結体を高い生産効
率で製造する方法が提供される。また、本発明による
と、光アイソレータなどに好適に用いられる寸法精度の
高い小型で高性能な希土類焼結磁石が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による希土類合金焼結体の製造方法を示
すフローチャートである。
【図2】(a)および(b)は、本発明による希土類合
金焼結体の製造方法に用いられる典型的なR−Fe−B
系合金粉末(一次粒子)および造粒粉を示す電子顕微鏡
写真である。
【図3】本発明による実施形態の光アイソレータを模式
的に示す図である。
【符号の説明】
10 光アイソレータ 12 筒状磁石 13 ファラデー素子 14a、14b 偏光子(検光子)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01F 1/08 H01F 1/04 H (72)発明者 能見 正夫 大阪府三島郡島本町江川2丁目15番17号 住友特殊金属株式会社山崎製作所内 Fターム(参考) 2H099 AA01 BA02 CA11 DA05 4K018 AA27 BA18 BB04 BC11 CA08 CA14 KA45 5E040 AA04 CA01 HB03 HB05 NN01 NN18

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 希土類合金の粉末を作製する工程と、 前記粉末を有機バインダを用いて造粒粉を調製する工程
    と、 水分量が0.02質量%以下に制御された前記造粒粉を
    含む希土類合金粉末材料をプレス成形することによって
    成形体を形成する工程と、 前記成形体を焼結する工程と、を包含する、希土類合金
    焼結体の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記希土類合金粉末材料は、前記造粒粉
    を50質量%以上含む請求項1に記載の希土類合金焼結
    体の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記造粒粉を露点が−40℃以下の不活
    性ガス雰囲気中で保存する工程を包含する、請求項1ま
    たは2に記載の希土類合金焼結体の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記造粒粉に含まれる前記有機バインダ
    は、50質量%以上のポリビニルアルコールを含み、且
    つ、前記ポリビニルアルコールのケン化度は98mol
    %以上である、請求項1から3のいずれかに記載の希土
    類合金焼結体の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記プレス成形工程は、開口部の最小寸
    法が3mm以下のキャビティに充填された前記希土類合
    金粉末材料を一軸プレスする工程を包含する、請求項1
    から4のいずれかに記載の希土類合金焼結体の製造方
    法。
  6. 【請求項6】 前記希土類合金はR−Fe−B系合金で
    あって、前記粉末の平均粒径は2μm〜5μmの範囲内
    にある、請求項1から5のいずれかに記載の希土類合金
    焼結体の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記造粒粉の平均粒径は、25μm〜1
    00μmの範囲内にある請求項6に記載の希土類合金焼
    結体の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記造粒粉は、0.05質量%から0.
    8質量%の前記有機バインダを含む、請求項6または7
    に記載の希土類合金焼結体の製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項1から8のいずれかに記載の方法
    で製造された希土類合金焼結体を着磁することによって
    得られた希土類焼結磁石。
  10. 【請求項10】 請求項9に記載の希土類焼結磁石とフ
    ァラデー素子とを備える、光アイソレータ。
JP2000394080A 2000-12-26 2000-12-26 希土類合金焼結体の製造方法および希土類焼結磁石 Pending JP2002194402A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000394080A JP2002194402A (ja) 2000-12-26 2000-12-26 希土類合金焼結体の製造方法および希土類焼結磁石

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000394080A JP2002194402A (ja) 2000-12-26 2000-12-26 希土類合金焼結体の製造方法および希土類焼結磁石

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002194402A true JP2002194402A (ja) 2002-07-10

Family

ID=18859766

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000394080A Pending JP2002194402A (ja) 2000-12-26 2000-12-26 希土類合金焼結体の製造方法および希土類焼結磁石

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002194402A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006265643A (ja) * 2005-03-24 2006-10-05 Tdk Corp 希土類焼結磁石の製造方法及び希土類焼結磁石
US7858023B2 (en) 2004-06-30 2010-12-28 Tdk Corporation Method for producing raw material powder for rare earth sintered magnet, method for producing rare earth sintered magnet, granule and sintered body

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7858023B2 (en) 2004-06-30 2010-12-28 Tdk Corporation Method for producing raw material powder for rare earth sintered magnet, method for producing rare earth sintered magnet, granule and sintered body
JP2006265643A (ja) * 2005-03-24 2006-10-05 Tdk Corp 希土類焼結磁石の製造方法及び希土類焼結磁石
JP4666145B2 (ja) * 2005-03-24 2011-04-06 Tdk株式会社 希土類焼結磁石の製造方法及び希土類焼結磁石

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7931756B2 (en) Method and machine of making rare-earth alloy granulated powder and method of making rare-earth alloy sintered body
JP3393018B2 (ja) 薄肉R−Fe−B系焼結磁石の製造方法
JP4698867B2 (ja) R−Fe−B系合金の造粒粉の製造方法およびR−Fe−B系合金焼結体の製造方法
JPS6181606A (ja) 希土類磁石の製造方法
JP4033884B2 (ja) 希土類焼結磁石の製造方法
JP4089212B2 (ja) 希土類合金の造粒粉の製造方法および希土類合金焼結体の製造方法
JP2002194402A (ja) 希土類合金焼結体の製造方法および希土類焼結磁石
JP4240988B2 (ja) 希土類合金の造粒粉の製造方法、希土類合金の造粒粉の製造装置および希土類合金焼結体の製造方法
JP3170156B2 (ja) 等方性造粒粉の製造方法
JP3349061B2 (ja) 光アイソレーター用Nd−Fe−B焼結磁石の製造方法
JPH08107034A (ja) R−Fe−B系焼結永久磁石の製造方法
JP3083963B2 (ja) 異方性造粒粉の製造方法とその装置
JPS6181604A (ja) 希土類磁石の製造方法
JPH0436563B2 (ja)
JP4561432B2 (ja) R−t−b系焼結磁石の製造方法
JP3174442B2 (ja) R−Fe−B系焼結異方性永久磁石の製造方法
JP2005340323A (ja) 希土類焼結磁石用原料粉体、その製造方法及び希土類焼結磁石の製造方法
JPH1012472A (ja) 希土類ボンド磁石の製造方法
JP3498395B2 (ja) 希土類・鉄系焼結永久磁石の製造方法と成形材料
JP4636240B2 (ja) R−t−b系焼結磁石製造用原料粉体
JP2006041501A (ja) 希土類焼結磁石の製造方法、焼結磁石用原料合金粉の粉砕方法
JP3338590B2 (ja) 射出成形法によるR−Fe−B系焼結磁石の製造方法
JPH06256912A (ja) 高磁歪特性を有する超磁歪焼結体の製造法
JP2005136356A (ja) 希土類焼結磁石の製造方法
JP3540389B2 (ja) R−Fe−B系焼結永久磁石の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20070608