JP2849410B2 - 織機の緯入れ制御装置 - Google Patents

織機の緯入れ制御装置

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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 この発明は、ジェットルームにおいて、緯糸の飛走特
性が変動しても、十分安定な緯入れ動作を継続すること
ができる織機の緯入れ制御装置に関する。
従来技術 ジェットルーム、殊にエアジェットルームにおいて、
製織に使用する緯糸の飛走特性が変化することにより緯
入れが不安定になることがある。これは、緯糸の長さ方
向に、糸の太さや毛羽の大小等の糸物性の変動があるた
めに、糸の空気抵抗が変化することに主な原因があると
考えられている。
そこで、緯糸の飛走特性が変化したときにも安定な緯
入れ動作を継続するために、種々の手法が提案されてい
る。その最も代表的なものは、緯入れに際し、所定長さ
の緯糸が織布の反緯入れ側に到達する織機機械角(以
下、緯糸の到達角度という)を監視し、到達角度の変化
によって緯糸の飛走特性の変動を把握した上、これに対
応して、緯入れ動作を開始する織機機械角(以下、開始
角度という)と、緯入れ用の主ノズル、サブノズルの噴
射圧力との双方を並行に制御するものである。
このものは、緯糸の飛走特性が低下して到達角度の遅
れが検出されると、それを修正するために、開始角度を
早めるとともに噴射圧力を高めるように制御する一方、
到達角度の進みに対して両者を逆方向に制御することに
より、到達角度を一定に維持するものであり、開始角
度、噴射圧力の一方のみを制御対象とする場合より良好
な結果を得ることができる。すなわち、開始角度のみを
修正する場合は、経糸開口との時期的平衡が崩れること
により、いわゆる経糸掛かりや緯糸の吹切れ等の緯入れ
不良が発生し易く、また、噴射圧力のみを修正する場合
は、その応答が遅いために、緯糸の飛走特性の変動に追
随できないことも少なくないが、この技術によれば、こ
れらの問題によく対処することができるという。
発明が解決しようとする課題 しかしながら、かかる従来技術によるときは、到達角
度の遅速に基づく修正情報は、開始角度と噴射圧力とを
制御する各制御系に対して単に並列に加えられるに過ぎ
ないので、現実に安定な緯入れ動作を継続することは困
難である。
すなわち、一般に、開始角度の変化に対する緯入れ部
材の応答は極めて速応性がある一方、噴射圧力の変化
は、その応答性に限界があるから、到達角度に遅速が生
じ、その情報が双方の制御系に並列に加えられると、ま
ず応答性に優れる開始角度の修正が行なわれ、次いで、
噴射圧力が修正される。そこで、開始角度の修正によっ
て到達角度が正常に復帰すると、その後の噴射圧力は、
何ら修正されることがない。換言すれば、噴射圧力が修
正されるのは、経糸開口との関係で決まる修正限界にま
で開始角度が修正されてもなお到達角度に遅速が残存す
る場合のみであり、しかも、噴射圧力の修正によって到
達角度の遅速が解消されても、開始角度は、その修正限
界から引き戻されることがない。したがって、その後の
織機は、開始角度が修正限界にある状態で運転されるこ
とになり、十分安定な緯入れ動作を継続することは極め
て難しい。
そこで、この発明の目的は、かかる従来技術の問題に
鑑み、到達角度の遅速に代えて、緯入れを開始してから
反緯入れ側に到達するまでの緯糸の飛走に要する期間
(以下、緯糸の飛走期間という)に関する情報を使用し
て噴射圧力、開始角度の双方を修正することにより、開
始角度は、一時的に大きく偏移したとしても、噴射圧力
の修正動作の追随に伴って再び正規の値に引き戻され、
十分安定な緯入れ動作を容易に継続することができる織
機の緯入れ制御装置を提供することにある。
課題を解決するための手段 かかる目的を達成するためのこの発明の構成は、緯入
れノズルの噴射圧力制御用の圧力コントローラに付設す
る圧力補正部と、緯入れ動作の開始時期制御用のタイミ
ングコントローラに付設する角度補正部とを備え、圧力
補正部、角度補正部は、それぞれ緯糸の飛走期間偏差
(緯糸の設定飛走期間に対する飛走期間の偏差をいう、
以下同じ)に基づく圧力補正量、角度補正量を圧力コン
トローラ、タイミングコントローラに出力することをそ
の要旨とする。
なお、角度補正部、タイミングコントローラの間にリ
ミッタ要素を介装してもよく、また、圧力補正部、圧力
コントローラの間にデッドバンド要素を介装してもよ
い。
また、緯糸の到達角度と、タイミングコントローラか
らの指令開始角度(設定開始角度を角度補正量によって
補正した値をいう、以下同じ)との角度差を緯糸の飛走
期間とすることができる。
さらに、給糸替え信号があるとき、タイミングコント
ローラに対して角度補正量を出力する角度補正手段を付
設してもよい。
作 用 かかる発生の構成によるときは、緯糸の飛走特性が変
動し、飛走期間に遅速が生じると、飛走期間偏差が発生
するから、角度補正部からの角度補正量により、まず開
始角度が修正される。
一方、このようにして飛走期間偏差が生じると、これ
に基づく圧力補正量を圧力コントローラに送出すること
により、圧力補正部により噴射圧力が修正される。この
ときの圧力コントローラは、飛走期間偏差に基づき、緯
糸の飛走特性に適合する噴射圧力を実現するように、タ
イミングコントローラとは独立に噴射圧力を修正するか
ら、噴射圧力は、最終的に飛走特性の変動分に対応して
修正される。噴射圧力が修正され、緯糸の飛走期間が正
規の設定飛走期間に復帰するに従い、飛走期間偏差が小
さくなるから、角度補正部は、開始角度を正規の設定開
始角度に引き戻す方向に働き、したがって、最終的に、
噴射圧力のみが緯糸の飛走特性の変動に応じて修正さ
れ、正規の設定開始角度による安定な緯入れ動作を続行
することができる。
角度補正部、タイミングコントローラの間にリミッタ
要素を介装すれば、リミッタ要素は、大きな飛走期間偏
差が発生したときにおいても、指令開始角度が極端に偏
移することを阻止し、緯入れ動作と経糸開口動作との時
期的平衡が失われしまうおそれがない。
また、圧力補正部、圧力コントローラの間にデッドバ
ンド要素が介装すれば、デッドバンド要素は、微少な圧
力補正量に対する圧力コントローラの応答を排除し、圧
力調整弁等のメカニカル部品が不必要に損耗することが
ない。
さらに、到達角度と指令開始角度との角度差を緯糸の
飛走期間とすれば、織機回転数に拘らず、緯入れ動作、
経糸開口動作を容易に所定の相対関係に維持することが
できる。
角度修正手段を付設するときは、給糸替えに際し、開
始角度を強制的に修正することができるから、旧給糸体
からの緯糸と新給糸体からの緯糸とに飛走特性の差があ
ったとしても、その影響による緯入れの不安定性を効果
的に排除することができる。
実施例 以下、図面を以って実施例を説明する。
織機の緯入れ制御装置は、圧力コントローラ10と、タ
イミングコントローラ20と、圧力補正部30、角度補正部
40とを主要部材としてなる(第1図)。
織機はエアジェットルームであり(第2図)、給糸体
W1から解舒される緯糸Wは、ドラム式緯糸測長貯留装置
(以下、単に貯留装置という)Dと、主ノズルMNとを経
て経糸開口WPに緯入れされる。また、緯糸Wの走行経路
に沿って、サブノズルSNi、SNi…(i=a、b…n)が
複数群に分割されて配設されている。
貯留装置Dには、係止ピンD1、解舒センサD2が付属し
ている。ドラムD3に巻き付けられて貯留された緯糸W
は、タイミングコントローラ20からの緯入れ信号Sd、S
m、Ssi(i=a、b…n)により、係止ピンD1を解舒位
置に駆動するとともに、開閉弁Vm、Vsi(i=a、b…
n)を開いて主ノズルMN、サブノズルSNi、SNI…を作動
させることによって緯入れされ、そのときの緯入れ長さ
Wnは、解舒センサD2によって計測される。
主ノズルMN、サブノズルSNi、SNi…は、それぞれ開閉
弁Vm、Vsi、圧力調整弁PVm、PVsを介して共通のエア減A
Cに接続され、それぞれの噴射圧力Pm、Psは、圧力コン
トローラ10からの制御信号Spm、Spsによって制御され
る。また、織布の反緯入れ側には、緯入れされた緯糸W
の到達角度θeを検出するために到達角度センサESが配
設されており、さらに、エンコーダENからの織機機械角
θがタイミングコントローラ20に入力されている。
圧力コントローラ10は、図示しない噴射圧力設定器か
らの設定噴射圧力Poと、圧力補正部30からの圧力補正量
Pcとを入力する加え合せ点11と、2台の制御増幅器12、
12とを縦続して構成されている(第1図)。圧力コント
ローラ10の出力は、制御信号Spm、Spsとして圧力調整弁
PVm、PVsに入力されている。ただし、設定噴射圧力Po、
圧力補正量Pcは、それぞれ加え合せ点11の加算端子、減
算端子に入力されている。また、ここでは、サブノズル
SNi、SNi…に対する織機側の制御系は、図示が省略され
ている。
タイミングコントローラ20は、加え合せ点21とコント
ローラ本体22とを縦続してなる。加え合せ点21の加算端
子、減算端子には、それぞれ図示しない開始角度設定器
からの制定開始角度θso、角度補正部40からの角度補正
量θcが入力されている。コントローラ本体22は、加え
合せ点21からの指令開始角度θs=θso−θcと、エン
コーダENからの織機機械角θとを比較して緯入れ信号S
d、Sm、Ssiを出力することにより、θ=θsにおいて緯
入れを開始させる。すなわち、タイミングコントローラ
20は、係止ピンD1、主ノズルMN、サブノズルSNi、SNi…
からなる緯入れ部材の作動時期を制御し、緯入れ動作の
開始時期を制御するとともに、解舒センサD2からの緯入
れ長さWnが所定値になると、緯入れを完了させる。
圧力補正部30、角度補正部40は、それぞれ圧力コント
ローラ10、タイミングコントローラ20の前段に付設され
ている(第1図、第2図)。
圧力補正部30は、加え合せ点31、圧力補正手段32から
なり、前者の加算端子には、図示しない飛走期間設定器
からの設定飛走期間τoが入力される一方、減算端子に
は、飛走期間算出手段51からの緯糸Wの飛走期間τが入
力されている。圧力補正手段32は、PID制御要素を含む
ものとし、加え合せ点31からの飛走期間偏差Δτ=τo
−τを入力し、圧力補正量Pcを算出して圧力コントロー
ラ10に出力する。また、飛走期間算出手段51は、タイミ
ングコントローラ20からの指令開始角度θs=θso−θ
cと、到達角度センサESからの到達角度θeとを入力
し、織機機械角θを単位とする緯糸Wの飛走期間τ=θ
e−θsを算出して出力する。
角度補正部40は、角度補正手段41からなる。角度補正
手段41は、圧力補正部30からの飛走期間偏差Δτを入力
し、適当な演算を経て、角度補正量θcをタイミングコ
ントローラ20に出力する。ただし、角度補正手段41にお
けるる演算内容は、一般にP動作のみでよい。
いま、正常に緯入れ動作が実行されているとき、緯糸
Wは、タイミングコントローラ20により設定開始角度θ
soにおいて緯入れが開始され、そのときの緯糸Wの飛走
期間τは、τ=τoである。したがって、圧力補正部30
における飛走期間偏差Δτ=τo−τ=0であり、圧力
補正部30からの圧力補正量Pcも、Pc=0である。そこ
で、圧力コントローラ10、圧力調整弁PVm、PVsによって
実現される主ノズルMN、サブノズルSNi、SNi…からの噴
射圧力Pm、Psも、設定噴射圧力Poに一致している。ま
た、このとき、角度補正部40からの角度補正量θcも、
θc=0である。
何らかの原因で緯糸Wの飛走特性が低下すると、緯糸
Wの飛走期間τは、τ>τoとなり(第3図)、到達角
度θeも所定の設定到達角度θeoより遅れる。したがっ
て、角度補正部40の角度補正手段41は、圧力補正部30か
ら、そのときの飛走期間偏差Δτ=τo−τ<0を入力
して、θc=f(Δτ)>0(ただし、fは、P要素の
制御関数)として角度補正量θcを算出し、タイミング
コントローラ20に出力する。そこで、タイミングコント
ローラ20は、このようにして与えられる角度補正量θc
を使用して、指令開始角度θs=θso−θc<θsoにお
いて緯入れを開始することにより、到達角度θeを設定
到達角度θeoに速やかに復帰させることができる。
一方、圧力補正部30の圧力補正手段32は、飛走期間偏
差Δτを使用し、Pc=g(Δτ)<0(ただし、gは、
PID要素の一部または全部を含む制御関数)として圧力
補正量Pcを算出し、圧力コントローラ10に出力するか
ら、圧力コントローラ10は、設定噴射圧力Poに対し、飛
走期間偏差Δτが消去される方向に補正を加え、指令噴
射圧力P=Po−Pc>Poとして、制御増幅器12、12を介し
て圧力調整弁PVm、PVsに出力する。すなわち、圧力コン
トローラ10は、飛走期間偏差Δτ<0のとき、指令噴射
圧力P>Poとなるように補正方向を選定する。よって、
圧力調整弁PVm、PVsは、主ノズルMN、サブノズルSNi、S
Ni…からの噴射圧力Pm、PsをPm=Ps=P>Poとなるよう
に修正する。
このようにして噴射圧力Pm、Psが修正されると、飛走
期間τは、設定飛走期間τoに修正することができる。
ここで、圧力調整弁PVm、PVsを含む圧力コントローラ10
の応答性は、タイミングコントローラ20のそれより格段
に遅いのが普通であるから、飛走期間τが修正され、飛
走期間偏差Δτが0に近付くに従い、角度補正部40は、
指令開始角度θsを設定開始角度θsoに引き戻すように
働く。すなわち、指令開始角度θsは、圧力コントロー
ラ10による噴射圧力Pm、Psの修正に追随するようにして
設定開始角度θsoに復帰することができ、最終的に、噴
射圧力Pm、Psは確実にPm=Ps=Pに修正され、それに対
応して、指令開始角度θsは、θs=θsoに復帰するこ
とができる。
緯糸Wの飛走特性が高くなり、飛走期間τがτ<τo
になったときは、以上の説明と逆になり、最終的に、噴
射圧力Pm、PsはPm=Ps=P<Poが達成され、指令開始角
度θsはθs=θsoに復帰する。
すなわち、飛走期間算出手段51、圧力補正部30、圧力
コントローラ10からなるメインループは、その応答性が
よくないために、角度補正部40、タイミングコントロー
ラ20からなるマイナループを設け、全体の応答性を向上
させている。
他の実施例 角度補正部40とタイミングコントローラ20との間に
は、リミッタ要素を介装することができる。飛走期間偏
差Δτが過大な場合にも、指令開始角度θsが極端に偏
移したり、それによって緯入れ動作と経糸開口動作との
時期的平衡が失われてしまったりするおそれがない。
圧力補正部30と圧力コントローラ10との間にデッドバ
ンド要素を介装することもできる。デッドバンド要素
は、デッドバンド幅内における微少な圧力補正量Pcを圧
力コントローラ10に送出しないから、圧力コントローラ
10や、圧力調整弁PVm、PVsは、不必要な微少動作をする
機会を最少にすることができる。
テールエンドされた2個の給糸体W1a、W1bから連続的
に緯糸Wを引き出すとき(第4図)、給糸替えセンサTS
を設け、給糸替えセンサTSからの給糸替え信号Stは、時
間遅れ要素52を介して角度修正手段53に入力するととも
に、角度修正手段53からの角度修正量θc1をタイミング
コントローラ20の加え合せ点21に導くことができる。緯
糸Wは、使用中の給糸体(以下、旧給糸体という)W1a
の全量が消費されたとき、新しい給糸体(以下、新給糸
体という)W1bから自動的に引き出すことができるよう
に、前者の巻始めと後者の巻終りとを結び合わせてある
ものとし、給糸替えセンサTSは、このようにして緯糸W
の供給源が旧給糸体W1aから新給糸体W1bに移行したこと
を検出して給糸替え信号Stを出力する。なお、給糸体W1
a、W1bと貯留装置Dとの間には、メールMLが介装されて
いる。
角度修正手段53は、給糸替え信号Stがあると、適当な
角度修正量θc1を出力する。そこで、旧給糸体W1a、新
給糸体W1bからの緯糸Wの飛走特性が同一でないとき、
その飛走特性の変化による到達角度θeの変動を修正す
るように、指令開始角度θs=θso−θc−θc1をフィ
ードフォワード制御することができるから、一層安定な
緯入れ動作を継続することができる。一般に、緯糸Wの
飛走特性は、給糸体W1a、W1bの外層部と内層部とでは同
一ではなく、したがって、給糸替えにより飛走特性が段
階的に変動して緯入れの安定性が阻害されることがある
が、こうした問題によく対処することが可能である。
ここで、時間遅れ要素52は、給糸替えセンサTSの作動
時点からの、新給糸体W1bからの緯糸Wが貯留装置Dを
経て初めて緯入されるまでの時間差に相当する時間遅れ
を設定すればよい。また、角度修正手段53は、一般に、
新給糸体W1bからの緯糸Wが最初の1ピック分緯入れさ
れたら、角度修正量θc1の出力を中止してよい。その後
の緯入れに対しては、飛走特性の変化に伴う飛走期間偏
差Δτが発生し、前述の全体制御系が有効に作動するか
らである。
以上の説明において、主ノズルMN、サブノズルSNi、S
Ni…の噴射圧力Pm、Psは、常にPm=Ps=Pとするに代え
て、たとえば制御増幅器12、12の入力側に適当な比率設
定要素を介装することにより、Pm=aPs(aは1でない
定数)として、Pm≠Psとしてもよい。また、圧力調整弁
PVsは、サブノズルSNi、SNi…の各群ごとに配設し、そ
の各群ごとに異なる噴射圧力を実現してもよい。すなわ
ち、主ノズルMN、サブノズルSNi、SNi…からなる各緯入
れノズルの噴射圧力は、その全体を一括して、または、
主ノズルMNのみ、あるいは、サブノズルSNi、SNi…を任
意の群に分割して、圧力コントローラ10の制御対象とす
ることができる。
また、圧力補正部30、角度補正部40を含む第1図の全
体制御系は、アナログ系、ディジタル系のいずれによっ
ても実現することができ、殊に後者によるときは、織機
のピック動作に対応して作動させることができる。さら
に、飛走期間偏差Δτは、n回(nは、任意の整数)の
ピック動作における飛走期間τ、τ…の移動平均値に基
づいて毎ピックごとに算出してもよく、また、nピック
の平均値に基づいてnピックごとに算出してもよい。な
お、後者の場合、第4図の角度修正手段53は、新給糸体
W1bからの緯糸Wがnピック分緯入れされるまで角度修
正量θc1の出力を継続させることが好ましい。
第1図において、設定飛走期間τo、飛走期間τは、
角度のパラメータとするに代えて、時間のパラメータと
してもよい。このとき、飛走期間算出手段51は、指令開
始角度θsから到達角度θeまでの時間差を測定するこ
とになり、また、設定飛走期間τoは、緯糸Wの正規の
飛走に要する時間に対応した値が設定される。
さらに、タイミングコントローラ20は、織機機械角θ
=θsにおいて主ノズルMN、サブノズルSNi、SNi…、係
止ピンD1からなる緯入れ部材を一斉に作動させるに代え
て、これらの緯入れ部材の作動時期に適当な時間差を設
定してもよい。すなわち、係止ピンD1の作動よりも所定
の時間だけ先き立って主ノズルMNの作動を開始させても
よく、あるいは、この逆にしてもよい。
発明の効果 以上説明したように、この発明によれば、圧力コント
ローラ、タイミングコントローラに対してそれぞれ圧力
補正部、角度補正部を組み合わせることによって、緯入
れ時において緯糸の飛走特性が変化して飛走期間の変動
が発生すると、飛走期間偏差に基づいて、角度補正部
は、まずタイミングコントローラの開始角度を変更する
ことによって到達角度を速やかに所定の設定到達角度に
復帰させる一方、圧力補正部は、速応性のない緯入れノ
ズルの噴射圧力を修正し、最終的に、開始角度を正規の
設定開始角度に復帰させることができるので、織機は、
開始角度のみが極端に偏移した不安定な状態で運転され
ることがなく、十分安定な緯入れ動作を容易に継続する
ことができるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
第1図ないし第3図は実施例を示し、第1図は全体系統
図、第2図は全体構成概念図、第3図は動作説明線図で
ある。 第4図は他の実施例を示す要部系統図である。 W……緯糸 Pm、Ps……噴射圧力 St……給糸替え信号 Δτ……飛走期間偏差 Pc……圧力補正量 θc……角度補正量 θc1……角度修正量 10……圧力コントローラ 20……タイミングコントローラ 30……圧力補正部 40……角度補正部 53……角度修正手段

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】緯入れノズルの噴射圧力制御用の圧力コン
    トローラに付設する圧力補正部と、緯入れ動作の開始時
    期制御用のタイミングコントローラに付設する角度補正
    部とを備え、前記圧力補正部、角度補正部は、それぞれ
    緯糸の飛走期間偏差に基づく圧力補正量、角度補正量を
    前記圧力コントローラ、タイミングコントローラに出力
    することを特徴とする織機の緯入れ制御装置。
  2. 【請求項2】前記角度補正部、タイミングコントローラ
    の間にリミッタ要素を介装することを特徴とする特許請
    求の範囲第1項記載の織機の緯入れ制御装置。
  3. 【請求項3】前記圧力補正部、圧力コントローラの間に
    デッドバンド要素を介装することを特徴とする特許請求
    の範囲第1項または第2項記載の織機の緯入れ制御装
    置。
  4. 【請求項4】緯糸の到達角度と前記タイミングコントロ
    ーラからの指令開始角度との角度差を緯糸の飛走期間と
    することを特徴とする特許請求の範囲第1項ないし第3
    項のいずれか記載の織機の緯入れ制御装置。
  5. 【請求項5】給糸替え信号があるとき、前記タイミング
    コントローラに対して角度修正量を出力する角度修正手
    段を付設することを特徴とする特許請求の範囲第1項な
    いし第4項のいずれか記載の織機の緯入れ制御装置。
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JPS6134259A (ja) * 1984-07-26 1986-02-18 日産テクシス株式会社 流体噴射式織機の緯入れ装置
JPS62257439A (ja) * 1986-04-26 1987-11-10 株式会社豊田自動織機製作所 ジェットルームにおける緯入れ方法

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