JP2761945B2 - 織機の緯入れ制御装置 - Google Patents

織機の緯入れ制御装置

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JP2761945B2 JP25722489A JP25722489A JP2761945B2 JP 2761945 B2 JP2761945 B2 JP 2761945B2 JP 25722489 A JP25722489 A JP 25722489A JP 25722489 A JP25722489 A JP 25722489A JP 2761945 B2 JP2761945 B2 JP 2761945B2
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 この発明は、ジェットルームにおいて、給糸替えによ
り、緯糸の飛走特性が急激に変動したときにも、織機の
運転を支障なく継続するための織機の緯入れ制御装置に
関する。
従来技術 ジェットルーム、殊に、エアジェットルームにおいて
は、製織に使用する緯糸の飛走特性が変化することによ
り、緯入れが不安定になることがある。これは、緯糸の
長さ方向に、糸の太さや毛羽の大小等の糸物性の変動が
あるために、糸の空気抵抗が変化することに主な原因が
あると考えられている。
殊に、緯糸の供給源となる給糸体の内部では、給糸体
を構成する緯糸の飛走特性が徐々に変化するために、1
個の給糸体の全量が消費され、緯糸が新しい給糸体から
引き出されるようになる、いわゆる給糸替えの際には、
緯糸の飛走特性に段階的に不連続な変動を生じることが
認められ、これに対応する技術も既に提案されている所
である(たとえば、特開昭58−18446号公報、実公昭63
−19341号公報)。
これらの技術は、いずれも、給糸替えの際に飛走特性
が変動することを想定し、これを補償するように、緯入
れ用の主ノズル、サブノズルに対する噴射圧力を積極的
に変化させることにより、安定な緯入れ動作を継続しよ
うとするものである。
また、緯入れされた緯糸が織布の反緯入れ側に到達す
るまでに要する飛走期間(以下、単に、飛走期間とい
う)を監視することによって緯糸の飛走特性の変動を把
握し、これを一定に維持するように、主ノズル等の噴射
圧力を制御する手法も一部で考えられている。
発明が解決しようとする課題 しかしながら、かかる従来技術によるときは、飛走特
性の変動に対処するために主ノズル等の噴射圧力を変化
させるものであるから、その応答性が不十分であり、給
糸体内部における緩慢な飛走特性の変動に対してはよい
としても、給糸替えに伴なう段階的な飛走特性の急変に
は全く対応できず、必然的に、緯入れ不良による織機停
止が避けられないという問題があった。また、このよう
に緯入れ不良による織機停止が発生すると、不良緯糸の
修復作業を伴なうから再起動操作が煩雑であり、停止段
発生の原因となることも多い。
このことは、飛走期間を監視して噴射圧力を制御する
場合も全く同様である。また、この場合には、緯入れ不
良による織機停止が発生すると、緯糸が正常に反緯入れ
側に到達しないために、新しい緯糸の飛走特性を把握す
ることができなくなり、したがって、その後、噴射圧力
を正しく設定する手段が失われ、織機の再起動が全く不
能となることも稀ではない。
そこで、この発明の目的は、かかる従来技術の問題に
鑑み、噴射圧力制御と開始角度(緯入れ動作を開始する
織機機械角をいう、以下同じ)制御とを併用するととも
に、給糸替えに際しては、噴射圧力を強制的に初期設定
圧力(給糸体の使用の初期において最適な緯入れが得ら
れるように設定する噴射圧力をいう、以下同じ)に向け
て変更することによって、給糸替え時の緯糸の飛走特性
の急変に際しても、何ら支障なく織機の運転を継続する
ことができるようにした織機の緯入れ制御装置を提供す
ることにある。
課題を解決するための手段 かかる目的を達成するためのこの発明の構成は、緯入
れノズルの噴射圧力を制御する圧力コントローラと、緯
入れ部材の作動時期を制御するタイミングコントローラ
と、緯糸の飛走特性の変動に応じた圧力補正量を圧力コ
ントローラに出力する圧力補正部と、緯糸の飛走特性の
変動に応じた角度補正量をタイミングコントローラに出
力する角度補正部と、給糸替え予告信号と給糸替え信号
との間において、圧力コントローラの指令噴射圧力を初
期設定圧力に向けて変更する圧力変更部とを備え、角度
補正部は、給糸替え信号により角度補正量をリセットす
ることをその要旨とする。
なお、圧力変更部は、給糸替え信号の発生前に指令噴
射圧力を初期設定圧力に到達せしめるようにしてもよ
い。
また、給糸替え予告信号は、使用中の給糸体の巻径が
設定巻径以下となったことを検出する巻径検出部から出
力し、または、使用中の給糸体に対するピック数が設定
ピック数以上となったことを検出するピック数検出部か
ら出力するようにしてもよい。
作用 而して、この構成によるときは、製織途中において、
給糸体内部の緯糸の飛走特性が緩やかに変動すると、圧
力補正部が圧力補正量を圧力コントローラに出力するこ
とによって、噴射圧力の修正動作が行なわれるから、緯
入れノズルの噴射圧力は、給糸体の消費に伴ない、飛走
特性の変動を補償する方向に変化し、円滑な緯入れを実
現することができる。ただし、このとき、角度補正部と
タイミングコントローラとによる開始角度制御は、圧力
補正部と圧力コントローラとによる噴射圧力制御より格
段に応答性が優れているので、まず前者が先行し、その
後、後者が前者に追随するようにして動作する。
給糸替えの際には、緯入れされる緯糸が切り換わるた
めに、緯糸の飛走特性は段階的に急変する。そこで、圧
力変更部は、給糸替えに先き立って発生する給糸替え予
告信号に対応して作動を開始し、指令噴射圧力を初期設
定圧力に向けて強制的に変更するから、このときの角度
補正部は、噴射圧力の変化を補償する方向に角度補正量
を漸増または漸減し、緯入れ動作を正常に維持すること
ができる。その後、給糸替え信号の発生時において、角
度補正部は角度補正量をリセットするが、そのとき、圧
力変更部によって変更された指令噴射圧力が初期設定圧
力に十分近い値であれば、給糸替え後の新しい緯糸は、
その最初のピックにおいても最適の噴射圧力によって緯
入れされ、何ら支障なく緯入れすることが可能である。
給糸替え信号の発生後は、全体制御系が元の定常制御状
態に復帰するから、その後の緯入れも円滑に継続するこ
とができる。
一般に、緯糸の飛走特性は、給糸体の外層部から内層
部にかけて徐々に一方向に変化して行くから、給糸替え
が行なわれると、飛走特性は、内層部に相当するレベル
から外層部に相当するレベルに急変する。したがって、
初期設定圧力としては、この外層部に相当するレベルの
飛走特性に適合するものを設定しておけばよい。なお、
給糸替え予告信号と給糸替え信号との間における指令噴
射圧力の変更は、圧力コントローラの応答時間を確保す
るためのものであるから、その変更速度は、十分緩やか
なものとするのがよい。
圧力変更部が、給糸替え信号の発生前に指令噴射圧力
を初期設定圧力に到達させるようにするときは、給糸替
え後の最初のピックに対する噴射圧力は、確実に初期設
定圧力に一致する値にすることができるので、給糸替え
後の緯入れは、一層適確に行なうことができる。
なお、給糸替え予告信号は、実際の給糸替えの発生時
期を所定の時間前に予測できればよく、巻径検出部また
はピック数検出部のいずれからも出力させることが可能
である。
実施例 以下、図面を以って実施例を説明する。
織機の緯入れ制御装置は、圧力コントローラ10と、タ
イミングコントローラ20と、圧力補正部30と、角度補正
部40と、圧力変更部60とを主要部材としてなる(第1
図)。
織機はエアジェットルームであるものとし(第2
図)、給糸体W1から解舒される緯糸Wは、ドラム式緯糸
測長貯留装置(以下、単に、貯留装置という)Dと、主
ノズルMNとを経て経糸開口WPに緯入れされる。また、緯
糸Wの走行経路に沿って、複数群に分割されたサブノズ
ルSNi、SNi…(i=a、b…n)が配設されている。た
だし、給糸体W1の巻始めは、予備の給糸体W2の巻終りに
連結されており、前者の全量が消費されると、緯糸Wの
供給源は、自動的に後者に移行するものとする。また、
このときの給糸替え発生を検知するために、給糸替えセ
ンサTSが設けられている。
貯留装置Dには、係止ピンD1と解舒センサD2とが付属
し、ドラムD3の巻き付けられて貯留された緯糸Wは、タ
イミングコントローラ20からの緯入れ信号Sd、Sm、Ssi
(i=a、b…n)により、係止ピンD1を解舒位置に駆
動するとともに、開閉弁Vm、Vsi(i=a、b…n)を
開き、主ノズルMN、サブノズルSNi、SNi…を作動させる
ことによって緯入れされ、その緯入れ長さWnは、解舒セ
ンサD2によって計測される。
主ノズルMN、サブノズルSNi、SNi…は、それぞれ、開
閉弁Vm、Vsi、圧力調整弁PVm、PVsを介して、共通のエ
ア源ACに接続され、それぞれの噴射圧力Pm、Psは、圧力
コントローラ10からの制御信号Spm、Spsによって制御さ
れる。また、織布の反緯入れ側には、緯糸Wの到達角度
(緯入れされた緯糸Wが反緯入れ側に到達するときの織
機機械角をいう、以下同じ)θeを検出するための到達
角度センサESが配設されており、さらに、エンコーダEN
からの織機機械角θが、タイミングコントローラ20に入
力されている。
圧力コントローラ10は、図示しない圧力設定器からの
初期設定圧力Poと、圧力補正部30からの圧力補正量Pcと
を入力する加え合せ点11と、図示しないリレーRの切換
接点Rcと、2台の制御増幅器12、12とを継続してなり
(第1図)、その出力は、制御信号Spm、Spsとして、圧
力調整弁PVm、PVsに入力されている。ただし、初期設定
圧力Po、圧力補正量Pcは、それぞれ、加え合せ点11の加
算端子と減算端子とに入力されている。また、ここで
は、サブノズルSNi、SNi…に対する織機側の制御部材
は、その図示を省略してある。
タイミングコントローラ20は、加え合せ点21とコント
ローラ本体22とを縦続してなる。加え合せ点21の加算端
子、減算端子には、それぞれ、図示しない開始角度設定
器からの設定開始角度θsoと、角度補正部40からの角度
補正量θcとが入力されている。コントローラ本体22
は、加え合せ点21から与えられる指令開始角度θs=θ
so−θcと、エンコーダENからの織機機械角θとを比較
して緯入れ信号Sd、Sm、Ssiを出力し、θ=θsにおい
て緯入れを開始する。また、解舒センサD2からの緯入れ
長さWnが所定値になると、緯入れを完了させるものとす
る。すなわち、タイミングコントローラ20は、係止ピン
D1、主ノズルMN、サブノズルSNi、SNi…からなる緯入れ
部材の作動時期を制御している。
圧力補正部30、角度補正部40は、それぞれ、圧力コン
トローラ10、タイミングコントローラ20の前段に付設さ
れている(第1図、第2図)。
圧力補正部30は、加え合せ点31と圧力補正手段32とか
らなり、前者の加算端子には、図示しない飛走期間設定
器からの設定飛走期間τoが入力される一方、減算端子
には、リレーRの常閉接点Rbを介し、飛走期間算出手段
51からの緯糸Wの飛走期間τが入力されている。圧力補
正手段32はPID制御要素を含むものとし、加え合せ点31
からの飛走期間偏差Δτ=τo−τを入力し、圧力補正
量Pcを算出して、圧力コントローラ10に出力することが
できる。また、飛走期間算出手段51は、タイミングコン
トローラ20からの指令開始角度θsと、到達角度センサ
ESからの到達角度θeとを入力し、織機機械角θを単位
とする緯糸Wの飛走期間τ=θe−θsを算出出力する
ものとする。
角度補正部40は、加え合せ点41と角度補正手段42とか
らなる。加え合せ点41は、図示しない到達角度設定器か
らの設定到達角度θeoと、緯糸Wの到達角度θeとを入
力して、到達角度偏差Δθe=θeo−θeを出力する一
方、角度補正手段42は、到達角度偏差Δθeを入力し、
適当なPID演算を経て、角度補正量θcをタイミングコ
ントローラ20に出力するものとする。角度補正手段42に
は、給糸替え信号Stが入力されている。
圧力変更部60は、圧力コントローラ10に付設されてお
り、加え合せ点11からの圧力指令値P11=Po−Pcを入力
し、切換指令圧力P60を、切換接点Rcを介して制御増幅
器12、12に出力することができる。
圧力変更部60は、プログラム発生器61とホールド要素
62とからなる(第3図)。プログラム発生器61には、給
糸替え予告信号Staと、圧力コントローラ10からの初期
設定圧力Poとが入力され、さらに、ホールド要素62を介
し、圧力コントローラ10からの圧力指令値P11が入力さ
れている。給糸替え予告信号Staは、ホールド要素62に
も分岐入力されている。
給糸替え信号Stは、給糸替えセンサTSから、適当な時
間遅れ要素52を介して出力される(第4図)。また、給
糸替え予告信号Staは、給糸体W1、W2に対峙して設けた
巻径センサRS1、RS2から、巻径検出部70を介して出力す
ることができる。巻径検出部70は、切替器71と比較器72
とからなり、前者には、巻径センサRS1、RS2の各出力の
他、給糸替えセンサTSの出力を分岐入力することによ
り、使用中の給糸体Wi(i=1、2)の巻径Rwを得る一
方、後者には、巻径Rwと設定巻径Rwoとを入力し、Rw≦R
woを検出して、給糸替え予告信号Staを出力させるもの
とする。
いま、初期設定圧力Poは、給糸体Wiの最外層部からの
緯糸Wが正常に緯入れされるように設定し、そのときの
緯糸Wの飛走期間τを設定飛走期間τoに設定する。そ
こで、給糸体W1の外層部からの緯糸Wの緯入れが正常に
行なわれているときは、緯糸Wは、タイミングコントロ
ーラ20により、織機機械角θが、θ=θsoにおいて緯入
れが開始され、θ=θeoにおいて、反緯入れ側に到達す
る。すなわち、このときは、到達角度θe=θeoである
から、到達角度偏差Δθe=θeo−θe=0であり、し
たがって、角度補正部40からの角度補正量θcは、θc
=0である。
また、このとき、緯糸Wの飛走期間τは、τ=τoで
あり、したがって、圧力補正部30からの圧力補正量Pc
も、Pc=0である。そこで、圧力コントローラ10、圧力
調整弁PVm、PVsによって実現される主ノズルMN、サブノ
ズルSNi、SNi…の噴射圧力Pm、Psも、初期設定圧力Poに
一致している。なお、このときは、リレーRの常閉接点
Rbは閉成しており、また、切換接点Rcは、加え合せ点11
側に切り換えられているものとする。
給糸体W1の消費に従って緯糸Wの飛走特性が徐々に増
大すると、緯糸Wの飛走期間τは、τ<τoとなるとと
もに、到達角度θeも設定到達角度θeoより早くなり、
θe<θeoとなる。したがって、角度補正部40の加え合
せ点41は、到達角度偏差Δθe=θeo−θe>0を検出
し、これを角度補正手段42に出力する。角度補正手段42
は、θc=f(Δθe)<0(ただし、fは、PID要素
の一部または全部を含む制御関数)として角度補正量θ
cを算出し、これをタイミングコントローラ20に出力す
るから、タイミングコントローラ20は、このようにして
与えられる角度補正量θcを使用して、指令開始角度θ
s=θso−θc>θsoにおいて緯入れを開始することに
より、速やかに到達角度偏差Δθeを除去することがで
きる。
一方、飛走期間算出手段51は、このときの飛走期間τ
<τoを検出し、これを圧力補正部30に出力するので、
圧力補正部30の加え合せ点31は、飛走期間偏差Δτ=τ
o−τ>0を圧力補正手段32に出力する。圧力補正手段
32は、Pc=g(Δτ)>0(ただし、gは、PID要素の
一部または全部を含む制御関数)として圧力補正量Pcを
算出し、圧力コントローラ10に出力するから、圧力コン
トローラ10は、初期設定圧力Poに対し、飛走期間偏差Δ
τが消去される方向に補正を加え、その結果を指令噴射
圧力P=P11=Po−Pcとして、制御増幅器12、12を介
し、圧力調整弁PVm、PVsに出力する。すなわち、飛走期
間偏差Δτ>0のときは、P<Poとなるように補正の方
向の選定する(第5図の期間1)。この結果、圧力調整
弁PVm、PVsは、主ノズルMN、サブノズルSNi、SNi…の噴
射圧力Pm、Psを、Pm=Ps=P<Poとなるように修正す
る。
このようにして、噴射圧力Pm、Psが修正されることに
より、飛走期間τは、設定飛走期間τoに修正すること
ができる。ここで、圧力調整弁PVm、PVsを含む圧力コン
トローラ10の応答性は、タイミングコントローラ20のそ
れより格段に遅いのが普通であるから、飛走期間τが修
正されるに従い、角度補正部40は、到達角度θeを設定
到達角度θeoに維持することにより、指令開始角度θs
を設定開始角度θsoに引き戻すように働く。すなわち、
指令開始角度θsは、圧力コントローラ10による噴射圧
力Pm、Psの修正に追随するようにして、設定開始角度θ
soに復帰することができ、結果的に、指令開始角度θs
は、θs≒θsoに保たれる(同図)。
給糸体W1のほぼ全量が消費され、Rw≦Rwoとなると、
巻径検出部70から給糸替え予告信号Staが出力され、こ
れによって、リレーRの常閉接点Rbは開となり、切換接
点Rcは、圧力変更部60側に切り換えられる。一方、圧力
補正手段32は、このときまでに、徐々に良好となる飛走
特性に対応して、圧力補正量Pc>0を漸増させるように
作動しているから、給糸替え予告信号Staの発生の時点
では、指令噴射圧力P=P11=Po−Pcは、初期設定圧力P
oより小さい一定値P1となっている。
そこで、給糸替え予告信号Staが発生すると、圧力変
更部60のホールド要素62は、そのときの指令噴射圧力P
=P11=P1をホールドしてプログラム発生器61に出力す
る一方、給糸替え予告信号Staにより、プログラム発生
器61がスタートする。
プログラム発生器61は、そのスタート後の時間tに対
応して、一定値P1を基点とし、傾斜ΔP/Δt=(Po−P
1)/Δtの切換指令圧力P60を発生するものとすれば、
この切換指令圧力P60は、切換接点Rcを介して指令噴射
圧力Pとなる。よって、このときの圧力変更部60は、圧
力コントローラ10の指令噴射圧力Pを初期設定圧力Poに
向けて変更するものとなっている(第5図の期間2)。
ここで、時間間隔Δtは、給糸替え予告信号Staの発生
後、給糸替え信号Stの発生までの時間差に合わせて、あ
らかじめ設定しておくものとする。また、プログラム発
生器61の傾斜ΔP/Δtは、圧力コントローラ10が十分応
答し得るように、時間間隔Δtを大きくとることによ
り、緩やかに設定するものとする。なお、時間間隔Δt
は、巻径検出部70における設定巻径Rwoを適当に定める
ことにより、任意に変更することができる。
一方、このようにして指令噴射圧力Pが変更される
と、噴射圧力Pm、Psが過大となるから、角度補正部40
は、これに合わせて角度補正量θc、指令開始角度θs
を変化させ、到達角度θeを一定に維持するように作動
する。
つづいて、給糸体W1の全量が消費されると、給糸替え
センサTSが動作するから、時間遅れ要素52を介して給糸
替え信号Stが発生する。ただし、時間遅れ要素52の設定
遅れ時間tdは、給糸替えセンサTSの作動から、新しい給
糸体W2からの緯糸Wが最初に緯入れされるまでの時間差
に相当するものとし、このときの給糸替え信号Stは、給
糸替え予告信号Staから、前述の時間間隔Δtの後に発
生するものとする。この時点においては、圧力コントロ
ーラ10の指令噴射圧力Pは、P≒Poであり、角度補正部
40からの角度補正量θcは、一定値θc1となっている
(同図)。
給糸替え信号Stが発生すると、これにより、角度補正
手段42からの角度補正量θcがゼロレベルにリセットさ
れる他、リレーRの常閉接点Rbが閉成し、切換接点Rcが
加え合せ点11側に復帰する。よって、圧力補正部30も、
元の定常制御状態に復帰する。ここで、給糸替え信号St
の発生後の最初のピックに着目すると、このときは、給
糸体W2からの新しい緯糸Wが緯入れされるとともに、噴
射圧力Pm、Psは、圧力変更部60により、Pm=Ps=P≒Po
となっている。また、角度補正量θcは、θc=0にリ
セットされるため、指令開始角度θsは、θs=θsoで
ある。よって、このときの緯入れ条件は、給糸体W2の外
層部における飛走特性に合致しているから、何ら支障な
く緯入れすることができ、以後、新しい給糸体W2による
正常な緯入れを続行することができる。
給糸体W1、W2の内部における緯糸Wの飛走特性が徐々
に低下する場合の全体動作も全く同様であり、そのとき
は、第5図に示す指令噴射圧力P、指令開始角度θsの
変動の方向は逆方向となる。
以上の説明においてプログラム発生器61は、給糸替え
信号Stの発生前に、指令噴射圧力Pを初期設定圧力Poに
到達させるようにしてもよい(第5図の一点鎖線)。給
糸体Wiの内層部からの緯糸Wが、噴射圧力Pm=Ps=Poで
も、角度補正量θc1によって正常に緯入れできる限り、
何らの支障も発生することがない。なお、指令噴射圧力
Pが、給糸替え信号Stの発生の後に初期噴射圧力Poに到
達するときは(同図の二点鎖線)、角度補正量θcをゼ
ロレベルにリセットしたときの噴射圧力Pm、Psが不足が
ちとなるから、正常な緯入れは保証されない。ただし、
給糸替え信号Stの発生時点における指令噴射圧力P=P2
に対応して、角度補正量θcを、ゼロレベル以外の最適
レベルにリセットすることにより、良好な緯入れを実現
できる可能性がある。
他の実施例 第2図、第4図における給糸替えセンサTSは、給糸体
W1、W2の中間において、両者を連結する緯糸Wの結び目
を検出する結び目センサに代えてもよい。結び目センサ
からの結び目検出信号は、給糸替えセンサTSの出力と全
く同様に使用することができる。
給糸替え予告信号Staは、ピック信号Spを入力するピ
ック数検出部80から出力するようにしてもよい(第6
図)。すなわち、ピックカウンタ81と比較器82とを縦続
し、前者にピック信号Spと給糸替え信号Stとを入力する
一方、後者には、設定ピック数npoを入力する。給糸替
え信号Stによってピックカウンタ81をクリアすれば、ピ
ックカウンタ81は、給糸替え後の使用中の給糸体Wiに対
するピック数npを計数することができ、比較器82は、
np≧npoを検出して給糸替え予告信号Staを出力するこ
とができる。給糸体Wiの全量を消費するときの総ピック
数がわかっているとき、給糸替え予告信号Staを任意の
タイミングにおいて正確に出力することが可能である。
なお、ピック信号Spは、織機の主軸を含む任意の運動部
材の運動量を検知するセンサから取ってよい。
また、第4図の時間遅れ要素52は、ピック信号Spを入
力するカウンタとし、給糸替えセンサTSが作動した後、
設定遅れ時間tdに相当するピック数を計数したとき、給
糸替え信号Stを出力するようにしてもよい。
なお、主ノズルMN、サブノズルSNi、SNi…の噴射圧力
Pm、Psは、常に、Pm=Ps=Pが成立するとしたが、これ
は、たとえば制御増幅器12、12の入力側に適当な比率設
定要素を介装することにより、Pm=aPs(aは1でない
定数)として、噴射圧力Pm、Psを異なるものとしてもよ
いものとする。また、圧力調整弁PVsは、サブノズルSN
i、SNi…の各群ごとに配設し、その各群ごとに異なる噴
射圧力を実現するようにしてもよい。すなわち、主ノズ
ルMN、サブノズルSNi、SNi…からなる各緯入れノズルの
噴射圧力は、その全体を一括して、または、主ノズルMN
のみ、あるいは、サブノズルSNi、SNi…を任意の群に分
割して、圧力コントローラ10の制御対象とすることがで
きるものとする。
また、圧力補正部30、角度補正部40、圧力変更部60を
含む第1図の全体制御系は、アナログ系、ディジタル系
のいずれによっても実現することができ、殊に後者によ
るときは、織機のピック動作に対応して作動させること
ができる。さらに、後者においては、飛走期間偏差Δ
τ、到達角度偏差Δθeは、複数回のピック動作におけ
る飛走期間τ、τ…、到達角度θe、θe…の移動平均
値に基づいて毎ピックごとに算出してもよく、また、一
定ピック数の平均値に基づいて一定ピック数ごとに算出
してもよい。
第1図において、設定飛走期間τoは、図示しない飛
走期間設定器から得られるものとしたが、設定到達角度
θeoから設定開始角度θsoを引いた角度差を使用しても
よい。また、設定飛走期間τo、飛走期間τは角度のパ
ラメータとしたが、これに代えて、時間のパラメータと
してもよい。このとき、飛走期間算出手段51は、指令開
始角度θsから到達角度θeまでの時間差を測定するこ
とになり、また、設定飛走期間τoは、緯糸Wの正規の
飛走に要する時間に対応した値が設定される。
なお、この発明においては、角度補正部40は、到達角
度偏差Δθeに代えて飛走期間偏差Δτを使用してもよ
く、また、圧力補正部30は、飛走期間偏差Δτに代えて
到達角度偏差Δθeを使用してもよい。
さらに、圧力補正部30は、角度補正量θcを常閉接点
Rbを介して圧力補正手段32に出力し、飛走期間偏差Δτ
に代えて、角度補正量θcに基づき圧力補正部Pcを算出
するものとしてもよい。また、緯入れ部材の作動時期と
して、指令開始角度θsに限らず、緯入れノズルの指令
終了角度を角度補正の対象としてもよい。この指令終了
角度は、到達角度偏差Δθeに対しては、指令開始角度
θsの補正方向と反対の方向に補正される傾向を有する
ものである。
さらに、タイミングコントローラ20は、織機機械角θ
が、指令開始角度θsに一致した時点で、主ノズルMN、
サブノズルSNi、SNi…および係止ピンD1からなる緯入れ
部材の作動を開始するようにしたが、必要ならば、これ
らの緯入れ部材の作動時期に適当な時間差を持たせるよ
うにしてもよい。すなわち、係止ピンD1の作動よりも所
定の時間だけ先だって、主ノズルMNの作動を開始させる
ようにしてもよく、あるいは、この逆にしてもよい。
発明の効果 以上説明したように、この発明によれば、圧力コント
ローラに対して圧力補正部を付設するとともに圧力変更
部を設け、タイミングコントローラに対して角度補正部
を付設し、圧力変更部は、給糸替え予告信号と給糸替え
信号との間において、指令噴射圧力を初期設定圧力に向
けて変更し、角度補正部は、給糸替え信号によって角度
補正量をリセットすることによって、給糸替えに伴なう
飛走特性の急変に対しては、圧力変更部により、事前に
強制的に噴射圧力を初期設定圧力に引き戻す一方、角度
補正部により、このときの噴射圧力の不適合を補償する
ことができるので、緯入れ動作は、給糸替えの前後を通
じ、正常に維持することができるという優れた効果があ
る。
【図面の簡単な説明】
第1図ないし第5図は実施例を示し、第1図は全体系統
図、第2図は全体構成概念図、第3図と第4図は要部系
統図、第5図は動作説明線図である。 第6図は他の実施例を示す第4図相当図である。 W……緯糸 W1、W2……給糸体 Pm、Ps……噴射圧力 P……指令噴射圧力 Po……初期設定圧力 St……給糸替え信号 Sta……給糸替え予告信号 Pc……圧力補正量 θc……角度補正量 Rw……巻径 Rwo……設定巻径 np……ピック数 npo……設定ピック数 10……圧力コントローラ 20……タイミングコントローラ 30……圧力補正部 40……角度補正部 60……圧力変更部 70……巻径検出部 80……ピック数検出部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 若松 謙介 石川県松任市相木町593番地1 (56)参考文献 特開 昭58−18446(JP,A) 特開 昭62−250249(JP,A) 特開 昭62−90351(JP,A) 実開 昭60−136379(JP,U) 実開 昭59−95179(JP,U) 実開 平3−85489(JP,U) 実公 昭63−19341(JP,Y2) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) D03D 47/28 - 47/36

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】緯入れノズルの噴射圧力を制御する圧力コ
    ントローラと、緯入れ部材の作動時期を制御するタイミ
    ングコントローラと、緯糸の飛走特性の変動に応じた圧
    力補正量を前記圧力コントローラに出力する圧力補正部
    と、緯糸の飛走特性の変動に応じた角度補正量を前記タ
    イミングコントローラに出力する角度補正部と、給糸替
    え予告信号と給糸替え信号との間において、前記圧力コ
    ントローラの指令噴射圧力を初期設定圧力に向けて変更
    する圧力変更部とを備え、前記角度補正部は、給糸替え
    信号により角度補正量をリセットすることを特徴とする
    織機の緯入れ制御装置。
  2. 【請求項2】前記圧力変更部は、給糸替え信号の発生前
    に、指令噴射圧力を初期設定圧力に到達せしめることを
    特徴とする特許請求の範囲第1項記載の織機の緯入れ制
    御装置。
  3. 【請求項3】給糸替え予告信号は、使用中の給糸体の巻
    径が設定巻径以下となったことを検出する巻径検出部か
    ら出力することを特徴とする特許請求の範囲第1項また
    は第2項記載の織機の緯入れ制御装置。
  4. 【請求項4】給糸替え予告信号は、使用中の給糸体に対
    するピック数が設定ピック数以上となったことを検出す
    るピック数検出部から出力することを特徴とする特許請
    求の範囲第1項または第2項記載の織機の緯入れ制御装
    置。
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