JP2846497B2 - 熱間圧延方法及び表面処理剤 - Google Patents

熱間圧延方法及び表面処理剤

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、継目無鋼管の熱間圧延
方法に関し、詳しくは傾斜圧延機にて継目無鋼管の穿孔
・減肉延伸圧延を行う場合に、ガイドシュー表面の焼付
きに起因して発生する管外表面における引掻き疵の発生
を効果的に防止できると共に、マンドレルミルにて減肉
・延伸圧延を行う場合に、管内表面にマンドレルバーに
よって生じる擦り傷の発生をも効果的に防止できる継目
無鋼管の熱間圧延方法及びそれに適用して好適な表面処
理剤に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に継目無鋼管の穿孔・減肉延伸圧延
は、図3に示すように、傾斜して対向する1対の圧延ロ
ール11とプラグ13により被圧延材(以下、単に圧延
材ともいう)12を圧延することにより行われるが、そ
の際に、減肉圧延により圧延材12の外径が拡大するこ
とを1対のプレート型ガイドシュー14で規制してい
る。又、圧延ロール11の温度上昇を制御し摩耗を少な
くするために、7のノズルから多量の冷却水を供給して
いる。
【0003】ところで、このような継目無鋼管の圧延時
には、圧延材12とガイドシュー14とが全面滑り摩擦
の状態で、しかも高温の下で圧延されるため、該シュー
14の表面に焼付きが発生し、それが原因で圧延材12
の外表面に引掻き疵(以下、シューマークともいう)が
生じる。従って、このような圧延は、管材品質の低下を
招くのみならず、上記シュー14の手入れやその交換等
に要する圧延機のダウンタイムが増大して生産性を低下
させるなど、実操業上の不都合が著しかった。
【0004】そのため近年では、図2に示す如く、上記
のプレート型ガイドシュー14に比べてシューの摩耗や
圧延効率に優れているディスクロール型ガイドシュー1
0が採用されるようになってきた。
【0005】ところが、このようなディスクロール型ガ
イドシュー10を用いた圧延においても、圧延材12の
円周方向の回転については依然として全面滑り摩擦状態
であるため、シューマークの発生を完全に防止すること
はできなかった。特に圧延材が高Cr 合金鋼の場合に
は、材料表面の酸化物が少ないことや変形抵抗が高いこ
と等の理由から、この焼付き現象の発生が著しかった。
【0006】上記問題点を解決するために、従来からガ
イドシューの冷却を行うと共に、特開昭61−2531
05号公報に開示されているように、ガイドシューの材
質の改善が試みられているが、十分な効果をあげるまで
には至っていない。
【0007】その他、特開昭60−56406号公報で
は、ガイドシューと圧延材との間に、微細黒鉛粒子及び
微細固形アスファルト粒子を分散させた潤滑剤を塗布し
ながら穿孔圧延する方法が提案されているが、この方法
では、潤滑剤が主ロールに転写され、圧延材の前進速度
が大幅に低下し、その結果スリップが大きくなって穿孔
効率が低下するという重大な欠点があり実用化が困難で
ある。
【0008】又、特公昭58−3444号公報には、プ
レート型ガイドシューと圧延材との間に不燃性、不融性
で且つ硬質の砂状粉粒物を供給・介在させながら穿孔圧
延する方法も提案されているが、多量に冷却水がかかっ
ている条件下では、シューと圧延材との間に砂状粉粒物
が確実に入るとは限らないため、その有効な適用は極め
て難しく、しかも周囲の環境を著しく損なうという欠点
があった。
【0009】そこで、本出願人は、上記従来技術の欠点
を解消するために、圧延材の材質如何に拘らず、ガイド
シューと圧延材との焼付を防止し、しかも両者間のスリ
ップも効果的に防止することを可能とし、高品質の継目
無鋼管を高能率で得ることができる継目無鋼管の傾斜圧
延方法を提案した(特開平2−224808)。
【0010】この方法は、圧延ロール及びディスクロー
ル型ガイドシューを備える傾斜圧延機にて継目無鋼管の
穿孔・減肉延伸圧延を行うに際して、焼付防止剤が供給
される前記ディスクロール型ガイドシューの表面温度を
50℃〜300℃に保持しながら、被圧延材と当接する
上記ガイドシューの表面に、水溶性のほう素系化合物と
被膜形成剤とを主成分とする焼付防止剤を供給し、冷却
水に溶解しない強固な被膜を形成させつつ圧延を行うも
のである。
【0011】この方法によれば、ガイドシュー表面に乾
燥被膜を速やかに形成させることができると同時に、該
乾燥被膜を有効に機能させることができる。従って、圧
延材の材質如何に拘らず、ガイドシューと圧延材との焼
付を防止できると共に、これら両者間のスリップも防止
できるため、高品質の継目無鋼管を高能率で得ることが
できる。
【0012】又、一般に、継目無鋼管の減肉・延伸圧延
機の1つであるマンドレルミルでは、穿孔機にて穿孔形
成した中空素管を、その内部にマンドレルバーを挿入し
た状態で、上下に配された対向するカリバーロールで圧
延することが行われている。
【0013】その際、中空素管とマンドレルバーとの間
で焼付が生じることを防止するためや、中空素管が順調
に伸びるようにするために、該マンドレルバーに予め潤
滑剤を塗布している。この潤滑剤としては、例えば、黒
鉛粉末と樹脂成分とを主成分として含有するものが用い
られている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記特
開平2−224808号公報で提案した技術は、前述の
優れた効果を有しているが、被膜形成能が温度に依存し
ており、低温では被膜が形成され難いため、例えば交換
直後の表面温度が低いガイドシューでは適切な被膜が形
成されず、十分な焼付防止効果が得られないという問題
がある。
【0015】又、十分な性能を発揮させることができる
被膜を形成するためにはガイドシューを50℃以上の温
度に保持する必要があるが、この場合には、ガイドシュ
ーの摩耗が大きくなるため、ガイドシューのカリバー
(孔型)形状が不適切となり易く、それだけ被圧延材と
の間の焼付きも生じ易くなると共に、該シューの原単位
が増加するという新たな問題が生じる。
【0016】更に、上記のようにガイドシューを50℃
以上の温度に保持する場合には、ガイドシュー用冷却水
は勿論のこと、圧延ロール用冷却水の量も制限すること
になるため、ロール温度も上昇し、それだけ該ロールも
摩耗し易くなる。このロール摩耗が生じると、圧延ロー
ルによる被圧延材に対するグリップ力が低下するため、
被圧延材の噛み込み不良や尻抜け不良等のミスロールが
発生し易くなるという他の新たな問題が生じる。
【0017】又、前述の如く、マンドレルバーに潤滑剤
を塗布する場合、従来の潤滑剤を用いると、マンドレル
バーの表面に被膜を、50〜100gr/m 2 程度の薄い
厚さでしか形成できない上に、被膜強度が弱いことが多
い。そのため、膜切れが生じて潤滑不良となり、中空素
管とマンドレルバーとの間で焼付きが起こり、製造され
る継目無鋼管の内面に擦り疵が生じ易いという問題もあ
る。
【0018】同様にして、プラグミルにおいてもプラグ
と素管内面との焼付きにより、該素管内面に擦り疵が生
じ易い。
【0019】本発明は、前記従来の問題点を解決するべ
くなされたもので、継目無鋼管を穿孔及び減肉・延伸圧
延して製造するに際し、ガイドシュー、マンドレルバー
及びプラグが低温の場合でも、その表面に厚く且つ強固
な被膜を形成することができ、その結果、被圧延材(中
空素管)とガイドシューとの間の焼付きに起因して継目
無鋼管の外表面に引掻き疵(シューマーク)が発生する
ことを防止すると共に、被圧延材とその内部に挿入する
マンドレルバーやプラグとの間の潤滑不良に起因して継
目無鋼管の内表面に擦り疵が発生することを防止するこ
とができる、継目無鋼管の熱間圧延方法及びそれに適用
して好適な表面処理剤を提供することを課題とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明は、継目無鋼管の
熱間圧延方法において、圧延機が有するガイドシュー、
プラグ及びマンドレルバーの少なくとも一方に、カルボ
キシル基又はスルホン酸基を有する非水溶性の高分子酸
から調整された水溶性の高分子塩を主成分として含有す
る被膜形成溶液と、該被膜形成溶液から高分子塩中の被
膜成分を析出させるための又はそのアルミニウム塩
を主成分として含有する被膜形成補助溶液とを塗布して
被膜を形成することにより、前記課題を達成したもので
ある。
【0021】本発明は、前記熱間圧延方法において、被
膜形成溶液及び被膜形成補助溶液の少なくとも一方に、
焼付防止成分及び潤滑成分の少なくとも一方を含有させ
ることにより、前記課題を確実に達成したものである。
【0022】本発明は、カルボキシル基又はスルホン酸
基を有する非水溶性の高分子酸から調整された水溶性の
高分子塩を主成分として含有する被膜形成溶液と、該被
膜形成溶液から高分子塩中の被膜成分を析出させるため
又はそのアルミニウム塩を主成分として含有する
被膜形成補助溶液とからなる表面処理剤を調整すること
により、同様に前記課題を達成したものである。
【0023】本発明は、前記表面処理剤において、被膜
形成溶液及び被膜形成補助溶液の少なくとも一方に、焼
付防止成分及び潤滑成分の少なくとも一方を含有させる
ことにより、同様に前記課題を確実に達成したものであ
る。
【0024】
【作用】本発明等は、種々検討した結果、カルボキシ
ル基又はスルホン酸基を有する水に不溶な高分子酸(非
水溶性の高分子酸)で、その塩が水に可溶な高分子塩
(水溶性の高分子塩)を主成分として含有する被膜形成
溶液と、該被膜形成溶液から、溶解している高分子塩中
の被膜成分(高分子成分)を析出させることができる
又はそのアルミニウム塩を主成分として含有する被膜
形成補助溶液とを併用することにより、低温において
も、被処理体の表面に厚く且つ強度が大きな被膜を形成
できることを知見した。
【0025】又、上記被膜形成溶液及び被膜形成補助溶
液の少なくとも一方に、焼付防止成分を含有させ、例え
ば傾斜圧延装置のディスクロール型ガイドシューにこれ
ら2液を塗布(処理)することにより、該ガイドシュー
の表面に優れた焼付防止性能を有する被膜を形成できる
ことを知見した。
【0026】又、同様に、上記被膜形成溶液及び被膜形
成補助溶液の少なくとも一方に、潤滑成分を含有させ、
例えばマンドレルミルのマンドレルバーをこれら2液で
処理することにより、該マンドレルバーの表面に優れた
潤滑性能を有する被膜を形成できることを知見した。
【0027】本発明は、前記各知見に基づいてなされた
もので、本発明によれば、外表面はもとより内表面にも
疵の無い、優れた表面状態の継目無鋼管が製造される。
【0028】又、本発明は、マンネスマン−マンドレル
ミル方式やマンネスマン−プラグミル方式にて継目無鋼
管の穿孔及び減肉・延伸圧延を行うに際し、傾斜圧延機
が有するガイドシューやプラグ、及びマンドレルミルに
おけるマンドレルバー、更にはプラグミルにおけるプラ
グの少なくとも一方に適用して好適である。
【0029】次に、本発明を更に詳細に説明する。
【0030】表面処理剤は被膜形成溶液と被膜形成補助
溶液とからなる。
【0031】被膜形成溶液は、水溶性の高分子塩が主成
分として溶解された溶液である。
【0032】上記高分子塩は、高分子酸の塩であり、
又、高分子酸自体は水に不溶であり、後述する被膜形成
補助溶液の作用により高分子塩が不溶化された時点で被
処理体(ガイドシュー等)の表面に厚く且つ強い被膜を
形成する機能を備えているものである。
【0033】上記高分子酸としては、分子中にその塩が
水溶性となる程度以上の密度でカルボキシル基やスルホ
ン酸基の酸基が含有されている高分子化合物である。
【0034】カルボキシル基を有する高分子酸(高分子
カルボン酸)としては、カルボキシメチルセルロース、
イソブチレン−マレイン酸共重合物、ポリアクリル酸等
を挙げることができる。
【0035】又、スルホン酸基を有する高分子酸(高分
子スルホン酸)としては、スルホン化した高分子化合
物、例えば、ポリスチレンスルホン酸、等を挙げること
ができる。
【0036】又、上記高分子酸の塩を調製するために用
いる塩基としては、水溶性高分子塩が得られるものであ
れば制限はなく、アンモニア、アルカノールアミン等の
有機塩基、アルカリ金属、アルカリ土類金属を含む無機
塩基等、種々の塩基物質を挙げることができる。
【0037】上述した被膜形成溶液の濃度は、被処理体
に対して処理できる範囲であれば特に制限されないが、
実用的には、1〜20wt%を好ましい範囲として挙げる
ことができる。即ち、1%未満では十分な厚みを有する
被膜が形成されなく、20%以上では粘度が高くなり過
ぎるためスプレー塗布等が困難になる。
【0038】又、被膜形成溶液には、粘度調整等のため
に、例えばメチルセルロース、ポリビニルアルコール、
カルボキシメチルセルロース及びポリエチレンオキサイ
ド等を添加することもできる。
【0039】本発明における被膜形成補助溶液は、上述
した被膜形成溶液に溶解されている高分子塩中の被膜成
分を析出させることができる又はそのアルミニウム
を主成分として含有する溶液である。
【0040】被膜形成補助溶液に含有される酸として
は、水溶性で、被膜形成溶液から被膜成分(高分子酸)
を析出させることができるもので、具体的には強酸のア
ルミニウム塩である硫酸アルミニウム、塩化アルミニウ
ム、強酸である塩酸、硫酸、燐酸等を使用することがで
きる。
【0041】本発明の表面処理剤は、前述した被膜形成
溶液と被膜形成補助溶液とで構成されるものであるが、
該被膜形成溶液及び被膜形成補助溶液の少なくとも一方
には、焼付防止成分及び潤滑成分の少なくとも一方を含
有させることができる。その結果、上記表面処理剤を焼
付防止剤、潤滑剤又は焼付防止・潤滑剤とすることがで
きる。
【0042】上記焼付防止成分としては、水溶性のほう
素化合物、例えば、ほう酸、ほう酸のアルカリ塩(ほう
酸ナトリウム、ほう酸カリウム)、ほう酸アンモニウム
塩及びほう酸アルカノールアミン塩や、ほう酸と水溶性
アミンの塩、例えばテトラエチレンペンタミン、シクロ
ヘキシルアミン、ジエチレントリアミン、アルキルアミ
ン等の塩等が好適である。
【0043】特に、高分子酸からなる高分子塩を含有す
る被膜形成溶液にほう酸のアルカリ塩を含有させる場合
には、該被膜形成溶液と共に被膜形成補助溶液を塗布す
ると、高分子塩と同様にほう酸塩も中和されて水に不溶
となり、ほう酸成分が均一に分散した被膜が得られるた
め、焼付防止効果が一段と発揮される。
【0044】又、この場合、焼付防止成分(ほう酸のア
ルカリ塩)を水溶性にすると、該焼付防止成分を含有さ
せて得られる被膜形成溶液も水溶性であるため、設備化
が容易であり、ノズルを使用する場合でもノズル詰まり
が発生することを防止できる利点もある。
【0045】他の焼付防止成分としては、酸化鉄、酸化
アルミニウム等の金属酸化物の粉末も好適である。この
粉末を被膜形成溶液又は被膜形成補助溶液に含有させる
場合には、被膜形成溶液又は被膜形成補助溶液を攪拌し
ながら被処理体に噴霧等により塗布することにより、該
粉末が均一に分散した焼付防止性能に優れた被膜を形成
することができる。
【0046】又、前記潤滑成分としては、黒鉛粉末が好
適であるが、他に窒化ホウ素等の窒化物、又は二硫化モ
リブデン等の硫化物でもよく、更には、他の潤滑性を有
する物質であってもよい。
【0047】例えば、上記黒鉛粉末を被膜形成溶液又は
被膜形成補助溶液に含有させる場合は、金属酸化物の場
合と同様に被膜形成溶液又は被膜形成補助溶液を攪拌し
ながら被処理体に塗布することにより、黒鉛が均一に分
散された潤滑性に優れた被膜を被処理体の表面に形成す
ることができる。他の潤滑成分の場合も同様である。
【0048】以上詳述した如く、本発明の表面処理剤を
用いれば、被膜形成溶液及び被膜形成補助溶液を被処理
体に、同時に又は逐次塗布することにより、被処理体が
低温である場合でも、厚く且つ強い被膜を形成すること
ができる。
【0049】従って、その際、被膜形成溶液及び被膜形
成補助溶液の少なくとも一方に、目的に応じて焼付防止
成分、潤滑成分又はこれら両成分を添加混合することに
より、焼付防止性、潤滑性又はこれら両性能を備えた、
厚く且つ強い被膜を、低温でも確実に形成することがで
きる。
【0050】次に、本発明の熱間圧延方法について説明
する。
【0051】本発明方法は、前記表面処理剤を、マンネ
スマン−マンドレルミル方式やマンネスマン−プラグミ
ル方式による継目無鋼管の製造に適用するものである。
【0052】即ち、本発明方法によれば、継目無鋼管を
穿孔及び減肉・延伸圧延するに際し、被処理体と接触す
る傾斜圧延機のガイドシューやプラグ、及びマンドレル
ミルのマンドレルバー、更には、プラグミルにおけるプ
ラグ(被処理体)に前述の表面処理剤を適用し、該処理
体の表面に所望の性能を備えた被膜を形成することによ
り、内外面に疵のない継目無鋼管を効率良く製造するこ
どができる。
【0053】例えば、ガイドシューに、被膜形成溶液及
び被膜形成補助溶液の少なくとも一方に、少なくとも焼
付防止成分を含有させた前記表面処理剤を適用してビレ
ット及び/又は中空素管を穿孔及び/又は減肉・延伸圧
延することにより、外表面にシューマークのない継目無
鋼管を確実に製造することができる。
【0054】又、マンドレルバーに、被膜形成溶液及び
被膜形成補助溶液の少なくとも一方に、少なくとも潤滑
成分を含有させた前記表面処理剤を適用することによ
り、同様に内表面にも擦り疵のない継目無鋼管を効率良
く製造することができる。
【0055】更に、傾斜圧延機のプラグやプラグミルに
おけるプラグに、被膜被膜形成溶液及び被膜形成補助溶
液の少なくとも一方に焼付防止成分及び/又は潤滑成分
を含有させた前記表面処理剤を適用することにより、同
様に内表面にも擦り疵のない継目無鋼管を効率良く製造
することができると共に、プラグの損傷を軽減でき、該
プラグの寿命を延長させることも可能である。
【0056】被処理体である上記ガイドシュー、マンド
レルバー又はプラグに、被膜形成溶液及び被膜形成補助
溶液を塗布する方法としては、例えば、それぞれを別個
のスプレーノズルで吹き付ける方法が、均一な被膜を速
やかに形成できるので好ましいが、羽毛塗りやロール等
による転写によってもよい。
【0057】又、上記2溶液をスプレーで塗布する場
合、これら2溶液を同時に吹き付けることが均一な被膜
を得ることができるため好ましいが、別々にタイミング
をずらして塗布してもよい。
【0058】
【実施例】以下、図面を参照して、本発明の実施例を詳
細に説明する。
【0059】図1は、本実施例の熱間圧延方法に適用す
る傾斜圧延機を示す概略構成図である。
【0060】図中11は、圧延材12を押圧、圧延する
ための相対して配置されている1対の圧延ロールであ
り、該両圧延ロール11により挾持・押圧される上記圧
延材12の上下位置には、該圧延材12に当接し、その
位置と径とを規制するための1対のディスクロール型ガ
イドシュー10が相対して配置されている。上記の両圧
延ロール11、両ガイドシュー10及び圧延材12の関
係を、図1の右側から見た拡大正面図で示したのが図2
である。
【0061】上記圧延装置は、図2に示す矢印方向に、
上記1対の圧延ロール1を回転させることにより、上
記圧延材12を、その内部に挿通されている穿孔プラグ
13の周りに転動させることができると同時に、上記ガ
イドシュー10を図1に示す矢印方向に回転させること
により上記圧延材12の穿孔・減肉延伸圧延を行うこ
とが可能なように構成されている。
【0062】上記圧延ロール11の近傍には、該圧延ロ
ール11を冷却するための冷却水供給ノズル7が配設さ
れており、電磁弁2により冷却水の流量を制御できるよ
うに構成されている。
【0063】上記ガイドシュー10の近傍にも、該ガイ
ドシューを冷却するための冷却水供給ノズル8が配設さ
れており、同様に電磁弁2a により冷却水の流量を制御
できるように構成されている。
【0064】又、上記ガイドシュー10の近傍には、該
ガイドシュー10の表面温度を測定するための温度計9
が設置され、更に被膜形成溶液を該ガイドシュー10の
表面に供給するための噴射ノズル6と、被膜形成補助溶
液を同様に供給するための噴射ノズル6a とが配設され
ている。そして、タンク1に貯えられている被膜形成溶
液をポンプ3によりボルトガン4に送り込むと同時に所
定圧のエア5を供給し、該ボルトガン4内で両者を混合
して、上記噴射ノズル6から上下のガイドシュー10の
表面にミスト状で吹き付けることができるようになって
いる。なお、上記被膜形成溶液及びエア5の流量は、そ
れぞれ電磁弁2b 及び2c により調整可能である。
【0065】又、図示は省略するが、他のタンクに貯え
られている被膜形成補助溶液を同様の機構により、上記
ノズル6a へ供給可能になっている。
【0066】まず、イソブチレンマレイン酸共重合物
(高分子カルボン酸)のアンモニウム塩を水溶性高分子
塩として5wt%含有する被膜形成溶液(A1 )を調製す
ると共に、被膜形成補助溶液(B1 )として硫酸アルミ
ニウム水溶液(PH3〜4)を調製し、表面処理剤とし
た。
【0067】上記被膜形成溶液(A1 )を、図1のスプ
レーノズル6から噴霧すると共に、他方スプレーノズ
ル6a から上記被膜形成補助溶液(B1 )を噴霧して、
実質的にこれら両溶液をガイドシュー表面に同時に塗布
した。
【0068】その結果、ガイドシューの温度が50℃以
下で10〜50g / m2 程度の被膜が得られた。
【0069】次に、上記表面処理剤の特徴を継目無鋼管
の傾斜圧延に活用するために、上記高分子塩を5wt%、
ほう酸アンモニウム塩を15wt%含有する被膜形成溶液
(A2 )(焼付防止剤)を調製した。
【0070】この被膜形成溶液(A2 )はPHが7〜8
であり、又、30℃における粘度が50CPSであり、
スプレー塗布するのに好適であった。なお、参考のた
め、15wt%のほう酸アンモニウム塩を含有する水溶液
に溶解した上記高分子塩の濃度と、該水溶液の粘度の関
係を下記表1に示した。
【0071】
【表1】
【0072】次いで、上記被膜形成溶液(A2 )をノズ
ル6から噴霧してガイドシュー10に塗布した後、被膜
形成補助溶液(B1 )をノズル6a から噴霧して同様に
塗布した。その結果、ガイドシュー10の温度は50℃
以下であったが、40〜200g / m2 の厚さで高い強
度の被膜(焼付防止膜)が得られた。
【0073】このようにガイドシュー10に被膜を形成
した後、通常の方法で13Cr 鋼等の高クロム合金鋼の
継目無鋼管を穿孔及び減肉・延伸圧延したところ、シュ
ーマークの発生は全く認められなかった。
【0074】次に、イソブチレンマレイン酸共重合物
(高分子カルボン酸)のアンモニウム塩を水溶性高分子
塩として10wt%含有する被膜形成溶液(A)及び
被膜形成補助溶液(B)にそれぞれ20wt%の黒鉛
粉末を添加・混合して被膜形成溶液(A)及び被膜形
成補助溶液(B)を調製した。
【0075】次いで、被膜形成溶液(A4 )及び被膜形
成補助溶液(B2 )をそれぞれ攪拌しながら、図示しな
い噴射ノズルからマンドレルバー13に塗布して被膜を
形成した。その結果、同様に低温でも100〜500g
/ m2 の厚く且つ強固な黒鉛粉末が均一に分散された被
膜(潤滑被膜)が得られた。
【0076】このようにマンドレルバー13に被膜を形
成した後、通常の方法でSUS304等の高合金鋼で継
目無鋼管の圧延を行ったところ、内表面に擦り疵を生じ
させることなく安定して継目無鋼管を製造することがで
きた。
【0077】以上、本発明を具体的に説明したが、本発
明は前記実施例に示したものに限定されるものでなく、
その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0078】例えば、焼付防止膜や潤滑膜等の被膜は5
0℃を超える温度でも形成できることはいうまでもな
い。従って、ガイドシュー10に対する被膜形成は、圧
延前でも当然可能であるが、圧延中でも可能である。
【0079】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明によれば、被
処理体が低温である場合でも、該被処理体の表面に、十
分な厚さと強度を有する焼付防止膜、潤滑膜等の被膜を
確実に形成することができる。従って、内外表面に疵を
生じさせることなく、継目無鋼管を確実に製造すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例に適用されるディスクロール型
ガイドシューを備えた圧延状態の傾斜圧延機を示す略示
正面図である。
【図2】図2は、図1の右方向から見た要部拡大側面図
である。
【図3】図3は、プレート型ガイドシューを備える傾斜
圧延機の模式図である。
【符号の説明】
6、6a …噴射ノズル、 7、8…冷却水供給ノズル、 9…温度計、 10…ディスクロール型ガイドシュー、 11…圧延ロール、 12…圧延材。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C10M 107/46 C10M 107/46 // C10N 10:06 40:24 (72)発明者 道谷 昇 大阪府八尾市渋川町二丁目1番3号 日 本クエーカー・ケミカル株式会社内 (72)発明者 尾本 多佳彦 大阪府八尾市渋川町二丁目1番3号 日 本クエーカー・ケミカル株式会社内 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C10M 107/28 C10M 107/36 C10M 107/46 C10N 40:24

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】継目無鋼管の熱間圧延方法において、 圧延機が有するガイドシュー、プラグ及びマンドレルバ
    ーの少なくとも一方に、カルボキシル基又はスルホン酸基を有する非水溶性の高
    分子酸から調製された 水溶性の高分子塩を主成分として
    含有する被膜形成溶液と、 該被膜形成溶液から高分子塩中の被膜成分を析出させる
    ための又はそのアルミニウム塩を主成分として含有
    する被膜形成補助溶液とを塗布して被膜を形成すること
    を特徴とする熱間圧延方法。
  2. 【請求項2】請求項1において、被膜形成溶液及び被膜
    形成補助溶液の少なくとも一方に、焼付防止成分及び潤
    滑成分の少なくとも一方を含有させることを特徴とする
    熱間圧延方法。
  3. 【請求項3】カルボキシル基又はスルホン酸基を有する
    非水溶性の高分子酸から調製された水溶性の高分子塩を
    主成分として含有する被膜形成溶液と、 該被膜形成溶液から高分子塩中の被膜成分を析出させる
    ための又はそのアルミニウム塩を主成分として含有
    する被膜形成補助溶液とからなることを特徴とする表面
    処理剤。
  4. 【請求項4】請求項3において、被膜形成溶液及び被膜
    形成補助溶液の少なくとも一方に、焼付防止成分及び潤
    滑成分の少なくとも一方が含有されていることを特徴と
    する表面処理剤。
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