JPH0527483B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

〈産業上の利用分野〉 本発明は傾斜圧延機にて継目無鋼管の穿孔、減
肉、延伸圧延において、ガイドシユウの摩耗およ
び焼付に起因して生じる管外表面の引掻き疵（以
下シユウマークと呼ぶ）を防止し、高品質の継目
無鋼管を高生産性で製造する継目無鋼管の圧延方
法に関するものである。 〈従来の技術〉 一般に継目無鋼管の穿孔、減肉、延伸圧延は、
第１図に示すように傾斜して対向する１対の圧延
ロール１とプラグ３により圧延材４を穿孔圧延す
るものであるが、減肉圧延により圧延材４の外径
が拡大するのを一対のプレート型ガイドシユウ２
により規制するようになつている。 この継目無鋼管の圧延時には圧延材４とガイド
シユウ２とが全面滑り摩擦の状態で圧延されるた
め、圧延材４の外表面にシユウマークや焼付が発
生しやすい。従つて、このような圧延は、管材品
質の劣化を招くのみならず、シユウの手入れやシ
ユウの交換等に要する圧延機のダウンタイムが増
大して生産性を低下する等、実操業上に重大な不
都合を引き起こす。これに対して、近年、上記の
プレート型ガイドシユウを使用する場合よりも圧
延効率が優れることから、デイスクロール型ガイ
ドシユウが傾斜圧延機に採用されることが多くな
つてきた。 第２図はデイスクロール型ガイドシユウを備え
た傾斜圧延機によつて圧延を行つている状態を示
す概略図である。プレート型ガイドシユウの配置
位置にこれに代わるデイスクロール型ガイドシユ
ウ５が設置されている他は第１図と同様である。 しかし、このようなデイスクロール型ガイドシ
ユウを用いる圧延方法においても、依然として圧
延材の円周方向の回転に対しては全面滑り状態で
あるため、圧延材の表面にシユウマークが発生す
る。また、デイスクロール型ガイドシユウにより
圧延材のガイドシユウへの膨出をガイドシユウロ
ールで押圧しながら圧延するため、ガイドシユウ
ロールと圧延材との接触面圧が大となり、ガイド
シユウロール表面の焼付が依然として残る。 上記の問題点を解決するために、従来からガイ
ドシユウの冷却を行つたり、特開昭61−253105号
公報のようにガイドシユウの材質を改善すること
が行われているが、十分な効果をあげるに至つて
いない。この他に、特開昭60−56406号公報には
ガイドシユウと圧延材との間に微細黒鉛粒子及び
微細固形アスフアルト粒子を分散させた潤滑剤を
塗布しながら穿孔圧延する方法が提案されている
が、この方法は潤滑剤が主ロールに転写され、圧
延材の前進速度が大幅に低下し、穿孔効率が低下
するという重大な欠点があり実用化できない。 〈発明が解決しようとする問題点〉 本発明は上記の従来技術の欠点を解消するため
になされたものであり、ガイドシユウと圧延材と
の焼付を防止すると共に、両者間のスリツプがな
く、高品質の継目無鋼管の製品を高能率で製造す
ることを目的とするものである。 〈問題点を解決するための手段及び作用〉 本発明者等は、傾斜圧延機にて継目無鋼管の穿
孔、減肉、延伸圧延を行うに際し、ガイドシユウ
と圧延材との間の焼付を防止するとともに、両者
間のスリツプ率をも極力抑え、特にCr含有合金
の高い継目無鋼管の製造時にガイドシユウマーク
疵発生の無い製造方法を見出すべく研究した。 その結果、次の知見を得た。 (1) ガイドシユウと圧延材との接触面間に金属と
金属の接触を防止するため層状構造の粉粒体を
介在させるのが効果的であること。 (2) この粉粒体としては、ボロンナイトライド粉
粒体が高温度における被圧延材とガイドシユウ
との間の焼付防止に効果的で、かつ両者間のス
リツプ防止に極めて有効な材料であること。 (3) 圧延材とガイドシユウとの接触面にボロンナ
イトライドの粉粒体を粉粒体状のままで供給す
ることは困難であるが、これをバインダーと混
合し液状とすればガイドシユウ面に連続供給し
被膜塗布できるので簡単でかつ、安定してボロ
ンナイトライドの粉粒体を接触面間に保持させ
ることができ、しかも、この被膜は焼付防止に
優れた効果を示すと共にスリツプも起こし難い
特性を備えていること。 (4) 焼付防止粉体としては、黒鉛粉末も考えられ
るが、この場合には確かに焼付防止効果は満足
できるものの摩擦係数が低く、スリツプ発生の
原因となるので不適当であること。 本発明は上記の知見に基づいてなされたもので
あり、ガイドシユウを有する傾斜圧延機にて継目
無鋼管の圧延を行うに際し、ボロンナイトライド
粉粒体を重量％で３〜10％およびバインダーを混
合した水溶媒とからなる焼付防止剤を圧延材とガ
イドシユウとの間に連続的に供給しながら圧延す
ることを特徴とする継目無鋼管の圧延方法であ
る。 本発明に用いるボロンナイトライド粉粒体の平
均粒径は５〜10μmの範囲が好ましい。なぜなら、
平均粒径が5μm未満では摩擦係数が低くなりす
ぎ、スリツプの発生が生じ、一方、平均粒径が
10μmを越えると付着性が悪くなるという不都合
が生じるからである。 また、バインダーはボロンナイトライド粉粒体
の付着性を保つために必要であり、ここで用いら
れるバインダーとしては1200℃程度の高温で耐熱
性のあるものとして一般的に知られているリン酸
アルミニウムなどが好ましい。 溶媒としては、各種の油、有機溶剤、水等が考
えられるが、油はスリツプを起こしやすく、また
有機溶剤は引火しやすいことから水が最良であ
る。 ボロンナイトライド粉粒体の含有量（重量％）
は、焼付防止を確実に行うために３％は必要で、
また10％を超えると分散しにくくなり、粘度が高
くなつて作業性をそこなうことに加え著しくコス
トアツプとなる。 以上のようにボロンナイトライド粉粒体と例え
ば水で希釈したリン酸アルミニウム等のバインダ
ーとを混合した焼付防止剤をガイドシユウの周面
に連続的に供給し、被膜を形成させた後に圧延を
行うと、従来は焼付が発生した圧延材であつて
も、全く焼付が発生せず、しかも本発明焼付防止
剤の摩擦係数は0.2〜0.4と高く（これに比べ黒鉛
粉末の摩擦係数は0.2未満である）、噛込性の悪化
やスリツプの発生が無く、良好な圧延が可能であ
る。 また、上記の説明は穿孔圧延について説明した
が、減肉、延伸圧延に於いても、同じ機構によつ
て圧延が行われるから同様の効果が得られる。 〈実施例〉 次に、実施例によつて本発明をさらに詳細に説
明する。第２図のデイスクロール型ガイドシユウ
を備えた傾斜圧延機の実験機を用いて、圧延材と
して外径58mmの22％Cr鋼を第１表に示す穿孔条
件において、第２表に示す焼付防止剤をシユウの
外周面に連続的に供給しながら穿孔圧延を行い、
圧延材外周面の焼付状況及び穿孔効率を調査し
た。なお圧延材として高Cr合金鋼を選んだのは、
従来からCrなどの合金成分が入るほど焼付の発
生が著しいからである。 その結果は第３表に示す通りであつた。同表か
ら明らかなように、本発明法によれば、ガイドシ
ユウと圧延材との焼付が完全に抑えられ、かつ、
前進方向のスリツプも無く、無潤滑の従来法と同
等の穿孔効率が得られている。一方、黒鉛は焼付
防止に効果は認められるが、摩擦係数が低く、ス
リツプを助長する結果となり著しい穿孔効率の低
下が認められ好ましくないことが分かる。 また、バインダー無しでボロンナイトライド粉
粒体のままを使用したNo.５のものは穿孔効率の低
下は認められないが、焼付を生ずる結果となつ
た。 次に、第２表の本発明になるNo.２の焼付防止剤
を用い、これを実機のプレート型ガイドシユウを
備えているマンネスマン穿孔圧延機で22％Cr鋼
の穿孔圧延を行つた。その結果、従来法の無潤滑
の

【表】

【表】

【表】 場合は焼付を発生して製品外表面にガイドシユウ
マークが発生したが、本発明法では焼付が全くな
く、かつ穿孔効率の低下もみられず、良好な圧延
が可能であつた。 〈発明の効果〉 以上述べたように、本発明によれば、ガイドシ
ユウを有する傾斜圧延機にて継目無鋼管の穿孔、
または減肉延伸圧延において、ガイドシユウと圧
延材との焼付を防止でき、ガイドシユウの手入れ
やガイドシユウの交換等に要する圧延機のダウン
タイムが激減でき、特に高Cr合金鋼では品質の
良い継目無鋼管を高生産性で製造することができ
工業的に極めて大きな効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図はプレート型ガイドシユウを備えた傾斜
圧延機の一例を示す概略図、第２図はデイスクロ
ール型ガイドシユウを備えた傾斜圧延機の一例を
示す概略図、である。 １…圧延ロール、２…プレート型ガイドシユ
ウ、３…プラグ、４…圧延材、５…デイスクロー
ル型ガイドシユウ。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ ガイドシユウを有する傾斜圧延機にて継目無
   鋼管の圧延を行うに際し、ボロンナイトライド粉
   粒体を重量％で３〜10％およびバインダーを混合
   した水溶媒とからなる焼付防止剤を圧延材とガイ
   ドシユウとの間に連続的に供給しながら圧延する
   ことを特徴とする継目無鋼管の圧延方法。