JP2691806B2 - 潤滑圧延方法 - Google Patents
潤滑圧延方法Info
- Publication number
- JP2691806B2 JP2691806B2 JP14823491A JP14823491A JP2691806B2 JP 2691806 B2 JP2691806 B2 JP 2691806B2 JP 14823491 A JP14823491 A JP 14823491A JP 14823491 A JP14823491 A JP 14823491A JP 2691806 B2 JP2691806 B2 JP 2691806B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- rolling
- roll
- lubricating oil
- rolled
- film
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Landscapes
- Metal Rolling (AREA)
- Lubricants (AREA)
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は金属等の潤滑圧延方法に
関する。
関する。
【0002】
【従来の技術】近年、金属の冷間圧延のみならず、熱間
圧延においても、圧延ロールや工具と被圧延材との焼き
付き防止、圧延エネルギーの低減、及び圧延ロールや工
具の摩耗量、表面粗度低下量の低減等を目的として潤滑
圧延が実施されている。
圧延においても、圧延ロールや工具と被圧延材との焼き
付き防止、圧延エネルギーの低減、及び圧延ロールや工
具の摩耗量、表面粗度低下量の低減等を目的として潤滑
圧延が実施されている。
【0003】従来の潤滑圧延方法としては、潤滑油を水
に適当な濃度で混合し、この潤滑用混合液体を圧延ロー
ルや工具或いは被圧延材の表面に直接スプレー噴射、も
しくは塗布して圧延するのが一般的である。このような
従来の潤滑圧延方法として、下記(1) 〜(5) の従来技術
が公知である。
に適当な濃度で混合し、この潤滑用混合液体を圧延ロー
ルや工具或いは被圧延材の表面に直接スプレー噴射、も
しくは塗布して圧延するのが一般的である。このような
従来の潤滑圧延方法として、下記(1) 〜(5) の従来技術
が公知である。
【0004】(1) 被圧延材1を圧延する圧延ロール2に
塗布する潤滑用液体3がロール冷却水によって洗い流さ
れないように、水切り板4を設ける(特開昭52-7839 号
公報)(図2参照)。3は潤滑用液体のスプレー状況を
示す。
塗布する潤滑用液体3がロール冷却水によって洗い流さ
れないように、水切り板4を設ける(特開昭52-7839 号
公報)(図2参照)。3は潤滑用液体のスプレー状況を
示す。
【0005】(2) 被圧延材1と圧延ロール2とのロール
バイトに向けて潤滑用液体3を高圧で噴射する(特開昭
57-112918 号公報)(図3参照)。
バイトに向けて潤滑用液体3を高圧で噴射する(特開昭
57-112918 号公報)(図3参照)。
【0006】(3) 圧延時の摩擦係数を測定し、この値が
一定値以下になるように潤滑用液体の噴射量を制御する
(特開昭57-199501 号公報)。
一定値以下になるように潤滑用液体の噴射量を制御する
(特開昭57-199501 号公報)。
【0007】(4) 水切り板4を用いても排除しきれなか
ったロール冷却水の残量を水切り用バーナ5を用いて強
制的に蒸発させた後に潤滑剤を塗布する(特開昭62-104
608号公報)(図4参照)。
ったロール冷却水の残量を水切り用バーナ5を用いて強
制的に蒸発させた後に潤滑剤を塗布する(特開昭62-104
608号公報)(図4参照)。
【0008】上記(1) 〜(4) はいずれも潤滑用液体を効
率良くロールバイト内に送り込むための方法である。
率良くロールバイト内に送り込むための方法である。
【0009】(5) 圧延ロール2の軸方向において、被圧
延材1との焼き付きが発生し易い部分6にのみ潤滑用液
体3を塗布する(特開昭63-260606 号公報)(図9
(A)、(B)参照)。
延材1との焼き付きが発生し易い部分6にのみ潤滑用液
体3を塗布する(特開昭63-260606 号公報)(図9
(A)、(B)参照)。
【0010】上記(5) は、局所的に潤滑用液体を供給す
る方法である。
る方法である。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】上記(1) 〜(5) のいず
れの従来技術においても、圧延ロールと被圧延材とを潤
滑するためにロールバイト内へ潤滑用液体を導き込む機
構は下記(1) 、(2) のいずれかである。
れの従来技術においても、圧延ロールと被圧延材とを潤
滑するためにロールバイト内へ潤滑用液体を導き込む機
構は下記(1) 、(2) のいずれかである。
【0012】(1) 圧延ロール2と被圧延材1とによって
ロールバイト入口に形成されるくさび形状7の効果によ
って、潤滑用液体をロールバイト内に引き込む。
ロールバイト入口に形成されるくさび形状7の効果によ
って、潤滑用液体をロールバイト内に引き込む。
【0013】(2) 潤滑用液体を物理的或いは化学的に圧
延ロール2の表面或いは被圧延材1の表面のいずれか一
方、又は両方に吸着させることにより、潤滑用液体をロ
ールバイト内に引き込む。
延ロール2の表面或いは被圧延材1の表面のいずれか一
方、又は両方に吸着させることにより、潤滑用液体をロ
ールバイト内に引き込む。
【0014】然しながら、上記(1) において、特に熱間
圧延の場合、ロールバイト入口でロール表面と被圧延材
とによって形成されるくさび形状の部分は非常に高温と
なり、潤滑用液体は沸騰温度条件下に置かれ、冷間圧延
のおける如くの流体膜として十分にロールバイト内に引
き込まれることを期待できない。
圧延の場合、ロールバイト入口でロール表面と被圧延材
とによって形成されるくさび形状の部分は非常に高温と
なり、潤滑用液体は沸騰温度条件下に置かれ、冷間圧延
のおける如くの流体膜として十分にロールバイト内に引
き込まれることを期待できない。
【0015】また、上記(2) において、潤滑用液体を圧
延ロールの表面や被圧延材の表面に物理的に或いは化学
的に吸着させる場合、一般に水酸基やカルボキシル基を
有する高分子有機化合物、例えば高級アルコールや高級
脂肪酸等を潤滑油中に含有させ、圧延ロールの表面や被
圧延材の表面と、図18(A)、(B)にそれぞれ示す
如くの電気的な結合力或いは金属石鹸の生成に代表され
るような化学反応による結合力を生じせしめる方法がと
られる。図18(A)の8は潤滑油に物理的吸着された
金属の表層、9は潤滑油に化学的吸着された金属の表層
である。然しながら、これらの機構で吸着される潤滑油
の量は、単位表面積あたりの平均厚みに換算しても、オ
ングストロームオーダの厚みであり、μmオーダの表面
粗さを有する圧延ロールや工具を用いた圧延には殆ど効
果がない。更に、プラスチックに代表されるような非金
属を被圧延材として圧延する場合、或いは非金属製の圧
延ロールで圧延する場合には、上記のような従来の潤滑
油では吸着反応を得られない。
延ロールの表面や被圧延材の表面に物理的に或いは化学
的に吸着させる場合、一般に水酸基やカルボキシル基を
有する高分子有機化合物、例えば高級アルコールや高級
脂肪酸等を潤滑油中に含有させ、圧延ロールの表面や被
圧延材の表面と、図18(A)、(B)にそれぞれ示す
如くの電気的な結合力或いは金属石鹸の生成に代表され
るような化学反応による結合力を生じせしめる方法がと
られる。図18(A)の8は潤滑油に物理的吸着された
金属の表層、9は潤滑油に化学的吸着された金属の表層
である。然しながら、これらの機構で吸着される潤滑油
の量は、単位表面積あたりの平均厚みに換算しても、オ
ングストロームオーダの厚みであり、μmオーダの表面
粗さを有する圧延ロールや工具を用いた圧延には殆ど効
果がない。更に、プラスチックに代表されるような非金
属を被圧延材として圧延する場合、或いは非金属製の圧
延ロールで圧延する場合には、上記のような従来の潤滑
油では吸着反応を得られない。
【0016】以上の問題点を解決する従来技術として、
特開平2-30311号公報に示されるものがある。この従来
技術は、潤滑成分と被膜形成成分とを主成分とし、油分
を含有しない焼き付き防止水溶液を圧延用工具の表面に
供給し、その溶液中の水分が工具の有する熱量で蒸発さ
せられて工具表面に焼き付き防止用の被膜を形成するも
のである。然しながら、この従来技術を実施するには、
溶液中の水分を蒸発させて被膜を形成させるための熱量
と時間とが必要である。然し、一般の圧延のように圧延
ロールが高速で回転する場合には被膜形成のための十分
な時間がない。更に、冷間圧延のように圧延ロールの有
する熱量が小さい場合には適用できない。
特開平2-30311号公報に示されるものがある。この従来
技術は、潤滑成分と被膜形成成分とを主成分とし、油分
を含有しない焼き付き防止水溶液を圧延用工具の表面に
供給し、その溶液中の水分が工具の有する熱量で蒸発さ
せられて工具表面に焼き付き防止用の被膜を形成するも
のである。然しながら、この従来技術を実施するには、
溶液中の水分を蒸発させて被膜を形成させるための熱量
と時間とが必要である。然し、一般の圧延のように圧延
ロールが高速で回転する場合には被膜形成のための十分
な時間がない。更に、冷間圧延のように圧延ロールの有
する熱量が小さい場合には適用できない。
【0017】本発明は、適正な潤滑圧延によって、圧延
ロールや工具と被圧延材との焼き付き防止、圧延エネル
ギーの低減、及び圧延ロールや工具の摩擦量の低減等を
確実に達成することを目的とする。
ロールや工具と被圧延材との焼き付き防止、圧延エネル
ギーの低減、及び圧延ロールや工具の摩擦量の低減等を
確実に達成することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の本発明
は、潤滑油と水とを乳化剤の存在下で混合し、その潤滑
油と水の混合液体に該混合液体供給系の途中で被膜形成
剤を混合し、その被膜形成剤混合液体を、圧延ロールと
被圧延材の少なくとも一方に供給し、且つ被膜形成補助
剤を、圧延ロールと被圧延材の少なくとも一方における
上記被膜形成剤混合液体の供給領域と略同一領域に供給
するようにしたものである。
は、潤滑油と水とを乳化剤の存在下で混合し、その潤滑
油と水の混合液体に該混合液体供給系の途中で被膜形成
剤を混合し、その被膜形成剤混合液体を、圧延ロールと
被圧延材の少なくとも一方に供給し、且つ被膜形成補助
剤を、圧延ロールと被圧延材の少なくとも一方における
上記被膜形成剤混合液体の供給領域と略同一領域に供給
するようにしたものである。
【0019】請求項2に記載の本発明は、請求項1に記
載の本発明において更に、前記被膜形成剤が混合せしめ
られる混合液体が、潤滑油と水に加え、硼酸或いは硼酸
塩の水溶液を乳化剤の存在下で混合したものである。
載の本発明において更に、前記被膜形成剤が混合せしめ
られる混合液体が、潤滑油と水に加え、硼酸或いは硼酸
塩の水溶液を乳化剤の存在下で混合したものである。
【0020】
【作用】図1は本発明の実施に用いる潤滑剤供給装置の
一例であり、金属板の圧延に適用したものである。
一例であり、金属板の圧延に適用したものである。
【0021】タンク11内では潤滑油が乳化剤と共に水
に混合されている。この混合溶液を以下、溶液Aと呼
ぶ。
に混合されている。この混合溶液を以下、溶液Aと呼
ぶ。
【0022】溶液Aを構成する潤滑油としては、合成エ
ステルや鉱油或いは動植物油が用いられ、油性剤や極圧
剤を添加したものが一般的である。また、乳化剤として
は脂肪酸アミン石鹸やエーテル系ノニオン等が多く用い
られる。
ステルや鉱油或いは動植物油が用いられ、油性剤や極圧
剤を添加したものが一般的である。また、乳化剤として
は脂肪酸アミン石鹸やエーテル系ノニオン等が多く用い
られる。
【0023】タンク12、13内ではそれぞれ被膜形成
剤と被膜形成補助剤が水に溶かされている。以下、これ
らの水溶液をそれぞれ溶液B、Cと呼ぶ。
剤と被膜形成補助剤が水に溶かされている。以下、これ
らの水溶液をそれぞれ溶液B、Cと呼ぶ。
【0024】溶液Bに含まれる被膜形成剤としては、カ
ルボキシルメチルセルロースやイソブチレンマイレン酸
共重合物のような、分子中にカルボキシル基を有する化
合物、高分子化合物のスルフォン化物等を中和によって
水溶性としたもの等を用いる。
ルボキシルメチルセルロースやイソブチレンマイレン酸
共重合物のような、分子中にカルボキシル基を有する化
合物、高分子化合物のスルフォン化物等を中和によって
水溶性としたもの等を用いる。
【0025】また、溶液Cに含まれる被膜形成補助剤と
しては、硫酸バンド、塩化アルミニウム等の酸性物質を
用いる。
しては、硫酸バンド、塩化アルミニウム等の酸性物質を
用いる。
【0026】タンク11内で、潤滑油が適度な粒径で均
一に水に混ぜ込まれた溶液Aは、ポンプ14によって上
下の圧延ロール2、2への供給配管に配送される。ここ
で、潤滑油の濃度は一般的に約10wt%以下とすれば良
い。一方、タンク12からはポンプ14によって別配管
で溶液Bが配送され、この溶液Bはスプレーヘッダー1
9の直前に設けられたミキサー18において溶液Aに混
入、分散される。溶液B中の被膜形成剤の量が溶液A中
の潤滑油の量よりも多くなるように両溶液を混合させる
ことが適切である。このようにして溶液Aに溶液Bが混
合された液体(以下、被膜形成剤混合液体と呼ぶ)が圧
延ロール表面にスプレー噴射され、塗布される。21は
被膜形成剤混合液体のスプレー状況を示す。
一に水に混ぜ込まれた溶液Aは、ポンプ14によって上
下の圧延ロール2、2への供給配管に配送される。ここ
で、潤滑油の濃度は一般的に約10wt%以下とすれば良
い。一方、タンク12からはポンプ14によって別配管
で溶液Bが配送され、この溶液Bはスプレーヘッダー1
9の直前に設けられたミキサー18において溶液Aに混
入、分散される。溶液B中の被膜形成剤の量が溶液A中
の潤滑油の量よりも多くなるように両溶液を混合させる
ことが適切である。このようにして溶液Aに溶液Bが混
合された液体(以下、被膜形成剤混合液体と呼ぶ)が圧
延ロール表面にスプレー噴射され、塗布される。21は
被膜形成剤混合液体のスプレー状況を示す。
【0027】タンク内で溶液AとBとを予め混合してお
かないのは、以下の理由による。即ち、溶液A中に含ま
れる潤滑油や乳化剤を構成する有機物質の分子には酸性
基を有するものが多い。この酸性基に溶液B中の被膜形
成剤の分子中のアルカリ部が反応する場合には、不水溶
性の分子を生成し、タンク内で沈澱したり、配管やスプ
レーノズル内のつまりを起こす。従って、溶液AとBと
を予め混合しておくことは適切でなく、スプレーヘッダ
ー19の直近で両者を混合させることが好ましい。
かないのは、以下の理由による。即ち、溶液A中に含ま
れる潤滑油や乳化剤を構成する有機物質の分子には酸性
基を有するものが多い。この酸性基に溶液B中の被膜形
成剤の分子中のアルカリ部が反応する場合には、不水溶
性の分子を生成し、タンク内で沈澱したり、配管やスプ
レーノズル内のつまりを起こす。従って、溶液AとBと
を予め混合しておくことは適切でなく、スプレーヘッダ
ー19の直近で両者を混合させることが好ましい。
【0028】更に、タンク13からはポンプ14によっ
て別配管で溶液Cが配送され、この溶液Cが前記被膜形
成剤混合液体とは別のスプレーヘッダー20を介して上
下の圧延ロール2に噴射供給される。溶液C中の被膜形
成補助剤の量を溶液B中の被膜形成剤とちょうど中和す
る量にするのが好ましい。22は被膜形成補助剤のスプ
レー状況を示す。溶液Cが供給されるロール表面の位置
は、被膜形成剤混合液体が供給される領域と同じか或い
はロール回転方向にその直前、直後の領域がよい。
て別配管で溶液Cが配送され、この溶液Cが前記被膜形
成剤混合液体とは別のスプレーヘッダー20を介して上
下の圧延ロール2に噴射供給される。溶液C中の被膜形
成補助剤の量を溶液B中の被膜形成剤とちょうど中和す
る量にするのが好ましい。22は被膜形成補助剤のスプ
レー状況を示す。溶液Cが供給されるロール表面の位置
は、被膜形成剤混合液体が供給される領域と同じか或い
はロール回転方向にその直前、直後の領域がよい。
【0029】本発明方法によって、溶液AとBの被膜形
成剤混合液体中の被膜形成剤は溶液Cの被膜形成補助剤
と反応し、粒子化した潤滑油を包含した状態で不水性化
し、被膜を形成する。前述した従来の潤滑油のロール表
面への物理的或いは化学的な吸着量と比較すると、本発
明方法によりロール表面に形成される被膜の付着量は、
単位表面積あたりの平均厚みに換算するとμm 〜mmオー
ダであるから、この被膜に含まれてロールバイト内へ導
入される潤滑油の量も非常に多い。
成剤混合液体中の被膜形成剤は溶液Cの被膜形成補助剤
と反応し、粒子化した潤滑油を包含した状態で不水性化
し、被膜を形成する。前述した従来の潤滑油のロール表
面への物理的或いは化学的な吸着量と比較すると、本発
明方法によりロール表面に形成される被膜の付着量は、
単位表面積あたりの平均厚みに換算するとμm 〜mmオー
ダであるから、この被膜に含まれてロールバイト内へ導
入される潤滑油の量も非常に多い。
【0030】本発明方法を熱間圧延に適用すれば、ロー
ルバイト入口の高温領域で潤滑油を含む溶液が沸騰して
ロールバイト内に引き込まれ難いとう問題点も排除され
る。
ルバイト入口の高温領域で潤滑油を含む溶液が沸騰して
ロールバイト内に引き込まれ難いとう問題点も排除され
る。
【0031】また本発明方法は、被膜の形成に被膜形成
剤と被膜形成補助剤との化学反応を利用しているため、
圧延ロールや工具の熱量を必要としないから、冷間圧延
にも適用できる。
剤と被膜形成補助剤との化学反応を利用しているため、
圧延ロールや工具の熱量を必要としないから、冷間圧延
にも適用できる。
【0032】また、従来の潤滑剤では物理的或いは化学
的に吸着の難しい非金属製の圧延ロールや工具を用いた
圧延、非金属の被圧延材の圧延においても、本発明方法
は、圧延ロールや工具の表面或いは被圧延材表面に潤滑
油を分散させた被膜の形成が可能であり、適用可能とな
る。
的に吸着の難しい非金属製の圧延ロールや工具を用いた
圧延、非金属の被圧延材の圧延においても、本発明方法
は、圧延ロールや工具の表面或いは被圧延材表面に潤滑
油を分散させた被膜の形成が可能であり、適用可能とな
る。
【0033】尚、本発明方法においても従来の潤滑油の
供給と同様に、図1に示す如く、ロール冷却水の水切り
板4を設置すれば、圧延ロール表面への被膜の付着はよ
り効果的となる。また、各タンク1〜3には撹拌機15
を設け、溶液の供給系配管には適所にフィルター16、
流量調整器17を設けるのもよい。
供給と同様に、図1に示す如く、ロール冷却水の水切り
板4を設置すれば、圧延ロール表面への被膜の付着はよ
り効果的となる。また、各タンク1〜3には撹拌機15
を設け、溶液の供給系配管には適所にフィルター16、
流量調整器17を設けるのもよい。
【0034】
【実施例】次に、本発明の実施例について説明する。
【0035】(実施例1)ホットストリップミルの7ス
タンドからなる仕上圧延機の第3スタンドにおいて、平
均圧延温度 970℃で、板厚18mm、板幅1245mmの低炭素鋼
板を板厚10mmに圧延する実験を行なった。無潤滑圧
延、水切り板を用いない潤滑圧延(従来潤滑法A)、
図2に示す水切り板4を用いた潤滑圧延(従来潤滑法
B)、図4に示す水切り板4と水切り用バーナ5を併
用した潤滑圧延(従来潤滑法C)、及び図1に示す本
発明方法による潤滑圧延、の5条件で15ton の鋼板を20
枚ずつ圧延し、平均圧延荷重を比較した。尚、圧延ロー
ルの直径は700mm 、ロール冷却水は1500 l/min・roll で
ある。潤滑油は、鉱油と合成エステルを混合し、極圧剤
を添加したものを用いた。潤滑油の使用量は全て0.25 l
/min・roll である。従来潤滑法A、Bで使用した潤滑油
の濃度は0.1 wt%である。従来潤滑法Cでは、上下ロー
ルとも 5本ずつのガスバーナを250mm 間隔で設置し、 1
本あたり100 kcal/hr の熱量を消費させて燃焼させた。
本発明方法による潤滑圧延には、被膜形成剤としてカル
ボキシルメチルセルロースの 5wt%濃度水溶液を用い
た。水溶液の使用量は90 l/min・roll である。また、被
膜形成補助剤としては塩化アルミニウムの15wt%濃度水
溶液を用いた。水溶液の使用量は90 l/min・roll であ
る。
タンドからなる仕上圧延機の第3スタンドにおいて、平
均圧延温度 970℃で、板厚18mm、板幅1245mmの低炭素鋼
板を板厚10mmに圧延する実験を行なった。無潤滑圧
延、水切り板を用いない潤滑圧延(従来潤滑法A)、
図2に示す水切り板4を用いた潤滑圧延(従来潤滑法
B)、図4に示す水切り板4と水切り用バーナ5を併
用した潤滑圧延(従来潤滑法C)、及び図1に示す本
発明方法による潤滑圧延、の5条件で15ton の鋼板を20
枚ずつ圧延し、平均圧延荷重を比較した。尚、圧延ロー
ルの直径は700mm 、ロール冷却水は1500 l/min・roll で
ある。潤滑油は、鉱油と合成エステルを混合し、極圧剤
を添加したものを用いた。潤滑油の使用量は全て0.25 l
/min・roll である。従来潤滑法A、Bで使用した潤滑油
の濃度は0.1 wt%である。従来潤滑法Cでは、上下ロー
ルとも 5本ずつのガスバーナを250mm 間隔で設置し、 1
本あたり100 kcal/hr の熱量を消費させて燃焼させた。
本発明方法による潤滑圧延には、被膜形成剤としてカル
ボキシルメチルセルロースの 5wt%濃度水溶液を用い
た。水溶液の使用量は90 l/min・roll である。また、被
膜形成補助剤としては塩化アルミニウムの15wt%濃度水
溶液を用いた。水溶液の使用量は90 l/min・roll であ
る。
【0036】図5に無潤滑圧延時の平均圧延荷重に対す
る各潤滑圧延時の圧延荷重低減割合を示す。従来の潤滑
圧延方法では最高でも16%の圧延荷重低減しか得られな
かったが、本発明方法では、潤滑油がロールバイト内に
十分に引き込まれるために無潤滑圧延時に比べて28%の
圧延荷重低減が得られ、単に潤滑油を供給して圧延する
だけの従来潤滑法Aの場合に得られる圧延荷重低減の3
倍以上の効果である。
る各潤滑圧延時の圧延荷重低減割合を示す。従来の潤滑
圧延方法では最高でも16%の圧延荷重低減しか得られな
かったが、本発明方法では、潤滑油がロールバイト内に
十分に引き込まれるために無潤滑圧延時に比べて28%の
圧延荷重低減が得られ、単に潤滑油を供給して圧延する
だけの従来潤滑法Aの場合に得られる圧延荷重低減の3
倍以上の効果である。
【0037】(実施例2)実施例1と同じホットストリ
ップミルで、板厚28mm、板幅1010mmのオーステナイト系
ステンレス鋼(SUS304相当)を板厚1.5 〜4.0mm に仕上
げ圧延する実験を行なった。焼き付きの発生し易い第1
〜4スタンドにおいて、実施例1で行なったのと同じ
従来潤滑法B、図6(A)、(B)に示すように、圧
延ロール表面で焼き付きの発生し易い板道エッジ部6に
他の部分よりも多量の潤滑油を供給する潤滑圧延(従来
潤滑法D)、及び図7に示すように従来潤滑法Dと同
様に板道エッジ部6にのみ本発明方法を適用する潤滑圧
延、の3方法を用いて潤滑圧延を行なった。使用した潤
滑油は実施例1の場合と同じである。圧延ロール2に
は、それぞれ軸方向に7つのスプレーノズルを150mm 間
隔で配置し、これらからロール表面に1050mmの幅にわた
って潤滑油を噴射供給した。潤滑油の供給量は各ノズル
とも0.06 l/minである。従来潤滑法Dではロール軸方向
の両端のスプレーのみ噴射する潤滑油の濃度を2 wt%に
倍増し、且つ供給量も0.1 l/min に増加した。本発明方
法による潤滑圧延では、ロール軸方向中央側の5つのノ
ズルからは従来潤滑法B、Dと同様に、0.06 l/minの潤
滑油を供給した。ロール軸方向の両端部側のノズルから
は本発明方法を用いて濃度2 wt%、0.1 l/minの量の潤
滑油と被膜形成剤及び被膜形成保持剤を供給した。被膜
形成剤と被膜形成補助剤の成分及び含有量は実施例1の
場合と同じである。両液とも、ロール軸方向中央の5つ
のノズルからはそれぞれ 22 l/min 、ロール軸方向端部
のノズルからはそれぞれ 36 l/min の量を供給した。
ップミルで、板厚28mm、板幅1010mmのオーステナイト系
ステンレス鋼(SUS304相当)を板厚1.5 〜4.0mm に仕上
げ圧延する実験を行なった。焼き付きの発生し易い第1
〜4スタンドにおいて、実施例1で行なったのと同じ
従来潤滑法B、図6(A)、(B)に示すように、圧
延ロール表面で焼き付きの発生し易い板道エッジ部6に
他の部分よりも多量の潤滑油を供給する潤滑圧延(従来
潤滑法D)、及び図7に示すように従来潤滑法Dと同
様に板道エッジ部6にのみ本発明方法を適用する潤滑圧
延、の3方法を用いて潤滑圧延を行なった。使用した潤
滑油は実施例1の場合と同じである。圧延ロール2に
は、それぞれ軸方向に7つのスプレーノズルを150mm 間
隔で配置し、これらからロール表面に1050mmの幅にわた
って潤滑油を噴射供給した。潤滑油の供給量は各ノズル
とも0.06 l/minである。従来潤滑法Dではロール軸方向
の両端のスプレーのみ噴射する潤滑油の濃度を2 wt%に
倍増し、且つ供給量も0.1 l/min に増加した。本発明方
法による潤滑圧延では、ロール軸方向中央側の5つのノ
ズルからは従来潤滑法B、Dと同様に、0.06 l/minの潤
滑油を供給した。ロール軸方向の両端部側のノズルから
は本発明方法を用いて濃度2 wt%、0.1 l/minの量の潤
滑油と被膜形成剤及び被膜形成保持剤を供給した。被膜
形成剤と被膜形成補助剤の成分及び含有量は実施例1の
場合と同じである。両液とも、ロール軸方向中央の5つ
のノズルからはそれぞれ 22 l/min 、ロール軸方向端部
のノズルからはそれぞれ 36 l/min の量を供給した。
【0038】尚、本発明方法の実施においては、潤滑油
だけでなく、更に硼酸アルカノールアミン塩を被膜形成
剤混合液体の重量比で10wt%混合させた場合についても
同様の圧延を行なった。以上合計4潤滑条件で10ton の
鋼板を、それぞれ製品板厚1.5mm については10コイル、
2.3mm については20コイル、3.0mm については30コイ
ル、3.5mm については20コイル、4.0mm については20コ
イル、計100 コイルずつ圧延した。
だけでなく、更に硼酸アルカノールアミン塩を被膜形成
剤混合液体の重量比で10wt%混合させた場合についても
同様の圧延を行なった。以上合計4潤滑条件で10ton の
鋼板を、それぞれ製品板厚1.5mm については10コイル、
2.3mm については20コイル、3.0mm については30コイ
ル、3.5mm については20コイル、4.0mm については20コ
イル、計100 コイルずつ圧延した。
【0039】実験の結果、圧延後のコイルエッジ部に肌
荒れの発生した割合を図8に示す。従来の潤滑圧延方法
を適用した場合、いずれも15%以上の製品のエッジ部に
肌荒れが発生したが、本発明方法の実施により肌荒れ発
生率は 4%に減少した。これはいずれも被膜1.5mm のコ
イルに発生したものである。更に本発明方法の実施にお
いて、潤滑油だけでなく硼酸塩を用いたものについて
は、発生率が 2%にまで減少し、また発生した肌荒れに
ついても極めて軽度なものである。
荒れの発生した割合を図8に示す。従来の潤滑圧延方法
を適用した場合、いずれも15%以上の製品のエッジ部に
肌荒れが発生したが、本発明方法の実施により肌荒れ発
生率は 4%に減少した。これはいずれも被膜1.5mm のコ
イルに発生したものである。更に本発明方法の実施にお
いて、潤滑油だけでなく硼酸塩を用いたものについて
は、発生率が 2%にまで減少し、また発生した肌荒れに
ついても極めて軽度なものである。
【0040】(実施例3)継目無鋼管の製造プロセスで
あるマンネスマン・マンドレルミル法の仕上圧延機であ
るストレッチレデューサーに本発明を適用した。
あるマンネスマン・マンドレルミル法の仕上圧延機であ
るストレッチレデューサーに本発明を適用した。
【0041】外径90mm、肉厚4.2mm 、長さ5.5mm のオー
ステナイト系ステンレス鋼(SUS304相当)素管を、平均
圧延開始温度 980℃にて、24スタンドのストレッチレデ
ューサーを用いて、外径38.1mm、肉厚3.7mm に圧延実験
した。全スタンドで、無潤滑圧延、図9(A)、
(B)に示すように、カリバーロール表面で焼き付きの
発生し易いフランジ部6にのみ潤滑油を供給する潤滑圧
延(従来潤滑法E)、及び図10に示すように従来潤滑
法Eと同様にフランジ部6のみに本発明方法を適用する
潤滑圧延、の3方法により、各方法とも中空素管を20本
ずつ5回のチャンス圧延した。各スタンドとも前記実施
例2で使用したものと同じ潤滑油を用いた。従来潤滑法
Eの場合、濃度2 wt%、0.06 l/min・roll の潤滑油を供
給した。一方、本発明方法の実施においては硼酸アルカ
ノールアミン塩を溶液の重量比で10%混入したものを用
いた。溶液の供給量は、潤滑油が 0..03 l/min・roll
(濃度1 wt%)、他の水溶液は共に11 l/min・roll であ
る。
ステナイト系ステンレス鋼(SUS304相当)素管を、平均
圧延開始温度 980℃にて、24スタンドのストレッチレデ
ューサーを用いて、外径38.1mm、肉厚3.7mm に圧延実験
した。全スタンドで、無潤滑圧延、図9(A)、
(B)に示すように、カリバーロール表面で焼き付きの
発生し易いフランジ部6にのみ潤滑油を供給する潤滑圧
延(従来潤滑法E)、及び図10に示すように従来潤滑
法Eと同様にフランジ部6のみに本発明方法を適用する
潤滑圧延、の3方法により、各方法とも中空素管を20本
ずつ5回のチャンス圧延した。各スタンドとも前記実施
例2で使用したものと同じ潤滑油を用いた。従来潤滑法
Eの場合、濃度2 wt%、0.06 l/min・roll の潤滑油を供
給した。一方、本発明方法の実施においては硼酸アルカ
ノールアミン塩を溶液の重量比で10%混入したものを用
いた。溶液の供給量は、潤滑油が 0..03 l/min・roll
(濃度1 wt%)、他の水溶液は共に11 l/min・roll であ
る。
【0042】実験の結果、圧延後のチューブ表面にスト
レッチレデューサーの圧延ロールのフランジ部との焼き
付きによる肌荒れの発生した割合を図11に示す。無潤
滑圧延の場合、圧延後の全てのチューブ表面にロールの
フランジ部との焼き付きによる肌荒れが発生していた。
従来潤滑法Eを実施してもこの肌荒れ発生率は28%にし
か減少しなかったが、本発明方法の実施により肌荒れ発
生率は 3%に激減した。
レッチレデューサーの圧延ロールのフランジ部との焼き
付きによる肌荒れの発生した割合を図11に示す。無潤
滑圧延の場合、圧延後の全てのチューブ表面にロールの
フランジ部との焼き付きによる肌荒れが発生していた。
従来潤滑法Eを実施してもこの肌荒れ発生率は28%にし
か減少しなかったが、本発明方法の実施により肌荒れ発
生率は 3%に激減した。
【0043】(実施例4)継目無鋼管の製造において、
ビレットを穿孔するピアサーのディスクシューに本発明
方法を適用した。潤滑用液体中の水分をディスクシュ
ーの持つ熱量で蒸発させることによってディスクシュー
表面に硼酸の分散した潤滑被膜を形成させる方法(従来
潤滑法F)、本発明方法の2条件で実験圧延を行なっ
た。従来潤滑法Fでは、硼酸アルカノールアミン塩を10
wt%、被膜形成剤としてスチレンアクリルエマルジョン
を10wt%混合させた潤滑剤を用いた。従来潤滑法Fの実
施において、ディスクシュー38への潤滑剤の供給位置
を図12に示す。本発明方法の実施においては、前記実
施例3において使用したものと同じ潤滑剤を用いた。潤
滑剤の供給位置について図13に示す。両方法とも上下
のディスクシュー38に潤滑剤34、21を0.8 l/min
供給した。尚、ディスクシューの冷却水35を調整する
ことで、温度計33によって測温されるディスクシュー
表面温度を30℃〜200 ℃の間で種々変更し、外径110mm
、長さ3mの22%Cr鋼のビレット32各600本を平均圧
延温度1225℃で外径115mm 、肉厚12.5mmの中空素管32
Aに圧延した。39は圧延ロールである。
ビレットを穿孔するピアサーのディスクシューに本発明
方法を適用した。潤滑用液体中の水分をディスクシュ
ーの持つ熱量で蒸発させることによってディスクシュー
表面に硼酸の分散した潤滑被膜を形成させる方法(従来
潤滑法F)、本発明方法の2条件で実験圧延を行なっ
た。従来潤滑法Fでは、硼酸アルカノールアミン塩を10
wt%、被膜形成剤としてスチレンアクリルエマルジョン
を10wt%混合させた潤滑剤を用いた。従来潤滑法Fの実
施において、ディスクシュー38への潤滑剤の供給位置
を図12に示す。本発明方法の実施においては、前記実
施例3において使用したものと同じ潤滑剤を用いた。潤
滑剤の供給位置について図13に示す。両方法とも上下
のディスクシュー38に潤滑剤34、21を0.8 l/min
供給した。尚、ディスクシューの冷却水35を調整する
ことで、温度計33によって測温されるディスクシュー
表面温度を30℃〜200 ℃の間で種々変更し、外径110mm
、長さ3mの22%Cr鋼のビレット32各600本を平均圧
延温度1225℃で外径115mm 、肉厚12.5mmの中空素管32
Aに圧延した。39は圧延ロールである。
【0044】実験の結果、圧延後の管外表面にディスク
シュー38との焼き付きによる疵の発生した割合を図1
4に示す。従来潤滑法Fの場合、ディスクシュー表面の
測定温度が100 ℃以下のときに温度の低下に伴ってディ
スクシューとの焼き付きによる疵が管外表面に残存する
割合が高くなった。然しながら、本発明方法の実施によ
り、ディスクシューの表面温度に拘わらず、焼き付きに
よる管外面疵の発生が全くなくなった。
シュー38との焼き付きによる疵の発生した割合を図1
4に示す。従来潤滑法Fの場合、ディスクシュー表面の
測定温度が100 ℃以下のときに温度の低下に伴ってディ
スクシューとの焼き付きによる疵が管外表面に残存する
割合が高くなった。然しながら、本発明方法の実施によ
り、ディスクシューの表面温度に拘わらず、焼き付きに
よる管外面疵の発生が全くなくなった。
【0045】(実施例5)本発明方法を樹脂材の冷間圧
延に適用した。図15に示すように、被圧延材37の
表裏面に潤滑油をスプレー噴射によって塗布して圧延す
る方法(従来潤滑法G)と、図16に示すように従来
潤滑法Gと同じ位置に本発明方法を適用して圧延する方
法の2条件でポリスチレン板の実験圧延を行なった。圧
延用ロールは外径150mm の鍛鋼製ロールである。被圧延
材は板厚7mm 、板幅100mm 、長さ400mm で、板厚5mm ま
で圧延された。従来潤滑法Gの場合、被圧延材37の表
裏面には共に0.0125 l/minの量の鉱油が0.1 wt%の濃度
でスプレー噴射によって供給された。36は潤滑油のス
プレー状況を示す。本発明の実施においても、潤滑油と
して鉱油を用いた。鉱油の供給量は、従来圧延法Gと同
量である。被膜形成剤及び被膜形成補助剤については実
施例1で用いたものと同じものを用いた。供給量は共に
10 l/minである。
延に適用した。図15に示すように、被圧延材37の
表裏面に潤滑油をスプレー噴射によって塗布して圧延す
る方法(従来潤滑法G)と、図16に示すように従来
潤滑法Gと同じ位置に本発明方法を適用して圧延する方
法の2条件でポリスチレン板の実験圧延を行なった。圧
延用ロールは外径150mm の鍛鋼製ロールである。被圧延
材は板厚7mm 、板幅100mm 、長さ400mm で、板厚5mm ま
で圧延された。従来潤滑法Gの場合、被圧延材37の表
裏面には共に0.0125 l/minの量の鉱油が0.1 wt%の濃度
でスプレー噴射によって供給された。36は潤滑油のス
プレー状況を示す。本発明の実施においても、潤滑油と
して鉱油を用いた。鉱油の供給量は、従来圧延法Gと同
量である。被膜形成剤及び被膜形成補助剤については実
施例1で用いたものと同じものを用いた。供給量は共に
10 l/minである。
【0046】従来潤滑法Gの場合、圧延直前の被圧延材
37の表面では供給された潤滑油が上乗りした状態でロ
ールバイト入口へ運ばれ、ロールバイト内へ導かれる。
然しながら、潤滑油の被圧延材表面に吸着する力が乏し
いために、被圧延材の裏面では潤滑油は落下してしま
い、ロールバイト内へは導かれ難い。従って、被圧延材
の裏面では表面よりも潤滑状態が悪くなり、裏面側の方
が表面よりも伸びが悪くなり、圧延後の板は下反りして
しまう。然しながら、本発明方法の実施により、被圧延
材の裏面にも表面と同様に潤滑油を含有した被膜が形成
されるので、ロールバイト内へ導かれる潤滑油量の被圧
延材表裏面での差は極めて少なくなり、結果として反り
なく圧延された。また、圧延後の板の表裏面の粗度の差
もなくなった。
37の表面では供給された潤滑油が上乗りした状態でロ
ールバイト入口へ運ばれ、ロールバイト内へ導かれる。
然しながら、潤滑油の被圧延材表面に吸着する力が乏し
いために、被圧延材の裏面では潤滑油は落下してしま
い、ロールバイト内へは導かれ難い。従って、被圧延材
の裏面では表面よりも潤滑状態が悪くなり、裏面側の方
が表面よりも伸びが悪くなり、圧延後の板は下反りして
しまう。然しながら、本発明方法の実施により、被圧延
材の裏面にも表面と同様に潤滑油を含有した被膜が形成
されるので、ロールバイト内へ導かれる潤滑油量の被圧
延材表裏面での差は極めて少なくなり、結果として反り
なく圧延された。また、圧延後の板の表裏面の粗度の差
もなくなった。
【0047】尚、本発明は実施例3に示したのと同様に
穴型ロールを用いる線材、棒材、異形材の圧延に適用し
ても、効果がある。
穴型ロールを用いる線材、棒材、異形材の圧延に適用し
ても、効果がある。
【0048】また、圧延ロールの配置は4段以上のロー
ル配列でも、水平、垂直の配置でも、本発明の適用、効
果に関して実質的な差異はない。
ル配列でも、水平、垂直の配置でも、本発明の適用、効
果に関して実質的な差異はない。
【0049】
【発明の効果】以上のように、本発明による潤滑圧延方
法を用いれば、圧延ロール、工具或いは被圧延材の表面
に潤滑剤の含有、分散された被膜が容易に形成されるの
で、種々の圧延に適用可能で、圧延ロールや工具と被圧
延材との焼き付き防止、圧延エネルギーの低減等の効果
を確実に得ることができる。
法を用いれば、圧延ロール、工具或いは被圧延材の表面
に潤滑剤の含有、分散された被膜が容易に形成されるの
で、種々の圧延に適用可能で、圧延ロールや工具と被圧
延材との焼き付き防止、圧延エネルギーの低減等の効果
を確実に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の実施に用いる潤滑剤供給装置の
一例を示す模式図である。
一例を示す模式図である。
【図2】図2は圧延ロールに潤滑油を供給する従来例を
示す模式図である。
示す模式図である。
【図3】図3は圧延ロールに潤滑油を供給する他の従来
例を示す模式図である。
例を示す模式図である。
【図4】図4は圧延ロールに潤滑油を供給する更に他の
従来例を示す模式図である。
従来例を示す模式図である。
【図5】図5は本発明を熱間圧延に適用した場合の圧延
荷重低減効果を示す図である。
荷重低減効果を示す図である。
【図6】図6はステンレス鋼板の熱間圧延時に発生する
エッジ部肌荒れを防止する従来例を示す模式図である。
エッジ部肌荒れを防止する従来例を示す模式図である。
【図7】図7はエッジ部肌荒れ防止に適用した本発明方
法を示す模式図である。
法を示す模式図である。
【図8】図8は本発明を適用した場合のステンレス鋼板
のエッジ部肌荒れ防止効果を示す図である。
のエッジ部肌荒れ防止効果を示す図である。
【図9】図9は穴型ロールに潤滑油を供給する従来例を
示す模式図である。
示す模式図である。
【図10】図10は穴型ロールのフランジ部肌荒れ防止
に適用した本発明方法を示す模式図である。
に適用した本発明方法を示す模式図である。
【図11】図11は本発明を適用した場合のステンレス
鋼管の肌荒れ防止効果を示す図である。
鋼管の肌荒れ防止効果を示す図である。
【図12】図12はピアサーのディスクシューに潤滑剤
を供給する従来例を示す模式図である。
を供給する従来例を示す模式図である。
【図13】図13はピアサーのディスクシューの潤滑に
適用した本発明方法を示す模式図である。
適用した本発明方法を示す模式図である。
【図14】図14は本発明をピアサーのディスクシュー
に適用して22%Cr鋼を圧延した場合の焼き付きによる
肌荒れ防止効果を示す図である。
に適用して22%Cr鋼を圧延した場合の焼き付きによる
肌荒れ防止効果を示す図である。
【図15】図15は樹脂板の圧延に潤滑油を供給する従
来例を示す模式図である。
来例を示す模式図である。
【図16】図16は樹脂板の潤滑圧延に適用した本発明
方法を示す模式図である。
方法を示す模式図である。
【図17】図17はロールバイト内に潤滑油が引き込ま
れる状況を示す模式図である。
れる状況を示す模式図である。
【図18】図18は潤滑油が金属表面に吸着される状態
を示す模式図である。
を示す模式図である。
11 潤滑剤用タンク 12 被膜形成剤用タンク 13 被膜形成補助剤用タンク 19 被膜形成剤混合液体用スプレーヘッダー 20 被膜形成補助剤水溶液用スプレーヘッダー 21 被膜形成剤混合液体のスプレー状況 22 被膜形成補助剤のスプレー状況
Claims (2)
- 【請求項1】 潤滑油と水とを乳化剤の存在下で混合
し、その潤滑油と水の混合液体に該混合液体供給系の途
中で被膜形成剤を混合し、その被膜形成剤混合液体を、
圧延ロールと被圧延材の少なくとも一方に供給し、且つ
被膜形成補助剤を、圧延ロールと被圧延材の少なくとも
一方における上記被膜形成剤混合液体の供給領域と略同
一領域に供給することを特徴とする潤滑圧延方法。 - 【請求項2】 前記被膜形成剤が混合せしめられる混合
液体が、潤滑油と水に加え、硼酸或いは硼酸塩の水溶液
を乳化剤の存在下で混合したものである請求項1記載の
潤滑圧延方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP14823491A JP2691806B2 (ja) | 1991-05-24 | 1991-05-24 | 潤滑圧延方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP14823491A JP2691806B2 (ja) | 1991-05-24 | 1991-05-24 | 潤滑圧延方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH04351211A JPH04351211A (ja) | 1992-12-07 |
JP2691806B2 true JP2691806B2 (ja) | 1997-12-17 |
Family
ID=15448260
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP14823491A Expired - Lifetime JP2691806B2 (ja) | 1991-05-24 | 1991-05-24 | 潤滑圧延方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2691806B2 (ja) |
-
1991
- 1991-05-24 JP JP14823491A patent/JP2691806B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH04351211A (ja) | 1992-12-07 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
RU2352414C1 (ru) | Способ подачи смазочного масла при холодной прокатке | |
CN103934291B (zh) | 一种不锈钢产品的冷连轧机轧制润滑方法 | |
KR100248240B1 (ko) | 고광택 스테인레스강대의 제조방법 | |
JP4905056B2 (ja) | 金属板の冷間圧延方法及び冷間タンデム圧延機 | |
EP0375384B1 (en) | Method and apparatus for pre-processing stainless steel strip intended to be cold-rolled | |
JP2691806B2 (ja) | 潤滑圧延方法 | |
JP3815425B2 (ja) | 冷間圧延方法 | |
US3803888A (en) | Method of reducing rolling mill roll wear | |
US5279141A (en) | Apparatus for pre-processing stainless steel strip intended to be cold-rolled | |
JPS585731B2 (ja) | 冷間圧延機における給油方法 | |
JP3402217B2 (ja) | 冷間圧延方法 | |
JP2003094104A (ja) | 熱間圧延における潤滑供給方法 | |
JPH08225795A (ja) | ステンレス薄鋼板用圧延油 | |
JP3231934B2 (ja) | 冷間圧延の圧延油供給方法 | |
JP2005193242A (ja) | 金属板の冷間タンデム圧延方法および冷間タンデム圧延機 | |
JP3346298B2 (ja) | 冷間圧延機における圧延油供給方法 | |
JP2661490B2 (ja) | 継目無管製造における外面潤滑方法 | |
JPS63260606A (ja) | 継目無鋼管絞り圧延機の圧延方法 | |
SU1565554A1 (ru) | Способ смазки полосы при холодной прокатке | |
JP2710840B2 (ja) | ステンレス鋼熱間圧延時のルーパーローラー焼付き疵防止方法 | |
JPS6163311A (ja) | 熱間圧延機による潤滑圧延方法および装置 | |
JPS63160702A (ja) | 鋼帯の冷間圧延方法 | |
SU728950A1 (ru) | Способ пилигримовой прокатки труб | |
SU1752459A1 (ru) | Способ прокатки металла | |
JPH0699206A (ja) | 継目無鋼管の傾斜圧延方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 19970805 |